JP4742779B2 - 光導波路素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、情報通信に用いられる光導波路素子の製造方法に関する。
情報化社会の進展は著しく、特に最近では動画をはじめとする大容量の情報が企業間だけでなく個人の間でも頻繁にやり取りされるようになり、更なる大容量の高速通信手段が求められている。
大容量高速通信を支える技術の一つに、光通信技術がある。光通信に用いられる素子としては、光ファイバをはじめとして、光スイッチ素子、光変調器やルーターなどの様々な光導波路素子がある。
近年、電気光学(Electro-optic、以下「EO」と略す)効果で導波光を制御する導波路型光素子の開発が盛んに行われるようになってきた。光導波路素子では、様々なタイプの導波路構造が検討されており、それと同様に様々な導波路形成の方法が報告されている。
従来、上記光導波路素子の光導波路の材料としては、大きなEO効果を示すニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ランタン添加のチタン酸ジルコン酸鉛((Pb,La)(Zr,Ti)O3、「PLZT」と略す)などの無機系材料が広く用いられている。しかしながら、これらの材料は、高誘電率のため応答速度が遅く、そのため適用できる周波数帯域が限定されていた。また、作製方法が複雑であり、かつ高温の処理が必要であるなど、素子のコストが高く、適用できる範囲が限られていた。
一方、ポリマーは無機系材料に比べ誘電率が低く、マイクロ波との速度不整合の問題を大幅に改善できることに加えて、スピンコート法などにより容易に薄膜形成が可能であり、サイズの制限も受けない。また、微細加工、成型加工等の加工性にも優れることから、極めて安価に素子化ができるという大きな利点を有するため、光導波路材料として注目を集めている。
このような高分子光導波路素子は、下部クラッド層、導波路層、上部クラッド層となる高分子材料あるいは高分子前駆体化合物を、シリコン等からなる基板上に溶融または溶解させた状態で順次塗布、硬化させた後に、切断や研磨によって導波路端面を鏡面化することで作製される。また、導波路の形成は、フォトリソグラフィやエッチング等、周知の技術を組み合わせて行われる。特に、電気光学効果を始めとする非線形光学効果を利用するデバイスを作製する場合には、基板上や上部クラッド層の上に電極を配する。クラッド材料としては光あるいは熱硬化性の接着剤が、導波路層材料としては高分子化合物を有機溶剤に溶かした溶液が一般に用いられている。
上部クラッド層となる接着剤は、導波路層を形成した後に、導波路層上に塗布、硬化されるため、導波路層と高い接着性を示す。一方、下部クラッド層となる接着剤は、導波路層材料を塗布、硬化する前に、光や熱によって硬化させてしまうため、導波路層と基板表面との間における接着剤としての役割を果たすことができず、切断や研磨の際に下部クラッド層と導波路層との界面で剥離が生じてしまうという問題があった。
高分子膜間の剥離は塗装を始めとする様々な分野で問題となっており、高分子膜への接着性改善が種々試みられている。非特許文献1には、接着剤の接着性改善の手法として、被接着材料のUVオゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、電子線処理、スパッタ成膜処理、化学的表面処理、ブレンドによる表面改質、グラフト化による表面改質など、様々な手法について詳しく述べられている。この他、樹脂表面の中心線平均粗さを0.2〜5μmとし、樹脂間の接触面積を大きくすることで接着性の改善させる手法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。樹脂表面を粗面化する方法としては、ショットブラスト法、化学エッチング法、コロナ処理、プラズマ処理などが知られている。また、フッ素樹脂表面に紫外線吸収性化合物とフッ素系界面活性剤の存在下、エキシマレーザ光を照射すると、フッ素樹脂表面の接着性、濡れ性を改善できることが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、表面改質や材料改質による接着性改善の手法に対し、プロセス自体を変えることにより下部クラッド−導波路層間の接着性を改善する方法も考えられる。凹凸パターンを有する基板上に形成された導波路層上に、クラッド層材料となる接着剤を塗布、導波路層とフィルムを接着剤にて貼りあわせた後、基板から導波路層を剥離してフィルム上に転写し、光受動型の光メモリ素子を作製する手法が報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
このような、下部クラッド層と導波路層との剥離に対して、導波路層の加工の際に、光を伝搬する領域以外の領域において、該導波路層をエッチングにより除去することにより、剥離が起こりやすい下部クラッドと導波路層の界面を極力減らして、材料が同質で接着強度の高い下部クラッドと上部クラッドを直接に接触させて、接着強度を高めることにより、剥離が起こることなく、光導波路素子を実現させることが報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
以上の問題点を解決した例として、先ず、UVオゾン処理などの高分子膜間表面を処理して接着性を改善する手法は、これらは高分子膜に接着剤を塗布、硬化させる場合において有効な手法であって、既に硬化した接着剤に接着性の低い高分子の溶液を塗布、硬化させるような場合においては殆ど効果がない。また、クラッドあるいは導波路層の材料を改質する手法は、所望の特性を有する材料を開発するのにかかる労力は大きく、コストもかかる。この他、樹脂表面を粗面化する手法は、樹脂表面の粗さが光の挿入損失に大きく関わる光導波路素子では、利用することができない。
一方、導波路層とフィルムを接着剤にて貼りあわせた後、基板から導波路層を剥離してフィルム上に転写する方法においては、柔軟性を有するフィルムに導波路層を転写することはできるが、さらに厚いフィルムや剛直な基板に対する導波路層では、導波路層と転写基材との間に気泡が混入しやすく、転写が困難であった。
