JPH11133257A - 成形予備体およびその製造方法 - Google Patents

成形予備体およびその製造方法

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JPH11133257A
JPH11133257A JP21713398A JP21713398A JPH11133257A JP H11133257 A JPH11133257 A JP H11133257A JP 21713398 A JP21713398 A JP 21713398A JP 21713398 A JP21713398 A JP 21713398A JP H11133257 A JPH11133257 A JP H11133257A
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optical fiber
molding
preform
shape
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JP21713398A
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English (en)
Inventor
Reikou Chiyou
黎紅 張
Masahiro Yoshida
昌弘 吉田
Yutaka Ogami
裕 大神
Yoshiatsu Yokoo
芳篤 横尾
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Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 モールド成形によって光ファイバ固定部と段
差を有するタイプの光ファイバ固定用部材を高い良品率
の下に得る。 【解決手段】 成形予備体の形状を、モールド成形に使
用される成形型の転写成形面のうちで前記の光ファイバ
係合部を成形するための転写成形面がモールド成形の初
期の段階でその上面もしくは頂部に接することになる厚
肉部と、前記の成形型の転写成形面のうちで前記段違い
部の上面を成形するための転写成形面がモールド成形の
初期の段階でその上面に接することになる薄肉部とから
なり、前記の薄肉部が前記の厚肉部に隣接するようにし
て形成されており、かつ、平面視上の形状が前記の光フ
ァイバ固定用部材の平面視上の形状と近似するようにし
て、また、側面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部
材の側面視上の形状と近似するようにして形成されてい
る形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学,通信,電気
・電子または半導体等の分野で用いられる光ファイバ固
定用部材をモールド成形法(プレス成形法)によって作
製する際に使用される成形予備体およびその製造方法に
係り、特に、光ファイバの端部を固定するために使用さ
れる光ファイバ係合部が上面に形成されている光ファイ
バ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一段低い位
置に上面が形成されている段違い部とを有する光ファイ
バ固定用部材をモールド成形法によって作製する際に使
用される成形予備体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複数本の光ファイバ同士または複数本の
光ファイバと1もしくは複数の光部品とを光学的に接続
(以下、光学的な接続を「光接続」という。)するにあ
たっては、光接続しようとする光ファイバのそれぞれを
高精度に固定しておくことが望まれる。例えばシングル
モードの光ファイバが所定本数並列配置されている光フ
ァイバテープにおいては、個々の光ファイバにおけるコ
ア径が10μm程度で、これらの光ファイバが約126
〜250μmピッチで配列されていることから、光接続
の際にはこれらの光ファイバの端部を±0.5μm以下
の位置精度で同一平面上に配列させることが望まれる。
【0003】このため、例えば複数本の光ファイバ同士
を光接続する際には、これらの光ファイバそれぞれの端
部を高精度に固定しておくための部材(以下、この部材
を「光ファイバ固定用部材」という。)、例えば光ファ
イバガイドブロックが多用されている。光ファイバガイ
ドブロックは、光ファイバの端部を固定するために使用
される所定数の光ファイバ係合部(例えば幅方向の断面
形状がV字状の溝(以下「V溝」という。))が上面
(片面)に形成されている薄板状物である。光ファイバ
ガイドブロックに固定された光ファイバの位置精度は、
当該光ファイバガイドブロックに形成されている光ファ
イバ係合部の加工精度に依存する。
【0004】上記の光ファイバガイドブロックは、前記
の光ファイバ係合部のみを有するタイプのものと、(i)
光ファイバ係合部が上面に形成されている光ファイバ固
定部および(ii)前記の光ファイバ固定部より一段低い位
置に上面が形成されている段違い部を有するタイプのも
の、との2つのタイプに大別することができる。後者の
タイプにおける段違い部は、光ファイバテープのように
光ファイバが被覆部によって保護されているものを前記
の被覆部ごと固定するための台座部等として使用され
る。
【0005】いずれのタイプの光ファイバガイドブロッ
クにおいても、光ファイバ係合部の形成方法としては、
(i) シリコン基板を材料として用いた場合にはエッチン
グ法、(ii)石英ガラスやパイレックスガラス等のガラス
を材料として用いた場合には研削法、がそれぞれ従来よ
り適用されてきたが、近年ではモールド成形法(プレス
成形法)によって光ファイバガイドブロックを得ようと
いう試みが活発になされている。モールド成形法は、光
ファイバ係合部の精度および外観の精度ならびにこれら
の精度の安定性がそれぞれ高い光ファイバガイドブロッ
クを高い生産性の下に安価に提供することを実現し得る
可能性を秘めた方法である。
【0006】モールド成形法によって所望の成形品を製
造するためには、モールド成形に使用する成形型の構造
や成形条件等のパラメータが当然重要になってくるが、
成形予備体(プリフォーム)の幾何形状および寸法もま
た成形品の加工精度や外観の形状精度に影響する。この
ため、モールド成形による良品率を向上させるために
は、成形予備体について適切な形状および寸法を設定す
ることが重要となる。
【0007】例えば特公昭61−32263号公報に記
載されているモールド成形法では、成形予備体(プリフ
ォーム)の形状を最終製品であるレンズの形状に近似す
る形状とし、加圧成形時(モールド成形時)に成形予備
体の形状が成形型の形状と一致するのに必要な時間t
0 、加圧成形時にガラス(成形予備体)が充分に加圧さ
れたときにおけるガラス内部の静水圧P、および加圧成
形時(モールド成形時)のガラスの粘度μを、成形型の
形状(キャビティの形状)と成形予備体の形状との差に
依存する値であるC=t0 P/μ(当該値Cは、前記の
差が小さいほど小さくなる。)に応じてそれぞれ適宜選
定することによって、ガラスレンズを作製している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光ファ
イバガイドブロックは薄板状物(最大厚みは例えば1.
0〜1.5mm程度)であるので、モールド成形時に成
形材料の流動が起こりにくい。目的とする光ファイバガ
イドブロックが光ファイバ固定部と段違い部とを有する
タイプのものであるときには、光ファイバ固定部と段違
い部との間に段差を形成しなければならないわけである
が、このような段差を形成しようとすると、当該段差部
分を境にして成形厚みの薄い方(段違い部側)から厚い
方(光ファイバ固定部側)への、あるいはその逆方向へ
の成形材料の流動がモールド成形時に極めて起こりにく
くなる。さらに、光ファイバガイドブロックをモールド
成形によって得る場合には、パターン転写(光ファイバ
係合部の形成)と外観形成の二つの目的を一回のモール
ド成形で実現しなければならない。このため、光ファイ
バ固定部と段違い部とを有するタイプの光ファイバガイ
ドブロックをモールド成形によって高い良品率の下に得
ることは、モールド成形によって高い良品率の下にレン
ズを得る場合よりも一段と難しい。
【0009】モールド成形時における成形材料の粘度を
107.6 ポアズ未満に下げれば、光ファイバ固定部と段
違い部とを有するタイプの光ファイバガイドブロックを
得ようとする場合でも成形材料を十分に流動させること
が可能になるが、成形材料の粘度をこのように低くする
と以下の問題が生じる。すなわち、(i) 光ファイバ係合
部のパターン転写精度が低下する、(ii)成形材料の流動
が不均一になり易くなることから、成形材料が成形型の
隙間(クリアランス)から流出して、成形品(光ファイ
バガイドブロック)の角や稜の部分にバリが生じ易くな
る、等の問題が生じる。
【0010】光ファイバ固定部と段違い部とを有するタ
イプの光ファイバガイドブロックは、光ファイバ固定部
および段違い部のうちの光ファイバ固定部のみをモール
ド成形時に形成し、モールド成形後に段違い部を研削加
工によって形成するようにしても得ることができる。し
かしながら、この方法では工程数が増加することから加
工コストが上昇し、また、量産性が低下する。
【0011】本発明の目的は、所望の外観を有する光フ
ァイバ固定用部材をモールド成形法によって高い生産性
および良品率の下に得ることが可能な成形予備体および
その製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の成形予備体は、光ファイバの端部を固定するため
に使用される光ファイバ係合部が上面に形成されている
光ファイバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一
段低い位置に上面が形成されている段違い部とを有し、
該段違い部が前記の光ファイバ固定部に隣接するように
して形成されている光ファイバ固定用部材をモールド成
形法によって作製するための成形予備体であり、モール
ド成形に使用される成形型の転写成形面のうちで前記の
光ファイバ係合部を成形するための転写成形面がモール
ド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に接するこ
とになる厚肉部と、前記の成形型の転写成形面のうちで
前記段違い部の上面を成形するための転写成形面がモー
ルド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に接する
ことになる薄肉部とからなり、前記の薄肉部が前記の厚
肉部に隣接するようにして形成されており、かつ、平面
視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の平面視上の
形状と近似するように、また、側面視上の形状が前記の
光ファイバ固定用部材の側面視上の形状と近似するよう
に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】また、上記の目的を達成する本発明の成形
