JP2006316761A - 内燃機関のトルク制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両の加減速時において回転速度センサの検出誤差の影響を受けることなく内燃機関の回転状況に基づいて機関トルクを適切なタイミングで制御し、もって駆動系の共振に起因する前後振動を確実に抑制できる内燃機関のトルク制御装置を提供する。
【解決手段】 加速のためにアクセル操作が行われたときにスロットル開度THfnlを略1/2に抑制し、機関回転速度Neの微分値である機関加速度dNeが正から負に反転してから駆動系の共振周期の略1/4に相当する遅延期間が経過した後にトルク抑制を解除し、初回に機関トルクが増加したときの車両加速度の反転を2回目の機関トルクの増加により相殺する。
【選択図】 図4
【解決手段】 加速のためにアクセル操作が行われたときにスロットル開度THfnlを略1/2に抑制し、機関回転速度Neの微分値である機関加速度dNeが正から負に反転してから駆動系の共振周期の略1/4に相当する遅延期間が経過した後にトルク抑制を解除し、初回に機関トルクが増加したときの車両加速度の反転を2回目の機関トルクの増加により相殺する。
【選択図】 図4
Description
本発明は内燃機関のトルク制御装置に係り、詳しくは車両を加減速すべく機関トルクが急変したときの前後振動を抑制するトルク制御装置に関するものである。
一般に車両の加減速に際して運転者により急激なアクセル操作が行われると、機関トルクの急増や急減に伴って走行中の車両に前後振動(所謂ショックやシャクリ)が生じる要因となることが確認されている。この現象は、機関トルクの急変によって車両の駆動系(例えば、プロペラシャフトやドライブシャフト等)に捻り振動が励起されることで発生するものであり、例えば加速時には、機関トルクの上昇により車両の加速度が駆動系の固有の共振周期で変動し、この現象が前後振動として乗員に不快感を与えてしまう。
そこで、従来から上記現象を防止するために種々の対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1に開示されたトルク制御装置では、車両の前後振動の要因となる車両駆動力の周期的な変動が内燃機関の回転変動量(機関回転速度の微分値)と相関し、回転変動量の減少により車両駆動力が増加しているときに機関トルクを抑制すれば車両前後振動を抑制できるとの観点の下に、回転変動量が所定量よりも大きく、且つ回転変動量微分値が所定値よりも小さいとき、即ち、内燃機関の回転速度が増加して回転変動量が減少しているときに、点火時期リタードにより機関トルクを低減して前後振動の抑制を図っている。
特開2003−65196号公報
上記のように特許文献1に開示されたトルク制御装置では、回転変動量微分値に基づいて点火時期リタードを実行しているが、機関回転速度の2回微分値である回転変動量微分値は回転速度センサの検出誤差の影響を大きく受けるため、車両の駆動力の変動状況を正確に判定することが困難であり、必然的に点火時期リタードを適切なタイミングで実行できずに前後振動を確実に抑制できないという問題があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の加減速時において回転速度センサの検出誤差の影響を受けることなく内燃機関の回転状況に基づいて機関トルクを適切なタイミングで制御し、もって駆動系の共振に起因する前後振動を確実に抑制することができる内燃機関のトルク制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車両の加減速要求に応じて内燃機関のトルクを制御するトルク制御手段と、内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、回転速度検出手段により検出された回転速度に基づいて回転速度微分値を算出する回転速度微分値算出手段と、加減速要求時においてトルク制御手段によるトルク増減量を所定値に抑制すると共に、回転速度微分値算出手段により算出された回転速度微分値が正と負との間で反転してから車両の駆動系の共振周期の略1/4以下に相当する遅延期間の経過後に、トルク増減量の抑制を解除するトルク抑制手段とを備えたものである。
従って、加減速要求に応じてトルク制御手段により内燃機関のトルクが制御される際には、まず、トルク抑制手段によりトルク増減量が所定値に抑制され、回転速度微分値が正と負との間で反転してから駆動系の共振周期の略1/4以下に相当する遅延期間が経過した後に、トルク増減量の抑制が解除される。
初回に機関トルクが増減したときの車両加速度は駆動系の共振に起因して反転するが、このときの反転に対して、駆動系の共振周期の1/4先行するタイミングで回転速度微分値が正と負との間で反転する現象が生じる。従って、共振周期の略1/4以下の遅延期間の経過後にトルク抑制が解除されることにより、初回の機関トルクの増加により生じた車両加速度の反転に同期した適切なタイミングで2回目の機関トルクの増加が行われ、これにより車両加速度の反転が相殺される。
初回に機関トルクが増減したときの車両加速度は駆動系の共振に起因して反転するが、このときの反転に対して、駆動系の共振周期の1/4先行するタイミングで回転速度微分値が正と負との間で反転する現象が生じる。従って、共振周期の略1/4以下の遅延期間の経過後にトルク抑制が解除されることにより、初回の機関トルクの増加により生じた車両加速度の反転に同期した適切なタイミングで2回目の機関トルクの増加が行われ、これにより車両加速度の反転が相殺される。