また、導波路部分以外の導波路層を除去して、下部クラッドと上部クラッドを直接に接触させて、接着力を高める方法においては、上記のような問題はないものの、導波路部分の実効屈折率が高い場合(導波路層とクラッド層の屈折率差が大きな場合)には、シングルモードの導波路を実現させるために、導波路幅を狭くする必要があり、外部の光との入出力結合に用いる、光ファイバーと、導波路とのモードフィールド径が大きく異なってしまい、結合損失が増加してしまうという問題があった。また、幅の狭い導波路を加工するために、高いフォトリソグラフィーの精度を要求されることから、製造装置のコストが高くなるという問題もあった。
この問題を回避する手段として、導波路層との屈折率差が小さいクラッド層を用いることもできるが、この場合、上下のクラッド層への導波光の染み出しが多くなることから、上下の電極による吸収損失を起こさないようにするために、クラッド層の膜厚を厚くしてやる必要があり、電界により分極配向処理をする際の実効電界の低下、および素子の駆動時に実効電界の低下が起こり、高い電気光学効果を得ることが難しくなるという問題があった。
以上のような導波路層の剥離の問題は、光導波路素子に限らず、例えば、基板上に有機機能性薄膜を形成し、最終的に切断して素子状に加工する工程を有する有機薄膜素子の製造においても同様に起こりうる問題である。
特開2002−246534号公報 特開平7−207049号公報 特開2001−108855号公報 特開平5−66435号公報 表面解析・改質の化学(日本接着学会編、日刊工業新聞社)
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、光導波路素子の下部クラッド層と導波路層間における剥離を抑え、切断の工程等でロットアウトしてしまう素子を減らすことができ、コストを削減することができる光導波路素子の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、鋭意研究を進めた結果、下部クラッド−導波路層の剥離が生じるのは、主にウェハから、素子を切り出すための切断時に多いことに着目して、本発明に至った。
発明の光導波路素子の製造方法は、基板上に、下部クラッド層を形成する工程と、該下部クラッド層上に導波路層を形成する工程と、前記導波路層に光の伝搬を行う導波路部を形成する工程と、前記導波路層の上部に上部クラッド層を形成する工程と、光の入出力端面と、該入出力端面と交わる2面とが切断面となるように素子状に切断する工程と、を有する光導波路素子の製造方法であって、前記導波路層を形成後、導波路部を形成するまでの間に、前記入出力端面と交わる予定切断面と少なくとも前記導波路層とが交差する領域を含む導波路層の一部又は全部の領域を除去する工程であって、前記導波路層よりも深くエッチングして、前記導波路層の一部又は全部の領域を除去する工程を含むことを特徴としている。
本発明の光導波路素子の製造方法において好ましい態様を以下に挙げる。
(1)さらに、前記導波路層を形成後、導波路部を形成するまでの間に、前記導波路層における入出力端面の光の入出力に係らない部分を除去する工程を含む。
(2)さらに、基板上に下部電極を形成する工程、および上部クラッド層上に、上部電極を形成する工程を含む。このように電極を設けることにより、膜厚方向に電圧を印加することが可能となる。
(3)前記導波路層が、電気光学効果を有する導波路層である。導波路層に電気光学効果を有する材料を用いることにより、電気光学効果によって、伝搬光を制御することが可能となる。
(4)導波路層を形成した後、パターンニングを行い、リッジ型の構造に加工する。このように、導波路層を適当な高さに加工することにより、光導波路の横方向の実効屈折率を、任意に設計し、モードフィールド径を変化させることが可能となる。
(5)下部クラッド層を形成した後、パターンニングを行い、該下部クラッド層を加工してトレンチを形成する工程と、この上に、導波路層を形成することにより、逆リッジ型の構造を得る。
本発明によれば、光導波路素子の下部クラッド層と導波路層間における剥離を抑え、切断の工程等でロットアウトしてしまう素子を減らすことができ、コストを削減することができる光導波路素子の製造方法を提供することにある。
以下、まず、本発明の第1の態様である有機薄膜素子及びその製造方法について説明する。
[有機薄膜素子及びその製造方法]
本発明の有機薄膜素子の製造方法は、基板上に、少なくとも1層の有機機能性薄膜を形成する第1工程と、該有機機能性薄膜上に保護層を形成する第2工程と、保護層形成後の基板を切断して素子状に加工する第3工程とを有する有機薄膜素子の製造方法において、前記第1工程と前記第2工程との間に、前記有機機能性薄膜における、前記第3工程で切断される切断線を含む領域の一部または全部を除去する工程を有することを特徴としている。
また、本発明の有機薄膜素子は、基板上に、少なくとも1層の有機機能性薄膜と、保護層とを有し、素子状に切断されてなる有機薄膜素子において、切断線を含む領域の有機機能性薄膜の一部または全部が除去されてなることを特徴としている。
有機機能性薄膜を形成し、その後に切断して素子状に加工する工程があると、既述のように切断時に有機機能性薄膜が剥離することがある。そして、剥離する有機機能性薄膜は素子において機能上最も重要な層であり、そのような層が剥離することは許されない。そこで、本発明の有機薄膜素子の製造方法においては、有機機能性薄膜を形成後、切断の工程で切断する(予定)切断線を含む領域の一部または全部の有機機能性薄膜を除去し、その上に保護層などの上層を形成する。そして、このようにして形成することにより、有機機能性薄膜の縁部は切断線から離れた位置にあり、切断時において、ダイシングソーなどの切断具が有機機能性薄膜に与える影響を軽減することができ、剥離を防止することができる。
本発明の有機薄膜素子の製造方法において、有機薄膜素子としては、基板上に、少なくとも、有機機能性薄膜と、保護層とを有する素子であって、その製造工程において素子状に切断する工程を有するものであれば特に問わないが、具体的には、後述する光導波路素子、有機発光素子、有機太陽電池、有機受光素子、有機半導体素子などを挙げることができる。
