JP4753273B2 - 光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造法に関する。更に詳しくは、多環式アセチルピリジン誘導体に酵素または酵素源を作用させることによる光学活性な多環式ピリジンエタノール誘導体の製造法に関する。
また本発明は、上記製造法に使用できる新規の酵素、該酵素をコードするDNA、該DNAを含有する組換えベクター、及び、該組換えベクターを含む形質転換体に関する。
さらに本発明は、光学不活性な多環式ピリジンエタノール誘導体に上記新規の酵素または上記形質転換体を作用させることによる光学活性な多環式ピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
背景技術
光学活性ピリジンエタノール誘導体は、光学活性を必要とする医薬品、農薬等の合成原料及び中間体として有用な化合物である。
単環式の光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法としては、アセチルピリジンを、パン酵母などの微生物を用いて、もっとも単純な光学活性ピリジンエタノール誘導体であるヒドロキシエチルピリジンに変換する方法などが知られている(特開昭61−22791)。
また、多環式の光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法としては、ラセミ体の5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン、もしくは5−(1−ヒドロキシエチル)−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジンを、豚膵臓リパーゼ・タイプ2を用いた不斉エステル化反応により光学分割する方法(WO9635678)、ラセミ体の7−クロロ−5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンをキャンディダ・アンタクチカ・リパーゼ(Candida antarctica lipase)を用いた不斉エステル化反応により光学分割する方法(シンレット,41(1999))などが知られている。しかしこれらの方法は光学分割であるため、一方の立体の収率は最高でも50%と低く、満足いくものではない。
また、5−(1−アセチル)−7−クロロ−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジンをテトラヒドロフラン中(−)−クロロジイソピノカンフェイルボラン(chlorodiisopinocampheylborane)を用いて化学的に還元することにより(S)−7−クロロ−5−(1−ヒドロキシエチル)−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジンを取得する方法(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,63,7851(1998))があるが、高価な還元剤を多量に使用するためにその工業的実施は困難である。
発明の開示
本発明者らは、光学活性な多環式ピリジンエタノール誘導体の効率的な製造法を開発すべく検討を重ねた結果、アセチルピリジン誘導体を立体選択的に還元し、光学活性ピリジンエタノール誘導体に変換する能力を有する今までに報告例のない酵素源を発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式[1]:
Figure 0004753273
(式中、RとRは両者が互いに結合して、酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつ置換基を有していてもよい5〜8員の単環性複素環、又は、この単環性複素環に他の環が縮合してなり、かつ置換基を有していてもよい多環性複素環を形成する。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す)で示されるアセチルピリジン誘導体を、不斉還元活性を有する酵素または酵素源を作用させて、立体選択的に還元する、一般式[2]:
Figure 0004753273
(式中、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、一般式[3]:
Figure 0004753273
(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、又は、一般式−N(D)−(ここで、Nは窒素原子であり、Dは水素原子または1価の保護基を表す)を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す)で示されるアセチルピリジン誘導体を、不斉還元活性を有する酵素または酵素源を作用させて、立体選択的に還元する、一般式[4]:
Figure 0004753273
(式中、Q、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
また本発明は以下の(1)から(3)の理化学的性質を有する酵素に関する:(1)作用:還元型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドを補酵素として、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元し、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する、
(2)特異性:ケトン及びアルデヒドに対して還元活性を有しているが、炭素環ケトン及びα−ケト酸のα位ケトンに対する還元活性は非常に低い、
(3)分子量:ゲル濾過分析において約60000の分子量を示し、SDSポリアクリルアミド電気泳動分析において約29000の分子量を示す。
あるいは、以下の(a)又は(b)の酵素にも関する:
(a)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる酵素:
(b)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する活性を有する酵素。
上記製造方法において、上記酵素としてこれらの酵素を用いると、絶対配置がR体である光学活性ピリジンエタノール誘導体が得られる。
更に本発明は、これらの酵素をコードするDNA、又は、配列表の配列番号2で示される塩基配列からなるDNAに関する。また、これらのDNAを含有する組換えベクター、及び、該組換えベクターを含む形質転換体にも関する。
上記製造方法において、上記酵素源としてこの形質転換体を用いると、絶対配置がR体である光学活性ピリジンエタノール誘導体が得られる。
更にまた、本発明は、一般式[5]:
Figure 0004753273
(式中、RとRは両者が互いに結合して、酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつ置換基を有していてもよい5〜8員の単環性複素環、又は、この単環性複素環に他の環が縮合してなり、かつ置換基を有していてもよい多環性複素環を形成する。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す)で示されるピリジンエタノール誘導体に、上記酵素及び/又は上記形質転換体を作用させ、R体のピリジンエタノール誘導体を優先的に酸化し、残存するS体のピリジンエタノール誘導体を取得する、一般式[6]:
Figure 0004753273
(式中、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される絶対配置がS体の光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
好ましい実施形態としては、一般式[7]:
Figure 0004753273
(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、又は、一般式−N(D)−(ここで、Nは窒素原子であり、Dは水素原子または1価の保護基を表す)を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す)で示されるピリジンエタノール誘導体に、上記酵素及び/又は上記形質転換体を作用させ、R体のピリジンエタノール誘導体を優先的に酸化し、残存するS体のピリジンエタノール誘導体を取得する、一般式[8]:
Figure 0004753273
(式中、Q、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される絶対配置がS体の光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法に関する。
以下、本発明について詳述する。
まず、アセチルピリジン誘導体[1]に不斉還元活性を有する酵素または酵素源を作用させて、立体選択的に還元することによる光学活性ピリジンエタノール誘導体[2]の製造方法について、詳述する。
本発明の製造方法で基質として用いられるアセチルピリジン誘導体は、次の一般式[1]で示される。
Figure 0004753273
上記一般式[1]において、RとRは両者が互いに結合して、酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつ置換基を有していてもよい5〜8員の単環性複素環を形成するか、又は、この単環性複素環にさらに別の環が縮合してなり、かつ置換基を有していてもよい多環性複素環を形成する。
具体的には、5員の単環性複素環としては、例えば、フラン環、ジヒドロフラン環、ピロール環、ピロリン環、デヒドロジオキソラン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チオフェン環、及びジヒドロチオフェン環などが挙げられる。6員の単環性複素環としては、例えば、ピラン環、ジヒドロピラン環、ピリジン環、ジヒドロヒリジン環、テトラヒドロピリジン環、デヒドロジオキサン環、デヒドロモルホリン環、ピリダジン環、デヒドロピリダジン環、ピリミジン環、ジヒドロピリミジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピラジン環、及びジヒドロピラジン環などが挙げられる。7員の単環性複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換された、シクロヘプタン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタトリエン環、及びチアゼピン環などが挙げられる。8員の単環性複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換された、シクロオクテン環、シクロオクタジエン環、及びシクロオクタテトラエン環などが挙げられる。また、多環性複素環としては、例えば、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノザリン環、ベンゾチオフェン環や、これらの水素化された環などが挙げられる。
これらの複素環は、いずれも置換基を有していても良い。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のアルコキシ基などが挙げられる。
上記複素環のうち、5員の単環性複素環が好ましく、より好ましくは置換または無置換のフラン環であり、特に好ましいのはフラン環である。
また、上記一般式[1]において、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。具体的には、水素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、水酸基、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基等を挙げることができる。上記アルキル基及びアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルコキシ基などが挙げられる。R及びRとしては水素原子または塩素原子が好ましく、より好ましくは水素原子である。
上記一般式[1]で示されるアセチルピリジン誘導体のうち、特に好ましいものは、次の一般式[3]で示される。
Figure 0004753273
上記一般式[3]において、Qは、酸素原子、硫黄原子、又は、一般式−N(D)−(ここで、Nは窒素原子であり、Dは水素原子または1価の保護基を表す)を示す。上記1価の保護基とは、アセチル基、メトキシカルボニル基、ベンジル基などの一般的によく知られた、アミノ基を保護するための基である。Qとしては酸素原子が好ましい。
また、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。具体的には、上記一般式[1]におけるR及びRについて例示したものと同様のものが挙げられる。
好適な態様によれば、本発明の製造方法で使用される基質は、Qが酸素原子であり、Rが水素原子または塩素原子であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子またはメチル基である一般式[3]で表される化合物である。
特に好適な態様によれば、本発明の製造方法で使用される基質は、Qが酸素原子であり、R、R、R及びRがいずれも水素原子である一般式[3]で表される化合物、すなわち5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンである。
上記一般式[1]で示されるアセチルピリジン誘導体は、公知の製造方法で容易に入手できる。例えば、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンは、ヨーロッパ特許911335号明細書(EP911335)に記載された方法により合成可能である。また、5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンは、J.Org.Chem.,63,7851(1998)に記載の方法により7−クロロ−5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを合成し、これの水酸基を酸化することにより取得できる。
本発明の製造方法で使用される酵素または酵素源は、アセチルピリジン誘導体[1]を光学活性なピリジンエタノール誘導体[2]に変換する能力を有する微生物に由来するものを用いることができる。例えば、このような微生物の菌体、培養液もしくはそれらの処理物、又は、このような微生物から得られる酵素などが使用できる。これらを単独で用いても、2種以上組み合わせて用いても良い。