予備体の製造方法は、光ファイバの端部を固定するため
に使用される光ファイバ係合部が上面に形成されている
光ファイバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一
段低い位置に上面が形成されている段違い部とを有し、
該段違い部が前記の光ファイバ固定部に隣接するように
して形成されている光ファイバ固定用部材をモールド成
形法によって作製するための成形予備体を製造するにあ
たり、前記の成形予備体を製造するための材料の厚みを
前記の成形予備体の最大厚みと同等ないしそれ以上と
し、前記の材料に部分的に研削加工を施して薄肉部を形
成した後または前記の薄肉部を形成する前に、該材料の
平面視上の大きさを前記の成形予備体の平面視上の大き
さと同等ないしそれ以上として、(i) 厚肉部と、(ii)前
記の厚肉部の上面もしくは頂部よりも一段低い位置に上
面もしくは頂部が形成されている薄肉部とを有し、前記
の薄肉部が前記の厚肉部に隣接するようにして形成され
ており、平面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材
の平面視上の形状と近似し、かつ、側面視上の形状が前
記の光ファイバ固定用部材の側面視上の形状と近似して
いる成形物を得る、ことを特徴とするものである(以
下、この方法を「方法I」という。)。
【0014】そして、上記の目的を達成する本発明の成
形予備体の他の製造方法は、光ファイバの端部を固定す
るために使用される光ファイバ係合部が上面に形成され
ている光ファイバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よ
りも一段低い位置に上面が形成されている段違い部とを
有し、該段違い部が前記の光ファイバ固定部に隣接する
ようにして形成されている光ファイバ固定用部材をモー
ルド成形法によって作製するための成形予備体を製造す
るにあたり、前記の成形予備体を製造するための材料に
流動性をもたせた状態下で該材料をダイに注入し、該材
料を固化させた後に固化物を前記のダイから離型させ
て、モールド成形に使用される成形型の転写成形面のう
ちで前記の光ファイバ係合部を成形するための転写成形
面がモールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部
に接することになる厚肉部と、前記の成形型の転写成形
面のうちで前記段違い部の上面を成形するための転写成
形面がモールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂
部に接することになる薄肉部とからなり、前記の薄肉部
が前記の厚肉部に隣接するようにして形成されており、
かつ、平面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の
平面視上の形状と近似するように、また、側面視上の形
状が前記の光ファイバ固定用部材の側面視上の形状と近
似するように形成されている成形物を得る、ことを特徴
とするものである(以下、この方法を「方法II」とい
う。)。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、本発明の成形予備体について
説明する。本発明の成形予備体は、前述したように、光
ファイバの端部を固定するために使用される光ファイバ
係合部が上面に形成されている光ファイバ固定部と、前
記の光ファイバ係合部よりも一段低い位置に上面が形成
されている段違い部とを有し、当該段違い部が前記の光
ファイバ固定部に隣接するようにして形成されている光
ファイバ固定用部材をモールド成形法によって作製する
ための成形予備体である。
【0016】この成形予備体は、モールド成形に使用さ
れる成形型の転写成形面のうちで前記の光ファイバ係合
部を成形するための転写成形面がモールド成形の初期の
段階(成形型内に成形予備体を配置した時点を含む。)
でその上面もしくは頂部に接することになる厚肉部と、
前記の成形型の転写成形面のうちで前記段違い部の上面
を成形するための転写成形面がモールド成形の初期の段
階(成形型内に成形予備体を配置した時点を含む。)で
その上面もしくは頂部に接することになる薄肉部とから
なっている。本明細書でいう「厚肉部の上面もしくは頂
部」とは、後述する薄肉部の上面もしくは頂部を真上か
ら見おろすようにして成形予備体を視たときにおける厚
肉部の上面もしくは頂部を意味する。
【0017】薄肉部は厚肉部に隣接するようにして形成
されており、当該薄肉部は、その上面もしくは頂部が厚
肉部から急激に落ち込むようにして形成されていてもよ
いし、厚肉部の厚さが徐々に減少してその一側面(この
側面は、平面および曲面のいずれからなっていてもよ
い。)がやがて薄肉部の上面もしくは頂部に達すること
になるように形成されていてもよい。いずれの場合で
も、本発明の成形予備体は平面視上の形状が目的とする
光ファイバ固定用部材の平面視上の形状と近似するよう
に、また、側面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部
材の側面視上の形状と近似するように形成されている。
【0018】ここで、本発明で成形予備体についていう
「側面視上の形状」とは、薄肉部の上面もしくは頂部を
その真上から見おろすようにして当該成形予備体を視る
見方を平面視(以下同じ。)とし、厚肉部と薄肉部とが
直列するようにして当該成形予備体を厚肉部側から視る
見方を正面視(以下同じ。)としたときにおける、当該
成形予備体を側面視したときの形状を意味する。なお、
正面視とは180°逆の方向からの見方を背面視、平面
視とは180°逆の方向からの見方を底面視とそれぞれ
いうことにする。また、本発明で光ファイバ固定用部材
についていう「側面視上の形状」とは、光ファイバ係合
部をその真上から見おろすようにして当該光ファイバ固
定用部材を視る見方を平面視(以下同じ。)とし、光フ
ァイバ係合部の長手方向を望むようにして当該光ファイ
バ固定用部材を光ファイバ固定部側から視る見方を正面
視(以下同じ。)としたときにおける、当該光ファイバ
固定用部材を側面視したときの形状を意味する。
【0019】本発明の成形予備体は上記の条件を満たす
ものであれば基本的によく、当該成形予備体における各
面はそれぞれ平面であっても曲面であってもよい。ただ
し、極端な凹面とすることは好ましくない。
【0020】目的とする光ファイバ固定用部材における
光ファイバ固定部は、本発明の成形予備体の厚肉部がモ
ールド成形されることによって形成される(勿論、モー
ルド成形時には成形予備体の薄肉部と厚肉部との間で成
形材料の流動が起こる。)。したがって厚肉部の上面も
しくは頂部は、モールド成形に使用される成形型の転写
成形面のうちで前記の光ファイバ係合部を成形するため
の転写成形面(以下、この転写成形面を「光ファイバ係
合部形成用の転写成形面」という。)とモールド成形の
初期の段階で接する。
【0021】そして、モールド成形時に所定形状のパタ
ーンを転写してV溝等からなる所定形状の光ファイバ係
合部を光ファイバ固定部に形成するためには、モールド
成形時にパターン転写が十分に行われるように、目的と
する光ファイバ固定用部材における光ファイバ固定部の
最大厚みをTとし、成形予備体における厚肉部の最大厚
みをtとしたときに、これらの比t/Tが1.001〜
2.5となるように成形予備体における厚肉部の最大厚
みtを設定することが好ましい。
【0022】上記の比t/Tが1.001未満では、モ
ールド成形時における厚肉部の変形量が小さいことか
ら、光ファイバ係合部のパターン転写性が低下し易くな
り、所望の光ファイバ係合部を形成することが困難にな
る。また、上記の比t/Tが2.5を超えると、モール
ド成形時における厚肉部の変形量が光ファイバ係合部を
高精度にパターン転写するのに要する変形量以上に大き
くなる、すなわち、所望の光ファイバ固定用部材を得る
ためには成形予備体を必要以上に大きく変形させなけれ
ばならなくなる。成形予備体を大きく変形させること
は、モールド成形時における成形予備体(成形材料)の
粘度を低下させることによって容易に達成できるが、前
記の粘度をあまりに低下させると光ファイバ係合部のパ
ターン転写性が低下し易くなると共に局所的にバリが発
生し易くなることから、所望の光ファイバ固定用部材を
得ることが困難になる。なお、本明細書でいう「変形
量」とは、成形予備体と成形品との厚みの差を意味す
る。上記の比t/Tは1.005〜2.2とすることが
より好ましく、1.01〜2.0とすることが特に好ま
しい。
【0023】本発明の成形予備体の体積は、その形状に
拘わらず、作製しようとする光ファイバ固定用部材の体
積に応じて実質的に一定となるが、所望の外観を有する
光ファイバ固定用部材を高い生産性および良品率の下に
得易い成形予備体を得るうえからは、当該成形予備体に
おける厚肉部と薄肉部とを次のように体積配分すること
が好ましい。すなわち、モールド成形法によって作製し
ようとする光ファイバ固定用部材における光ファイバ固
定部の体積をV1 、当該光ファイバ固定用部材における
段違い部の体積をV2 とし、成形予備体における厚肉部
の体積をv1 、当該成形予備体における薄肉部の体積を
2 としたときに、体積比率[(v1/V1)−(v2
2)]が0.001〜0.1となるように体積配分す
ることが好ましい。
【0024】ここで、本明細書でいう上記のV1 は、モ
ールド成形法によって作製しようとする光ファイバ固定
用部材における光ファイバ固定部を当該光ファイバ固定
部の各面に外接する平面で囲んだと仮定にしたときにお
ける前記平面で囲まれた部分の体積を意味する。当該V
1 を求めるにあたっては、個々の光ファイバ係合部の端
部(長さ方向の端部)を閉塞したと仮定して当該光ファ
イバ係合部の容積を求めたときに、これらの容積がV1
に含まれないようにする。そして、光ファイバ固定部と
段違い部との境界には、光ファイバ固定部と段違い部と
の境界線を包含する垂直面があるものとし、当該垂直面
も光ファイバ固定部の面の1つであるものとする。
【0025】また、本明細書でいう上記のV2 は、モー
ルド成形法によって作製しようとする光ファイバ固定用
部材における段違い部を当該段違い部の各面に外接する
平面で囲んだと仮定にしたときにおける前記平面で囲ま
れた部分の体積を意味する。そして、光ファイバ固定部
と段違い部との境界には上記V1 におけるのと同じく垂
直面があるものとし、当該垂直面も段違い部の面の1つ
であるものとする。
【0026】一方、本明細書でいう前記のv1 ,v2
それぞれ成形予備体における厚肉部または薄肉部の実際
の体積を意味し、これらv1 ,v2 を定めるにあたって
は、厚肉部と薄肉部との境界線を包含する垂直面(平面
または曲面)が当該厚肉部と薄肉部との間にあるものと
仮定する。
【0027】前記の体積比率が0.001未満では、モ
ールド成形時における厚肉部の変形量が小さいことか
ら、特に光ファイバ係合部のパターン転写性が低下し易
くなり、所望の光ファイバ係合部を形成することが困難
