続いて、本発明の一実施形態である踏切構造、並びに、当該踏切の設置に使用される踏切設置装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右の位置関係は、踏切構造を通常に設置した姿勢を基準とする。
図1において、1は本実施形態の踏切構造である。踏切構造1は、道床Gを覆うように配される踏切板2,3と、支持部材50,100とを用いて敷設されるものである。踏切板2は、図2に示すように、道床G上に一定間隔で複数配置されたまくら木5上にレール6,6(他部材)を平行に敷設して形成される軌間内に固定されたものである。また、踏切板3は、レール6,6の外側に敷設されたものである。踏切板2,3は、いずれもレール6,6の延びる方向に短手方向が向き、長手方向がレール6,6に対して交差するように敷設される。
踏切板2は、図1や図2等に示すように、レール6,6の間(軌間内)に設置されるものである。踏切板2は、図3や図4に示すように、平板状の天面板10(天板部)の裏面、すなわち敷設時に道床G側を向く面に梁部材11,11が取り付けられた構成とされている。
天面板10は、所定方向に向けて埋設した長繊維で補強した樹脂である、いわゆる繊維強化樹脂により形成されたものであり、例えばガラス長繊維を所定方向に引き揃えて埋設した熱硬化性樹脂発砲体である合成木材(例えば、積水化学工業株式会社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」など)等を用いて形成される。合成木材は、長年にわたって風雨にさらされる環境下に配置されても腐食などの劣化がおこらないため、風雨にさらされる天面板10の構成材料として好適に使用できる。
天面板10は、平面視が略長方形であり、その長手方向両端部に厚み方向に貫通したボルト挿通孔10aが設けられている。ボルト挿通孔10aは、天面板10に梁部材11を固定するためのボルトを天面板10の表面側から挿通するための孔である。ボルト挿通孔10aは、踏切構造1の敷設時にレール6や、この脇に存在する路面の端部(以下、路面端部7と称す)に沿って伸びる平面板10の短辺方向に、一列に並べて形成されている。
梁部材11は、天面板10の裏面側に取り付けられる部材である。梁部材11は、断面形状が略「L」字形のアングル材(山形鋼)によって構成される梁本体12に対して、複数のL型固定板13(軸受体)を固定した構造とされている。梁本体12は、天面板10の短辺の長さのn倍(nは1以上の自然数)の長さを有する。本実施形態において、梁本体12の長さは、天面板10の短辺の長さの3倍の長さとされている。
梁本体12は、固定部15と、垂下部16とを有する。固定部15は、天面板10の裏面に面接触するように取り付けられる部位であり、複数の挿通孔15aを有する。挿通孔15aは、梁本体12を天面板10の短辺に沿って配した際に、天面板10に設けられたボルト挿通孔10aに重なる位置に設けられている。垂下部16は、固定部15に対して略垂直に折れ曲がった部分である。梁本体12は、天面板10の長手方向両端部に固定部15を重ね、天面板10のボルト挿通孔10aと挿通孔15aとにわたって挿通されたボルトにナットを装着することにより、垂下部16が天面板10の裏面から略垂直下方(道床G側)に垂下するように取り付けられる。
L型固定板13は、平面視が略「L」字形の平板によって構成されている。L型固定板13は、平面視した際の縦横の長さ(図3の状態において上下方向および左右方向の長さ)が、梁本体12の固定部15および垂下部16の長さと略同一の軸挿通部17と、軸挿通部17から横方向(図3の状態において左方向)に膨出した張出部18とを有する。L型固定板13は、図3や図4に示すように、平面視で軸挿通部17の中央部に相当する位置に後述する連結軸19(軸体)を挿通するための軸挿通孔20が設けられている。また、張出部18は、縦方向(図3に示す姿勢において上下方向)の長さが、軸挿通部17の縦方向の長さよりも短い。張出部18は、図3に示すように、平面視した状態において、軸挿通部17に対して縦方向(図3では下方)に偏在している。
L型固定板13は、梁本体12の長手方向両端部および中間部分に取り付けられている。さらに具体的には、梁部材11は、図4に示すように3枚の天面板10をその長辺同士が突き合うように並べられた状態で、梁本体12が各天面板10の短辺に沿うように配され、3枚の天面板10に跨って固定される。L型固定板13は、このようにして天面板10に対して梁本体12を装着した際に、各天面板10の短辺の末端に相当する位置に並行に並べられ、取り付けられている。
L型固定板13は、軸挿通部17が固定部15および垂下部16に対して略垂直となるように固定されている。また、L型固定板13は、平面視した際に、膨出部18が固定部15からはみ出すように固定されている。すなわち、L型固定板13は、固定部15の2辺が固定部15および垂下部16に対して垂直に固定されており、膨出部18が固定部15から張り出している。そのため、固定部15の端部と天面板10の短辺とが揃うように配して梁部材11を天面板10の裏面側に固定すると、図3や図4に示すように天面板10の長手方向両端部から複数の張出部18がはみ出した状態になる。張出部18のうち、天面板10の端部からはみ出した部分には、合成木材によって形成された短冊状のカバー部材25が踏切板2の上方から被さるように装着されている。
踏切板3は、レール6の外側(軌間外)に設置されるものであり、上記した踏切板2と大部分が同一の構成とされている。さらに具体的には、踏切板3は、3枚の天面板30(天板部)をこれらの裏面に固定された梁部材31,32(軸受部)によって一体化したものである。天面板30は、上記した天面板10と同様に合成木材によって構成されている。天面板30は、天面板10よりもサイズが小さく、平面視で略長方形あるいは正方形の形状とされている。本実施形態では、天面板10が略長方形とされており、天面板10の短辺がレール6に沿うように敷設される。天面板30には、梁部材31,32を固定するためのボルト挿通孔30aが複数設けられている。
梁部材31,32は、図3や図5に示すように天面板30の裏面側に取り付けられる部材である。梁部材31,32は、断面形状が略「L」字形のアングル材(山形鋼)によって構成される梁本体33,35(軸受本体)に対して、方形固定板34(軸受体)を固定した構造とされている。梁本体33は、梁本体12と同様に、天面板30の短辺の長さの約3倍の長さとされている。また、梁部材32は、梁本体33よりも短く、天面板30の短辺の長さの約2倍の長さとされている。
