JP4739929B2 - 繊維用防縮加工剤 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維用防縮加工剤に関する。更に詳しくは、繊維の強度低下や風合の硬化を生ぜしめることなく後加工で優れた防縮性を付与し得る繊維用防縮加工剤に関する。
従来、繊維用防縮加工剤として、例えば、羊毛などの獣毛系繊維に対してはブロックドイソシアネート基を有するウレタン樹脂などが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、綿等のセルロース系繊維に対しては、ホルマリンやN−メチロールアミノプラスト樹脂、グリシジルエーテル樹脂等の防縮加工剤が古くから知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開昭52−37900号公報 井上重由編、「実用染色講座」p238、昭和55年(色染社)
しかしながら、ウレタン樹脂による防縮加工剤は、防縮よりも防しわに対する効果を重きに設計されており、通常の吊し干しを行う家庭洗濯では防縮効果は発揮されるものの、近年、普及してきた家庭用タンブラー乾燥機での乾燥が行われるようになってくると、これらの防縮加工剤では十分な防縮効果が得られない。
一方、セルロース系繊維に見られるような樹脂による防縮加工剤では、実用的な防縮性能を得るためには、架橋密度を十分に高めることが必要であるため防縮加工剤が多量に必要となり、その結果、強度の低下が大きくなり、また、風合も大幅に悪くなる欠点がある。さらには、経日で人体に有害なホルマリンが遊離されるといった問題もある。
また、防縮加工剤として従来からノンホルマリン型のエチレン尿素樹脂も提案されているが、変色やガーリック様の臭気があるなどの問題があり、実用には至っていない。
このように、十分な防縮効果を持ち、かつ安全性、柔軟性等を満足する防縮加工剤は未だ得られていないのが実状である。
本発明は、このような現状に鑑みて行われたものであり、繊維に風合の硬化や強度の低下を生ぜしめることなく、防縮性能を付与することができる防縮加工剤の開発を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタン樹脂とハロヒドリンエーテル化合物とを組み合わせることで、上記問題点を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ウレタン樹脂(A)とハロヒドリンエーテル化合物(B)とを含む繊維用防縮加工剤;該防縮加工剤を用いる防縮加工方法;該防縮加工法で加工した繊維;である。
本発明の繊維用防縮剤は、優れた防縮性と柔軟な風合を与えることができ、有害なホルマリン等を発生せず、安全性も高い。したがって、本発明の繊維用防縮剤は、天然繊維、再生繊維または合成繊維等でできた編物、織物または不織布等の繊維製品の仕上げ剤として有用である。
まず、ウレタン樹脂(A)について説明する。
(A)は、ポリオール成分(a1)とイソシアネート成分(a2)との反応によるウレタン結合によって形成された高分子化合物(ポリウレタン樹脂)であって、(a1)および(a2)の種類、反応比、反応の形式によって様々な種類の(A)が得られるが、ポリウレタン樹脂であれば特に限定はされない。(A)を得ることのできる(a1)としては、例えば以下のようなものがあげられる。
(a1−1)ポリエーテルポリオール:
分子量62〜500の低分子量ポリオール[2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等)、2価フェノール類(ビスフェノールA等)、3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価以上の多価アルコール(ペンタエリスリトール、ソルビトール等)等]を出発物質としてアルキレンオキサイド[炭素数2〜4のアルキレンオキサイド;エチレンオキサイド(以下EOと略す)、プロピレンオキサイド(以下POと略す)、1,2−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等]を重付加重合または重付加共重合(ブロックおよび/またはランダム)させて得られるもの等[具体的には、ポリエチレングリコール(以下PEGと略す)、ポリプロピレングリコール(以下PPGと略す)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ジオール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと略す)、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレン(ブロックまたはランダム)グリコール、グリセリンEO付加物、グリセリンPO付加物、ペンタエリスリトールEO付加物、ペンタエリスリトールPO付加物、ソルビトールEO付加物、ソルビトールPO付加物等]。
(a1−2)ポリエステルポリオール:
ポリエーテルポリオールの出発物質として前記低分子量ポリオールの1種以上とジカルボン酸[炭素数4〜12の脂肪族または芳香族ジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸として
は、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸、アゼライン酸等。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸等)]の1種以上とを反応