そして、回転速度検出手段の検出誤差の影響を強く受ける機関回転速度の2回微分値を用いることなく、検出誤差の影響を受け難い微分値である回転速度微分値に基づいてトルク抑制の解除タイミングを判定しているため、検出誤差に影響されることなく適切なタイミングでトルク抑制を解除可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、トルク抑制手段が、加減速の開始に伴って回転速度微分値が増減し始めてから所定期間が経過する間は回転速度微分値が反転したか否かの判定を禁止するものである。
請求項2の発明は、請求項1において、トルク抑制手段が、加減速の開始に伴って回転速度微分値が増減し始めてから所定期間が経過する間は回転速度微分値が反転したか否かの判定を禁止するものである。
従って、加減速の開始から所定期間が経過する間、即ち、回転速度微分値に対する駆動系のバックラッシュの影響が残っている間は回転速度微分値が反転したか否かの判定が禁止されるため、バックラッシュ衝撃に基づく不適切なトルク抑制の解除が未然に防止される。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、トルク抑制手段が、上記トルク制御手段の作動から機関トルクの発生に寄与するまでの遅れに応じて、上記遅延期間を設定するものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、トルク抑制手段が、上記トルク制御手段の作動から機関トルクの発生に寄与するまでの遅れに応じて、上記遅延期間を設定するものである。
従って、加減速要求時のトルク制御手段の作動から実際に機関トルクとして反映されるまでの応答遅れに応じて遅延期間を設定するため、適切なタイミングでトルク抑制を解除できる。
好ましくは上記トルク制御手段を、内燃機関の吸入空気量を調整するスロットル弁とし、上記トルク抑制手段を、駆動系の共振周期の略1/4に相当する期間から上記スロットル弁によるスロットル制御が機関トルクに反映されるまでの応答遅れを減算した遅延期間の経過後に、上記トルク増減量の抑制を解除するように構成することが望ましい。
好ましくは上記トルク制御手段を、内燃機関の吸入空気量を調整するスロットル弁とし、上記トルク抑制手段を、駆動系の共振周期の略1/4に相当する期間から上記スロットル弁によるスロットル制御が機関トルクに反映されるまでの応答遅れを減算した遅延期間の経過後に、上記トルク増減量の抑制を解除するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、共振周期の略1/4の遅延期間からスロットル制御による応答遅れ分を減算した遅延期間の経過後にトルク増減量の抑制が解除されるため、応答性が良好でないスロットル制御であっても適切なタイミングでトルク抑制を解除可能となり、適用対象の内燃機関が大幅に拡大されると共に、スロットル制御の応答遅れにより機関トルクが緩やかに立ち上がるため、低い機関トルクで駆動系のバックラッシュが詰められて衝撃が緩和される。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、トルク抑制手段が、加減速の開始から上記駆動系の共振周期に基づいて設定した遅延期間が経過したときには、回転速度微分値が反転しなくてもトルク増減量の抑制を解除するものである。
従って、何らかの要因で回転速度微分値が反転しなかった場合でも遅延期間の経過後にトルク抑制が強制解除されるため、トルク抑制の継続によりアクセル操作に応じた加速感が得られない事態が未然に防止される。
従って、何らかの要因で回転速度微分値が反転しなかった場合でも遅延期間の経過後にトルク抑制が強制解除されるため、トルク抑制の継続によりアクセル操作に応じた加速感が得られない事態が未然に防止される。
好ましくは上記遅延期間を、変速機のギア段に応じて設定することが望ましい。共振周期は変速機のギア段の影響を受けるため、ギア段に応じて遅延期間を設定することにより、この強制解除時においても適切なタイミングでトルク抑制を解除可能となる。
更に好ましくは上記遅延期間を、非燃料カット中からの加速時に比較して燃料カット中からの加速時に延長することが望ましい。
更に好ましくは上記遅延期間を、非燃料カット中からの加速時に比較して燃料カット中からの加速時に延長することが望ましい。
燃料カット中からの加速時には燃料噴射を再開するために機関トルクの発生が遅れることから、その遅れ分だけ遅延期間を延長化することによりトルク抑制の解除タイミングを遅延させれば、燃料カットの実行状況に関わらず常に適切なタイミングでトルク抑制を解除可能となる。
更に好ましくは上記トルク抑制手段を、上記トルク制御手段により制御される機関トルクが予め設定された所定値以下のときには、トルク増減量の抑制を禁止するように構成することが望ましい。
更に好ましくは上記トルク抑制手段を、上記トルク制御手段により制御される機関トルクが予め設定された所定値以下のときには、トルク増減量の抑制を禁止するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、アクセル踏込み当初で機関トルクが所定値以下の領域では、アクセル操作に応じて速やかに機関トルクが立ち上げられるため、良好なアクセル応答性が実現される。
更に好ましくは上記トルク抑制手段を、上記加減速要求時にトルク増減量を略1/2に抑制する一方、車速が所定値より高い領域では、上記トルク増減量を1/2より増加側に抑制するように構成することが望ましい。
