JP4747506B2 - 面状発熱体 - Google Patents

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Description

本発明は暖房・加熱・乾燥などの熱源として用いる面状発熱体に関するものである。
従来、この種の発熱体は、半田形成が可能な銅箔電極のリード接続部に半田をあらかじめ形成し、その上から電気絶縁フィルムを被覆し、半田を溶着したリード線を半田ごてによって加熱し、電気絶縁フィルムに貫通穴を形成すると共に半田による接合をしている(例えば、特許文献1参照)。
図5、図6は、特許文献1に記載された従来の発熱体を示すものである。図5、図6に示すように、電気絶縁基板1に銅箔電極2がホットメルト接着剤3によって貼り付けられており、この一対の銅箔電極2の間に発熱体材料4が形成されている。これらの電気絶縁基板1及び銅箔電極2及び発熱体材料4の表面はホットメルト接着剤付きの電気絶縁フィルム5で被覆されている。銅箔電極2のリード線7接続部にはあらかじめ半田6が形成され、その後に電気絶縁フィルム5が被覆されている。リード線7との接続は、半田6を溶着したリード線7を半田ごてによって加熱し、ホットメルト接着剤付き電気絶縁フィルム5に貫通穴を形成すると共に半田6及び半田6による接合を可能にする構成となっている。
特開昭57−202079号公報
しかしながら、前記従来の構成では、例えば、細かく枝分かれしたり、曲線を伴う複雑な電極パターンを形成しようとしても、金属箔材をホットメルト接着剤3で基板1上に貼りつける方法では加工が困難であり、実用上は、単純な平行電極パターンに留まっていた。当然ながら、エッチングのような高度な工程を使用すれば複雑なパターンを描くことは可能であるが、通常、電極が形成される面積は極めて小さく、大半の電極材料を除去することになり、特に、大きな面積の発熱体の場合、省資源及び材料価格の観点から、極めて実現性に乏しい状況にあった。
また、金属箔材からなる電極では、伸縮性や柔軟性のある発熱体を形成しようとしても、強度が強すぎるためにおのずから限界がある上に、伸縮や曲げを繰返されたときの耐久性が大きな課題であった。一方、エポキシ樹脂中に銀粉末を分散させたような導電性ペーストを用い、印刷によって電極を形成するような場合は、曲線を伴う複雑な電極パターンを形成することは容易であり、伸縮性や柔軟性にも対応できるが、従来の発熱体のように、被覆を施す前に、端子部に半田6付けをしようとしても、樹脂成分によってはじかれるために半田6を形成することはできなかった。
したがって、被覆を貫通してリード線7を半田付けするという構成は実現できなかった。このように、半田付けのできない材料を電極に使用する場合には、被覆した後に電極の一部が露出するように様々な工夫を凝らし、その部分に圧着端子でリード線7を接続する方法が一般的であった。被覆した後に電極の一部を露出させるためには、電極の一部が被覆の外に出るように延長するか、蛇行させる等の余分なパターンが必要であった。また、電極の一部に離型紙を設けておいて、被覆後にその箇所に孔を開けるか、被覆に孔を開け、その孔が電極の所定の位置に来るような工法で加工する等、複雑な工程が必要であった。
なお、圧着による端子接続では、樹脂収縮による圧着力低下が伴うので、接触抵抗を増大させない格別の対策が別途必要であった。
なお、特例的には、電極の一部を露出させる必要がなく、被覆の外側から端子を食い込ませる方式の端子も考案されているが、電流に制約があり、電流が大きい用途には対応できなかった。このように、従来の発熱体では、細かく枝分かれしたり、曲線を伴う複雑な電極パターンを形成できず、柔軟性や伸縮性にも乏しいものであったが、被覆の外から半
田でリード線を接続することは可能であった。一方、印刷可能な導電性ペーストによる電極では、細かく枝分かれしたり、曲線を伴う複雑な電極パターンを形成することは容易であり、柔軟性や伸縮性にも対応可能なものであったが、被覆の外から半田でリード線を接続することはできなかった。また、その代替のリード線接続方法も、構成や工程が複雑であったり、樹脂収縮による接触抵抗対策が必要であったり、大電流では使用できない等、様々な課題があった。
本発明は、半田接続ができない素材を用いた電極であっても、半田によるリード線接続を可能にするものであり、端子形成の生産性に優れるばかりでなく、許容電流が大きく、信頼性に優れた端子接続を有する面状発熱体を提供することを目的とするものである。特に、導電性ペーストを用いた印刷による電極のように、パターン成形性、柔軟性、伸縮性等に優れている半面、半田接続ができない素材であっても、発熱体の表面に被覆を施した状態での、半田によるリード線接続を可能にするものである。また、このような電極を用いた場合の許容電流と信頼性を大幅に改善するものであり、多くの電流が必要とされる低電圧用の発熱体や、突入時の電流が大きい正抵抗温度特性を有する発熱体を形成する場合に、極めて有用である。
