JP4743042B2 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼モードの切り換えなどを行う内燃機関の燃焼制御装置に関する。
従来から、例えば空燃比の互いに異なるストイキ燃焼やリーン燃焼等の燃焼モードへ切り換える技術が行われている。このような燃焼モードの切り換えの際、トルク段差などの出力段差が大きく生じてしまう場合があり、この出力段差を抑制するため各種の技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、燃焼モードを切り換える際、吸入空気量等から推定される内燃機関のトルクが切り換え後の所定のトルクに一致するまで点火時期を遅角する、即ちトルク補正を行うことにより切り換え時のトルク段差を抑制する技術が提案されている。また、特許文献2では、触媒のNOx吸蔵量が多くなれば強制的にリッチ燃焼に切り換え、加速時は、スロットル制御を遅延させ噴射量を増量して出力変動を抑制する技術が提案されている。
特開平11−22609号公報 特開2000−282915号公報
ところで、内燃機関の燃焼成立上の理由などから、点火時期を遅角可能な量には限界(以下、限界まで遅角させたときの点火時期を「遅角限界」とも呼ぶ。)が存在する。この遅角限界を超えて点火時期を遅角させた場合には、失火やトルク変動が生じてしまう。
上記した特許文献1及び2に記載された技術においては、遅角限界を考慮に入れて燃焼モードの切り換えを行ってはいない。そのため、燃焼モードを切り換える際に、トルク段差が生じてしまう場合があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、点火時期の遅角限界を考慮に入れて、トルク段差を適切に抑制して燃焼モードの切り換えを行うことが可能な内燃機関の燃焼制御装置を提供することにある。
本発明の1つの観点では、少なくとも点火時期を遅角させる制御を行うことによって、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を防止する内燃機関の燃焼制御装置は、前記遅角させる制御によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えるか否かを判定する遅角限界判定手段と、前記遅角限界判定手段によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えると判定された場合、車両における加減速状態に基づいて、少なくとも前記燃焼モードの切り換え及び前記点火時期に対する制御を行う切り換え制御手段と、を備え、前記切り換え制御手段は、前記車両が加速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界に達した際に、点火時期を前記遅角限界に維持する制御を行うと共に、空燃比をストイキに維持する制御を行い、前記車両が減速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界に達した際に、前記遅角させる制御を終了し、空燃比をストイキからリーンに切り換える制御を行う。
上記の内燃機関の燃焼制御装置は、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える制御を実行する。詳しくは、このような燃焼モードの切り換え時に発生し得るトルク段差を防止するために、点火時期を遅角させる制御などを行う。遅角限界判定手段は、トルク段差を防止するために必要な遅角量に遅角させた後の点火時期が、遅角限界を超えるか否かを判定する。切り換え制御手段は、点火時期における遅角限界を考慮に入れて、燃焼モードの切り換えの制御、及び点火時期に対する制御を行う。具体的には、切り換え制御手段は、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合、通常行う点火時期を遅角させる制御とは異なる制御を実行する。こうするのは、燃焼成立上などの理由から遅角限界を超えて点火時期を遅角させることが困難であるため、遅角後の点火時期が遅角限界を超えるような場合には、所望の点火時期まで遅角することができずに、トルク段差が発生する場合があるからである。
また、切り換え制御手段は、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合、車両における加減速状態に基づいて制御を行う。具体的には、切り換え制御手段は、車両が加速状態である場合には、遅角後の点火時期が遅角限界に達した際に、点火時期を遅角限界に維持する制御を行うと共に、空燃比をストイキに維持する制御を行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが上昇するが、車両が加速状態にあるため、運転者はこのようなトルク上昇を感じにくいと言える。また、実トルクの上昇は、点火時期が遅角限界に設定されている際にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。よって、上記した内燃機関の燃焼制御装置によれば、車両が加速状態である場合において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
これに対して、切り換え制御手段は、車両が減速状態である場合には、遅角後の点火時期が遅角限界に達した際に、遅角させる制御を終了し、空燃比をストイキからリーンに切り換える制御を行う。このような制御を行った場合、実トルクが減少するが、車両が減速状態にあるため、運転者はこのようなトルク減少を感じにくいと言える。また、実トルクの減少は、リーン燃焼を行っている際にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。よって、上記した内燃機関の燃焼制御装置によれば、車両が減速状態である場合において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
