JP2009092985A - 導波路装置、及び導波路素子の駆動方法 - Google Patents

導波路装置、及び導波路素子の駆動方法 Download PDF

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滋年 中村
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Abstract

【課題】簡易な構成でDCドリフトの発生を抑制可能な導波路装置及び導波路素子の駆動方法を提供する。
【解決手段】導波路素子12が、基板27上に、下部電極13、下部クラッド層21、導波路層16、上部クラッド層18、及び複数対の上部電極からなる上部電極群20と、が順に積層されて構成されており、この上部電極群20が、下部電極13に対応する複数対の上部電極からなり、電圧印加部14は、この上部電極群20の各対をなす上部電極に対して値が同一で且つ逆極性の電圧を所定時間印加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、導波路装置及び導波路素子の駆動方法に関する。
高速データ網として、一度に大量のデータを授受可能な光通信網が検討されている。光通信網においては、電気信号に基づいて光の強度や位相、波長などを変調する導波路装置が重要である。
導波路装置としては、光導波路を用いて、電気光学(Electro−optic、以下「EO」と略す)効果で光導波光を制御する導波路素子を用いたものが一般的である。導波路素子では、様々なタイプの光導波路構造が検討されており、それと同様に様々な光導波路形成の方法が報告されている。
この導波路素子に用いられる材料としては、大きなEO効果を示すニオブ酸リチウム(LiNbO、以下「LN」と略す)に代表される無機強誘電体結晶が注目されてきた。例えば、LNを用いた導波路素子では、EO効果を有する単結晶LN基板表面に、Tiなどの不純物を拡散させて他の部分よりも屈折率を高くして光導波路(以下、単に「導波路」と略す場合がある)を形成している。この構造は、拡散型導波路構造と呼ばれている。この導波路表面に制御用の電極を形成し、その電極に電圧を印加して導波路に電界をかけると、EO効果によって導波路層部分に屈折率変化が生じ、光導波路を伝播する光の制御が行われるという原理である。
ところで、導波路素子の性能を決めるものとしては、DCドリフト特性が代表的である。DCドリフトと呼ばれる現象とは、一定の直流電圧印加の状態でも、光導波路中を伝播する光の位相が、電圧印加時間と共にずれてしまうことである。
従来、LNなどの無機EO素子においては、電極と無機酸化物との界面に、連続的に変調を繰り返すことにより空間電荷が蓄積し、空間電荷による内部電界が時間的に変化することによりDCドリフトが発生することが知られている。一方、有機非線形材料を用いたEO素子においては、DCドリフト現象自体が、ほとんど調べられてこなかったが、本発明者等による研究から、有機非線形光学材料においてもDCドリフト現象が存在することが明らかとなっている(非特許文献1)。
このDCドリフトの解決方法として、いくつかの技術が報告されている。例えば、特許文献1の技術では、DCドリフト等による経時変化によって、導波路装置における動作点シフトの発生を抑制するために、光導波路から放射される放射光と、光導波路から漏洩する信号光とを干渉させた干渉光をモニタし、モニタされた干渉光の変化に応じて導波路装置動作点を制御している。
特開平10−221664号公報 S. Nakamura et. al., OECC/IOOC 2007, 10E1−3, pp.80−81 (July, 2007)
本発明は、簡易な構成でDCドリフトの発生を抑制可能な導波路装置及び導波路素子の駆動方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、有機非線形光学材料を含む光導波路と、前記光導波路の一方の面側に配される第1の電極と、前記光導波路の他方の面側に配される複数の第2の電極と、前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対に対して値が同一で且つ逆極性の電圧を所定時間印加する電圧印加手段と、を備えた導波路装置である。
請求項2に係る発明は、前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対は、互いに前記第1の電極と対向する領域における形状及び面積が同じであることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置である。
請求項3に係る発明は、前記光導波路は、マッハツェンダー型であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置である。
請求項4に係る発明は、前記光導波路は、多モード干渉器型であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置である。
請求項5に係る発明は、前記光導波路は、前記第1の電極側または前記第2の電極側に向かって凸状に突出した構造であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置である。
請求項6に係る発明は、前記光導波路は、前記第1の電極側及び前記第2の電極側の双方側に向かって凸状に突出した構造であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置である。
請求項7に係る発明は、有機非線形光学材料を含む光導波路と、前記光導波路の一方の面側に配される第1の電極と、前記光導波路の他方の面側に配される複数の第2の電極と、備えた導波路素子の、前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対に対して値が同一で且つ逆極性の電圧を所定時間印加して駆動する導波路素子の駆動方法である。
