JP4739995B2 - 感圧記録材料用マイクロカプセルとその製造方法及びそれを用いた感圧記録材料 - Google Patents

感圧記録材料用マイクロカプセルとその製造方法及びそれを用いた感圧記録材料 Download PDF

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Description

本発明は、感圧記録材料用マイクロカプセルとその製造方法及びそれを用いた感圧記録材料に関する。
従来、無色あるいは淡色の電子供与性発色剤(以下「発色剤」という)を溶液の状態でマイクロカプセル皮膜内に内蔵させて紙の一面に塗布し、他の紙の一面に前記発色剤と反応して発色させる性質を有する酸性の無機材料、高分子材料あるいは芳香族カルボン酸などの電子受容性物質(以下「顕色剤」という)を塗布し、使用の際にこれらの各面を対向させて重ね合わせ、圧力を加えることにより複写記録を得る形式の記録材料、すなわち感圧記録材料が知られている。この種の記録材料の複写記録機構は、筆圧、タイプ圧等の圧力によりマイクロカプセル皮膜を破壊し、発色剤溶液を放出させ、対向して配置された紙の表面に塗布した顕色剤と接触させて発色させるものである。また、このような発色機能を有する各塗布材料を、1枚の紙の片面に塗布した記録材料も知られている。
前記マイクロカプセルの製造方法としては、発色剤を疎水性溶剤に溶解させた発色剤溶液を乳化分散剤水溶液に乳化分散させ、得られた乳化分散液にメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物を加えて加熱し、重縮合させることにより樹脂膜を形成させるIn−situ重合法が知られている(特許文献1)。また、発色剤を溶解させる疎水性溶剤として天然油又は合成油(具体的にはジイソプロピルナフタレンや1−フェニル−1−キシリルエタン)などを使用し、アロファネート基を含有するポリイソシアネートと水又は多価アミンなどの活性水素物質を反応させて壁膜を形成させる界面重合法によるマイクロカプセルも提案されている(特許文献2)。
前記発色剤を溶解させる溶剤としては、主に多環芳香族溶剤が用いられており、具体的にはフェニルキシリルエタン、フェニルエチルフェニルエタン、ブチルジフェニルエタンなどのジアリールアルカン;ジイソプロピルナフタレンなどのアルキルナフタレン;モノイソプロピルビフェニルなどのアルキルビフェニルなどが例示される。その他、希釈溶剤または補助溶剤としてノルマルパラフィン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、ナフテン環を有する脂環族系炭化水素溶剤、アルキルベンゼンなども用いられている。また近年、より環境に配慮した高生分解性溶剤への要求があり、植物油などの天然油を用いることが提案されているが、天然油の性状が不安定であることから、マイクロカプセルの製造工程や発色性能などの点で問題がある。一方、合成油のなかでも特に生分解性が高い直鎖アルキルベンゼンは、発色剤の溶解性が低いため単独で用いられることはなく、前記の多環芳香族溶剤と併用するにとどまっている(特許文献3、特許文献4)。
特開昭56−155636号公報 特開平8−52939号公報 特開平2−47085号公報 特公昭60−232991号公報
本発明の目的は、生分解性が高いにもかかわらず、発色剤の溶解性が低いため単独で用いられることはなく、前記の多環芳香族溶剤と併用するにとどまっていた直鎖アルキルベンゼンを電子供与性発色剤を溶解するための主溶剤として使用して、十分な発色性能を有する感圧記録材料用マイクロカプセルとその製造方法、およびそれを用いた感圧記録材料を提供することにある。
本発明の第1は、電子供与性発色剤をCH・CH2n+1(n=9〜14)で表される直鎖アルキルベンゼンに溶解してなる発色剤溶液を内包し、壁膜がアロファネート基を有するポリウレアからなる感圧記録材料用マイクロカプセルに関するものである。
本発明の第2は、電子供与性発色剤をCH・CH2n+1(n=9〜14)で表される直鎖アルキルベンゼンとアロファネート基を有するポリイソシアネートの混合物に溶解させて発色剤溶液を調製し、該発色剤溶液を分散剤水溶液中に乳化分散し、該分散液に多価アミンを添加して重合反応させ該発色剤溶液の乳化粒子を内包するポリウレア壁膜を形成させることを特徴とする感圧記録材料用マイクロカプセルの製造方法に関するものである。
本発明の第3は、本発明の第2において、前記乳化分散および前記重合反応を、それぞれ70〜120℃で行うことを特徴とする感圧記録材料用マイクロカプセルの製造方法に関するものである。
本発明の第4は、本発明の第1のマイクロカプセルと電子受容性顕色剤とからなる感圧記録材料に関するものである。