になる。また、前記の体積比率が0.10を超えると、
光ファイバ固定部側への成形材料の充填が過剰となった
り、段違い部側への成形材料の充填が不足したりし易く
なる。前記の体積比率は0.002〜0.100である
ことがより好ましく、0.005〜0.07であること
が特に好ましい。
【0028】厚肉部は、当該厚肉部を正面視の方向と直
交する方向に切ったときの断面形状(以下、この断面形
状を単に「厚肉部の断面形状」という。)が極端に歪ん
だ形状とならないものであればよいが、実用上は前記の
断面形状を四角形以上の多角形,半円形,蒲鉾形、また
は、これらの形状の角部に丸みを帯びさせた形状、ある
いは、楕円形,円形、または、これらの形状に近似する
形状とすることが好ましい。なお、厚肉部の前記断面形
状を直線と外側に凸の曲線とによって囲まれた形状(半
円形,蒲鉾形等)とする場合には、成形型に設けられて
いる光ファイバ係合部形成用の転写成形面と厚肉部にお
ける外側に凸の曲面の頂部とがモールド成形の初期の段
階で接することになるように、成形予備体全体の形状を
設定することが好ましい。
【0029】一方、薄肉部はモールド成形によって光フ
ァイバ固定用部材における段違い部となるわけである
が、前記の段違い部は、その使途によって、上面が平坦
面となっている薄板状であったり、上面側に所望の凹部
を有し当該凹部の周辺が平坦面となっている薄板状であ
ったりする。このため、成形予備体における薄肉部の断
面形状(正面視の方向と直交する方向に切ったときの断
面形状を意味する。以下同じ。)は、作製しようとする
光ファイバ固定用部材における段違い部の形状に応じて
適宜選択することが好ましい。ただし、段違い部に凹部
を有する光ファイバ固定用部材を得る場合でも、前記の
凹部の形状は、通常、比較的モールド形成し易い形状で
あるので、少なくとも薄肉部の上面については、これを
平面もしくは平面に近い曲面としても実用上大きな問題
は生じない。
【0030】本発明の成形予備体の形状についての幾つ
かの例を図3〜図8に示す。図3に示した成形予備体2
0は、四角柱の一部を切り欠いた様な形状を呈する。そ
して、厚肉部21の断面および薄肉部22の断面は、大
きさおよび形状が異なるものの、共に矩形を呈する。
【0031】図4に示した成形予備体30は、径方向の
断面が蒲鉾形を呈する柱状物の一部を切り欠いた様な形
状を呈する。そして、厚肉部31の断面は蒲鉾形を呈
し、薄肉部32の断面は矩形を呈する。図5に示した成
形予備体40は、楕円柱の一部を切り欠いた様な形状を
呈する。そして、厚肉部41の断面は楕円形を呈し、薄
肉部42の断面は前記の楕円の長軸をその水平軸とした
ときに当該水平軸よりも所定の高さだけ上にある部分を
弓形に水平に切り欠いた形状を呈する。
【0032】図6に示した成形予備体50は、円柱の一
部を切り欠いた様な形状を呈する。そして、厚肉部51
の断面は円形を呈し、薄肉部52の断面形状は前記の円
の直径をその水平軸としたときに当該水平軸よりも所定
の高さだけ上にある部分を弓形に水平に切り欠いた形状
を呈する。図7に示した成形予備体60は、六角柱の一
部を切り欠いた様な形状を呈する。そして、厚肉部61
の断面は六角形(互いに平行な2つの辺を計3組有し、
3本の対角線のうちの2本の長さが等しく、他の1本が
これら2本より長いもの)、薄肉部62の断面は前記の
六角形において最も長い対角線を水平軸としたときに当
該水平軸よりも所定の高さだけ上にある部分を水平に切
り欠いた形状を呈する。
【0033】図8に示した成形予備体70は、薄板状の
直方体の厚さ方向に位置している2つの面の一方を取り
囲んでいる4つの稜それぞれに所定の面取り加工を施
し、前記2つの面の他方を取り囲んでいる4つの稜それ
ぞれには前記の面取り加工よりも大きい面取り加工を施
し、さらに、当該直方体の厚さ方向に延びている4つの
稜それぞれに所定の丸み付け加工を行った後に、前記2
つの面のうちでその稜により小さな面取り加工を施した
面側の一部を切り欠くことによって形成されたものであ
る。この成形予備体70における厚肉部71の断面は八
角形を呈し、薄肉部72の断面は六角形を呈する。ま
た、厚肉部71の側面のうちで当該厚肉部71を正面視
したときに背面となる面と薄肉部72の上面72aとが
交わる部分の稜には、所定の丸み付け加工が施されてい
る。
【0034】なお、図3〜図7に示した成形予備体2
0,30,40,50,60それぞれの平面視上の形状
は矩形であり、側面視上の形状はL字状である。また、
図8に示した成形予備体70の平面視上の形状は、矩形
の四隅それぞれに丸みを付けた形状であり、側面視上の
形状はL字状である。これらの成形予備体における薄肉
部22,32,42,52,62,72は、いずれも、
厚肉部21,31,4,51,61,71から垂直に落
ち込むようにして形成されており、当該薄肉部22,3
2,42,52,62,72の上面22a,32a,4
2a,52a,62a,72aは平面となっている。
【0035】後述するように、成形品に成形バリが生じ
ることを抑制するうえからは、モールド成形に使用しよ
うとする成形型の構造に応じて、成形予備体の所定箇所
に面取り加工や丸み付け加工を施すか、または、成形予
備体を所定方向から平面視したときの形状を所定の形状
とすることが好ましい。
【0036】本発明の成形予備体は、モールド成形法に
よって作製しようとする光ファイバ固定用部材の使用環
境温度下では固体であるが加熱することによって10
7.6 〜1014ポアズの粘度となる材料、またはこれに相
当する変形能を有する可塑体によって製造される。
【0037】モールド成形時に成形型が損傷する(成形
型が離型膜を有するものであるときには、前記の離型膜
が損傷する場合を含む。)のを抑制するうえからは、概
ね850℃以下の温度条件下で107.6 〜1014ポアズ
の粘度となる材料、またはこれに相当する変形能を有す
る可塑体、によって本発明の成形予備体を製造すること
が好ましい。また、光ファイバ固定用部材が周囲の温度
変化に伴って大きく変形したのでは、当該光ファイバ固
定用部材を用いて高い信頼性の下に光ファイバを固定す
ることができなくなるので、本発明の成形予備体の材料
としては熱膨張係数ができるだけ小さいものを用いるこ
とが好ましい。熱膨張係数が小さい成形予備体は、パタ
ーン転写精度が高く、内部の歪みが小さい成形品を得る
うえでも好適である。
【0038】これらの観点から、本発明の成形予備体と
してはガラスからなっているものが好ましい。そして、
前記のガラスとしては屈曲点温度が概ね850℃以下、
望ましくは750℃以下のものが好ましく、その−50
〜+100℃における平均熱膨張係数が70×10-7
℃以下であれば更に好ましい。
【0039】また、光ファイバ係合部が高精度でパター
ン転写されている光ファイバ固定用部材を得ることが容
易な成形予備体を得るうえからは、本発明の成形予備体
における厚肉部の表面のうちで成形型に設けられている
光ファイバ係合部形成用の転写成形面とモールド成形時
に接することとなる部分の平均粗さを、1μm以下にす
ることが好ましい。
【0040】本発明の成形予備体は、所定の厚肉部およ
び薄肉部を有しているので、当該成形予備体を用いれ
ば、光ファイバ固定用部材における光ファイバ係合部の
転写成形と当該光ファイバ固定用部材における段違い部
との形成とを同時に、かつ、容易に行うことができる。
したがって、所望の外観を有する光ファイバ固定用部材
を高い生産性および良品率の下に得ることが可能であ
る。
【0041】また、本発明の成形予備体を用いれば、以
下の理由から、破損しにくい光ファイバ固定用部材を得
ることができる。すなわち、光ファイバ固定部と段違い
部とを有する光ファイバ固定用部材をモールド成形法に
よって製造するにあたって厚さが実質的に均一な成形予
備体を用いると、光ファイバ固定部に成形しようとする
部分と段違い部に成形しようとする部分との間でモール
ド成形時に起きる成形材料の流動が大きくなることか
ら、得られる光ファイバ固定用部材においては光ファイ
バ固定部と段違い部との境界部分に大きな残留歪みが生
じ、その結果として、当該境界部分の強度が低下してこ
の箇所から破損し易くなる。しかしながら、本発明の成
形予備体は厚肉部と薄肉部とを有しているので、光ファ
イバ固定部に成形しようとする部分と段差部に成形しよ
うとする部分との間でモールド成形時に起きる成形材料
の流動が小さくなる。したがって、得られる光ファイバ
固定用部材においては光ファイバ固定部と段違い部との
境界部分に生じる残留歪みが小さくなり、その結果とし
て、当該境界部分の強度が向上してこの箇所から破損し
にくくなる。
【0042】成形品全体にできるだけ小さな歪みしか残
さないようにして光ファイバ係合部が高精度でパターン
転写されている光ファイバ固定用部材を得るうえから
は、目的とする光ファイバ固定用部材における光ファイ
バ固定部の最大厚みをTとし成形予備体における厚肉部
の最大厚みをtとしたときのこれらの比t/Tを、前述
したように、1.001ないし2.5とすることが好ま
しい。また、同様の観点から、成形予備体における厚肉
部の体積と薄肉部の体積を前述したように配分する、す
なわち、目的とする光ファイバ固定用部材における光フ
ァイバ固定部の体積をV1 、当該光ファイバ固定用部材
における段違い部の体積をV2 とし、成形予備体におけ
る厚肉部の体積をv1 、当該成形予備体における薄肉部
の体積をv2 としたときの体積比率[(v1/V1)−
(v2/V2)]が0.001〜0.1となるように配分
することが好ましい。
【0043】本発明の成形予備体のなかでも所定の面取
り加工または丸み付け加工を施したものを用いれば、以
下の理由から、当該成形予備体を成形型の中心に配置し
てモールド成形することが容易になる。すなわち、上記
の成形予備体では、面取り加工または丸み付け加工の度
合いを調整することにより、平面視上の幅および長さを
それぞれ成形型のキャビティの平面視上の幅および長さ
とほぼ同等にしても、所望の光ファイバ固定用部材を得
るに必要な厚みおよび体積を確保することができる。そ
して、成形予備体の平面視上の幅および長さをそれぞれ
成形型のキャビティの平面視上の幅および長さとほぼ同
等とすることにより、当該成形予備体を成形型の中心に
容易に配置することが可能になり、かつ、この状態でモ
ールド成形することが可能になる。
【0044】また、成形予備体の稜に面取り加工または
丸み付け加工を施した場合には、当該稜に欠けが生じに
くくなるので、成形予備体の取り扱いが容易になる。さ
らに、所望の稜に面取り加工または丸み付け加工を施し
た成形予備体をモールド成形するにあたって、前記の面
取り加工または丸み付け加工によって形成された面のそ
れぞれがモールド成形によって消失することなく、成形
品である光ファイバ固定用部材における1つの稜(厳密
には1つの面取り加工面または丸み付け加工面)として
残るように成形すれば、光ファイバ固定用部材における
前記の稜に欠けが生じにくくなるので、取り扱いが容易
な光ファイバ固定用部材を得ることができる。
【0045】以上説明した利点を有する本発明の成形予
備体は、特に、(i) 光ファイバ固定部と段違い部との段