梁本体33,35は、天面板30の裏面に面接触するように固定される固定部36,37と、これに対して垂直な垂下部38,39とを有する。固定部36,37には、天面板30の上方から差し込まれるボルトを挿通するための挿通孔(図示せず)が設けられている。梁本体33は、3枚の天面板30の短辺全体にわたって跨るように固定される。また、梁本体35は、3枚の天面板30のうち中央に位置する天面板30を中心として、これに隣接する2枚の天面板30に略均等に跨るように固定される。
方形固定板34は、平面視した際の縦横の長さ(図3の状態において上下方向および左右方向の長さ)が、梁本体33,35の固定部36,37および垂下部38,39の長さと略同一とされている。方形固定板34の略中央部には、軸挿通孔40が設けられている。
方形固定板34は、梁本体33,35の長手方向両端部および中間部分に、固定部36,37および垂下部38,39に対して略垂直になるように固定されれている。さらに具体的には、踏切板3は、3枚の天面板30をその長辺同士が突き合うように並べ、天面板30の長手方向両端部に、天面板30の短辺に沿って配された梁部材31,32で連結して構成される。梁部材31の方形固定板34は、このようにして天面板30を連結した際に各天面板10の短辺の末端に相当する位置に配され、取り付けられている。梁部材32の方形固定板34は、梁本体35の長手方向両端部と、略中央部に固定されている。
ここで、上記したように、梁本体35は、その長さが天面板30の短手方向の長さの約2倍である。また、梁部材32は、梁本体35が中央に位置する天面板30と、これに隣接する2枚の天面板30に略均等に跨るように固定される。そのため、梁本体35を天面板30の裏面側に固定すると、3枚の方形固定板34がそれぞれ3枚の天面板30の短辺方向の略中央部に位置する。
支持部材50は、全体が金属製であり、図6に示すようにベース部51、立設部52(軸挿通部)および支持部53を有する本体部55に2つの挟持部材56を装着する構成となっている。ベース部51は、外観が略直方体状であり、天面57の長手方向中央部に段状のレール装着部58が形成されている。
レール装着部58は、図7(c)に示すように、天面57側から観察すると、略平行四辺形状の形状を有しており、挟持部材56が装着される装着部60と、装着部60よりもさらにベース部51の底面61側に窪んだ凹部62を有する。装着部60は、ベース部51の側面63,64に対して傾斜した傾斜側面65を有する。また、装着部60には、ベース部51の天面57側から底面61側に向けて貫通し、挟持部材56を装着するためのネジ軸67を挿通する長孔66が設けられている。ベース部51の底面61側には、長孔66に挿通されるネジ軸67の頭部67aを収納する頭部収納部69が設けられている。頭部収納部69は、ネジ軸67の頭部67aが装着されると、この頭部67aをしっかりと保持し、ネジ軸67の回転を阻止する。
立設部52は、図6や図7等に示すようにベース部51に対して垂直に立ち上がる壁状の部位であり、ベース部51の側面68側に固定されている。また、立設部52には、ベース部51の側面68,70と平行な側面72,73間を貫通する軸挿通孔74を有する。軸挿通孔74は、踏切板2,3の固定用の連結軸19,21を挿通するためのものである。
支持部53は、ベース部51の両側面63,64に対して平行で、立設部52の側面72,73に対して垂直な壁面である。支持部53は、立設部52に対して側面72側から側面73側に向かう方向、あるいはその逆方向に作用する外力を支持するものであり、支持部材50の本体部55全体の剛性を向上させるものである。
挟持部材56は、図6に示すように、平面視が略台形状の部材であり、その中央部に天面85側から底面86側に貫通し、ネジ軸67を挿通するための貫通孔87を有する。また、挟持部材56の底面86側には段部88が設けられている。段部88は、レール6の底面部6bの端部に面接触する部分である。挟持部材56は、段部88に対向する側面90が本体部55の装着部60を構成する傾斜側面65に沿うように装着される。側面90は、段部88側の側面91に対してやや傾斜しており、装着部60の傾斜側面65に沿う形状となっている。
支持部材50は、図1や図8に示すように、ベース部51がレール6の底面部6bの下方に潜り込むように設置される。本体部55は、図8等に示すように、立設部52が上方を向き、ベース部51の長手方向中央部にレール6の底面部6bが位置するように設置される。
支持部材100は、まくら木5に固定して使用されるものである。支持部材100は、鋼材によって構成され、図9等に示すようにまくら木5に固定される水平部101(ベース部)とこれに対して垂直に立ちあがる立設部102、水平部101および立設部102の双方に対して垂直に立ち上がる軸受部103(軸挿通部)とが一体化されたものである。
支持部材100は、水平部101がまくら木5の長手方向両端部の上面5t(レール6側を向く面)に面接触し、立設部102および軸受部103が上方に向けて立ち上がるように固定される。また、支持部材100は、立設部102がまくら木5の長手方向外側に向くように固定される。立設部102のうち、水平部101の突出方向とは逆側の面には、縁材105がボルト等を用いて固定されている。
縁材105は、ステンレスなどの金属製で、長尺の部材であり、その長さは踏切板2や踏切板3の幅、すなわち天面板10,30の短辺の長さの約3倍の長さとされている。縁材105は、図9に示すように、縁水平部106と縁垂直部107とからなる断面形状が略「T」字形の部材である。縁水平部106は、踏切構造1の敷設時に、踏切板2,3の脇に存在し、踏切板2,3の端部と路面端部7とにわたって覆い被さる部分である。縁垂直部107は、支持部材100の立設部102に取り付けられる部分であり、踏切構造1の敷設時に路面端部7と立設部102との間に挟まれる部分である。
軸受部103は、水平部101および立設部102の双方に対して垂直に拡がる面を構成するものである。軸受部103は、図9に示すように支持部材100を固定することにより、レール6の延びる方向に対して垂直な姿勢となる部分である。軸受部103には、連結軸22(軸体)を挿通可能な軸挿通孔108が設けられている。軸挿通孔108は、踏切板3の裏面に取り付けられた梁部材32の方形固定板34に設けられている軸挿通孔40と同程度の大きさの貫通孔である。軸挿通孔108は、軸挿通孔108と軸挿通孔40とにわたって連結軸22を挿通することにより、天面板30の表面と路面端部7の表面とが面一となる位置に設けられている。
続いて、本実施形態の踏切構造1の設置構造および設置方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。踏切構造1は、図1に示すように軌間内に踏切板2を設置すると共に、軌間外に踏切板3,3を敷設して構成されるものである。踏切板2,3は、それぞれ道床Gへの敷設前に図4や図5に示すように3枚の天面板10,30を並べ、これらを梁部材11や梁部材31,32を用いて連結した状態に準備される。
