図1は、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの一例を備える半導体装置用ソケットの第1実施例の外観を示す。
例えば、複数個の半導体装置用ソケット10が、プリント配線基板2における所定の各導電層に対応する位置に配されている。なお、図1においては、代表して1個の半導体装置用ソケットが示されている。半導体装置用ソケット10は、押圧機構部として例えば、制御される搬送ロボット(不図示)のハンドラーに対応する形式とされる。そのハンドラーにより保持され試験される半導体装置DVが、半導体装置用ソケット10に対し着脱されるものである。半導体装置DVは、例えば、BGA型またはLGA型の略正方形の半導体装置とされ、複数の電極部が縦横に形成される電極面を有している。
半導体装置用ソケット10は、後述するプローブピン用カートリッジを内蔵し外郭部を形成するケーシング部材12と、コンタクト端子群としての複数のプローブピンを半導体装置DVの形態に応じてモジュール化し保持するプローブピン用カートリッジと、半導体装置DVの電極部のプローブピン用カートリッジの各プローブピンに対する相対位置を位置決めする可動式の位置決め部材14と、を主な要素として含んで構成されている。
アルミニウム合金材料で成形されるケーシング部材12は、図2に示されるように、額縁状に比較的薄肉で形成され、中央に位置決め部材14の額縁状の壁部が挿入される開口部12Hを有している。ケーシング部材12の4隅には、それぞれ、固定用小ネジBsが挿入される透孔12aが厚さ方向に沿って貫通している。例えば、固定用小ネジBsが透孔12aを介してプリント配線基板2の取付孔に挿入され、ナットにより締結される。これにより、ケーシング部材12がプリント配線基板2に固定されることとなる。
ケーシング部材12の4隅のうちの1箇所の外周部には、目印としての面取り部12cが形成されている。開口部12Hの周縁部の各辺には、後述するプローブピン用カートリッジをケーシング部材12に固定するためのカートリッジ用の小ネジ26がねじ込まれる雌ネジ部12t2が形成されている。また、開口部12Hの周縁部の二つの相対向する辺には、プローブピン用カートリッジを構成する複数の基板のうちの一方の基板をケーシング部材12に固定するための小ネジ20がねじ込まれる雌ネジ部12t1が形成されている。さらに、ケーシング部材12の底部には、図4に示されるように、プローブピン用カートリッジをその底部から内部に挿入できるようにその基板の形状に対応した開口部12fが形成されている。
位置決め部材14は、額縁状の壁部により形成される半導体装置収容部14aを中央に有している。半導体装置収容部14aの底部には、上述の半導体装置DVの電極部の配列および後述のプローブピンの配列に対応した透孔が形成されている。これにより、装着された半導体装置DVの外周部がその壁部により位置決めされることにより、半導体装置DVの電極部のプローブピンに対する位置決めがなされることとなる。壁部の周囲の4箇所には、上述の小ネジ26がそれぞれ挿入される孔14cを有するフランジ部14Fが形成されている。また、ケーシング部材12における雌ネジ部12t2に対向するフランジ部14Fには、小ネジ20が挿入される孔14eが孔14cに隣接して形成されている。残りの二つのフランジ部14Fには、それぞれ、孔14dが孔14cに隣接して形成されている。さらに、各フランジ部14Fには、後述する位置調整用突起部が挿入される孔14Ha,14Hb,14Hc,14Hd,14He,14Hf,14Hg,および、14Hhが、形成されている。これらの孔14Ha〜14Hhは、基板16および24の厚さ方向に沿った相対位置の位置決め用に利用される。また、これらの孔14Ha〜14Hhのうち孔14Ha,14Hc,14He,および14Hgは、それぞれ、基板16および24の厚さ方向に沿った相対位置の位置決め用だけでなく位置決め部材14の基板16および24の平面方向に沿った相対位置の位置決め用に利用されるので各孔14Ha、14Hc、14Heおよび14Hgの直径は、他の孔径に比して若干小に設定されている。
各フランジ部14Fと後述するプローブピン用カートリッジの基板16との間には、それぞれ、位置決め部材14をケーシング部材12の内周面に向けて付勢するコイルスプリング18が設けられている。これにより、位置決め部材14は、複数のコイルスプリング18により、半導体装置DVの着脱方向に沿って移動可能に支持されることとなる。
コンタクト端子用カートリッジとしてのプローブピン用カートリッジは、図5および図6に示されるように、位置決め部材14に対向して配される基板16と、基板16の外形と同一の外形を有し、基板16の下方に重ねられる基板24と、基板16と基板24とにより保持される複数のプローブピン22と、を主な要素として含んで構成されている。
プローブピン22は、円弧状の先端を有し、プリント配線基板2の各電極部に電気的に接続される接点部22bと、複数の微細な突起を先端の円周方向に沿って有し半導体装置DVの電極部に電気的に接続される接点部22aと、接点部22bおよび接点部22aの基端部を移動可能に収容するスリーブ部22cと、スリーブ部22c内における接点部22bおよび接点部22aの基端部相互間に配され接点部22bおよび接点部22aの基端部を互いに離隔する方向に付勢するコイルスプリング(不図示)とを含んで構成されている。
プローブピン22は、例えば、全長(プローブ長)5.7mmを有し、半導体装置DVの電極部の配列に対応して配列されている。
略十字状の基板16は、その中央部に各プローブピン22の接点部22aが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群16Hを有している。基板16の各辺には、小ネジ26が貫通する孔16cが形成されている。また、その相対向する辺には、それぞれ、位置決め部材14の孔14eに対応して小ネジ20が貫通する孔16eが、孔16cに対して所定の間隔をもって形成されている。その各辺における孔16cと孔16eとの間には、コイルスプリング18の一端が挿入される凹部16rが形成されている。
一方、残りの相対向する辺には、フックネジ28が貫通する孔16dが、孔16cに対して所定の間隔をもって形成されている。孔16dの内周部には、後述するフックネジ28の先端のT字部が選択的に係合される段部が、円周方向に沿って形成されている。その段部には、フックネジ28の先端のT字部が通過するスリットが形成されている。
