JP4748931B2 - 導波路成形用型 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製の光導波路基板を成形するための型構造に関する。
樹脂から光導波路基板を作製する場合、例えば図4(a)〜(e)のような手順が可能である。先ず導波路基板の外形及び溝状の導波路を成形するための型又は金型50を用意し(図4(a))、射出成形等により導波路基板52を成形する(図4(b))。次に成形された導波路すなわち凹部にクラッドと屈折率の異なる樹脂であるコア材54を充填し(図4(c))、紫外線等によりそのコア材54を硬化させて余分なコア材54を除去する(図4(d))。最後に導波路を含む導波路基板52の表面上にオーバークラッド層56を形成する(図4(e))。
上述の導波路成形用の金型は一般に、射出成形時に導波路すなわち凹部を形成する凸部58を有する。例えば特許文献1には、凸部を有する金型を用いてクラッド層に導波路すなわち凹部を形成する方法が開示されている。この方法は、導波路基板上に形成されたポリイミド膜に凸部を備えた金型を押圧させて凹部を成形する工程を含む。
特開2000−56147号公報
光の伝播損失を最小限に抑えるためには、光導波路基板が有する導波路すなわち凹部の表面を極めて高精度(例えば中心線平均粗さ(以降Raと略称)が10nm以下)に仕上げなければならず、そのためには型が有する凸部の表面を高精度に仕上げる必要がある。従って図5に示すように、矩形断面の導波路すなわち凹部を成形するための型50は、導波路に対応する凸部60の3つの面60a、60b及び60cを全て高精度に仕上げる必要がある。しかし、凸部の上面60bの研磨は比較的容易であるが、側面60a及び60cを研磨するときは型の凸部以外の面62及び64が障害となり研磨しにくい。さらに通常の研磨治具はエッジに僅かながら丸み又は面取りがあることから、側面60a及び60cにおける面62及び64に極めて近い部分は研磨が不十分になるか又は研磨されない場合がある。一般に凹部又は凸部の断面の1辺の長さは約50μmと非常に短いため、この研磨が不十分な部分の全体に占める割合は、光の伝播損失が無視できるほど小さくはない。従って側面60a及び60cを全体にわたって高精度に仕上げることが可能な型構造が望まれる。
また上述の特許文献1には、導波路を成形するための型の凸部の表面を研磨することについては言及されていない。
そこで本発明は、導波路を成形する型の凸部の面の高精度な研磨を容易に行うことができる型構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光導波路を有する成形品を成形するための、凸部を有する型の使用方法であって、前記型は、該型を構成したときに該型の前記凸部に相当する部分及び該部分に一体的に形成された基部を有する第1部材と、該第1部材の前記基部に接する少なくとも1つの第2部材とに分割可能であり、前記第1部材の前記基部が有する前記第2部材に接する面が、該面に隣接する前記凸部に相当する部分の側面と連続的に同一平面を構成し、前記光導波路の成形時は、前記少なくとも1つの第2部材を前記第1部材の前記基部の面に接して組み合わせた状態で前記型を使用し、前記型の研磨は、前記型の前記凸部に相当する前記第1部材の部分の面のうち前記側面以外の面と、前記少なくとも1つの第2部材の有する面のうち光導波路基板を成形する面とが同一平面内に位置するように前記第1部材及び前記少なくとも1つの第2部材を組み合わせた状態で行うことを特徴とする、型の使用方法を提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の型の使用方法において、前記第1部材は、互いに平行な2つの平面を有する多面体であり、該2つの平面が前記凸部の前記面を含む、型の使用方法を提供する。
発明によれば、従来は困難であった、光導波路基板に凹部を形成するための型の凸部の側面の研磨が容易になる。従って型の凸部の全ての面を全体的に高精度に仕上げることが可能になる。
発明によれば、研磨が必要な型の複数の面を一度の研磨操作で仕上げることができる。
発明によれば、凸部の側面の研磨等の仕上げ処理がさらに容易になる。
発明によれば、型の凸部表面を研磨するための凹部の表面の全てを容易に高精度に仕上げることができる研磨治具が得られる。
発明によれば、凹部の3つの面をすなわち2つの側面及び底面をそれぞれ別々に容易に研磨することができる研磨治具が得られる。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1(a)及び(b)に示されるように、本発明に係る光導波路成形用の金型又は型10は、上述した従来の型50のような一体物ではなく、複数の部材、すなわち第1部材12及び第2部材14、16に分割することができ、第1部材12は矩形断面の導波路を成形する部分すなわち矩形断面の凸部18と、凸部18以外部分すなわち基部20とを有する。第2部材14及び16は、導波路成形時には第1部材12の基部20の面20a及び20bにそれぞれ接して組み合わされるように構成される。