請求項1に係る発明によれば、第2の電極の対をなす電極対に対して値が同一で且つ逆極性の電圧が所定時間印加されるので、各対をなす電極対におけるDCドリフトの発生が簡易な構成で抑制される、という効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、第2の電極の対をなす電極対におけるDCドリフトの発生が更に抑制される、という効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、マッハツェンダー型の光導波路において、第2の電極の対をなす電極対におけるDCドリフトの発生が抑制される、という効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、多モード干渉器型の光導波路において、第2の電極の対をなす電極対におけるDCドリフトの発生が抑制される、という効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、光導波路の実効屈折率を任意に制御が可能となるという効果を奏する。
請求項6に係る発明によれば、光導波路における電極による光吸収損失が抑制され、導波路素子の実効電界が強められ、駆動電圧の低減化が図れる、という効果を奏する。
請求項7に係る発明によれば、各対をなす電極対におけるDCドリフトの発生が簡易な構成で抑制されるという効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態にかかる導波路装置10は、導波路素子12と、電圧印加部14と、を含んで構成されている。
なお、本実施の形態では、導波路素子12の後述する光導波路が、マッハツェンダー干渉型である場合を説明するが、このような形態に限られない。
本実施の形態の導波路素子12は、基板27上に、下部電極13、下部クラッド層21、導波路層16、上部クラッド層18、及び複数対の上部電極からなる上部電極群20と、が順に積層されて構成されている。
なお、導波路素子12が、本発明の導波路素子の駆動方法の導波路素子に相当し、導波路装置10が、本発明の導波路装置に相当する。また、下部電極13が、本発明の導波路装置の第1の電極に相当し、上部電極群20が、本発明の導波路装置の第2の電極に相当する。また、電圧印加部14が、本発明の導波路装置の電圧印加手段に相当する。さらに、導波路層16に形成される後述する光導波路17が、本発明の導波路装置の光導波路に相当する。
基板27としては、各種金属基板(アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、ステンレスなど)、各種半導体基板(シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウム−ヒ素など)、ガラス基板、プラスチック基板(PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミドなど)、等が用いられる。基板27は厚く剛直でもよいし、薄く柔軟であってもよい。
この基板27の表面には、下部電極13が形成されている。
この下部電極13を構成する材料としては、Au、Ti、TiN、Pt、Ir、Cu、Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、W、Moなどの各種金属、各種酸化物(NESA(酸化スズ)、酸化インジウム、ITO(酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物)や、各種有機導電体(ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン)などが用いられる。これらの導電膜は、蒸着、スパッタリング、塗布や電解析出法などにより形成され、必要に応じてパターンが形成されていてもよい。
なお、上記基板27を、金属基板として構成した場合には下部電極13を設ける必要はない。このような導電性の基板、及び前記下部電極13は、後述する有機非線形光学材料からなる導波路層16に、上部電極群20との間で電界を形成する場合の電極として使用される。また、上部クラッド層18上に形成される上部電極群20も、この下部電極13と同様の材料により構成される。
下部電極13上には、下部クラッド層21が積層されている。
この下部クラッド層21としては、この下部クラッド層21上に積層される導波路層16よりも屈折率の低い材料が用いられる。
下部クラッド層21に用いられる材料としては、導波路層16の形成時にインターミキシングを起こさない材料が好ましく、一般的に知られている熱硬化型の架橋樹脂、紫外線硬化型の架橋樹脂、無機材料、導電性高分子、フッ素化ポリマーなどが用いられる。
前記熱硬化型の架橋樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリウレタン、ポリベンゾシクロロブテン、ポリアミドなどが挙げられ、前記紫外線硬化型の架橋樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
下部電極13上に下部クラッド層21を形成する方法としては、下部クラッド層21を形成する材料として高分子材料を用いる場合には、スピンコート法、ディップ法などの一般的な溶液塗布方法が用いられる。また、下部クラッド層21を形成する材料として無機材料を用いる場合には、電子ビーム蒸着法、フラッシュ蒸着法、イオン・プレーティング法、RF(高周波)−マグネトロン・スパッタリング法、DC(直流)−マグネトロン・スパッタリング法、イオン・ビーム・スパッタリング法、レーザー・アブレーション法、MBE(分子線エピタキシャル法)、CVD(気相成長法)、プラズマCVD、MOCVD(有機気相成長法)などより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって作製が可能であるが、これらに限られるわけではない。
