JP2598025B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、光通信の分野において用いられる光導波路
に係り、特に3次元構造を有する光導波路の製造方法に
関する。
(従来の技術) 光通信の光伝送媒体として用いられるものの一つに光
導波路がある。この光導波路は、光を導いて、変調や偏
向など光を制御したり、波長変換、混合、復調あるいは
増幅、パルス波形整形、位相シフト、光ビーム変換など
各種変換を与えたり、分岐、合波などの各種結合や各種
の光情報処理を行なうのに用いられる光学素子であっ
て、もっぱら低損失の長距離伝送に用いられる光ファイ
バとは区別される。
このような光導波路のなかには、2次元構造を有する
平面導波路と称せられるものや、3次元構造を有する3
次元導波路と称せられるものがある。
ここで、従来の3次元導波路の製造方法について第5
図(a)〜(c)を参照しながら説明する。同図には、
この製法として一般的に知られるエッチング法によるも
のの工程図が断面図で示してある。
まず、充分に表面が研磨されたガラス基盤21の上にフ
ォトレジスト22を塗付し(第5図(a))、この上から
光導波路の所望の回路パターンを焼き付けたマスク23を
通して露光し、感光部のフォトレジストを除去する(第
5図(b))。さらに、フォトレジストが除去された部
分24のガラス基盤21をエッチングにより取り除き、光導
波路用の溝25を形成する(第5図(c))。次いで、ガ
ラス基盤21より屈折率の高いガラス材28をスパッタリン
グ法により積層して溝25を埋設し、次にフォトレジスト
を除去してコア部26が形成される。このとき、コア部26
の周囲のガラス基盤21はこのコア部26よりも低い屈折率
を有するクラド部21として作用する。又、コア部26に接
する空気層は、このコア部26より屈折率が低く、ガラス
基盤21と同様にクラッド部21として作用する。
(発明が解決しようとする問題点) 上述のようなコア部とクラッド部とから構成された光
導波路においては、光はコア部26に導かれ、コア部26と
クラッド部21との境界面27で全反射をくり返しながら該
コア部26を伝搬する。
このような光導波路における最も要求される条件は、
コア部26における光の伝送損失が小さいことであって、
その他製造コストが安価であることが望ましい。
ところが、上述した従来のエッチング法による光導波
路においては、コア部26とクラッド部27との境界面27が
滑らかな仕上がりとならず、表面あらさが約Rmax=1μ
mという粗いものになってしまう。そのため、光の伝搬
中に、この境界面27で乱反射が生じてコア部26内の光の
一部が外部へ出てしまい、光の伝送損失が大きくなると
いう問題点があった。
又、上述した従来のエッチング法では、製造工程が複
雑で高価であるという問題点もあった。
本発明は、このような問題点を解消するためになされ
たもので、光の伝送損失が小さく、容易かつ安価に製造
し得る光導波路の製造方法を提供することを目的とす
る。
(問題点を解決するための手段) 上記従来の問題点を解決するために、本発明の光導波
路の製造方法では、成形部分に形成した凸状パターンの
表面粗さがRmaxで0.01μmまで研磨して、前記凸状パタ
ーンのエッジ部に微小のダレを生じさせた型部材を、軟
化した第1の光学素子ガラス材料面に押圧して、その材
料面に、前記凸状パターンに対応する凹状パターンを転
写形成し、前記光学素子ガラス材料面に、前記凹パター
ンを充填するように、第1の光学素子ガラス材料より屈
折率の大きい第2の光学素子ガラス材料を形成し、次い
で、前記凹状パターンに形成された以外の余剰の第2の
光学素子ガラス材料を除去することにより、第1の光学
素子ガラス材料に光導波路を形成することを特徴とす
る。
(作用) 上述した本発明方法において、軟化した第1の光学素
子材料面には、まず、所望する光導波路パターンに対応
した凹溝が形成される。さらにこの凹溝を有する第1の
光学素子材料面には、第2の光学素子材料が形成され、
次いで前記凹溝に形成された第2の光学素子材料以外は
除去せられる。かくして、第1の光学素子材料面には、
所望の光導波路パターンに対応した第2の光学素子材料
から成る部分が形成され、該第2の光学素子材料は第1