させて得られる縮合ポリエステルポリオール(例えば、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール、ポリエチレンブチレンアジペートポリオール等)、炭素数4〜8のラクトン(例えば、ε−カプロラクトン、バレロラクトン等)の開環重合により得られるポリラクトンポリオール(例えば、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール等)等。
(a1−3)ポリジエンポリオール:
例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールおよびこれらの水素添加物等。
(a1−4)重合体ポリオール:
前記ポリオール(ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール)中で、ラジカル重合性モノマー[例えば、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニル等、および、これら2種以上の混合物等]をラジカル重合させ、該ラジカル重合体を分散させたもの(重合体含量は、通常5〜30質量%)等。
これらのポリオールのうち、(a1)として好ましいのは、(a1−1)および(a1−2)であり、より好ましいものは(a1−1)である。なお、これらのポリオールは、2種以上を併用して用いても良い。また、必要により上記以外の1個以上の活性水素原子を含有する成分(たとえば、モノオール類、1級および2級モノアミン、ポリアミン類、アミノアルコール、モノおよびジアルカノールアミン等)を使用しても良い。
(a1)の水酸基当量は好ましくは400〜3000、さらに好ましくは500〜2500である。水酸基当量が400未満では処理した織物の風合いが固すぎる問題があり、3000を超えると織物の防縮性が低下することがある。また、(a1)の平均官能基数は、処理された織物の風合いおよび防縮性の点から、好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2.2〜5.8である。
一方、イソシアネート成分(a2)としては、例えば、以下のようなものがあげられる。
(a2−1)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜12の脂肪族ジイソシアネート:
例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略す)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等。
(a2−2)炭素数4〜18の脂環式ジイソシアネート:
例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(以下CDIと略す)、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略す)、1,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下水添MDIと略す)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチルシクロヘキサン(以下水添XDIと略す)、アダマンタンジイソシアネート等。
(a2−3)炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート:
例えば、キシリレンジイソシアネート(以下XDIと略す)、α、α、α'、α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下TMXDIと略す)等。
(a2−4)炭素数6〜20の芳香族ポリイソシアネート:
例えば、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4または2,6−トリレンジイソシアネート(以下TDIと略す)、ジフェニルメタン−2,4’または4、4’−ジイソシアネート(以下MDIと略す)、ナフタレン−1,5−ジイソシネート、3,3−ジメチルフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、O−トリジンジソシアネート、粗製TDI、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)等。
これらのうち、(a2)として好ましいのは、(a2−1)および(a2−2)であり、(a2−1)であることがより好ましい。なお、これらのイソシアネート成分は2種以上を併用して良い。
これらの(a1)および(a2)を反応(ウレタン化)させる方法は、公知の方法が利用できる。
例えば、(a1)と(a2)を通常10℃〜180℃、好ましくは20℃〜150℃で、不活性溶媒の非存在下もしくは存在下に反応することによって得られる。溶媒としては、分子内に活性水素原子を含まない有機溶剤(アセトンおよびメチルエチケトンなどのケトン類、THFおよびジオキサンなどのエーテル)が好適である。(a1)は、予め(a2)と混合しておいて反応させてもよく、(a1)を(a2)に徐々に滴下して反応させてもよい。(a1)と(a2)の反応当量比は、通常(a1)/(a2)=1/4〜4/1であり、好ましくは、(a1)/(a2)=1/2〜2.5/1、より好ましくは(a1)/(a2)=1.005/1〜2/1である。このようにして得られる(A)の数平均分子量(以下Mnと略す)は、通常500〜100万、好ましくは、1,000〜50万である。(A)は、そのままでも使用できるが、繊維への処理の容易さから通常水性乳化物(エマルション)として使用することが好ましい。(A)をエマルション化する方法は、公知の方法が利用できる。