アロファネート基を有するポリウレアからなる膜材と、発色剤の溶剤としての直鎖アルキルベンゼンとを組み合わせることにより、生分解性が高いにもかかわらず従来は補助的にしか使用できなかった直鎖アルキルベンゼンを発色剤の主溶剤として使用できるようになった。本発明のマイクロカプセルを用いた感圧複写材料は、発色性能に優れている。また、アロファネート基を有するポリウレアからなる膜材と、主溶剤として従来広く使用されていた多環芳香族炭化水素系溶剤とを用いたマイクロカプセルを用いた感圧記録材料と比較して発色かぶり(ブルーイング)が低減されている。
以下、さらに本発明を詳細に説明する。
本発明の感圧記録材料用マイクロカプセルは、直鎖アルキルベンゼンに発色剤が溶解した発色剤溶液をアロファネート基を有するポリウレアからなる膜壁で内包したものである。
直鎖アルキルベンゼンとしては、CH・CH2n+1(n=9〜14)で表されるモノ直鎖アルキルベンゼンを用いる。アルキル基の炭素数が8以下では、沸点が低く臭気が強いので好ましくなく、15以上になると発色剤の溶解性が低下するとともに、粘度が高くなり発色が低下するので好ましくない。溶剤として、該直鎖アルキルベンゼンのみを使用することが好ましいが、それ以外の、前記した各種溶剤あるいは希釈剤、補助溶剤を本発明の効果に悪影響を及ぼさない程度で適宜混合して使用することもできる。一般に発色剤用溶剤として広く使用されている多環芳香族炭化水素系溶剤は、アロファネネート基を含有したポリイソシアネートとの相溶性が良く、形成されたカプセル壁膜が膨潤するため、カプセルの外に発色剤溶液が流出し発色への寄与率が低下するので極力使用しない方が好ましい。
本発明で使用される発色剤は感圧記録材料に使用できるものであれば特に限定されず、青色系発色剤や黒色系発色剤など各色の公知のものを用いることできる。例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェノキシジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ローダミンラクタム系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スピロラン系化合物およびキサンテン系化合物などの発色剤を併用することができる。具体的にはクリスタルバイオレットラクトン、ペンゾイルロイコメチレンブルー、フルオラン系化合物およびインドリルフタリド系化合物などが好ましい。これらは適宜混合してもよい。
発色剤溶液中の発色剤の濃度は特に制限されないが、通常は直鎖アルキルベンゼンに対して0.01〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%、である。濃度が低いと十分な発色が得られ難くなり、また濃度が高いと溶剤への溶解が困難になるので好ましくない。
マイクロカプセルの壁膜であるアロファネート基を有するポリウレア膜は、アロファネート基を有するポリイソシアネートと多価アミンを反応させることにより形成される。
アロファネート基を有するポリイソシアネートとしては、マイクロカプセル製造工程において直鎖アルキルベンゼンに溶解するものであれば特に限定されず、市販のものを使用することができる。
本発明に使用されるアロファネート基を有するポリイソシアネートは、従来公知のいずれの方法で製造してもよいが、単量体イソシアネート化合物と水酸基含有化合物とをウレタン化反応させて、ポリイソシアネートを製造し、次いでアロファネート化触媒を用いてアロファネート化することにより得られる。
イソシアネート化合物単量体としては、例えばn−ヘキシルイソシアネート,シクロヘキシルイソシアネート,フェニルイソシアネート,イソシアナトメタクリレート等の飽和、不飽和の脂肪族、脂環族、芳香族モノイソシアネート化合物単量体、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物単量体、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物単量体、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物単量体、その他に、脂肪族ポリイソシアネート化合物単量体,脂環族ポリイソシアネート化合物単量体,芳香族ポリイソシアネート化合物単量体、また、ダイマー、ビュレット及びイソシアネート化合物と低分子量ポリオールとの付加体等のイソシアネート化合物誘導体を挙げることができる。これらイソシアネート化合物単量体は単独又は併用して用いてもよい。壁膜強度や疎水性液体に対する相溶性の観点から、脂肪族ジイソシアネート化合物単量体、芳香族ジイソシアネート化合物単量体が好ましく、脂肪族ジイソシアネート化合物単量体としてヘキサメチレンジイソシアネートが好適に用いられる。