アセチルピリジン誘導体[1]を光学活性なピリジンエタノール誘導体[2]に変換する能力を有する微生物は、以下に説明する方法によってスクリーニングすることができる。例えば、アセチルピリジン誘導体[1]として5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを用いた場合、以下のようにして行う。グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを試験管に入れて殺菌後、無菌的に微生物を接種し、30℃で2〜3日間振とう培養する。その後、菌体を遠心分離により集め、グルコース2〜10%を含んだリン酸緩衝液1〜5mlに懸濁し、あらかじめ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを2.5〜25mgいれた試験管に加えて、2〜3日間30℃で振とうする。この際、遠心分離により得た菌体をデシケーター中またはアセトンにより乾燥したものを用いることもできる。更に、このような微生物またはその処理物と5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを反応させる際に、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADと略する)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADHと略する)、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドりん酸(以下、NADPと略する)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドりん酸(以下、NADPHと略する)などと、グルコース脱水素酵素またはギ酸脱水素酵素とを添加してもよい。変換反応ののち、反応液の5倍体積の酢酸エチルを加えて抽出を行ない、生成物を高速液体クロマトグラフィー(カラム:ダイセル化学工業株式会社製Chiralpak AS、溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン=92/8/0.1、流速:1ml/min、検出:254nm、カラム温度:室温、溶出時間:5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン8.8分、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン11.7分、5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン17.5分)により分析する。
本発明に使用できる微生物としては、アセチルピリジン誘導体[1]を光学活性ピリジンエタノール誘導体[2]に変換する能力を有する微生物であればいずれも使用できる。例えば、アシュベイ(Ashbya)属、キャンディダ(Candida)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クラビスポラ(Clavispora)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ガラクトマイセス(Ga lactomyces)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属、ギラモンデラ(Guilliermondella)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、ハイホピキア(Hyphopichia)属、イサッチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、クライシア(Kuraishia)属、ロダロマイセス(Lodderomyces)属、メシュニコワ(Metschnikowia)属、オガタエア(Ogataea)属、パキソレン(Pachysolen)属、ピキア(Pichia)属、ロドスポリディウム(Rhodsporidium)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、サッカロマイコプシス(Saccharomycopsis)属、シュワニオマイセス(Schwanniomyces)属、スポリディオボラス(Sporidiobolus)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ウイロプシス(Willopsis)属、ヤマダジーマ(Yamadazyma)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バシラス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ジェンセニア(Jensenia)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属に属する微生物等が挙げられる。
特に、絶対配置がS体のピリジンエタノール誘導体に変換しようとする場合には、アシュベイ(Ashbya)属、キャンディダ(Candida)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クラビスポラ(Clavispora)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ガラクトマイセス(Galactomyces)属、ゲオトリカム(Geotrichum)属、ギラモンデラ(Guilliermondella)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、ハイホピキア(Hyphopichia)属、イサッチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、クライシア(Kuraishia)属、ロダロマイセス(Lodderomyces)属、メシュニコワ(Metschnikowia)属、オガタエア(Ogataea)属、パキソレン(Pachysolen)属、ピキア(Pichia)属、ロドスポリディウム(Rhodsporidium)属、ロドトルーラ(Rhodotorula)属、サッカロマイコプシス(Saccharomycopsis)属、シュワニオマイセス(Schwanniomyces)属、スポリディオボラス(Sporidiobolus)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ウイロプシス(Willopsis)属、ヤマダジーマ(Yamadazyma)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バシラス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ジェンセニア(Jensenia)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属に属する微生物が好ましい。
また、絶対配置がR体のピリジンエタノール誘導体に変換しようとする場合には、キャンディダ(Candida)属、オガタエア(Ogataea)属、ピキア(Pichia)属、ヤマダジーマ(Yamadazyma)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Cor ynebacterium)属に属する微生物が好ましい。
具体的な例としては、絶対配置がS体のピリジンエタノール誘導体を得る場合には、アシュベイ・ゴシッピ(Ashbya gossypii)IFO 0560、キャンディダ・フェンニカ(Candida fennica)CBS 6087、キャンディダ・ギラモンディ(Candida guilliermondii)IFO 0454、キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO 0761、キャンディダ・クルセイ(Candida krusei)IFO 0011、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae)IFO 0705、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)CBS 5612、キャンディダ・ヴァーサチリス(Candida versatilis)IFO 1908、キャンディダ・モギー(Candida mogii)IFO 0436、キャンディダ・ノーベジェンシス(Candida norvegensis)IFO 1020、キャンディダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)IFO 0585、キャンディダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)IAM 4840、キャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)IFO 0750、キャンディダ・オレオフィラ(Candida oleophila)CBS 2219、キャンディダ・ステラタ(Candida stellata)IFO 0701、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO 0006、キャンディダ・ボディニイ(Candida bodinii)IFO 10574、キャンディダ・サイトアナ(Candida saitoana)IFO 0380、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)IFO 0759、キャンディダ・カリオシリグニコーラ(Candida cariosilignicola)IFO 1910、キャンディダ・ソラニ(Candida solani)IFO 0762、キャンディダ・テヌイス(Candida tenuis)IFO 0716、クリプトコッカス・アルビダス・バー・アルビダス(Cryptococcus albidus varalbidus)IFO 0378、クリプトコッカス・フミコーラ(Cryptococcus humicola)CBS 1896、クリプトコッカス・テレウス(Cryptococcus terreus)IFO 0727、クラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)IFO 1019、デバリオマイセス・ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)IFO 0082、デバリオマイセス・マラマ(Debaryomyces marama)IFO 0668、デバリオマイセス・カルソニイ(Debaryomyces carsonii)IFO 0946、デバリオマイセス・カステリイ(Debaryomyces castellii)IFO 1359、ディポダスカス・オベテンシス(Dipodascus ovetensis)IFO 1201、ディポダスカス・テトラスパーマ(Dipodascus tetrasperma)CBS 765.70、ガラクトマイセス・レシイ(Galactomyces reessii)CBS 179.60、ゲオトリカム・キャンディダム(Geotrichum candidum)CBS 178.71、ゲオトリカム・フラグランス(Geotrichum fragrans)CBS 164.32、ゲオトリカム・キャンディダム(Geotrichum candidum)CBS 187.67、ギラモンデラ・セレノスポラ(Guilliermondella selenospora)IFO 1850、ハンセニアスポラ・バルビエンシス(Hanseniaspora valbyensis)IFO 0115、ハンセヌラ・ポリモーファ DL1(Hansenula polymorpha DL1)AKU 4752、ハイホピキア・バートニイ(Hyphopichia burtonii)IFO 0844、イサッチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)IFO 1279、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)IFO 1090、クルイベロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)IFO 0662、クライシア・カプスラータ(Kuraishia capsulata)IFO 0721、ロダロマイセス・エロンギスポラス(Lodderomyces elongisporus)IFO 1676、メシュニコワ・ビクスビダータ( etschnikowia bicuspidata)IFO 1408、メシュニコワ・グルエシ(Metschnikowia gruessii)IFO 0749、オガタエア・ミヌータ・バー・ミヌータ(Ogataea minuta varminuta)IFO 0975、オガタエア・ミヌータ・バー・ノンファーメンタス(Ogataea minuta varnonfermentans)IFO 1473、オガタエア・ポリモーファ(Ogataea polymorpha)IFO 0799、パキソレン・タンノフィラス(Pachysolen tannophilus)IFO 1007、ピキア・ロダネンシス(Pichia rhodanensis)IFO 1272、ピキア・トレハロフィラス(Pichia trehalophila)IFO 1282、ピキア・ウイッカーハミイ(Pichia wickerhamii)IFO 1278、ロドスポリディウム・ディオボバツム(Rhodsporidium diobovatum)IFO 0688、ロドスポリディウム・スファエロカーパム(Rhodsporidium sphaerocarpum)IFO 1438、ロドスポリディウム・トルロイデス(Rhodsporidium toruloides)IFO 0559、ロドトルーラ・アラウカリエ(Rhodotorula araucariae)IFO 10053、ロドトルーラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)IFO 1099、ロドトルーラ・グルチニス・バー・ダイレネンシス(Rhodotorula glutinis vardairenensis)IFO 0415、ロドトルーラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)IFO 0190、サッカロマイコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)IFO 0104、サッカロマイコプシス・マランガ(Saccharomycopsis