JP4753761B2 - 筆記具の軸筒 - Google Patents

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本発明は、前軸と後軸を螺着することによって軸筒本体を構成し、前記前軸の先端部に口先部材を装着し、口先部材の後端面と後軸の先端面間で、グリップ部材を圧縮した状態に挟持して配設してなる筆記具の軸筒に関する。
従来から、前軸と後軸を螺着することによって軸筒本体を構成し、前軸の段部と軸筒の先端部の螺着した口先部材の後端面とでグリップ部材を配設してある筆記具の軸筒は知られている。
こうした筆記具の軸筒の構造は、グリップ部材を、前軸の段部と軸筒の先端部に螺着した口先部材の後端面とで挟持し、圧縮した状態で配設している。これは、筆記時にグリップ部材が前後及び回転移動してしまうことや、口先部材を螺着した際に、口先部材の後端面とグリップ部材の先端面及び/又はグリップの後端面と前軸の段部間に隙間が形成されるのを防止するためである。
しかしながら、グリップ部材を圧縮するには、口先部材の後端面とグリップ部材の先端面とが面接触しながら螺着する必要があるため、グリップ部材を圧縮しない場合に比べ、口先部材の螺着時の締め付け力が増大し、その結果、口先部材を螺着し難く、口先部材の締め不足により、口先部材が容易に外れ易くなり、移動や使用時に外れてしまうことがあった。
こうした問題を解決する手段として、本願出願人は、特開2002−219896号公報「筆記具の軸筒」にて、グリップ部材の先端面に凹部を形成してグリップ部材の先端面と口金の後端面との接触面積を減少させることを開示しているが、口先部材が小さい場合や、口先部材が金属製である場合には、口先部材を掴んでも滑りやすく螺着し難いという問題が生じている。
ところで、従来の前軸と後軸を螺着する筆記具の軸筒は、前軸と後軸が当接することで螺着が終了する。そのため、螺着時に過度な力が加わった場合には、前軸及び/又は後軸が破損する恐れがあるため、前軸と後軸を螺着する力を加減する必要があり、その結果、前軸と後軸の締め不足により、前軸と後軸が容易に外れ易くなる恐れがあった。
「特開2002−219896号公報」
本発明はこうした問題に鑑み、口先部材の締め付け力を低減し、口先部材が容易に外れることがない、グリップ部材を圧縮した状態に配設した筆記具の軸筒を、簡単な構造で提供することにある。
本発明は、前軸の後端部の雄ねじ部と後軸の雌ねじ部を螺着することによって軸筒本体を構成し、前記前軸の先端部に口先部材を螺着し、前記前軸の後端部の雄ねじ部よりも先端部側に、前記前軸の後端部の雄ねじ部よりも外径の大きい段部を形成し、前記前軸の段部の先端面と前記口先部材の後端面との間にグリップ部材を配設するとともに、前記後軸の雌ねじ部よりも後軸の先端面側に、前記前軸の段部の外径よりも大きい内径の先端部を形成し、前記前軸の段部が前記後軸の先端部内に進入し、前記前軸の後端部の雄ねじ部と後軸の雌ねじ部の螺着を終了してなる筆記具の軸筒であって、前記グリップ部材の長さを前記前軸の段部の先端面と口先部材の後端面間の距離より小さくし、前記前軸の段部の先端面と口先部材の後端面間に、前記グリップ部材を遊嵌状に配設するとともに、前記グリップ部材の後端外径を前軸の段部の外径及び後軸の先端部の内径よりも大きく形成し、且つ前記口先部材の端面と後軸の先端面間との距離を前記グリップ部材の長さより小さくすることにより、前記後軸の先端面と前記口先部材の後端面間で、前記グリップ部材を圧縮した状態に挟持して配設してあることを特徴とする。
また、前記前軸と後軸が、着脱自在に螺着してあることを特徴とする。
本発明は、口先部材の締め付け力を低減し、口先部材が容易に外れることがない、グリップ部材を圧縮した状態に配設した筆記具の軸筒を、簡単な構造で提供することができた。