孔16dと孔16cとの間には、コイルスプリング18の一端が挿入される凹部16rが形成されている。
上述の各辺には、さらに、上述の孔14Ha,14Hb,14Hc,14Hd,14He,14Hf,14Hg,および、14Hhに対応して突起部17a,17b,17c,17d,17e,17f,17g,および17hが設けられている。各突起部17a〜17hは、上述したように、位置決め部材14の基板16および24の厚さ方向に沿った相対位置の位置決め用に利用される。特に、突起部17a,17c,17e,および17gは、位置決め部材14の基板16および24の平面に沿った相対位置決め用に利用される。
小ネジ26は、先端に雄ネジを有し、プローブピン用カートリッジを上述のケーシング部材12に位置決め部材14を介して固定するものとされる。また、小ネジ26の長さよりも短い長さを有する小ネジ20は、先端に雄ネジを有し、基板16のみをケーシング部材12に位置決め部材14を介して固定するものとされる。
略十字状の基板24は、その中央部に各プローブピン22の接点部22bが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群24Hを有している。基板24の各辺には、小ネジ26が貫通する孔24cが形成されている。また、その相対向する辺には、それぞれ、位置決め部材14の孔14eに対応して小ネジ20の頭部が露出する孔24eが、孔24cに対して所定の間隔をもって形成されている。その各辺における孔24cと孔24eとの間には、凹部24rが形成されている。
一方、残りの相対向する辺には、フックネジ28が貫通する孔24dが孔24cに対して所定の間隔をもって形成されている。孔24dと孔24cとの間には、凹部24rが形成されている。
フックネジ28は、先端にT字部を有し、基板16と基板24とを互いに連結あるいは解放するものとされる。そのT字部が孔24dを介して上述の基板16の孔16dにおける段部に係合される場合、基板16と基板24とは互いに連結状態となる。一方、フックネジ28が段部のスリットにあるとき、あるいは、取り外されたとき、基板16と基板24とは互いに解放状態となる。なお、フックネジ28は、プローブピン用カートリッジ単体の輸送のとき、基板16と基板24とを互いに連結状態とするために用いられるものなのでプローブピン用カートリッジがプリント配線基板2上に配される場合、後述するように取り外されることとなる(図7参照)。
従って、交換可能なプローブピン用カートリッジが、ICソケットが大型化することなく、しかも、そのカートリッジをケーシング部材12内に簡単に組み込むことができる。
また、基板16および24が、互いに同一の外形を有することにより、その製造が簡易となり、しかも、基板16および24が装着される半導体装置の最大電極数に応じて樹脂成形されることにより、安定した精度の部品が短期間に低価格で製作可能となる。
斯かる構成において、例えば、既存の基板16および24を用い、半導体装置用ソケット10における使用済みのプローブピン22のみを新たなプローブピン22に交換する場合、先ず、図3に示されるように、半導体装置用ソケット10がプリント配線基板2から取り外された後、図4に示されるように、プローブピン用カートリッジの基板24の裏面側が見えるように反転される。次に、4本の小ネジ26が取り外される。これにより、図8に示されるように、基板24が、基板16およびケーシング部材12に対して離隔可能とされ、取り外される。
続いて、使用済みのプローブピン22が引き抜かれ、新たなプローブピン22の交換作業が完了した後、基板24が基板16およびケーシング部材12に対して再び小ネジ26により固定される。これにより、プローブピン22の交換作業が完了することとなる。
一方、半導体装置用ソケット10におけるプローブピン用カートリッジ全体を交換する場合、上述の例と同様に、先ず、図3に示されるように、半導体装置用ソケット10がプリント配線基板2から取り外された後、図4に示されるように、プローブピン用カートリッジの基板24の裏面側が見えるように反転される。次に、4本の小ネジ26が取り外される。また、2本の小ネジ20が緩められる。これにより、半導体装置用ソケット10が再度反転され、初期状態に戻されるとき、使用済みのプローブピン用カートリッジ全体がケーシング部材12に対して離隔可能とされ、取り外される。
続いて、使用済みのプローブピン用カートリッジからコイルスプリング18が取り外された後、図5および図6に示されるような、新たなプローブピン用カートリッジが用意される。
続いて、取り外されたコイルスプリング18が図9に示されるように、新たなプローブピン用カートリッジにおける凹部16rに挿入された後、そのプローブピン用カートリッジが、位置決め部材14とともにケーシング部材12に組み付けられる。なお、図9は、新たなプローブピン用カートリッジ全体が装着される状態を示す。
そして、プローブピン用カートリッジおよび位置決め部材14が組み付けられたケーシング部材12が図4に示されるように、反転された後、上述のように、小ネジ20および26が、ケーシング部材12の雌ネジに捩じ込まれる。その際、フックネジ28が図7に示されるように、取り外される。これにより、プローブピン用カートリッジの交換作業が完了する。
従って、プローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を簡単に、かつ、迅速に行うことができる。
図10は、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの一例を備える半導体装置用ソケットの第2実施例の外観を示す。
図10に示される半導体装置用ソケットは、クラムシェルタイプのソケットとされる。
なお、図10に示される例、および、後述する他の実施例においては、図1に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図10においては、ベース部材38およびリッド部材32を含んでなる押圧機構部30が、アダプターとしてプリント配線基板2上に配される半導体装置用ソケット10の上端面に固定されたものとされる。従って、クラムシェルタイプのソケットにおいて、上述の半導体装置用ソケット10を共用することができる。