(a1)および(a2)から得られる(A)は、非反応性ポリウレタン樹脂でも反応性ポリウレタン樹脂であってもどちらでも良いが、より防縮性の効果をあげるために、反応性ポリウレタン樹脂であることが好ましく、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(以下プレポリマーと略す)をブロック化剤でブロックしたブロックドポリウレタン樹脂(A1)であることがより好ましい。(A1)を構成するプレポリマーは、上記に記載したポリオール成分(a1)とイソシアネート成分(a2)とから誘導されるものが使用できる。
プレポリマーは、公知の製造法で得ることができる。
例えば、(a1)と(a2)を通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃で、不活性溶媒の非存在下もしくは存在下に反応することによって得られる。溶媒としては、先に(A)を得るための方法において例示したものと同様のものがあげられる。好適な
例も同様である。(a1)は、予め(a2)と混合しておいて反応させてもよく、(a1)を(a2)に徐々に滴下して反応させてもよい。プレポリマーを得るための(a1)と(a2)の反応当量比は、プレポリマーのイソシアネート基含量(以下NCO含量と略す)で通常0.5〜10%、好ましくは1.0〜6%となるような比であれば特に限定されない。プレポリマーのMnは、通常1,000〜20万、好ましくは1,300〜15万、特に好ましくは1,500〜10万である。
プレポリマーの末端イソシアネート基をブロックするためのブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック化剤;メタノール、エタノール、ブチルセロソルブ等のアルコール系ブロック化剤;εーカプロラクタム等のラクタム系ブロック化剤;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系ブロック化剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン系ブロック化剤;イミダゾール等のイミダゾール系ブロック化剤;および重亜硫酸アルカリ金属塩(例えば重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等)、重亜硫酸アンモニウム塩等の重亜硫酸塩系ブロック化剤等があげられる。これらのうち反応性の観点から、重亜硫酸塩系ブロック化剤が好ましく、重亜硫酸ナトリウムが最も好ましい。なお、これらのブロック化剤は、2種以上を併用して良い。また、重亜硫酸塩系ブロック化剤を使用する場合は、予め水溶液にしてから仕込むことが好ましく、その濃度は10〜40%であることが好ましい。
(A1)の製造方法は特に限定されない。
例えば、水性媒体中で、乳化分散剤(D)の存在下に、プレポリマーを重亜硫酸塩でブロック反応することにより達成できる。プレポリマーと重亜硫酸塩の添加順序は特に限定されないが、プレポリマー中に重亜硫酸塩を添加する方が分散安定性の観点から好ましい。ブロック反応の温度は、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃である。ブロック化反応の終点は、ブロック化反応物中の未反応の重亜硫酸塩を苛性カリ水溶液で滴定し、重亜硫酸塩含量が平衡になった時点である。(A1)の分散安定性の観点から、プレポリマーに対する重亜硫酸塩の当量比は、好ましくは0.9〜1.3、さらに好ましくは0.95〜1.25である。ブロック反応に使用できる水性媒体としては、水および水と親水性溶媒の混合物があげられる。親水性溶媒としては25℃で水に対する溶解度が2(g/100g水)を越えるものが望ましく、例えば親水性アルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等);炭素数2〜5のエステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等);炭素数3〜5のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等);炭素数3〜7のグリコールモノアルキルエーテル(メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)があげられる。親水性溶媒を使用することにより、反応系の粘度が低下し、副反応を抑制し易くなる。水と親水性溶媒との混合物における水/親水性溶媒の質量比は好ましくは10/90〜99/1である。水性媒体の使用量は、(A1)の質量を基準として、粘度や乳化分散安定性の観点から、好ましくは20〜600%、さらに好ましくは30〜500%である。なお、このようにして得られた(A1)の水性媒体溶液には、防縮性のさらなる向上の観点から、その他に通常のブロックドポリウレタン樹脂に添加される触媒(ジヒドラジド等)等、公知の任意成分を添加することができる。添加量は、通常(A1)の溶液全体質量に基づき、5〜0.001%である。
乳化分散剤(D)としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性の低分子型界面活性剤(d1)、高分子型乳化分散剤(d2)、およびこれらの併用があげられる。(d1)の具体例としては、米国特許4,331,447号明細書および米国特許3,929,678号明細書に記載のノニオン性、アニオン性、カチオン性、および両性の低分子型界面活性剤等があげられる。
(d2)のMnは通常3,000〜100万、好ましくは5,000〜10万である。(d2)としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、カルボキシル基含有(共)重合体(例えばポリアクリル酸ソーダ等)、並びに特開平07−133423号公報および特開平08−120041号公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型乳化分散剤等[例えば、ポリエステルジオー