更に好ましくは上記トルク抑制手段を、上記加減速要求時にトルク増減量を略1/2に抑制する一方、車速が所定値より高い領域では、上記トルク増減量を1/2より増加側に抑制するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、乗員が車両の前後振動を感じ難い高車速域で機関トルクの増減量が増加側に設定されるため、より迅速な加減速が達成される。
更に好ましくは上記トルク制御手段をスロットル弁として構成した場合、上記トルク抑制手段を、上記加減速要求時にトルク増減量を略1/2に抑制する一方、変速機が高ギア段で且つ車速が所定値より低い領域では、上記トルク増減量を1/2より増加側に抑制するように構成することが望ましい。
更に好ましくは上記トルク制御手段をスロットル弁として構成した場合、上記トルク抑制手段を、上記加減速要求時にトルク増減量を略1/2に抑制する一方、変速機が高ギア段で且つ車速が所定値より低い領域では、上記トルク増減量を1/2より増加側に抑制するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、スロットル開度に対する吸入空気の追従が遅れ気味となる高ギア段且つ低車速域で機関トルクの増減量が増加側に設定されるため、吸入空気量の追従性が向上して良好な応答性が達成される。
以上説明したように請求項1の発明の内燃機関のトルク制御装置によれば、車両の加減速時において回転速度検出手段の検出誤差の影響を受け難い回転速度微分値に基づいて機関トルクの増減量の抑制を解除するタイミングを判定しているため、適切なタイミングでトルク抑制を解除でき、もって駆動系の共振に起因する前後振動を確実に抑制することができる。
請求項2の発明の内燃機関のトルク制御装置によれば、請求項1に加えて、駆動系のバックラッシュの影響が残っている所定期間の間は回転速度微分値に関する判定を禁止して、バックラッシュ衝撃に起因する不適切なトルク抑制の解除を防止し、これによる前後振動の発生を抑制することができる。
請求項3の発明の内燃機関のトルク制御装置によれば、請求項1及び2に加えて、吸入空気が機関トルクの発生に寄与するまでの応答遅れがある場合でも、適切なタイミングでトルク抑制を解除することができる。
請求項3の発明の内燃機関のトルク制御装置によれば、請求項1及び2に加えて、吸入空気が機関トルクの発生に寄与するまでの応答遅れがある場合でも、適切なタイミングでトルク抑制を解除することができる。
請求項4の発明の内燃機関のトルク制御装置によれば、請求項1乃至3に加えて、遅延期間の経過後にトルク抑制を強制解除することで、誤ったトルク抑制の継続によるドライバビリティの悪化を未然に防止することができる。
以下、本発明を具体化した内燃機関のトルク制御装置の一実施形態を説明する。
本実施形態の内燃機関は、図示はしないがFR(フロントエンジン・リアドライブ)式の車両に搭載された上で手動変速機が連結され、内燃機関の回転が変速機のギア段に応じて変速された後に、プロペラシャフト、ディファレンシャルギア、左右のドライブシャフトを介して後輪に伝達されて回転駆動するようになっている。
本実施形態の内燃機関は、図示はしないがFR(フロントエンジン・リアドライブ)式の車両に搭載された上で手動変速機が連結され、内燃機関の回転が変速機のギア段に応じて変速された後に、プロペラシャフト、ディファレンシャルギア、左右のドライブシャフトを介して後輪に伝達されて回転駆動するようになっている。
本実施形態の内燃機関は吸気管噴射型の直列4気筒ガソリン機関として構成されており、図1の全体構成図ではその1気筒分を示しているが他の気筒も同一構成である。内燃機関1の各気筒の燃焼室2内は吸気マニホールド3を介して共通の吸気通路4と連通し、吸気通路4には上流側からエアクリーナ5、モータ6aにより開閉駆動されるスロットル弁6、サージタンク7が設けられ、吸気マニホールド3には各気筒毎に燃料噴射弁9が設けられている。又、各気筒の燃焼室2は排気マニホールド10を介して共通の排気通路11と連通し、排気通路11には図示しない触媒及び消音器が設けられている。
そして、エアクリーナ5を介して吸気通路4内に導入された吸入空気はスロットル弁6の開度に応じて流量調整された後にサージタンク7で各気筒に分配され、吸気マニホールド3内で燃料噴射弁9から噴射された燃料と混合されて吸気弁12の開弁に伴って燃焼室2内に混合気として導入される。各気筒の圧縮上死点近傍において燃焼室2内の混合気は点火プラグ13により点火され、燃焼後の排ガスは排気弁14の開弁に伴って排気マニホールド10から排気通路11に排出され、触媒及び消音器を流通後に外部に排出される。
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)21が設置されている。ECU21の入力側には、内燃機関1のクランク軸の回転に伴ってパルス信号を出力するクランク角センサ22(回転速度検出手段)、スロットル弁6の開度を検出するスロットルセンサ23、吸入空気量を検出するエアフローセンサ24、運転者のアクセル操作量APSを検出するアクセルセンサ25、車速を検出する車速センサ26等の各種センサ類が接続され、出力側には上記スロットル弁6のモータ6a、燃料噴射弁9、点火プラグ13を駆動制御するイグナイタ27等の各種デバイス類が接続されている。