押圧機構部30は、図11に示されるように、半導体装置用ソケット10の上端面に載置されるベース部材38と、ベース部材38の端部に回動可能に支持され装着された半導体装置の電極面を上述のプローブピン22に対して押圧する押圧体36を移動可能に有するリッド部材32とを含んで構成されている。
ベース部材38の外形寸法は、半導体装置用ソケット10(ケーシング部材12)の外形寸法と略同一となるように設定されている。ベース部材38の中央部には、半導体装置用ソケット10の位置決め部材14の半導体装置収容部14aに連通している開口部38bが形成されている。開口部38bの周辺における4隅には、それぞれ、固定用小ネジBsが挿入される孔38aがケーシング部材12の透孔12aに対応して設けられている。これにより、ベース部材38は、固定用小ネジBsが孔38a,透孔12a,プリント配線基板2の透孔を介して挿入されナットNuで締結されることにより、プリント配線基板2に固定されることとなる。
リッド部材32は、その一端部で支持軸35を介してベース部材38に回動可能に支持されている。その支持軸35には、リッド部材32の他端部をベース部材38から離隔する方向に付勢するねじりコイルバネ33が巻装されている。リッド部材32の他端部には、図10に示されるようにリッド部材32をベース部材38に保持する状態、あるいは、図11に示されるように、リッド部材32を解放状態とするラッチ部材34が回動可能に設けられている。ラッチ部材34は、その一端部がリッド部材32に回動可能に支持され、その他端が選択的にベース部材38の係止部に係合される。
リッド部材32の内面側における中央部の開口部内には、移動可能に押圧体36が設けられている。押圧体36は、その開口部内に配される複数のコイルスプリング(不図示)により、その外部の先端がリッド部材32から離隔する方向に付勢されている。
斯かる構成において、半導体装置を試験するにあたっては、先ず、図11に示される状態において、半導体装置がベース部材38の開口部38bを通じて位置決め部材14の半導体装置収容部14aに装着されることとなる。次に、図10に示されるように、リッド部材32が開口部38bに対し閉められた状態において、所定の試験が実行されることとなる。
また、プローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を行なうにあたっては、図11に示されるように、分解された後、上述の例と同様にプローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業が行なわれる。
従って、上述の例と同様にプローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を簡単に、かつ、迅速に行うことができる。
図12は、図10および図11に示される例における変形例を示す。図12に示される例においては、図10および図11に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図12においては、押圧体36の押圧力を手動で調整する操作ノブ37がリッド部材32’にさらに設けられたものとされる。操作ノブ37は、例えば、ねじ機構を介して押圧体36の基端部に連結されている。これにより、操作ノブ37が矢印の示す方向、例えば、時計回り方向に所定角度だけ回動されるとき、押圧体36の外部の先端が開口部38bに向けて所定量、突出することとなる。従って、押圧体36の押圧力が増大することとなる。一方、操作ノブ37が矢印の示す方向、例えば、反時計回り方向に所定角度だけ回動されるとき、押圧体36の外部の先端が開口部38bから離隔するようにリッド部材32の内部に後退することとなる。従って、押圧体36の押圧力が減少することとなる。
図13および図14は、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの一例を備える半導体装置用ソケットの第3実施例の外観を示す。
図13および図14に示される例においては、所謂、リッド式マニュアルタイプのソケットとされる。
図13においては、ベース部材44およびリッド部材42を含んでなる押圧機構部40が、アダプターとしてプリント配線基板2上に配される半導体装置用ソケット10の上端面に固定されたものとされる。従って、リッド式マニュアルタイプのソケットにおいて、半導体装置用ソケット10を共用することができる。
押圧機構部40は、図14に示されるように、半導体装置用ソケット10の上端面に載置される額縁状のベース部材44と、ベース部材44の上面に載置され、装着された半導体装置の電極面を上述のプローブピン22に対して押圧するリッド部材42とを含んで構成されている。
ベース部材44の外形寸法は、半導体装置用ソケット10(ケーシング部材12)の外形寸法と略同一となるように設定されている。ベース部材44の中央部には、半導体装置用ソケット10の位置決め部材14の半導体装置収容部14aに連通している開口部44bが形成されている。開口部44bの周辺における4隅には、それぞれ、固定用小ネジBsが挿入される孔44aがケーシング部材12の透孔12aに対応して設けられている。これにより、ベース部材44は、固定用小ネジBsが孔44a,透孔12a,プリント配線基板2の透孔を介して挿入されナットNuで締結されることにより、プリント配線基板2に固定されることとなる。
また、ベース部材44における一方の相対向する辺に形成される孔44aと孔44aとの間には、それぞれ、後述するリッド部材42の孔に嵌合される位置決めピン44Pが設けられている。ベース部材44における他方の相対向する辺に形成される孔44aと孔44aとの間には、それぞれ、リッド部材42をベース部材44に対し保持あるいは解放するラッチ部材46が設けられている。各ラッチ部材46は、ベース部材44に設けられる支持軸48に回動可能に支持されている。ラッチ部材46は、選択的にリッド部材42の窪みに係合する突起部を有している。
リッド部材42の相対向する辺には、ラッチ部材46の突起部が係合する窪みが設けられている。これにより、ラッチ部材46は、その突起部がその窪みに係合するとき、図13に示されるようにリッド部材42をベース部材44に保持する状態とし、あるいは、ラッチ部材46の突起部がその窪みに対し非係合状態のとき、図14に示されるように、リッド部材42を解放状態とする。
