JP4748845B2 - 電気泳動法による粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子を含有する無機・有機ハイブリッド膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無機・有機ハイブリッドは、一般に、骨格を形成する三次元網目構造としてシロキサン結合を含んでおり、三次元網目構造中のSiO4四面体の架橋酸素の少なくとも1個以上が有機基で置換されている。無機・有機ハイブリッドは、三次元網目構造を修飾する有機基が増えるにつれて柔軟性が高くなってくるが、ガラスやセラミックスに比べて硬度が急激に低下する。このような問題を解決するために、無機粒子を分散した無機・有機融合体が提案されている(特開平7−278311号公報)。また、ポリジメチルシロキサンを主成分とする無機・有機ハイブリッドは、シロキサン骨格を有するため通常のゴムより耐熱性の高いエラストマーとして知られているが、粒子を分散させることにより、さらに強度の優れた耐熱性エラストマーとなる(特開平8−253473号公報)。
【0003】
しかしながら、粒子含有の無機・有機ハイブリッドは、製造が非常に難しいという問題があった。例えば、特開平7−278311号公報および特開平8−253473号公報において、無機粒子は、無機・有機ハイブリッドを形成用ゾル中に分散させており、重縮合反応により無機・有機ハイブリッドの三次元網目構造が形成するときに網目構造中に取り込まれている。このような製造方法では、無機粒子と無機・有機ハイブリッド形成用ゾルとの比重の差により、一般には無機粒子が沈降するため均一なバルクや膜を得ることができない。また、無機粒子の含有量が高くなると、粒子を含む無機・有機ハイブリッド形成用溶液の粘性が著しく上がるため、均一に混ぜ合わせることが難しかった。さらに、できあがったバルクや膜にクラックやポアが入るという問題があった。
【0004】
Schmidtは、ナノ粒子の分散性の向上を図るため、粒子の表面をシランカップリング剤などで改質し、無機・有機ハイブリッド中に取り込んでいる(H. K. Schmidt, J. Sol-Gel Science and Technology 8, 557 (1997))。この方法においても、粒子の含有量が高い場合、クラックのない均一なバルクや膜を得るのは困難であった。特に成膜する場合には、無機・有機ハイブリッド形成用溶液の粘度が分散粒子により高くなるため、均一に塗布することが難しい上、基板との付着力が低いという問題があった。
【0005】
一方、粒子のみを基板上に付着させる方法として、電気泳動法は有効な手段であることが知られている。電気泳動法は、溶液中に浸漬した対向電極と基板の間に電圧を印加し、帯電粒子を電気的に基板に付着させるものであり、比較的緻密に粒子を付着させることができるのが特徴である。しかし、セラミックスの電着膜では、泳動により粒子を基板に付着させただけでは、密着力および膜強度ともに弱くすぐに剥がれてしまう。密着力と強度を向上させるには、電着膜を焼結し緻密な膜を得ることが必要であった。一般にセラミックスの焼結温度は1000℃以上と高いので、焼結により緻密な膜を得ようとすると、基板の種類が極めて限定されるうえ、基板と成膜しようとするセラミックスなどの熱膨張係数差により、クラックが発生するという問題がある。
【0006】
このような焼結プロセスを使わないものとして、粒子間を有機樹脂で埋めて膜にする方法がある。例えば、あらかじめ帯電したカチオン電着性微粒子を用い、これをカチオン電着塗装液に配合して共電着する方法が提案されている(特開平6−287267号公報、特開平6−173089号公報)。しかし、カチオン電着性微粒子は、加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物の分散粒子を粒子内架橋したものなどであり、帯電していない一般的なセラミックス粒子や、プラスチックなどの有機粒子に対して、カチオン導電性微粒子と同様の手法を適用することはできない。また、電着塗装液に有機または無機顔料を配合したものを電着塗装する方法も知られている(特開平11−286632号公報)。これらの電着塗装液においては、電着塗装用樹脂そのものが電着され、有機または無機の顔料は電着する樹脂に巻き込まれて基板に付着するため、顔料の含有率は電気泳動法で付ける粒子ほどの高い含有率にはならない。電着塗装液としては、塗料の樹脂がマイナスの電荷を持つアニオン型のもの、例えば、ポリエステルまたはポリブタジエンなど、またはプラスの電荷を持つカチオン型のもの、例えばエポキシ樹脂骨格中にアミノ基を持つものなどが挙げられる。
これらは、いずれもCとHを主体とする有機骨格を主骨格として持つものであり、シロキサンを主骨格とする無機・有機ハイブリッドに比べて、耐熱性や硬度などが劣るという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粒子の含有率が高くてもクラック等が発生しない粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、