malanga)IFO 1710、シュワニオマイセス・オシデンタリス・バー・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis var. occidetalis)IFO 0371、スポリディオボラス・ジョンソニイ(Sporidiobolusohnsonii)IFO 6903、スポロボロマイセス・サルモニカラー(Sporobolomyces sal monicolor)IAM 12249、スポロボロマイセス・ロセウス(Sporobolomyces roseus)IFO 1106、シゾブラストスポリオン・コバヤシ(Schizoblastosporion kobayasii)IFO 1644、ステファノアスカス・シフェリイ(Stephanoascus ciferrii)IFO 1854、トルラスポラ・グロボサ(Torulaspora globosa)IFO 0016、トリゴノプシス・バリアビリス(Trigonopsis variabilis)IFO 0671、トリコスポロン・アクアチル(Trichosporon aquatile)ATCC 22310、トリコスポロン・キュタネウム(Trichosporon cutaneum)IFO 1198、トリコスポロン・ファーメンタンス(Trichosporon fermentans)ATCC 10675、ウイロプシス・サターナス・バー・シュアベロレンス(Willopsis saturnus varsuaveolens)IFO 0809、ウイロプシス・サターナス・バー・ムラキイ(Willopsis saturnus varmrakii)IFO 0895、ヤマダジーマ・ハプロフィラ(Yamadazyma haplophila)IFO 0947、チゴサッカロマイセス・バイリ(Zygosaccharomyces bailii)IFO 0488、チゴサッカロマイセス・ルキシ(Zygosaccharomyces rouxii)IFO 0493、アルカリゲネス・キシロソオキシダント(Alcaligenes xylosoxidans)IFO 13495、アルカリゲネス・キシロソオキシダント・サブスピーズ・デントリフィカンス(Alcaligenes xylosoxidans subsp. dentrificans)IFO 12669、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)IFO 3022、ブレビバクテリウム・インサータム(Brevibacterium incertum)IFO 12145、セルロモナス・フィミ(Cellulomonas fimi)IAM 12107、コリネバクテリウム・スピーシズ(Corynebacterium sp.)ATCC 21245、ジェンセニア・カニクルリア(Jensenia canicruria)IFO 13914、オクロバクトラム・スピーシズ(Ochrobactrum sp.)IFO 12950、シュードモナス・スタッチェリ(Pseudomonas stutzeri)IFO 13596、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)IFO 3904、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)IFO 14162、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO 12320、ロドコッカス・ロードクロウス(Rhodococcus rhodochrous)IFO 3338、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola)IFO 12160などが挙げられる。
また、絶対配置がR体のピリジンエタノール誘導体を得る場合には、キャンディダ・エシェルシイ(Candida etchellsii)IFO 1942、キャンディダ・ラクティスコンデンシイ(Candida lactiscondensi)IFO 1286、キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003、オガタエア・ウイッカーハミイ(Ogataea wickerhamii)IFO 1706、ピキア・ファリノーサ(Pichia farinosa)IFO 0602、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)IFO 0460、ピキア・ナガニシイ(Pichia naganishii)IFO 1670、ヤマダジーマ・ファリノーサ(Yamadazyma farinosa)IFO 0534、ブレビバクテリウム・イオディナム(Brevibacterium iodinam)IFO 3558、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acectoacidophilum)ATCC 21476などが挙げられる。
これら微生物は一般に、入手または購入が容易な保存株から得ることができるが、自然界から分離することもできる。なお、これらの微生物に変異を生じさせて本反応により有利な性質を有する菌株を得ることもできる。
これらの微生物の培養には、通常これらの微生物が資化しうる栄養源を含む培地であれば何でも使用できる。例えば、グルコース、シュークロース、マルトース等の糖類、乳酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸等の有機酸類、エタノール、グリセリン等のアルコール類、パラフィン等の炭化水素類、大豆油、菜種油等の油脂類、またはこれらの混合物等の炭素源;硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、コーンスチープリカー等の窒素源;更に、その他の無機塩、ビタミン類等の栄養源;を適宜混合・配合した通常の培地を用いることが出来る。これら培地は用いる微生物の種類によって適宜選択すればよい。
微生物の培養は通常一般の条件により行なうことができ、例えば、pH4.0〜9.5、温度範囲20℃〜45℃の範囲で、好気的に10〜96時間培養するのが好ましい。アセチルピリジン誘導体[1]に微生物を反応させる場合においては、通常、上記微生物の菌体を含んだ培養液をそのまま反応に使用することもできるが、培養液の濃縮物も用いることができる。また、培養液中の成分が反応に悪影響を与える場合には、培養液を遠心分離等により処理して得られる菌体または菌体処理物を使用することも出来る。
上記微生物の菌体処理物としては特に限定されず、例えば、アセトンや五酸化二リンによる脱水処理またはデシケーターや扇風機を利用した乾燥によって得られる乾燥菌体、界面活性剤処理物、溶菌酵素処理物、固定化菌体または菌体を破砕した無細胞抽出標品などをあげることができる。更に、培養物より、不斉還元反応を触媒する酵素を精製し、これを使用してもよい。
本発明において還元反応を行う際には、基質であるアセチルピリジン誘導体[1]を反応の初期に一括して添加してもよく、反応の進行にあわせて分割して添加してもよい。反応時の温度は通常10〜60℃、好ましくは20〜40℃であり、反応時のpHは2.5〜9、好ましくは5〜9の範囲である。反応液中の酵素または酵素源の量はこれらの基質を還元する能力に応じ適宜決定すればよい。また、反応液中の基質濃度は0.01〜50%(w/v)が好ましく、より好ましくは、0.1〜30%(w/v)である。反応は通常、振とうまたは通気攪拌しながら行なう。反応時間は基質濃度、酵素または酵素源の量及びその他の反応条件により適宜決定される。通常、2〜168時間で反応が終了するように各条件を設定することが好ましい。
本発明において還元反応を促進させるために、反応液にグルコース、エタノール、イソプロパノールなどのエネルギー源を0.5〜30%の割合で加えると優れた結果が得られるので好ましい。
一般に生物学的方法による還元反応に必要とされているNADH、NADPH等の補酵素を添加することにより、反応を促進させることもできる。この場合、具体的には、反応液に直接これらを添加する。
また、還元反応を促進させるために、NAD及び/又はNADPをそれぞれの還元型へ還元する酵素、並びに、該還元のための基質を存在させて反応を行うと、優れた結果が得られるのでより好ましい。例えば、還元型へ還元する酵素としてグルコース脱水素酵素を、還元のための基質としてグルコースを存在させるか、又は、還元型へ還元する酵素としてギ酸脱水素酵素を、還元のための基質としてギ酸を存在させることができる。
更に、トリトン(ナカライテスク株式会社製)、スパン(関東化学株式会社製)、ツイーン(ナカライテスク株式会社製)などの界面活性剤を反応液に添加することも効果的である。アセチルピリジン誘導体[1]及び/又は光学活性なピリジンエタノール誘導体[2]による反応の阻害を回避する目的で、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルエーテル、トルエン、ヘキサンなどの、水に不溶な有機溶媒を反応液に添加してもよい。アセチルピリジン誘導体[1]の溶解度を高める目的で、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどの、水に可溶な有機溶媒を添加することもできる。
次に、本発明の酵素、該酵素をコードするDNA、該DNAを含有する組換えベクター、及び、該組換えベクターを含む形質転換体について詳述する。
本発明の酵素は、以下の(1)〜(3)の理化学的性質を有する:
(1)作用:NADHを補酵素として、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元し、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する、
(2)特異性:ケトン及びアルデヒドに対して還元活性を有しているが、炭素環ケトン及びα−ケト酸のα位ケトンに対する還元活性は非常に低い、
(3)分子量:ゲル濾過分析において約60000の分子量を示し、SDSポリアクリルアミド電気泳動分析において約29000の分子量を示す。
好ましくは、上記(1)〜(3)の理化学的性質に加えて、以下の(4)〜(6)の理化学的性質を有する酵素である。
(4)至適温度:50℃〜55℃、
(5)至適pH:5.0〜6.0、
(6)阻害剤:水銀イオンによって阻害される。
本発明において、酵素の還元活性は、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に、基質1mM、補酵素NADH 0.25mM、ジメチルスルホキシド0.3%(vol/vol)及び酵素溶液を含む3.0mlの反応液中、30℃で3分間反応させ、波長340nmの吸光度の減少を測定することにより実施する。
特異性において「還元活性は非常に低い」とは、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンに対する還元活性を100%とした場合、その基質に対する還元活性が10%以下であることを意味する。また、「炭素環ケトン」とは、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどの脂環式化合物の環内の−CH−を−C(=O)−に置き換えた時に生ずるケトンを意味している。
分子量は、TSK−G3000SW(7.8mmI.D.×30cm)(東ソー株式会社製)カラムを用いたゲル濾過分析により、標準タンパク質の相対溶出時間から算出することにより決定する。また、サブユニットの分子量は、20%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析により、標準タンパク質の相対移動度から算出することにより決定する。
酵素の至適pH、至適温度は、例えば、還元活性測定系の反応pH、反応温度を変えて還元活性を測定することによって決定する。
阻害剤は、例えば、還元活性測定系に種々の化合物を添加して還元活性を測定することによって決定する。
本発明の酵素の起源として用いられる微生物は、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する酵素を有する微生物であればいずれでも良い。また、野生株または変異株のいずれでも良く、更に、細胞融合、遺伝子操作等の遺伝子学的手法により誘導される組換え微生物も用いることができる。好ましくはキャンディダ(Candida)属に属する微生物が用いられる。より好ましくは、キャンディダ・マリス(Candida maris)であり、特に好ましくはキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO10003株である。
以下に、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する酵素を有する微生物より、本発明の酵素を取得する方法の例を記載するが、本発明はこれに限定されない。5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する酵素を有する微生物を適切な培地で培養し、培養液から菌体を遠心分離した後、菌体を適当な緩衝液中に懸濁し、該菌体をグラスビーズ等の物理的手法、酵素などの生化学的手法などを用いて破砕または溶解し、更に、遠心分離により該溶液中の固形物を除去することにより、粗酵素液を得ることができる。あるいは、培養液から、上記と同様の精製法で粗酵素液を得ることができる。さらに、この粗酵素液を、当業者が通常用いる手法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、クロマトグラフィーを単独でまたは組み合わせて用いて精製を行うことができる。クロマトグラフィーは、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーを単独で、または組み合わせて用いることもできる。
本発明の酵素は、上述のように微生物から取得する天然酵素であってもよいし、組換え酵素であってもよい。天然酵素としては、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる酵素が挙げられる。