前記保護層としては、有機機能性薄膜の上層に位置し、文字通り、有機機能性薄膜の保護を目的とする層の他、電荷輸送層、電荷注入層、誘電体層、光吸収層などが挙げられる。
[光導波路素子及びその製造方法]
次に、本発明の第2の態様である光導波路素子及びその製造方法について説明する。第2の態様は、前記第1の態様の具体的態様である。すなわち、
本発明の光導波路素子は、基板上に、下部クラッド層を形成する工程と、該下部クラッド層上に導波路層を形成する工程と、前記導波路層に光の伝搬を行う導波路部を形成する工程と、前記導波路層の上部に上部クラッド層を形成する工程と、光の入出力端面と、該入出力端面と交わる2面とが切断面となるように素子状に切断する工程と、を有する光導波路素子の製造方法であって、前記導波路層を形成後、導波路部を形成するまでの間に、前記入出力端面と交わる予定切断面と少なくとも前記導波路層とが交差する領域を含む導波路層の一部又は全部の領域を除去する工程を含むことを特徴としている。
なお、前記「予定切断面」とは、切断工程において切断しようとする面を、予め定めた仮想的な面である。
また、本発明の光導波路素子は、基板上に、少なくとも、下部クラッド層と、導波路層と、上部クラッド層とを有する光導波路素子であって、光の入出力端面と、該入出力端面と交わる2面とを切断面として有し、該入出力端面と交わる2面を含む領域の導波路層の一部または全部が除去されてなることを特徴としている。
図1に、本発明の光導波路素子の一例を光の入出力端面から見た概略断面図として示す。図1に示す光導波路素子10は、基板12上に、下部クラッド層14、切断線を含む領域が除去された導波路層16、上部クラッド層18より形成されることを基本の構成とする。光導波路素子10の切断面は、光の入出力端面(2面存在し、図1においては1面のみ示している。)と、該入出力端面と交わる2面(図1においてX、Yで示す。)であり、面Xと面Yを含む導波路層領域が除去されてなる。すなわち、図1において、導波路層16の両端と面X、面Yとの間には、それぞれ導波路層16が存在していないが、その存在しない領域が除去された領域である。そして、本発明の光導波路素子は、このような構成により、XおよびY面に対する機械的ストレス、熱的ストレスによる剥離を防止することが可能となることから、素子の取り扱い時における破損を減らすことが可能となり、収率を高め、コストダウンが可能となる。
また、以上の形態では、導波路層の光の伝搬方向に概略沿った方向に導波路層を除去したが、導波路層における入出力端面の光の入出力に係らない部分が除去されてなる形態も好ましい。本形態は、後述する光導波路素子の製造方法において説明する。
このような本発明の光導波路素子は、本発明の光導波路素子の製造方法により以下のようにして製造される。
−光導波路素子の製造方法−
以下に、本発明の光導波路素子の製造方法によって製造される。以下、順を追って説明する。
まず、基板の表面に、必要に応じて下部電極として金属材料を堆積する。上記基板としては、各種金属基板(アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、ステンレスなど)、各種半導体基板(シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウム−ヒ素など)、ガラス基板、プラスチック基板(PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミドなど)、等を用いることができる。これらの基板は厚く剛直でもよいし、薄く柔軟でもよい。半導体基板、ガラス基板、プラスチック基板の表面には、前記のように下部電極が形成される。下部電極の材料としては、Au、Ti、TiN、Pt、Ir、Cu、Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、W、Moなどの各種金属、各種酸化物(NESA(酸化スズ)、酸化インジウム、ITO(酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物)や、各種有機導電体(ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン)などが用いられる。これらの導電膜は、蒸着、スパッタリング、塗布や電解析出法などにより形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。
なお、基板が金属基板の場合には下部電極を設ける必要はなく、このような導電性の基板、及び前記下部電極は、後述する非線形光学ポリマーに電界を印加する場合の電極として使用することができる。また、前記上部クラッド層の表面に必要により形成される上部電極も、同様の材料により構成される。
基板あるいは下部電極と後述する下部クラッド層との間、および上部クラッド層と上部電極との間には、必要に応じて他の層が形成されていてもよく、接着性を向上させるための接着層、表面の凹凸を平滑化するための下引層、あるいはこれらの機能を一括して提供する何らかの中間層、が形成されていてもよい。
このような層を形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、メタクリル、ポリアミド、塩化ビニル、酢酸ビニル、フェノール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
前記導波路層と上下クラッド層の間には余計な層はなるべく形成しない方がよいが、素子の特性に影響のでない程度に、前記のような層をごく薄く形成してもよい。あるいは、下部クラッド層表面、導波路層表面に、市販の界面活性剤などを処理することにより、上層との接着性、コーティング時のぬれ性、成膜性などを改善できる場合がある。
本発明の光導波路素子においては、本来有する電気光学特性の機能に加えて、導波路である導波路層としての機能を兼有させるため、図1に示す各構成のように、導波路層と基板との間に下部クラッド層が形成される