前記課題を解決するために、本発明の面状発熱体は、電気絶縁性基材と、該電気絶縁性基材上に形成された電極及び該電極により給電される高分子抵抗体と、一方の面に前記電極の給電部に給電するリード線を接続し前記電極の給電部と接する他方の面に導電性樹脂材料を形成した端子部材と、該端子部材に接続されるリード線と、前記電極及び高分子抵抗体を覆い前記電気絶縁性基材と密着させて配設したされる接着性樹脂層が予め形成された被覆材とを備え、前記電極、端子部材及び高分子抵抗体を、前記電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後、前記被覆材および前記接着性樹脂層の溶融温度より高く電気絶縁性基材および電極の溶融温度より低い所定の温度を保ち、前記端子部材の取付部の形状でかつ表面に凹凸を有する形状の除去手段により、前記該被覆材の上から前記端子部材に接着される電極の給電部に熱をかけ、前記被覆材および前記接着性樹脂層電気絶縁性基材を除去手段で溶融して除去した後、且つ前記端子部材を前記給電部に配設して所定温度で所定時間加圧して面接合すると共に前記リード線を前記端子部材に接続するように構成したのである。
上記した構成によって、電極の給電部に形成される端子部材は導電性樹脂材料を介して電極に接合するようにしてあるため、電極の材質に係わらず電気的及び物理的接合を可能となり、特に、印刷可能な電極材料はほとんど半田接続が不可能であるが、導電性樹脂材料を介することによって端子部材を面接合することができ、この端子部材に半田接続が可能となる。そして、上述の接続方法によれば、導電性樹脂材料は薄肉の面状に形成することによって接合抵抗値を極めて低くすることができるため、大電流を流すことができ、また、面状に接合することによって十分な強度を確保できる。
そしてまた、除去手段による除去部からリード線を端子部材に接続するようにしてあるので、電極及び高分子抵抗体を電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後、除去手段による除去部から端子部材を面接合するとともに、除去手段による除去部からリード線を端子部材に接続する加工ができるようになり、加工工程が簡単になるとともに、加工時の課題が解決される。
即ち、被覆材で覆う前に端子部材を取り付けるようにすると、端子部材の取り付ける工程が途中に入り、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成し、電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆う工程のスピードと合わし難く、スムーズに流れなくなる。またそれに加え、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び
電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成したものに、端子部材の取り付けたものを巻き取り、次の被覆材で覆う工程に移るまで、端子部材の位置が移動したり外れたりする心配があり、端子部材の仮止めが必要となりその分工程が複雑になり課題が増えるとともに、端子部材の取り付けたものを巻き取り時に、端子部材の部分が膨らみ、巻き取りがうまくできないなどの加工時の課題が生じる。ところが、電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後に端子部材を取り付けるようにすると、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成し、そのまま電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆う工程へ、一環として作業ができるようになり、加工工程が簡単になりスムーズに流れるようになり、端子部材の仮止めや巻き取りなどの加工時の課題が解決される。
本発明の面状発熱体は、複雑な電極パターンを描け、柔軟性にも優れる半面、半田接続が不可能な場合が多い印刷によって形成された電極であっても、半田によってリード線を形成することを可能にするものであり、生産性に極めて優れていると同時に、電気的にも物理的にも極めて強固な接合であり、高電流に耐え、高信頼性である。さらに、電源電圧が低いために多くの電流が必要とされる場合や、速熱性を得るために大きな突入電流を必要とする正抵抗温度特性を有する発熱体を形成する場合には、極めて有用である。