一方、図10に示すように、レール6,6やまくら木5には、踏切板2,3の敷設に先立って、踏切構造1の敷設位置にあわせて固定部材50や固定部材100が取り付けられる。さらに具体的には、本実施形態の踏切構造1では、図2に示すように、3本のまくら木5(以下、必要に応じて、まくら木5a,5b,5cと称す)に踏切板2,3が覆い被さり、まくら木5a,5b,5cが、各天面板10,30の略中央に来るように敷設される。固定部材50は、踏切板2,3をこのように敷設した場合に、各天面板10の両端部に相当する位置に取り付けられる。すなわち、固定部材50は、レール6,6の延びる方向に天面板10,30の幅(短辺の長さ)に相当する間隔で4つ並べて取り付けられている。換言すれば、固定部材50は、レール6の延びる方向に所定の間隔で敷設されているまくら木5,5の略中央位置に固定されている。
支持部材100は、図10に示すように、各まくら木5a,5b,5cの長手方向両端部に固定される。支持部材100は、水平部101が各まくら木5a,5b,5cの上面5tに面接触し、立設部102が木口面5eに沿って立ち上がるように固定される。これにより、支持部材100は、図9や図10(b)のように、軸受部103の軸挿通孔108が開口した面がレール6の延びる方向に対して垂直な姿勢となる。支持部材100の取り付けが完了すると、図11に示すように各支持部材100の立設部102にわたって縁材105が取り付けられる。
上記したようにして支持部材50,100が所定の位置に設置されると、予め準備された踏切板2,3が天面板10,30の裏面側、すなわち梁部材11や梁部材31,32が取り付けられた面を下方に向けた状態でレール6,6間あるいはレール6と路面端部7との間に嵌め込まれる。この際、踏切板2は、天面板10の短辺、すなわち梁部材11,11がレール6,6の延びる方向に沿う姿勢で嵌め込まれる。ここで、踏切板2は、踏切板2の長さ、すなわち天面板10の長辺方向両端部からはみ出しているL型固定板13,13の先端部同士の間隔がレール6,6の頭部6a,6aの間隔と略同一とされている。そのため、踏切板2は、図11に示すように、レール6,6の上方からまっすぐ下方に降ろすだけでレール6,6間(軌間内)に嵌め込むことができる。
レール6,6間に踏切板2を嵌め込むと、図2に示すように、各天面板10の短辺方向中央部の真下をまくら木5が横切り、梁部材11に取り付けられたL型固定板13の固定部15が支持部材50の立設部52の側面72あるいは側面73にほぼ面接触あるいは僅かに隙間を空けて対向した状態になる。このようにして踏切板2が軌間内に配されると、踏切板2の側方から、各支持部材50の立設部52に設けられた軸挿通孔74と、各固定部15に設けられた挿通孔15aとにわたって長尺の連結軸19,19が差し込まれる。連結軸19,19の末端には、図1や図8に示すようにナット120が装着され、軌間内への踏切板2の設置が完了する。
踏切板3についても、上記した踏切板2とほぼ同様にして敷設される。さらに具体的には、踏切板3は、天面板30の短辺がレール6の延びる方向に沿うと共に、図11に示すように天面板30の裏面側に固定されている梁部材31がレール6側を向き、梁部材32が路面端部7側を向く姿勢とされる。踏切板3は、天面板30の裏面(梁部材31,32の固定側の面)が道床G側を向く姿勢とされ、上方から嵌め込まれる。ここで、上記したように、支持部材100には、予め縁材105が取り付けられている。そのため、踏切板3は、図11に矢印で示すように、梁部材32が取り付けられている側の端部を僅かに下方に傾け、縁材105の縁水平部106の下方に押し込んだ後、梁部材31が取り付けられている側の端部を下方に押し込む。これにより、レール6とこれに対して並行に配された路面端部7との間(軌間外)に踏切板3が嵌め込まれた状態になる。
上記したようにして踏切板3が軌間外に配されると、踏切板2の場合と同様に、各天面板30の短辺方向中央部の真下をまくら木5が横切る状態になる。踏切板3の裏面側に固定された梁部材31に取り付けられている方形固定板34が、レール6に固定されている支持部材50の立設部52にほぼ面接触した状態あるいは僅かに隙間を空けて対向した状態になる。また、梁部材32に取り付けられている方形固定板34は、支持部材100の軸受部103にほぼ面接触した状態になる。
このようにして踏切板3がレール6と路面端部7との間に配されると、踏切板3の側方から、各支持部材50の立設部52に設けられた軸挿通孔74と、梁部材31に取り付けられた各方形固定板34に設けられた挿通孔40とにわたって長尺の連結軸21(軸体)が差し込まれる。これにより、踏切板3に対してレール6の延びる方向の両端側に配された支持部材50,50の立設部52,52から連結軸21の端部が突出した状態になる。連結軸21の両端部には、図1や図8に示すようにナット120が装着される。
また、まくら木5に固定されている支持部材100の軸挿通孔108と、踏切板3の裏面側に取り付けられた梁部材32の方形固定板34に設けられた軸挿通孔40には、踏切板3の側方から連結軸22が差し込まれる。連結軸22は、まくら木5a,5cに固定されている支持部材100,100の軸挿通孔108,108から突出した状態になる。連結軸22の両端部には、図3に示すようにナット120が装着される。これにより、軌間外への踏切板3の敷設が完了する。
上記したように、踏切構造1において、支持部材50は、ベース部51がレール6の下方をくぐるように配されており、道床Gから浮き上がらない。また、支持部材100は、まくら木5に対して固定されており、道床G側から浮き上がらない。本実施形態の踏切構造1では、踏切板2,3の裏面に固定された梁部材11や梁部材31,32に取り付けられた方形固定板34の軸挿通孔40と、道床Gから浮き上がらないように固定された支持部材50,100の立設部52に設けられた貫通孔74とにわたって長尺の連結軸19,21,22を挿通したものであるため、敷設状態において踏切板2,3が浮き上がらない。また、踏切構造1は、踏切板2,3を軌間内外の所定の位置に配して位置合わせをし、側方から連結軸19,21,22を抜き差しするだけで、踏切板2,3の敷設や撤去を行える。
また、上記した踏切構造1は、支持部材50の立設部52や支持部材100の軸受部103が、踏切板2,3に固定されている梁部材11,31,32のL型固定板13や方形固定板34に対して隙間なく配され、ほぼ面接触した状態となる。また、上記したように支持部材50,100は、それぞれレール6やまくら木5に対して相対移動不可能なように固定されている。そのため、上記した踏切構造1では、支持部材50や支持部材100が踏切板2,3がレール6の延びる方向にずれるのを防止するストッパーとしての機能も発揮することができる。