また本発明の酵素は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する活性を有するものであってもよい。ここで、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加とは、部位特異的突然変異誘発法等の周知の方法により欠失、置換および/または付加できる程度の数のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されることを意味する。5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する活性を有するとは、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンと反応させた場合、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる酵素を用いた場合の10%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上の収率で5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成することをいう。この収率を測定するには、上述した高速液体クロマトグラフィーを用いる。
なお、一旦精製した酵素が取得できれば、当業者に公知の方法により、該酵素をコードするDNAを取得することができる。このDNAを他の微生物に導入して組換え微生物を取得し、これを培養すれば、本発明の製造方法で使用できる酵素源を大量に製造できる。
以下に、本発明の酵素をコードするDNAを取得する方法の例を記載するが、本発明はこれに限定されない。まず、精製した酵素を適当なエンドペプチダーゼにより消化し、逆相HPLCにより切断された断片を精製後、プロテインシークエンサーにより部分アミノ酸配列の一部を決定する。そして、得られた部分アミノ酸配列をもとにして、PCR(Polymerase Chain Reaction)プライマーを合成する。次に、該DNAの起源となる微生物より、通常のDNA単離法、例えばHereford法(Cell,18,1261(1979))により、該微生物の染色体DNAを調製する。この染色体DNAを鋳型として、先述のPCRプライマーを用いてPCRを行い、該酵素をコードするDNAの一部を増幅(コア配列)し、塩基配列決定を行う。塩基配列決定はジデオキシ・チェイン・ターミネーション法等により決定できる。例えば、ABI 373A DNA Sequencer(Applied Biosystems社製)等を用いて実施可能である。コア配列の周辺領域の塩基配列を明らかにするために、該微生物の染色体DNAを、コア配列中にその認識配列が存在しない制限酵素により消化し、生成したDNA断片をT4リガーゼにより自己環化させることにより逆PCR(Nucleic Acids Res,16,8186(1988))用の鋳型DNAを調製する。次に、コア配列をもとに、コア配列の外側に向かうDNA合成の開始点となるプライマーを合成し、逆PCRによりコア配列の周辺領域を増幅する。こうして得られたDNAの塩基配列を明らかにすることにより、目的酵素の全コード領域のDNA配列を明らかにできる。DNA配列が明らかになれば、PCRなどの方法により、該微生物の染色体DNAから本発明の酵素をコードするDNAを取得することができる。
本発明の酵素をコードするDNAをベクターに組込み、これを宿主内に導入してなる形質転換体内で酵素遺伝子を発現させることができる。このために用いられるベクターとしては、適切な宿主内で該酵素遺伝子を発現できるものであればいずれもが使用できる。このようなベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなどが挙げられる。また、他の宿主との間での遺伝子交換が可能なシャトルベクターも使用できる。このようなベクターは、作動可能に連結されたプロモーター(lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター)等の制御因子を含み、本発明のDNAと作動可能に連結された発現単位を含む発現ベクターとして好適に使用できる。例えば、pUCNT(WO94/03613)等が好適に使用できる。
本明細書で用いる用語「制御因子」は、機能的プロモーター及び、任意の関連する転写要素(例えばエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有する塩基配列をいう。
本明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、遺伝子が発現するように、DNAと、その発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントとが宿主細胞中で作動できる状態で連結されることをいう。制御因子のタイプ及び種類が、宿主に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本発明のDNAを含有する組換えベクターを導入する宿主としては、細菌、酵母、糸状菌、植物細胞、動物細胞などが挙げられるが、大腸菌が特に好ましい。本発明のDNAは定法により宿主細胞に導入できる。宿主細胞として大腸菌を用いる場合、例えば塩化カルシウム法により、本発明のDNAを導入できる。
本発明の酵素又は形質転換体を用いて、アセチルピリジン誘導体[1]を立体選択的に還元して絶対配置がR体であるピリジンエタノール誘導体を取得、特に好ましくは5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを取得する場合、補酵素としてNADHが必要となる。反応系にNADHを必要な量だけ添加しても実施できる。しかし、酸化された該補酵素(NAD)を還元型(NADH)に変換する能力(以後、補酵素再生能力と呼ぶ)を有する酵素をその基質と共に、つまり補酵素再生系を本発明の酵素と組み合わせて反応を行うことにより、高価な補酵素の使用量を大幅に削減することができる。補酵素再生能力を有する酵素としては、ヒドロゲナーゼ、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及びグルコース脱水素酵素等を用いることができる。好適には、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素が用いられる。
このような反応は、補酵素再生系を不斉還元反応系内に添加することによっても実施できるが、本発明の酵素をコードするDNA及びグルコース脱水素酵素をコードするDNAの両者により形質転換された形質転換体を用いる場合は、補酵素再生能力を有する酵素を別に調製し反応系内に添加しなくても、効率的に反応を行うことができる。このような形質転換体は、本発明の酵素をコードするDNA及びグルコース脱水素酵素をコードするDNAを、同一のベクターに組込み、これを宿主に導入することにより製造できるし、また、これら2種類のDNAを不和合性グループの異なる2種のベクターにそれぞれ組込み、それらを同一の宿主に導入することによっても製造できる。すなわち、本発明の酵素をコードするDNAとグルコース脱水素酵素をコードするDNAとを含有する組換えベクターを含む形質転換体や、本発明の酵素をコードするDNAを含有する第1の組換えベクターと、グルコース脱水素酵素をコードするDNAを含有する第2の組換えベクターとを含む形質転換体を使用できる。
本発明の酵素もしくは形質転換体が補酵素再生能力を有している場合は、その再生のための基質を反応系に添加することによりNADHの再生反応を同時に行うことができ、他の補酵素再生能力を有する酵素を反応系に追加添加しなくても、高価な補酵素の使用量を大幅に削減できる。例えば、本発明の酵素もしくは形質転換体がイソプロパノールの酸化活性を有している場合は、還元反応系にイソプロパノールを添加することによってNADHを再生することが可能となる。
本発明の形質転換体を用いたアセチルピリジン誘導体[1]からの光学活性ピリジンエタノール誘導体[2]の生産、特に5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの生産は以下のように実施できる。但し、以下の方法に限定されるわけではない。まず最初に、適当な溶媒中に基質5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン[1]、NAD等の補酵素、及び、該形質転換体の培養物またはその処理物などを添加し、pH調整下、攪拌して反応させる。この反応は10〜70℃の温度で行われ、反応中反応液のpHは4〜10に維持する。反応はバッチ式または連続方式で実施できる。バッチ方式の場合は、反応基質は0.1%〜70%(w/v)の仕込み濃度で添加できる。ここで形質転換体の処理物などとは、例えば、粗酵素液、培養菌体、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、あるいはそれらの磨砕物、これらの混合物などを意味する。更にそれらは、酵素自体または菌体のまま公知の手段で固定化されて使用できる。また、本反応を行う際、形質転換体として本発明の酵素とグルコース脱水素酵素の両者を生産するものを用いる場合、反応系に更にグルコースを添加することによって、補酵素の使用量を大幅に減らすことが可能となる。
次に、上記酵素及び/又は形質転換体をピリジンエタノール誘導体に作用させ、R体のピリジンエタノール誘導体を優先的に酸化し、残存するS体のピリジンエタノール誘導体を取得することによる、絶対配置がS体のピリジンエタノール誘導体の製造方法について、詳述する。
本発明の製造方法において基質として用いられるピリジンエタノール誘導体は、次の一般式[5]で示される。
Figure 0004753273
上記一般式[5]において、R及びRは上記一般式[1]で言及したものと同様である。なかでも、5員の単環性複素環が好ましく、より好ましくは置換または無置換のフラン環であり、特に好ましいのはフラン環である。
また、R及びRも上記一般式[1]で言及したものと同様であり、好ましくは水素原子または塩素原子であり、より好ましくは水素原子である。
ピリジンエタノール誘導体[5]は、光学純粋が100%未満のものであれば特に限定されない。完全なラセミ体であってもよいし、ある程度の光学純度を持っているものでもよい。
ピリジンエタノール誘導体[5]のうち、特に好ましいものは、次の一般式[7]で示される。
Figure 0004753273
上記一般式[7]において、Qは上記一般式[3]で言及したものと同様である。Qとしては酸素原子が好ましい。また、R、R、R及びRも上記一般式[3]で言及したものと同様である。
好適な態様によれば、本発明の製造方法で使用される基質は、Qが酸素原子であり、Rが水素原子または塩素原子であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子またはメチル基である一般式[7]で表される化合物である。
特に好適な態様によれば、本発明の製造方法で使用される基質は、Qが酸素原子であり、R、R、R及びRがいずれも水素原子である一般式[7]で表される化合物、すなわち5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンである。
上記一般式[5]で示されるピリジンエタノール誘導体は、公知の製造方法で容易に入手できる。例えば、5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンは、ヨーロッパ特許911335号明細書(EP911335)に記載された方法により合成可能である。
ピリジンエタノール誘導体[5]に、本発明の酵素または形質転換体を作用させ、R体のピリジンエタノール誘導体を優先的に酸化するためには、補酵素としてNADが必要となる。反応系にNADを必要な量だけ添加しても実施できる。しかし、還元された該補酵素を酸化型に変換する能力を有する酵素をその基質と共に、本発明の酵素と組み合わせて反応を行うことにより、高価な補酵素の使用量を大幅に削減することができる。また、還元された該補酵素を酸化型に変換する能力を有する酵素を含有する微生物またはその処理物を使用しても良い。還元された該補酵素を酸化型に変換する能力を有する酵素としては、例えばNADHオキシダーゼ、NADH脱水素酵素等を用いることができる。
また、本発明の酵素もしくは形質転換体がNAD再生能力を有している場合は、その再生のための基質を反応系に添加することによりNADの再生反応を同時に行うことができる。この場合、他のNAD再生能力を有する酵素を別に添加しなくても、高価な補酵素の使用量を大幅に削減できる。例えば、本発明の酵素もしくは形質転換体がアセトンの還元活性を有している場合は、反応系にアセトンを添加することによってNADを再生することが可能となる。
また、本発明の形質転換体を用いた場合では、菌体内に存在するNADにより反応が進行し、またNADが還元されて生じるNADHも菌体内で再酸化されるため、補酵素やNAD再生能力を有する酵素を別に添加しなくても実施できる。
上記のいずれかの方法で得られる光学活性ピリジンエタノール誘導体の採取は、特に限定されないが、反応液から直接、または、菌体等を分離後、酢酸エチル、トルエン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサン等の溶剤で抽出し、脱水後、蒸留、晶析あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば高純度の光学活性ピリジンエタノール誘導体を容易に得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」は特に断らない限り「重量%」を意味する。
(実施例1:種々の微生物を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンの不斉還元)
グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表1、表2に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で24〜72時間振とう培養した。培養後、各培養液0.5mlを遠心分離にかけて菌体を集め、各菌体をグルコース8%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを5mgいれた試験管に加えて、30℃で26時間反応させた。反応後、各反応液に5mlの酢酸エチルを加えて良く混合し、有機相の一部を下記HPLC条件で分析した。
[HPLC分析条件]
カラム:ダイセル化学工業株式会社製Chiralpak AS、溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン=92/8/0.1、流速:1ml/min、検出:254nm、カラム温度:室温、溶出時間:5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン8.8分、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン11.7分、5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン17.5分