次に図面を参照しながら、本発明の筆記具の軸筒の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1から図4に示す筆記具の軸筒1は、前軸2の後端雄ねじ部2cと後軸3の雌ねじ部3cを着脱自在に螺着して軸筒本体を構成し、前軸2の先端雄ねじ部2bに黄銅を切削加工することにより形成した口先部材5の雌ねじ部5cを着脱自在に螺着し、口先部材5の後端面5bと、前軸2の段部2aの先端面間に予め熱可塑性エラストマーにて成形したグリップ部材4を配設して筆記具の軸筒1を得ている。
また、後軸3にはクリップ部材10を、後軸3の後端部の外壁に設けたクリップ部材10側に向かって延びる突部12と、クリップ部材10の内壁面間に、突部12を覆うようにコイルスプリング13を配設し、クリップ部材10の先端部の内壁面10aを、後軸3の外壁面側に常時弾発して付設してある。また、クリップ部材10の後端部10bを後軸3側に押圧することにより、クリップ部材10の両側壁10cと後軸3の支柱11との連結部Sを支点とし、クリップ部材10の先端部の内壁面10aを後軸3の外壁面から離間可能にしてある。
前軸2と後軸3からなる軸筒本体には、後軸3の後端から外方に突出した状態に配設したノック体6と、ノック体6の前方に、後軸3内の受け部材14に当接して配設したコイルスプリング8によって後軸後端3a方向に付勢して配設した回転カム7と、後軸の内壁に形成したカム溝(図示せず)と、からなる回転カムによる出没機構を具備してあり、この回転カム7に先端にボールペンチップ9を装着したボールペンレフィル8の後端部を圧入したノック式ボールペンの筆記具の軸筒1としてある。
本発明の筆記具の軸筒1は、先ず、前軸2にグリップ部材4を配設して口先部材5を螺着する。この時、グリップ部材4の長さLを前軸2と口先部材5の螺着終了後における口先部材5の後端面5bと前軸2の段部2aの先端面間の距離Mより小さく(L<M)することにより、グリップ部材4を前軸2の段部2aの先端面と口先部材5の後端面5b間に遊嵌状に配設する。その結果、口先部材5が、小さく金属製であって滑りやすくても、グリップ部材4による抵抗がないので、口先部材5を容易に、且つ確実に螺着することができる。
また、グリップ部材4を前軸2の段部2aの先端面と口先部材5の後端面5b間に遊嵌状に配設することによって、組立時やボールペンレフィルの交換時等、前軸を後軸から取り外してもグリップ部材が抜け落ちすることがない。
その後、グリップ部材5を遊嵌した前軸2を後軸3に螺着する。この時、グリップ部材5の後端外径Fを、前軸2の段部2aの外径Gよりも大きく(F>G)形成し、且つ前軸2の段部2aの外径Gを後軸3の先端部の内径Hよりも小さく(G<H)するとともに、前軸2と後軸3の螺着終了後における口先部材5の後端面5bと後軸3の先端面3b間との距離Nを、グリップ部材の長さLより小さく(N<L)することによって、前軸2と後軸3を螺着すると、前軸2の段部2aが後軸3内に進入し、グリップ部材4の先端面4aと後端面4bが口先部材5の後端面5bと後軸3の先端面3bに当接し、口先部材5の後端面5bと後軸3の先端面3b間に圧縮した状態に配設される。
前軸2を後軸3に螺着することによってグリップ部材4を圧縮した状態に挟持することによって、口先部材5を螺着しグリップ部材4を圧縮した状態に挟持する場合に比べ、掴みやすく、滑りにくいので容易に螺着することができ、組立作業性が向上する。
また、前軸2と後軸3の螺着は、前軸2の段部2aと後軸3の内壁段部3dが当接することで終了するが、前軸2と後軸3の螺着によってグリップ部材4を圧縮して挟持するので、前軸2と後軸3の螺着終了前にグリップ部材4の圧縮による抵抗力が加わるため、締めすぎることがなくなり、前軸2及び/又は後軸3が破損し難くすることができる。