上記した踏切板2,3は、いずれも3枚の天面板10,30をレール6の延びる方向に並べ、梁部材11や梁部材31,32で連結し、一体化したものであるため、天面板10や天面板30が位置ズレを起こさない。
また、上記したように、踏切板2,3は、天面板10,30を踏切構造1の表面側から差し込まれたボルトによって梁部材11,31,32の梁本体12,33,35に固定したものである。そのため、踏切板2,3は、表面側からボルトを着脱するだけでメンテナンス等が必要な天面板10,30のみを取り外したり固定したりすることができる。
踏切構造1では、まくら木5に固定されている支持部材50や、踏切構造1の中間部分にある支持部材100が踏切板2,3の下方に隠れる。そのため、踏切構造1は、敷設時の見栄えがよい。なお、上記実施形態では、踏切構造1に対してレール6の延びる方向両端側に隣接する位置に配される支持部材50が踏切板2,3の外側に露出した構成であったが、これらの支持部材50についても踏切板2,3の下方に隠れる位置に配した構成としてもよい。
上記実施形態において、踏切板2,3は、いずれも合成木材製の単板を天面板10,30とするものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、天面板10の表面側あるいは裏面側に、さらに別の合成木材製の板材を積層して一体化したものや、合成木材とは異なる材質の板体で補強したものであってもよい。さらに具体的には、踏切板2,3は、例えば合成木材が粉状やチップ状に粉砕されたものを圧縮成型した合成木材に由来する材質で作成された板体や、一般的にFRP(Fiberglass Reinforced Plastics)と称される繊維強化プラスチック、ポリカーボネート等の樹脂板、アルミニウム、鉄等の金属板、いわゆる石膏ボードや石綿ストレート板等を用いて作成したり、これらや合成木材を複合的に組み合わせて構成されるものであってもよい。また、天面板10,30は、例えば図12に示す天面板130(天面部)のように、裏面側に格子状の梁131を固定し、補強したものであってもよい。
踏切板2,3は、天面板10,30の裏面側に鋼材製の梁部材11や梁部材31,32を固定したものであるため、天面板10,30の強度が高い。そのため、上記した踏切は、天面板10,30を薄肉化しつつ、踏切構造1に必要とされる強度を確保することができる。そのため、上記した構成によれば、踏切構造1を構成する踏切板2,3の製造コストを最小限に抑制しつつ、踏切板2,3の軽量化を図ることができる。そのため、踏切構造1は、踏切板2,3を容易に敷設できる。
上記したように、踏切構造1は、天面板10,30が軽量であるため、踏切板2,3の浮き上がりが懸念される。しかし、踏切構造1は、踏切板2,3を構成する各天面板10,30が梁部材11,31,32を構成する梁本体12,32,35によって連結されており、踏切板2,3全体としてある程度の重量が確保されている。さらに、踏切構造1では、梁本体12,32,35に固定されているL型固定板13や方形固定板34の軸挿通孔20,40と、レール6やまくら木5に固定されている支持部材50,100とにわたって連結軸19,21,22が差し込まれている。そのため、踏切構造1は、踏切板2,3の浮き上がりが起こらない。
上記した踏切構造1では、天面板10,30の表面側に設けられたボルト挿通孔10a,30aから挿通されたボルトを用いて天面板10,30に梁部材11や梁部材31,32を固定する構成とされている。そのため、踏切板2,3を構成する3枚の天面板10,30の一部が摩耗する等して交換しなければならない事態が生じても、天面板10,30の表面側からボルトを着脱して交換しなければならない天面板10,30のみを交換することができる。そのため、踏切構造1は、天面板10,30の交換を伴うメンテナンスを容易に実施することができる。
ここで、上記した踏切構造1では、踏切板2や踏切板3に設けられた梁部材11や梁部材31,32の軸挿通孔20,40と、固定部材50,100に設けられた軸挿通孔74,108に長尺の連結軸19,21,22を差し込んで連結するものである。上記した構成では、梁部材11,31,32が3枚の天面板10,30に跨るように固定されているため、踏切板2,3の撓み等が起こりにくく、軸挿通孔20,40と軸挿通孔74,108との位置合わせを比較的容易に実施できる。しかし、踏切板2,3が大判化して撓む等すると、軸挿通孔20,40と軸挿通孔74,108の位置がずれてしまい、踏切連結軸10,21,22を旨く差し込めなくなる可能性がある。
そこで、かかる問題が懸念される場合、踏切構造1は、例えば支持部材50や支持部材100によって固定されている部分の一部を図13に示すような固定構造に代え、踏切板2,3の敷設時に踏切板2,3を下方から支えることが可能な構成としてもよい。
さらに具体的に説明すると、図13は、上記した支持部材100に代わって、図13(a)に示すような支持部材135を用いて踏切板3を敷設する構造を例示したものである。支持部材135は、図示するように支持部材100と同様に、水平部101と立設部102とが略直交し、断面形状が略L字形の部材であり、水平部136a(ベース部)と立設部136bとが突き合わされた角の部位にブロック状の支持部136cが設けられた構成である。
図13に示す固定構造では、天面板30の裏面側に梁部材32を取り付ける代わりに、梁部材137が取り付けられる。梁部材137は、梁部材32を構成する梁本体35に相当する部材であり、固定部137aと垂下部137bとが直交した断面形状が略「L」字形の部材である。梁部材137は、ボルト等を用いて垂下部137bが天面板30の側面と略面一となり、固定部137aが天面板30の裏面側に面接触するように固定される。また、垂下部137bには、断面形状が略「L」字形の縁部材138が路面端部7に被さるように固定される。
上記したように、支持部材135および梁部材137を用いて天面板30を固定する構成とすれば、支持部136上に梁部材137の垂下部137aを載せることにより天面板30の設置位置の高さ調整が容易に行える。そのため、図13に示すような構成とした場合は、踏切板2,3の撓み等が発生すると想定される場合であっても、軸挿通孔20,40と軸挿通孔74,108の位置調整を容易かつ正確に実施でき、踏切板3の他端側において踏切連結軸21を容易に抜き差しすることができる。
図13に示す例では、梁部材32の代わりに梁部材137を用いて踏切板3を敷設する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば踏切板2や踏切板3の固定構造においてレール6側に配される梁部材11,31に代えて梁部材137を採用し、梁部材137の取り付け位置にあわせてまくら木5に支持部材135を固定した構成としてもよい。