表1、表2に生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの反応液当たりの生成量、光学純度及び絶対配置をまとめた。
Figure 0004753273
Figure 0004753273
(実施例2:種々の微生物を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンの不斉還元)
肉エキス10g、ペプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム3g(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表3に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で24〜72時間振とう培養した。培養後、各培養液2mlを遠心分離にかけて菌体を集め、各菌体をグルコース8%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを2.5mgいれた試験管に加えて、30℃で26時間反応させた。反応後、実施例1と同様に分析を行った。表3に生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの反応液当たりの生成量、光学純度及び絶対配置をまとめた。
Figure 0004753273
(比較例1:種々の微生物を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンの不斉還元)
グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表4に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で24〜72時間振とう培養した。培養後、各培養液2mlを遠心分離にかけて菌体を集め、各菌体をグルコース8%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを2.5mgいれた試験管に加えて、30℃で26時間反応させた。反応後、実施例1と同様に分析を行った。表4に生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの反応液当たりの生成量、光学純度及び絶対配置をまとめた。
Figure 0004753273
上記の結果から、単環式のアセチルピリジンを光学活性なヒドロキシエチルピリジンに変換することが知られているサッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、複素環アセチルピリジン誘導体である5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンには殆ど反応しないことが判る。
(実施例3:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも900ml当たり)の組成からなる液体培地45ml、アデカノール1滴を500ml容坂口フラスコに入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液5mlと実施例1記載の培養方法にて得られたキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の培養液1mlを無菌的に接種し、30℃で24時間振とう培養し、これを種母とした。5L容のジャーファーメンターに上記の組成からなる液体培地2.25L、アデカノール5滴を入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液250ml及び種母50mlを無菌的に接種し、培養温度30℃、攪拌数350rpm、通気量0.75L/分の条件で40時間培養を行った。培養中、pHが5.5を下回った場合には、5規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH5.5に調整した。培養後、菌体を含む培養液2Lと、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン10g及びグルコース60gを5L容のジャーファーメンターに入れ、30℃で攪拌下22.5時間還元反応を行った。反応中、反応液のpHは5規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH6に保った。また反応開始後4.5時間目にグルコース60g、7.5時間目にグルコース80gを添加した。反応終了後、反応液を酢酸エチル1Lで抽出し、水相を更に酢酸エチル1Lで抽出した。有機相をあわせて無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去した。残渣に酢酸エチル30ml、活性炭500mgを加えて室温で2時間攪拌した。濾過により活性炭を除去後、減圧下溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルとメチルシクロヘキサンの混合溶液から結晶化を行い、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの白色結晶8.1gを得た。収率81%、光学純度98.7%e.e.、融点59.5〜60.5℃、比旋光度[α] 20=+37.0°(CHCl、c=0.56)。H−NMR δ(CDCl):1.56(3H,d,J=6.35Hz)、4.12(1H,s)、5.00(1H,q,J=6.35Hz)、6.80(1H,d,J=1.95Hz)、7.54(1H,s)、7.77(1H,d,J=1.95Hz)、8.80(1H,s)。
(実施例4:キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO 0006による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも900ml当たり)の組成からなる液体培地225ml、アデカノール2滴を2L容坂口フラスコに入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液25mlと実施例1記載の培養方法にて得られたキャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO 0006の培養液2.5mlを無菌的に接種し、30℃で24時間振とう培養した。培養後、培養液300mlを遠心分離にかけて菌体を集め、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)100mlに懸濁した。上記菌体懸濁液と、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1g及びグルコース3gを500ml容三口フラスコに入れ、30℃で攪拌下5時間反応を行った。反応中、反応液のpHは5規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に保った。反応終了後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水相を更に酢酸エチルで抽出した。有機相をあわせて無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去した。残渣をトルエンに室温で溶解後、氷水中で冷却することにより結晶化を行い、5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの白色結晶750mgを得た。収率75%、光学純度100%e.e.。
(実施例5:キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO 0761からの無細胞抽出液の調製、及びそれを用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
5Lジャーファーメンターでの培養を、攪拌数700rpm、通気量1.5L/分、培養時間を16時間に変更した以外は、実施例3記載の培養方法と同じ方法で、キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO 0761の培養を行った。培養後、得られた培養液940mlを、遠心分離して菌体を集め、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)400mlで2回洗浄後、湿菌体を5mMとなるようにβ−メルカプトエタノールを添加した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)200mlに懸濁し、菌体をビートビーター(バイオスペック・プロダクツ社製)で破砕した。遠心分離にて菌体残渣を除き、80%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加後、遠心分離により上清を除去した。得られた沈殿を、5mMとなるようにβ−メルカプトエタノールを添加した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)15mlに懸濁し、1mMとなるようにβ−メルカプトエタノールを添加した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に対して一晩透析し、無細胞抽出液64.5mlを取得した。5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン15mg、NADH104.3mgを入れた試験管に無細胞抽出液0.75mlを加えて、30℃で4時間反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物への変換率と生成物の光学純度を測定したところ、変換率60.7%、光学純度(S)99.5%e.e.であった。
(実施例6:キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO 0761の無細胞抽出液を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン15mg、NADPH126.4mgを入れた試験管に実施例5で得られたキャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO 0761の無細胞抽出液0.75mlを加えて、30℃で4時間反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物への変換率と生成物の光学純度を測定したところ、変換率51.1%、光学純度(S)99.4%e.e.であった。
(実施例7:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003のアセトン乾燥菌体調製、及びそれを用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも900ml当たり)の組成からなる液体培地45ml及びアデカノール1滴を500ml容坂口フラスコに入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液5mlと実施例1記載の培養方法にて得られたキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の培養液1mlを無菌的に接種し、30℃で48時間振とう培養した。培養後、得られた培養液40mlについて、遠心分離により菌体を集め、イオン交換水で2回洗浄し、湿菌体をイオン交換水40mlに懸濁した。氷冷下で攪拌しながらアセトン1.2Lを加え、氷中下で30分間攪拌した。濾過後、濾紙上の菌体を冷却したアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させ、アセトン乾燥菌体1.3gを取得した。アセトン乾燥菌体10mg、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン5mg、NAD0.275mg、NADP0.275mg、グルコース5.5mg、グルコース脱水素酵素(商品名:GLUCDH”Amano”II、天野製薬株式会社製)30U、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)0.5mlを試験管に加えて、30℃で24時間還元反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物への変換率と生成物の光学純度を測定したところ、変換率90.8%、光学純度(R)99.9%e.e.であった。
(実施例8:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003からの無細胞抽出液の調製、及びそれを用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
5Lジャーファーメンターでの培養を、攪拌数300rpm、通気量0.75L/分、培養時間76時間に変更した以外は、実施例3記載の培養方法と同じ方法で、キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の培養を行った。得られた培養液2150mlについて、遠心分離により菌体を集め、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)500mlで洗浄し、湿菌体を、5mMとなるようにβ−メルカプトエタノールを添加した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)430mlに懸濁し、菌体をビートビーター(バイオスペック・プロダクツ社製)で破砕した。遠心分離にて菌体残渣を除き、5mMとなるようにβ−メルカプトエタノールを添加した100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に対して一晩透析し、無細胞抽出液289mlを取得した。5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン0.25g、NAD30mg、グルコース2.5g、グルコース脱水素酵素(商品名:GLUCDH”Amano”II、天野製薬株式会社製)300Uを入れた三口フラスコに無細胞抽出液24mlを加えて還元反応を行った。反応は30℃で、5規定の水酸化ナトリウム水溶液により反応液のpHを6.5に調整しながら攪拌しつつ行なった。反応液の一部を定期的にHPLCにより分析し、基質が枯渇している場合には更に基質0.25gを追加して反応を継続させた。この操作を繰り返しつつ約72時間反応を行なった。反応終了後の5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの生成量は2.2gであった。収率88%、光学純度(R)100%e.e.。