本発明の他の観点では、少なくとも点火時期を遅角させる制御を行うことによって、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を防止する内燃機関の燃焼制御装置は、前記遅角させる制御によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えるか否かを判定する遅角限界判定手段と、前記遅角限界判定手段によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えると判定された場合、車両における加減速状態に基づいて、少なくとも前記燃焼モードの切り換え及び前記点火時期に対する制御を行う切り換え制御手段と、を備え、前記切り換え制御手段は、前記車両が加速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界を超える間、点火時期を前記遅角限界に維持する制御を行うと共に、空燃比をストイキに維持する制御を行い、前記車両が減速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界を超える間、前記遅角させる制御を行わずに、空燃比をリーンに維持する制御を行う。
上記の内燃機関の燃焼制御装置によっても、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る内燃機関の燃焼制御装置が適用された車両100の全体構成を示す概略図である。なお、図1では、実線の矢印がガスの流れの一例を示し、破線の矢印が信号の入出力を示している。
車両100は、主に、吸気通路3と、スロットルバルブ4と、エンジン(内燃機関)5と、排気通路6と、触媒7と、アクセル開度センサ9と、ECU(Electronic Control Unit)10と、を備える。
吸気通路3には外部から導入された吸気が通過し、スロットルバルブ4は吸気通路3を通過する吸気の流量を調整する。そして、吸気は、サージタンクに導入された後に、エンジン5に供給される。なお、スロットルバルブ4はECU10から供給される制御信号に応じた開度(スロットル開度)に制御される。
エンジン5は、複数の気筒を有して構成され、供給された吸気と燃料とを混合した混合気を、燃焼室内で爆発させることによって動力を発生する。エンジン5は、ECU10から供給される制御信号によって、燃料噴射量の制御や点火時期の制御などが行われる。
排気通路6は、エンジン5から排出された排気ガスが流通する。排気通路6中には、触媒7が設けられている。触媒7は、NOx吸蔵触媒などによって構成され、排気ガス中のNOxやSOx等を浄化する。
更に、アクセル開度センサ9は、運転者によるアクセルペダルの操作に対応するアクセル開度を検出する。アクセル開度センサ9は、検出したアクセル開度に対応する検出信号をECU10に供給する。
ECU10は、図示しないCPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インタフェイスなどを含んで構成される。ECU10は、スロットルバルブ4やエンジン5などに制御信号を供給することによって、車両100内の種々の制御を行う。詳しくは、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ、或いはリーン燃焼からストイキ燃焼へ、燃焼モードを切り換えるための制御(以下、「燃焼モード切り換え制御」と呼ぶ。)を実行する。具体的には、ECU10は、このような燃焼モードの切り換え時に発生し得るトルク段差が適切に抑制されるように、少なくとも点火時期を遅角させる制御(以下、「遅角制御」と呼ぶ。)を行うことによって、燃焼モード切り換え制御を実行する。
本実施形態では、ECU10は、遅角させた後の点火時期が遅角限界を超えるか否か、及び車両100における加減速状態に基づいて燃焼モード切り換え制御を実行する。このように、ECU10は、本発明における内燃機関の燃焼制御装置として機能する。具体的には、遅角限界判定手段、及び切り換え制御手段として動作する。
以下では、本発明に係る燃焼モード切り換え制御の実施形態について、具体的に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る燃焼モード切り換え制御について説明する。第1実施形態に係る燃焼モード切り換え制御は、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える場合に実行される制御である。
(基本制御)
ここで、燃焼モード切り換え制御において通常実行される制御(以下、「基本制御」と呼ぶ。)について説明する。なお、基本制御は、遅角後の点火時期が遅角限界を超えない場合に実行される制御である。遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合の制御については、詳細は後述する。
図2は、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える場合に実行される、第1実施形態に係る基本制御を説明するための図である。図2(a)は、スロットル開度を示し、図2(b)は空気量を示し、図2(c)は推定トルクを示し、図2(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図2(e)は点火時期を示し、図2(f)は実トルクを示し、図2(g)は目標空燃比を示している。また、図2の横軸は時間を示している。
この場合、時刻t31において、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼への切り換えを開始する。この際、ECU10は、ストイキ燃焼時に発生されるトルクとリーン燃焼時に発生されるトルクとが概ね等しくなるのに必要な空気量を求め(図2(b)参照)、この空気量が得られるようにスロットル開度を調整する(図2(a)参照)。また、ECU10は、このような空気量変化時において発生されるトルクが等トルクとなるように、目標空燃比をストイキに維持した状態で(図2(g)参照)、点火時期の遅角制御を実行する(図2(e)参照)。具体的には、ECU10は、ストイキ燃焼において目標トルクが得られる遅角量を算出し、この遅角量だけ点火時期を遅角させる。なお、この場合における遅角後の点火時期は、遅角限界(図2(e)中の破線で示す)を超えないものとする。加えて、ECU10は、燃料噴射量も変更する(図2(d)参照)。このような遅角制御を実行することにより、図2(f)中の符号36で示すように、エンジン5から発生される実トルクは、燃焼モードの切り換え期間中、概ね一定となる。即ち、トルク段差が生じていないと言える。因みに、遅角制御を実行しない場合には、図2(f)中の符号35で示すように、エンジン5から発生される実トルクは燃焼モードの切り換え期間中に変動する。この場合には、トルク段差が生じる。