差が光ファイバ固定部の最大厚みTの10%程度以上で
ある光ファイバ固定用部材、(ii)断面形状がその全長に
亘って光ファイバ固定部の断面形状と同じである光ファ
イバ固定用部材を仮定し、かつ、目的とする光ファイバ
固定用部材は前記仮定した光ファイバ固定用部材の一部
を切り欠くことによって所望の段違い部を形成したもの
であると仮定したときに、前記目的とする光ファイバ固
定用部材の体積に占める前記切り欠いた部分の体積が7
%程度以上である光ファイバ固定用部材、または、(ii
i) 全長(正面視したときの奥行き方向の長さ)に占め
る段違い部の長さが15%程度以上である光ファイバ固
定用部材、を高い生産性および良品率の下にモールド成
形法によって得るうえで好適な成形予備体である。
【0046】本発明の成形予備体を用いてのモールド成
形法による光ファイバ固定用部材の作製は、所定形状の
成形型を用いて当該成形予備体をその厚さ方向と実質的
に平行な方向からモールド成形することによって行うこ
とができる。このとき使用する成形型は、目的とする光
ファイバ固定用部材の形状に対応した所定形状のキャビ
ティを2つの型要素(上型および下型)または3つの型
要素(上型,下型および胴型)によって形成するもので
あってもよいし、いわゆる「サイドフリー」のもの(こ
の場合の型要素は上型および下型の2つである。)であ
ってもよい。また、個々の型要素は単一の部材からなっ
ていてもよいし、複数の部材によって構成されていても
よい。
【0047】2つの型要素によって所定形状のキャビテ
ィを形成する上記の成形型においては、通常、上型およ
び下型のうちの一方が所定方向に移動可能な可動型(以
下、この型を「可動型A」という。)として機能し、他
方が固定型(以下、この型を「固定型A」という。)と
して機能する。一方、3つの型要素によって所定形状の
キャビティを形成する上記の成形型においては、通常、
上型および下型のうちの一方が胴型に対して相対的に所
定方向に移動可能な型(以下、この型を「可動型B」と
いう。)として機能し、他方が胴型に対して相対的に固
定された型(以下、この型を「固定型B」という。)と
して機能する。そして、当該3つの型要素からなる成形
型においては、上記の可能型Bが実際に所定方向に移動
する可動型として機能する場合が多いが、胴型および上
記の固定型Bが互いに連動した状態で実際に所定方向に
移動する可動型として機能する場合もある。
【0048】所望の成形精度を有する光ファイバ固定用
部材を容易に得るという観点からは、所定形状のキャビ
ティを2つの型要素によって形成する上記の成形型
(「サイドフリー」のものは含まれない。)、または、
3つの型要素によって形成する上記の成形型を用いるこ
とが好ましく、特に、3つの型要素によって形成する上
記の成形型を用いることが好ましい。
【0049】そして、成形品に成形バリが生じることを
抑制するという観点からは、3つの型要素によって所定
形状のキャビティを形成する上記の成形型のなかでも、
上型または下型が胴型に密着固定されて使用されるもの
が好ましい。このような成形型としては、例えば特願平
9−265719号明細書に記載されている発明のモー
ルド成形型がある。このモールド成形型は、上型,下型
および胴型を備え、成形時に前記の上型または下型が実
際に所定方向に移動する可動型として使用され、前記の
胴型がその転写成形面によって成形品の側面を成形する
ことになるモールド成形型であり、前記の胴型が、各々
が転写成形面を有している複数の胴型部品によって構成
されており、前記複数の胴型部品それぞれが、その使用
時に前記の上型の側面または前記の下型の側面に密着し
た状態で圧迫固定されることを特徴とするものである。
【0050】上記のモールド成形型は、(i) 所望の精度
を有する成形型自体の作製が容易である、(ii)成形バリ
の発生を抑制し易い、(iii) モールド成形によって光フ
ァイバ固定用部材を得る際に、当該光ファイバ固定用部
材に所定本数の光ファイバを固定したときにこれらの光
ファイバの端面が位置することになる端部付近に微小な
盛り上がり(コブ)が発生することを抑制し易い、等の
利点を有している。
【0051】なお、上記のモールド成形型は、胴型と当
該胴型に密着固定されて使用される型(上型または下
型)とを実際に所定方向に移動する可動型として使用
し、胴型に密着固定されていない型(下型または上型)
を固定型として使用することも可能である。
【0052】どのような成形型を使用する場合でも、当
該成形型を構成している各型要素は、通常、超硬合金,
スチール,SiCなどのセラミックス等によって作製さ
れ、必要に応じて、その表面には白金(Pt),金(A
u),カーボン(C),ダイヤモンド等からなる離型膜
が設けられる。
【0053】成形予備体は、(i) 成形型に設けられてい
る光ファイバ係合部形成用の転写成形面と厚肉部の上面
もしくは頂部とがモールド成形の初期の段階で接するこ
とになるようにして、かつ、(ii)成形型の転写成形面の
うちで光ファイバ固定部の上面を成形することになる転
写成形面と段違い部の上面を成形することになる転写成
形面との境界部分が、モールド成形の初期の段階で成形
予備体における厚肉部と薄肉部との境界部分に当たるよ
うにして、成形型内または所定の型要素上に配置され
る。そして、当該成形予備体はその厚さ方向と実質的に
平行な方向から加圧されて、所定形状の成形品となる。
【0054】このとき、(iii) 前述した固定型Bの転写
成形面によって光ファイバ固定用部材における光ファイ
バ固定部の上面(光ファイバ係合部を含む。)および段
違い部の上面がそれぞれ成形されることになるように成
形型を選択し、かつ、(iv)成形予備体における厚肉部の
上面もしくは頂部が前記の固定型Bの転写成形面に面す
るように当該成形予備体を配置する、ことが特に好まし
い。
【0055】一般に、所定形状のキャビティを3つの型
要素によって形成する成形型においては、前述した可動
型Bを相対的に所定方向に移動させる都合上、胴型と前
述した固定型Bとの間のクリアランスよりも可動型Bと
胴型との間のクリアランスの方が大きいので、可動型B
と胴型との間のクリアランスに成形材料が特に侵入し易
い。このため、このような成形型を用いて得た成形品で
は、固定型Bによって成形された面と胴型によって成形
された面とが交わる部分の稜においてよりも、可動型B
によって成形された面と胴型によって成形された面とが
交わる部分の稜において、成形バリが生じ易い。
【0056】しかしながら、可動型Bによって成形され
た面と胴型によって成形された面とが交わる部分の稜に
成形バリが生じることは、モールド成形の初期の段階
(成形型内に成形予備体を配置した時点を含む。)にお
いて可動型Bの転写成形面と接する面(成形予備体の一
面)を取り囲む稜に、2つの面が90°以下の角度で互
いに交わることによって形成される稜(以下、このよう
な稜を「エッジ状の鋭い稜」ということがある。)が存
在しないように成形予備体の形状を選定することによ
り、換言すれば、成形予備体の成形予備体の形状を以下
のように選定することにより、抑制することができる。
【0057】すなわち、可動型Bの転写成形面にモール
ド成形の初期の段階で接しさせようとする側の面(成形
予備体の一面)から成形予備体を平面視したときに、前
記の面の輪郭線の少なくとも一部が、(i) 一つの曲面の
一部、または、(ii)互いに90°よりも大きな角度で交
わる2つの面同士の稜、によって形成されることになる
ように成形予備体の形状を選定することにより、可動型
Bによって成形された面と胴型によって成形された面と
が交わる部分の稜に成形バリが生じることを抑制するこ
とができる。
【0058】ここで、上記(i) でいう「一つの曲面」と
は、(a) 鋭角,直角または鈍角で互いに交わる2つの面
同士の稜に丸み付け加工を施すことによって形成された
曲面、(b) 2つの面同士の稜が曲面となるようにして成
形予備体を成形した場合における前記の曲面、および、
(c) 図5や図6に示した成形予備体のように、当該成形
予備体を正面視したときの正面を前面としたときに、そ
の前後軸の回りに180°より広い範囲に亘って広がっ
ている曲面からなる側面を有している成形予備体におけ
る前記の曲面(他の面との稜部分を除く。)、を含む。
また、上記(ii)でいう「面」は、稜を面取り加工するこ
とによって形成された面を含む。
【0059】勿論、所定形状のキャビティを3つの型要
素によって形成する成形型を用いて得た成形品では、固
定型Bによって成形された面と胴型によって成形された
面とが交わる部分の稜においても成形バリが生じること
がある。したがって、前記の稜に成形バリが生じること
を抑制するうえからは、上記と同様に、モールド成形の
初期の段階(成形型内に成形予備体を配置した時点を含
む。)において固定型Bの転写成形面と接する面(成形
予備体の一面)を取り囲む稜にエッジ状の鋭い稜が存在
しないように、成形予備体の形状を選定することが好ま
しい。
【0060】面取り加工や丸み付け加工を施すことによ
って所望形状の成形予備体を得ようとする場合、これら
の加工による面取りや丸み付けの度合いは、可動型Bに
よって成形された面と胴型によって成形された面とが交
わる部分の稜に成形バリが生じることを抑制しようとす
るときに要するものよりも、固定型Bによって成形され
た面と胴型によって成形された面とが交わる部分の稜に
成形バリが生じることを抑制しようとするときに要する
ものの方が小さくてよい。
【0061】例えば、図8に示した形状の成形予備体7
0を得るにあたって施す面取りや丸み付けの度合いは、
当該面取りおよび丸み付けのいずれをも施さなかったと
仮定したときの成形予備体の体積、すなわち、全ての稜
がエッジ状の鋭い稜となっている成形予備体を想定した
ときの当該成形予備体の体積の10%を中心とした範囲
内で選択することができ、厚肉部71の上面側の面取り
や丸み付けの度合を成形予備体70の底面側の面取りや
丸み付けの度合いの1/2程度とすれば、成形バリの発
生を抑制することが容易になると共に、モールド成形時
の成形精度を向上させることが容易になる。
【0062】ただし、前述した特願平9−265719
号明細書に記載されている発明のモールド成形型におい
ては胴型が固定型B(下型または上型)に密着固定され
ていることから、胴型と固定型Bとの間にクリアランス
がほとんど無い。このため、当該モールド成形型を用い
た場合には、従来の成形型を用いた場合よりも、成形品
の稜のうちで固定型Bによって成形された面と胴型によ
って成形された面とが交わる部分の稜に成形バリが生じ
にくい。したがって、前記のモールド成形型を用いて光
ファイバ固定用部材を製造しようとする場合には、成形
予備体の表面のうちで固定型Bの転写成形面に接しさせ
ようとする面を取り囲む稜に面取り加工や丸み付け加工
を施さなくても、換言すれば、当該稜がエッジ状の鋭い
稜であっても、成形品の稜のうちで固定型Bによって成
形された面と胴型によって成形された面とが交わる部分
の稜に成形バリが生じることが抑制される。この場合で
も、可動型B(上型または下型)によって成形された面