図13に示す例では、支持部材135や梁部材137を用いて踏切板2,3の端部を支持する固定構造を例示したが、例えば図14に示すような構造を採用したものであってもよい。さらに具体的に説明すると、図14に示す例で採用される支持部材140は、平面視した際の形状が略「U」字形となるように折り曲げられたU型ネジ軸141と、断面形状が略「U」字形の固定部材142とを組み合わせて構成される。U型ネジ軸141は、まくら木5の路面端部7側の端部に取り付けられる。U型ネジ軸141は、まくら木5の下方をまくら木5の短辺方向(上面5tに敷設されるレール6の延びる方向)に横切り、ネジ溝が設けられた先端部分がまくら木5の表面側に向けて立ち上がるように取り付けられる。すなわち、U型ネジ軸141は、まくら木5の下方をくぐり、上方に立ち上がるように装着される。
一方、固定部材142は、固定面142aと、これに対して垂直に立ち上がる立設面142b,142cを有する。固定部材142は、固定面142aをまくら木5の表面に面接触させ、固定面142aに設けられた2つの軸挿通孔142d,142dにまくら木5に装着されたU型ネジ軸141の先端部分を差し込み、これにナット143を装着することによりまくら木5に対して固定される。固定部材142が固定されると、立設面142b,142cの一方(図14に示す例では立設面142b)がまくら木5の木口面5eに沿って立ち上がった状態になる。
まくら木5の木口面5eに沿って立ち上がる立設面142bには、縁部材138が取り付けられる。これにより、縁部材138によって路面端部7が覆われ、保護された状態になる。
図14に示す例において、梁部材137が予め固定部材142に対して固定される。梁部材137は、固定部137aが固定部材142の固定面142aに対して並行になるように垂下部137bが立設面142cに固定される。これにより、梁部材137は、固定部137aが道床Gやまくら木5に対して略水平であり、レール6や路面端部7に沿って延びた状態で固定される。
図14に示すように、支持部材140と梁部材137とを用いて天面板30を固定する構成とすれば、予め支持部材140側に固定された梁部材137に対して天面板30を載せて固定することにより、天面板30の設置位置の高さ調整が容易に行える。そのため、図14に示すような構成とした場合についても、軸挿通孔20,40と軸挿通孔74,108の位置調整を容易かつ正確に実施でき、踏切板3の他端側(レール6側)において連結軸21を容易に抜き差しすることができる。
また、図14に示す固定構造では、U型ネジ軸141をまくら木5の下方にくぐらせた構成であるため、天面板30に対して道床G側から浮き上がるような力が作用しても、天面板30や支持部材140が上方に浮き上がるのを確実に防止することができる。
図15に示すような固定構造を採用した場合についても、図13や図14に示す固定構造と同様に踏切板2,3の敷設時における高さ位置を簡単に実施することができる。例えば、図15に示す固定構造により天面板30の一端側(路面端部7側)を固定する場合は、支持部材145と、上記した梁部材137とが組み合わせて使用される。支持部材145は、図13に示す支持部材135と同様に、水平部145aと、これに対して垂直に立ち上がる立設部145bとを有する。そして、水平部145aの中間部分に、立設部145bに対して略平行に立ち上がる支持部145cを有する。
支持部材145は、図15に示すように、水平部145aがまくら木5の表面に面接触し、立設部145bがまくら木5の木口面5eに沿って立ち上がるように固定される。支持部145cには、上記した図14に示す固定構造の場合と同様に、予め梁部材137が支持部145cに取り付けられる。梁部材137は、レール6や路面端部7に沿って伸び、固定部137が上方を向く姿勢で固定される。このようにして支持部材145および梁部材137が設置された状態で、天面板30を梁部材137の上方に載せて固定することにより、天面板30の一端側がしっかりと支持された状態になる。そのため、図15に示すような固定構造を採用すれば、天面板30の設置高さを容易に調整でき、天面板30の他端側(レール6側)において連結軸21を容易に抜き差しすることができる。
図13〜図15に示す例では、支持部材135,140,145と梁部材137との組み合わせにより、天面板30の一端側を支持する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図16に示すように、支持部材150と縁部材151を組み合わせて天面板30の一端を支持する構成としてもよい。
さらに具体的に説明すると、図16に示す例では、水平部150a(ベース部)と立設部150bとが略直交した断面形状略「L」字形の支持部材150が使用される。支持部材150の立設部150bには、図示するように断面形状が略「ト」字形の縁部材151が取り付けられる。縁部材151は、踏切板3と同程度の長さを有する長尺状の部材である。縁部材151は、設置時に上下方向に延びる縁垂直部151aと、これに対して略垂直な縁水平部151bとを有する。縁水平部151bは、縁垂直部151aに対して片持ち状に固定されている。縁垂直部151aの端部(上端)から縁水平部151bまでの長さは、天面板30の厚みと同程度、あるいは、天面板30の厚みよりも縁部材152の厚み分だけ長い程度とされている。
図16に示す固定構造では、上記した図15に示す構造と同様に、支持部材150の立設部150bがまくら木5の木口面5eに沿って立ち上がるように固定される。立設部150には、上記した縁部材151の縁垂直部151aが面接触し、縁水平部151bが路面端部7から離れる方向に突出するように固定される。
図16に示す固定構造を採用する場合、天面板30は、上記したようにして設置された支持部材150の縁水平部151bの上方に載せられる。そして、天面板30の端部に断面形状略「L」字形の縁部材151が覆い被さるように装着される。天面板30および縁部材151は、上方から装着されるボルト等によって支持部材150に固定される。
上記したような固定構造を採用した場合についても天面板30の一端側(路面端部7側)をしっかりと支持することができる。そのため、図16に示す固定構造を採用すれば、天面板30のレール6側の端部に固定された梁部材31の軸挿通孔40と支持部材50の軸挿通孔74との位置調整を行うだけで連結軸21をまっすぐに差し込むことが可能となる。従って、図16に示すような固定構造によって踏切板2や踏切板3の一端を支持し、他端側を支持部材50等と連結軸19,21,22とを用いて固定する構成とすれば、踏切構造1を容易に敷設することができる。