そして、ECU21はクランク角センサ22の出力から求めた機関回転速度Neやエアフローセンサ24により検出された吸入空気量等に基づき、燃料噴射制御では目標燃料噴射量を算出して燃料噴射弁9を駆動制御し、点火時期制御では目標点火時期を算出してイグナイタ27を駆動制御する。一方、スロットル開度制御ではアクセルセンサ25により検出されたアクセル操作量APS及び車速センサ26により検出された車速から目標スロットル開度を算出し、スロットルセンサ23により検出された実スロットル開度を目標スロットル開度とすべくモータ6aを駆動制御し(トルク制御手段)、以上の制御を実行しながら内燃機関1を運転する。
一方、ECU21は車両の加速時には、駆動系(上記プロペラシャフトやドライブシャフト等)の共振に起因する前後振動を抑制すべく内燃機関1のトルクを一時的に抑制しており、以下、当該トルク制御について詳述する。
ECU21によるトルク制御は図2に示すトルク抑制ルーチンを従って行われ、ECU21は内燃機関1の運転中において当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。まず、ステップS2でアクセル変化量ΔAPSが正側に変動したか否かを判定する。当該アクセル変化量ΔAPSはアクセル操作量APSの単位時間当たりの変化量であり、加速のためのアクセル踏込みに伴ってアクセル操作量APSが増加したときに正側に変動する。ステップS2の判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了し、判定がYes(肯定)になるとステップS4に移行する。
ECU21によるトルク制御は図2に示すトルク抑制ルーチンを従って行われ、ECU21は内燃機関1の運転中において当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。まず、ステップS2でアクセル変化量ΔAPSが正側に変動したか否かを判定する。当該アクセル変化量ΔAPSはアクセル操作量APSの単位時間当たりの変化量であり、加速のためのアクセル踏込みに伴ってアクセル操作量APSが増加したときに正側に変動する。ステップS2の判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了し、判定がYes(肯定)になるとステップS4に移行する。
ステップS4ではトルク抑制トルク抑制解除フラグFの設定処理を実行する。当該処理は図3に示すトルク抑制解除フラグ設定ルーチンに基づいて実行され、まず、ステップS32で既にマスク期間タイマT1がセット後に0までデクリメントされたか否かを判定する。加速当初のマスク期間タイマT1は未だセットされていないため、Noの判定を下してステップS34で機関回転速度Neの微分値である機関加速度dNeを算出し(回転速度微分値算出手段)、当該機関加速度dNeが予め設定された変動反転値dNe0を越えたか否かを判定する。アクセル操作量APSの増加により機関回転速度Neは増加し、それに伴って機関加速度dNeは正側に変動するが、その値が変動反転値dNe0以下のときにはNoの判定を下して一旦ルーチンを終了する。
そして、機関加速度dNeが変動反転値dNe0を越えてステップS34の判定がYesになると、ECU21はステップS36でマスク期間タイマT1を初期値にセットした後に、ステップS38でマスク期間タイマT1をデクリメント「−1」する。続くステップS40ではマスク期間タイマT1が0になったか否かを判定し、判定がNoの間はステップS38,40の処理を繰返し、ステップS40の判定がYesになるとルーチンを終了する。以下、マスク期間タイマT1のデクリメント中の期間をマスク期間と称する。
ここで、以下に述べるように本実施形態では、車両の駆動系の共振に起因する車両加速度の反転に先行して機関加速度dNeが反転する現象に着目し、機関加速度dNeの反転に基づいて機関トルクの抑制を解除(即ち、上記2回目の機関トルクの増加)するが、機関加速度dNeは駆動系の共振のみならず駆動系のバックラッシュの影響も受け、機関トルクの増加当初にバックラッシュ衝撃により機関加速度dNeの反転が生じて誤検出する虞がある。マスク期間タイマT1はこのバックラッシュによる誤検出を防止するためのものであり、バックラッシュの影響が残っている期間に対応してマスク期間が継続するように、その初期値が設定されている。
マスク期間の終了後に再びステップS32に移行すると、ECU21はYesの判定を下してステップS42に移行し、機関加速度dNeが正から負に反転したか否かを判定する。判定がNoのときにはルーチンを終了し、一方、ステップS42の判定がYesになるとステップS44で遅延期間タイマT2を初期値にセットした後に、ステップS46で遅延期間タイマT2をデクリメント「−1」する。続くステップS48では遅延期間タイマT2が0になったか否かを判定し、判定がYesになるとステップS50に移行してトルク抑制解除フラグFをセットしてルーチンを終了する。以下、遅延期間タイマT2のデクリメント中の期間を遅延期間と称する。