筆記具の軸筒1内に配設したボールペンレフィル8は、前軸2を後軸3から取り外すことによって交換可能としてあるので、口先部材5を外すことなくボールペンレフィル8を交換できるので、ボールペンレフィル8の交換作業が容易になるので好ましい。
本発明の実施例では、便宜上、後軸を1部品で形成してあるが、例えば中筒と外筒の2部品で形成する等、特に限定されるものではない。また、実施例では、グリップ部材を熱可塑性エラストマーで形成しているが、本発明のグリップ部材は、弾性変形可能な天然ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、塩化ビニル樹脂、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、ポリエチレン樹脂、その他合成ゴム等、グリップ部材として一般的に知られている弾性体のなかから適宜選定すればよい。また、口先部材も金属製に限定されるものでなく、樹脂材料等、口先部材として一般的に知られている材料のなかから適宜選定すればよい。
筆記具の軸筒として広く実施可能であり、口先部材の締め不足により、口先部材が容易に外れ難く、通勤や通学等の移動時に効果的である。また、前軸と後軸を取り外して容易にボールペンレフィルを交換可能とするができる。
本発明の筆記具の軸筒を示す、縦断面図である。 図1における要部拡大断面図である。 図1における口先部材、前軸、後軸の組立行程を示す一部省略した図である。 図3における口先部材と前軸を螺着した状態を示す図である。
符号の説明
1 筆記具の軸筒
2 前軸
2a 段部
2b 先端雄ねじ部
2c 後端雄ねじ部
3 後軸
3a 後端
3b 先端面
3c 雌ねじ部
3d 内壁段部
4 グリップ部材
4a 先端面
4b 後端面
5 口先部材
5a 後端面
5b 雌ねじ部
6 ノック体
7 回転カム
8 ボールペンレフィル
9 ボールペンチップ
F グリップ部材の後端外径
G 段部の外径
H 後軸の先端部の内径
L グリップ部材の長さ
M 口先部材の後端面と前軸の段部間の長さ
N 口先部材の後端面と後軸の先端面間の長さ

Claims (2)

  1. 前軸の後端部の雄ねじ部と後軸の雌ねじ部を螺着することによって軸筒本体を構成し、前記前軸の先端部に口先部材を螺着し、前記前軸の後端部の雄ねじ部よりも先端部側に、前記前軸の後端部の雄ねじ部よりも外径の大きい段部を形成し、前記前軸の段部の先端面と前記口先部材の後端面との間にグリップ部材を配設するとともに、前記後軸の雌ねじ部よりも後軸の先端面側に、前記前軸の段部の外径よりも大きい内径の先端部を形成し、前記前軸の段部が前記後軸の先端部内に進入し、前記前軸の後端部の雄ねじ部と後軸の雌ねじ部の螺着を終了してなる筆記具の軸筒であって、前記グリップ部材の長さを前記前軸の段部の先端面と口先部材の後端面間の距離より小さくし、前記前軸の段部の先端面と口先部材の後端面間に、前記グリップ部材を遊嵌状に配設するとともに、前記グリップ部材の後端外径を前軸の段部の外径及び後軸の先端部の内径よりも大きく形成し、且つ前記口先部材の端面と後軸の先端面間との距離を前記グリップ部材の長さより小さくすることにより、前記後軸の先端面と前記口先部材の後端面間で、前記グリップ部材を圧縮した状態に挟持して配設してあることを特徴とする筆記具の軸筒。
  2. 前記前軸と後軸が、着脱自在に螺着してあることを特徴とする請求項1に記載の筆記具の軸筒
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