更に、ECU10は、空気量変化時においてリーン燃焼にて発生され得るトルクを、空気量の推定値などに基づいて推定する(以下、このように推定されるトルクを「リーン推定トルク」とも呼ぶ)。同様に、空気量変化時においてストイキ燃焼にて発生され得るトルクを推定する(以下、このように推定されるトルクを「ストイキ推定トルク」とも呼ぶ)。具体的には、図2(c)においては、符号30で示すグラフがストイキ推定トルクに対応し、符号31で示すトルクがリーン推定トルクに対応する。ECU10は、このリーン推定トルクを用いて、燃焼モードの切り換えの終了判定を行う。具体的には、ECU10は、リーン推定トルクが目標トルクを超えた時点で、リーン燃焼に必要な空気量に達したと判断し、切り換えを終了する。なお、目標トルクは、燃焼モードの切り換え開始時(時刻t31)におけるトルク、又はアクセル開度から推定される運転者による要求トルクに対応する。
この場合、時刻t32において、リーン推定トルクが目標トルクに達するため、ECU10は、燃焼モードの切り換えを終了し、点火時期及び目標空燃比をリーン燃焼で用いる値にそれぞれ変更する(図2(e)、(g)参照)。以上のように、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える場合、トルク段差の発生が抑制されるように点火時期を遅角させることによって基本制御を実行する。
(遅角限界制御)
次に、燃焼モードを切り換える際において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に実行される制御(以下、この制御を「遅角限界制御」とも呼ぶ。)について説明する。
第1実施形態では、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、上記した基本制御(図2参照)とは異なる制御を実行する。こうするのは、燃焼成立上などの理由から遅角限界を超えて点火時期を遅角させることが困難であるため、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合には、所望の点火時期まで遅角させることができなくなり、トルク段差が発生する場合があるからである。なお、本明細書では「遅角後の点火時期」とは、ストイキ燃焼において目標トルクが得られる遅角量を算出し、この遅角量だけ遅角させた後の点火時期を意味するものとする。
したがって、第1実施形態では、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える際において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合には、運転者などがトルク段差を感じにくくするために、言い換えると運転者などが感じるトルク段差を抑制するために、基本制御から遅角限界制御に切り換える。具体的には、車両100における加減速状態を考慮に入れて、遅角限界制御を行う。詳しくは、車両100が加速状態にあるか或いは減速状態にあるかに基づいて、異なる遅角限界制御を実行する。即ち、トルク段差を運転者に感じにくくさせるために、車両100の加減速状態に応じた制御を行う。
(a)加速時遅角限界制御
ここで、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合において、車両100が加速状態にある場合に実行される遅角限界制御(以下、「加速時遅角限界制御」と呼ぶ。)について説明する。
第1実施形態に係る加速時遅角限界制御においては、点火時期が遅角限界に達した際に、点火時期を遅角限界に維持すると共に、空燃比をストイキに維持し、リーン推定トルクが目標トルクに達した際に燃焼モードの切り換えを行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが上昇するが、車両100が加速状態にあるため、運転者はこのようなトルク上昇を感じにくいと言える。即ち、上記した加速時遅角限界制御によれば、加速時における運転者のフィーリングに、燃焼モードの切り換え時に生じるトルク上昇を紛れ込ませることによって、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。また、実トルクの上昇は、点火時期が遅角限界に設定されている際にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。
図3は、第1実施形態に係る加速時遅角限界制御を説明するための図である。図3(a)は、スロットル開度を示し、図3(b)は空気量を示し、図3(c)は推定トルクを示し、図3(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図3(e)は点火時期を示し、図3(f)は実トルクを示し、図3(g)は目標空燃比を示している。また、図3の横軸は時間を示している。なお、空気量、スロットル開度、及び推定トルクの求め方・制御方法などついては、図2で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
時刻t41において、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼への切り換えを開始する。そして、ECU10は、点火時期の遅角制御を実行する。この場合、時刻t42において、遅角後の点火時期が遅角限界に達する(図3(e)参照)。よって、遅角限界を超えて点火時期を遅角させることができないので、ECU10は、目標空燃比をストイキに維持した状態で(図3(g)参照)、点火時期を遅角限界に維持する(図3(e)参照)。この場合、トルク段差の抑制のために設定すべき遅角量よりも小さい遅角量に点火時期を設定していることになるため、図3(f)中の符号46で示すように、実トルクが上昇する。このように実トルクが上昇しても、車両100は加速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。なお、図3(f)中の符号46で示す実トルクの上昇は、点火時期を全く遅角させない場合の実トルクの上昇(図3(f)中の符号45で示す)と比較すると小さいと言える。