ル(ポリカプロラクトンポリオール等)とポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール等)をポリイソシアネート(IPDIおよびHDI等)で連結させたもの等]が使用できる。これらのうち、乳化分散安定性の観点から(d1)が好ましく、ノニオン性の(d1)であることが特に好ましい。また、(D)の含有量(質量%)は、乳化安定性の観点から(A1)を基準として、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは3〜8%である。
次に、本発明のもう一つの構成要素である、ハロヒドリンエーテル化合物(B)について説明する。
(B)は、2価以上の多価アルコール類とエピハロヒドリン化合物との反応生成物であって、使用できる多価アルコール類としては、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物および/またはそのアルキレンオキサイド付加物であれば特に限定されない。具体的には、2価アルコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのEO付加物、ポリエチレングリコール、1,2−デカンジオール、cis−1,2−ヘキサンジオール、1,4−ジメチロールベンゼン等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメリット酸のEO付加物等)、4価以上の多価アルコール類(ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等)等が使用できる。これらは、2種以上を併用して使用しても良い。これらのうち好ましいのは、2価アルコール類および3価アルコール類であり、2価アルコール類がより好ましい。エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等があげられ、これらは2種以上を併用して使用しても良い。
(B)は、防縮性能の観点から、炭素数2〜15の多価アルコール(b1)とエピハロヒドリン(b2)との反応で得られたハロヒドリンエーテル化合物(B1)であることが、より好ましい。
(b1)としては、先にあげた多価アルコール類のうち炭素数2〜15のものが該当し、これらのうち好ましいのは、耐洗濯性の観点から2〜6価の多価アルコールであって、2価または3価アルコールがさらに好ましく、2価アルコールが最も好ましい。(b2)としては、前述したもの等があげられるが、これらのうち好ましいのは反応性の観点からエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンであり、エピクロロヒドリンであることが最も好ましい。
(B1)は、(b1)と(b2)を反応させることによって得られるが、この反応は公知の方法が適用できる。例えば、(b1)を反応槽に仕込み、触媒の存在下で(b2)を徐々に滴下し、熟成することによって得られる。反応および熟成温度は、通常30〜120、好ましくは50〜90℃である。滴下時間は、通常1〜12時間程度、熟成は、通常1〜6時間程度である。
反応に使用する触媒としては、公知のものが使用でき、アルカリ触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、ハイドロタルサイト系触媒(商品名:KW500SH、協和化学工業(株)製等)、酸性触媒(三フッ化ホウ素、過ハロゲン酸(塩)、硫酸(塩)、リン酸(塩)および硝酸(塩)等)および金属アルコラート触媒(ナトリウムメチラート、カリウムブチラート等)等があげられる。これらの触媒は2種以上を併用して使用してもよい。これらの触媒の添加量は、(b1)と(b2)の合計総質量に対し、通常0.01〜8%である。これらの触媒のうち、アルカリ触媒および酸性触媒であることが好ましく、酸性触媒であることがさらに好ましく、三フッ化ホウ素であることが最も好ましい。
前記(b1)と(b2)の反応モル比[(b1)/(b2)]は、特に制限されないが、防縮性の観点からは、3/1〜1/3であることが好ましく、2.5/1〜1/2.5であることがより好ましい。
(B)は、そのまま使用しても良いが、繊維への付与効率の観点から通常エマルション化して、水性乳化液として使用する。エマルション化する方法は特に限定されず、公知の方法が適用できる。また、エマルション化のための乳化剤(ノニオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等)を併用しても良い。乳化剤の使用量は、通常(B)の総質量に対し1〜50%である。乳化剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤(高級アルコールのEO付加物、アルキルフェノールのEO付加物等)、アニオン性界面活性剤(高級アルコールの硫酸化物ナトリウム塩、アルキルスルホネートナトリウム塩等)、カチオン性界面活性剤(アルキルアミンおよびその金属塩等)および両性活性剤(ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤等)等があげられる。これらのうち、ノニオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤であることが好ましく、ノニオン性界面活性剤であることがより好ましい。なお、これらの乳化剤は、2種以上を併用して使用してもよい。
本発明の防縮加工剤を構成する(A)と(B)の質量比[(A)/(B)]は、十分な防縮効果を得るためには、純分(水等の溶媒を除いた有効成分換算。以下純分という場合は同様のことを意味する)比で、5/95〜99/1であることが好ましく、10/90〜95/5であることがより好ましい。