遅延期間タイマT2の初期値は、車両の駆動系が有する固有の共振周期に基づいて設定されている。即ち、駆動系の共振周期の1/4に相当する期間となるように、遅延期間タイマT2の初期値が設定されている。ここで、スロットル制御によるトルク制御の場合、スロットル弁により流量調整された吸入空気が内燃機関の機関トルクに反映されるまでの遅れが生じ、その要因としては、吸入空気が筒内に吸入されるまでの移送遅れと、吸気行程で筒内に吸入された吸入空気が圧縮行程を経て燃焼行程で燃焼するまでの2行程分の行程遅れとが挙げられる。そこで、応答遅れを補償するため、上記初期値から応答遅れを減算した遅延期間を設定する必要がある。この場合、機関回転速度Neに応じて移送遅れ時間や1行程当たりの所要時間が変化することから、移送遅れ時間や行程遅れは機関回転速度により求められ、上記初期値から減算される。なお、機関回転速度Neに対し0〜1/4の範囲で係数を設定し、共振周期に係数を掛け合わせることにより簡易的に遅延時間を求めるようにしてもよい。例えば機関回転速度が小さいすなわち移送遅れや行程遅れ等の応答遅れが大きいほど係数が減少設定され、共振周期を係数倍した遅延期間は短縮化される。
ここで、駆動系の共振周期は駆動系を含めた車両全体の仕様から自ずと定まるものの変速機のギア段の影響を受け、同一の駆動系であってもギア段が高いほど共振周期は短くなる。そこで、このときの共振周期としては、予め各ギア段毎に共振周期をマップにより設定し、ギア段に対応する共振周期をマップから読み出して遅延期間タイマT2の初期値の設定に適用している。
尚、上記のようにスロットル制御の応答遅れ相当だけ遅延時間を短縮(結果的にトルク抑制の解除タイミングを早める)する必要は必ずしもなく、例えばスロットル制御の遅れを考慮せずに共振周期に0〜1/4の間の他の遅れ要因に対応する所定値を乗算した期間として遅延時間を設定してもよい。
一方、以上のトルク抑制解除フラグFの設定処理を行った後に、ECU21は図2のトルク抑制ルーチンのステップS6に移行して遅延期間タイマT3をインクリメント「+1」し、続くステップS8でアクセル操作量APSから求めた目標スロットル開度(アクセル要求スロットル開度THap)が抑制下限値TH0を越えたか否かを判定する。上記抑制下限値TH0とはトルク抑制を行う下限値として設定されたものであり、例えば予め設定した固定値を適用してもよいし、或いは加速直前のアクセル要求スロットル開度THapに所定値を加算した値を適用してもよい。
一方、以上のトルク抑制解除フラグFの設定処理を行った後に、ECU21は図2のトルク抑制ルーチンのステップS6に移行して遅延期間タイマT3をインクリメント「+1」し、続くステップS8でアクセル操作量APSから求めた目標スロットル開度(アクセル要求スロットル開度THap)が抑制下限値TH0を越えたか否かを判定する。上記抑制下限値TH0とはトルク抑制を行う下限値として設定されたものであり、例えば予め設定した固定値を適用してもよいし、或いは加速直前のアクセル要求スロットル開度THapに所定値を加算した値を適用してもよい。
ここで、以下に述べるようにトルク抑制時には目標スロットル開度を抑制した値がスロットル制御に適用されることから、説明の便宜上、アクセル操作量APSから求めた本来の目標スロットル開度をアクセル要求スロットル開度THapと称し、スロットル開度制御に適用される最終的な目標スロットル開度を最終スロットル開度THfnlと称する。
未だアクセル要求スロットル開度が抑制下限値TH0以下であるとしてステップS8でNoの判定を下したときにはステップS10に移行し、最終スロットル開度THfnlとしてアクセル要求スロットル開度THapを設定した後に上記ステップS4に戻る。
未だアクセル要求スロットル開度が抑制下限値TH0以下であるとしてステップS8でNoの判定を下したときにはステップS10に移行し、最終スロットル開度THfnlとしてアクセル要求スロットル開度THapを設定した後に上記ステップS4に戻る。
そして、アクセル操作量APSの増加に伴ってアクセル要求スロットル開度THapが抑制下限値TH0を越えてステップS8の判定がYesになると、ECU21はステップS12に移行してトルク抑制解除フラグFがセットされているか否かを判定する。上記したトルク抑制解除フラグ設定ルーチンのステップS50で未だトルク抑制解除フラグFがセットされていないときには、ステップS12でNoの判定を下してステップS14に移行し、遅延期間タイマT3が予め設定されたフェイル判定値Tfailを越えたか否かを判定する。
当該ステップS14の処理は、何らかの要因でトルク抑制解除フラグFがセットされなかったときに後述するトルク抑制を強制解除するフェイルセイフとしての機能を奏し、例えばフェイル判定値Tfailとしては駆動系の共振周期の0.8〜3.0倍程度が設定される。上記のように共振周期は変速機のギア段に応じて異なるため、予めギア段毎にフェイル判定値Tfailが設定されたマップが用意され、このマップから現在のギア段に対応するフェイル判定値Tfailが適用される。これにより強制解除時においても適切なタイミングでトルク抑制の解除が可能となる。
未だ遅延期間タイマT3がフェイル判定値Tfailを越えずにステップS14でNoの判定を下したときには、ステップS16で最終スロットル開度THfnlとしてアクセル要求スロットル開度THapに所定の抑制係数α(<1.0)を乗算した値を設定し(トルク抑制手段)、その後に上記ステップS4に戻る。但し、ステップS16での最終スロットル開度THfnlの設定は抑制下限値TH0を下限として行われ、抑制係数αの乗算により最終スロットル開度THfnlが抑制下限値TH0を下回る場合には、最終スロットル開度THfnlとして抑制下限値TH0が設定される。
機関トルクの抑制による車両の前後振動の抑制原理は、初回の機関トルクの増加により生じた車両加速度が駆動系の共振により反転したときに、その反転した加速度を2回目の機関トルクの増加により相殺する点にある。よって、上記抑制係数αとしては例えば0.5が設定されて、初回と2回目との機関トルクの増加による加速度を略均等化して効率的に加速度の相殺を図る。