上記下部クラッド層としては、導波路層よりも屈折率の低い材料を堆積する。下部クラッド層に用いられる材料としては、導波路層の形成時にインターミキシングを起こさない材料が好ましく、一般的に知られている熱硬化型の架橋樹脂、紫外線硬化型の架橋樹脂、無機材料、導電性高分子、フッ素化ポリマーなどを用いることができる。
前記熱硬化型の架橋樹脂としては、例えばポリイミド、ポリウレタン、ポリベンゾシクロロブテン、ポリアミドなどが挙げられ、前記紫外線硬化型の架橋樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
下部クラッド層を形成する手段としては、高分子材料であれば、スピンコート法、ディップ法などの一般的な溶液塗布方法が用いられる。また、無機材料であれば、電子ビーム蒸着法、フラッシュ蒸着法、イオン・プレーティング法、RF(高周波)−マグネトロン・スパッタリング法、DC(直流)−マグネトロン・スパッタリング法、イオン・ビーム・スパッタリング法、レーザー・アブレーション法、MBE(分子線エピタキシャル法)、CVD(気相成長法)、プラズマCVD、MOCVD(有機気相成長法)などより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって作製が可能であるが、これらに限られるわけではない。
なお、下部クラッド層の膜厚は、利用する光の波長やモードなど、導波路設計指針に依存するが、1〜20μm程度の範囲が好ましく、1.5〜10.0μm程度の範囲とすることがより好ましい。下部クラッド層の膜厚が厚い場合には、導波路層にかかる実効電圧が低くなるため、充分なEO効果が得られず、また、薄い場合には、下部電極による光吸収が増加するため、光損失が大きくなるという問題が生じる場合がある。
下部クラッド層を形成した後、非線形効果を付与したポリマー(非線形光学ポリマー)を積層し導波路層とする。リッジ型とする場合には、ドライエッチング法でリッジを形成する。ここで、非線形光学ポリマーとは、高分子マトリックス中に非線形光学特性を有する有機化合物を添加した有機非線形光学ポリマーや、高分子の主鎖あるいは側鎖に、非線形光学特性を有する構造(以下、「クロモフォア構造」という場合がある)を導入した主鎖型有機非線形光学ポリマーあるいは側鎖型有機非線形光学ポリマーなどをいう。
導波路層の材料としては、光導波路が形成可能なものであり、下部クラッド層よりも屈折率の高い材料であれば、本発明の意図を損なうものではないが、前記非線形光学ポリマーを用いることが好ましく、前記のように、高分子の側鎖または主鎖に、ポリマーに非線形性を付与する目的でクロモフォア構造を導入したものを用いることができる。
上記高分子材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリシラン、ポリベンゾシクロブテンなどを用いることができる。
前記クロモフォア構造は、公知のものであれば特に限定されないが、下記の構造式(1)で表されるものが好ましい。
D−P−A ・・・ 構造式(1)
構造式(1)中、Dは、電子供与性を有する原子団、Pは結合部、Aは電子吸引性を有する原子団、を表す。構造式(1)において、「D」で表される電子供与性を有する原子団としては、電子供与性を有するものであれば公知のものを用いることができるが、電子供与性置換基を有する、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらの組み合わせからなるものであることが好ましい。前記電子供与性置換基としては、電子供与性を有するものであれば特に限定されないが、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、などが望ましい。なお、前記アルキル基の一部がアルコキシ基やフェニル基で置換されてもよく、前記アルコキシ基の一部がアルコキシ基やフェニル基で置換されてもよく、また、前記アミノ基の一部がアルキル基やアルコキシ基、あるいはフェニル基で置換されてもよい。
一方、「A」で表される電子吸引性を有する原子団としては、電子吸引性を有するものであれば公知のものいずれでも良いが、電子吸引性置換基を導入した、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらの組み合わせ、などの構造が望ましい。
前記電子吸引性置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン置換されたアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、などが望ましい。
また、「P」で表される結合部は、「D」と「A」とを共有結合で結ぶものであれば如何なるものであっても良いが、電子を非局在化しうる共役結合を持つものが望ましく、例えばπ共役系で「D」と「A」とを結びつけるような構造を有するものが望ましい。具体的には、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらが互いに結合したものなどが望ましい。
導波路層の形成は、前記クロモフォア構造を有する高分子材料、あるいはクロモフォア構造を有する有機化合物と高分子材料とを混合したものを、これらを溶解する溶剤に溶解しコーティング液を作製し、このコーティング液を前記下部クラッド層等の表面にコートすることにより行う。
導波路層のコーティングは、スピンコート、スプレーコート、ブレードコート、ディップコート、など公知の方法を用いて行うことができる。溶剤の除去は、送風乾燥機などで加熱乾燥しても良いし、減圧(真空)乾燥機などで乾燥してもよい。
導波路層の膜厚としては、ポリマー導波路の作用部に電界を効果的にかけるために、導波路層の膜厚は薄いほうが好ましく、5.0μm以下が好ましく、3.5μm以下がより好ましい。膜厚が5.0μmより厚いと、ポリマー導波路の作用部への電界印加が大きくなり、目的の低駆動電圧を達成することが不可能となる場合がある。なお、導波路層の膜厚の下限は1.0μm程度である。
