JP2618217B2 - 羊毛製品 - Google Patents

羊毛製品

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JP2618217B2
JP2618217B2 JP7109557A JP10955795A JP2618217B2 JP 2618217 B2 JP2618217 B2 JP 2618217B2 JP 7109557 A JP7109557 A JP 7109557A JP 10955795 A JP10955795 A JP 10955795A JP 2618217 B2 JP2618217 B2 JP 2618217B2
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道信 改森
研治 北村
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鐘紡株式会社
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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた保温性もしくは
これに加えて優れた耐光堅ろう度を有し、これらの効果
が繰り返しの洗濯によって損なわれない羊毛製品に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、遠赤外線を利用した新技術が各種
の分野で開発されており、繊維業界においても、合成繊
維や植物繊維からなる布帛に遠赤外線放射物質を付与す
ると保温効果の高い衣料等が得られることが知られてい
る。しかし、単に遠赤外線放射物質を繊維に付着させた
だけでは、洗濯を重ねるにしたがって遠赤外線放射物質
が脱落して経時的に保温効果が薄れていく。そこで、上
記保温効果に洗濯耐久性を与える方法として、遠赤外線
放射物質を含んだ懸濁液もしくは溶液(以下「遠赤外線
放射物質含有液」と略す)にウレタン系,シリコーン
系,尿素ホルマリン系,グリオキザール系,アクリル
系,エポキシ系,アセタール系等の樹脂を添加してから
繊維に付与し、脱水乾燥後に触媒あるいは熱の作用で樹
脂を架橋させて樹脂膜を形成させ、この樹脂によって遠
赤外線放射物質を閉じ込めてしまうという方法が実用化
されている。この方法において、用いる樹脂を、アクリ
ル系,特殊シリコーン系,ポリアクリルアミド系,特殊
ポリエステル系,両性界面活性剤系,四級アンモニウム
塩系,アルキルホスフェート系,カチオン系ポリマー,
水溶性ウレタン,エーテル型非イオン等の中から適宜に
選択するようにすると、種々の水準の洗濯耐久性を得る
ことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような保温効果
を羊毛繊維に付与することが検討されている。しかしな
がら、羊毛繊維は、本来植物性繊維よりも親水性であり
ながらその表面が撥水性をもつエピクチクル層で被われ
ているため、親水性,疎水性の両化学物質に対し親和性
が乏しく、水系処理で羊毛表面に皮膜を形成する物質,
樹脂は現在のところ見いだされていない。
【0004】ただ、皮膜は形成しないが、羊毛表面に塊
状に付着し一部羊毛繊維と化学結合して洗濯に耐久性を
示す樹脂がいくつか見いだされている。例えばSynthapp
retBAP(シンサプレット BAP,バイエル社製)等があげ
られる。これらは、布帛にのみ適用されるもので、繊維
に付着させ乾燥後キュワリングすることにより樹脂間で
の架橋を促進し塊状化させる。この塊状樹脂によって羊
毛繊維間をボンディングさせ、これにより羊毛繊維の移
動を阻止して洗濯時のフェルト収縮を防止するために用
いられる。このような樹脂に遠赤外線放射物質を混合し
て用いることが考えられるが、上記樹脂は、親水性,疎
水性の両化学物質に対し親和性が乏しいという羊毛繊維
の特殊な性質に適合するよう特殊な構造によって親和性
が与えられているため、遠赤外線放射物質を混合すると
上記親和性が損なわれて羊毛繊維への耐久的な付着を示
さなくなる。したがって、これがネックとなり洗濯耐久
性の優れたものは実用化できない。
【0005】また、羊毛表面を改質して親水性にする