と胴型によって成形された面とが交わる部分の稜に成形
バリが生じることを抑制するうえからは、前述したよう
に、可動型Bの転写成形面にモールド成形の初期の段階
で接しさせようとする側の面(成形予備体の一面)から
成形予備体を平面視したときに、すなわち、成形予備体
を底面視したときに、底面の輪郭線の少なくとも一部
が、(i) 一つの曲面の一部、または、(ii)互いに90°
よりも大きな角度で交わる2つの面同士の稜、によって
形成されることになるように成形予備体の形状を選定す
ることが好ましい。
【0063】小型の成形予備体においては、特に薄肉部
の上面側に特定の面取り加工や丸み付け加工を施すこと
が困難である。しかしながら、成形型として上記のモー
ルド成形型を用い、かつ、成形予備体における厚肉部の
上面もしくは頂部が固定型Bの転写成形面に面するよう
にして当該成形予備体を前記のモールド成形型内に配置
してモールド成形するようにすれば、上述した理由か
ら、成形予備体における薄肉部の上面側に面取り加工や
丸み付け加工を施さなくてもよくなる。その結果とし
て、所望の成形予備体を高い生産性の下に得ることが容
易になり、ひいては、所望の光ファイバ固定用部材を高
い生産性の下に得ることが容易になる。
【0064】なお、光ファイバ固定用部材を正面視した
ときに正面となる側面と当該光ファイバ固定用部材にお
ける光ファイバ固定部の上面とが交わる部分の稜、前記
正面となる側面と当該光ファイバ固定用部材における底
面とが交わる部分の稜、および、光ファイバ固定用部材
を正面視したときに右側面または左側面となる側面(計
2つ)と前記光ファイバ固定部の上面とが交わる部分の
稜(計2つ)については、成形バリが生じることを極力
抑制することが望ましい。したがって、光ファイバ固定
用部材におけるこれらの稜に対応する成形予備体の稜に
は、モールド成形に使用する成形型の構造に拘わらず、
面取り加工または丸み付け加工を施すことが好ましい。
【0065】モールド成形は、成形予備体の粘度が10
7.6 〜1014ポアズとなる温度環境下、または、成形予
備体が前記の粘度に相当する変形能を示す温度環境下で
行うことが好ましい。また、モールド成形時の圧力は使
用する成形予備体の組成,加熱温度,成形時間および変
形量等に応じて適宜選択されるが、ガラスからなる成形
予備体を用いる場合には概ね2〜500kgf/cm2
の範囲内となり、概ね20〜300kgf/cm2 の範
囲内とすることが好ましい。加圧時間は概ね5〜250
秒でよい。モールド成形時の雰囲気は窒素ガス雰囲気等
の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。モールド成
形後、成形型内の成形品を20〜70℃/分の速度で成
形材料のガラス転移点温度近辺まで冷却し、その後に成
形品を成形型から離す。
【0066】次に、本発明の方法Iについて説明する。
本発明の方法Iは、前述した本発明の成形予備体を製造
するための方法として好適な方法である。この方法Iに
おいては、前述したように、成形予備体を製造するため
の材料の厚みを前記の成形予備体の最大厚みと同等ない
しそれ以上とし、前記の材料に部分的に研削加工を施し
て薄肉部を形成した後または前記の薄肉部を形成する前
に、当該材料の平面視上の大きさを前記の成形予備体の
平面視上の大きさと同等ないしそれ以上として、(i) 厚
肉部と、(ii)前記の厚肉部の上面もしくは頂部よりも一
段低い位置に上面もしくは頂部が形成されている薄肉部
とを有し、前記の薄肉部が前記の厚肉部に隣接するよう
にして形成されており、平面視上の形状が前記の光ファ
イバ固定用部材の平面視上の形状と近似し、かつ、側面
視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の側面視上の
形状と近似している成形物を得る。
【0067】成形予備体の材料の具体的な材質について
は本発明の成形予備体についての説明の中で既に述べて
あるので、ここではその説明を省略する。また、当該材
料の形状は目的とする成形予備体の形状や量産性等を勘
案して適宜選択可能であり、例えば厚肉部の断面形状が
矩形である成形予備体を得るための材料としては板状物
を用いることができる。ただし、その厚みについては、
上記のように、成形予備体の最大厚みと同等ないしそれ
以上とする。
【0068】上記材料の厚みが成形予備体の最大厚みと
同等であった場合には、例えば下記(i) 〜(vi)の方法に
より、目的とする成形予備体を得ることができる。 (i) 上記の材料に薄肉部を形成した後にその平面視上の
大きさが前記の成形予備体の平面視上の大きさと同等の
上記成形物を得ることにより、目的とする成形予備体を
得る。 (ii)上記の材料に薄肉部を形成した後にその平面視上の
大きさが前記の成形予備体の平面視上の大きさより若干
大きな上記成形物を得、その後に、当該成形物の平面視
上の大きさが成形予備体の平面視上の大きさと同等とな
るように研磨加工を施すことにより、目的とする成形予
備体を得る。
【0069】(iii) 平面視上の大きさが前記の成形予備
体の平面視上の大きさと同等のブロックが得られるよう
に上記の材料を切断し、当該ブロックに薄肉部を形成し
て上記の成形物を得ることにより、目的とする成形予備
体を得る。 (iv)平面視上の大きさが前記の成形予備体の平面視上の
大きさより若干大きなブロックが得られるように上記の
材料を切断し、当該ブロックに薄肉部を形成した後、そ
の平面視上の大きさが成形予備体の平面視上の大きさと
同等となるように研磨加工を施して上記の成形物を得る
ことにより、目的とする成形予備体を得る。
【0070】(v) 平面視上の大きさが前記の成形予備体
の平面視上の大きさより若干大きなブロックが得られる
ように上記の材料を切断し、当該ブロックの平面視上の
大きさが成形予備体の平面視上の大きさと同等となるよ
うに研磨加工を施した後に当該ブロックに薄肉部を形成
して上記の成形物を得ることにより、目的とする成形予
備体を得る。 (vi)任意の段階において所望の稜に面取り加工や丸み付
け加工を施す以外は上記(i) 〜(iv)のいずれかの方法と
同様にして上記の材料を加工することにより、目的とす
る成形予備体を得る。
【0071】上記(vi)の方法のうち、上記(iii) の方法
における任意の段階で所望の稜に面取り加工を施す方法
の具体例としては、例えば図9(a)〜(e)に示す2
つの方法が挙げられる。図9に示した1つめの方法は、
成形予備体の材料として例えばガラスからなる板状物8
0を用い、この板状物80に対して図9(a),(b)
および(d)の順に加工を施して、図9(e)に示す成
形予備体85を得る方法である(以下、この方法を「方
法IA」という。)。
【0072】方法IAでは、図9(a)に示すように、
まず、幅方向の断面がV字状を呈する溝(以下、この溝
を「V字状溝」という。)80aを所定本数、板状物8
0の両面にそれぞれ所定の間隔で形成する。これらのV
字状溝は、一方の面に形成したV字状溝と他方の面に形
成したV字状溝とがその長さ方向に沿って平面視上重な
るように形成される。当該V字状溝80aの形成は、後
述するように、最終的に得られる成形予備体おいて当該
成形予備体に面取り加工を施したのと同等の効果を奏す
る。次いで、各V字状溝80aの底部を中心にしてその
長さ方向に沿って板状物80を切断ないし破断して、平
面視上の大きさが目的とする成形予備体の平面視上の大
きさと同等であるブロック81を所定個得る。
【0073】このようにして得られたブロック81の各
々は、図9(b),(d)に示すように、平面視上なら
びに側面視上の形状および大きさが当該ブロックの平面
視上ならびに側面視上の形状および大きさと同じである
直方体に所定の面取り加工、すなわち、前記の直方体の
稜のうちで当該直方体の長さ方向に延びている4つの稜
それぞれに面取り加工を施した形状を呈する。なお、図
9(b)における符号82は、板状物80から2つのブ
ロック81を作製したときに生じた端材を示している。
【0074】この後、上記のブロック81における所望
の領域を切削してここに薄肉部を形成することにより、
前記の薄肉部83と、当該薄肉部83以外の領域である
厚肉部84とを有する成形予備体85を得る。
【0075】なお、図9に示した方法IAにおいては、
V字状溝80aの長さ方向と薄肉部83の長さ方向とが
平行になるように順次加工を行っているが、V字状溝8
0aの長さ方向と薄肉部83の長さ方向とが実質的に直
交するように順次加工を行っても、所望の成形予備体を
得ることができる。1枚の板状物から作製されるブロッ
クの数は特に限定されるものではなく、適宜選択可能で
ある。したがって、成形予備体の材料として使用する板
状物の大きさは、当該板状物から作製しようとするブロ
ックの数に応じて適宜選定される。また、板状物に形成
するV字状溝の本数およびその形成箇所は、当該板状物
から幾つのブロックを作製するかに応じて、あるいは、
面取り加工によって形成されたに等しい面をブロックの
何処に形成するか、ひいては、目的とする成形予備体の
何処に形成するか、に応じて適宜選択される。前記の板
状物には所定本数のV字状溝を格子状に形成してもよ
く、当該板状物の両面に所定本数のV字状溝を格子状に
形成した場合には、直方体の上面を取り囲む4つの稜お
よび当該直方体の底面を取り囲む4つの稜にそれぞれ所
定の面取り加工を施した形状のブロックを得ることがで
きる。V字状溝は、板状物の片面にのみ形成するように
してもよい。さらに、ブロックの所望の稜、例えば、当
該ブロックの厚さ方向に延びている稜、に改めて面取り
加工または丸み付け加工を施すようにしてもよい。
【0076】一方、図9に示した他の方法は、成形予備
体の材料として例えばガラスからなる板状物80を用
い、この板状物80に対して図9(c)および(d)の
順に加工を施して、図9(e)に示す成形予備体85を
得る方法である(以下、この方法を「方法IB」とい
う。)。
【0077】方法IBでは、図9(c)に示すように、
まず、板状物80を所定の大きさに切断して(切断しよ
うとする箇所は、図9(c)中に一点鎖線で示してあ
る。)、平面視上の大きさが目的とする成形予備体の平
面視上の大きさと同等である直方体を所定個得る。次い
で、これらの直方体の各々の所定箇所に面取り加工を施
して、すなわち、前記の直方体の稜のうちで当該直方体
の長さ方向に延びている4つの稜それぞれに面取り加工
を施して、図9(d)に示すブロック81を得る。この
後、前述した方法IAにおけるのと同様に上記のブロッ
ク81における所望の領域を切削してここに薄肉部を形
成することにより、前記の薄肉部83と当該薄肉部83
以外の領域である厚肉部84とを有する成形予備体85
を得る。
【0078】なお、前述した方法IAにおけるのと同様
に、方法IBにおいて成形予備体の材料として使用する
板状物の大きさは、当該板状物から作製しようとするブ
ロックの数に応じて適宜選定される。また、方法IBに
おいては、上記のブロック81を加工して成形予備体8
5を作製しているが、(i) 板状物から切り出された上記
の直方体の上面を取り囲む4つの稜および当該直方体の