なお、下部クラッド層21の膜厚は、導波路素子12として構成したときに光導波路17へ入射させる光の波長等、導波路設計指針に依存するが、1μm以上20μm以下程度の範囲が好ましく、1.5μm以上10.0μm以下の程度の範囲とすることがより好しい。
下部クラッド層21の膜厚が、上記20μmを超える厚みである場合には、導波路層16にかかる実効電圧が低くなるため、充分な電気光学(Electro−optic、以下「EO」と略す)効果が得られず、また、1μm未満と薄い場合には、下部電極13による光吸収が増加するため、光損失が大きくなるという問題が生じる場合がある。
導波路層16としては、光導波路が形成可能であり下部クラッド層21及び上部クラッド層18よりも屈折率の高い材料が用いられ、本実施の形態では、導波路層16を構成する材料としては、非線形効果を付与したポリマー(有機非線形材料)が用いられる。
本実施の形態の導波路層16に用いられる有機非線形材料とは、高分子マトリックス中に非線形光学特性を有する有機化合物を添加した有機非線形光学ポリマーや、高分子の主鎖あるいは側鎖に、非線形光学特性を有する構造(以下、「クロモフォア構造」という場合がある)を導入した主鎖型有機非線形光学ポリマーあるいは側鎖型有機非線形光学ポリマーなどをいう。
導波路層16の材料としては、光導波路が形成可能なものであり、下部クラッド層21よりも屈折率の高い材料であれば、本発明の意図を損なうものではないが、上記有機非線形材料を用いることが好ましく、前記のように、高分子の側鎖または主鎖に、ポリマーに非線形性を付与する目的でクロモフォア構造を導入したものが用いられる。
上記高分子材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリシラン、ポリベンゾシクロブテンなどが用いられる。
前記クロモフォア構造は、公知のものであれば特に限定されないが、下記の構造式(1)で表されるものが好ましい。
D−P−A ・・・ 構造式(1)
構造式(1)中、Dは、電子供与性を有する原子団、Pは結合部、Aは電子吸引性を有する原子団、を表す。構造式(1)において、「D」で表される電子供与性を有する原子団としては、電子供与性を有するものであれば公知のものが用いられるが、電子供与性置換基を有する、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらの組み合わせからなるものであることが好ましい。前記電子供与性置換基としては、電子供与性を有するものであれば特に限定されないが、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、などが望ましい。なお、前記アルキル基の一部がアルコキシ基やフェニル基で置換されてもよく、前記アルコキシ基の一部がアルコキシ基やフェニル基で置換されてもよく、また、前記アミノ基の一部がアルキル基やアルコキシ基、あるいはフェニル基で置換されてもよい。
一方、「A」で表される電子吸引性を有する原子団としては、電子吸引性を有するものであれば公知のものいずれでも良いが、電子吸引性置換基を導入した、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらの組み合わせ、などの構造が望ましい。
前記電子吸引性置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン置換されたアルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、などが望ましい。
また、「P」で表される結合部は、「D」と「A」とを共有結合で結ぶものであれば如何なるものであっても良いが、電子を非局在化しうる共役結合を持つものが望ましく、例えばπ共役系で「D」と「A」とを結びつけるような構造を有するものが望ましい。具体的には、脂肪族不飽和結合、芳香環、ヘテロ芳香環、及びそれらが互いに結合したものなどが望ましい。
導波路層16の形成は、上記クロモフォア構造を有する高分子材料、あるいはクロモフォア構造を有する有機化合物と高分子材料とを混合したものを、これらを溶解する溶剤に溶解しコーティング液を作製し、このコーティング液を上記下部クラッド層21等の表面にコートすることにより行う。
コーティングにより導波路層16を設ける方法としては、スピンコート、スプレーコート、ブレードコート、ディップコート、など公知の方法が用いられる。溶剤の除去は、送風乾燥機などで加熱乾燥しても良いし、減圧(真空)乾燥機などで乾燥してもよい。
導波路層16の膜厚としては、下部電極13と上部電極群20との間に位置する導波路(以下、作用部と称する場合がある)へ、下部電極13と上部電極群20との間に形成された電界が効果的に作用するように、導波路層16の膜厚は薄いほうが好ましく、5.0μm以下が好ましく、3.5μm以下がより好ましい。
導波路層16の膜厚が5.0μmより厚いと、光導波路17の作用部へ、該作用部を伝播する光に所望の位相変化を生じさせるために印加する電圧の電圧値として、より高い電圧値の電圧印加が必要となり、低駆動電圧を達成することが困難となる場合がある。なお、導波路層16の膜厚の下限は、1.0μm程度である。
導波路層16に形成する光導波路17は、例えば、図1及び図2に示すように光導波路17をリッジ型(光導波路17が上部クラッド層18側に突出した形状)として構成する場合には、ドライエッチング法でリッジを形成することで、リッジ型の光導波路17を形成すればよい。
なお、本実施の形態では、導波路層16に形成する光導波路17は、図1及び図2に示すように、マッハツェンダー型である場合を説明する。