但し、乗員が車両の前後振動を感じ難い高車速域では、より迅速な加速を達成するために抑制係数αを0.5より大きく設定してもよいし、或いはスロットル開度に対する吸入空気の追従が遅れ気味となる低回転域(高ギア段且つ低車速)では、吸入空気量の追従性を向上させるために同じく抑制係数αを0.5より大きく設定してもよい。そこで、本実施形態では、車速が所定値より高い領域では、車速の増加に応じて抑制係数αを0.5から次第に増加側に設定する一方、高ギア段(4速又は5速)で且つ車速が所定値より低い領域では、車速の低下に伴って抑制係数αを0.5から次第に増加側に設定し、これらの対策により上記不具合の解消を図っている。
そして、トルク抑制解除フラグFのセットに基づいてステップS12の判定がYesになったとき、或いは遅延期間タイマT3に基づいてステップS14の判定がYesになったときには、ステップS18で最終スロットル開度THfnlとしてアクセル要求スロットル開度THapを設定し(トルク抑制手段)、続くステップS20でトルク抑制解除フラグFをリセットし、ステップS22で遅延期間タイマT3をリセットした後にルーチンを終了する。
次に、以上のECU21の処理に基づく車両加速時の内燃機関1のトルク抑制状況について図4のタイムチャートに従って説明する。
図では運転者のアクセル操作の中止により燃料カットが行われ、その後にアクセル操作の再開に伴って車両が加速する際に内燃機関1のトルク抑制が行われた場合を示している。まず、アクセル操作の中止によりアクセル操作量APSが0まで急減すると、アクセル要求スロットル開度THapも0(全閉相当値)まで急減し、所定の燃料カット条件が成立した時点で燃料カットが開始される。
図では運転者のアクセル操作の中止により燃料カットが行われ、その後にアクセル操作の再開に伴って車両が加速する際に内燃機関1のトルク抑制が行われた場合を示している。まず、アクセル操作の中止によりアクセル操作量APSが0まで急減すると、アクセル要求スロットル開度THapも0(全閉相当値)まで急減し、所定の燃料カット条件が成立した時点で燃料カットが開始される。
加速のために運転者によりアクセル操作が行われると燃料復帰により燃料噴射制御が再開されると共に、アクセル操作量APSの増加に伴ってアクセル変化量ΔAPSが正側に変動し、これを受けて遅延期間タイマT3のインクリメントが開始される(ステップS6)。一方、アクセル操作量APSの増加に伴って図中に破線で示すようにアクセル要求スロットル開度THapも増加し、当該アクセル要求スロットル開度THapが抑制下限値TH0を越えるまでは最終スロットル開度THfnlとしてアクセル要求スロットル開度THapが設定される(ステップS10)。従って、アクセル踏込み当初はアクセル操作に応じて内燃機関1のスロットル弁6が開側に駆動されて速やかに機関トルクが立ち上げられ、良好なアクセル応答性が実現される。
その後、アクセル要求スロットル開度THapが抑制下限値TH0を越えると、この抑制下限値TH0を下限として最終スロットル開度THfnlはアクセル要求スロットル開度THapに抑制係数αを乗算した値(例えば、0.5倍)に抑制される(ステップS16)。従って、図中に一点鎖線で示す抑制係数αの乗算値が抑制下限値TH0を下回る間は、最終スロットル開度THfnlが抑制下限値TH0に保たれ、抑制係数αの乗算値が抑制下限値TH0を越えると、最終スロットル開度THfnlは当該乗算値に従って増加する。そして、このようにして制限を受けた最終スロットル開度THfnlに基づいてスロットル開度制御が実行されるため、以降のスロットル開度は抑制係数α相当だけ閉側に制御され、それに応じて機関トルクが抑制され続ける。
一方、アクセル操作に応じて機関回転速度Neが増加し、微分値である機関加速度dNeが変動判定値dNe0を越えた時点でマスク期間タイマT1がセットされる(ステップS36)。マスク期間タイマT1がデクリメントされるマスク期間中には機関加速度dNeが反転したか否かの判定は行われないため、図中に破線で示すようにマスク期間中に駆動系のバックラッシュに起因して機関加速度dNeが反転したとしても、この反転に基づく誤ったトルク抑制解除フラグFのセットが防止される。
そして、図中に実線で示すようにマスク期間の経過後に機関加速度dNeが正から負に反転すると遅延期間タイマT2がセットされ(ステップS44)、遅延期間の経過後(共振周期の1/4の期間からスロットル制御の応答遅れを減算した期間の経過後)にトルク抑制解除フラグFがセットされる(ステップS50)。トルク抑制解除フラグFのセットを受けて最終スロットル開度THfnlに対する抑制が解除されてアクセル相当スロットル開度THapまでステップ的に増加し(ステップS18)、それに応じて機関トルクも増加する。結果として機関トルクの増加は抑制係数αに基づく初回のものとトルク抑制の解除による2回目のものとの2段階に分けて増加する。
ここで、初回に機関トルクが増加したときの車両加速度は駆動系の共振に起因して反転するが、このときの反転に対して駆動系の共振周期の1/4先行するタイミングで機関加速度dNeが正から負に反転する現象が生じる。従って、この1/4の期間にスロットル制御の応答遅れを加味して得られた遅延時間の経過後にトルク抑制が解除されることにより、初回の機関トルクの増加により生じた車両加速度の反転に同期した適切なタイミングで2回目の機関トルクの増加が行われ、これにより車両加速度の反転を相殺して加速時の車両前後振動を抑制することができる。