次いで、あらかじめ決められた素子の形状にしたがって、光の入出力端面と交わる予定切断面と導波路層とが交差する領域を含む導波路層の一部又は全部の領域を除去する。なお、当該領域は、導波路層の上方から見た場合、導波路層表面と各切断面とが交差する仮想線となる(以下、この仮想線を切断線と呼ぶ)。すなわち、切断線を含む領域を、導波路層を加工することにより除去する。この加工にはドライエッチングが用いられる。エッチングの深さは、導波路層よりも深く加工することにより、導波路層をその厚み方向において完全に除去することができる。その際、下部クラッド層の一部を除去することになってもよく、本発明の効果を損なうことはない。除去する幅は切断線の幅よりも太くすることが好ましく、具体的には、切断線より両側に50〜1000μmの範囲で除去することがより好ましい。
またさらに、上述の領域における導波路層の除去とともに、導波路層における入出力端面の光の入出力に係らない部分を除去することが好ましい。光導波路素子においては、素子状に加工する際に、光の入出端面も切断することにより形成される。切断する工程が存在するということは、既述のような導波路層の剥離の問題が起こることがある。従って、入出力端面側においても導波路層を除去することが好ましいが、光の入出力を司る部分も除去されては導波路として機能しなくなるため、その部分以外の領域の導波路層を除去することが好ましい。このように導波路層を除去することにより、入出力端面における剥離をも抑えることができる。
切断線を除去した後、図1に示すようなリッジ型の光導波路を形成する。そして、上記光導波路の加工にはドライエッチングが用いられる。
光導波路のリッジパターンとしては、直線型、S字型、Y分岐型、X交差型、あるいはそれらの組み合わせの導波路パターンが挙げられる。リッジ幅とリッジ高さは、導波路の屈折率と膜厚との組み合わせにより異なるが、リッジ高さ(段差)は一般的には50〜3000nmの範囲が好ましく、500〜2000nmの範囲がより好ましい。段差が50nmに満たないと、十分な屈折率差が得られず光の閉じ込めができなくなる場合がある。3000nmを越えると、マルチモードとなって目的とする素子の機能を十分に発揮できなくなる場合がある。 また、リッジ幅としては、1〜15μmの範囲が好ましく、3〜10μmの範囲がより好ましい。
さらにまた、予め、下部クラッド層を、反応性イオンエッチング(RIE)、湿式エッチング、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりパターニングしておき、その上に導波路層を形成することによって、逆リッジ型導波路を形成することもできる。
以上のようなリッジ型、または逆リッジ型の構造をとることにより、上下クラッド層との屈折率差を大きく取ることが可能となる。従って、電極による吸収損失を抑制し、かつ素子の実効電界を強めることが可能となることから、駆動電圧の低減をはかることが可能となる。
リッジを形成した後、上部クラッド層として、導波路層よりも屈折率の低い材料で、導波路層を覆う。上部クラッド層に用いられる材料としては、上部クラッド層形成時に、導波路層とインターミキシングを起こさない材料が好ましく、前記下部クラッド層に用いた材料等を用いることができる。また、上部クラッド層を形成する手段としても、前記下部クラッド層の形成に用いた手段を同様に使用することができる。なお、上部クラッド層の膜厚としては、1〜20μmの範囲が好ましく、1.5〜10.0μmの範囲がより好ましい。
本発明のような光導波路素子の場合には、通常、前記導波路層の屈折率に比べ、クラッド層の屈折率を小さくする必要がある。導波路層とクラッド層との屈折率の差は、どのような素子として用いるかによって異なるが、例えば、シングルモードの導波路として用いる場合には、上記導波路層とクラッド層との屈折率の差は、0.01〜3%の範囲であることが好ましい。
次いで、上部クラッド層の表面に、上部電極として金属材料を形成し、光導波路素子を形成する。上部電極の材料としては、前述の下部電極に用いた材料が同様に使用できる。
これらの制御用電極(下部電極、上部電極)は、公知の方法、例えば、DCマグネトロン・スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、電解メッキ法、フラッシュ蒸着法、イオン・プレーティング法、RFマグネトロン・スパッタリング法、イオン・ビーム・スパッタリング法、レーザー・アブレーション法、MBE法、CVD法、プラズマCVD、MOCVD法などより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって、オーバークラッド層表面から薄膜成長を行うことができる。
上部電極を形成した後、必要に応じてポーリング処理を行う。ここで該ポーリング処理とは、成膜した後に、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱した状態で電場を印加して配向処理することにより、前記非線形光学ポリマーの分極方向、あるいは、前記クロモフォアを有する非線形光学ポリマーのクロモフォア部分の分極方向、に配向させ、これを維持した状態で、Tg以下に温度を下げた後に電場を取り除く処理をいう。
このようなポーリング処理としては、電場の印加方法として、非線形光学ポリマーを2つ以上の電極で直接挟み込んで電場を印加する方法、非線形光学ポリマーと電極との間に液体などの媒体を介して電場を印加する方法、あるいは、コロナ放電により間接的な方法で非線形光学ポリマーに対して電場を印加する方法などが公知である。
ポーリング温度は、ガラス転移温度以上が好ましく、具体的には100〜200℃の範囲内に0.5〜10時間程度保持することが望ましい。ポーリング温度を室温から最終的な温度まで段階的に上昇させる場合、各ステップの上昇温度は5〜50℃程度の範囲、各ステップの時間は10〜120分間程度が望ましく、それらは終始同じでも異なってもよい。連続的に上昇させる場合の昇温速度は、0.1〜20℃/分程度とすることが望ましく、前記の段階的に温度を上昇させるステップと組み合わせてもよい。