(1)有機溶剤中で1種類以上のオルガノアルコキシシランとB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属のアルコキシドを、又は、1種類以上のオルガノアルコキシシランと1種類以上のSiのアルコキシドとB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属のアルコキシドを、加水分解して得られるゾルを主成分とする溶液中に直径50μm以下の粒子を分散させた無機・有機ハイブリッド被膜形成用溶液に、少なくとも表面が導電性を有する基板を浸漬し、前記溶液中に設置された対向電極と前記基板との間に電圧を印加し、前記導電性を有する基板の表面に前記粒子を付着させ、前記導電性を有する基板を溶液から引き上げ、さらに乾燥および/または熱処理して、被膜の面積比率で40〜99%の前記粒子を含有する無機・有機ハイブリッド被膜を形成することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法、
(2)前記無機・有機ハイブリッド被膜に面積比率で80〜95%の前記粒子を含有させることを特徴とする(1)に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法、
(3)前記直径50μm以下の粒子が、アルミナ、チタニア、シリカ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、ゼオライト、チタン酸バリウム、ポリスチレン、フッ素樹脂、スピロピラン、フタロシアニン、フェニルトリエトキシシランの加水分解物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法、
(4)前記オルガノアルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドの加水分解時に酢酸を使用することを特徴とする(1)〜(3)に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜方法、
(5)前記ゾルを主成分とする溶液が、ケトン、ヨウ素、セルロースのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする(1)〜(4)に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成用溶液、
により解決する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法により形成される無機・有機ハイブリッド膜は、三次元網目構造状に発達した無機骨格を有し、その無機骨格の一部が有機基で修飾されたシロキサン結合から成っている。無機骨格はシロキサン結合を主骨格とするが、Si以外の金属元素または半金属元素(M)と酸素から成るM-O-M結合、M-O-Si結合を含んでもよい。Si以外の金属元素または半金属元素としては、 B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taなどが挙げられる。シロキサン骨格を修飾する有機基としては、水素、または炭素数1から20までのアルキル基およびその置換体、または炭素数6から20までのアリール基およびその置換体、または炭素数6から20までのアラルキル基およびその置換体、または-C-O-, -C=O, -COO-, -CON=(アミド基), -CN, -NH2, -NH-, エポキシ基などの極性を有する有機基、>C=CHCOOH, ビニル基などのように不飽和炭素結合を有する有機基などがあげられる。アリール基は、N、SまたはOを含む複素環であってもよい。特にシロキサン骨格を修飾する有機基がフェニル基またはその置換体の場合、耐熱性および膜強度が共に高い無機・有機ハイブリッド膜が得られる。また、シロキサン骨格を修飾する有機基が有機重合可能なビニル基・エポキシ基などの場合は、無機のシロキサン骨格に加えて有機の骨格も形成されるので、膜強度が向上する。
【0010】