そして、時刻t43において、図3(c)中の符号41で示すリーン推定トルクが目標トルクに達する。この際に、ECU10は、燃焼モードの切り換えを終了し、点火時期及び目標空燃比をリーン燃焼で用いる値にそれぞれ変更する(図3(e)、(g)参照)。
以上の第1実施形態に係る加速時遅角限界制御によれば、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
(b)減速時遅角限界制御
次に、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合において、車両100が減速状態にある場合に実行される遅角限界制御(以下、「減速時遅角限界制御」と呼ぶ。)について説明する。
第1実施形態に係る減速時遅角限界制御においては、点火時期が遅角限界に達した際に遅角制御を終了し、ストイキ燃焼からリーン燃焼に燃焼モードを切り換える。このような制御を行った場合、遅角制御の終了後に実トルクが減少するが、車両100が減速状態にあるため、運転者はこのようなトルク減少を感じにくいと言える。即ち、上記した減速時遅角限界制御によれば、減速時における運転者のフィーリングに、燃焼モードの切り換え時に生じるトルク減少を紛れ込ませることによって、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。また、実トルクの減少は、リーン燃焼を行っている際(遅角制御を終了後)にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。
図4は、第1実施形態に係る減速時遅角限界制御を説明するための図である。
図4(a)は、スロットル開度を示し、図4(b)は空気量を示し、図4(c)は推定トルクを示し、図4(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図4(e)は点火時期を示し、図4(f)は実トルクを示し、図4(g)は目標空燃比を示している。また、図4の横軸は時間を示している。なお、空気量、スロットル開度、及び推定トルクの求め方・制御方法などついては、図2で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
時刻t51において、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼への切り換えを開始する。そして、ECU10は、点火時期の遅角制御を実行する。この場合、時刻t52において、遅角後の点火時期が遅角限界に達する(図4(e)参照)。よって、遅角限界を超えて遅角することができないので、ECU10は、点火時期の遅角を終了すると共に(図4(e)参照)、目標空燃比をストイキ燃焼からリーン燃焼に切り換える(図4(g)参照)。即ち、ECU10は、点火時期の遅角制御を終了する。
この場合、時刻t52ではリーン推定トルク(図4(c)中の符号51で示す)が目標トルクに達していないため、図4(f)中の符号56で示すように、時刻t52以降に、実トルクが減少する。このように実トルクが減少しても、車両100は減速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。因みに、時刻t51から時刻t52までの間に点火時期を全く遅角させない場合には、図4(f)中の符号55で示すように実トルクが上昇する。なお、時刻t52以降においてリーン推定トルクが目標トルクに達し、この際に、実トルクは設定されるべき値になる(図4(f)参照)。
以上の第1実施形態に係る減速時遅角限界制御によれば、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
(燃焼モード切り換え処理)
次に、第1実施形態に係る燃焼モード切り換え処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU10によって所定の周期(例えば「16(ms)」)で繰り返し実行される。
まず、ステップS101では、ECU10は、燃焼モードを切り換えるために、スロットルバルブ4に対して制御を行う。具体的には、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼に燃焼モードを切り換えるために、スロットル開度を開き側に制御する。そして、処理はステップS102に進む。
ステップS102では、ECU10は、燃焼モデルに従って、燃焼モードを切り換える際に用いるトルクを算出する。具体的には、ECU10は、目標トルクと、ストイキ推定トルクと、リーン推定トルクを算出する。目標トルクは、燃焼モードの切り換え開始時におけるトルク、又はアクセル開度から推定される運転者による要求トルクに対応する。また、ストイキ推定トルク、及びリーン推定トルクは、現在の吸入空気量に基づいて算出される。そして、処理はステップS103に進む。
ステップS103では、ECU10は、リーン推定トルクが目標トルク未満であるか否かを判定する。ここでは、ECU10は、遅角制御を終了して、燃焼モードを切り換えても良い状況にあるか否かを判定する。リーン推定トルクが目標トルク未満である場合(ステップS103;Yes)、遅角制御を終了して、燃焼モードを切り換えるべき状況であるとは言えない。この場合、処理はステップS104に進む。一方、リーン推定トルクが目標トルク以上である場合(ステップS103;No)、遅角制御を終了して、燃焼モードを切り換えるべき状況であると言える。この場合、処理はステップS110に進み、ECU10は、遅角制御を終了して、燃焼モードをストイキ燃焼からリーン燃焼に切り換える。そして、処理は当該フローを抜ける。