そして、このように本実施形態では機関回転速度Neの微分値である機関加速度dNeに基づいてトルク抑制の解除タイミングを判定しているため、2回微分値である回転変動量微分値を利用する特許文献1の技術に比較するとクランク角センサ22の検出誤差の影響を受け難く、その結果、センサ検出誤差に影響されることなく適切なタイミングでトルク抑制を解除でき、確実な前後振動の抑制を実現することができる。
又、車両加速度が反転するタイミングは共振周期の1/4程度先行した時点で判定可能なため、本実施形態のような移送遅れや行程遅れにより応答性が良好でないスロットル制御であっても、車両加速度の反転に同期した適切なタイミングでトルク抑制を解除できる。仮にトルク抑制の解除タイミングを車両加速度が反転する時点、若しくはその直前でしか判定不能な場合には、スロットル制御に代えてより応答性の良好な燃料噴射制御等を用いる必要が生じ、結果として燃料噴射量に応じて機関トルクを制御可能なディーゼル機関やリーンバーン機関に適用対象が限定されてしまうが、本実施形態では機関トルクの制御手段の応答性に関して制限がないため、その適用対象を大幅に拡大することができる。
加えて、本実施形態ではスロットル制御による応答遅れの不具合を解消できるだけでなく、かえってスロットル制御の応答遅れが駆動系のバックラッシュによる悪影響を軽減する利点として作用する。即ち、アクセル踏込みに伴って機関トルクが増加するとき、機関トルクはステップ的に立ち上がることなく吸入空気の移送遅れにより緩やかに立ち上がるため、低い機関トルクで駆動系のバックラッシュが詰められる(クリアランスがなくなる)ことになり、このときのバックラッシュ衝撃による前後振動の発生を未然に防止することができる。
更に、駆動系のバックラッシュの影響がある期間中はマスク期間として機関加速度dNeが反転したか否かの判定を禁止するため、バックラッシュ衝撃に基づく誤ったトルク抑制解除フラグFのセット、ひいては不適切なトルク抑制の解除を防止して、これによる前後振動の発生を抑制することができる。
加えて、何らかの要因で機関加速度dNeが反転せずにトルク抑制解除フラグFがセットされなかったときには、トルク抑制解除フラグFに基づくトルク抑制の解除は行われないが、この場合であっても遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制が強制解除される。よって、誤ったトルク抑制の継続によりアクセル操作に応じた加速感が得られずにドライバビリティを損ねてしまう事態を未然に防止できるという利点もある。
加えて、何らかの要因で機関加速度dNeが反転せずにトルク抑制解除フラグFがセットされなかったときには、トルク抑制解除フラグFに基づくトルク抑制の解除は行われないが、この場合であっても遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制が強制解除される。よって、誤ったトルク抑制の継続によりアクセル操作に応じた加速感が得られずにドライバビリティを損ねてしまう事態を未然に防止できるという利点もある。
又、例えば変速機としてCVT(無段変速機)を備えた車両では、加速時に高い機関回転速度Neを保つように変速制御が行われて機関加速度dNeの反転現象が生じないため、反転に基づいてトルク抑制を解除することは不可能であるが、この場合でも遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制を解除できる。従って、手動変速機とCVTとをモデルバリエーションとして設定した車両に対して、本実施形態のトルク抑制機能を共通の制御プログラムとして設定すれば、手動変速機を備えた車両では本実施形態のように基本的に機関加速度dNeの反転に基づくトルク抑制の解除が行われ、CVTを備えた車両では遅延期間タイマT3に基づくトルク抑制の解除が行われ、結果として制御プログラムの共用化により製造コストを低減できる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではスロットル制御により機関トルクを制御する吸気管噴射型ガソリン機関1に具体化し、当該内燃機関1に手動変速機を組合わせたが、内燃機関や変速機の種別はこれに限ることはなく、例えば燃料噴射量に応じて機関トルクを制御するディーゼル機関やリーンバーン機関に適用したり、トルクコンバータを備えた自動変速機を組合わせたりしてもよい。
又、上記実施形態では、車両の加速時に2段階のトルク制御を実施して前後振動の抑制を図ったが、減速時に同様のトルク制御を実施してもよく、この場合でも上記実施形態と同様の作用効果が奏されて前後振動を抑制することができる。
更に、上記実施形態では、燃料カット中か否かに関係なく車両加速の開始時には常に同一条件で遅延期間タイマT3をインクリメントし、その値がフェイル判定値Tfailを越えた時点でトルク抑制を強制解除したが、燃料カット中からの加速時と非燃料カット中(燃料噴射中)からの加速時とでは機関トルクの発生状況が異なり、結果として遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制を解除する適切なタイミングも相違するため、それに応じて遅延期間タイマT3の設定を切換えるようにしてもよい。
更に、上記実施形態では、燃料カット中か否かに関係なく車両加速の開始時には常に同一条件で遅延期間タイマT3をインクリメントし、その値がフェイル判定値Tfailを越えた時点でトルク抑制を強制解除したが、燃料カット中からの加速時と非燃料カット中(燃料噴射中)からの加速時とでは機関トルクの発生状況が異なり、結果として遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制を解除する適切なタイミングも相違するため、それに応じて遅延期間タイマT3の設定を切換えるようにしてもよい。