本発明の方法により形成される粒子含有無機・有機ハイブリッド膜は、無機粒子、有機粒子、無機・有機ハイブリッド粒子などから選ばれる1種以上の粒子を10〜99%含有する。本発明で用いる粒子としては、アルミナ、チタニア、シリカ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、ゼオライト、チタン酸バリウムなどの無機粒子、ポリスチレン、フッ素樹脂、スピロピラン、フタロシアニンなどの有機粒子、フェニルトリエトキシシランの加水分解物などの無機・有機ハイブリッド粒子などが挙げられる。これらの粒子は銅、白金、ロジウム、パラジウム、コバルト、ニッケルなどの触媒機能をもつ成分で修飾されていてもよい。修飾された粒子としてはCu-ZSM5(ゼオライト)などがあげられる。本発明における粒子の含有率は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断面または表面をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したとき、粒子部分の面積が粒子含有無機有機ハイブリッド膜の全面積に対して占める割合である。粒子の面積分率が40%より少ない場合、粒子による硬度や強度向上の効果などが小さい。粒子の面積分率が99%を超える場合、粒子同士をつなぐハイブリッドが少なすぎるため膜が脆くなる。好適には粒子の面積分率は40〜95%、さらに好ましくは80〜90%である。本発明の粒子は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断面または表面をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したとき、単位面積内の全粒子面積に対して、直径50μm以下の粒子の粒子面積が95%以上を占めるような粒径分布である。各粒子の直径は、粒子含有無機有機ハイブリッド膜の断面または表面をSEMまたは光学顕微鏡などで観察したときの各粒子の長径と短径の平均値とする。直径50μm以上の粒子の粒子面積が全粒子面積の5%以上ある場合、粒子間の隙間がポアとなるためふさわしくない。直径50μm以下の粒子の粒子面積が全粒子面積の95%以上を占めるような粒径分布や、直径5μm以下の粒子の粒子面積が全粒子面積の90%以上を占めるような粒径分布のとき、平滑で密着力の高い膜が得られるので好ましい。粒子の直径の下限値は特に規定しないが、セラミックスなどの無機粒子の場合、0.1〜5μm程度の粒子が電気泳動電着にふさわしい。しかし、オルガノアルコキシシランを加水分解して得られるような無機・有機ハイブリッド粒子の場合、10nm程度のコロイド状粒子であってもよい。
本発明における無機・有機ハイブリッド膜は、表面が導電性を有するものであればどのような材料であってもよいが、例えば鉄板、銅板、アルミニウム板、鋼板、ニッケル板などの金属および合金の板、あるいはガラスまたはプラスチックなどの絶縁板の表面にITO、金属、合金などの導電性膜を形成したものの上に形成される。
【0011】
本発明の方法において無機・有機ハイブリッドを形成するためのゾルは、1種類以上のオルガノアルコキシシランを有機溶剤中で加水分解したものを主成分とする。オルガノアルコキシシランは、一般式RnSi(OR’)4-n(RおよびR’は水素または有機基、nは1から3までの整数の中から選ばれる)またはRnSiX4-n(Rは有機基、XはF以外のハロゲン元素、nは1から3までの整数の中から選ばれる)で表される。OR’およびXは加水分解されるため、最終的な無機・有機ハイブリッド膜中に殆ど残らないが、Siに直接結合しているRは加水分解を受けないためオルガノアルコキシシランRnSi(OR’)4-nの加水分解・重縮合反応により形成されるシロキサン骨格を有機基Rで修飾できることになる。Rとしては、水素、または炭素数1から20までのアルキル基およびその置換体、または炭素数6から20までのアリール基およびその置換体、または炭素数6から20までのアラルキル基およびその置換体、または-C-O-, -C=O, -COO-, -CON=, -CN, -NH2, -NH-, エポキシ基などの極性を有する有機基、>C=CHCOOH, ビニル基などのように不飽和炭素結合を有する有機基などがあげられる。アリール基はN、OまたはSを含む複素環であってもよい。nが2または3のとき、Rは同一であっても異なってもよい。R’としては炭素数1から6までのアルキル基があげられる。nが2以下の時、R’は同一であっても異なってもよい。オルガノアルコキシシランの好適な例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、ジメトキシメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシラン,ジイソブチルジメトキシシラン、フェニルエチルジクロロシラン、t-ブチルフェニルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノアルコキシシランから形成されるシロキサン骨格は有機基で修飾されている。この有機修飾により、無機骨格に柔軟性が現れ、従来のガラスやセラミックスには見られなかった可撓性を付与した、無機・有機ハイブリッドの基本構造ができる。また、主骨格が無機のシロキサン結合であるため、有機樹脂に比べて耐熱性および硬度が高い、という利点がある。さらに、無機・有機ハイブリッドの形成自体は比較的低温でできるので、帯電可能な粒子であれば、セラミックスなどの無機粒子だけでなく、有機粒子を含んだ膜を作製することも可能である。
【0012】