の光学素子材料より大きな屈折率を有しているから、凹
溝内の第2の光学素子材料はコア部、該第2の光学素子
材料を囲う第1の光学素子材料、及び空気層はクラッド
部として機能する光導波路が作製される。
本発明方法においては、第1の光学素子材料面に形成
される凹溝状の光導波路パターンは型に形成された光導
波路パターンに対応する凹凸状パターンの押圧成形によ
り形成されるから、この凹凸状パターンの押圧面を所定
の面精度を有する鏡面仕上げとすることにより、前記コ
ア部とクラッド部との境界面の表面あらさは微細なもの
となって、簡易かつ安価な製造方法により、光の伝送損
失が小さな光導波路が製造される。
(実施例) 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説
明する。
第1図(a)〜(d)は、本実施例による製造工程を
示す図である。
本実施例における光学素子材料としては、クラウン系
光学レンズの中でも硬度の大きいBK7(屈折率1.51633,
λ=587.56nm)を用いてある。これを1mm程度の厚さに
切削し、表面研磨を施してガラス基板1とする。
このガラス基板1表面に対して凹状の光導波路パター
ンを形成する金型としては、第2図に示すように、超硬
合金(WC95〜80%,Co5〜20%)の型母材3aの表面上にTi
Nで厚さ6μmの凸状の光導波路パターン3bを作製し、
これを金型3として用いる。TiNによる凸状パターン3b
は、フォトレジスト・エッチング法とスパッタリング法
で作製した後、その表面3cをダイヤモンドパウダーで表
面あらさRmax=0.01μmまで研磨することにより得るこ
とができる。なお、この研磨により、凸状パターン3bの
エッジ部3dには微小のダレが生じたが、これは後述する
金型3の押圧動作と製造される光導波路の性能に何ら悪
影響を及ぼすものではなく、むしろ金型3による押圧動
作と光導波路パターンのエッジ部の微細あらさを改善す
る方向に働く。
そこで、第1図(a)に示すように、上記ガラス基板
1と金型3を不図示の成形装置に収納し、これをN2ガス
中で650℃まで加熱して軟化されたガラス基板1表面に
対して金型3をプレス圧200Kgにて1分間押圧した後、
冷却して凹状の光導波路パターンが成形されたガラス基
板1を得る。第1図(b)に、この成形後のガラス基板
1の断面図が示してある。このガラス基板1には、深さ
6μmの溝4が金型3の凸状パターン3bに対応して形成
され、その底面4aは、電子顕微鏡にて観察した結果、極
めて微細な鏡面仕上りが得られた。
次に、第1図(c)に示すように、ガラス基板1の溝
4を有する表面上に、該ガラス基板1より高い屈折率を
有する光学素子材料として、コーニング7059ガラス(屈
折率=1.544,λ=63.28nm)をスパッタ法により堆積形
成する。このスパッタリングについては、背圧2×10-6
Torr、RFパワー100W、Arガス圧2×10-2Torrの条件下に
て8時間行うことにより、膜厚5μmのガラス層2が形
成された。
次いで、第1図(d)に示すように、不図示の研磨機
を用いて、上記ガラス層2を、該ガラス層2の溝4以外
の部分が除去されるまで研磨することによりコア部10が
形成される。このコア部10の屈折率は、上記したよう
に、1.544であり、該コア部10を囲うガラス基板1の屈
折率(=1.51633)より高く、従ってこのガラス基板1
はコア部10に対してクラッド部として機能する。
こうして得られた光導波路の斜視図が第3図に示して
ある。この図に示すように、該光導波路の回路パターン
は分岐部を有するもので、コア部10を伝送される光をこ
の分岐部にて分離することができる。なお、この他、用
途に応じて所望の凸状パターンを金型3に作製すること
により、種々の機能を発揮する光導波路が作製できる。
上記本実施例方法により作製された光導波路におい
て、コア部10とクラッド部(ガラス基板)1との境界面
10a、10b、10cは、電子顕微鏡で観察した結果、いずれ
の面からも表面あらさRmax=0.01μm以下に相当する鏡
面が得られた。又、空気層に接する面10dは、上記した
ように、不図示の研磨機により研磨された面であり、表
面あらさRmax=0.01μm程度のものである。このコア部