マッハツェンダー型の光導波路17は、光の入射される入射導波路部17C及び入射された光を出射する出射導波路部17Dは一本の光路として形成され、途中で2本の光路(以下、アーム部と称する場合がある)17A及び光路(以下、アーム部と称する場合がある)17Bに分岐されている。このため、入射導波路部17Aに入射された光は、2本の光路(アーム部17A及びアーム部17B)各々へと分かれた後に、アーム部17A及びアーム部17B各々を伝播し、出射導波路部17Dで合流して光導波路17の外部へと出射される。
この光導波路17を構成するリッジ幅とリッジ高さ(光導波路17の幅及び高さ)は、光導波路17の屈折率と導波路層16の厚み膜厚との組み合わせにより異なるが、リッジ高さ(段差)は一般的には50nm以上3000nm以下の範囲が好ましく、500nm以上2000nm以下の範囲がより好ましい。リッジ高さが50nmに満たないと、光導波路17と上部クラッド層18、及び下部クラッド層21各々との間で、十分な屈折率差が得られず、光導波路17内における光の閉じ込めができなくなる場合がある。
一方、リッジ高さが3000nmを越えると、マルチモードとなって目的とする素子の機能を十分に発揮できなくなる場合がある。また、リッジ幅としては、1μm以上15μm以下の範囲が好ましく、3μm以上10μm以下の範囲がより好ましい。
光導波路17は、上述のようなリッジ型の構造をとることにより、上部クラッド層18と下部クラッド層21との屈折率差を大きく取ることが可能となる。従って、電極による吸収損失を抑制し、かつ素子の実効電界を強めることが可能となることから、駆動電圧の低減をはかることが可能となる。
導波路層16上には、上部クラッド層18が設けられている。
この上部クラッド層18は、導波路層16に上記リッジを形成することで光導波路17を形成した後に、導波路層16よりも屈折率の低い材料で導波路層16を覆うことで形成される。
上部クラッド層18に用いられる材料としては、上部クラッド層18の形成時に、導波路層16とインターミキシングを起こさない材料が好ましく、上記説明した下部クラッド層21に用いた材料等が用いられる。また、上部クラッド層18を形成する手段としても、上記説明した下部クラッド層21の形成に用いた方法が同様に使用される。なお、上部クラッド層18の膜厚としては、1μm以上20μm以下の範囲が好ましく、1.5μm以上10.0μm以下の範囲がより好ましい。
導波路素子12においては、通常、導波路層16の屈折率に比べて、上部クラッド層18及び下部クラッド層21の屈折率を小さくする必要がある。本実施の形態において、導波路層16と上部クラッド層18及び下部クラッド層21との屈折率の差は、導波路素子12の用途によるが、例えば、シングルモードの導波路として用いる場合には、導波路層16と上部クラッド層18及び下部クラッド層21との屈折率の差は、0.01%以上10%以下の範囲であることが好ましい。
この上部クラッド層18上には、上部電極群20が設けられている。
上部電極群20は、複数対の上部電極から構成されている。この複数対の上部電極の、各対をなす上部電極は、下部電極13との間に電界が形成されたときに、その形成された電界内に位置する光導波路17の領域を伝播する光の位相を変化させるとともに、光導波路17に入射した光の強度が変調されて出射されるような位置に設けられていればよい。
具体的には、図1及び図2に示すように、光導波路17がマッハツェンダー型である場合には、上部電極群20の各対を成す上部電極は、光導波路17のアーム部17A及びアーム部17Bの何れか一方または双方に対応する領域に設けられている。
すなわち、この上部電極群20を構成する各対を成す上部電極は、上部電極群20の各対をなす上部電極と、下部電極13と、の間に電圧を印加することで、結果的に光導波路17に入射された光を変調して出射することの可能な領域に設けられている。
なお、この上部電極群20の対を成す各上部電極は、互いに形状及び上部クラッド層18に接する面の面積が同一であることが好ましい。また、この各対を成す上部電極は、互いに電極の厚みについても同一であることが好ましい。
図1及び図2に示す例では、説明を簡略化するために、上部電極群20を構成する対をなす上部電極として、1対の上部電極20A及び上部電極20Bが設けられている場合を示した。
図1及び図2に示す例では、対を成す上部電極20A及び上部電極20Bの内の、上部電極20Aは、下部電極13との間に電圧が印加されることで、光導波路17のアーム部17Aに電界を形成可能な位置に設けられており、上部電極20Bは、下部電極13との間に電圧が印加されることで、光導波路17のアーム部17Bに電界を形成可能な位置に設けられている。
なお、本実施の形態では、上述のように、上部電極群20を構成する対を成す上部電極20A及び上部電極20Bは、各々、光導波路17のアーム部17Aに対応する位置、及び光導波路17のアーム部17Bに対応する位置に設けられている場合を説明するが、各対を成す上部電極と下部電極13との間に電圧が印加されることで、光導波路17に入射される光の強度を変調した光が光導波路17から出射されるような位置に設けられていればよく、このような形態に限られない。
例えば、上部電極20A及び上部電極20Bの双方が、光導波路17のアーム部17Aまたはアーム部17Bの何れか一方に対応する位置に設けられた構成であってもよい。
また、本実施の形態では、説明を簡略化するために、上部電極群20を構成する対をなす上部電極として、1対の上部電極20A及び上部電極20Bが設けられている場合を説明するが、複数対の上部電極が設けられた構成であってもよいことはいうまでもない。
この場合には、例えば、図3に示すように、上部電極群20を、上部電極20C、上部電極20D、上部電極20E、及び上部電極20Fとして構成し、これらの複数で且つ偶数の上部電極の内、対を成す上部電極と下部電極13との間に電圧が印加されることで、光導波路17に入射される光の強度を変調した光が光導波路17から出射されるように、対となる上部電極を選択すればよい。