イソシアネート化合物単量体のウレタン化に用いられる水酸基含有化合物としては、例えばヘキサノール等の脂肪族モノアルコール、ヘキサンジオール、グリセリン等の二価もしくは三価又はそれ以上の多価アルコールを挙げることができる。これら水酸基含有化合物は、単独または併用して用いてもよい。ポリイソシアネートは、上記のポリイソシアネート化合物単量体と水酸基含有化合物を当量比(NCO基/OH基)2〜100、反応温度約20〜160℃、反応時間約0.5〜10時間でウレタン化反応させて製造することができる。この反応においては、従来公知のウレタン化触媒等を用いてもよい。反応の進行は反応液のNCO%測定や屈折率測定等で追跡することができる。
次にポリイソシアネートをアロファネート化触媒の存在下、アロファネート化反応に供する。アロファネート化触媒としては、従来公知のいずれのものでもよく、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、上記アルキルカルボン酸のスズ、亜鉛、鉛等の金属塩、ヘキサメチルシラザン等のアミノシリル基含有化合物、トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリエチレンジアミン等の3級アミン、2−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のマンニッヒ塩基、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトン等のようなβ−ジケトンの金属キレート化合物、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のフリーデル・クラフツ触媒、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物等、種々の有機金属化合物を挙げることができる。
触媒の使用量は、触媒の種類等により異なるが、通常は、ポリイソシアネート化合物単量体に対して0.0001〜1質量%、好ましくは0.001〜0.1質量%の範囲である。アロファネート化反応は、通常、反応温度約0〜160℃,反応時間約0.5〜20時間で行われる。反応が所望のアロファネート基含量に達した時、例えばリン酸等のアロファネート化触媒失活剤を反応系中に添加してアロファネート化反応を停止させる。所望のアロファネート基含量としては、通常、0.1〜10mmol/gの範囲が適当である。反応溶媒として、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類や酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を用いることができる。
反応停止後、得られたポリイソシアネートはそのまま使用してもよいが、必要により失活触媒を除去し、さらに、例えば薄膜蒸留法や溶剤抽出法等の公知の手法により未反応のポリイソシアネート化合物単量体を除去することが好ましい。
このようにして得られたアロファネート基を有するポリイソシアネートは、通常、イソシアネート基含量が1〜50%であり、また、粘度は500〜50万mPas(25℃)の範囲である。また、必要に応じ、ヒンダードフェノール類,ヒンダードアミン類,有機亜リン酸エステル類等の酸化防止剤,ベンゾトリアゾール類等の紫外線吸収剤等を添加してもよい。マイクロカプセルの製造に際しては、これらアロファネート基を有するポリイソシアネートを単独又は併用して、あるいは他の公知のポリイソシアネートとともに用いることができる。
多価アミンとしては、分子中に2個以上のNH基、もしくはNH基を有し、乳化分散工程において分散剤水溶液に可溶なものであれば使用可能である。具体的には、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族多価アミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族多価アミンおよびトリメチロール化メラミンなどが挙げられる。
多価アミンの使用量は、アロファネート基を有するポリイソシアネートの種類、量により適宜決定されるが、イソシアネート官能基当量/アミン官能基当量の比が0.3以上かつ3以下が適当であり、より好ましくは0.5以上かつ2以下である。0.3より少ない場合にはイソシアネート基と水の反応による発泡現象が顕著になるため好ましくない。また、3を超えると残留するアミン類に起因する着色、および発色後の退色が顕著になるので好ましくない。