(実施例9:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の無細胞抽出液を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例8で得られた無細胞抽出液20mlを入れた三口フラスコに、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン0.25g、NAD40mg、ギ酸ナトリウム0.25g、ギ酸脱水素酵素(フルカ(Fluka)社製)120Uを加えて還元反応を行った。反応は30℃で、5規定のギ酸により反応液のpHを6.5に調整しながら攪拌しつつ行なった。反応液の一部を定期的にHPLCにより分析し、基質が枯渇している場合には更に基質0.25gを追加して反応を継続させた。この操作を繰り返しつつ約93時間反応を行なった。反応終了後の5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの生成量は1.8gであった。収率72%、光学純度(R)100%e.e.。
(実施例10:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003のアセトン乾燥菌体を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例7で得られたキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003のアセトン乾燥菌体20mg、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン25mg、NAD2.2mg、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)0.4ml、イソプロパノール0.1mlを試験管に加えて、30℃で39.5時間還元反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物への変換率と生成物の光学純度を測定したところ、変換率47.2%、光学純度(R)100%e.e.であった。
(実施例11:キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の無細胞抽出液を用いた5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例8で得られたキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の無細胞抽出液0.4ml、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン25mg、NAD2.2mg、イソプロパノール0.1mlを試験管に加えて、30℃で39.5時間還元反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物への変換率と生成物の光学純度を測定したところ、変換率51.8%、光学純度(R)100%e.e.であった。
(参考例1:7−クロロ−5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンからの5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンの合成)
J.Org.Chem,,63,7851(1998)に記載の方法により得られた7−クロロ−5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン1.0gを塩化メチレン4.0mlに溶解し、これに飽和重曹水3ml、1M臭化ナトリウム水溶液0.62ml及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルを1Mになるように溶解した塩化メチレン溶液0.62mlを加えて、氷中で激しく攪拌した。これに予め重曹を飽和させた次亜塩素酸ナトリウム水溶液5.74mlを少しづつ添加し、氷中で30分間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、攪拌しながら10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10mlを添加した。分液により有機相を取得後、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、トルエン−メチルシクロヘキサンより結晶化を行い、5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン0.43gを取得した。H−NMR δ(CDCl):2.77(3H,s)、7.00(1H,d,J=1.95Hz)、7.89(1H,d,J=1.96Hz)、8.32(1H,s)。
(実施例12:種々の微生物を用いた5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンの不斉還元)
グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表5に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で24〜72時間振とう培養した。次に、各培養液0.5mlを遠心分離にかけて菌体を集め、各菌体をグルコース8%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ参考例1で得られた5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンを5mgいれた試験管に加えて、30℃で26時間反応させた。反応後、各反応液に5mlの酢酸エチルを加えて良く混合した。この一部を下記HPLC条件で分析した。
[HPLC分析条件]
カラム:ダイセル化学工業株式会社製Chiralpak AS、溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン=92/8/0.1、流速:1ml/min、検出:254nm、カラム温度:室温、溶出時間:5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン7.6分、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン10.3分、5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン15.7分
表5に生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンの反応液当たりの生成量、光学純度及び絶対配置をまとめた。
Figure 0004753273
(実施例13:種々の微生物を用いた5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンの不斉還元)
肉エキス10g、ペプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム3g(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表6に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で24〜72時間振とう培養した。次に、各培養液2mlを遠心分離にかけて菌体を集め、各菌体をグルコース8%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ参考例1で得られた5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンを2.5mgいれた試験管に加えて、30℃で26時間反応させた。反応後、実施例12と同様に分析を行った。表6に生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンの反応液当たりの生成量、光学純度及び絶対配置をまとめた。
Figure 0004753273
(実施例14:酵素の精製)
以後、還元活性の測定は、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に基質5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1mM、NADH0.25mM、ジメチルスルホキシド0.3%(vol/vol)及び酵素溶液0.05mlを含む3.0mlの反応液中、30℃、3分間反応させ、波長340nmの吸光度の減少を測定することにより行った。これを還元活性測定の標準反応条件とした。この反応条件において、1分間に1μmolのNADHをNADに酸化する酵素活性を1unitと定義した。
酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも900ml当たり)の組成からなる液体培地45ml、アデカノール1滴を500ml容坂口フラスコに入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液5ml及びあらかじめ同一培地にて前培養しておいたキャンディダ・マリス(Candida maris)IFO 10003の培養液1mlを無菌的に接種し、30℃で24時間振とう培養し、これを種母とした。
5L容のジャーファーメンターに上記の組成からなる液体培地2.25L、アデカノール5滴を入れて殺菌し、これに殺菌済みの40%グルコース水溶液250ml及び種母50mlを無菌的に接種し、培養温度30℃、攪拌数300rpm、通気量0.3L/分の条件で140時間培養を行った。培養中、pHが5.5を下回る場合は、5規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH5.5に調整した。
上記の培養方法で得られた培養液10Lについて、遠心分離により菌体を集め、生理食塩水5Lにて二回洗浄し、湿菌体を5mMのβ−メルカプトエタノール及び0.1mMのPMSFを含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)1200mlに懸濁し、菌体をダイノミル(Dyno−Mill社製)で破砕した。遠心分離にて菌体残渣を除去し、無細胞抽出液1760mlを取得した。
この無細胞抽出液に硫酸プロタミン3gを加えて4℃で一晩攪拌後、生じた沈殿を遠心分離により除去した。上清に35%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、0℃で一時間攪拌後、生じた沈殿を遠心分離により除去した。上清に65%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、0℃で一時間攪拌後、生じた沈殿を遠心分離により取得し、5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)200mlに懸濁し、同緩衝液30Lで透析した。
これを5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)であらかじめ平衡化したDEAE−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社製)カラム(340ml)に供し、酵素を吸着させ、塩化ナトリウム濃度(0mMから50mMまで)のリニアグラジエントにより活性画分を溶出させた。この活性画分に終濃度0.5Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、5mMのβ−メルカプトエタノール及び0.5Mの硫酸アンモニウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)であらかじめ平衡化したPhenyl−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社製)カラム(74ml)に供し、酵素を吸着させ、同一緩衝液でカラムを洗浄後、硫酸アンモニウム濃度(0.5Mから0Mまで)のリニアグラジエントにより活性画分を溶出させた。活性画分を集め、電気泳動的に単一な精製酵素標品を得た。SDS−PAGEにおけるバンドの分子量は、約29000であった。また、溶離液として0.1Mの硫酸ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を用いたTSK−G3000SW(7.8mmI.D.×30cm)(東ソー株式会社製)カラムを用いたゲル濾過分析を行ったところ、約60000であった。以後、この酵素をFPDHと呼ぶことにする。
(実施例15:FPDHの作用至適温度)
実施例14記載の還元活性測定の標準反応条件において、温度だけを20〜80℃に変化させて活性を測定を行った。その結果、至適温度は50〜55℃であった。
(実施例16:FPDHの作用至適pH)
実施例14記載の還元活性測定の標準反応条件において、緩衝液として酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液を用いてpH3.5〜9.0の範囲で変化させて活性測定を行った。その結果、至適pHは5.0〜6.0であった。
(実施例17:FPDHの阻害剤に対する挙動)
実施例14記載の還元活性測定の標準反応条件において、阻害剤として各種の化合物及び金属塩を、表7に記載の濃度となるように添加し、活性測定を行った。表7に、阻害剤を添加しない時の活性を100%とした時の相対活性で示した。その結果、酵素活性は水銀イオンにより阻害された。
Figure 0004753273
(実施例18:FPDHの特異性)
FPDHの種々の化合物に対する還元活性を調べた。実施例14記載の還元活性測定の標準反応条件において、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンのかわりに、表8及び表9に示す各種カルボニル化合物を基質として活性測定を行った。表8、表9に、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを基質としたときの還元活性を100%とした時の相対活性で示した。その結果、ケトン、アルデヒドに対して還元活性を有しているが、炭素環ケトン及びカルボキシル基のα位のケトンに対する還元活性は非常に低かった。
Figure 0004753273
Figure 0004753273