ステップS104では、ECU10は、ストイキ燃焼において目標トルクが得られる遅角量を算出する。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、ECU10は、ステップS104で算出された遅角量だけ遅角させた点火時期が遅角限界を超えるか否かを判定する。ここでは、ECU10は、トルク段差の抑制のために点火時期を遅角させる、基本制御を実行可能な状況であるか否かを判定する。言い換えると、遅角限界制御を実行すべき状況であるか否かの判定を行う。
遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合(ステップS105;Yes)、これ以上点火時期を遅角させることが困難であり、基本制御を実行することはできない。即ち、遅角限界制御を実行すべき状況であると言える。この場合には、処理はステップS106に進む。一方、遅角後の点火時期が遅角限界を超えない場合(ステップS105;No)、点火時期を更に遅角させることが可能であり(即ち、点火時期を遅角させても遅角限界に達しない)、基本制御を実行可能な状況であると言える。この場合には、処理はステップS109に進み、ECU10は、基本制御を実行する。具体的には、ECU10は、ストイキ燃焼を維持して、点火時期を遅角させる遅角制御を実行する。この処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
ステップS106では、ECU10は、車両100が加速状態にあるか否かを判定する。この場合、ECU10は、アクセル開度センサ9から取得される検出信号に基づいて、車両100が加速状態にあるか、或いは減速状態にあるかを判定する。即ち、ステップS106では、ECU10は、加速時遅角限界制御を実行すべき状況か、或いは減速時遅角限界制御を実行すべき状況かを判定する。
車両100が加速状態にある場合(ステップS106;Yes)、処理はステップS107に進む。ステップS107では、ECU10は、加速時遅角限界制御を実行する。具体的には、ECU10は、点火時期を遅角限界に維持しつつ、ストイキ燃焼を継続する制御を行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが上昇するが、車両100が加速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
一方、車両100が加速状態にない場合(ステップS106;No)、即ち車両100が減速状態にある場合、処理はステップS108に進む。ステップS108では、ECU10は、減速時遅角限界制御を実行する。具体的には、ECU10は、遅角制御を終了し、ストイキ燃焼からリーン燃焼に燃焼モードを切り換える制御を行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが減少するが、車両100が減速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
以上の第1実施形態に係る燃焼モード切り換え処理によれば、ストイキ燃焼からリーン燃焼に燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を適切に抑制することができる。詳しくは、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る燃焼モード切り換え制御について説明する。第2実施形態に係る燃焼モード切り換え制御は、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える場合に実行される点で、前述した第1実施形態に係る燃焼モード切り換え制御とは異なる。
(基本制御)
ここで、燃焼モード切り換え制御において通常実行される制御(基本制御)について説明する。なお、基本制御は、遅角後の点火時期が遅角限界を超えない場合に実行される制御である。遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合の制御については、詳細は後述する。
図6は、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える場合に実行される、第2実施形態に係る基本制御を説明するための図である。図6(a)は、スロットル開度を示し、図6(b)は空気量を示し、図6(c)は推定トルクを示し、図6(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図6(e)は点火時期を示し、図6(f)は実トルクを示し、図6(g)は目標空燃比を示している。また、図6の横軸は時間を示している。
この場合、時刻t61において、ECU10は、リーン燃焼からストイキ燃焼への切り換えを開始する。この際、ECU10は、リーン燃焼時に発生されるトルクとストイキ燃焼時に発生されるトルクとが概ね等しくなるのに必要な空気量を求め(図6(b)参照)、この空気量が得られるようにスロットル開度を調整する(図6(a)参照)。また、ECU10は、時刻t61において、目標空燃比をリーンからストイキに切り換えると共に(図6(g)参照)、燃料噴射量も変更する(図6(d)参照)。
ECU10は、このような空気量変化時において発生されるトルクが等トルクとなるように、点火時期の遅角制御を実行する(図6(e)参照)。具体的には、ECU10は、ストイキ燃焼において目標トルクが得られる遅角量を算出し、この遅角量だけ点火時期を遅角させる。なお、この場合における遅角後の点火時期は、遅角限界(図6(e)中の破線で示す)を超えないものとする。このような遅角制御を実行することにより、図6(f)中の符号66で示すように、エンジン5から発生される実トルクは、燃焼モードの切り換え期間中、概ね一定となる。即ち、トルク段差が生じていないと言える。因みに、遅角制御を実行しない場合には、図6(f)中の符号65で示すように、エンジン5から発生される実トルクは燃焼モードの切り換え期間中に変動する。この場合には、トルク段差が生じる。