斯かる構成において、半導体装置を試験するにあたっては、先ず、ベース部材44の開口部44bが開放状態において、半導体装置がベース部材44の開口部44bを通じて位置決め部材14の半導体装置収容部14aに装着されることとなる。次に、図13に示されるように、リッド部材42が開口部44bに対し閉じた状態において、所定の試験が実行されることとなる。
また、プローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を行なうにあたっては、図14に示されるように、分解された後、上述の例と同様にプローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業が行なわれる。
従って、上述の例と同様にプローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を簡単に、かつ、迅速に行うことができる。
図15および図16は、それぞれ、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの一例を備える半導体装置用ソケットの第4実施例を示す。
図5に示される例におけるプローブピン用カートリッジは、基板16と基板24とにより保持される複数のプローブピン22を含んで構成されており、また、プローブピン22は、円弧状の先端を有しプリント配線基板2に電気的に接続される接点部22bと、複数の微細な突起を先端の円周方向に沿って有し半導体装置の電極部に電気的に接続される接点部22aとを含んでなる構成とされるが、その代わりに、図16および図17に示されるプローブピン56aiは、その両端に、それぞれ、半導体装置の電極部、あるいはプリント配線基板2の導電部に電気的に接続される互いに同一形状の接点部56bを有し、また、互いに略同一構造とされる基板52および54が設けられている。
プローブピン用カートリッジ50は、図15および図16に示されるように、相対向して配される基板52および54と、基板52と基板54とにより保持される複数のプローブピン56ai(i=1〜n,nは正の整数)と、を主な要素として含んで構成されている。
プローブピン56aiは、装着される半導体装置の電極部の配列に対応して配列されている。プローブピン56aiは、半導体装置の電極部、またはプリント配線基板2の導電部に電気的に接続される接点部56bを両端に有し、二つの接点部56bの基端部を移動可能に収容するスリーブ部56cと、スリーブ部56c内における接点部56bの基端部相互間に配され接点部56bの基端部を互いに離隔する方向に付勢するコイルスプリング(不図示)とを含んで構成されている。互いに同一形状とされる接点部56bは、複数の微細な突起を先端の円周方向に沿って有している。なお、接点部56bは、基板52および54の表面から互いに同一の長さだけ外部に向けて突出している。
基板52と基板54とは、互いに略同一構造とされるので基板52について説明し、基板54についての説明を省略する。
略矩形状の基板52は、その中央部に各プローブピン56aiの接点部56bが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群52aiを有している。基板52の各辺には、小ネジBoが貫通する孔52aが形成されている。これにより、各小ネジBoが、孔52a,基板54の孔54a、プリント配線基板2’の孔、および、プリント配線基板2’の下面に配される補強板4の孔を通じて挿入され、ナットNuにより締結されることによって、基板52および54がプリント配線基板2’に固定されることとなる。
また、透孔群52aiの周辺における4箇所には、それぞれ、上述の例における押圧機構部等を取り付けるための固定用小ネジが捩じ込まれる雌ねじ部52Sが中心線上に設けられている。また、各雌ねじ部52Sに隣接して位置決めピン58が挿入される孔が形成されている。ハンドラーまたはプリント配線基板2’用の位置決めピン58は、その中間部に大径部を有している。位置決めピン58の大径部は、基板52および54の内部に形成される凹部に係合している。位置決めピン58の一端は、基板52の表面から突出し、位置決めピン58の他端は、プリント配線基板2’の孔に係合している。さらに、孔52aに隣接して基板52と基板54とを連結する皿小ネジBs1が貫通する孔が形成されている。なお、基板54には、その貫通孔に対応して雌ねじ孔が形成されている。
斯かる構成においては、プローブピン56aiにおける一方の接点部56bが半導体装置の電極部、例えば、半田ボールに対し繰り返し使用された結果、半田が接点部56bに付着し安定した電気的接続が得られなくなった場合、プローブピン用カートリッジが一旦取り外され、図19に示されるように、基板52がプリント配線基板2’に接触するように反転され再び固定される。これにより、試験において、半導体装置の電極部に対し基板54における半田付着のない接点部56bが使用可能とされることとなる。なお、反転の際、基板52側におけるプローブピン56aiの接点部56bに付着した半田等を取り除く作業が行なわれても良い。
図20および図21は、それぞれ、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの一例を備える半導体装置用ソケットの第5実施例を示す。
図15に示される例においては、プローブピン56aiを支持する部分は、基板52および54と一体に形成されているが、その代わりに、図20に示される例においては、プローブピン56aiを支持する基板部だけが基台部に対し着脱可能とされるものである。
なお、図20および21においては、図15に示される例において同一の構成要素とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図20において、半導体装置用ソケットは、後述するプローブピン用カートリッジ60を収容する収容部68aを有する基台部68と、基台部68と協働してプローブピン用カートリッジ60を保持するカバー部材66と、プローブピン用カートリッジ60とを含んで構成されている。
略矩形状のカバー部材66は、図21および図24に示されるように、その中央部に各プローブピン56aiの接点部56bおよび後述する基板62の段部が貫通する開口部66bを有している。
カバー部材66は、その各辺には、基台固定用の小ネジBoの頭部が貫通する孔66aが4隅に形成されている。