底面を取り囲む4つの稜にそれぞれ所定の丸み付け加工
を施すことによって目的とするブロックを得、このブロ
ックに薄肉部を形成することによって成形予備体を作製
するようにしてもよいし、(ii)板状物から切り出された
上記の直方体の全ての稜にそれぞれ所定の面取り加工ま
たは丸み付け加工を施すことによって目的とするブロッ
クを得、このブロックに薄肉部を形成することによって
成形予備体を作製するようにしてもよい。
【0079】本発明の成形予備体についての説明の中で
述べたように、光ファイバ係合部が高精度でパターン転
写されている光ファイバ固定用部材を得ることが容易な
成形予備体を得るうえからは、成形予備体における厚肉
部表面のうちで成形型に設けられている光ファイバ係合
部形成用の転写成形面とモールド成形時に接することと
なる部分の平均粗さを1μm以下にすることが好まし
い。したがって、厚みが成形予備体の最大厚みと同等で
ある材料(成形予備体の材料)を用いる場合には、前記
の成形予備体が得られるように、研磨加工によって上記
材料の表面の平均粗さを予め所望値としておくことが好
ましい。
【0080】厚肉部表面のうちで成形型に設けられてい
る光ファイバ係合部形成用の転写成形面とモールド成形
時に接することになる部分の平均粗さが所望値である成
形予備体は、当該成形予備体の材料としてその表面の平
均粗さが所望値となるように予め研磨加工されたものを
用いることにより得ることができる。
【0081】また、成形予備体の材料としてはその表面
の平均粗さが所望値より大きい(粗い)ものを用い、当
該成形予備体の材料から成形予備体を作製する所望の過
程で研磨加工を施すことによっても、所望の成形予備体
を得ることができる。この場合には、成形予備体の材料
としてその厚みが成形予備体の最大厚みより研磨代の分
だけ厚いものを用い、当該材料に薄肉部を形成した後ま
たは前記の薄肉部を形成する前に研磨加工を施して、厚
肉部の表面のうちで少なくとも薄肉部の上面もしくは頂
部と同じ側の表面(成形型に設けられている光ファイバ
係合部形成用の転写成形面とモールド成形時に接するこ
とになる部分)の平均粗さが所望値となっている成形物
を得る。
【0082】そして、(i) 成形予備体の材料に薄肉部を
形成する前に上記の研磨加工を施し、その後に当該材料
の平面視上の大きさを成形予備体の平面視上の大きさと
同等とした場合、および、(ii)成形予備体の材料に薄肉
部を形成した後であっても当該材料の平面視上の大きさ
を成形予備体の平面視上の大きさと同等の大きさとする
前に上記の研磨加工を施した場合には、前記の成形物を
得ることによって目的とする成形予備体が得られる。ま
た、(iii) 成形予備体の材料としてその厚みが成形予備
体の最大厚みより研磨代の分だけ厚いものを用い、当該
材料に薄肉部を形成した後または前記の薄肉部を形成す
る前に上記の研磨加工を施し、その後に当該材料の平面
視上の大きさが成形予備体の平面視上の大きさより大き
な上記成形物を得た場合には、当該成形物の平面視上の
大きさが成形予備体の平面視上の大きさと同等となるよ
うに更に研磨加工を施し、薄肉部を未だ形成していない
場合には当該研磨加工の前または後に薄肉部を形成する
ことにより、目的とする成形予備体を得ることができ
る。
【0083】したがって、方法Iでいう「成形予備体を
製造するための材料の厚みを前記の成形予備体の最大厚
みと同等ないしそれ以上とする」とは、成形予備体を製
造するための材料の厚みを前記の成形予備体の最大厚み
と同等ないし研磨代の分だけ厚くすることを意味する。
また、方法Iでいう「成形予備体を製造するための材料
の平面視上の大きさを前記の成形予備体の平面視上の大
きさと同等ないしそれ以上とする」とは、成形予備体を
製造するための材料の平面視上の大きさを、当該材料に
薄肉部を形成する前または前記の薄肉部を形成した後の
段階において、前記の成形予備体の平面視上の大きさと
同等ないし研磨代の分だけ大きくすることを意味する。
【0084】なお、研磨加工によって形成された面に傷
が付くことを抑制するうえからは、成形予備体を得る工
程の最後の段階で前記の研磨加工を行うことが好まし
い。特に、成形予備体における厚肉部表面のうちで成形
型に設けられている光ファイバ係合部形成用の転写成形
面とモールド成形時に接することとなる面に研磨加工を
施して当該面の表面の平均粗さを1μm以下にしようと
する場合には、成形予備体を得る工程の最後の段階で前
記の面を研磨加工することが好ましい。
【0085】本発明の成形予備体についての説明の中で
述べたように、成形予備体における厚肉部の最大厚みを
tとし、当該成形予備体を用いて作製しようとする光フ
ァイバ固定用部材における光ファイバ固定部の最大厚み
をTとしたとき、これらの比t/Tは1.001〜2.
5であることが好ましいので、方法Iにおいてもt/T
が前記の範囲内にある成形予備体を得ることが好まし
い。
【0086】また、本発明の成形予備体についての説明
の中で述べたように、成形予備体における厚肉部の体積
をv1 、当該成形予備体における薄肉部の体積をv2
し、当該成形予備体を用いて作製しようとする光ファイ
バ固定用部材における光ファイバ固定部の体積をV1
当該光ファイバ固定用部材における段違い部の体積をV
2 としたとき、成形予備体は体積比率[(v1/V1)−
(v2/V2)]が0.001〜0.1となるように体積
配分されていることが好ましい。したがって、方法Iに
おいても体積比率[(v1/V1)−(v2/V2)]が前
記の範囲内にある成形予備体を得ることが好ましい。
【0087】本発明の方法Iは、特に、厚肉部の断面形
状が矩形,角部が丸みを帯びている矩形,五角形以上の
多角形,角部が丸みを帯びている五角形以上の多角形等
である成形予備体を得るための方法として好適である。
【0088】次に、本発明の方法IIについて説明する。
本発明の方法IIも、上述した方法Iと同様に、前述した
本発明の成形予備体を製造するための方法として好適な
方法である。この方法IIにおいては、前述したように、
前記の成形予備体を製造するための材料に流動性をもた
せた状態下で該材料をダイに注入して固化させた後、固
化物を前記のダイから離型させて、目的とする成形予備
体、すなわち、前述した本発明の成形予備体を得る。し
たがって、方法IIはいわゆるキャスティング法によって
成形予備体を得る方法である。
【0089】成形予備体の材料の具体的な材質について
は本発明の成形予備体についての説明の中で既に述べて
あるので、ここではその説明を省略する。また、方法II
で使用するダイの形状(キャビティの形状)は、目的と
する成形予備体の形状に応じて適宜選択される。
【0090】本発明の成形予備体についての説明の中で
述べたように、成形予備体における厚肉部の最大厚みを
tとし、当該成形予備体を用いて作製しようとする光フ
ァイバ固定用部材における光ファイバ固定部の最大厚み
をTとしたとき、これらの比t/Tは1.001〜2.
5であることが好ましいので、方法IIにおいてもt/T
が前記の範囲内にある成形予備体を得ることが好まし
い。
【0091】また、本発明の成形予備体についての説明
の中で述べたように、成形予備体における厚肉部の体積
をv1 、当該成形予備体における薄肉部の体積をv2
し、当該成形予備体を用いて作製しようとする光ファイ
バ固定用部材における光ファイバ固定部の体積をV1
当該光ファイバ固定用部材における段違い部の体積をV
2 としたとき、成形予備体は体積比率[(v1/V1)−
(v2/V2)]が0.001〜0.1となるように体積
配分されていることが好ましい。したがって、方法IIに
おいても体積比率[(v1/V1)−(v2/V2)]が前
記の範囲内にある成形予備体を得ることが好ましい。
【0092】本発明の方法IIは、特に、厚肉部の断面形
状が曲線によって囲まれた形状(円形,楕円形等)であ
る成形予備体、または、前記の断面形状が直線と曲線と
によって囲まれた形状(半円形,蒲鉾形等)である成形
予備体形を得るための方法として好適である。
【0093】なお、光ファイバ固定部と段違い部とを有
する光ファイバ固定用部材としては、段違い部の側縁部
に側壁部を有するタイプのものも知られているわけであ
るが、本発明の成形予備体における厚肉部の形状を適宜
変更すれば、前記のタイプの光ファイバ固定用部材をモ
ールド成形によって作製するうえで好適な成形予備体を
本発明の方法Iまたは方法IIによって容易に得ることが
できる。
【0094】例えば、成形予備体を正面視したときにお
ける厚肉部の右側縁部および左側縁部をそれぞれ薄肉部
側に延長し、当該延長部分の間に薄肉部が存在するよう
に成形予備体の形状を選択すれば、図10(a)に示す
光ファイバ固定用部材90のように、光ファイバ係合部
91が上面に形成されている光ファイバ固定部92と、
前記の光ファイバ係合部よりも一段低い位置に上面が形
成されている段違い部93とを有し、更に、当該光ファ
イバ固定用部材90を正面視したときの段違い部93の
右側縁部および左側縁部に、光ファイバ固定部92と実
質的に同じ高さの側壁部94a,94bを有しているタ
イプの光ファイバ固定用部材をモールド成形によって作
製するうえで好適な成形予備体が得られる。
【0095】また、成形予備体を正面視したときにおけ
る厚肉部の右側縁部および左側縁部をそれぞれ薄肉部側
に延長して当該延長部分の間に薄肉部が存在するように
し、かつ、前記の延長部分の高さが厚肉部の他の部分よ
りも一段高くなるように成形予備体の形状を選択すれ
ば、図10(b)に示す光ファイバ固定用部材95のよ
うに、光ファイバ係合部96が上面に形成されている光
ファイバ固定部97と、前記の光ファイバ係合部よりも
一段低い位置に上面が形成されている段違い部98とを
有し、更に、当該光ファイバ固定用部材95を正面視し
たときの段違い部98の右側縁部および左側縁部に、光
ファイバ固定部96よりも一段高い側壁部99a,99
bを有しているタイプの光ファイバ固定用部材をモール
ド成形によって作製するうえで好適な成形予備体が得ら
れる。
【0096】勿論、側壁部を有するタイプの光ファイバ
固定用部材における側壁部の上面もしくは側面と光ファ
イバ固定部の上面とは必ず連接していなければならない
というようなものではなく、側壁部と光ファイバ固定部
との間には、必要に応じて溝部を形成してもよい。この
ような溝部を有する光ファイバ固定用部材を得ようとす
る場合には、成形予備体についても、前記の溝部に対応
する溝部を形成しておくことが好ましい。
【0097】さらに、光ファイバ固定用部材は、目的と
する光ファイバ固定用部材を1個ずつモールド成形する
他に、複数個の光ファイバ固定用部材が直列,並列ある
いはマトリックス状に配置されている形状のモールド成
形品を一旦作製した後、当該モールド成形品から各光フ
ァイバ固定用部材を切り出し、必要に応じて所定の後加
工を施すことによっても製造することができるわけであ
るが、本発明の成形予備体の形状を適宜変更すれば、前
記のモールド成形品を作製するうえで好適な成形予備体
を本発明の方法Iまたは方法IIに準じて容易に得ること
ができる。
【0098】例えば、2つの成形予備体が厚肉部を共有