前記コロナ放電法では、電極、グリッド、サンプル表面の位置関係はこの順であれば任意であるが、電極とサンプル表面との最短距離は5〜100mm程度の範囲、グリッドとサンプル表面との最短距離は1〜30mm程度の範囲とすることが好ましい。グリッドを使用することにより放電を安定化できる場合があり、さらにサンプル表面に必要以上のイオン流が流れ込むのを防止することができるため、表面へのダメージを低減する効果もあると考えられる。
ポーリングの際に電極やグリッドに印加する電圧は一定でもよいし、連続的あるいは段階的に変化させてもよく、温度上昇や下降のタイミングに合わせても合わせなくてもよい。例えば、コロナ電極に印加する電圧は1〜20kV程度の範囲、グリッドを使用する場合のグリッド電圧は0.1〜2kV程度の範囲とするのが好ましい。
また、電極法の電極に印加する電圧としては、0.1〜2kV程度の範囲とするのが好ましい。電極の極性は正負どちらでもよいが、コロナ放電法の場合には、正電圧にした方がオゾンや窒素酸化物などの発生量が少なく、サンプルへのダメージを小さくすることが可能である。なお、温度を下げる工程まで含んだポーリングの総時間は、24時間以内程度とすることが好ましい。また、上記ポーリング処理は、導波路層形成後に実施することも可能である。
上記の工程により作製された光導波路素子基板は、切断によりチップ状(素子状)に加工され、素子を完成する。切断にはダイサーなどが用いられる。なお、素子状とは、一般的には矩形状のことを指すが、光入出力端面での戻り光を低減することを目的として、菱形状、あるいは台形状に加工する場合も含まれる。さらに、モジュール化のためにパッケージングなどの都合により、羽根状の突起部分、あるいは窪み部分を設けたりすることも含む。
以上の本発明の光導波路素子の製造方法を図面を参照して説明する。図2は、本発明の光導波路素子の製造方法における工程を模式的に示す図であり、図2では、基板12上に、下部クラッド層14、導波路層16、及び上部クラッド層18をこの順に有する光導波路素子の製造方法を示す。なお、図2において、図1と同じ構成要素には同じ符合を付している。
先ず、基板12を準備し(図2(A))、該基板12上に、下部クラッド層14を形成する(図2(B))。次いで、下部クラッド層14上に、導波路層材料の溶液を塗布し、導波路層16を成膜する(図2(C))。導波路層16成膜後、該導波路層16において、入出射面と交わる2辺の切断線を含む領域を除去する(図2(D))。次いで、導波層16を、ドライエッチングなどにより加工し、リッジ部16Aを有するリッジ型の導波路部を形成する(図2(E))。この図2(E)の状態の上面図を図3に示す。図3において、ハッチング領域が導波路層の除去領域であり、該除去領域において下部クラッド層14が外部に露出している。さらに、導波層16上に、上部クラッド層18を形成する(図2(F))。最後に、切断線(図2、図3において波線で示した。)によって沿って切断し、光導波路素子を得る(図2(G))。
以上の図2、図3においては、導波路層16を入出力端面と交わる2面の切断面に沿って除去したが、該除去領域ともに入出力端面の光の入出力に係らない部分の導波路層を除去しることが好ましい。図4は、図2(E)(図3)に対応する図であり、ハッチング領域で示すように、図3に示した除去領域に加え、入出力端面の導波路層をも除去している。導波路の除去及びそれ以外の工程は、図2で示した工程と同様である。
続いて、電極を形成する形態について図5を参照して説明する。図5は、本発明の光導波路素子の製造方法における工程を模式的に示す図であり、図5では、基板12上に、下部電極13、下部クラッド層14、導波路層16、上部クラッド層18、及び上部電極20をこの順に有する光導波路素子の製造方法を示す。なお、図5において、図1、図2と同じ構成要素には同じ符合を付している。
先ず、基板12を準備し(図5(A))、該基板12上に、下部電極13を形成する(図5(B))。次いで、下部電極13上に下部クラッド層14を形成し(図5(C))、該下部クラッド層14上に、導波路層材料の溶液を塗布し、導波路層16を成膜する(図5(D))。導波路層16成膜後、該導波路層16において、入出射面と交わる2辺の切断線を含む領域を除去する(図5(E))。次いで、導波層16を、ドライエッチングなどにより加工し、リッジ部16Aを有するリッジ型の導波路部を形成する(図5(F))。さらに、導波層16上に、上部クラッド層18を形成する(図5(G))。次に、上部クラッド層18上の導波路層16のリッジ部が位置する部分に、上部電極20を形成する(図5(H))。最後に、切断線によって沿って切断し、光導波路素子を得る(図5(I))。
以下、発明の詳細を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。言うまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
導波路層の材料として、下記構造式で表されるポリカーボネート樹脂を、THF1質量部とシクロヘキサノン4質量部とを混合した溶媒中に溶解し、15質量%の樹脂溶液を調製した。次いで、この樹脂溶液中に、Dispers Red 1を固形分比として20質量%となる量だけ添加して溶解し、導波路層用塗布液とした。
Figure 0004742779
自然酸化膜を有するシリコン基板(直径:50.8mm、厚さ:0.5mm)表面に、スパッタ法により下部電極としてAuを厚さ0.3μm設けたものを、基板として用いた。次いで、この下部電極表面に、フッ素化ポリイミド原料(日立化成製、OPI−N3405)を、スピンコート法により塗布した後、加熱によりイミド化しフッ素化ポリイミド膜として下部クラッド層を形成した。該下部クラッド層の膜厚は5.8μmであった。
次いで、上記下部クラッド層の表面に、先に作製した導波路層用塗布液を滴下し、スピンコートにより製膜し、溶媒を乾燥して導波路層とした。該導波路層の膜厚は、2.4μmであった。この導波路層に、フォトリソグラフィーを用いて、入出力端面と直行する2辺の切断線を、幅500μmに渡って、パターンニングした後、ドライエッチングにより深さ2.5μmに渡って導波路層を除去した。次いで、同様にフォトリソグラフィーを用いて、導波路パターンを作製した後、ドライエッチングにより、導波路として幅が4.1μmで、0.8μmの段差を有するリッジ型のチャネル導波路を作製した。