具体的には、非燃料カット中からの加速時には、吸気行程で筒内に吸入空気が吸入されて機関トルクを発生するまでに2行程分の遅れ(上記行程遅れ)があるが、燃料カット時には吸気行程より以前の段階で燃料噴射を再開する必要があることから3行程分の遅れが生じる。よって、燃料カット中からの加速時には非燃料カット中からの加速時に比較して機関トルクの発生が1行程分遅れることになり、遅延期間タイマT3に基づくトルク抑制の解除タイミングを1行程分遅延させることが望ましい。
そこで、非燃料カット時には上記実施形態と同じく図4に実線で示すように遅延期間タイマT3を設定する一方、燃料カット時には破線で示すように遅延期間タイマT3の初期値を所定値tだけ減少側にオフセットし、遅延期間タイマT3がフェイル判定値Tfailを越えるタイミングを1行程分(例えば1500rpmでは20msec)だけ遅らせる。これにより燃料カットの有無に応じてトルク抑制の解除タイミングが切換えられ、何らかの要因で機関加速度dNeが反転せずに遅延期間タイマT3に基づいてトルク抑制が解除される場合であっても、燃料カットの実行状況に関わらず常に適切なタイミングでトルク抑制の解除を行うことができる。尚、1行程当たりの所要時間が機関回転速度Neに応じて変化するため、上記所定値tを機関回転速度Neに応じて設定するようにしてもよい。
1 スロットル弁(トルク制御手段)
21 ECU(トルク制御手段,トルク抑制手段、回転速度微分値算出手段)
22 クランク角センサ(回転速度検出手段)
21 ECU(トルク制御手段,トルク抑制手段、回転速度微分値算出手段)
22 クランク角センサ(回転速度検出手段)
Claims (4)
- 車両の加減速要求に応じて内燃機関のトルクを制御するトルク制御手段と、
上記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
上記回転速度検出手段により検出された回転速度に基づいて回転速度微分値を算出する回転速度微分値算出手段と、
上記加減速要求時において上記トルク制御手段によるトルク増減量を所定値に抑制すると共に、上記回転速度微分値算出手段により算出された回転速度微分値が正と負との間で反転してから車両の駆動系の共振周期の略1/4以下に相当する遅延期間の経過後に、上記トルク増減量の抑制を解除するトルク抑制手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関のトルク制御装置。 - 上記トルク抑制手段は、上記加減速の開始に伴って上記回転速度微分値が増減し始めてから所定期間が経過する間は上記回転速度微分値が反転したか否かの判定を禁止することを特徴とする請求項1記載の内燃機関のトルク制御装置。
- 上記トルク抑制手段は、上記トルク制御手段の作動から機関トルクの発生に寄与するまでの遅れに応じて、上記遅延期間を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関のトルク制御装置。
- 上記トルク抑制手段は、上記加減速の開始から上記駆動系の共振周期に基づいて設定した遅延期間が経過したときには、上記回転速度微分値が反転しなくても上記トルク増減量の抑制を解除することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の内燃機関のトルク制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2005142509A JP2006316761A (ja) | 2005-05-16 | 2005-05-16 | 内燃機関のトルク制御装置 |
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Publications (1)
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JP (1) | JP2006316761A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009057960A (ja) * | 2007-08-04 | 2009-03-19 | Nissan Motor Co Ltd | エンジンの燃料噴射制御装置 |
KR100974719B1 (ko) | 2008-07-08 | 2010-08-06 | 현대자동차주식회사 | 차량 인젝터의 연료 누설 진단 방법 |
US8321121B2 (en) | 2007-08-04 | 2012-11-27 | Nissan Motor Co., Ltd. | Engine fuel injection control apparatus |
JPWO2013172459A1 (ja) * | 2012-05-18 | 2016-01-12 | ヤマハ発動機株式会社 | 車両の制御装置、車両の制御方法及び鞍乗型車両 |
-
2005
- 2005-05-16 JP JP2005142509A patent/JP2006316761A/ja not_active Withdrawn
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