本発明の無機・有機ハイブリッドを形成するためのゾルは、1種類以上のオルガノアルコキシシランを有機溶剤中で加水分解したものを主成分とする。オルガノアルコキシシランは、一般式RnSi(OR')4-n(RおよびR'は水素または有機基、nは1から3までの整数の中から選ばれる)またはRnSiX4-n(Rは有機基、XはF以外のハロゲン元素、nは1から3までの整数の中から選ばれる)で表される。OR'およびXは加水分解されるため、最終的な無機・有機ハイブリッド膜中に殆ど残らないが、Siに直接結合しているRは加水分解を受けないためオルガノアルコキシシランRnSi(OR')4-nの加水分解・重縮合反応により形成されるシロキサン骨格を有機基Rで修飾できることになる。Rとしては、水素、または炭素数1から20までのアルキル基およびその置換体、または炭素数6から20までのアリール基およびその置換体、または炭素数6から20までのアラルキル基およびその置換体、または-C-O-, -C=O, -COO-, -CON=, -CN, -NH2, -NH-, エポキシ基などの極性を有する有機基、>C=CHCOOH, ビニル基などのように不飽和炭素結合を有する有機基などがあげられる。アリール基はN、OまたはSを含む複素環であってもよい。nが2または3のとき、Rは同一であっても異なってもよい。R'としては炭素数1から6までのアルキル基があげられる。nが2以下の時、R'は同一であっても異なってもよい。オルガノアルコキシシランの好適な例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、ジメトキシメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシラン,ジイソブチルジメトキシシラン、フェニルエチルジクロロシラン、t-ブチルフェニルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、フェニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノアルコキシシランから形成されるシロキサン骨格は有機基で修飾されている。この有機修飾により、無機骨格に柔軟性が現れ、従来のガラスやセラミックスには見られなかった可撓性を付与した、無機・有機ハイブリッドの基本構造ができる。また、主骨格が無機のシロキサン結合であるため、有機樹脂に比べて耐熱性および硬度が高い、という利点がある。さらに、無機・有機ハイブリッドの形成自体は比較的低温でできるので、帯電可能な粒子であれば、セラミックスなどの無機粒子だけでなく、有機粒子を含んだ膜を作製することも可能である。
【0013】
本発明における無機・有機ハイブリッド形成用ゾルの作製時に、オルガノアルコキシシランの他に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどSiのアルコキシドを含んでもよい。Siのアルコキシドを含むことにより、無機・有機ハイブリッドの硬度を上げることができるので、粒子含有無機・有機ハイブリッド膜が強固になる。
【0014】
B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属のアルコキシドは、それ自体の金属元素の性質をシロキサン結合を主骨格とする無機・有機ハイブリッドに付与することができる。たとえば、Ti, Nb, Taなどは、電子分極率がSiに比べて高いので、これらの元素が入ることにより、高屈折率の無機・有機ハイブリッドを得ることができる。また、B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属元素のアルコキシドは、オルガノアルコキシシランの加水分解・重縮合反応を促進する触媒効果を有する。通常、無機・有機ハイブリッドを形成するゾルには、酸またはアルカリを触媒としてオルガノアルコキシシランなどの加水分解を行うが、粒子の電気泳動をさせるための電圧印加時に酸やアルカリは電気分解をおこし、電着膜の形成を阻害することがある。このような場合には、酸およびアルカリに替わる触媒として、これらの金属のアルコキシドを用いることにより、粒子の電気泳動を阻害することのない無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製することができる。B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属元素のアルコキシドを用いる場合、アルコキシ基の一部をβ-ジケトン、β-ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で置換したアルコキシド誘導体も使用できる。
【0015】