具体的には、アーム部17Bに対応する領域に設けられている上部電極20Cと、上部電極20Dとを対とし、アーム部17Aに対応する領域に設けられている上部電極20Eと上部電極20Fとを対とした構成であってもよい。また、アーム部17Bに対応する領域に設けられている上部電極20Cと、アーム部17Aに対応する領域に設けられている上部電極20Eまたは上部電極20Fとを対とした構成であってもよい。また、アーム部17Bに対応する領域に設けられている上部電極20Dと、アーム部17Aに対応する領域に設けられている上部電極20Eまたは上部電極20Fとを対とした構成であってもよい。
なお、このとき、各対を成す上部電極は、上記説明したように、互いに形状及び上部クラッド層18に接する面の面積が同一であることが好ましい。また、この各対を成す上部電極は、互いに電極の厚みについても同一であることが好ましい。また、同一材料から構成されていることが好ましい。
この上部電極群20を構成する複数の各上部電極は、上部クラッド層18の表面に、金属材料を形成することで構成される。これらの上部電極の材料としては、前述の下部電極13に用いた材料が同様に使用される。
これらの上部電極群20及び下部電極13は、公知の方法、例えば、DCマグネトロン・スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、電解メッキ法、フラッシュ蒸着法、イオン・プレーティング法、RFマグネトロン・スパッタリング法、イオン・ビーム・スパッタリング法、レーザー・アブレーション法、MBE法、CVD法、プラズマCVD、MOCVD法などより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって、薄膜成長により形成される。
このようにして作製された導波路素子12は、切断によりチップ状(素子状)に加工され、素子を完成する。切断にはダイサーなどが用いられる。なお、素子状とは、一般的には矩形状のことを指すが、光入出力端面での戻り光を低減することを目的として、菱形状、あるいは台形状に加工する場合も含まれる。
なお、上記導波路素子12の光導波路17に、非線形光学効果を発現させるためには、ポーリング処理により分子の配向を揃える必要がある。
このポーリング処理とは、成膜した後に、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱した状態で電界を印加して配向処理することにより、光導波路17及び導波路層16を構成する上記有機非線形材料の分極方向、あるいは、前記クロモフォアを有する有機非線形材料のクロモフォア部分の分極方向、に配向させ、これを維持した状態で、Tg以下に温度を下げた後に電界を取り除く処理をいう。
このようなポーリング処理としては、電界の印加方法として、有機非線形材料を2つ以上の電極で直接挟み込んで電界を印加する方法(電極ポーリング)、有機非線形材料と電極との間に液体などの媒体を介して電界を印加する方法、あるいは、コロナ放電により間接的な方法で有機非線形材料に対して電界を印加する方法(コロナポーリング)などが挙げられる。
ポーリング温度は、ガラス転移温度以上が好ましく、具体的には100℃以上200℃以下の範囲内に0.2時間以上10時間以下程度保持することが望ましい。ポーリング温度を室温から最終的な温度まで段階的に上昇させる場合、各ステップの上昇温度は5℃以上50℃以下程度の範囲、各ステップの時間は10分間以上120分間以下程度が望ましく、それらは終始同じでも異なってもよい。連続的に上昇させる場合の昇温速度は、0.1℃/分以上20℃/分以下程度とすることが望ましく、前記の段階的に温度を上昇させるステップと組み合わせてもよい。
この工程は、導波路層形成後であればいつ実行してもよいが、後の工程で加熱の必要がある場合には、非線形光学効果の低下が起こってしまうため、分極配向処理を、加熱処理を含む工程後に行うことが好ましい。
上記導波路素子12の上部電極群20の内の各対を成す複数の上部電極(本実施の形態では上部電極20A及び上部電極20B)には、電圧印加部14が電気的に接続されている。
電圧印加部14は、上部電極20A及び上部電極20Bを含む上部電極群20の各電極対に電圧を印加する。この電圧印加部14は、上部電極群20の各対を成す上部電極の内の一方の上部電極と、他方の上部電極と、に同じ電圧値で且つ逆極性の電圧を所定時間印加する。
具体的には、例えば、図1及び図2に示すように、電圧印加部14は、上部電極群20の各対をなす上部電極の内の何れか一方の上部電極として、上部電極20Bと下部電極13との間に電圧を印加するための電圧印加部14Bと、各対を成す上部電極の内の他方の上部電極として、上部電極20Aと下部電極13との間に電圧を印加するための電圧印加部14Aとを含んで構成されている。
そして、電圧印加部14Aと電圧印加部14Bとは、互いに同一時期に、同一の電圧値で、且つ逆極性の電圧を印加するように構成すればよい。
なお、本実施の形態では、電圧印加部14は、上部電極群20の各対をなす上部電極の内の何れか一方の上部電極として、上部電極20Bと下部電極13との間に電圧を印加するための電圧印加部14Bと、各対を成す上部電極の内の他方の上部電極として、上部電極20Aと下部電極13との間に電圧を印加するための電圧印加部14Aとを含んで構成されている場合を説明するが、上部電極群20の内の、各対を成す上部電極の一方の上部電極と下部電極13との間と、他方の上部電極と下部電極13との間と、の各々の互いに逆極性で、且つ同一の電圧値の電圧を、同一時期に同一時間継続して印加することが可能な構成であればよく、このような構成に限られない。
すなわち、電圧印加部14としては、上部電極群20の電極対毎に、上述のように互いに逆極性で且つ同じ電圧値の電圧を、同一時期に同一時間継続して印加可能な構成であればよく、どのような構成であってもよい。
このように構成された導波路装置10は、光の変調を行う光変調装置や、スイッチングを行う光スイッチとして用いられる。