また、踏切構造1は、上記した図13〜図16に示すような固定構造に代わって、図17に示すような固定構造により踏切板2や踏切板3の一端側を固定したものであってもよい。さらに具体的に説明すると、図17に示す固定構造は、上記した支持部材150と、梁部材137とを組み合わせて構成される。支持部材150は、図17に示すように水平部150aがまくら木5の表面に面接触し、立設部150bが上方に立ち上がるように固定される。また、梁部材137は、立設部150bに垂下部137が面接触し、固定部137が路面端部7側に突き出すように固定される。
路面端部7には、縁部材138の水平部138aがレール6側に突出し、路面端部7の表面と略面一となるように固定される。天面板30の端部を水平部138aの下方に差し込んだ後、天面板30を水平な姿勢にすると、図17に示すように梁部材137の固定部137の上方に天面板30が載った状態になる。この状態で縁部材138の上方から水平部138a、天面板30および梁部材137の固定部137aにボルトが差し込まれ、締結される。これにより、天面板30の一端側(路面端部7側)の端部が支持部材150と梁部材137を組み合わせて構成される支持構造によって支持された状態になる。そのため、図17に示す固定構造を採用することによっても、天面板30のレール6側の端部に固定された梁部材31の軸挿通孔40と支持部材50の軸挿通孔74との位置調整を容易に実施でき、連結軸21をまっすぐ差し込むことが可能となる。従って、図17に示す固定構造を採用すれば、踏切構造1を容易に敷設することができる。
また、図17に示す固定構造を構成する梁部材137や支持部材150は、いずれも断面形状が略「L」字形の部材を組み合わせて構成されるものであるため、構造が極めてシンプルである。そのため、図17に示すような固定構造を採用すれば、踏切構造1の敷設に要する労力や踏切構造1の敷設に要するコストを最小限に抑制することができる。
上記した各実施形態では、縁部材138等が天面板30等の端部に被さり、天面板30等の端部近傍の摩耗を防止可能な構成を例示したが、図17に示すように、帯状の鋼材等によって構成されるカバー部材153を別途固定する構成としてもよい。かかる構成とすることにより天面板30等を保護できる。また、カバー部材153を複数の天面板30等に跨るように装着すれば、踏切板3等の強度をより一層向上することができる。
上記実施形態の踏切構造1では、連結軸19,21を介して支持部材50と連結される梁部材11や梁部材31を構成する梁本体12,33として断面形状が略「L」字形の鋼材を採用したものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、梁部材11,31は、それぞれ梁本体12,33に代わって、例えば図18に示すように断面形状が略「コ」字形の鋼材により構成される梁本体160(軸受本体)を採用した構成としてもよい。かかる構成とする場合は、図18に示すように、支持部材50の立設部52に梁本体を被せることが可能となり、踏切板2,3がレール6や路面端部7の延びる方向に対して交差する方向(図18において左右方向)に位置ズレを起こすのを防止できる。
上記した踏切構造1は、レール6に対して踏切板2,3が略直交するように配されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図19に示す踏切構造170のように踏切板171,172がレール6に対して任意の角度θだけ傾くように設置されるものであってもよい。
さらに具体的に説明すると、踏切構造170を構成する踏切板171,172は、いずれも天面板175,176(天面部)の形状以外は上記した踏切板2,3と同様の構成とされている。すなわち、踏切板171は、図19や図20に示すように平面視が略平行四辺形の天面板175を3枚並べ、これらの裏側に固定された梁部材11によって連結したものである。梁部材11,11は、それぞれ踏切板171の両端部から梁本体12,12の一部が突出するように固定されている。
また、踏切板172についても、図19や図21に示すように、平面視が略平行四辺形の天面板176を3枚並べ、これらの裏面側に固定された梁部材31,32によって連結した構造とされている。梁部材31,32は、それぞれ踏切板172の両端部から梁本体33,35の一部が突出するように固定されている。
踏切構造170においても、上記した踏切構造1において採用されていた支持部材50,100を用いて踏切板171,172が固定される。すなわち、支持部材50は、図19に示すように踏切構造170を敷設した際に踏切板171に固定された梁部材11のL型固定板13が到来する位置において、レール6に対して支持部材50が固定される。また、支持部材100は、踏切板172を敷設した際に、梁部材31,32の方形固定板34が到来する位置に固定される。
上記したようにして支持部材50,10が取り付けられると、軌間内および軌間外において上方から踏切板171,172が嵌め込まれる。そして、各踏切板172に固定された梁部材11や梁部材31,32の軸挿通孔20,40と固定部材50,100側に設けられた軸挿通孔74,108との位置合わせがなされ、これらにわたって連結軸19,21,22が差し込まれる。連結軸19,21,22にナットを装着することにより踏切構造170の敷設が完了する。
上記したように、踏切構造170は、上記した踏切構造1と同様に、天面板175,176に取り付けられた梁部材11や梁部材32,32と、レール6やまくら木5に取り付けられた固定部材50,100とにわたって連結軸21,22を抜き差しするだけで、敷設あるいは撤去することができる。そのため、上記各実施形態に示す固定構造によれば、レール6に対して略直交する形態だけでなく、レール6に対して任意の角度θで傾いた踏切構造170をも敷設することができる。
上記した踏切構造170は、梁部材31,32が天面板175,176からはみ出す位置まで延長されたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図22に示すように天面板175,176からはみ出さない構成としてもよい。かかる構成とした場合は、図22に示すように支持部材50の一部あるいは大部分を天面板175,176の裏に隠れる位置に配することができ、踏切構造170を整然とした構成とすることができる。
上記した踏切構造1や踏切構造170では、図3や図18に示すように、踏切板2,3を構成する天面板10,30の裏面側に梁部材11,31,32等が固定されており、これらに固定されているL型固定板13や方形固定板34等と、支持部材50,100等とにわたって連結軸19,21,22等を挿通することにより天面板10や天面板30を固定するものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図23や図25に示す踏切構造180,190のように天面板10や天面板30の端部に略「コ」字状の梁部材181,192(端装着部材)や略「L」字状の梁部材191(端装着部材)を装着した構成としてもよい。
