JP4740404B2 - セラミック連結基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
セラミック連結基板の製造方法に関し、より詳細には、分割後に配線基板となる多数の配線基板領域(製品部)を備えた多数個取り用のセラミック連結基板に対し各配線基板領域の外周境界線にブレーク溝を形成するセラミック連結基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミック製の小型の配線基板(チップキャリア)を量産する場合は、一つの未焼成セラミック大判にキャビティを有する配線基板領域(製品部)を多数形成し、各配線基板領域の外周境界線(シール凸部の中心線)に沿って溝形成刃でV字型のブレーク溝を形成する。その後、この未焼成セラミック大判を焼成し、セラミック連結基板とした後、所望のメッキを施し、最終的にブレーク溝に沿って折り割る(いわゆるチョコレートブレーク)ことで、個々の配線基板に分割するようにしている(特開2000−77204号公報、特開2000−141344号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来は、図5に示すように、所定の厚さを有する平行な板状部31と所定の刃先角を有する先端部32とを備えた溝形成刃30を用いていた。しかし、溝形成刃30を用いてブレーク溝を形成する場合、板状部31まで未焼成セラミック大判1(図1参照)に差し入れると、溝形成刃30を引き抜く際に板状部31が形成したブレーク溝の側面を擦り上げてしまうためブレーク溝開口近傍にバリ34が発生するという問題がある(図6参照)。
【0004】
これに対し、板状部31まで差し入れず、先端部32のみ差し入れてブレーク溝を形成すると、上記問題点は解決されるが、先端部32を深く差し入れれば差し入れる程、ブレーク溝の開口幅が大きくなるため、シール凸部5の上面の面積が小さくなってしまい、封止用メタライズ層8を十分な幅で設けることができなくなる(図7参照)。配線基板に搭載される半導体チップ、近年、ますます小型化され、それに伴って、配線基板もますます小型化され、キャビティ3周囲のシール凸部4の幅もますます狭くなってきていることから、シール凸部4上に形成する封止用メタライズ層8の形成領域(幅)の確保が重要になってきている。
【0005】
また、先端部32の刃先角を図8に示すように小さくすると、その分ブレーク溝の開口幅は小さく抑えることができるが、ブレーク溝の底部での幅が小さくなりすぎ、溝形成刃を抜いた後で未焼成セラミック大判の弾性力により元の方向、すなわち、ブレーク溝を塞ぐ方向に戻る、いわゆるスプリングバックが生じた場合に、一旦形成したブレーク溝が塞がれたり、焼成時に融着したりしてしまうことがあり、ブレークしにくくなるという欠点があった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、したがって、その目的は、焼成前のブレーク溝が塞がるのを防止でき、焼成時のブレーク溝の融着を防止でき、さらには、溝形成刃を深く挿入しても開口幅が大きくなりすぎず、しかも溝形成刃を抜くときにバリを生じにくい、セラミック連結基板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決する手段】
しかして、上記課題を解決するための請求項1に記載のセラミック連結基板の製造方法は、第1主面および第2主面を有し、分割後に多数の配線基板となり、第1主面側に開口する電子部品搭載用の凹部を備えた配線基板領域が形成された未焼成セラミック大判に、各配線基板領域の外周境界線に沿って第1主面側に第1溝形成刃を差し入れて第1ブレーク溝を形成するブレーク溝形成工程と、
上記第1ブレーク溝が形成された未焼成セラミック大判を焼成し、セラミック連結基板とする焼成工程と、を備え
上記第1溝形成刃は、差し入れ方向に沿った断面において、所定の厚さの板状部と、所定の刃先角を有する左右対称の先端部と、上記板状部と先端部との間に位置し、上記先端部の刃先角より小さなテーパ角を有する左右対称の中間部と、を有し、
上記第1ブレーク溝は、上記第1溝形成刃を上記中間部まで差し入れ且つ上記板状部には差し入れずに引き抜いて形成する、ことを特徴とする。
【0008】
この方法によれば、第1溝形成刃は板状部まで差し入れないので、第1溝形成刃を引き抜くときに、第1ブレーク溝の内側を擦り上げることがなく、溝開口近傍にバリが発生するのを防止できる。また、先端部を比較的大きな刃先角とし、中間部を比較的小さなテーパ角にしたので、第1溝形成刃を深く差し入れても第1ブレーク溝の開口幅があまり大きくならない。また、ブレーク溝の底部でも一定の幅を確保できるので、焼成前のスプリングバックや修正時の溶着が防止できる。
【0009】
なお、第1ブレーク刃の先端部の刃先角は、スプリングバックおよび溶着を防止するためには、30°以上が好ましく、35°以上がより好ましい。また、中間部の角度は、30°以下が好ましく、25°以下がより好ましい。また、ブレーク溝の側壁の擦り上げを防止するためには、中間部の角度は5°以上、さらには10°以上がより好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる配線基板の製造方法について、図1乃至図4を参照しつつ、詳細に説明する。まず、図中1は、第1主面5および第2主面6を有し、分割後に各配線基板となる配線基板領域(製品部)2を有する多数個取り用の未焼成セラミック大判(以下、単に大判ともいう)である。なお、図1は大判1の断面図を示す。各配線基板領域2の中央部には平面視方形で下方に向かって階段状で幅狭となるキャビティ(凹部)3を備えている。また、大判1の第1主面5(上面)には、各キャビティ3の周囲にシール凸部4が設けられ、さらにシール凸部上面には封止用メタライズ層8がキャビティ3を包囲するように平面視四角枠状に形成されている。