また、FPDHの種々の化合物に対する酸化活性を調べた。酸化活性の測定は、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)に基質1mM、NAD0.25mM、ジメチルスルホキシド0.3%(vol/vol)及び酵素溶液0.05mlを含む3.0mlの反応液中、30℃、3分間反応させ、波長340nmの吸光度の増加を測定することにより行った。これを酸化活性基質測定の標準反応条件とした。この反応条件において、1分間に1μmolのNADをNADHに還元する酵素活性を1unitと定義した。表10に、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを基質としたときの酸化活性を100%とした時の相対活性で示した。その結果、種々の化合物に対して酸化活性を有していた。
Figure 0004753273
(実施例19:FPDHによる5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例14で得られたFPDH0.5unit、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン5mg、グルコース20mg、NAD0.5mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)4unitを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)0.5mlを30℃で17時間攪拌した。反応後、実施例1と同様に分析を行った。その結果、変換率100%で光学純度100%e.e.の5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンが生成していた。
(実施例20:FPDHによる5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジンからの7−クロロ−5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例14で得られたFPDH0.5unit、5−アセチル−7−クロロフロ[2,3−c]ピリジン5mg、グルコース20mg、NAD0.5mg、グルコース脱水素酵素(天野製薬製)4unitを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)0.5mlを30℃で3時間攪拌した。反応後、実施例12と同様に分析を行った。その結果、変換率66.9%で光学純度99%e.e.以上の7−クロロ−5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンが生成していた。
(実施例21:FPDH遺伝子のクローニング)
(染色体DNAの取得)
キャンディダ・マリス IFO10003の培養液から、Hereford(Cell,18,1261(1979))に記載の方法に従って染色体DNAを抽出した。
(FPDH遺伝子のPCR法によるクローニング)
実施例14のようにして得られた精製FPDHを8M尿素存在下で変性させた後、アクロモバクター由来のリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社製)で消化し、得られたペプチド断片の配列をエドマン法により決定した。このアミノ酸配列から予想されるDNA配列を考慮し、PCRプライマー2種(プライマー1:5’−GGNGCNATHGTNAAYATGGG−3’、プライマー2:5’−CCDATNGGRTGYTGNGTDAT−3’)を合成した。
プライマー2種(プライマー1及びプライマー2)各100pmol、染色体DNA660ng、dNTP各20nmol、ExTaq(宝酒造株式会社製)2.5Uを含むExTaq用緩衝液100μlを調製し、熱変性(95℃、1分)、アニーリング(40℃、1分)、伸長反応(65℃、2分)を40サイクル行い、4℃まで冷却後、アガロースゲル電気泳動により増幅DNAを確認した。(PCR法により増幅したDNA断片のサブクローニング)
増幅DNAをpT7Blue Vector(Novagen社製)にサブクローニングし、その塩基配列を決定した。その結果、増幅DNAはプライマー配列を含めて230塩基からなっていた。その配列は、図1に示したDNA配列において、二重下線を引いたDNA配列部分である。以後この配列を「コア配列」と記す。
(逆PCR法によるコア配列周辺配列のクローニング)
コア配列の5’−側に近い部分の相補配列GGAGCGGCCACATACGAGTGAATGG(プライマー3)及び3’−側に近い部分の配列AGACACCATTGCTTGATATTTGCCC(プライマー4)を基に、これらと同配列のPCRプライマー2種(プライマー3及びプライマー4)を合成した。
逆PCRの鋳型として、まずキャンディダ・マリスIFO10003の染色体DNAを制限酵素PstIにより消化し、消化物をT4DNAリガーゼを用いて自己閉環した。この自己閉環物660ng、プライマー2種(プライマー3及びプライマー4)各100pmol、dNTP各20nmol、ExTaq(宝酒造株式会社製)2.5Uを含むExTaq用緩衝液100μlを調製し、熱変性(94℃、0.5分)、アニーリング(55℃、0.5分)、伸長反応(72℃、1分)を40サイクル行い、4℃まで冷却後、アガロースゲル電気泳動により増幅DNAを確認した。
増幅DNAをpT7Blue Vector(Novagen社製)にサブクローニングし、その塩基配列を決定した。この結果とコア配列の結果より、FPDHをコードするDNAの全塩基配列を決定した。全塩基配列及び該DNAがコードする推定アミノ酸配列を図1にまとめた。図1中、一重下線部は、精製FPDHをリシルエンドペプチダーゼ消化して生じたペプチド断片において、エドマン法により決定できたアミノ酸配列を表す。キャンディダ・マリスIFO10003由来のFPDHのアミノ酸配列を、配列表の配列番号1に示した。また、上記FPDHをコードするDNAの塩基配列を、配列表の配列番号2に示した。
(実施例22:FPDH遺伝子を含む組換えベクターの作製)
大腸菌においてFPDHを発現させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作製した。まず、FPDHの構造遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加し、かつ終始コドンの直後に新たな終始コドンとEcoRI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。実施例21で決定した塩基配列に基づき、FPDHの構造遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加したプライマー5(5’−CGCCATATGTCCTACAATTTTGCCAAC−3’)と、FPDHの構造遺伝子の終始コドンの直後に新たな終始コドンとEcoRI部位を付加したプライマー6(5’−GCGGAATTCTTATTATCTTGCGGTATAACCACC−3’)とを合成した。
プライマー2種(プライマー5及びプライマー6)各100pmol、キャンディダ・マリスIFO10003の染色体DNA132ng、dNTP各20nmol、ExTaq(宝酒造株式会社製)2.5Uを含むExTaq用緩衝液100μlを調製し、熱変性(94℃、0.5分)、アニーリング(60℃、0.5分)、伸長反応(72℃、1分)を30サイクル行い、4℃まで冷却後、アガロースゲル電気泳動により増幅DNAを確認した。この増幅断片をNdeI及びEcoRIで消化し、プラスミドpUCNT(WO94/03613)のlacプロモーターの下流のNdeI、EcoRI部位に挿入することにより、組換えベクターpNTFPを得た。pNTFPの作製法及び構造を図2に示す。
(実施例23:FPDH遺伝子及びグルコース脱水素酵素遺伝子の両者を同時に含む組換えベクターの作製)
バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)IAM1030株由来のグルコース脱水素酵素(以後GDHと呼ぶことにする)の遺伝子の開始コドンから5塩基上流に大腸菌のShine−Dalgarno配列(9ヌクレオチド)を、更にその直前にEcoRI切断点を、また、終始コドンの直後にSalI切断点を付加した二本鎖DNAを、以下の方法により取得した。GDH遺伝子の塩基配列情報を基に、GDHの構造遺伝子の開始コドンから5塩基上流に大腸菌のShine−Dalgarno配列(9ヌクレオチド)を、更にその直前にEcoRI切断点を付加したプライマー7(5’−GCCGAATTCTAAGGAGGTTAACAATGTATAAAGATTTAGAAGG−3’)と、GDHの構造遺伝子の終始コドンの直後にSalI部位を付加したプライマー8(5’−GCGGTCGACTTATCCGCGTCCTGCTTGG−3’)を常法に従って合成した。これら2つのプライマーを用いて、プラスミドpGDK1(Eur.J.Biochem.,186,389(1989))を鋳型としてPCRによる二本鎖DNAを合成した。得られたDNA断片をEcoRI及びSalIで消化し、実施例22において構築したpNTFPのEcoRI、SalI部位に挿入した組換えベクターpNTFPGを得た。pNTFPGの作製法及び構造を図2に示す。
(実施例24:組換え大腸菌の作製)
実施例22で得た組換えベクターpNTFP及び実施例23で得た組換えベクターpNTFPGを用いて大腸菌HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、各々から組換え大腸菌HB101(pNTFP)及びHB101(pNTFPG)を得た。こうして得られた形質転換体である大腸菌HB101(pNTFP)及びHB101(pNTFPG)は、それぞれ、受託番号FERM BP−7116(寄託日2000年4月11日)及びFERM BP−7117(寄託日2000年4月11日)として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託されている。
また、プラスミドpGDA2(J.Biol.Chem.,264,6381(1989))をEcoRI及びPstIで二重消化して得られるバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のGDH遺伝子を含む約0.9kbのDNA断片を、プラスミドpSTV28(宝酒造株式会社製)のEcoRI−PstI部位に挿入して、組換えベクターpSTVGを構築した。このpSTVGで、予め塩化カルシウム法でコンピテント化しておいた大腸菌HB101(pNTFP)を高い導入率で形質転換し、大腸菌HB101(pNTFP,pSTVG)を容易に得た。
(実施例25:組換え大腸菌におけるFPDHの発現)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFP)を120μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(バクト・トリプトン1.6%(w/v)、バクト・イーストエキス1.0%(w/v)、NaCl0.5%(w/v)、pH7.0)で培養し、集菌後、100mMトリス塩酸緩衝液(pH7)に懸濁し、超音波破砕により無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液のFPDH活性を実施例14に記載の方法で測定した。その結果を、比活性として表11に表した。
Figure 0004753273
大腸菌HB101(pNTFP)では、ベクタープラスミドのみの形質転換体である大腸菌HB101(pUCNT)と比較して明らかなFPDH活性の増加がみられた。
(実施例26:組換え大腸菌におけるFPDH及びGDHの同時発現)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFPG)及び組換え大腸菌HB101(pNTFP,pSVTG)を、実施例25と同様に処理して得られた無細胞抽出液について、FPDH活性及びGDH活性を測定した。GDH活性の測定は、1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に、基質グルコース0.1M、補酵素NADP2mM及び酵素を添加し、25℃で波長340mMの吸光度の増加を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に1μmolのNADPをNADPHに還元する酵素活性を1unitと定義した。また、FPDH活性についても実施例14と同様に測定した。このようにして測定した無細胞抽出液のFPDH活性及びGDH活性を、比活性として表12に表した。
Figure 0004753273
大腸菌HB101(pNTFPG)及び大腸菌HB101(pNTFP,pSVTG)では、ベクタープラスミドのみの形質転換体である大腸菌HB101(pUCNT)と比較して明らかなFPDH及びGDH活性の増加がみられた。
(実施例27:反応系にイソプロパノールを添加した条件下での、FPDH遺伝子を導入した組換え大腸菌による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液1mlをpH7.0に調整し、これに5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン50mg、イソプロパノール150μl及びNAD0.22mgを添加して、30℃で7.5時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンへの変換率と光学純度を測定したところ、変換率95.7%、光学純度(R)100%e.e.であった。
(実施例28:反応系にGDHを別添加した場合の、FPDH遺伝子を導入した組換え大腸菌による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液20mlにグルコース脱水素酵素(天野製薬株式会社製)540unit、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1.0g、NAD3mg、グルコース3gを添加し、2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら、30℃で29時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの変換率と光学純度を測定したところ、変換率97.1%、光学純度(R)100%e.e.であった。