と、前記合成繊維や植物性繊維の場合と同様にして水系
のシリコン,ウレタン,ポリエステル等の各種樹脂が適
応でき、これらと遠赤外線放射物質を混合して羊毛に付
与し、繊維表面で樹脂皮膜を形成させることにより繊維
表面に遠赤外線放射物質を固定することができるように
思われる。しかし、羊毛繊維はアルカリにも高温にも弱
いため、前記合成繊維や植物性繊維のように強いキュワ
リング条件を設定することができず、したがって樹脂の
架橋形成が不充分になり耐洗濯性の低いものしか得られ
ない。
【0006】さらに、上記遠赤外線放射物質の中には、
ZnO2 ,ZnO,Al2 3 のように紫外線反射をし
て日焼け防止に役立つとして化粧品等に利用されている
ものがある。そこで、特に、遠赤外線放射物質であって
かつ紫外線反射効果の高いものを羊毛の繊維表面に付与
することができれば、羊毛の弱点である耐光堅ろう度が
向上し、染料の褪色や繊維自体の黄変を防止することが
でき、鮮美色,パステル色を実現できると期待されてい
る。しかし、これについても上記と同様の理由から、実
用化されるには至っていない。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、保温性もしくはこれに加えて耐光堅ろう度に優
れ、しかもこれらの効果が優れた耐洗濯性を示す羊毛製
品の提供を目的とするものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】上記の目的を達成する
ため、本発明の羊毛製品は、表面のクチクル層の少なく
とも一部が除去されている羊毛繊維の表面を、下記の
(A)からなる群から選ばれた少なくとも1つのイオン
変性遠赤外線放射物質をイオン結合により固定させた状
態で樹脂によって被覆したという構成をとる。 (A)TiO2 ,ZnO2 ,ZnO,ZrO2 ,Al2
3 およびSnO2
【0009】
【作用】すなわち、本発明者らは、羊毛繊維に耐久性あ
る保温効果を付与する方法についてさまざまな方向から
研究を進めた結果、羊毛の繊維表面のクチクル層を損傷
もしくは除去して繊維表面に活性なアニオン基を増や
し、そこにカチオン変性遠赤外線放射物質をイオン結合
によって固定し、さらにその上を、羊毛繊維と共有結合
しうるポリアミドエピクロルヒドリン樹脂で被覆する
と、上記カチオン変性遠赤外線放射物質が、繊維表面に
均一に分散した状態で羊毛繊維のアニオン基とイオン結
合して直接固定され、その状態で、共有結合によって羊
毛繊維と強固に結合したポリアミドエピクロルヒドリン
樹脂皮膜によって被覆されるため、遠赤外線放射物質が
繊維表面から脱落することがなく、優れた耐洗濯性を示
すことを見いだし本発明に到達した。また、上記遠赤外
線放射物質の中でも、特に紫外線反射効果の高いものを
用いると、保温性のみならず、耐光堅ろう度にも優れた
羊毛製品が得られることがわかり、その用途が拡大され
ることがわかった。
【0010】つぎに、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の対象とする羊毛製品とは、羊毛繊
維によって形成されたスライバー,ばら毛,糸,織り
地,編み地等の各種形態の繊維製品を示す。
【0012】本発明の羊毛製品は、上記羊毛繊維製品の
繊維表面を、例えばつぎの(1)〜(3)の工程で加工
して遠赤外線放射物質を付与したものである。
【0013】(1) 羊毛繊維表面の改質
【0014】塩素もしくは酸素酸化により羊毛繊維表面
にアニオンあるいはカチオンもしくはその双方を生じさ
せて親水性を与える。すなわち、羊毛繊維の表面スケー
ルのうち最外層であるエピクチクル層を損傷もしくは溶
出除去して羊毛繊維表面の撥水性を除去し、さらに中間
層であるエキソクチクル層にも損傷を与えて羊毛繊維表
面にアニオン,カチオンを生じさせ、その表面を最内層
であるエンドクチクル層と同程度の親水性にする。通
常、エキソクチクル層はエンドクチクル層よりも親水性
が小さく、この差異に由来するバイメタル作用により水
中でクチクル層がまくれて繊維が絡み合い、フェルト化
現象が生じる。したがって、上記のように両層の親水性
を同程度にすると、上記フェルト化が解消し、繊維表面