また、加工工程が簡単になるので加工時の課題が解決され安価に構成できると共に、生産性の向上が図れるようになる。
第1の発明は、電気絶縁性基材と、該電気絶縁性基材上に形成された電極及び該電極により給電される高分子抵抗体と、一方の面に前記電極の給電部に給電するリード線を接続し前記電極の給電部と接する他方の面に導電性樹脂材料を形成した端子部材と、該端子部材に接続されるリード線と、前記電極、端子部材及び高分子抵抗体を覆い前記電気絶縁性基材と密着させて配設したされる接着性樹脂層が予め形成された被覆材とを備え、前記電極及び高分子抵抗体を、前記電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後、前記被覆材および前記接着性樹脂層の溶融温度より高く電気絶縁性基材および電極の溶融温度より低い所定の温度を保ち、前記端子部材の取付部の形状でかつ表面に凹凸を有する形状の除去手段により、前記該被覆材の上から前記端子部材に接着される電極の給電部に熱をかけ、前記被覆材および前記接着性樹脂層電気絶縁性基材を除去手段で溶融して除去した後、且つ前記端子部材を前記給電部に配設して所定温度で所定時間加圧して面接合すると共に前記リード線を前記端子部材に接続するように構成してある。
そして、電極の給電部に形成される端子部材は導電性樹脂材料を介して電極に接合するようにしてあるため、電極の材質に係わらず電気的及び物理的接合を可能となり、特に、印刷可能な電極材料はほとんど半田接続が不可能であるが、導電性樹脂材料を介することによって端子部材を面接合することができ、この端子部材に半田接続が可能となる。そして、上述の接続方法によれば、導電性樹脂材料は薄肉の面状に形成することによって接合抵抗値を極めて低くすることができるため、大電流を流すことができ、また、面状に接合することによって十分な強度を確保できるようになる。
従って、複雑な電極パターンを描け、柔軟性にも優れる半面、半田接続が不可能な場合が多い印刷によって形成された電極であっても、半田によってリード線を形成することを可能にするものであり、生産性に極めて優れていると同時に、電気的にも物理的にも極めて強固な接合であり、高電流に耐え、高信頼性である。さらに、電源電圧が低いために多くの電流が必要とされる場合や、速熱性を得るために大きな突入電流を必要とする正抵抗温度特性を有する発熱体を形成する場合には、極めて有用である。
そしてまた、除去手段による除去部からリード線を端子部材に接続するようにしてあるので、電極及び高分子抵抗体を電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後、除去手段による除去部から端子部材を面接合するとともに、除去手段による除去部からリード線を端子部材に接続する加工ができるようになり、加工工程が簡単になるとともに、加工時の課題が解消される。
即ち、被覆材で覆う前に端子部材を取り付けるようにすると、端子部材の取り付ける工程が途中に入り、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成し、電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆う工程のスピードと合わし難く、スムーズに流れなくなる。またそれに加え、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成したものに、端子部材の取り付けたものを巻き取り、次の被覆材で覆う工程に移るまで、端子部材の位置が移動したり外れたりする心配があり、端子部材の仮止めが必要となりその分工程が複雑になり課題が増えるとともに、端子部材の取り付けたものを巻き取り時に、端子部材の部分が膨らみ、巻き取りがうまくできないなどの加工時の課題が生じる。
ところが、電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆った後に端子部材を取り付けるようにすると、ロール状の電気絶縁性基材上に電極及び電極により給電される高分子抵抗体を印刷形成し、そのまま電気絶縁性基材を密着させた被覆材で覆う工程へ、一環として作業ができるようになり、加工工程が簡単になりスムーズに流れるようになり、端子部材の仮止めや巻き取りなどの加工時の課題も解消されるようになり、生産性の向上が図れ、安価に構成できるようになる。
第2の発明は、特に第1の発明の端子部材の導電性樹脂材料が電極に対して熱接着性を示すとともに熱硬化性とした構成としてある。