さらに具体的に説明すると、図23に示す踏切構造180は、図3に示す踏切構造1と大部分が略同一であるが、レール6,6間(軌間内)に配された3枚の天面板10の長手方向両端部10b,10bに梁部材181を装着した構成とされている。また、踏切構造180では、レール6,6の外側(軌間外)に配された3枚の天面板30の長手方向両端部30b,30bにも梁部材181が装着されている。
梁部材181は、図24(a)に示すように断面形状が略「コ」字型の鋼材によって構成されている。梁部材181の長さは、踏切構造180を構成する天面板10,30の枚数および幅(道床上への敷設時にレール6に沿って延びる辺の長さ)を考慮して調整されている。すなわち、梁部材181の長さは、天面板10,30の幅と枚数とを乗じた長さと略同一とされる。本実施形態の踏切構造180は、3枚の天面板10や天面板30を並べて構成されるものであるため、梁部材181の長さは天面板10,30の幅の3倍程度の長さとされている。
梁部材181は、設置時に水平状態になる天面181aと、これに対向し道床と略平行となる底面181bと、天面181aおよび底面181bをつなぎ両者に対して略垂直な鉛直面181cとを有し、鉛直面181cに対向する部分が開放された形状とされている。
底面181bには、略矩形の切り欠き181dが2カ所設けられている。切り欠き181dは、梁部材181を天面板10,30に装着する際に、梁部材181が天面板10,30の裏面側に固定されたL型固定板13や方形固定板34と干渉するのを防止するためのものであり、L型固定板13や方形固定板34の取り付け位置を考慮して設けられている。また、天面181aおよび底面181bには、複数の貫通孔181eが、梁部材181の長手方向に所定の間隔を開けて設けられている。底面181bに設けられた貫通孔181eは、天面181aに設けられた貫通孔181eの垂直下方に位置している。また、底面181bの外側(設置状態において下方側)には、ナット181fが溶接により固定されている。
梁部材181は、図23や図24(b)に示すように天面板10の端部10bと、天面板10の裏面側に取り付けられた梁部材11の固定部15とを天面181aおよび底面181bとで挟み込み、鉛直面181cが天面板10の端面10cに面接触あるいは対向するように装着される。また、図23に示すように、梁部材181をこのように取り付けた状態において、梁部材181の天面181a側から底面181b側に向けて、貫通孔181e,181e間を貫通するようにボルト182が挿通される。ボルト182は、梁部材181の天面181aおよび底面181bによって挟まれている天面板10や梁部材11の固定部15をも貫通するように挿通され、梁部材181の底面181b側に固定されているナット181fに装着される。
また、図24(b)に示すように、本実施形態の踏切構造180では、1本の梁部材181に対して3枚の天面板10が装着される。そのため、上記したようにして梁部材181に対して3枚の天面板10を装着すると、各天面板10が梁部材181によって連結された状態となる。
また、梁部材181は、図23に示すように、軌間外に設置される天面板30にも、天面板10に装着したのと同様にして取り付けられている。すなわち、梁部材181は、天面板30の端部30bと、天面板30の裏面側に取り付けられた梁部材33や梁部材35の固定部36,37とを天面181aおよび底面181bとで挟み込み、鉛直面181cが天面板30の端面30cに面接触あるいは対向するように装着されている。また、この状態において、梁部材181の天面181a側から底面181b側に向けてボルト182が装着され、ナット181fに装着されている。これにより、梁部材181は、天面板30や梁部材33,35と一体化されている。
図23に示すように、踏切構造180は、上記したようにして梁部材31,32や梁部材181を取り付けた天面板10,30を図3に示す踏切構造1と同様にして道床上に敷設することにより構成される。
上記したように、本実施形態の踏切構造180は、長尺状の梁部材181により天面板10,30の端部10b,30b、並びに、端面10c,30cを覆うように装着すると共に、支持部材50,100に対して一体的に取り付けた構成とされている。そのため、踏切構造180は、天面板10,30の端部10b,30bあるいはこの近傍をしっかりと固定できる。
また、本実施形態の踏切構造180では、1本の梁部材181に対して、レール6の延びる方向に並べて配された複数枚(3枚)の天面板10,30が装着され、一体化されているため、踏切構造180全体としての強度が高い。
さらに、本実施形態の踏切構造180では、天面板10,30の端部10b,30b近傍や、天面板10,30の端面10c,30cのように摩耗や破損の可能性が高いと想定される部分が梁部材181によって覆われ、保護されている。そのため、踏切構造180は、天面板10,30の交換やメンテナンスの頻度を最小限に抑制できる。
図25に示す踏切構造190は、図18に示した踏切構造1の変形例と大部分の構成が略同一である。しかし、踏切構造190は、踏切板3を構成する天面板30の裏面に固定されている梁部材31に、天面板30の裏面に沿って天面板30の端部30b側に向けて延出した延出部31aが設けられている点と、天面板10,30に梁部材191,192を装着している点で構成が異なる。
さらに具体的に説明すると、踏切構造190は、図18に示すように、軌間内に配された天面板10の長手方向両端部10b,10bに断面形状略「L」字型の梁部材191を装着した構成とされている。また、踏切構造190は、軌間外に配された天面板30の端部30bに断面形状略「コ」字型の梁部材192を装着した構成とされている。
梁部材191は、図25に示すように天面板10に、端部10b側の部位および端面10cに覆い被さるように取り付けられている。梁部材191は、上方から天面板10およびこの裏面側に取り付けられた梁部材11を貫通するようにボルト193を挿通し、これと梁部材11の裏面側に設けられたナット195とを締結することにより固定されている。
梁部材191は、上記した踏切構造180で採用した梁部材181と同様に、踏切構造190を構成する天面板10の枚数および幅を考慮し、各天面板10の端部10bの略全体に覆い被さるような長さに調整されている。
一方、軌間外に敷設される天面板30に装着される梁部材192は、図25に示すように略「コ」字型である。梁部材192は、天面192aと、これと平行な底面192bと、天面192aおよび底面192bに対して垂直な鉛直面192cとを有し、鉛直面192cに対向する部分が天面板30や梁本体31の延出部31aを差し込み可能なように開放されている。