本発明の防縮加工剤は、繊維に処理することで十分な防縮効果を得ることができるが、製品としての風合いを良好とする観点や、さらなる引き裂き強度の向上を目的として、さらに、アミノ変性シリコーン(c1)、高級脂肪酸アミド(c2)、アルキルスルホコハク酸エステル塩(c3)、高級脂肪酸エステル(c4)からなる群より選ばれる一種以上の化合物を含有する繊維用柔軟剤(C)が含まれることがより好ましい。
(c1)は、少なくとも1個以上のアミノ基で変性されたポリシロキサンであって、アミノ基の数や置換の位置(側鎖変性、片末端または両末端変性、および、これらが同時に変性されたもの)等は限定されない。また、アミノ基以外の非反応性および/または反応
性の置換基(例えばアルキル基、ポリアルキレングリコール基、パーフルオロアルキル基、エステル基、水酸基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基等)が含まれていても良い。(c1)の分子量は、通常300〜100万、好ましくは1000〜50万である。また、耐熱性や柔軟性の観点から、(c1)のアミノ当量は通常300〜50,000、好ましくは800〜30,000である。(c1)の25℃における粘度(mm2
s)は通常10〜100,000、好ましくは、30〜50,000、より好ましくは、500〜30,000である。
(c2)は、高級脂肪酸とアミノ基を有する化合物との反応によって得られる高級脂肪酸アミドであって、ポリエチレンポリアミン高級脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンポリエチレンポリアミン高級脂肪酸アミドやこれらの尿素縮合物、アルキルクロライド4級化塩、モノクロル酢酸付加両性化合物、イミダゾリニウム塩等があげられる。
(c2)の各構成成分であるポリエチレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等があげられ、これらのうち好ましいものは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンである。また、(c2)にポリオキシアルキレンが含まれる場合は、上記のポリエチレンポリアミンにアルキレンオキシドを1種以上付加して得られるものがあげられ、これらのうち好ましいものは、EO、およびEOとPOを併用して付加して得られるポリオキシアルキレンである。EOとPOを併用する場合の混合質量比(EO/PO)としては、柔軟性や製品外観の観点から10/1〜1/1が好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数は、通常1〜50モルである。
(c2)のもう一つの各構成成分である高級脂肪酸としては、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然油脂由来のものが一般的であるが化学的に合成した高級脂肪酸も使用できる。これらのうち好ましいものは、柔軟性の観点から、ヨウ素価が50以下で炭素数が12〜24の高級脂肪酸である。
(c2)を各々構成するポリエチレンポリアミンまたはポリオキシアルキレンポリエチレンポリアミンと高級脂肪酸の反応モル比(ポリエチレンポリアミンまたはポリオキシアルキレンポリエチレンアミン/高級脂肪酸)は、柔軟性や吸水性の観点から、通常1/1〜1/2.5、好ましくは、1/1〜1/1.8である。
(c3)としては、スルホコハク酸モノまたはジアルキルエステル塩、モノまたはジ(ポリオキシアルキレンアルキル)スルホコハク酸エステル塩、ヒマシ油アルコールスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸のペンタエリスリトールモノ高級脂肪酸エステル塩、ラノリンまたはラノリンアルコールスルホコハク酸エステル塩等があげられる。
(c3)を構成するアルキル基としては、炭素数が通常8〜36の飽和または不飽和のアルキル基があげられる。このアルキル基は、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然油脂由来のものでも、合成系のものでもよい。これらのうち好ましいものは、炭素数12〜24の飽和アルキル基で、特にステアリル基およびセチル基が好ましい。
また、(c3)にポリオキシアルキレン基が含まれる場合は、これらは、アルキレンオキシドを1種以上付加することによって得られる。このアルキレンオキシドとしては、例えばEO、POおよび1,2−ブチレンオキシド等があげられ、これらのうち好ましいものは、EO、およびEOとPOの併用である。アルキレンオキシドの付加モル数としては、通常1〜50モルである。
(c3)の塩を構成する陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、およびアンモニウム、トリエタノールアミン等のアミン類があげられる。これらのうち好ましいものは、アルカリ金属であり、ナトリウムであることがより好ましい。
(c4)は、高級脂肪酸と高級アルコール類との反応によって得られる高級脂肪酸エステルであれば特に限定されない。また、(c4)には、ポリオキシアルキレン基が含まれていても良い。(c4)にポリオキシアルキレン基が含まれる場合、高級脂肪酸、または、高級アルコール類に直接アルキレンオキシドを付加させた後エステル化するか、グリコール類にアルキレンオキシドを付加させて得られるポリエチレングリコール類に高級脂肪酸等を反応させるか、あるいは多価アルコールに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にアルキレンオキシドを付加させることにより得られる。アルキレンオキシドとしては、EO、POおよび1,2−ブチレンオキシド等があげられる。これらのうち好ましいものは、EOおよびEOとPOのランダムまたはブロック付加である。付加モル数は、10〜50が好ましく、水溶性の観点から付加すべきアルキレンオキシドの内50〜100重量%がEOであるのが好ましい。