第1部材12が有する凸部18は、3つの面18a、18b及び18cを有し、これらの面のうち側面18a及び18cは、第1部材12の基部20が有する面20a及び20bとそれぞれ同一平面を構成する。換言すれば、第1部材12において凸部18と基部20との間には外見上明らかな境界がない。このような第1部材12としては、例えば互いに平行な2つの平面を有する多面体が可能である。型10が分割可能であることにより、凸部の高さすなわち導波路の深さが例えば50μmのような短い寸法である場合であっても、第2部材14及び16の面14aおよび16aは凸部の面の研磨の際に障害とならないので、凸部側面を含む平面全体に対してラッピング又はポリシング等の研磨を容易に施すことができる。従って側面18a及び18cをそれらの全体にわたって例えばRa<10nmの高精度に仕上げることができ、さらに凸部18のエッジを鋭利にすることも容易である。
また型10が複数の部材に分割可能であることは、凸部側面の研磨を容易にすること以外の長所も有する。第2部材14及び16の面14a及び16aは、導波路基板の成形において後にオーバークラッド層に密着する面を成形するので、ある程度の研磨は必要である。ここで図2に示されるように、第1部材12及び第2部材14、16を、第2部材14及び16の面14a及び16a、並びに第1部材12の凸部18の面18bが同一平面内に位置するように配置することにより、3つの面14a、16a及び18bそれぞれの表面仕上げを一度の研磨操作で同時に行うことが可能になる。このことは工数及び製造コストの削減に寄与する。
本発明はさらに、一般に矩形断面の凸部を有する型の研磨治具にも適用可能である。上述のような従来の一体物の型50の凸部の側面60a及び60cを研磨する場合、図3(a)に示されるように、型50の凸部と相補的な矩形断面の凹部32を備えた研磨治具30が使用可能である。この研磨治具30は、直線状の導波路を備えた導波路基板を成形する型の凸部を研磨するときに使用されるものであり、その凹部32が型50の凸部と係合した状態で、適当な研磨剤をその係合部に供給しながら研磨治具30と型50とを例えば導波路の長手方向に相対的に摺動させることにより、型の凸部の表面を研磨するものである。
図3(a)及び(b)に示されるように、凹部32の各面が別々の部材に具備されるように研磨治具30を分割可能にすることにより、凹部の各面を高精度に仕上げることができる。より詳細には、研磨治具30が第1、第2及び第3の治具部材34、36及び38に分割可能であり、第1治具部材34が凹部32の側面32a、第2治具部材36が凹部32の底面32b、第3治具部材38が凹部32の側面32cをそれぞれ備える。このような構成により、研磨治具30の凹部32の各面を全体的に高精度に仕上げることができ、結果としてこれら凹部の各面に当接する型50の凸部の面の全体を高精度に研磨することができる。また研磨治具30の凹部32の各面の研磨をより容易にするため、研磨治具30の各治具部材34、36及び38の各々においては、凹部32の各面を含む面は単純な平面であることが好ましい。そのような各治具部材34、36及び38の好適な形状は例えば直方体である。
(a)本発明に係る導波路成形用型の各部材が組み合わされた概略断面図であり、 (b)各部材が分割された概略断面図である。 図1の型の各部材の組み合わせを変化させた状態を示す概略断面図である。 (a)一体物の型を研磨するための分割式研磨治具の各治具部材が組み合わされた概略断面図であり、 (b)各治具部材が分割された概略断面図である。 (a)従来の光導波路の製造工程において型を用意する図であり、 (b)樹脂製の導波路基板を成形する図であり、 (c)導波路にコア材を充填する図であり、 (d)コア材を硬化させて余分なコア材を除去する図であり、 (e)導波路基板上にオーバークラッド層を形成する図である。 従来の導波路成形用型の概略断面図である。
符号の説明
10、50…型
12…第1部材
14、16…第2部材
18…凸部
20…基部
30…研磨治具
32…凹部
34…第1治具部材
36…第2治具部材
38…第3治具部材

Claims (2)

  1. 光導波路を有する成形品を成形するための、凸部(18)を有する型(10)の使用方法であって、
    前記型は、該型を構成したときに該型の前記凸部に相当する部分(18)及び該部分に一体的に形成された基部(20)を有する第1部材(12)と、該第1部材の前記基部に接する少なくとも1つの第2部材(14、16)とに分割可能であり、前記第1部材の前記基部が有する前記第2部材に接する面(20a、20b)が、該面に隣接する前記凸部に相当する部分の側面(18a、18c)と連続的に同一平面を構成し、
    前記光導波路の成形時は、前記少なくとも1つの第2部材を前記第1部材の前記基部の面(20a、20b)に接して組み合わせた状態で前記型を使用し、
    前記型の研磨は、前記型の前記凸部に相当する前記第1部材の部分の面(18a、18b、18c)のうち前記側面以外の面(18b)と、前記少なくとも1つの第2部材の有する面のうち光導波路基板を成形する面(14a、16a)とが同一平面内に位置するように前記第1部材及び前記少なくとも1つの第2部材を組み合わせた状態で行うことを特徴とする、型の使用方法
  2. 前記第1部材は、互いに平行な2つの平面を有する多面体であり、該2つの平面が前記凸部の前記面を含む、請求項1に記載の型の使用方法
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