1種類以上のオルガノアルコキシシラン、およびSiのアルコキシド、およびB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属元素のアルコキシドを加水分解して得られる、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルは、オルガノアルコキシシランにより柔軟性が得られ、Siのアルコキシドにより硬度が得られ、 B, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属元素のアルコキシドにより、その金属または半金属元素特有の性質をシロキサン骨格に付与できることになる。
【0016】
オルガノアルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドの加水分解時に、触媒として酸・アルカリあるいはSi以外の金属元素を使うことができるが、本発明においては、特に酢酸を使うことが望ましい。酢酸を使用することにより、酸性になるため、オルガノアルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドの加水分解反応が促進され、シラノール基が多く形成されるので、密着力が向上する。また、酢酸はオルガノアルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドのアルコキシ基と反応して、酢酸メチル、酢酸エチルなどを形成するため、電気泳動を行ったときに酢酸として電気分解されて水素などのガスを放出することがない。このため、粒子の電気泳動電着が進みやすいという利点がある。触媒として酢酸を用いる場合、70℃程度で還流することにより、加水分解反応が促進され、密着性を向上させることができる。
【0017】
本発明における無機・有機ハイブリッド形成用ゾルの加水分解では、全アルコキシ基に対して2モル倍までの水を添加して加水分解する。添加する水は、アルコール等の有機溶媒で希釈してもよい。2モル倍以上の水を使用すると、成膜時に用いる塗布液の寿命が著しく短くなり、塗布液として保存中にゲル化するために好ましくない。加水分解においては、アルキルアルコキシシランなどのSi原料および金属アルコキシドを均一に分散、溶解できる有機溶媒が使用される。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等である。
【0018】
本発明で用いる粒子としては、無機粒子、有機粒子、無機・有機ハイブリッド粒子などが挙げられる。それらの具体例は既に述べたとおりである。粒子はマグネットスターラーでの撹拌、超音波などにより粒子含有無機・有機ハイブリッド形成用溶液中に分散させる。
次に、粒子含有無機・有機ハイブリッド形成用溶液中の粒子の帯電について述べる。電気泳動法により粒子を電着させるためには、粒子がプラスまたはマイナスに帯電している必要があるが、粒子に特別な処理を施すことなく、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルに粒子を分散させるだけで電着可能なこともある。その場合は、ゾル中の水分子やアルコールまたは粒子がもともと吸着していた水などにより、粒子表面が帯電していたためと考えられる。粒子の最表面が溶出することにより生じるイオンが帯電に寄与する場合もある。また、無機・有機ハイブリッド形成用ゾル中で粒子が帯電せず電着が起きない場合は、粒子をアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトンに分散させるか、あるいは、ヨウ素またはセルロースから選ばれる1種以上を含む有機溶剤中に分散することであらかじめ帯電させ、そこに無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを添加して粒子含有無機・有機ハイブリッド形成用溶液とすることができる。各種ケトン、ヨウ素、セルロースは、それぞれ単独またはそれらの組み合わせにより、種々の粒子を帯電させることができる。ヨウ素またはセルロースを分散させる有機溶剤としては、各種ケトンの他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等があげられる。
【0019】
このようにして調製した粒子含有無機・有機ハイブリッド膜形成用溶液に、基板と対向電極を浸漬して電圧を印加すると、粒子が基板に付着する。この際、無機・有機ハイブリッド形成用の加水分解されたアルコキシドが帯電して、粒子と共電着をおこしてもよい。たとえば、粒子表面をアミノ基またはシアノ基など帯電しやすい有機基で修飾し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルにも、アミノ基またはシアノ基などを含むシリコンのアルコキシドを添加しておく。加水分解されたアミノ基またはシアノ基を含むシリコンのアルコキシドと、アミノ基またはシアノ基などで化学修飾された粒子とは、表面状態が類似しているため、共電着がおきやすい。
【0020】