(c4)を構成する高級脂肪酸としては、例えば、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然油脂由来のものが一般的であるが化学的に合成した高級脂肪酸も使用できる。これらのうち好ましいものは、炭素数が12〜24の飽和および不飽和高級脂肪酸である。具体的には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸等があげられる。
(c4)を構成する高級アルコールとしては、1価アルコール、2価アルコール、3価以上の多価アルコール等があげられる。1価アルコールとしては、炭素数8〜40の飽和、不飽和アルコール等があげられ、具体的にはデシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等があげられる。2価以上の多価アルコールとしては、(B)の構成要素として例示したもの等があげられる。これらのうち、好ましいのは2価以上のアルコールであって、3価以上の多価アルコールがより好ましく、特に好ましいものはグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびソルビトールである。
本発明の繊維用柔軟剤(C)は、上記(c1)〜(c4)を1種以上含有してなる。より良好な風合いを与える観点から、(c1)〜(c4)のうち、(c1)および/または(c2)を含有することが好ましく、(c1)を含有することがより好ましい。2種以上を併用する場合の各々の質量比は、特に限定されない。また、(C)には、その性能を損なわない範囲で柔軟仕上剤として一般的に用いられているせっけん、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型等のカチオン界面活性剤、ベタイン型、アミノ酸型などの両性界面活性剤が含まれていても良い。これらの界面活性剤を用いる場合の添加量は、通常(C)の純分合計に対して純分で20質量%以下である。
繊維用柔軟剤(C)の防縮加工剤中に占める割合は、防縮性を損なわない範囲であれば特に限定されないが、防縮性の維持の観点から、純分で防縮加工剤総質量に基づき0.1〜30%であることが好ましい。なお、(C)は、あらかじめ(C)を単独で水性エマルションとし他の防縮剤と配合しても良いし、他の防縮剤をエマルション化等行う過程で同時に配合してもよい。(C)のエマルション化の方法は特に限定されず、公知の方法が適用できる。例えば、上記(c1)〜(c4)、および必要により上記のイオン性界面活性剤等およびpH調整剤(後述)を錨型攪拌羽根を有する乳化槽に仕込み、60〜100℃にて充分に混合後、同温度の湯あるいはやや低い温度の湯を徐々に仕込み乳化し、これに常温水を加えて希釈し、所望する濃度の(C)を得ることができる。
本発明の繊維用防縮剤には、必要により、一般的に用いられている、香料や消泡剤、抗菌剤および防腐剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤を用いる場合の添加量は、通常防縮剤の総質量[(A)+(B)+(C)+後述の(E)]に基づき0.5質量%以下である。
ウレタン樹脂(A)およびハロヒドリンエーテル化合物(B)、必要により繊維用柔軟剤(C)以外に、その防縮性を阻害しない範囲でその他の任意の成分(E)を併用して良い。(E)としては、以下のようなものがあげられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは2種以上を併用してよい。
(e1)鉱物油、ワックス等の潤滑剤:
25℃における動粘度が10〜3,000cStである鉱物油(例えば、25℃における動粘度が200cStである精製スピンドル油、25℃における動粘度が100cStである流動パラフィン等)、動植物油(例えば、牛脂、マッコウ鯨油、菜種油、ヤシ油、ヒマシ油等)、アミノ変性以外のシリコーン化合物(例えば、ジメチルポリシロキサン、フェニル変性シリコーン等)、天然および合成ワックス(例えば、カルナバワックス、みつろう、融点30℃〜100℃のパラフィンワックス及びポリオレフィンワックス[オレ
フィンの炭素数2〜18、Mw=1,000〜10,000のワックス、例えばポリエチレンワックス])等。
(e2)炭素数6〜32のアルキルアミンおよびこれらの炭素数2〜4のAO付加物(例えば、付加モル数1〜40):
トリエチルアミン、ラウリルアミンのEO1モル付加物、ステアリルアミンのEO7モル付加物等。
(e3)帯電防止剤:
炭素数8〜32のアルコールおよびこれらの炭素数2〜4のAO付加物(例えば、付加モル数1〜20)のホスフェート(例えば、ラウリルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、ステアリルアルコールのEO2モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、イソステアリルアルコールのEO7モル付加物のリン酸エステルカリウム塩等)、炭素数9〜90の(チオ)ホスファイト(例えば、トリフェニルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト等)、炭素数8〜32の脂肪酸石鹸(対イオンは、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、アンモニア等)(例えば、ラウリン酸アンモニウム石鹸、オレイン酸カリウム石鹸、ヒマシ油ナトリウム石鹸等)、炭素数8〜32のイミダゾリン系化合物(例えば、ラウリルイミダゾリン、オレイルイミダゾリン等)、炭素数8〜32の硫酸エステル類及びその塩(例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、オレイルアルコール硫酸エステルアンモニウム等)、炭素数8〜32のスルホン酸およびその塩[