10に接する空気層は、該コア部10より屈折率が低いか
ら、ガラス基板1と同様、コア部10に対してクラッド部
として機能する。
なお、上記実施例においては、ガラス基板1の材料と
してBK7、コア部10を形成する高屈折率ガラスとしてコ
ーニング7059ガラスを用いてあるが、コア部とクラッド
部との屈折率の差を考慮した上で他の光学ガラスを使用
しても良く、又、他の光学素子材料、例えばプラスチッ
クを使用することもできる。
又、金型3として超硬合金の型母材3a上にTiNを薄膜
を凸状パターン3bとして形成したものを用いたが、この
型母材としては、SiC,Si3N4等のセラミックを用いてい
ることもでき、凸状パターン3bの材料としても、TiC,Si
C,Si3N4等の耐熱性を有し、成形用型としての使用に供
し得るものであれば他の材料を使用することもできる。
又、凸状パターン3bを型母材3aに形成するのに、上記方
法の他、型母材3aについて放電加工等の微細除去加工に
より不要部分を除去することにより形成することもでき
る。
さらに、上記実施例においては、ガラス基板1を加熱
軟化することにより金型3で押圧するようにしてある
が、予め溶融状態にされたガラス材をガラス基板1に応
じたキャビティ内に収容し、金型3で押圧しても良い。
又、ガラス基板1上のガラス層2を除去するのに研磨
機を用いて研磨除去してあるが、例えばドライエッチン
グ等の他の方法を用いることもできる。
さらに又、上記実施例においては、コア部10が断面矩
形の溝4として形成されているが、例えば第4図に示す
ような断面半円形の溝11として形成することもできる。
この溝11を形成するのに用いるべき型は、その表面を鏡
面に仕上げることが容易であるから、形成後の境界面11
aは鏡面状態が比較的容易に得られ、より伝送損失の小
さい光導波路が得られる。
又、上記実施例においては、ガラス基板1の片側面に
のみ光導波路の回路パターンを形成してあるが、両側面
について上記と同様の方法により同時に形成することも
できる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の光導波路の製造方法に
よれば、所定の回路パターンが形成された金型をガラス
材に押圧するという簡易な方法によりコア部とその周囲
のクラッド部との境界面の表面あらさが微細に仕上げら
れた光導波路を製造することができる。従って、本発明
方法により光の伝送損失が低い光導波路が安価に得られ
る。しかも、本発明方法は、従来の方法に比較して製造
工程が単純であり、量産性に優れるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(d)は本発明の光導波路の製造方法に
よる製造工程図を示す図、第2図は第1図に示す製造中
において使用される金型の断面図、第3図は第1図に示
す方法により製造された光導波路の斜視図、第4図は第
2図に示す金型とは断面形状において相異する金型によ
り形成された断面半円形のコア部を有する光導波路の断
面図、第5図(a)〜(e)は従来のエッチング法によ
る光導波路の製造工程を示す断面図である。 1……ガラス基板(クラッド部)、2……高屈折率のガ
ラス層、3……金型、4……溝、10,11……コア部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形部分に形成した凸状パターンの表面粗
    さがRmaxで0.01μmまで研磨して、前記凸状パターンの
    エッジ部に微小のダレを生じさせた型部材を、軟化した
    第1の光学素子ガラス材料面に押圧して、その材料面
    に、前記凸状パターンに対応する凹状パターンを転写形
    成し、前記光学素子ガラス材料面に、前記凹状パターン
    を充填するように、第1の光学素子ガラス材料より屈折
    率の大きい第2の光学素子ガラス材料を形成し、次い
    で、前記凹状パターンに形成された以外の余剰の第2の
    光学素子ガラス材料を除去することにより、第1の光学
    素子ガラス材料に光導波路を形成することを特徴とする
    光導波路の製造方法。
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