そして、前記端子部材の導電性樹脂材料が電極に対して熱接着性を示すとともに熱硬化性とした構成としてあるので、端子部材の導電性樹脂材料が電極に接合される前は未硬化の状態とし、面接合時に熱をかけることで接着が可能となり、リード線の取り付け時等の電極に熱をかけた時に熱接着して硬化させることにより、その熱硬化の過程において、揮発分が除去されているので発泡せず、緻密な構造となり、十分な強度が得られ、導電性樹脂材料の本来の接着強度を発揮でき、簡単な構成で端子部材が電極に確実に面接合できるようになる。
第3の発明は、特に、第1〜第2の発明のいずれか1つの発明の前記電極の給電部に配設した端子部材と端子部材に接続したリード線の取り付け部に絶縁性保護材を塗布した構成としてある。
そして、絶縁性保護材を塗布した構成としてあるので、除去手段による除去部およびリード線の取り付け部から電極及び電極により給電される高分子抵抗体が絶縁性保護材に保護され、外気と遮断されて構成されるようになり、湿気や異物による汚染劣化や、電極のマイグレーションによるショートなどの不具合を防止でき、より性能の安定性や耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における面状発熱体の概略構成図を示し、図1は
平面図、図2は概略斜視図、図3は端子部近傍の断面図、図4は同端子部材取付位置の除去手段を用いた状態図である。
図1において、面状発熱体11は、ポリエステル不織布12aにラミネートされたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性基材12上に銀ペーストの印刷・乾燥により形成した一対の電極13と、電極13に重なるように高分子抵抗体インクを印刷・乾燥により形成した高分子抵抗体14を形成している。そして、上記電極13、高分子抵抗体14、及び電気絶縁性基材12と接着性を有するアクリル系接着剤等の接着性樹脂層15を予め形成されたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性オーバコート材をラミネートした被覆材16を貼り合わせて形成される。
上記電極13は、対向するように幅が広い主電極13a,13bを配設し、それぞれの主電極13a,13bから交互に櫛形形状の複数の枝電極13c、13dを設けてあり、これに重なるように配設した高分子抵抗体14に枝電極13c、13dより給電することで、高分子抵抗体14に電流が流れ、発熱するようになる。この高分子抵抗体14はPTC特性を有し、温度が上昇すると高分子抵抗体14の抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体11としての機能を有するようになる。
また、電極13とこの電極13に給電する端子部材17及び高分子抵抗体14を電気絶縁性基材12を密着させた被覆材16で覆った後、被覆材16の上から端子部材17を接着される電極13の給電部に熱をかけて被覆材16および接着性樹脂層15を除去手段18で除去してから端子部材17を電極13の給電部に面接合するとともにリード線19を端子部材17に接続し、かつ、除去手段18で除去した部分およびリード線19の取り付け部には、ホットメルトなどの絶縁性保護材20を塗布してある。
この端子部材17の電極13の給電部分に接する面には導電性樹脂材料17aを形成してあり、この導電性樹脂材料17aによって電極13と端子部材17の間は電気的及び物理的に接合されていて、導電性樹脂材料17aは電極13に対して熱接着性を示すとともに熱硬化性としてあり、共重合ポリエステルに導電性付与材として銀粉末を分散し、さらに、硬化剤としてイソシアネートを適量添加して作製された導電性ペーストを使用している。この段階の導電性樹脂材料17aは、イソシアネートによる硬化反応が生じないように低温で乾燥されているために熱可塑性を保持しており、融点以上の温度で加圧すれば電極13との熱融着が可能である状態にある。この場合、特に、電極13に導電性樹脂材料17aと同種の樹脂を使用すると熱融着性は極めて良く、十分な熱融着強度が得られるようになる。
また、除去手段18は被覆材16および接着性樹脂層15の溶融温度よりやや高く電気絶縁性基材12や電極13より低い所定の温度を保ち、端子部材17の取付部の形状でかつ表面に凹凸を有する形状としてあり、図4に示すように被覆材16の上から端子部材17の取付部に当てることで、被覆材16および接着性樹脂層15を溶融させて除去するようになっている。
ここで、加工工程の順序としては、まず、ポリエステル不織布12aにラミネートされたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性基材12をロール状に作成したものに、銀ペーストの印刷・乾燥により一対の電極13を形成する。次に、電極13に重なるように高分子抵抗体インクを印刷・乾燥により高分子抵抗体14を形成したのちに、電極13、高分子抵抗体14、及び電気絶縁性基材12と接着性を有するアクリル系接着剤等の接着性樹脂層15を予め形成されたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性オーバコート材をラミネートした被覆材16を貼り合わせて形成して、発熱体本体部分が完成される。