さらに、導波路を形成した前記導波路層の表面に、エポキシ樹脂をスピンコートにより塗布して上部クラッド層形成した。該上部クラッド層の膜厚は5.2μmであった。
このようにして上部クラッド層まで形成したシリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して光導波路素子とした。この際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、所望の光導波路素子を得ることができた。この光導波路素子を用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は9.2dBであった。
[比較例1]
実施例1と同様にして導波路層用塗布液まで塗布した後、入出力端面と直行する2辺の切断線の導波路層を除去しないでドライエッチングにより、導波路として幅が4.2μmで、0.8μmの段差を有するリッジ型のチャネル導波路を作製した。
さらに、導波路を形成した前記導波路層の表面に、エポキシ樹脂をスピンコートにより塗布して上部クラッド層形成した。該上部クラッド層の膜厚は5.2μmであった。
このようにして上部クラッド層まで形成したシリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して光導波路素子としようとしたが、切断時に導波路層と下部クラッド層との層間より剥離が生じてしまい、所望の光導波路素子を得ることはできなかった。
[実施例2]
自然酸化膜を有するシリコン基板(直径:50.8mm、厚さ:0.5mm)表面に、スパッタ法により下部電極としてAuを厚さ0.3μm設けたものを基板として用い、この下部電極表面に、エポキシ樹脂(NTT-AT製、C2861)を、スピンコート法により塗布した後、紫外線照射装置を用いて、50mW/cm2の紫外線を5分間照射し、さらに100℃にて1時間加熱して下部クラッド層を形成した。該下部クラッド層の膜厚は4.5μmであった。次いで、導波路層用塗布液として実施例1と同様なものを用いて、上記下部クラッド層の表面に滴下し、スピンコートにより製膜し、溶媒を乾燥して導波路層とした。該導波路層の膜厚は、2.3μmであった。この導波路層に、フォトリソグラフィーを用いて、入出力端面と直行する2辺の切断線を、幅500μmに渡って、パターンニングした後、ドライエッチングにより深さ2.6μmに渡って導波路層を除去した。次いで、同様にフォトリソグラフィーを用いて、マッハツェンダー型の導波路パターンを作製した後、ドライエッチングにより、導波路として幅が4.8μmで、0.9μmの段差を有するリッジ型のチャネル導波路を作製した。
さらに、導波路を形成した前記導波路層の表面に、エポキシ樹脂をスピンコートにより塗布して上部クラッド層を形成した。該上部クラッド層の膜厚は4.2μmであった。
次いで上部クラッド層表面に、フォトリソグラフィーを用いて制御電極パターンを形成した後、スパッタ法によりAuを厚さ0.3μm成膜し、リフトオフ法により制御電極を形成した。
このようにして制御電極まで形成したシリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して導波路型マッハツェンダー光デバイスとした。この際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、所望の導波路型マッハツェンダー光デバイスを得ることができた。この導波路型マッハツェンダー光デバイスを用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は9.8dBであった。
次いで、この導波路型マッハツェンダー光デバイスに電圧を印加し、変調特性を評価した。半波長電圧(Vπ)は22Vの結果が得られ、光変調素子として機能することが確認された。
[実施例3]
導波路層の材料として、ポリサルホン樹脂(ソルベイアドバンストポリマーズ製、Udel P-1700)を、THF1質量部とシクロヘキサノン9質量部とを混合した溶媒中に溶解し、13質量%の樹脂溶液を作製した。次いで、この樹脂溶液中に、Dispers Red 1を固形分比として25質量%となる量だけ添加して溶解し、導波路層用塗布液とした。実施例2と同様にして下部クラッド層まで形成した後、前記導波路層をスピンコート法により製膜し、溶媒を乾燥して導波路層とした。該導波路層の膜厚は、1.9μmであった。
次いで、実施例2と同様にして、制御電極まで形成し、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して導波路型マッハツェンダー光デバイスとした。この際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、所望の導波路型マッハツェンダー光デバイスを得ることができた。この導波路型マッハツェンダー光デバイスを用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は10.9dBであった。
次いで、この導波路型マッハツェンダー光デバイスに電圧を印加し、変調特性を評価した。半波長電圧(Vπ)は12Vの結果が得られ、光変調素子として機能することが確認された。
[比較例2]
導波路層を除去する工程を除いた以外は、実施例2と同様にして制御電極まで形成した後、シリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して光導波路素子としようとしたが、切断時に導波路層と下部クラッド層との層間より剥離が生じてしまい、所望の光導波路素子を得ることはできなかった。
[比較例3]