本発明のマイクロカプセルは、発色剤溶液の調製工程、発色剤溶液を分散剤水溶液に乳化分散する工程、カプセル化工程により調製される。発色剤溶液は、アロファネート基を有するポリイソシアネートを直鎖アルキルベンゼンに溶解させた混合溶液に発色剤を溶解させて調製することが好ましい。アロファネート基を有するポリイソシアネートの直鎖アルキルベンゼンに対する溶解量は、通常0.5〜50質量%、好ましくは2〜30質量%である。2質量%より低いと、形成される壁膜(ポリウレア膜)の強度が小さくカプセルが破壊され易くなり、30質量%より高いと、壁膜の強度が大きくなりすぎて発色の低下につながるため好ましくない。アロファネート基を有するポリイソシアネートを直鎖アルキルベンゼンに溶解させた混合溶液に溶解させる方法により、直鎖アルキルベンゼンのみを使用した場合に比べて、溶解性の低い発色剤を用いた場合でも十分な濃度で溶解することが可能であり、十分な発色を得ることができる。すなわち、発色剤の溶解量は、アロファネート基を有するポリイソシアネートを直鎖アルキルベンゼンに溶解させた混合溶液に溶解させる場合と、直鎖アルキルベンゼンに直接溶解させる場合とでは、前者の方が多い。
乳化分散に用いる乳化分散剤としては例えばゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、でんぷん等の天然親水性高分子物質、カルボキシメチルセルロース等の半合成親水性高分子物質、ポリビニルアルコール等の合成親水性高分子物質等が挙げられる。これらと共に、界面活性剤を適宜使用できる。これらの内で、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が通常は300〜2400の範囲であり、好ましくは1000〜1700である。平均重合度が300より小さいと乳化が困難になり、また2400より大きいと乳化分散時の粘度が高くなり目標の乳化粒子を得難くなるので好ましくない。
乳化分散剤は、あらかじめ水に溶解させて分散剤水溶液とする。分散剤水溶液の濃度は、通常1〜20質量%であり、さらには2〜10質量%の範囲が好ましい。濃度が1質量%より低いと乳化分散に時間を要して生産効率が低下し、得られたカプセル粒子の凝集が起こり易くなるので好ましくない。20質量%より高いと分散剤水溶液の粘度が高く、粒径をコントロールすることが困難になり、かつ粒度分布が広くなることで発色の低下が顕著になるので好ましくない。
乳化分散は、発色剤溶液と分散剤水溶液を攪拌混合することにより行われる。両液の混合割合は、発色剤溶液と乳化分散剤の固形分量との質量比として、通常は40:1〜5:1であり、さらには20:1〜10:1の範囲であることが好ましい。
発色剤溶液の量が、前記比40:1よりも大きいと乳化分散に時間を要して乳化分散液の安定性が低下し、前記比5:1よりも小さいと乳化力が大きくなりすぎて粒径のコントロールが困難になり、また乳化機の規模が大きくコストも増大するので好ましくない。
乳化分散時の温度は、70〜120℃の範囲が好ましく、70℃未満の場合は、発色剤溶液中の発色剤の析出が発生しやすくなり、120℃より高い場合は、直鎖アルキルベンゼンに溶解したイソシアネートが水と反応し易い状態となり、壁膜反応が開始されて粒子の凝集を起こしやすくなるので好ましくない。水の沸騰点以上の場合は、オートクレーブなどの密閉容器内で乳化分散する必要があり、次のカプセル化においても同様である。
乳化分散工程における攪拌混合機としては、公知のホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、インラインミキサーなどを用いることができるが、この中でもホモジナイザーの取扱いが容易であり好ましい。攪拌速度は10000〜15000rpmの範囲で、乳化時間は5〜15分内で行うことが好ましい。
カプセル化は、得られた乳化分散液へ多価アミンを添加して行われる。多価アミンは、通常、前記したイソシアネート官能基当量/アミン官能基当量比になるような好適量を水で希釈し、例えば10%になるように希釈するのが好ましい。多価アミンは、徐々に添加するのが好ましい。カプセル化の反応は、通常3〜6時間反応させることにより行われる。発色剤溶液中のアロファネート基を有するポリイソシアネートと多価アミンが重合反応することにより、発色剤溶液の乳化分散粒子界面にアロファネート基を有するポリウレア膜が形成される。カプセル化は乳化分散液を70〜120℃に保持して行うのが好ましい。反応温度70℃未満では製膜中に発色剤の析出が発生しやすくなり、120℃より高いとカプセルの凝集が発生しやすくなるので好ましくない。
以上のようにして、感圧複写紙用マイクロカプセルが分散液として得られる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は1μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は3μm以上かつ8μm以下である。本発明の製造方法によれば、所望のマイクロカプセルを得ることができる。マイクロカプセルの体積平均粒径が1μm未満の場合は、記録材料の発色が低下し、10μmを超える場合は、記録材料の汚れが発生しやすくなるので好ましくない。