梁部材192の天面192aおよび底面192bには、後述するようにボルト193を挿通可能な貫通孔192dが設けられている。また、底面192bには、貫通孔192dに挿通されたボルト193を締結可能なナット192eが溶接されている。
梁部材192は、上記した踏切構造180で採用した梁部材181と同様に、天面板30の端部30bおよび梁部材31の延出部31aを天面192aおよび底面192bとで挟み込み、鉛直面192cが天面板30の端面30cと面接触あるいは対向するように装着されている。梁部材192は、天面192aの上方から貫通孔192dにボルト193を天面板30およびこの裏面側に取り付けられた梁部材31の延出部31aを貫通するようにボルト193を挿通し、これと梁部材192の裏面側に設けられたナット192eとを締結することにより固定されている。
上記したように、踏切構造190についても、上記した踏切構造180と同様に長尺の梁部材191や梁部材192により天面板10,30の端部10b,30b、並びに、端面10c,30cを覆うように装着し、これらを支持部材50,100に対して一体的に取り付けたものであるため、天面板10,30をしっかりと固定できる。
また、本実施形態の踏切構造190は、1本の梁部材191,192に対して複数枚(本実施形態では3枚)の天面板10,30が装着され、一体化されているため、全体としての強度が高い。さらに、踏切構造190は、天面板10,30の端部10b,30b近傍や、端面10c,30cを梁部材191,192で覆った構成であるため、端部10b,30b近傍や、端面10c,30cの破損や摩耗を最小限に抑制できる。
上記した踏切構造180,190は、上記した踏切構造1,170の変形例の一例に過ぎず、例えば図26に示す踏切構造200のように、軌間外に配された図23に示した踏切構造180で採用されていた支持部材100をまくら木5に対して固定した構成としてもよい。以下、踏切構造200について、説明する。
踏切構造200は、上記した踏切構造180と大部分が同一であるが、軌間外に配された支持部材100の固定構造が大きく異なる。さらに詳細に説明すると、踏切構造200では、道床上に配されたまくら木5の長手方向の端部に下方支持部材201が配されており、これを用いて支持部材100がまくら木5に対して固定されている。
下方支持部材201は、下方ベース部201aと、これに対して略垂直な端面当接部201bとを有する断面形状が略「L」字型の部材である。下方ベース部201aには、後述するボルト202を挿通可能な貫通孔201cを有する。また、下方ベース部201aの裏側、すなわち図26のように配した際に道床側を向く部分には、貫通孔201cに挿通されたボルト202を締結可能なナット201dが溶接により固定されている。
下方支持部材201は、道床とまくら木5の底面との間に下方ベース部201aが挟み込まれ、端面当接部201bがまくら木5の木口に当接した状態で配されている。そのため、下方支持部材201は、よほど大きな衝撃が加わる等しない限りまくら木5からずれたり外れることがない。
上記したように下方支持部材201を配した状態において、下方ベース部201aに設けられた貫通孔201cは、後述するまくら木5や支持部材100の貫通孔5a,101aと連通する位置に存在する。
図26に示すように、支持部材100は、ベース部101がまくら木5の天面側の長手方向端部近傍に位置するように配されている。ベース部101には貫通孔101aが設けられており、まくら木5には支持部材100を配した際に貫通孔101aと連通する位置に貫通孔5aが設けられている。
支持部材100の貫通孔101a、並びに、まくら木5の貫通孔5aは、それぞれ上記した下方支持部材201の貫通孔201cと連通している。貫通孔101a,5a,201cには、上方からボルト202が挿通されている。ボルト202は、下方支持部材201に溶接されているナット201dと螺合している。これにより、支持部材100がまくら木5に対して固定されている。
上記したように、踏切構造200では、支持部材100の水平部101と下方ベース部201aとでまくら木5を挟み込むと共に、水平部101、まくら木5、並びに、下方ベース部201にわたって挿通されたボルト202によって支持部材100や下方支持部材201がまくら木5に固定された状態となっている。そのため、踏切構造200のような構成とすれば、支持部材100を用いて敷設されている天面板30を道床上にしっかりと固定することができる。
なお、上記した踏切構造200は、全ての支持部材100について上記したように下方支持部材201を用いてまくら木5に対して固定することにより強固な構造とすることができるが、一部の支持部材100についてのみ下方支持部材201を用いてまくら木5に対して固定することとしてもよい。かかる構成とする場合、踏切構造200を強固な構成とするためには、踏切構造200の構築に用いられる全ての支持部材100のうち、少なくともレール6,6の延びる方向の両端側に位置するものについて下方支持部材201を用いてまくら木5に固定する構成とすることが望ましい。
また、踏切構造200において、支持部材100や下方支持部材201とまくら木5との間にゴム板等の緩衝材を介在させた構成としてもよい。かかる構成とすれば、まくら木5の表面の摩耗についても防止でき、より一層好ましい。
上記した踏切構造200は、踏切構造1についての変形例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、踏切構造170等についても踏切構造200と同様に支持部材100を下方支持部材201と組み合わせてまくら木5に固定することとしてもよい。この場合は、上記した踏切構造200と同様に全てのまくら木5に支持部材100を下方支持部材201を用いて取り付けてもよいが、例えば図27に示すようにレール6,6の延びる方向の両端側に位置するまくら木5について下方支持部材201を用いて支持部材100を取り付け、中間部分に存在する支持部材100については踏切構造1,170等と同様にして支持部材100を固定することとしてもよい。
上記した踏切構造180,190,200は、いずれも天面板10,30のレール6,6に対して平行となる端面10c,30cや端部10b,30bに覆い被さるように梁部材181,191,192等を装着したものであったが、天面板10,30の長手方向に延びる端面や端部、すなわちレール6,6に対して交差する方向に延びる端面や端部に梁部材181,192のように断面形状略「コ」字型の鋼材を装着したり、梁部材191のように断面形状略「L」字型の鋼材を装着した構成としてもよい。かかる構成によれば、踏切構造180,190,200等の強度をより一層向上させることができ、踏切板10,30の破損防止や強度向上にも資することができる。