した状態で直列に配置された形状を呈するように成形予
備体の形状を選択すれば、図11に示すモールド成形品
100のように、光ファイバ固定部101および段違い
部102を有する2つの光ファイバ固定用部材103
a,103bが光ファイバ固定部101および光ファイ
バ係合部104を共有した状態で直列に配置されている
モールド成形品を容易に得ることができる。このモール
ド成形品100をその長さ方向と直交する方向に沿って
2つに切断すれば(切断面は、図中に一点鎖線105で
示されている。)、計2個の光ファイバ固定用部材10
3a,103bが得られる。
【0099】また、2つの成形予備体が厚肉部を共有し
た状態で直列に配置されているユニットがその幅方向に
沿って4個配列された形状を呈するように成形予備体の
形状を選択すれば、図12に示すモールド成形品110
のように、光ファイバ固定部111および段違い部11
2を有する2つの光ファイバ固定用部材113a,11
3bが光ファイバ固定部111および光ファイバ係合部
114を共有した状態で直列に配置されている形状のユ
ニット115がその幅方向に沿って4個配列された形状
を呈するモールド成形品を容易に得ることができる。こ
のモールド成形品110を図11に示す一点鎖線116
に沿って順次切断すれば、計8個の光ファイバ固定用部
材113a,113bが得られる。
【0100】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)成形予備体の製造 まず、作製しようとする光ファイバ固定用部材として、
図1に示す光ファイバガイドブロック1を選択した。図
1に示した光ファイバガイドブロック1は、V溝からな
る計8つの光ファイバ係合部2が上面に形成されている
光ファイバ固定部3と、前記の光ファイバ係合部2より
も一段低い位置に上面4aが形成されている段違い部4
とを有し、当該段違い部4が前記の光ファイバ固定部3
に隣接するようにして形成されているものである。そし
て、段違い部4は光ファイバ固定部3から垂直に落ち込
むようにして形成されている。
【0101】光ファイバ固定部3は、平面視したときに
は5×5mmの矩形の角部に若干の丸みをもたせた形状
を呈し、正面視したときには1.5×5mmの矩形の角
部に若干の丸みをもたせた形状を呈する(ただし、光フ
ァイバ係合部2の凹凸は無視する。)。したがって、当
該光ファイバ固定部3の最大厚みTは1.5mmであ
り、その体積V1 は36.75mm3 である。一方、段
違い部4は、平面視したときには7×5mmの矩形の角
部(ただし、光ファイバ固定部3側の2つの角部を除
く)に若干の丸みをもたせた様な形状を呈し、正面視し
たときには1.25×5mmの矩形の角部に若干の丸み
をもたせた形状を呈する。したがって、当該段違い部4
の上面と光ファイバ固定部3の上面3aとの段差は最大
0.25mmであり、その体積V2 は43.75mm3
である。
【0102】次に、両面に研磨加工を施してその平均粗
さを0.5μmとした硼酸塩系ガラス板(厚みは3.0
0mm)を成形予備体の材料として用い、このガラス板
に研削加工を施して所望の領域に亘って薄肉部を形成し
た後、このものから図3に示した成形予備体20と同様
の形状を呈するものを切り出すことによって、計100
個の成形予備体を製造した。
【0103】表1に示すように、各成形予備体における
厚肉部は、平面視したときには4.10×3.00mm
の矩形を呈し、正面視したときには3.00×3.00
mmの矩形を呈する。したがって、厚肉部の最大厚みt
は3.00mmであり、その体積v1 は36.90mm
3 である。一方、各成形予備体における薄肉部は前記の
厚肉部から垂直に落ち込むようにして形成されており、
平面視したときには6.08×3.00mmの矩形を、
また正面視したときには2.40×3.00mmの矩形
を呈する。したがって、当該薄肉部の上面と厚肉部の上
面との段差は0.60mmであり、その体積v2 は4
3.78mm3 である。これらの成形予備体は、体積比
率[(v1/V1)−(v2/V2)]が0.0035とな
るように製造されており、当該成形予備体における厚肉
部の最大厚みtと前述した光ファイバガイドブロック1
における光ファイバ固定部3の最大厚みTとの比t/T
は2.000である。
【0104】(2)光ファイバガイドブロックの作製 まず、図2に示すように、上型,胴型および下型の計3
つの型要素からなる成形型10を用意した。この成形型
10を構成している上型11は、平板状の型要素であ
る。当該上型11の片面には離型膜11aが設けられて
おり、この離型膜11aの表面が転写成形面として使用
される。上型11の下面における周縁部は、モールド成
形時に胴型12の上面によって係止される。胴型12は
水平断面が矩形枠状を呈する筒状の型要素であり、この
胴型12の使用時における上面および内側側面には離型
膜12aが設けられている。
【0105】下型13は、光ファイバガイドブロック1
(図1参照)における光ファイバ固定部3の上面3a
(光ファイバ係合部8の表面を含む。)を形成するため
の転写成形面を有する第1の成形部14と、光ファイバ
ガイドブロックにおける段違い部4の上面4aを形成す
るための転写成形面を有する第2の成形部15とを備え
ており、これら第1の成形部14および第2の成形部1
5は図示を省略した固定枠によって機械的に一体化され
ている。
【0106】第1の成形部14は四角柱状を呈し、その
使用時における上端部には、形成しようとする光ファイ
バ係合部の形状に対応した所定形状の凸部14aが8
本、250±0.3μmのピッチで互いに平行に形成さ
れている。また、第1の成形部14の使用時における下
端部には、第2の成形部15に接する面側を除いて、胴
型12の使用時における下面を係止するためのつば部1
4bが形成されている。一方、第2の成形部15も四角
柱状を呈するが、その使用時における上面は平面からな
り、当該上面は第1の成形部14の使用時における上面
(8つの凸部14aを除いた平面)より250μmだけ
上方(使用時における上方)に突出している。したがっ
て、第1の成形部14と第2の成形部15との境界には
段差がある。また、第2の成形部15の使用時における
下端部にも、第1の成形部14に接する面側を除いて、
胴型12の使用時における下面を係止するためのつば部
15aが形成されている。
【0107】なお、上述した第1の成形部14の上面お
よび当該上面からつば部14bの上面にかけての側面に
は離型膜14cが設けられており、第2の成形部15の
上面および当該上面からつば部15aの上面にかけての
側面には離型膜15bが設けられている。そして、表面
に離型膜14cを有する上記8つの凸部14aの寸法精
度(ピッチおよび高さについての寸法精度)は±0.3
μm以内である。
【0108】モールド成形時においては、下型13は固
定配置され、つば部14b,15aによって胴型12の
下面が係止されるようにして当該下型13上に胴型12
が配置される。成形予備体16は、厚肉部の上面が前記
第1の成形部14の上面と対向し、薄肉部の上面が前記
第2の成形部15の上面と当接し、かつ、厚肉部と薄肉
部との境界が前記第1の成形部14と前記第2の成形部
15との境界に当たるように配置される。また、成形型
10内に配置された成形予備体を正面視するようにして
断面をとったときに、成形予備体の左端と胴型12の内
側側面との間の距離(最短距離)L1 が成形予備体の右
端と胴型12の内側側面との間の距離(最短距離)L2
と実質的に等しくなるように、成形予備体を配置するこ
とが好ましい。
【0109】上記の成形型10と前述した成形予備体と
を用いて以下のようにしてモールド成形を行って、目的
とする光ファイバガイドブロック1を得た。まず、上述
のようにして成形型10内に配置(L1 =L2 とす
る。)された成形予備体をその温度が580℃(このと
きのガラスの粘度は108 ポアズである。)となるよう
に成形型10ごと窒素ガス雰囲気中で加熱し、この状態
下で、上型11を当該上型11が胴型12の上面に係止
されるまで180kgf/cm2の成形圧で下降させ、
200秒間にわたって成形予備体を加圧した(表2参
照)。図1(c)はこのときの成形型10および成形品
17の短手方向の垂直断面の概略を示す図であり、図1
(d)はこのときの成形型10および成形品17の長手
方向の垂直断面の概略を示す図である。この後、50℃
/分の速度で室温にまで冷却してから成形品17を成形
型10から取り出し、これによって光ファイバガイドブ
ロック1を得た。
【0110】同様にして計100個の光ファイバガイド
ブロックを作製し、これらの光ファイバガイドブロック
における光ファイバ係合部8の累積ピッチ精度および深
さ精度を接触式微細輪郭形状測定器を用いて測定した。
また、これらの光ファイバガイドブロックそれぞれにつ
いて、光ファイバ固定部を正面視したときにおける当該
光ファイバ固定部の幅および厚み(最大厚み)をマイク
ロメータで測定し、その値について光ファイバガイドブ
ロック間での変動幅を求めた。これらの結果を表3に示
す。
【0111】なお、本明細書でいう「光ファイバ係合部
の累積ピッチ」とは、各光ファイバ係合部のそれぞれに
同一直径の光ファイバを固定したと仮定し、光ファイバ
ガイドブロックを正面視したときに最も左端または右端
に位置する光ファイバ係合部に固定された光ファイバ
(以下、この光ファイバを「光ファイバA」という。)
を基準として求めた当該光ファイバAと他の光ファイバ
とのピッチを意味する。本実施例の場合には、光ファイ
バ係合部の総数が8であることから、計7種類の累積ピ
ッチが存在する。
【0112】実施例2〜実施例4 (1)成形予備体の製造 成形予備体の材料として用いる硼酸塩系ガラス板(両面
に研磨加工を施してその平均粗さを0.3μmとしたも
の)の厚みを実施例2では2.25mm、実施例3では
1.52mm、実施例4では1.62mmとし、研削加
工によって当該ガラス板に薄肉部を形成した後、このも
のから図3に示した成形予備体20と同様の形状を呈す
るものを切り出すことによって、表1に示す大きさの成
形予備体を実施例毎に計100個づつ製造した。
【0113】(2)光ファイバガイドブロックの作製 成形予備体として上記(1)で製造したものを用い、か
つ、モールド成形時の条件を表2に示す条件とした以外
は実施例1と全く同じにして、実施例毎に計100個の
光ファイバガイドブロックをそれぞれ作製した。上記の
光ファイバガイドブロックそれぞれについて、光ファイ
バ係合部の累積ピッチ精度および深さ精度精度を実施例
1と同様にして各実施例毎に測定した。また、各光ファ
イバガイドブロックの幅(光ファイバ固定部を正面視し
たときにおける当該光ファイバ固定部の幅)および厚み
(光ファイバ固定部を正面視したときにおける当該光フ
ァイバ固定部の最大厚み)を実施例1と同様にして実施
例毎に測定し、その値について光ファイバガイドブロッ
ク間での変動幅を実施例毎に求めた。これらの結果を表
3に示す。
【0114】実施例5 (1)成形予備体の製造 まず、成形予備体の材料として厚さ1.85mmの硼酸
塩系ガラス板を用い、このガラス板から1.70×4.