また、開口部66bの周辺における4箇所には、それぞれ、上述の例における押圧機構部等を取り付けるための固定用小ネジが捩じ込まれる雌ねじ部66Sが中心線上に設けられている。また、各雌ねじ部66Sに隣接して位置決めピン70が挿入される孔が形成されている。例えば、ハンドラー用の位置決めピン70の一端は、基台部68に固定されている。さらに、孔66aに隣接してカバー部材66と基台部68とを連結する皿小ネジBs1が貫通する孔が形成されている。なお、基台部68には、図23に示されるように、その貫通孔に対応して雌ねじ孔が形成されている。
基台部68は、図23および24に示されるように、プローブピン用カートリッジ60を収容する収容部を形成する凹部68a、および、凹部68aに連通する開口部68dを中央部に有している。凹部68aの周囲には、カバー部材66の孔66aに対応して孔68aが4箇所に形成されている。基台部68の底部には、プリント配線基板2’用の位置決めピン72が設けられている。位置決めピン72の一端は、プリント配線基板2’の孔に係合されている。
これにより、各小ネジBoが、基台部68の孔68a、プリント配線基板2’の孔、および、プリント配線基板2’の下面に配される補強板4の孔を通じて挿入され、ナットNuにより締結されることによって、基台部68がプリント配線基板2’に固定されることとなる。
プローブピン用カートリッジ60は、互いに同一構造とされる基板62および64と、基板62および64により保持されるプローブピン56aiとを含んで構成されている。
基板62および64は、互いに同一構造とされるので基板62について説明し、基板64についての説明を省略する。
略矩形状の基板62の外周部は、基台部68の凹部68aに嵌合されることにより、プリント配線基板2’に対し位置決めされている。その際、基板64の段差部は、凹部68bに嵌合される。
基板62は、その段差部の外周部に沿って所定の幅で各プローブピン56aiの接点部56bが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群62aiを有している。基板62の段部から離隔した各隅には、基板62と基板64とを互いに連結するための小ネジBs2が貫通する孔が形成されている。なお、基板64には、その基板62の孔に対応して雌ネジ部が形成されている。基板62の一方の表面には、図21に示されるように、凹部が形成されている。これにより、基板62の凹部と基板64の凹部とが結合されることによって、内部空間が形成されることとなる。
斯かる構成において、プローブピン56aiにおける一方の接点部56bが半導体装置の電極部、例えば、半田ボールに対し繰り返し使用された結果、半田が接点部56bに付着し安定した電気的接続が得られなくなった場合、プローブピン用カートリッジ60が一旦取り外され、図24に示されるように、基板62がプリント配線基板2’に接触するように反転され再び固定される。これにより、試験において、半導体装置の電極部に対し基板64における半田付着のない接点部56bが使用可能とされることとなる。なお、反転の際、基板62側におけるプローブピン56aiの接点部56bに付着した半田等を取り除く作業が行なわれても良い。
なお、上述の各実施例においては、プローブピン用カートリッジがクラムシェルタイプのソケット等に適用されているが、斯かる例に限られることなく、他の異なる形式のソケットに対し着脱可能に配置されることにより、適用されても良いことは勿論である。
図25は、本発明に係るコンタクト端子用カートリッジの他の一例を備える半導体装置用ソケットの第6実施例を示す。
図1および図2に示される第1実施例における半導体装置用ソケット10は、全長5.7mmを有するプローブピン22のみが使用されている。一方、図25に示される半導体装置用ソケット80は、全長5.7mmのプローブピン22または全長4.8mmのプローブピン92が選択的に取り替え可能に使用され得るものである。
なお、図25、および、後述する図26乃至図42において、図1および図2に示される構成要素において、同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
複数個の半導体装置用ソケット80が、プリント配線基板2における所定の各導電層に対応する位置に配されている。なお、図25においては、代表して1個の半導体装置用ソケットが示されている。半導体装置用ソケット80は、押圧機構部として例えば、制御される搬送ロボット(不図示)のハンドラーに対応する形式とされる。そのハンドラーにより保持され試験される半導体装置DVが、半導体装置用ソケット80に対し着脱されるものである。半導体装置DVは、例えば、BGA型またはLGA型の略正方形の半導体装置とされ、複数の電極部が縦横に形成される電極面を有している。
半導体装置用ソケット80は、後述するプローブピン用カートリッジを内蔵し外郭部を形成するケーシング部材82と、コンタクト端子群としての複数のプローブピンを半導体装置DVの形態に応じてモジュール化し保持するプローブピン用カートリッジと、半導体装置DVの電極部のプローブピン用カートリッジの各プローブピンに対する相対位置を位置決めする可動式の位置決め部材14と、を主な要素として含んで構成されている。
アルミニウム合金材料で成形されるケーシング部材82は、図28に示されるように、額縁状に比較的薄肉で形成され、中央に位置決め部材14の額縁状の壁部が挿入される開口部82Hを有している。ケーシング部材82の4隅には、それぞれ、固定用小ネジBsが挿入される透孔82aが厚さ方向に沿って貫通している。例えば、固定用小ネジBsが透孔82aを介してプリント配線基板2の取付孔に挿入され、ナットにより締結される。これにより、ケーシング部材82がプリント配線基板2に固定されることとなる。
ケーシング部材82の4隅のうちの1箇所の外周部には、目印としての面取り部82cが形成されている。開口部82Hの周縁部の各辺には、後述するプローブピン用カートリッジをケーシング部材82に固定するためのカートリッジ用の小ネジ26がねじ込まれる雌ネジ部82t2が形成されている。また、開口部82Hの周縁部の二つの相対向する辺には、プローブピン用カートリッジを構成する複数の基板のうちの一方の基板をケーシング部材82に固定するための小ネジ20がねじ込まれる雌ネジ部82t1が形成されている。雌ネジ部82t1および82t2に隣接した位置には、所定の深さを有し、後述する突起部87fが挿入される凹部82rが4箇所に形成されている。