また、粒子の表面をシランカップリング剤などで修飾したものを帯電させて用いてもよい。たとえば異なる粒子の表面を同一のシランカップリング剤で修飾すると、粒子自体は異なっても粒子表面の状態は同一になるので、異なる粒子を同時に電着させることも可能である。
電気泳動法による粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜を形成する基板としては、表面が導電性を有する材料であればどのようなものでもよいが、例えば鉄、銅、アルミニウム、鋼、ニッケル、クロム、チタニウムなどの金属、およびその合金を用いることができる。さらに、ガラス、プラスチックなどの絶縁性基板表面上にITO、金属、合金などの導電性膜を形成したものも使用できる。
【0021】
本発明に用いられる対向電極としては、白金、ステンレススチール、黒鉛、チタニウムなど通常用いられる電極材が使用できる。
溶液中で負に帯電する粒子を基板に付着させる場合には、基板が陽極になるよう電場をかけ、溶液中で正に帯電する粒子を基板に付着させるには、基板が陰極になるよう電場をかける。印加電圧は材料によっても異なるが、例えば5〜500Vが望ましい。電圧は、直流電圧であってもパルス電圧であってもよい。電圧印加時間は膜厚などにより異なるが、一般的には5秒〜10分印加する。印加後、基板を溶液から引き上げると、電着した粒子間の空隙や粒子表面に無機・有機ハイブリッド形成用ゾルが付着してくる。この付着した無機・有機ハイブリッド形成用ゾルが乾燥などにより無機・有機ハイブリッドとなり、結合剤として粒子を固定する。
【0022】
得られた粒子含有無機・有機ハイブリッド膜は、必要に応じ熱処理を行う。熱処理温度は70℃から600℃の間で行うことが望ましい。例えば、70℃のオーブンに10分程度入れて溶媒の除去を行い、重縮合反応を促進するため400℃チッソ中で30分処理することができる。粒子として、無機・有機ハイブリッド粒子を用いた場合、400℃程度の熱処理で、マトリックスを形成している無機・有機ハイブリッドと一体化し、電気的に付着させた時点では粒子であっても最終的には粒子と認識できなくなることもある。
【0023】
本発明によれば、対向電極と基板の間に電圧を印加することで、粒子を基板に付着させ、その空隙を無機・有機ハイブリッドで埋めることにより、粒子含有率が高くてもクラックなどの入らない膜を形成することができる。このようにして作製した膜は、粒子として二硫化モリブデンのような自己潤滑性を持つ粒子を含む場合には潤滑膜として、ゼオライトのように吸着性・分子ふるいなどの機能を有する粒子を含む場合には、分離膜として応用できる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
エタノールとメチルトリエトキシシランを混合後、酢酸と水を用いて加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリエトキシシラン、酢酸、水、エタノールの比は、1:1:3:2である。二硫化モリブデンを分散させたメチルエチルケトン溶液120mlに対して、無機・有機ハイブリッド形成用ゾル80mlを添加して、粒子濃度0.2g/100mlの粒子含有無機・有機ハイブリッド膜形成用溶液を作製した。
【0025】
この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cmの白金メッシュを対極として、直流200Vの電圧を印加した。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極としたときに、基板上に二硫化モリブデン粒子が電着した。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾燥し、窒素中550℃で30分間熱処理を行った。
【0026】
FT-IRによりメチル基を確認し、EDAXによりSi, Mo, S成分を確認することができたことから、二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜になっていることがわかった。得られた二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したところ、全面積の88%が直径0.1μm以上3.0μm以下の二硫化モリブデン粒子が占めていた。
【0027】
二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜の鉛筆硬度は3Hであった。ボールオンディスク方式による摺動試験を行った結果、オイル潤滑条件下で180MPaの面圧のとき動摩擦係数が0.09、220MPaから750MPaの間でほぼ一定して0.11の動摩擦係数の膜が得られた。
(実施例2)