次に、このように構成された導波路装置10の作用を説明する。
光導波路17の入射導波路部17Cから入射された光は、アーム部17A及びアーム部17Bに分岐されて伝播した後に、出射導波路部17Dを伝播し、光導波路17から出射される。
導波路装置10においては、電圧印加部14から上部電極群20と下部電極13との間に電圧を印加しない状態においては、入射導波路部17Cに入射されて、アーム部17A及びアーム部17Bを伝播した光は、これらのアーム部の接合部(出射導波路部17Dとの接合部)において互いに干渉しつつ単一モード光に収束される。このとき、アーム部17A及びアーム部17Bには電界が形成されていないことから、これらのアーム部を伝播する光に位相差が生じていないので、出射導波路部17Dからは、入射導波路部17Cに入射された光と同一強度の光が出射する。
上記説明したように、光導波路17は、電気光学効果を有する材質で形成されていることから、上部電極群20と下部電極13との間に電圧が印加されて、光導波路17に電界が形成されると、光導波路17内の該電界の形成された領域を伝播する光の屈折率が変化して位相が変化する。このため、電圧印加部14から、下部電極13と上部電極群20とに電圧が印加されて、下部電極13と上部電極群20との間に電界が形成されると、印加された電圧の電圧値に応じて、光導波路17内の、形成された電界内に相当する領域を伝播する光の屈折率が変化し、光導波路17に入射された光の強度とは異なる強度の光が光導波路17から出射される。
詳細には、電圧印加部14から上部電極群20と下部電極13との間に電圧が印加されると、入射導波路部17Cに入射されて、アーム部17A及びアーム部17Bを伝播した光は、これらのアーム部の接合部(出射導波路部17Dとの接合部)において互いに干渉しつつ収束される。このとき、アーム部17A及びアーム部17Bに電界が形成されているので、これらのアーム部を伝播する光に電界に応じた位相差が生じ、出射導波路部17Dからは、入射導波路部17Cに入射された光とは異なる強度の光が出射する。すなわち、電圧印加部14から上部電極群20と下部電極13との間に電圧が印加されると、印加された電圧に応じて光の強度が連続的に変調される。
ここで、本実施の形態の導波路装置10においては、上記説明したように、電圧印加部14から上部電極群20の電極対毎には、互いに逆極性で且つ同じ電圧値の電圧が、同一時期に同一時間継続して印加される。このため、上部電極群20と上部クラッド層18との界面と、下部電極13と下部クラッド層21との界面とにおける空間電荷蓄積によって、上部電極群20と下部電極13との間の空間における空間電荷蓄積が生じるが、この電荷の蓄積量が対を成す上部電極間において同一になることから、アーム部17A及びアーム部17Bにおける位相差が均一に保たれ、DCドリフトの発生が抑制される。
一方、本実施の形態のように、電圧印加部14から上部電極群20の電極対毎に、互いに逆極性で且つ同じ電圧値の電圧を同一時期に同一時間継続して印加しない場合には、上部電極群20と上部クラッド層18との界面と、下部電極13と下部クラッド層21との界面とにおける空間電荷蓄積によって、上部電極群20と下部電極13との間の空間における空間電荷蓄積が生じ、この電荷の蓄積量が、対をなす上部電極間で異なるために、DCドリフトが発生すると考えられる。
しかしながら、本実施の形態にように、電圧印加部14から上部電極群20の電極対毎に、互いに逆極性で且つ同じ電圧値の電圧を同一時期に同一時間継続して印加すると、上部電極群20の対を成す上部電極の、一方の上部電極と下部電極13との間の空間電荷蓄積量と、他方の上部電極と下部電極13との間の空間電荷蓄積量と、の差が抑制される。
これは、対を成す上部電極間の形状、材質、及び上部クラッド層18に接する領域の面積が同じであり、この対を成す電極間に同一の電圧値の電圧が同時期に同時間継続して印加されるので、対を成す各々の上部電極と、下部電極13との間に形成される内部電界の強度が同じとなるため、同じ量の空間電荷が蓄積されると考えられる。そして、さらに、対を成す各々の上部電極には、互いに逆極性の電圧が印加されるので、対を成す各々の上部電極と、下部電極13との間に蓄積される空間電荷が相殺されると考えられる。このため、DCドリフトの発生が抑制されると考えられる。
また、本実施の形態の導波路装置10においては、導波路素子12の導波路層16及び光導波路17に有機非線形材料を用いていることから、このように、有機非線形材料を用いた場合においても、上部電極群20の対を成す上部電極の、一方の上部電極と下部電極13との間の空間電荷蓄積量と、他方の上部電極と下部電極13との間の空間電荷蓄積量と、に差が生じる事が抑制されるため、DCドリフトの発生が抑制されると考えられる。
なお、本実施の形態では、光導波路17は、リッジ型である場合を説明したが、図4(A)に示すように、光導波路17が、下部クラッド層21側へ突出した形状の逆リッジ型に構成してもよい。
この逆リッジ型の光導波路17の形成方法としては、予め、下部クラッド層21へ、反応性イオンエッチング(RIE)、湿式エッチング、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりパターニングを行い、該下部クラッド層21を加工してトレンチを形成し、その上に導波路層16を形成することによって、逆リッジ型導波路が形成される。
光導波路17は、逆リッジ型の構造をとることにより、上部クラッド層18と下部クラッド層21との屈折率差を大きく取ることが可能となる。従って、電極による吸収損失を抑制し、かつ素子の実効電界を強めることが可能となることから、駆動電圧の低減をはかることが可能となる。
また、本実施の形態では、光導波路17は、リッジ型である場合を説明したが、図4(B)に示すように、光導波路17は、上部クラッド層18側及び下部クラッド層21側の双方へ突出した形状の正逆リッジ型に構成してもよい。