実施例3と同様にして、導波路層まで形成し、導波路層を除去する工程を行わず、フォトリソグラフィーを用いて、マッハツェンダー型の導波路パターンを作製した後、ドライエッチングにより、導波路として幅が2.2μmで、2.1μmの深さまでエッチングして、チャネル導波路を作製した。その後、実施例2と同様にして上部クラッド層、制御電極を形成して埋め込み型の導波路構造を有する導波路型マッハツェンダー光デバイスを作製した。
このようにして制御電極まで形成したシリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して導波路型マッハツェンダー光デバイスとした。この際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、導波路型マッハツェンダー光デバイスを得ることができた。この導波路型マッハツェンダー光デバイスを用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は18.4dBであり、実用的なレベルには達しなかった。
[実施例4]
実施例3と同様にして、下部クラッド層まで形成し、フォトリソグラフィーを用いて、マッハツェンダー型の導波路パターンを作製した後、ドライエッチングにより、導波路として幅が5.1μmで、0.9μmの段差を有するリッジ型のチャネル導波路パターンのトレンチを形成した。
次いで、上記下部クラッド層上に、実施例3で用いた導波路層の塗布溶液を滴下して、スピンコートにより導波路層を塗布、乾燥し導波路層を形成した。該導波路層の膜厚は、トレンチ部で1.8μmであった。この導波路層に、フォトリソグラフィーを用いて、入出力端面と直行する2辺の切断線を、幅500μmに渡って、パターンニングした後、ドライエッチングにより深さ1.5μmに渡って導波路層を除去した。
さらに、前記導波路層の表面に、エポキシ樹脂をスピンコートにより塗布して上部クラッド層形成した。該上部クラッド層の膜厚は4.4μmであった。
次いで実施例2と同様にして、上部クラッド層表面に、制御電極を形成した。
このようにして制御電極まで形成したシリコンウェハを、ダイサーにより、5mm×20mmに切り出して導波路型マッハツェンダー光デバイスとした。この際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、所望の導波路型マッハツェンダー光デバイスを得ることができた。この導波路型マッハツェンダー光デバイスを用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は9.2dBであった。
次いで、この導波路型マッハツェンダー光デバイスに電圧を印加し、変調特性を評価した。半波長電圧(Vπ)は10Vの結果が得られ、光変調素子として機能することが確認された。
[実施例5]
実施例1における導波路層を除去する工程において、入出力端面と直行する2辺の切断線に対応する領域のみならず、入出力端面となる切断線を含む領域(幅:500μm)であって、光の入出力に係らない導波路層を除去したこと以外は実施例1と同様にして光導波路素子を作製した。ダイサーにより切り出す際、光導波路素子の各層間での剥離は起こらず、所望の光導波路素子を得ることができた。この光導波路素子を用い、波長が1.55μmの半導体レーザを光源とする光挿入損失評価装置により、モードフィールド径10.5μmのシングルモード光ファイバーに対する挿入損失を評価した結果、挿入損失は9.3dBであった。
本発明の光導波路素子の断面を示す模式図である。 本発明の光導波路素子の製造方法の各工程((A)〜(G))を示す模式図である。 図2(E)の工程における製造途中の光導波路素子を示す上面図である。 導波路の除去領域をさらに拡張した態様を示す図3に対応する図である。 本発明の光導波路素子の製造方法において、図2とは異なる態様の各工程((A)〜(I))を示す模式図である。
符号の説明
10 光導波路素子
12 基板
13 下部電極
14 下部クラッド層
16 導波路層
18 上部クラッド層
20 上部電極

Claims (6)

  1. 基板上に、下部クラッド層を形成する工程と、該下部クラッド層上に導波路層を形成する工程と、前記導波路層に光の伝搬を行う導波路部を形成する工程と、前記導波路層の上部に上部クラッド層を形成する工程と、光の入出力端面と、該入出力端面と交わる2面とが切断面となるように素子状に切断する工程と、を有する光導波路素子の製造方法であって、
    前記導波路層を形成後、導波路部を形成するまでの間に、前記入出力端面と交わる予定切断面と少なくとも前記導波路層とが交差する領域を含む導波路層の一部又は全部の領域を除去する工程であって、前記導波路層よりも深くエッチングして、前記導波路層の一部又は全部の領域を除去する工程を含むことを特徴とする光導波路素子の製造方法。
  2. さらに、前記導波路層を形成後、導波路部を形成するまでの間に、前記導波路層における入出力端面の光の入出力に係らない部分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の光導波路素子の製造方法。
  3. さらに、基板上に下部電極を形成する工程、および上部クラッド層上に、上部電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路素子の製造方法。
  4. 前記導波路層が、電気光学効果を有する導波路層であることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
  5. 導波路層を形成した後、パターンニングを行い、リッジ型の構造に加工することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
  6. 下部クラッド層を形成した後、パターンニングを行い、該下部クラッド層を加工してトレンチを形成する工程と、この上に、導波路層を形成することにより、逆リッジ型の構造を得ることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載の光導波路素子の製造方法。
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