98×11.95mmの直方体を切り出した後、当該直
方体における一方の主表面(以下、「上面」という。)
を取り囲んでいる4つの稜のそれぞれに面取り加工を施
した。ついで、前記の直方体における他方の主表面(以
下「底面」という。)にも面取り加工を施した。このと
きの底面側における面取り量は、上面側における面取り
量の約2倍とした。さらに、前記の直方体においてその
厚さ方向に延びている4つの稜のそれぞれに丸み付け加
工を施して、成形予備体用のブロックを得た。これらの
面取り加工および丸み付け加工によって除去された部分
の総体積は、当該面取り加工および丸み付け加工を施す
前の直方体の体積の約10%である。
【0115】上記の面取り加工および丸み付け加工を施
した後のブロックにおける所定領域を切削除去すること
によって薄肉部を形成し、さらに、厚肉部の上面となる
面に研磨加工を施してその平均粗さを0.3μmとし
て、図8に示した成形予備体70と同様の形状を呈する
成形予備体を得た。そして、上記と同様にして計100
個の成形予備体を製造した。
【0116】(2)光ファイバガイドブロックの作製 成形予備体として上記(1)で製造したものを用い、か
つ、モールド成形時の条件を表2に示す条件とした以外
は実施例1と全く同じにして、計100個の光ファイバ
ガイドブロックを作製した。上記の光ファイバガイドブ
ロックそれぞれについて、光ファイバ係合部の累積ピッ
チ精度および深さ精度精度を実施例1と同様にして各実
施例毎に測定した。また、各光ファイバガイドブロック
の幅(光ファイバ固定部を正面視したときにおける当該
光ファイバ固定部の幅)および厚み(光ファイバ固定部
を正面視したときにおける当該光ファイバ固定部の最大
厚み)を実施例1と同様にして実施例毎に測定し、その
値について光ファイバガイドブロック間での変動幅を実
施例毎に求めた。これらの結果を表3に示す。
【0117】実施例6〜実施例12 成形予備体の材質は実施例1で用いた成形予備体の材質
と同じとし、所定形状のキャビティを有するダイを用い
たキャスティング法によって表1に示す形状および大き
さの成形予備体を実施例毎に計100個づつ製造した。
そして、当該成形予備体を用い、かつ、モールド成形時
の条件を表2に示す条件とした以外は実施例1と全く同
じにして、実施例毎に計100個の光ファイバガイドブ
ロックをそれぞれ作製した。なお、いずれの実施例で用
いた成形予備体も柱状物の一部を切り欠くことによって
薄肉部を形成した様な形状を呈し、当該薄肉部は厚肉部
から垂直に落ち込むようにして形成されている。
【0118】上記の光ファイバガイドブロックそれぞれ
について、光ファイバ係合部の累積ピッチ精度および深
さ精度精度を実施例1と同様にして各実施例毎に測定し
た。また、各光ファイバガイドブロックの幅(光ファイ
バ固定部を正面視したときにおける当該光ファイバ固定
部の幅)および厚み(光ファイバ固定部を正面視したと
きにおける当該光ファイバ固定部の最大厚み)を実施例
1と同様にして実施例毎に測定し、その値について光フ
ァイバガイドブロック間での変動幅を実施例毎に求め
た。これらの結果を表3に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】表3に示したように、実施例1〜実施例1
2のいずれにおいても、得られた光ファイバガイドブロ
ックにおける光ファイバ係合部の累積ピッチ精度は±
0.5μm以内と高く、光ファイバ係合部の深さ精度も
±0.5μm以内と高い。また、これらの実施例のいず
れにおいても、計100個作製した光ファイバガイドブ
ロック間での幅(光ファイバ固定部を正面視したときに
おける当該光ファイバ固定部の幅)の値についての変動
幅は±1μm以内と小さく、厚み(光ファイバ固定部を
正面視したときにおける当該光ファイバ固定部の最大厚
み)の値についての変動幅も±10μm以内と小さい。
さらに、いずれの実施例においても、バリが生じた光フ
ァイバガイドブロックは7%以内であり、光ファイバ係
合部にバリが生じたものは無かった。また、離型時に欠
けが生じた光ファイバガイドブロックも皆無であった。
【0123】比較例1 成形予備体の形状を長さ11mm,幅4.5mm,厚さ
1.625mmの直方体とした以外は実施例1と同様に
して計100個の光ファイバガイドブロックを作製し
た。その結果、光ファイバガイドブロックの角部へのガ
ラスの充填は各実施例と同様に完全ではなかったにも拘
わらず、段違い部側においてガラスが過充填となってバ
リが大きく出易かったことから、離型時に欠け等の不良
が頻繁に発生した。また、光ファイバ係合部のパターン
転写性、特に、個々の光ファイバ係合部の先端付近のパ
ターン転写性が低く、所望の形状にならずに半円となっ
ていた。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の成形予備
体を用いれば、所望の外観を有する光ファイバ固定用部
材を高い生産性および良品率の下に得ることが可能にな
る。したがって、光ファイバ固定用部材を安価に提供す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得ようとした光ファイバガイドブロッ
クの概略を示す斜視図である。
【図2】実施例で用いた成形型の概略を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の成形予備体の形状を概略的に示す斜視
図である。
【図4】本発明の成形予備体の他の形状を概略的に示す
斜視図である。
【図5】本発明の成形予備体の他の形状を概略的に示す
斜視図である。
【図6】本発明の成形予備体の他の形状を概略的に示す
斜視図である。
【図7】本発明の成形予備体の他の形状を概略的に示す
斜視図である。
【図8】図8(a)は本発明の成形予備体の他の形状を
概略的に示す平面図であり、図8(b)は図8(a)に
示した成形予備体を概略的に示す右側面図であり、図8
(c)は図8(a)に示した成形予備体を概略的に示す
正面図である。
【図9】本発明の方法IAに基づく成形予備体の製造方
法の一例を概略的に示す工程図である。
【図10】図10(a)は段違い部の側縁部に側壁部を
有するタイプの光ファイバ固定用部材の一例を概略を示
す斜視図であり、図10(b)は段違い部の側縁部に側
壁部を有するタイプの光ファイバ固定用部材の他の例を
概略を示す斜視図である。
【図11】2個の光ファイバ固定用部材が直列に配置さ
れている形状のモールド成形品の一例を示す斜視図であ
る。
【図12】8個の光ファイバ固定用部材がマトリックス
状に配置されている形状のモールド成形品の一例を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1,90,95…光ファイバガイドブロック、 2,9
1,97…光ファイバ係合部、 3,92,97…光フ
ァイバ固定部、 4,93,98…段違い部、16,2
0,30,40,50,60,70,85…成形予備
体、 21,31,41,51,61,71,84…厚
肉部、 22,32,42,52,62,72,83…
薄肉部、 94a,94b,99a,99b…側壁部。
フロントページの続き (72)発明者 横尾 芳篤 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバの端部を固定するために使用
    される光ファイバ係合部が上面に形成されている光ファ
    イバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一段低い
    位置に上面が形成されている段違い部とを有し、該段違
    い部が前記の光ファイバ固定部に隣接するようにして形
    成されている光ファイバ固定用部材をモールド成形法に
    よって作製するための成形予備体において、 モールド成形に使用される成形型の転写成形面のうちで
    前記の光ファイバ係合部を成形するための転写成形面が
    モールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に接
    することになる厚肉部と、前記の成形型の転写成形面の
    うちで前記段違い部の上面を成形するための転写成形面
    がモールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に
    接することになる薄肉部とからなり、 前記の薄肉部が前記の厚肉部に隣接するようにして形成
    されており、かつ、平面視上の形状が前記の光ファイバ
    固定用部材の平面視上の形状と近似するように、また、
    側面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の側面視
    上の形状と近似するように形成されていることを特徴と
    する成形予備体。
  2. 【請求項2】 正面視の方向と直交する方向に厚肉部を
    切ったときの該厚肉部の断面形状が四角形以上の多角
    形,半円形,蒲鉾形もしくはこれらの形状の角部に丸み
    を帯びさせた形状、または、楕円形,円形もしくはこれ
    らの形状に近似する形状である、請求項1に記載の成形
    予備体。
  3. 【請求項3】 ガラスからなる、請求項1または請求項
    2に記載の成形予備体。
  4. 【請求項4】 底面視したときに、底面の輪郭線の少な
    くとも一部が、(i) 一つの曲面の一部、または、(ii)互
    いに90°よりも大きな角度で交わる2つの面同士の
    稜、によって形成される形状を有する、請求項1〜請求
    項3のいずれか1項に記載の成形予備体。
  5. 【請求項5】 光ファイバの端部を固定するために使用
    される光ファイバ係合部が上面に形成されている光ファ
    イバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一段低い
    位置に上面が形成されている段違い部とを有し、該段違
    い部が前記の光ファイバ固定部に隣接するようにして形
    成されている光ファイバ固定用部材をモールド成形法に
    よって作製するための成形予備体を製造するにあたり、 前記の成形予備体を製造するための材料の厚みを前記の
    成形予備体の最大厚みと同等ないしそれ以上とし、 前記の材料に部分的に研削加工を施して薄肉部を形成し
    た後または前記の薄肉部を形成する前に、該材料の平面
    視上の大きさを前記の成形予備体の平面視上の大きさと
    同等ないしそれ以上として、 (i) 厚肉部と、(ii)前記の厚肉部の上面もしくは頂部よ
    りも一段低い位置に上面もしくは頂部が形成されている
    薄肉部とを有し、前記の薄肉部が前記の厚肉部に隣接す
    るようにして形成されており、平面視上の形状が前記の
    光ファイバ固定用部材の平面視上の形状と近似し、か
    つ、側面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の側
    面視上の形状と近似している成形物を得る、 ことを特徴とする成形予備体の製造方法。
  6. 【請求項6】 厚肉部の表面のうちで少なくとも薄肉部
    の上面もしくは頂部と同じ側の表面が所定の平均粗さと
    なっている成形物が得られるように、成形予備体の材料
    に薄肉部を形成した後または前記の薄肉部を形成する前
    に研磨加工を施す、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 材料としてガラス板を用いる、請求項5
    または請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 光ファイバの端部を固定するために使用
    される光ファイバ係合部が上面に形成されている光ファ
    イバ固定部と、前記の光ファイバ係合部よりも一段低い
    位置に上面が形成されている段違い部とを有し、該段違
    い部が前記の光ファイバ固定部に隣接するようにして形
    成されている光ファイバ固定用部材をモールド成形法に
    よって作製するための成形予備体を製造するにあたり、 前記の成形予備体を製造するための材料に流動性をもた
    せた状態下で該材料をダイに注入し、該材料を固化させ
    た後に固化物を前記のダイから離型させて、 モールド成形に使用される成形型の転写成形面のうちで
    前記の光ファイバ係合部を成形するための転写成形面が
    モールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に接
    することになる厚肉部と、前記の成形型の転写成形面の
    うちで前記段違い部の上面を成形するための転写成形面
    がモールド成形の初期の段階でその上面もしくは頂部に
    接することになる薄肉部とからなり、前記の薄肉部が前
    記の厚肉部に隣接するようにして形成されており、か
    つ、平面視上の形状が前記の光ファイバ固定用部材の平
    面視上の形状と近似するように、また、側面視上の形状
    が前記の光ファイバ固定用部材の側面視上の形状と近似
    するように形成されている成形物を得る、 ことを特徴とする成形予備体の製造方法。
JP21713398A 1997-08-29 1998-07-31 成形予備体およびその製造方法 Pending JPH11133257A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6050205A (en) * 1998-03-31 2000-04-18 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Sewing machine with thread tension releasing mechanism
US6334973B1 (en) 1999-10-01 2002-01-01 Hoya Corporation Method of producing molded article

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