この正逆リッジ型の光導波路17の形成方法としては、予め、下部クラッド層21へ、反応性イオンエッチング(RIE)、湿式エッチング、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法によりパターニングを行い、該下部クラッド層21を加工してトレンチを形成し、その上に導波路層16を形成し、さらに光導波路17をトレンチと同じパターンを有するリッジを、ドライエッチング法で等の方法により形成することで、正逆リッジ型の光導波路17を形成することによって、形成される。
光導波路17を正逆リッジ型とすると、光の閉じ込めの形状が上下で対称となることから、入出力用の光ファイバとの結合に有利となるばかりでなく、上下方向のモード径を大きくすることが可能となり、光入出力時の結合損失を低減できると言う効果が得られる。
なお、本実施の形態では、導波路層16に形成する光導波路17は、マッハツェンダー型である場合を説明したが、光導波路17の形状はこのような形状に限られず、光導波路17がX字に交差した形状のX交差型や、多モード型(図5参照)、あるいはそれらの組み合わせの導波路パターン等が挙げられ、マッハツェンダー型に限られない。
例えば、光導波路17を多モード型に構成した場合には、図5に示すように、導波路層16に形成する導波路19を、入射導波路部19Aと、多モード導波路19Bと、出射導波路部19C及び出射導波路部19Dと、から構成すればよい。
そして、上部電極群20の内の対をなす上部電極は、下部電極13との間に電界が形成されたときに、その形成された電界内に位置する光導波路17の領域を伝播する光の位相を変化させるとともに、光導波路17に入射した光の強度が変調されて出射されるような位置に設けられていればよい。
例えば、図5に示すように、多モード導波路19Bに対応する位置で、且つ入射導波路部19Aから出射導波路部19C及び出射導波路部19Dに向かって光が伝播する方向に交差する方向の中心線を挟んで両側に、対を成す上部電極の一方(上部電極20A)及び他方(上部電極20B)が設けられた構成であればよい。
以下、発明の詳細を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。言うまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
はじめに、非線形光学材料の溶液として、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ポリスルホン、およびDR1を、前記すべての材料の総質量を100質量部としてそれぞれ、77質量部、9質量部、10質量部、および4質量部からなる溶液(以下、PS溶液)を調製した。この溶液から作製される非線形光学材料のNμ/Mはおよそ0.007であった。該材料の薄膜における屈折率をプリズムカップリング法により測定したところ、1.63であることを確認した。
シリコン基板(直径:50.8mm、厚さ:0.5mm)表面に、スパッタ法により下部電極としてAuを厚さ0.3μm設けたものを、基板として用いた。次いで、この下部電極表面に、下部クラッド層として屈折率1.54のアクリル系紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して3.5μm厚の樹脂硬化膜を作製した。
続いて、導波路層として上記調整した非線形光学材料の溶液を塗布し、120℃の環境に60分放置することで硬化させ、フォトリソグラフィに続くリアクティブイオンエッチング(RIE)によりマッハツェンダー型の導波路を形成した。導波路層の膜厚は3.3μmであり、導波路のリッジ高さは0.7μm、幅は5.1μmであった。
次に、この形成した導波路層上に上部クラッド層となる屈折率1.54の上記アクリル系紫外線硬化樹脂を塗布し、上記下部クラッド層と同様にして紫外線を照射して硬化させて、3.5μ厚の樹脂硬化膜からなる上部クラッド層を作製した。
この上部クラッド層上に、リフトオフ時の溶剤による道波路層の溶解を防止するための保護層として、Tiをスパッタ法により30nm積層した。
この保護層上に、レジストを塗布、フォトリソグラフィにより上部電極のパターンを形成し、金をスパッタ、リフトオフすることで上部電極を形成した。
このとき、マッハツェンダー型に形成した導波路の2つのアーム部(図1では、アーム部17A及びアーム部17B)に対応する領域各々に、図1の上部電極20A及び上部電極20Bと同様に、上部クラッド層(及び保護層)に面した領域が、10μm×20000μmの長方形状であり、且つこの領域の面積が0.002cmであり、厚みが1.0μmの直方体状の上部電極を1つずつ形成し、これらを対となる上部電極として定めた。
なお、「2つのアーム部に対応する領域」とは、マッハツェンダー型に形成した導波路の2つのアーム部(図1では、アーム部17A及びアーム部17B)の各々を、複数の層からなる導波路素子の積層方向へ延長した領域と、上部クラッド層18の表面または上記保護層の表面との交差する領域を示している。
このようにして得られたウェハーを、140℃の環境下に保持し、ワイヤ電圧4.5KV、グリッド電圧1KVのコロナポーリング装置を用いて、30分間ポーリング処理を施すことにより、配向処理を行った。
このようにして形成されたウェハー状の積層体をダイサーで切出すことによって、長手方向の長さ(光導波路の光の伝播方向の長さ)が35mmであり、且つ、幅方向の長さが
8mmであり、且つ厚みが0.51mmのチップを得た。
上記調整した導波路素子について、光導波路の光入射側から光ファイバを介して波長1.55μmのレーザ光を1mWの強度で入射させると共に、70℃の環境下で、この導波路素子の上部電極群の対を成す上部電極20Aと上部電極20Bの内の、上部電極20Aと下部電極との間に、周波数が10Hzであり、最大値が+10V、及び最小値が−10Vの三角波を印加すると共に、上部電極20Bと下部電極との間に、該対をなす上部電極20Aと下部電極との間との間に印加する三角波の位相を90°ずらした三角波を同時に印加した。位相を90°ずらすことにより、20Aと20Bに印加される電圧は常に、値が同一で逆極性のものが印加された状態となる。