更に、ECU10は、リーン推定トルク及びストイキ推定トルクを推定する。図6(c)においては、符号60で示すグラフがリーン推定トルクに対応し、符号61で示すトルクがストイキ推定トルクに対応する。ECU10は、このストイキ推定トルクを用いて、燃焼モードの切り換えの終了判定を行う。具体的には、ECU10は、ストイキ推定トルクが目標トルクを下回った時点で、切り換えを終了する。なお、目標トルクは、燃焼モードの切り換え開始時(時刻t61)におけるトルク、又はアクセル開度から推定される運転者による要求トルクに対応する。
この場合、時刻t62において、ストイキ推定トルクが目標トルクに達するため、ECU10は、燃焼モードの切り換えを終了する。以上のように、ECU10は、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える場合、トルク段差の発生が抑制されるように点火時期を遅角させることによって基本制御を実行する。
(遅角限界制御)
次に、燃焼モードを切り換える際において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に実行される遅角限界制御について説明する。
第2実施形態では、リーン燃焼からストイキ燃焼に燃焼モードを切り換える場合において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、上記した基本制御(図6参照)とは異なる遅角限界制御を実行する。こうするのは、燃焼成立上などの理由から遅角限界を超えて点火時期を遅角させることが困難であるため、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合には、所望の点火時期まで遅角させることができなくなり、トルク段差が発生する場合があるからである。
したがって、第2実施形態では、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える際において、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合、運転者などがトルク段差を感じにくくするために、言い換えると運転者などが感じるトルク段差を抑制するために、基本制御から遅角限界制御に切り換える。具体的には、車両100における加減速状態を考慮に入れて、遅角限界制御を行う。詳しくは、車両100が加速状態にあるか或いは減速状態にあるかに基づいて、異なる遅角限界制御を実行する。即ち、トルク段差を運転者に感じにくくさせるために、車両100の加減速状態に応じた制御を行う。
(a)加速時遅角限界制御
ここで、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合において、車両100が加速状態にある場合に実行される遅角限界制御(加速時遅角限界制御)について説明する。
第2実施形態に係る加速時遅角限界制御においては、点火時期を遅角限界に維持すると共に、空燃比をストイキに維持し、ストイキ推定トルクが目標トルクに達した際に燃焼モードの切り換えを行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが上昇するが、車両100が加速状態にあるため、運転者はこのようなトルク上昇を感じにくいと言える。また、実トルクの上昇は、点火時期が遅角限界に設定されている際にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。
図7は、第2実施形態に係る加速時遅角限界制御を説明するための図である。図7(a)は、スロットル開度を示し、図7(b)は空気量を示し、図7(c)は推定トルクを示し、図7(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図7(e)は点火時期を示し、図7(f)は実トルクを示し、図7(g)は目標空燃比を示している。また、図7の横軸は時間を示している。なお、空気量、スロットル開度、及び推定トルクの求め方・制御方法などついては、図6で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
時刻t71において、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼への切り換えを開始する。この際に、ECU10は、目標空燃比をリーンからストイキに切り換えると共に(図7(g)参照)、点火時期を遅角させる(図7(e)参照)。この場合、遅角後の点火時期が即座に遅角限界に達するため、遅角限界を超えて点火時期を遅角させることができないので、ECU10は、点火時期を遅角限界に維持する(図7(e)参照)。このように点火時期を遅角限界に維持した場合、トルク段差の抑制のために設定すべき遅角量よりも小さい遅角量に点火時期を設定していることになるため、図7(f)中の符号76で示すように、実トルクが上昇する。このように実トルクが上昇しても、車両100は加速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。なお、図7(f)中の符号76で示す実トルクの上昇は、点火時期を全く遅角させない場合の実トルクの上昇(図7(f)中の符号75で示す)と比較すると小さいと言える。
そして、時刻t72において、求められた遅角後の点火時期が遅角限界を超えなくなるため、ECU10は、点火時期を遅角限界に維持することを終了し、求められた点火時期に設定する。次に、時刻t73において、図7(c)中の符号71で示すストイキ推定トルクが目標トルクに達する。この際に、ECU10は、燃焼モードの切り換えを終了する。
以上の第2実施形態に係る加速時遅角限界制御によれば、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
(b)減速時遅角限界制御
次に、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合において、車両100が減速状態にある場合に実行される遅角限界制御(減速時遅角限界制御)について説明する。