得られたマイクロカプセル分散液に、常法によりバインダー、保護剤などを適宜に添加し、感圧複写紙の原紙に塗布し乾燥することにより、発色剤溶液を内包するマイクロカプセルを塗工した感圧複写紙を製造することができる。
バインダーとしてスチレンーブタジエン共重合体ラテックス、澱粉、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性バインダーを使用することができ、カプセル保護剤として澱粉粒子、セルロース粉末、タルクなどが使用できる。
さらに、発色剤と接触して発色させる電子受容性顕色剤と組み合わせることにより、感圧記録材料とすることができる。
顕色剤として活性白土、酸性白土、カオリン、ゼオライト、ベントナイトなど粘土物質のほか、芳香族カルボン酸、その重合体、それらの金属塩、あるいは多価金属化カルボキシ変性テルペンフェノール樹脂もしくはその誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか一つの顕色剤を用いることができる。
ここで芳香族カルボン酸とは芳香族環(単環、多環のどれでもよい)に直接カルボキシル基が結合した化合物であって、このような芳香族カルボン酸の例としては、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−(α−メチルベンジル)−5−(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−(4′−α,α′ジメチルベンジルフェニル−5−(α,α′−ジメチルベンジル)−サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−tert−オクチルサリチル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−フェニル−5−(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸、3、5−ジ(α,α′−ジメチルベンジル)サリチル酸などが例示される。さらにスチレン類を付加させた芳香族カルボン酸、例えばスチレン化サリチル酸なども含まれる。特に好ましい芳香族カルボン酸は、総炭素数が15以上の芳香族カルボン酸である。ただし次に記載の共縮合または共重合モノマーとして使用する時は特に炭素数は限定されない。また、芳香族カルボン酸、特にサリチル酸を縮合モノマーとする縮合または共縮合樹脂も本発明の顕色剤として使用できる。このような共縮合樹脂としては、例えばサリチル酸とジアルコキシキシレンとの共縮合樹脂、サリチル酸とアルデヒドとの縮重合体などが例示される。これらにはさらにトリアルキルベンゼンなどを共縮合モノマーとして加えることができる。またこれら芳香族カルボン酸またはその重合体の金属塩も使用できる。金属塩としては、例えば亜鉛、アルミニウム、バリウム、錫、鉄、カルシウム、鉛、などの多価金属の塩などが挙げられる。
また多価金属化カルボキシ変性テルペンフェノール樹脂またはその誘導体としては、環状モノテルペン類とフェノール類を酸性触媒存在下に縮合し、これにカルボキシル基を常法に従い導入した生成物を多価金属化して得られる多価金属化カルボキシ変性テルペンフェノール樹脂などを例示することができる。環状モノテルペン類としては、ピネン、リモネン、テルピネン、メンタジエン、ガムテレピン油、ジペンテンなど、フェノール類としては石炭酸(フェノール)、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、ハロゲン化フェノールなどのモノフェノール類またはレゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類などである。例えば、フェノール類としてのフェノールと環状モノテルペン類としてのα−ピネンとを三フツ化ほう素触媒などの酸性触媒により縮合し、金属ナトリウムなどのアルカリ金属化合物存在下で炭酸ガスを吹き込みカルボキシル基を導することにより得られたカルボキシル化テルペンフェノール樹脂を、次いで塩化亜鉛などの多価金属またはその塩により公知の方法により多価金属化し多価金属化カルボキシル変性テルペンフェノール樹脂が製造される。
顕色剤としての芳香族カルボン酸、その重合体、それらの金属塩と多価金属化カルボキシル変性テルペンフェノール樹脂とは混合して用いることもできる。この混合は溶剤中、あるいは分散媒中で行うかあるいは溶融混合して行うことができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例により説明する。