但し(c3)に該当するものを除く。例えば、ラウリルスルホネートナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのナトリウム塩等]等。
(e4)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等)、アミン系酸化防止剤[2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等]等。
(e5)紫外線吸収剤:
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤[2−(3,5−ジ−t−アミル)ヒドロキシフェ
ニル等]、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等。
(e6)フッ素化合物:
パーフルオロエタン、パーフルオロオクタン等。
(e7)pH調整剤:
塩酸、次亜リン酸、リン酸、硫酸、低級脂肪酸(炭素数2〜8)及びその誘導体(例えば、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム等)、アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、高級脂肪酸類(ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、ペンタデセニルコハク酸)等。
(e8)その他添加剤:
外観調整剤(エチレングリコール、プロピレングリコール、オレイルアルコール等)、水、消泡剤、蛍光増白剤、増粘剤、香料、抗菌剤および防腐剤等。
その他の成分(E)を使用する場合、配合量(質量%)は、防縮加工剤の全質量に対して0.01〜50%であることが好ましい。
本発明の防縮加工方法は、ウレタン樹脂(A)とハロヒドリンエーテル化合物(B)とを含む繊維用防縮加工剤を用いて繊維の防縮加工を行う加工法である。
本発明の繊維用防縮剤は、そのまま繊維に適用しても良いが、通常繊維への処理の容易さから、(A)および(B)、必要により(C)および/または(E)を、水性乳化液として適宜の割合で水に溶かして適用される。繊維に付与する際には、それぞれ単独で別々に水性乳化液として付与しても良いし、同時にエマルション化して1浴で処理してもよい。水性乳化液の有効濃度は、液の安定性や繊維への処理の容易さから、いずれにおいても通常0.5〜70%、好ましくは1〜50%である。本発明の繊維用防縮剤の水性乳化物のpHは、処理生地の白度や風合いの観点から、いずれにおいても通常4.0〜10.0である。
本発明の繊維用防縮剤の使用量は、処理前の繊維の質量に対して固形分で通常0.001〜30%であり、好ましくは、0.1〜25%である。
本発明の繊維用防縮剤を繊維に付与する方法については特に限定されず、公知の方法が適用できる。また、処理後の乾燥、熱処理等も公知の方法が適用できる。例えばパディング法,スプレー法,浸漬脱液法,コーティング法等で繊維織物や編物に付与後、これを乾燥・熱処理する方法等があげられる。乾燥・熱処理温度は、通常70〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
本発明の防縮加工された繊維は、ウレタン樹脂(A)とハロヒドリンエーテル化合物(B)とを含む繊維用防縮加工剤を用いて防縮加工された繊維である。
本発明の繊維用防縮剤を適用できる繊維としては、特に制限はなく、木綿、ウール、絹、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維およびレーヨン、アセテート等の半合成繊維があげられるが、特に木綿といった天然のセルロース系繊維に対して効果が高い。また、木綿とポリエステル、ウールとポリエステルなどの混紡繊維にも適用できる。これらの繊維が、わた、糸、編織物などの何れの加工形態であっても本発明の繊維用防縮剤は適用できる。なお、これらの繊維は必要に応じて、毛焼、精練、漂白、シルケット加工等の前処理を施してもよく、該繊維は染色又はプリントされていてもよい。
[実施例]
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下、実施例中の部は質量部を示す。
実施例中の試験方法は次の通りである。
(1)防縮性
JIS L−0217 103に準拠して洗濯を行った後、家庭用タンブラー乾燥機に
て乾燥することを1回とし、繰り返し洗濯、乾燥を行った。JIS L−1018 編地の寸法変化 G法に準じ、収縮率(%)を求めた。値が小さいほど防縮性が良好であることを示す。
(2)風合
10人の専門検査員の触感による判定を行った。
◎:非常に良好
○:良好
△:やや不良
×:不良
(3)引裂強さ
JIS L−1018 A法による引裂強さ(ウェール方向)を測定した。
(A1)の製造例−1
温度計および撹拌機を備えた密閉反応槽に、グリセリンにPOを付加した水酸基当量2000、官能基数3のトリオール200部、HDI 14.0部を仕込み、窒素ガスで置換した後、撹拌下105℃で5時間反応してNCO含量=1.3%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを30℃に冷却して、乳化剤として、ノニルフェノールEO20モル付加物10部、重亜硫酸ナトリウム水溶液(重亜硫酸ナトリウム7.0部/水14.0部)およびエタノール176.8部を加え30℃で30分間混合し、反応を完結させた。これに水964.2部を加えて混合し、純分20%のブロックドポリウレタン樹脂(A1−1)を得た。
(A1)の製造例−2