第2実施形態に係る減速時遅角限界制御においては、遅角後の点火時期が遅角限界を超える間、点火時期を遅角させずに、リーン燃焼に維持する。このような制御を行った場合、リーン燃焼に維持されている際に実トルクが減少するが、車両100が減速状態にあるため、運転者はこのようなトルク減少を感じにくいと言える。また、実トルクの減少は、リーン燃焼を行っている際にのみ発生することとなるので、トルク段差を最小限にとどめることができる。
図8は、第2実施形態に係る減速時遅角限界制御を説明するための図である。
図8(a)は、スロットル開度を示し、図8(b)は空気量を示し、図8(c)は推定トルクを示し、図8(d)は燃料量(燃料噴射量)を示し、図8(e)は点火時期を示し、図8(f)は実トルクを示し、図8(g)は目標空燃比を示している。また、図8の横軸は時間を示している。なお、空気量、スロットル開度、及び推定トルクの求め方・制御方法などついては、図6で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
時刻t81において、ECU10は、ストイキ燃焼からリーン燃焼への切り換えを開始する。この場合、求められた遅角後の点火時期(不図示)が遅角限界を超えるため、ECU10は、点火時期を遅角させずに(図8(e)参照)、目標空燃比をリーン燃焼に維持する(図8(g)参照)。このように点火時期を遅角させないため、図8(f)中の符号86で示すように、実トルクが減少する。このように実トルクが減少しても、車両100は減速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。
時刻t82において、求められた遅角後の点火時期が遅角限界を超えなくなるため、ECU10は、目標空燃比をリーン燃焼からストイキ燃焼に切り換え(図8(g)参照)、点火時期の遅角を行う(図8(e)参照)。具体的には、時刻t82において、点火時期を遅角限界に設定する。このように点火時期を遅角させることにより、図8(f)中の符号87で示すように、実トルクは設定されるべき値になる。因みに、時刻t82から時刻t83までの間に点火時期を全く遅角させない場合には、図8(f)中の符号85で示すように実トルクが上昇する。次に、時刻t83において、図8(c)中の符号81で示すストイキ推定トルクが目標トルクに達する。この際に、ECU10は、燃焼モードの切り換えを終了する。
以上の第2実施形態に係る減速時遅角限界制御によれば、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することが可能となる。
(燃焼モード切り換え処理)
次に、第2実施形態に係る燃焼モード切り換え処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU10によって所定の周期(例えば「16(ms)」)で繰り返し実行される。
まず、ステップS201では、ECU10は、燃焼モードを切り換えるために、スロットルバルブ4に対して制御を行う。具体的には、ECU10は、リーン燃焼からストイキ燃焼に燃焼モードを切り換えるために、スロットル開度を閉じ側に制御する。そして、処理はステップS202に進む。
ステップS202では、ECU10は、燃焼モデルに従って、燃焼モードを切り換える際に用いるトルクを算出する。具体的には、ECU10は、目標トルクと、ストイキ推定トルクと、リーン推定トルクを算出する。目標トルクは、燃焼モードの切り換え開始時におけるトルク、又はアクセル開度から推定される運転者による要求トルクに対応する。また、ストイキ推定トルク、及びリーン推定トルクは、現在の吸入空気量に基づいて算出される。そして、処理はステップS203に進む。
ステップS203では、ECU10は、ストイキ推定トルクが目標トルクよりも大きいか否かを判定する。ここでは、ECU10は、遅角制御を終了しても良い状況にあるか否かを判定する。ストイキ推定トルクが目標トルクよりも大きい場合(ステップS203;Yes)、遅角制御を終了しても良い状況であるとは言えない。この場合、処理はステップS204に進む。一方、ストイキ推定トルクが目標トルク以下である場合(ステップS203;No)、即ちストイキ推定トルクが目標トルクを下回った場合、遅角制御を終了しても良い状況であると言える。この場合、処理はステップS210に進み、ECU10は、遅角制御を終了して、燃焼モードの切り換えを終了する。そして、処理は当該フローを抜ける。
ステップS204では、ECU10は、ストイキ燃焼において目標トルクが得られる遅角量を算出する。そして、処理はステップS205に進む。
ステップS205では、ECU10は、ステップS204で算出された遅角量だけ遅角させた点火時期が、遅角限界を超えるか否かを判定する。ここでは、ECU10は、トルク段差の抑制のために点火時期を遅角させる、基本制御を実行可能な状況であるか否かを判定する。言い換えると、遅角限界制御を実行すべき状況であるか否かの判定を行う。
遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合(ステップS205;Yes)、点火時期を遅角させることが困難であり、基本制御を実行することはできない。即ち、遅角限界制御を実行すべき状況であると言える。この場合には、処理はステップS206に進む。一方、遅角後の点火時期が遅角限界を超えない場合(ステップS205;No)、点火時期を遅角させることが可能であり(即ち、点火時期を遅角させても遅角限界に達しない)、基本制御を実行可能な状況であると言える。この場合には、処理はステップS209に進み、ECU10は、基本制御を実行する。具体的には、ECU10は、ストイキ燃焼を実行して、点火時期を遅角させる遅角制御を実行する。この処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
ステップS206では、ECU10は、車両100が加速状態にあるか否かを判定する。この場合、ECU10は、アクセル開度センサ9から取得される検出信号に基づいて、車両100が加速状態にあるか、或いは減速状態にあるかを判定する。即ち、ステップS206では、ECU10は、加速時遅角限界制御を実行すべき状況か、或いは減速時遅角限界制御を実行すべき状況かを判定する。