そして、この電圧印加開始直後(電圧印加開始から5分後)における光導波路から出射される光の出力変調波形と、電圧印加開始から500時間経過後における光導波路から出射される光の出力変調波形と、から、電圧変化量を算出し、ドリフト量として測定した。
詳細には、この電圧印加開始直後(電圧印加開始から5分後)と、電圧印加開始から500時間経過後、の双方における、出射光を、光ファイバを介して、光パワーメーター(アンリツ社製、MT9812B+MU931241A)により計測し、印加電圧対出射光強度の関係から、変調特性曲線を求め、この特性より導き出される半波長電圧:Vπおよび最大光出力電圧:Vtを、各測定時間ごとに求めた後、ドリフト量:ΔΦを下記式(1)のように定義して求めた。なお、下記式(1)中、Vt1は、電圧印加開始直後における最大光出力電圧を示し、Vt2は、電圧印加開始から500時間経過後における最大光出力電圧を示す。
ΔΦ=ΔV/Vπ=(Vt1−Vt2)/Vπ ・・・・・ (1)
本実施例1では、電圧印加開始から5分後における最大光出力電圧を基準として、電圧印加開始から500時間経過後におけるドリフト量:ΔΦは、
0.8radであった。
(比較例1)
実施例1で調整した導波路素子について光導波路の光入射側から光ファイバ
を介して波長1.55μmのレーザ光を1mWの強度で入射させると共に、70℃、の環境下で、この導波路素子の上部電極群の対を成す上部電極20Aと上部電極20Bの内の、上部電極20Aと下部電極との間に周波数が10Hzであり、最大値が+10V、及び最小値が−10Vの三角波を印加するとともに、上部電極20Bと下部電極との間には電圧を印加しないで、変調特性曲線の測定を実施した。
そして、この電圧印加開始直後(電圧印加開始から5分後)における光導波路から出射される光の出力変調波形と、電圧印加開始から500時間経過後における光導波路から出射される光の出力変調波形と、から、電圧変化量を算出し、実施例1と同様にしてドリフト量を測定したところ、本比較例1では、電圧印加開始から5分後における最大光出力電圧を基準とした、500時間経過後における電圧変化量から求めたドリフト量:ΔΦは、73.5radであった。
このように、比較例1では、実施例1に比べてDCドリフト量が大きく、半波長電圧の数十倍のドリフト量であり、従来用いられているドリフト補償用のDC電源回路を用いても、長時間の動作補償をすることは困難であると考えられる。
一方、実施例1では、比較例1に比べて二桁小さいDCドリフト量に抑制することが可能となることから、安定して動作可能な導波路装置を得ることが可能となる。
本実施形態に係る導波路装置の構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る導波路装置の図1に示す斜視図のA−A’断面図である。 本実施形態に係る導波路装置における光導波路と上部電極との位置関係の一例を示す模式図である。 (A)(B)本実施形態に係る導波路装置における図1に示す斜視図のB−B’断面図に相当する模式図であり、図1とは異なる形態を示す模式図である。 本実施形態における導波路装置における図1及び図2に示す形態とは異なる態様を示す模式図である。
符号の説明
10、11 導波路装置
27 基板
12、23 導波路素子
13 下部電極
21 下部クラッド層
14A、14B、14 電圧印加部
15A、15B 保護層
17、19 光導波路
18 上部クラッド層
20A、20B、20C、20D、20E、20F 上部電極
20 上部電極群

Claims (7)

  1. 有機非線形光学材料を含む光導波路と、
    前記光導波路の一方の面側に配される第1の電極と、
    前記光導波路の他方の面側に配される複数の第2の電極と、
    前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対に対して値が同一で且つ逆極性の電圧を所定時間印加する電圧印加手段と、
    を備えた導波路装置。
  2. 前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対は、互いに前記第1の電極と対向する領域における形状及び面積が同じであることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置。
  3. 前記光導波路は、マッハツェンダー型であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置。
  4. 前記光導波路は、多モード干渉器型であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置。
  5. 前記光導波路は、前記第1の電極側または前記第2の電極側に向かって凸状に突出した構造であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置。
  6. 前記光導波路は、前記第1の電極側及び前記第2の電極側の双方側に向かって凸状に突出した構造であることを特徴とする請求項1に記載の導波路装置。
  7. 有機非線形光学材料を含む光導波路と、
    前記光導波路の一方の面側に配される第1の電極と、
    前記光導波路の他方の面側に配される複数の第2の電極と、
    備えた導波路素子の、前記複数の第2の電極のうち対をなす電極対に対して値が同一で且つ逆極性の電圧を所定時間印加して駆動する導波路素子の駆動方法。
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