(実施例29:FPDH及びGDHを同時発現させた組換え大腸菌による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFPG)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液20mlに5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1.0g、NAD3mg、グルコース3gを添加し、2.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら、30℃で攪拌した。反応途中6時間目に5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1.0g、グルコース3.0gを追加添加した。29時間攪拌後、実施例1と同様の分析法で、生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの生成量と光学純度を測定したところ、生成量2.66g、光学純度(R)100%e.e.であった。
(実施例30:反応系に酢酸ブチルを添加した条件下での、FPDH及びGDHを同時発現させた組換え大腸菌による5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFPG)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液20mlに5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン4.0g、NAD3mg、グルコース6g、酢酸ブチル20mlを添加し、5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら、30℃で攪拌した。反応途中9時間目に5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジン1.0g、グルコース1.5gを追加添加した。適時NADを追加添加して78時間攪拌後、実施例1と同様の分析法で、生成物である5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの生成量と光学純度を測定したところ、生成量4.98g、光学純度(R)100%e.e.であった。
(実施例31:FPDH遺伝子を導入した組換え大腸菌による5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液1mlをpH6.5に調整し、これに5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン10mg(光学純度は0%e.e.)、アセトン50μl及びNAD0.1mgを添加して、30℃で7時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンの生成量と、5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの残存量及び光学純度を測定した。その結果、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンが4.71mg生成し、5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの残存量は5.29mg、光学純度(S)89.2%e.e.であった。
(実施例32:FPDH遺伝子を導入した組換え大腸菌による5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンからの5−(1−(S)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの合成)
実施例24で得た組換え大腸菌HB101(pNTFP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地に接種し、37℃で18時間振とう培養した。得られた培養液1mlをpH6.5に調整し、これに5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジン10mg(光学純度は0%e.e.)を添加して、30℃で7時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の分析法で、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンの生成量と、5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの残存量及び光学純度を測定した。その結果、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンが4.98mg生成し、5−(1−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンの残存量は5.02mg、光学純度(S)99.2%e.e.であった。
産業上の利用可能性
本発明は、不斉還元活性を有する酵素または酵素源を作用させて、アセチルピリジン誘導体を立体選択的に還元することにより光学活性ピリジンエタノール誘導体を高収率で製造することができる。また、新規酵素、該酵素をコードするDNA、該DNAを含有する組換えベクター、及び、該組換えベクターを含む形質転換体を提供する。また、該酵素及び該形質転換体を用いることにより、光学活性ピリジンエタノール誘導体の効率的な製造が可能となる。
【配列表】
Figure 0004753273
Figure 0004753273
Figure 0004753273
Figure 0004753273

【図面の簡単な説明】
図1は、実施例21で決定したDNAの塩基配列及び推定アミノ酸配列を示す。
図2は、実施例22の組換えベクターpNTFP及び実施例23の組換えベクターpNTFPGの作製法、並びに、これらの構造を示す。

Claims (26)

  1. 一般式[3]:
    Figure 0004753273
    (式中、Qは酸素原子であり、Rは水素原子または塩素原子であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子またはメチル基である)で示されるアセチルピリジン誘導体を、不斉還元活性を有する酵素または酵素源を作用させて、立体選択的に還元することを特徴とする、一般式[4]:
    Figure 0004753273
    (式中、Q、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法であって、
    前記光学活性ピリジンエタノールの絶対配置がS体であり、前記酵素または酵素源が、アシュベイ属、キャンディダ属、クリプトコッカス属、クラビスポラ属、デバリオマイセス属、ディポダスカス属、ガラクトマイセス属、ゲオトリカム属、ギラモンデラ属、ハンセニアスポラ属、ハンセヌラ属、ハイホピキア属、イサッチェンキア属、クルイベロマイセス属、クライシア属、ロダロマイセス属、メシュニコワ属、オガタエア属、パキソレン属、ピキア属、ロドスポリディウム属、ロドトルーラ属、サッカロマイコプシス属、シュワニオマイセス属、スポリディオボラス属、スポロボロマイセス属、シゾブラストスポリオン属、ステファノアスカス属、トルラスポラ属、トリゴノプシス属、トリコスポロン属、ウイロプシス属、ヤマダジーマ属、チゴサッカロマイセス属、アルカリゲネス属、バシラス属、ブレビバクテリウム属、セルロモナス属、コリネバクテリウム属、ジェンセニア属、オクロバクトラム属、シュードモナス属、ロドコッカス属、及びツカムレラ属からなる群より選ばれた微生物由来のものであるか、または、
    前記光学活性ピリジンエタノールの絶対配置がR体であり、前記酵素または酵素源が、キャンディダ属、オガタエア属、ピキア属、ヤマダジーマ属、ブレビバクテリウム属、及びコリネバクテリウム属からなる群より選ばれた微生物由来のものである
    製造方法。
  2. Qが酸素原子であり、R、R、R及びRがいずれも水素原子である請求項1記載の製造方法。
  3. 酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド及び/又は酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドりん酸をそれぞれの還元型へ還元する酵素、並びに、該還元のための基質を存在させて反応を行う請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 還元型へ還元する前記酵素がグルコース脱水素酵素であり、還元のための前記基質がグルコースである請求項3記載の製造方法。
  5. 還元型へ還元する前記酵素がギ酸脱水素酵素であり、還元のための前記基質がギ酸である請求項3記載の製造方法。
  6. 生成物である光学活性ピリジンエタノールの絶対配置がS体であり、前記酵素または酵素源が、アシュベイ属、キャンディダ属、クリプトコッカス属、クラビスポラ属、デバリオマイセス属、ディポダスカス属、ガラクトマイセス属、ゲオトリカム属、ギラモンデラ属、ハンセニアスポラ属、ハンセヌラ属、ハイホピキア属、イサッチェンキア属、クルイベロマイセス属、クライシア属、ロダロマイセス属、メシュニコワ属、オガタエア属、パキソレン属、ピキア属、ロドスポリディウム属、ロドトルーラ属、サッカロマイコプシス属、シュワニオマイセス属、スポリディオボラス属、スポロボロマイセス属、シゾブラストスポリオン属、ステファノアスカス属、トルラスポラ属、トリゴノプシス属、トリコスポロン属、ウイロプシス属、ヤマダジーマ属、チゴサッカロマイセス属、アルカリゲネス属、バシラス属、ブレビバクテリウム属、セルロモナス属、コリネバクテリウム属、ジェンセニア属、オクロバクトラム属、シュードモナス属、ロドコッカス属、及びツカムレラ属からなる群より選ばれた微生物由来のものである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 生成物である光学活性ピリジンエタノールの絶対配置がR体であり、前記酵素または酵素源が、キャンディダ属、オガタエア属、ピキア属、ヤマダジーマ属、ブレビバクテリウム属、及びコリネバクテリウム属からなる群より選ばれた微生物由来のものである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  8. 以下の(1)から(7)の理化学的性質を有することを特徴とする酵素:
    (1)作用:還元型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドを補酵素として、5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元し、5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する、
    (2)特異性:ケトン及びアルデヒドに対して還元活性を有しているが、炭素環ケトン及びα−ケト酸のα位ケトンに対する還元活性は非常に低い、
    (3)分子量:ゲル濾過分析において約60000の分子量を示し、SDSポリアクリルアミド電気泳動分析において約29000の分子量を示し、
    (4)キャンディダ・マリス(Candida maris)に由来する、
    (5)至適温度:50℃〜55℃、
    (6)至適pH:5.0〜6.0、
    (7)阻害剤:水銀イオンによって阻害される。
  9. 以下の(a)又は(b)の酵素:
    (a)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる酵素;
    (b)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ5−アセチルフロ[2,3−c]ピリジンを立体選択的に還元して5−(1−(R)−ヒドロキシエチル)フロ[2,3−c]ピリジンを生成する活性を有する酵素。
  10. キャンディダ(Candida)属に属する微生物に由来する請求項に記載の酵素。
  11. キャンディダ・マリス(Candida maris)に由来する請求項〜10のいずれか1項に記載の酵素。
  12. キャンディダ・マリス(Candida maris)IFO10003株に由来する請求項8〜11のいずれか1項に記載の酵素。
  13. 前記酵素が請求項8〜12のいずれか1項に記載の酵素であり、生成物である光学活性ピリジンエタノール誘導体の絶対配置がR体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 請求項12のいずれか1項に記載の酵素をコードするDNA。
  15. 配列表の配列番号2で示される塩基配列からなるDNA。
  16. 請求項14又は15に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  17. グルコース脱水素酵素をコードするDNAを更に含有する請求項16記載の組換えベクター。
  18. 前記グルコース脱水素酵素がバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のものである請求項17記載の組換えベクター。
  19. 請求項1618のいずれか1項に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  20. 宿主が大腸菌である請求項19記載の形質転換体。
  21. E.coli HB101(pNTFP)(FERM BP−7116)である請求項20記載の形質転換体。
  22. E.coli HB101(pNTFPG)(FERM BP−7117)である請求項20記載の形質転換体。
  23. 請求項14又は15に記載のDNAを含有する第1の組換えベクター、及び、グルコース脱水素酵素をコードするDNAを含有する第2の組換えベクターを含む形質転換体。
  24. 宿主が大腸菌である請求項23に記載の形質転換体。
  25. 前記酵素が請求項1924のいずれか1項に記載の形質転換体であり、生成する光学活性ピリジンエタノール誘導体の絶対配置がR体である請求項1または2に記載の製造方法。
  26. 一般式[7]:
    Figure 0004753273
    (式中、Qは酸素原子であり、Rは水素原子または塩素原子であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子を示す)で示されるピリジンエタノール誘導体に、請求項8、11及び12のいずれか1項に記載の酵素及び/又は、請求項21又は22に記載の形質転換体を作用させ、R体のピリジンエタノール誘導体を優先的に酸化し、残存するS体のピリジンエタノール誘導体を取得することを特徴とする、一般式[8]:
    Figure 0004753273
    (式中、Q、R、R、R及びRは、前記と同じであり、*は不斉炭素を表す)で示される絶対配置がS体の光学活性ピリジンエタノール誘導体の製造方法。
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