車両100が加速状態にある場合(ステップS206;Yes)、処理はステップS207に進む。ステップS207では、ECU10は、加速時遅角限界制御を実行する。具体的には、ECU10は、点火時期を遅角限界に維持すると共に、空燃比をストイキに維持する制御を行う。このような制御を行った場合、点火時期が遅角限界に設定されている際に実トルクが上昇するが、車両100が加速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
一方、車両100が加速状態にない場合(ステップS206;No)、即ち車両100が減速状態にある場合、処理はステップS208に進む。ステップS208では、ECU10は、減速時遅角限界制御を実行する。具体的には、ECU10は、点火時期を遅角させずに、リーン燃焼に維持する。このような制御を行った場合、リーン燃焼に維持されている際に実トルクが減少するが、車両100が減速状態にあるため、運転者はトルク段差を感じにくいと言える。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
以上の第2実施形態に係る燃焼モード切り換え処理によれば、リーン燃焼からストイキ燃焼に燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を適切に抑制することができる。詳しくは、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、運転者が感じるトルク段差を効果的に抑制することができる。
[変形例]
上記では、遅角後の点火時期が遅角限界を超える場合に、車両100の加減速状態に基づいて実行すべき制御(加速時遅角限界制御又は減速時遅角限界制御)を切り換える実施形態を示したが、これに限定はされない。他の例では、加減速状態の代わりに、加速時遅角限界制御を行った場合に発生されるトルク、及び減速時遅角限界制御を実行した場合に発生されるトルクに基づいて、実行すべき制御を切り換えることも可能である。具体的には、これらのトルクのうち目標トルクに近いトルクが得られた方の制御を実行することができる。
更に他の例では、車両100が加速状態及び減速状態のうちのいずれに該当するか判断し難い場合に、加速時遅角限界制御を行った場合に発生されるトルク、及び減速時遅角限界制御を実行した場合に発生されるトルクに基づいて、実行すべき制御を切り換えることができる。
本実施形態に係る内燃機関の燃焼制御装置が適用された車両の全体構成を示す概略図である。 第1実施形態に係る基本制御を説明するための図である。 第1実施形態に係る加速時遅角限界制御を説明するための図である。 第1実施形態に係る減速時遅角限界制御を説明するための図である。 第1実施形態に係る燃焼モード切り換え処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る基本制御を説明するための図である。 第2実施形態に係る加速時遅角限界制御を説明するための図である。 第2実施形態に係る減速時遅角限界制御を説明するための図である。 第2実施形態に係る燃焼モード切り換え処理を示すフローチャートである。
符号の説明
3 吸気通路
4 スロットルバルブ
5 エンジン
6 排気通路
7 触媒
9 アクセル開度センサ
10 ECU
100 車両

Claims (2)

  1. 少なくとも点火時期を遅角させる制御を行うことによって、ストイキ燃焼からリーン燃焼へ燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を防止する内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記遅角させる制御によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えるか否かを判定する遅角限界判定手段と、
    前記遅角限界判定手段によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えると判定された場合、車両における加減速状態に基づいて、少なくとも前記燃焼モードの切り換え及び前記点火時期に対する制御を行う切り換え制御手段と、を備え
    前記切り換え制御手段は、
    前記車両が加速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界に達した際に、点火時期を前記遅角限界に維持する制御を行うと共に、空燃比をストイキに維持する制御を行い、
    前記車両が減速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界に達した際に、前記遅角させる制御を終了し、空燃比をストイキからリーンに切り換える制御を行うことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 少なくとも点火時期を遅角させる制御を行うことによって、リーン燃焼からストイキ燃焼へ燃焼モードを切り換える際に発生し得るトルク段差を防止する内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記遅角させる制御によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えるか否かを判定する遅角限界判定手段と、
    前記遅角限界判定手段によって遅角後の点火時期が遅角限界を超えると判定された場合、車両における加減速状態に基づいて、少なくとも前記燃焼モードの切り換え及び前記点火時期に対する制御を行う切り換え制御手段と、を備え、
    前記切り換え制御手段は、
    前記車両が加速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界を超える間、点火時期を前記遅角限界に維持する制御を行うと共に、空燃比をストイキに維持する制御を行い、
    前記車両が減速状態である場合には、前記遅角後の点火時期が前記遅角限界を超える間、前記遅角させる制御を行わずに、空燃比をリーンに維持する制御を行うことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
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