直鎖アルキルベンゼン(新日本石油化学株式会社製、商品名:「アルケンL」、アルキル基の炭素数10〜14)85質量部とアロファネート基を含有するポリイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラネートTSA−100」(NCO含有量=20.7質量%、粘度=451mPa.s/25℃)10質量部とを混合したものに、発色剤としてクリスタルバイオレットラクトン2質量部を130℃で溶解して発色剤溶液(A液)を調製した。次に、水190質量部にポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名:「PVA−217EE」)10質量部を95℃で溶解して分散剤水溶液(B液)を調整した。80℃恒温されたB液にホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製、商品名「TKホモミキサーMarkII」)をセットし、80℃に恒温されたA液を徐々に加え乳化分散を行った。得られた乳化分散液は300rpmで攪拌され、その中にヘキサメチレンジアミン2.9質量部を水20質量部に溶解した液を、80℃に恒温した状態で徐々に添加してカプセル化(重合反応)を行った。反応は80℃で6時間行った。マイクロカプセルの平均粒径は、コールターカウンター(コールター社製、機器名「マルチサイザーII」)で測定したところ5.2μmであり、また、マイクロカプセル分散液中の固形分は34.4質量%であった。得られたマイクロカプセル分散液100質量部に対し、カルボキシメチルセルロースの5質量%水溶液27質量部、SBRラテックスの50質量%水溶液2.7質量部、不溶性澱粉(平均粒径15μm)13.5質量部を混合した。また塗布量を調整するため、水を1100質量部添加して、40g/mの原紙上にマイヤーバーコーターを用いて塗布し、乾燥質量5.0g/mの感圧複写紙(上用紙)を得た。
アロファネート基を含有するポリイソシアネートとして、デュラネートTSR−100(NCO含有量=20.4質量%、粘度=322mPa.s/25℃)(旭化成ケミカルズ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様である。得られたマイクロカプセルの平均粒径は、4.9μmであり、また固形分は34.3質量%であった。塗布紙として乾燥質量5.0g/mの感圧複写紙(上用紙)を得た。
アロファネート基を含有するポリイソシアネートとして、デュラネートTSS−100(NCO含有量=17.8質量%、粘度=387mPa.s/25℃)(旭化成ケミカルズ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様である。得られたマイクロカプセルの平均粒径は、5.1μmであり、また固形分は34.5質量%であった。塗布紙として乾燥質量5.0g/mの感圧複写紙(上用紙)を得た。
発色剤であるクリスタルバイオレットラクトンの代わりに、黒染料として3−イソブチルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6質量部(日本曹達株式会社製、商品名「PSD−184」)を用いた以外は、実施例1と同様である。得られたマイクロカプセルは平均粒径5.2μmであり、また固形分は36.0質量%であった。塗布紙として乾燥質量6.0g/mの感圧複写紙(上用紙)を得た。
[比較例1]
発色剤としてクリスタルバイオレットラクトン2質量部を直鎖アルキルベンゼン(新日本石油化学株式会社製、商品名:「アルケンL」)85質量部に130℃で溶解し、80℃に恒温してA液を調整した。次に、分散剤水溶液として水155.4質量部にメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の22.4質量%水溶液(日昇興業株式会社製、商品名「MICRON8020」)44.6質量部を溶解し、80℃に恒温してB液を調整した。80℃恒温されたB液にホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製、商品名「TKホモミキサーMarkII」)をセットし、80℃に恒温されたA液を加え乳化分散を行った。この乳化分散液に水23.5質量部にエーテル化トリメチロールメラミン樹脂80質量%水溶液(住友化学工業製、商品名「スミテックスレジンM3」)23.5質量部を溶解したものを添加した。反応は80℃で6時間保ち重合を完結させた。反応終了後にカプセルスラリーを偏光顕微鏡で観察した結果、発色剤の結晶が多量に存在していることを確認した。
[比較例2]