【0011】
このような大判1は、まず、各セラミック層11、12、13をなし所定数の基板部分がとれるように形成されたアルミナを主成分とするセラミックグリーンシート(厚さ0.25mm〜0.3mm)をそれぞれ製造する。そして、各セラミック層に対応する形状に切断、打ち抜きし、封止メタライズ層8や配線層さらにはメッキ用の共通導体層などのW、Mo等のメタライズペーストを印刷する。
こうして製造されたセラミックグリーンシートを積層、圧着して、図1に示す未焼成セラミック大判1が得られる。
【0012】
次に、ブレーク溝形成工程について説明する。図2に示す第1溝形成刃20は、略平行な板状部21と、刃先角40°の先端部22と、18°のテーパー角を有する中間部23と、からなる。このような第1溝形成刃20を第1主面5側から中間部23の途中まで未焼成セラミック大判1に差し入れて(図3参照)、引き抜くことにより、各配線基板領域2の外周境界線7に沿って第1ブレーク溝14を形成する(図4参照)。
【0013】
先端部22は、30°以上(本実施形態では40°)の刃先角をなすので、焼成前のスプリングバックおよび焼成時の溶着を有効に防止できる。また、中間部は刃先角より小さなテーパ角(5°以上30°以下、本実施形態では18°)となっているので、第1溝形成刃を深くまで差し入れても開口幅15があまり広くならないので、封止用メタライズ層8を十分な幅で形成することができる。さらに、18°のテーパ角を有する中間部23の途中まで第1溝形成刃20を差し入れるので、擦り上げずに抜き取ることができ、第1ブレーク溝14の開口近傍にバリが発生するのを防止できる。
【0014】
上記したようにブレーク溝形成工程を終えた未焼成セラミック大判1は、焼成した後、封止用メタライズ層8や配線層など必要部分にニッケルメッキを施す。
次に、各配線基板領域2の封止用メタライズ層8に対応した平面視四角枠状のロウ材(銀ろう)のプリフォームを各封止用メタライズ層8上に載置し、加熱・溶融させて、ロウ材を封止用メタライズ層8上に形成する。
その後、予めロウ材を被着させた封止用メタライズ層8の上に平面視四角枠状のコバールからなるシールリングを載置し、このような状態で、再度、ロウ材を加熱溶融させ、シールリングのろう付けを完了する。
【0015】
シールリングのロウ付けを終えた大判1は、シールリングの表面および各配線層の表面にNiメッキやAuメッキ等のメッキを施した後、各第1ブレーク溝14に沿って分割され、多数の配線基板(チップキャリア)となる。配線基板は、キャビティ3にSAWフィルタ等の電子部品が搭載された後、シールリングに蓋を接合する等して用いられる。
【0016】
なお、上記実施形態においては、第1主面5側のみに第1ブレーク溝14を形成する工程を例示したが、第2主面6側にも溝形成刃(第2溝形成刃)を差し入れ、第1ブレーク溝14に対応する位置に第2ブレーク溝を形成すると、さらにブレーク性が向上するので好ましい。また、第2溝形成刃も第1溝形成刃20と同様に先端部、中間部、板状部を有する形状のものを用いることができる。
【0017】
また、上記実施形態においては、中間部が一つのみの溝形成刃を例示したが、テーパ角の異なる複数の中間部を有する溝形成刃を用いることもできる。たとえば、先端部が40°、第1中間部が25°、第2中間部が18°というように複数の中間部を有する溝形成刃も用いることができる。
【0018】
本発明によれば、焼成前のブレーク溝が塞がるのを防止でき、焼成時のブレーク溝の融着を防止でき、さらには、溝形成刃を深く挿入しても開口幅が大きくなりすぎず、しかも溝形成刃を抜くときにバリを生じにくい、セラミック連結基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる未焼成セラミック大判の断面図。
【図2】本発明のブレーク溝形成工程で用いる第1溝形成刃の要部断面図。
【図3】本発明にかかり未焼成セラミック大判に第1溝形成刃を差し入れた状態を示す説明図。
【図4】本発明に係り、未焼成セラミック大判に第1ブレーク溝を形成した状態を示す説明図。
【図5】従来の溝形成刃の要部断面図。
【図6】従来の溝形成刃を差し込んだ際の不具合を示す説明図。
【図7】従来の溝形成刃を引き抜く際の不具合を示す説明図。
【図8】従来の溝形成刃を引き抜いた後の不具合を示す説明図。
【符号の説明】
1 未焼成セラミック大判
2 配線基板領域(製品部)
3 キャビティ(凹部)
4 シール凸部
5 第1主面
6 第2主面
7 外周境界線
8 封止用メタライズ層
11、12、13 セラミック層
14 第1ブレーク溝
20 第1溝形成刃
21 板状部
22 先端部
23 中間部
Claims (1)
- 第1主面および第2主面を有し、分割後に多数の配線基板となり、第1主面側に開口する電子部品搭載用の凹部を備えた配線基板領域が形成された未焼成セラミック大判に、各配線基板領域の外周境界線に沿って第1主面側に第1溝形成刃を差し入れて第1ブレーク溝を形成するブレーク溝形成工程と、
上記第1ブレーク溝が形成された未焼成セラミック大判を焼成し、セラミック連結基板とする焼成工程と、を備え、
上記第1溝形成刃は、差し入れ方向に沿った断面において、所定の厚さの板状部と、所定の刃先角を有する左右対称の先端部と、上記板状部と先端部との間に位置し、上記先端部の刃先角より小さなテーパ角を有する左右対称の中間部と、を有し、
上記第1ブレーク溝は、上記第1溝形成刃を上記中間部まで差し入れ且つ上記板状部には差し入れずに引き抜いて形成する、
ことを特徴とするセラミック連結基板の製造方法。
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