次に、この発熱体本体部分の外形抜きした後、被覆材16の上から端子部材17を接着される電極13の給電部に熱をかけて被覆材16および接着性樹脂層15を除去手段18で除去してから端子部材17を配設し、被覆材16の上から、端子部材17の部分を所定温度で所定時間加圧して、電極13の給電部に面接合するとともにリード線19を端子部材17に半田21で接続して、最後に、端子部材17とリード線19の取り付け部にホットメルトなどの絶縁性保護材20を塗布して組み立てが完了する。
このように、電極13の一部に被覆材16の上から端子部材17を接着される電極13の給電部に熱をかけて被覆材16および接着性樹脂層15を除去手段18で除去してから端子部材17を面接合するとともに、除去手段18による除去部からリード線19を端子部材17に接続するようにしてあるので、電極13及び高分子抵抗体14を電気絶縁性基材12を密着させた被覆材16で覆った後、端子部材17を面接合するとともに、リード線19を端子部材17に接続する加工ができるようになり、加工工程が簡単になるとともに、加工時の課題が解消される。
即ち、被覆材16で覆う前に端子部材17を取り付けるようにすると、端子部材17の取り付ける工程が途中に入り、ロール状の電気絶縁性基材12上に電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14を印刷形成し、電気絶縁性基材12を密着させた被覆材16で覆う工程のスピードと合わし難く、スムーズに流れなくなる。またそれに加え、ロール状の電気絶縁性基材12上に電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14を印刷形成したものに、端子部材17の取り付けたものを巻き取り、次の被覆材16で覆う工程に移るまで、端子部材17の位置が移動したり外れたりする心配があり、端子部材17の仮止めが必要となりその分工程が複雑になり課題が増えるとともに、端子部材17の取り付けたものを巻き取り時に、端子部材17の部分が膨らみ、巻き取りがうまくできないなどの加工時の課題が生じる。
ところが、電気絶縁性基材12を密着させた被覆材16で覆った後に端子部材17を取り付けるようにすると、ロール状の電気絶縁性基材12上に電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14を印刷形成し、そのまま電気絶縁性基材12を密着させた被覆材16で覆う工程へ、一環として作業ができるようになり、加工工程が簡単になりスムーズに流れるようになり、端子部材17の仮止めや巻き取りなどの加工時の課題も解消されるようになり、生産性の向上が図れ、安価に構成できるようになる。
また、電極13の給電部に形成される端子部材17は導電性樹脂材料17aを介して電極13に接合するようにしてあるため、電極13の材質に係わらず電気的及び物理的接合を可能となり、特に、印刷可能な電極13材料はほとんど半田21接続が不可能であるが、導電性樹脂材料17aを介することによって端子部材17を面接合することができ、この端子部材17に半田21接続が可能となる。そして、上述の接続方法によれば、導電性樹脂材料17aは薄肉の面状に形成することによって接合抵抗値を極めて低くすることができるため、大電流を流すことができ、また、面状に接合することによって十分な強度を確保できるようになる。
従って、複雑な電極13パターンを描け、柔軟性にも優れる半面、半田21接続が不可能な場合が多い印刷によって形成された電極13であっても、半田21によってリード線19を形成することを可能にするものであり、生産性に極めて優れていると同時に、電気的にも物理的にも極めて強固な接合であり、高電流に耐え、高信頼性である。さらに、電源電圧が低いために多くの電流が必要とされる場合や、速熱性を得るために大きな突入電流を必要とする正抵抗温度特性を有する発熱体を形成する場合には、極めて有用である。
そして、端子部材17の導電性樹脂材料17aが電極13に対して熱接着性を示すとともに熱硬化性とした構成としてあるので、端子部材17の導電性樹脂材料17aが電極13に接合される前は未硬化の状態とし、面接合時に熱をかけることで接着が可能となり、リード線19の取り付け時等の電極13に熱をかけた時に熱接着して硬化させることにより、その熱硬化の過程において、揮発分が除去されているので発泡せず、緻密な構造となり、十分な強度が得られ、導電性樹脂材料17aの本来の接着強度を発揮でき、簡単な構成で端子部材17が電極13に確実に面接合できるようになる。