直鎖アルキルベンゼン(新日本石油化学株式会社製、商品名:「アルケンL」)の代わりに、フェニルキシリルエタン(新日本石油化学株式会社製、商品名:「SAS−296」)100質量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例3]
アロファネート基を含有するポリイソシアネートの代わりに、ヘキサメチレンイソシアネートのビウレット体ポリイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモジュールN3200」)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例4]
アロファネート基を含有するポリイソシアネートの代わりに、ヘキサメチレンイソシアネートのイソシアネレート体ポリイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名「デスモジュールN3300」)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例5]
直鎖アルキルベンゼン(新日本石油化学株式会社製、商品名:「アルケンL」)の代わりに、1−フェニルヘプタン(ALDRICH社製、純度98%品)100質量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。得られたマイクロカプセルの平均粒径は、5.0μmであり、また固形分は34.3質量%であった。
[比較例6]
直鎖アルキルベンゼン(新日本石油化学製、商品名:「アルケンL」)の代わりに、1−フェニルペンタデカン(Fluka製、純度97%品)100質量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。得られたマイクロカプセルの平均粒径は、5.1μmであり、また固形分は34.6質量%であった。塗布紙は乾燥質量5.0g/mの感圧複写紙(上用紙)を得た。
以下に、各実施例および比較例の評価結果を表−1に示す。
1) ポリイソシアネートの溶解性
疎水性液体へのポリイソシアネート溶解の有無を目視で評価した。
○:ほとんど溶けている
△:一部溶けていない
×:ほとんど溶けていない
2) 発色剤再結晶
マイクロカプセルの外側に放出した、発色剤再結晶の有無を偏光顕微鏡で評価した。
○:ほとんど存在しない
△:一部存在する
×:多量に存在する
3) ブルーイング試験
マイクロカプセル分散液に水を加え、固形分濃度が20質量%になるように調整し、マイヤーバーコーターNO.14を用いて、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩を塗布した下用紙の塗布面に塗布し、乾燥後の塗布面の発色状態を目視で評価した。
○:ほとんど発色してない
△:薄く発色している
×:濃く発色している
4)発色性
得られた上用紙と3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩を塗布した下用紙の塗布面を対向するように重ね合わせ、衝撃式印刷機を用いて発色させた。発色後60分後の下用紙の反射率を反射率計NDY−1D(日本電色工業社製)で測定し、式−1で発色強度(%)を求めて比較した。数値が高いほど発色が良好なことを示す。
発色強度(%)=(I−I)×100/I (式−1)
(I:発色前の下用紙の反射率、I:発色後の下用紙の反射率を示す。)
5)臭気
上用紙に塗布されているカプセルを破壊させ、溶剤の臭気を6人のパネラーの臭覚により判定した。
○:臭気なし
△:微臭あり
×:臭気あり
Figure 0004739995

Claims (4)

  1. 電子供与性発色剤をCH・CH2n+1(n=9〜14)で表される直鎖アルキルベンゼンに溶解してなる発色剤溶液を内包し、壁膜がアロファネート基を有するポリウレアからなる感圧記録材料用マイクロカプセル。
  2. 電子供与性発色剤をCH・CH2n+1(n=9〜14)で表される直鎖アルキルベンゼンとアロファネート基を有するポリイソシアネートの混合物に溶解させて発色剤溶液を調製し、該発色剤溶液を分散剤水溶液中に乳化分散し、該分散液に多価アミンを添加して重合反応させ該発色剤溶液の乳化粒子を内包するポリウレア壁膜を形成させることを特徴とする感圧記録材料用マイクロカプセルの製造方法。
  3. 前記乳化分散および前記重合反応を、それぞれ70〜120℃で行うことを特徴とする請求項2記載の感圧記録材料用マイクロカプセルの製造方法。
  4. 請求項1に記載のマイクロカプセルと電子受容性顕色剤とからなる感圧記録材料。
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