エタノールとメチルトリエトキシシランを混合後、酢酸と水を用いて加水分解した。メチルトリエトキシシラン、酢酸、水、エタノールの比は、1:0.2:3:2である。すべてを混合後、窒素中70℃で1時間還流し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。合成ゼオライト3A粒子を分散させたエタノール溶液160mlに対して、無機・有機ハイブリッド形成用ゾル40mlを添加して、粒子濃度0.2g/100mlの粒子含有無機・有機ハイブリッド膜形成用溶液を作製した。
【0028】
この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cmの白金メッシュを対極として、直流150Vの電圧を印加した。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極としたときに、基板上に合成ゼオライト3A粒子が電着した。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾燥し、窒素中450℃で30分間熱処理を行った。
【0029】
得られた合成ゼオライト3A粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したところ、全面積の85%が直径0.5μm以上5.0μm以下の合成ゼオライト3A粒子が占めていた。
(実施例3)
メタノール中でアセト酢酸エチルと反応させておいたオルトチタン酸テトラエチルと、メタノール中に溶解させたビニルトリメトキシシランを混ぜ合わせ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモル比は10:0.3:0.3:16:40である。前記無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを40.00gにアルミナ粒子4.0gを加え攪拌した。
【0030】
このようにして得られた溶液中に厚さ0.5mm、幅15mm、長さ50mmの鋼板を陽極として浸漬し、直流電圧250Vを1分印加した。ここで対向電極には、幅4.5cm、長さ7cmの白金メッシュを用いた。鋼鈑-白金メッシュの距離は10mmである。鋼板は溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分熱処理した。
【0031】
前記操作により、緻密で平滑な白色の粒子含有無機・有機ハイブリッド膜を得ることができた。
IRスペクトルでビニル基に起因するピークが見られ、XRDでアルミナ粒子の存在を確認することができた。SEMで粒子含有無機・有機ハイブリッド膜の断面を観察したところ、アルミナ粒子の含有率は75%であった。直径0.7μm以上10μm以下のアルミナ粒子の面積が全粒子面積の95%を占めていた。
(実施例4)
エタノール中でアセト酢酸エチルと反応させておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わせ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン0.5gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0032】
このようにして得られた溶液中に直径0.85mmの鋼のワイヤを陽極として浸漬し、直流電圧100Vを1分印加した。ここで対向電極には、白金線0.8mmをコイル状にしたものを用いた。電極間距離は10mmである。ワイヤは深さ2.7cmまで溶液中に浸漬した。溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分熱処理した。
【0033】
前記操作により、4.17mgの粒子含有無機・有機ハイブリッド膜を得ることができた。得られた膜は黒色で、緻密かつ平滑であった。IRスペクトルで、Si-CH3に起因するピークが見られ、二硫化モリブデンに加えて、無機・有機ハイブリッドが付いていることが確認できた。SEM観察の結果、二硫化モリブデンの含有率は88%で、粒径1〜10μmの二硫化モリブデンの粒子が全粒子面積の95%以上であった。
(実施例5)
メタノールとメチルトリメトキシシランとテトラメトキシシランを混合後、酢酸と水を用いて加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、酢酸、水、エタノールの比は、0.5:0.5:1:3:2である。このゾル中に二硫化モリブデンを分散させ粒子濃度0.4g/100mlの粒子含有無機・有機ハイブリッド膜形成用溶液を作製した。
【0034】
この溶液中に厚さ0.65mm、幅32mm、長さ50mmのSUS304の基板を浸漬し、幅4.5cm、長さ7cmの白金メッシュを対極として、直流200Vの電圧を印加した。電極間距離は10mmである。SUS304基板を陽極としたときに、基板上に二硫化モリブデン粒子が電着した。電圧を30秒印加後、基板を引き上げ、70℃で乾燥し、窒素中450℃で30分間熱処理を行った。
【0035】