さらに、ケーシング部材82の底部には、プローブピン用カートリッジをその底部から内部に挿入できるようにその基板の形状に対応した開口部82fが形成されている。開口部82fは、その内部82bに連通している。
位置決め部材14の各フランジ部14Fと後述するプローブピン用カートリッジの基板86との間には、それぞれ、位置決め部材14をケーシング部材82の内周面に向けて付勢するコイルスプリング18が設けられている。これにより、位置決め部材14は、複数のコイルスプリング18により、半導体装置DVの着脱方向に沿って移動可能に支持されることとなる。
図26は、コンタクト端子用カートリッジとしてのプローブピン用カートリッジがケーシング部材82の内部82bに固定された状態を示す。
プローブピン用カートリッジは、図27および図31に示されるように、位置決め部材14に対向して配される基板86と、基板86の外形と同一の外形を有し、基板86の下方に重ねられる基板94と、基板86と基板94とにより保持される複数のプローブピン22と、を主な要素として含んで構成されている。
プローブピン22は、上述の第1の実施例と同様に、例えば、全長(プローブ長)5.7mmを有し、半導体装置DVの電極部の配列に対応して配列されている。
略十字状の基板86は、図32(A)および図32(B)にそれぞれ示されるように、相対向する第1の面86Aおよび第1の面86Aの裏面として相対向する第2の面86B
を有している。
基板86は、その中央部に各プローブピン22の接点部22aが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群86Hを有している。基板86の各辺には、小ネジ26が貫通する孔86cが形成されている。また、その相対向する辺には、それぞれ、位置決め部材14の孔14eに対応して小ネジ20が貫通する孔86eが、孔86cに対して所定の間隔をもって形成されている。その各辺における孔86cと孔86eとの間には、コイルスプリング18の一端が挿入される有底の孔86rが形成されている。
一方、残りの相対向する辺には、フックネジ28が貫通する孔86dが、孔86cに対して所定の間隔をもって形成されている。孔86dの内周部には、フックネジ28の先端のT字部が選択的に係合される段部が、円周方向に沿って形成されている。その段部には、フックネジ28の先端のT字部が通過するスリットが形成されている。その各辺における孔86dと孔86cとの間には、コイルスプリング18の一端が挿入される孔86rが形成されている。各孔86rに隣接した位置には、後述するピン94LBが挿入される孔86kが形成されている。
上述の第1の面86Aにおける各辺には、図32(B)に示されるように、さらに、上述の孔14Ha,14Hb,14Hc,14Hd,14He,14Hf,14Hg,および、14Hh(図2参照)に対応して突起部87a,87b,87c,87d,87e,87f,87g,および87hが設けられている。突起部87a、87b、87e,および87fの突出高さは、図27に示されるように、突起部87c、87d、87g、および87hの突出高さに比して若干高く設定されている。また、突起部87a、87b、87e,および87fの先端部は、それぞれ、位置決め部材14の各孔を介して上述の凹部82rに挿入されている。一方、突起部87c、87d、87g、および87hの先端部は、位置決め部材14の各孔を介してケーシング部材82の上部の内周面に当接している。従って、各突起部87a〜87hは、位置決め部材14の基板86および94の厚さ方向に沿った相対位置の位置決め用に利用される。
一方、第2の面86Bには、図32(A)に示されるように、上述の各透孔86cの他方の開口端が形成されている。透孔86cの他方の開口端の形状は、透孔86cの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。各透孔86cの他方の開口端の周縁には、座面86CEが形成されている。また、各透孔86cに隣接して孔86eの他方の開口端が形成されている。透孔86eの他方の開口端の形状は、透孔86eの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。さらに、各透孔86cに隣接して透孔86dの他方の開口端が形成されている。透孔86dの他方の開口端の形状は、透孔86dの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。透孔86eがそれぞれ形成される辺には、図29(A)、(B)に示されるように、互いに斜めに相対向してピン86Lが孔86kに隣接して設けられている。各ピン86Lおよび孔86kの両脇となる位置には、それぞれ、窪み86DA,86DB,86DC、および86DDが形成されている。図36(A)に示されるように、窪み86DAと窪み86DDとの相互間寸法Aは、窪み86DAと窪み86DBとの相互間寸法Bに比して大に設定されている。
窪み86DA,86DB,86DC、および86DDには、それぞれ、後述するように、プローブピン92が使用される場合、図34に示されるように、基板94の凸部94PA,94PB,94PC,および94PDがそれぞれ挿入される。
各透孔86dが設けられる辺には、それぞれ、凸部86PA,86PB,86PC、および86PDが窪み86DA〜86DDに隣接して形成されている。図29(A)に示されるように、凸部86PAと凸部86PBとの相互間寸法Aは、凸部86PBと凸部86PCとの相互間寸法Bに比して大に設定されている。各凸部86PAおよび凸部86PBは、それぞれ、後述する基板94の凸部94PB、94PAに当接するものとされる。
略十字状の基板94は、図33(A)および図33(B)に示されるように、相対向する第1の面94Aと第1の面94Aに対し裏面となる第2の面94Bとを有している。
基板94は、その中央部に各プローブピン22の接点部22bが貫通する孔が複数個形成されてなる透孔群94Hを有している。基板94の各辺には、小ネジ26が貫通する孔94cが形成されている。また、その相対向する辺には、それぞれ、位置決め部材14の孔14eに対応して小ネジ20の頭部が露出する孔94eが、孔94cに対して所定の間隔をもって形成されている。その各辺における孔94cと孔94eとの間には、ピン86Lが挿入される孔94kが形成されている。