つまり、電極13の給電部に形成される端子部材17は、導電性樹脂材料17aを介して電極13に接合されるために、電極13の材質が共重合ポリエステル樹脂中に導電性付与材として銀粉末を分散したような、いわゆる、樹脂系の導電性ペーストであっても、電気的及び物理的接合を可能にする。当然、金属の薄板ような電極13であっても電気的及び物理的接合が可能であって、電極13の材質による制約を受けることなく端子部材17を接合できる。また、導電性樹脂材料17aは薄肉の面状で介在するために、接合部の抵抗値を極めて低く設定することが可能であり、大電流を流し続けてもほとんど発熱しないようにすることができ、接合面積を確保することによって十分な強度を確保することができるようになる。さらに、端子部材17の外側に形成される外装材6が端子部材17を支えるので、この接合強度を一層、強固なものとすることができる。この結果、許容電流が大きく、高信頼性かつ高生産性の給電部を形成できるようになり、この構成は、電源電圧が低いために多くの電流が必要とされる場合や、速熱性を得るために大きな突入電流を必要とする正抵抗温度特性を有する発熱体を形成する場合には、極めて効果的である。
さらに、端子部材17およびリード線19の取り付け部には、ホットメルトなどの絶縁性保護材20を塗布した構成としてあるので、除去手段18による除去部およびリード線19の取り付け部から電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14が絶縁性保護材20に保護され、外気と遮断されて構成されるようになり、湿気や異物による汚染劣化や、電極13のマイグレーションによるショートなどの不具合を防止でき、より性能の安定性や耐久性を向上させることができる。
なお、上記実施の形態1では、ロール状の電気絶縁性基材12上に電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14を印刷形成した加工工程で説明したが、これはシート状電気絶縁性基材12上に電極13及び電極13により給電される高分子抵抗体14を印刷形成した加工工程でもよく、その他各部の構成も本発明の目的を達成する範囲であればその構成はどのようなものであってもよい。
以上のように、本発明は柔軟性を有する半田接続ができない素材を用いた電極であっても、半田によるリード線接続を可能にするものであり、端子形成の生産性に優れるばかりでなく、許容電流が大きく、信頼性に優れた端子接続することが可能となるので、主に車輌に用いられるカーシートヒータや、ハンドルヒータ等の車輌用や暖房器具や加熱器具等の用途にも適用できる。
用できる。
本発明の実施の形態1における面状発熱体の構成を示す平面図 同面状発熱体の一部切欠斜視図 同面状発熱体の端子部材近傍の部分断面図 同面状発熱体から被覆材が除去された状態を示す部分断面図 従来の面状発熱体の構成を示す一部省略平面図 同面状発熱体のA−A線断面図
11 面状発熱体
12 電気絶縁性基材
13 電極
13a、13c 主電極
13b、13d 枝電極
14 高分子抵抗体
15 接着性樹脂層
16 被覆材
17 端子部材
17a 導電性樹脂材料
18 除去手段
19 リード線
20 絶縁性保護材

Claims (3)

  1. 電気絶縁性基材と、該電気絶縁性基材上に形成された電極及び該電極により給電される高分子抵抗体と、前記電極の給電部と接する面に導電性樹脂材料を形成した端子部材と、該端子部材に接続されるリード線と、前記電極及び高分子抵抗体を覆い前記電気絶縁性基材と密着させて配設される接着性樹脂層が予め形成された被覆材とを備え、前記電極及び高分子抵抗体を、前記被覆材で覆った後、前記被覆材および前記接着性樹脂層の溶融温度より高く電気絶縁性基材および電極の溶融温度より低い所定の温度を保ち、前記端子部材の取付部の形状でかつ表面に凹凸を有する形状の除去手段により、前記被覆材の上から前記端子部材に接着される電極の給電部に熱をかけ、前記被覆材および前記接着性樹脂層を溶融して除去した後、前記端子部材を前記給電部に配設して所定温度で所定時間加圧して面接合すると共にリード線を前記端子部材に接続するように構成した面状発熱体。
  2. 端子部材の導電性樹脂材料が電極に対して熱接着性及び熱硬化性を有する請求項1記載の面状発熱体。
  3. 電極の給電部に配設した端子部材と該端子部材に接続したリード線の取付部に絶縁性保護材を塗布した請求項1又は2記載の面状発熱体。
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