FT-IRによりメチル基を確認し、EDAXによりSi, Mo, S成分を確認することができた。ことから、二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜になっていることがわかった。得られた二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜の表面をSEM観察したところ、全面積の85%を直径0.1μm以上3.0μm以下の二硫化モリブデン粒子が占めていた。二硫化モリブデン含有無機・有機ハイブリッド膜の鉛筆硬度は4Hであった。
(比較例1)
エタノール中でアセト酢酸エチルと反応させておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わせ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン0.5gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0036】
このようにして得られた溶液中に直径0.85mmの鋼のワイヤを深さ2.7cmまで溶液中に1分間浸漬した。溶液から引き上げた後、70℃のオーブンで10分熱処理した。
前記操作により、0.2mgの無色透明の膜を得ることができた。得られた膜は無色透明で、緻密かつ平滑であった。IRスペクトルで、Si-CH3に起因するピークが見られた。しかしながら、MoS2粒子は殆ど含まれない膜であった。
(比較例2)
エタノール中でアセト酢酸エチルと反応させておいたオルトチタン酸テトラエチルと、エタノール中に溶解させたメチルトリエトキシシランを混ぜ合わせ、加水分解し、無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを作製した。メチルトリエトキシシラン、オルトチタン酸テトラエチル、アセト酢酸エチル、水、エタノールのモル比は10:0.3:0.3:20:30である。メチルイソブチルケトン8.45gに二硫化モリブデン5.0gを超音波により分散させ、前記無機・有機ハイブリッド形成用ゾルを41.00g加え攪拌した。
【0037】
このようにして得られた溶液をSUS基板状に刷毛で塗布した。塗布後、70℃のオーブンで10分熱処理した。
前記操作により、厚さ2μmの黒色の膜を得ることができた。得られた膜は多数のクラックがある上、粒子の塊やピンホールが見られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、粒子含有率が高くてもクラックなどの入らない粒子含有無機・有機ハイブリッド膜を得ることができる。
Claims (5)
- 有機溶剤中で1種類以上のオルガノアルコキシシランとB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属のアルコキシドを、又は、1種類以上のオルガノアルコキシシランと1種類以上のSiのアルコキシドとB, Al, Ge, Ti, Y, Zr, Nb, Taから選ばれる1種類以上の金属または半金属のアルコキシドを、加水分解して得られるゾルを主成分とする溶液中に直径50μm以下の粒子を分散させた無機・有機ハイブリッド被膜形成用溶液に、少なくとも表面が導電性を有する基板を浸漬し、前記溶液中に設置された対向電極と前記基板との間に電圧を印加し、前記導電性を有する基板の表面に前記粒子を付着させ、前記導電性を有する基板を溶液から引き上げ、さらに乾燥および/または熱処理して、被膜の面積比率で40〜99%の前記粒子を含有する無機・有機ハイブリッド被膜を形成することを特徴とする粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法。
- 前記無機・有機ハイブリッド被膜に面積比率で80〜95%の前記粒子を含有させることを特徴とする請求項1に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法。
- 前記直径50μm以下の粒子が、アルミナ、チタニア、シリカ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、ゼオライト、チタン酸バリウム、ポリスチレン、フッ素樹脂、スピロピラン、フタロシアニン、フェニルトリエトキシシランの加水分解物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法。
- 前記オルガノアルコキシシランおよび/またはSiのアルコキシドの加水分解時に酢酸を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機・有機ハイブリッド被膜形成方法。
- 前記ゾルを主成分とする溶液が、ケトン、ヨウ素、セルロースのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子含有無機・有機ハイブリッド被膜形成方法。
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