一方、残りの相対向する辺には、フックネジ28が貫通する孔94dが孔94cに対して所定の間隔をもって形成されている。孔94dと孔94cとの間には、ピン86Lが挿入される孔94kが形成されている。また、第1の面94Aには、相対向して一対の位置決め用ピン94LAが設けられている。
一方、第2の面94Bには、図33(A)に示されるように、上述の各透孔94cの他方の開口端が形成されている。透孔94cの他方の開口端の形状は、透孔94cの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。各透孔94cの他方の開口端の周縁には、座面94CEが形成されている。また、各透孔94cに隣接して孔94eの他方の開口端が形成されている。透孔94eの他方の開口端の形状は、透孔94eの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。さらに、各透孔94cに隣接して透孔94dの他方の開口端が形成されている。透孔94dの他方の開口端の形状は、透孔94dの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。透孔94eがそれぞれ形成される辺には、図33(A)、(B)に示されるように、互いに斜めに相対向してピン94LBが孔94kに隣接して設けられている。各ピン94LBおよび孔94kの両脇となる位置には、それぞれ、窪み94DA,94DB,94DC、および94DDが形成されている。窪み94DA〜94DDは、共通の円周上にある4箇所に形成されている。
各透孔94dが設けられる辺には、それぞれ、凸部94PA,94PB,94PC、および94PDが窪み94DA〜94DDに隣接して共通の円周上にある4箇所にそれぞれ形成されている。図30(A)に示されるように、凸部94PAと凸部94PBとの相互間寸法Aは、凸部94PBと凸部94PCとの相互間寸法Bに比して大に設定されている。凸部94PAと凸部94PBとの相互間寸法Aと上述の基板86の凸部86PBと凸部86PAとの相互間寸法Aとは同一寸法に設定されている。また、凸部94PBと凸部94PCとの相互間寸法Bと基板86の凸部86PBと凸部86PCとの相互間寸法Bとは同一寸法に設定されている。従って、各凸部94PAおよび凸部94PBは、それぞれ、上述の基板86の凸部86PB、86PAに当接するものとされる。
フックネジ28は、先端にT字部を有し、基板86と基板94とを互いに連結あるいは解放するものとされる。そのT字部が孔94dを介して上述の基板86の孔86dにおける段部に係合される場合、基板86と基板94とは互いに連結状態となる。一方、フックネジ28が段部のスリットにあるとき、あるいは、取り外されたとき、基板86と基板94とは互いに解放状態となる。なお、フックネジ28は、プローブピン用カートリッジ単体の輸送、および、プローブピン用カートリッジ単体の販売のとき、基板86と基板94とを互いに連結状態とするために用いられるものなのでプローブピン用カートリッジがプリント配線基板2上に配される場合、後述するように取り外されることとなる。
従って、交換可能なプローブピン用カートリッジが、ICソケットが大型化することなく、しかも、そのカートリッジをケーシング部材82内に簡単に組み込むことができる。
また、基板86および94が、互いに同一の外形を有することにより、その製造が簡易となり、しかも、基板86および94が装着される半導体装置の最大電極数に応じて樹脂成形されることにより、安定した精度の部品が短期間に低価格で製作可能となる。
斯かる構成において、例えば、基板86および94を同様に用い、半導体装置用ソケット80におけるプローブピン22のみを図34および図35に示されるように、新たなプローブピン92に交換する場合、以下のような手順により、プローブピンの交換作業が行なわれる。プローブピン92の全長(プローブ長)は、プローブピン22の全長に比して短く、例えば、4.8mmとされる。
なお、図35は、複数のプローブピン92が基板86および94からなるプローブピン用カートリッジに保持された状態を示し、図34は、そのプローブピン用カートリッジが内部82bに収容された状態を示す。
先ず、半導体装置用ソケット80がプリント配線基板2から取り外された後、図38に示されるように、プローブピン用カートリッジの基板94の第1の面94Aが見えるように反転される。次に、図39に示されるように、4本の小ネジ26が取り外される。これにより、図39に示されるように、基板94が、基板86およびケーシング部材82に対して離隔可能とされる。
また、図40に示されるように、2本の小ネジ20が緩められる。これにより、半導体装置用ソケット80が再度反転され、初期状態に戻されるとき、プローブピン22を備えるプローブピン用カートリッジ全体がケーシング部材82に対して離隔可能とされ、図41(A)および(B)に示されるように、取り外される。
次に、プローブピン92を備えるプローブピン用カートリッジが用意される。斯かるプローブピン用カートリッジは、先ず、基板94にプローブピン92が装着された後、基板94の凸部94PA,94PB,94PC、および94PDが基板86の凹部86DA、86DD,86DC,86DBに挿入されるように重ねられる。即ち、基板86が、図36(A)に示されるように、図29(A)に示される状態から反時計回り方向に90°回転された位置で基板94に図35に示されるように、重ねられることとなる。これにより、基板86および基板94の厚さの合計値TBは、プローブピン22を保持する場合における厚さの合計値TA(図27参照)に比して小となる。
即ち、上述したような、窪み86DAと窪み86DDとの相互間寸法Aと窪み86DAと窪み86DBとの相互間寸法Bの関係、および、凸部94PAと凸部94PBとの相互間寸法Aと凸部94PBと凸部94PCとの相互間寸法Bの関係に基づいて、基板86の凸部と基板94の凸部との組み合わせ、あるいは、基板86の窪みと基板94の凸部との組み合わせを変更することにより、基板86および基板94の厚さの合計を可変できることとなる。なお、組み合わされた基板86および基板94の平坦度を良好に保つためには、上述の窪みまたは凸部が、共通の円周上にある4箇所に設けられることが好ましい。
その際、2本のフックネジ28が装着される。従って、プローブピン92を備えるプローブピン用カートリッジが、共通の基板86および基板94を用いて製造されることとなる。