製造例−1と同様の装置に、グリセリンにEOを付加した水酸基当量2000、官能基数3のトリオール200部、HDI 26.5部を仕込み、窒素ガスで置換した後、攪拌下105℃で6時間反応してNCO含量=4.0%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを30℃に冷却して、乳化剤として、ノニルフェノールEO20モル付加物10部、重亜硫酸ナトリウム水溶液(重亜硫酸ナトリウム22.5部/水45部)およびエタノール199.2部を加え30℃で40分間混合し、反応を完結させた。これに水495.8部を加えて混合し、純分35%のブロックドポリウレタン樹脂(A1−2)を得た。
(A1)の製造例−3
製造例−1と同様の装置に、グリセリンにPOを付加した水酸基当量2000、官能基数3のトリオール200部、HDI 35.7部を仕込み、窒素ガスで置換した後、攪拌下105℃で6時間反応してNCO含量=5.8%のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを30℃に冷却して、乳化剤として、ノニルフェノールEO20モル付加物10部、重亜硫酸ナトリウム水溶液(重亜硫酸ナトリウム34.0部/水68部)およびエタノール215.8部を加え30℃で60分間混合し、反応を完結させた。これに水182.4部を加えて混合し、さらにアジピン酸ジヒドラジド2.2部を加えて、純分65%のブロックドポリウレタン樹脂(A1−3)を得た。
(B1)の製造例−1
攪拌棒、コンデンサー、温度計、滴下装置を備えたコルベンに、200部のエチレングリコールを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温した。触媒として三フッ化ホウ素を3部添加し、撹拌混合後、60〜70℃にてエピクロロヒドリンを448部を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間熟成し、ハロヒドリンエーテル化合物(B1−1)を得た。
(B1)の製造例−2
製造例−1と同様の装置を用い、100部のネオペンチルグリコールを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温した。触媒として三フッ化ホウ素を1.8部添加し、撹拌混合後、70〜80℃にてエピクロロヒドリンを90部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて3時間熟成し、ハロヒドリンエーテル化合物(B1−2)を得た。
(B1)の製造例−3
製造例−1と同様の装置を用い、100部のグリセリンを仕込み、撹拌しながら80℃まで昇温した。触媒として三フッ化ホウ素を3.4部添加し、撹拌混合後、80〜85℃にてエピクロロヒドリンを240部を5時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃にて2時間熟成し、ハロヒドリンエーテル化合物(B1−3)を得た。
(C)の製造例−1
アミノ変性シリコーン(アミノ当量2,000,粘度1,000CS:25℃)20部、酢酸2部を錨型攪拌羽根を有する乳化槽に仕込み、50℃にて十分に混合後、同温度の湯(78部)を徐々に仕込み乳化し、純分20%の繊維用柔軟剤(C−1)を得た。
(C)の製造例−2
ジエチレントリアミンとオレイン酸とのアミドの尿素縮合物15部、ラウリルアルコールEO20モル付加物5部を、実施例1と同様の装置にて同様に乳化し、純分20%の繊維用柔軟剤(C−2)を得た。
実施例1〜7、および、比較例1〜7
表1に示す組成で防縮加工剤を作成し、それぞれ実施例および比較例の処理液を処理した。なお、実施例および比較例で使用した繊維、ならびに処理条件は以下の通り。
<使用した繊維>
40番綿100%スムース。
<処理条件>
上記綿スムースを常法にて精練、漂白、染色を行った後、各実施例および比較例の処理液をパディング処理し、処理液をピックアップ率100%で含浸,搾液した後、100℃にて4分間乾燥を行い、引き続き150℃にて3分間乾熱にて熱処理を行った。
各実施例および比較例で得られた繊維の防縮性、風合、引裂強さを表2に示す。
表2から明らかなように、実施例を処理して得られる繊維は防縮性、風合、引裂強さに優れることがわかる。
本発明の繊維用防縮剤は、柔軟性を保持した上で防縮性に優れており、かつ、安全性が高いため、各種繊維製品の防縮仕上げ剤として好適である。


Claims (7)

  1. ウレタン樹脂(A)とハロヒドリンエーテル化合物(B)とを含む繊維用防縮加工剤
    であって、前記(B)が、炭素数2〜15の多価アルコール(b1)とエピハロヒドリン
    (b2)との反応で得られたハロヒドリンエーテル化合物(B1)である繊維用防縮加工
  2. さらに、アミノ変性シリコーン(c1)、高級脂肪酸アミド(c2)、アルキルスル
    ホコハク酸エステル塩(c3)、高級脂肪酸エステル(c4)からなる群より選ばれる1
    種以上の化合物を含有する繊維用柔軟剤(C)を含む請求項1記載の防縮加工剤。
  3. 前記(A)がブロック化剤でブロックされたイソシアネート基を含有するブロックド
    ポリウレタン樹脂(A1)である請求項1または2記載の防縮加工剤。
  4. 前記(b1)と(b2)の反応モル比[(b1)/(b2)]が3/1〜1/3であ
    る請求項1〜3のいずれか記載の防縮加工剤。
  5. 前記(A)と(B)の質量比[(A)/(B)]が5/95〜99/1である請求項
    1〜のいずれか記載の防縮加工剤。
  6. 請求項1〜のいずれか記載の防縮加工剤を用いる防縮加工方法。
  7. 請求項記載の加工法で防縮加工された繊維。
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