そして、プローブピン92を備えるプローブピン用カートリッジは、上述したプローブピン22を備えるプローブピン用カートリッジと同様な手順でケーシング部材82に対して固定されることとなる。
即ち、取り外されたコイルスプリング18が新たなプローブピン用カートリッジにおける孔86rに挿入された後、そのプローブピン用カートリッジが、位置決め部材14とともにケーシング部材82に組み付けられる。
そして、プローブピン用カートリッジおよび位置決め部材14が組み付けられたケーシング部材82が図42に示されるように、反転された後、上述のように、小ネジ20および小ネジ26が、ケーシング部材82の雌ネジに捩じ込まれる。その際、フックネジ28が取り外される。これにより、プローブピン92を備えるプローブピン用カートリッジへの交換作業が完了する。
従って、プローブピンの交換またはプローブピン用カートリッジ全体の交換作業を簡単に、かつ、迅速に行うことができる。
さらに、上述の実施例6においては、窪み86DA〜86DD、および、凸部86PA〜86Dがそれぞれ、基板86の第2の面86Bにおける共通の円周上にある4箇所に設けられ、窪み94DA〜94DD、および、凸部94PA〜94Dがそれぞれ、基板94の第2の面94Bにおける共通の円周上の4箇所に設けられているが、必ずしもこのようにされる必要がなく、例えば、図43(A)および(B)に示されるように、基板86および94の代わりに、基板186および基板194が用いられてもよい。なお、基板186および基板194の第1の面の構成は、図示されていないが、それぞれ、基板86および94の第1の面86Aおよび第1の面94Aの構成と同様とされる。
基板186の第2の面186Bには、各透孔186cの他方の開口端が各辺に形成されている。透孔186cの他方の開口端の形状は、透孔186cの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。各透孔186cの他方の開口端の周縁には、座面186CEが形成されている。また、各透孔186cに隣接して孔186eの他方の開口端が形成されている。透孔186eの他方の開口端の形状は、透孔186eの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。さらに、各透孔186cに隣接して透孔186dの他方の開口端が形成されている。透孔186dの他方の開口端の形状は、透孔186dの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。透孔186eがそれぞれ形成される各辺には、互いに斜めに相対向してピン186Lが孔186kに隣接して設けられている。各ピン186Lおよび孔186kと透孔群186Hとの間の位置には、それぞれ、一対の帯状の窪み186DA,および、186DBが相対向して形成されている。窪み186DA,および、186DBは、各辺に沿って互いに略平行に形成されている。窪み186DA,および、186DBの長さAおよび幅AWの内寸法は、それぞれ、後述する凸部186PAおよび186PBの長さBおよび幅BWの外寸法に比して若干大に設定されている。
窪み186DA,および、186DBには、それぞれ、後述するように、上述のプローブピン92が使用される場合、基板194の凸部194PB,194PAがそれぞれ挿入される。
各透孔186dが設けられる各辺には、それぞれ、凸部186PA,186PBが窪み186DA、186DBと共通の円周上に隣接して相対向して形成されている。プローブピン22が使用される場合、各凸部186PAおよび凸部186PBは、それぞれ、後述する基板194の凸部194PB、194PAに当接するものとされる。
基板194の第2の面194Bには、各透孔194cの他方の開口端が形成されている。透孔194cの他方の開口端の形状は、透孔194cの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。各透孔194cの他方の開口端の周縁には、座面194CEが形成されている。また、各透孔194cに隣接して孔194eの他方の開口端が形成されている。透孔194eの他方の開口端の形状は、透孔194eの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。さらに、各透孔194cに隣接して透孔194dの他方の開口端が形成されている。透孔194dの他方の開口端の形状は、透孔194dの一方の開口端の形状とは異なる形状に形成されている。透孔194eがそれぞれ形成される各辺には、互いに斜めに相対向してピン194LBが孔194kに隣接して設けられている。各ピン194LBおよび孔194kと透孔群194Hとの間の位置には、それぞれ、一対の帯状の窪み194DA,および194DBが形成されている。
透孔194dが設けられる各辺には、それぞれ、帯状の凸部194PA,および、194PBが窪み194DA、194DBに隣接して相対向して共通の円周上に形成されている。窪み194DAおよび窪み194DBの長さAおよび幅AWは、凸部194PAおよび194PBの長さBおよび幅BWに比して大に設定されている。窪み194DAおよび窪み194DBの長さAおよび幅AWは、上述の基板186の窪み186DAおよび186DBの長さおよび幅と同一とされる。また、凸部194PAおよび194Bの長さBおよび幅BWは、上述の基板186の凸部186PAおよび186PBの長さおよび幅と同一とされる。従って、凸部194PAおよび凸部194PBは、プローブピン22が使用される場合、それぞれ、上述の基板186の凸部186PB、186PAに当接するものとされる。
斯かる構成においても、例えば、プローブピン92を備えるプローブピン用カートリッジが用意される場合、斯かるプローブピン用カートリッジは、先ず、基板194にプローブピン92が装着された後、基板194の凸部194PAおよび194PBが基板186の凹部186DA、186DBに挿入されるように重ねられる。即ち、基板186が、図43(A)に示される状態から反時計回り方向に90°回転された位置で基板194に重ねられることとなる。
これにより、斯かる例においても、基板186の凸部と基板194の凸部との組み合わせ、あるいは、基板186の窪みと基板194の凸部との組み合わせを変更することにより、基板186および基板194の厚さの合計を可変できることとなる。