のぬれ性が大幅に改善されることになる。
【0015】なお、上記塩素もしくは酸素酸化を行う方
法としては、例えば公知のクロイ加工機を用いて塩素酸
化(通常「塩素化」と称している)する方法をあげるこ
とができる。この方法は、塩素ガスや次亜塩素酸(Na
OCl)等を用いて羊毛繊維の表面スケールのシスチン
やペプチド結合を破壊してイオンを生じさせるもので、
羊毛製品の防縮加工法としてよく知られている。本発明
において、上記塩素酸化を行う場合、その有効塩素量を
1〜6% owf(繊維重量に対する重量、以下同じ)に設
定することが好適である。なお、このような酸化反応に
よって生じる羊毛繊維表面の化学的な変化について示し
ておく。
【0016】 シスチンの酸化
【0017】
【化1】
【0018】 ペプチド結合の切断
【0019】
【化2】
【0020】 亜硫酸塩によるシスチン分解
【0021】
【化3】
【0022】このような改質処理により、羊毛繊維表面
にはアニオン基およびカチオン基が生じ、イオン結合能
力が増大するとともに、ぬれ性が向上する。ちなみに、
通常の羊毛繊維の臨界表面張力は40〜45dyne/cm で
あるが、上記改質によって臨界表面張力を55dyne/cm
以上に高めることができる。したがって、この発明で
は、後述する樹脂皮膜形成時に、臨界表面張力が上記の
値以下の特殊な樹脂を用い、樹脂を羊毛表面に充分に拡
散させることにより、均一かつ強固な樹脂皮膜を形成す
ることができるのであり、これがこの発明の大きな特徴
である。
【0023】なお、この改質処理は、スライバー,ばら
毛,糸,織り地,編み地等、どのような形態の羊毛製品
に対しても行うことができる。
【0024】(2) カチオン変性遠赤外線放射物質の
羊毛繊維表面への結合
【0025】上記のようにして改質された羊毛に、イオ
ン変性、例えば、カチオン変性した遠赤外線放射物質を
供給し、羊毛繊維表面のアニオン基にカチオン変性遠赤
外線放射物質をイオン結合させる。これによって、カチ
オン変性遠赤外線放射物質は、繊維表面に、直接、かつ
強固に固定される。しかも、繊維表面のアニオン基があ
るところに、遠赤外線放射物質が均一に分散した状態で
結合するため、結合した遠赤外線放射物質の分布が偏ら
ない。これが、本発明の大きな特長である。この結合反
応は、例えばスライバー等の羊毛製品をパッケージ染色
するのと同様の要領でカチオン変性遠赤外線放射物質含
有液を反応させることにより行うことのできる。上記カ
チオン変性遠赤外線放射物質含有液とは、カチオン変性
された遠赤外線放射物質が、水等の分散媒に懸濁状態も
しくはゾル状態で分散する分散液もしくは水溶液であ
る。このようなカチオン変性遠赤外線放射物質含有液と
しては、例えば市販されているカチオン変性酸化ジルコ
ニア溶液(PCY−1,日興化学研究社製)やカチオン
変性酸化アルミニウム溶液(PCY−2,日興化学研究
社製)等があげられる。なお、カチオン変性遠赤外線放
射物質とは、TiO2,ZnO2 ,ZnO,ZrO2
Al2 3 ,SnO2 の遠赤外線放射物質をカチオン変
性させたもので、特に製品の耐光堅ろう度を向上させた
い場合には、これらの中でも紫外線反射効果の高いZn
2 ,ZnO,ZrO2 等を用いることが好適である。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよ
い。また、種類の異なるカチオン変性遠赤外線放射物質
含有液自体を混合使用するようにしてもよい。
【0026】ただし、用いる遠赤外線放射物質の粒子径
は、100mμ(ミリミクロン)以下、特に5〜50m
μ程度に設定することが好適である。すなわち、粒子径
が小さすぎると羊毛への吸着の安定性に問題があり、逆
に50mμより大きいものでは粗剛感が強くなるととも
に遠赤外線放射物質が羊毛繊維表面から離脱しやすくな
る傾向が見られるからである。また、羊毛繊維に対する
遠赤外線放射物質の配合量は、0.1〜3.0% owf、
特に0.4〜2.0% owfに設定することが最適であ
る。この範囲内で、特に好ましい保温効果あるいは優れ
た耐光堅ろう度が得られる。
【0027】(3) 樹脂によるカチオン変性遠赤外線
放射物質の充填固定
【0028】上記のようにしてカチオン変性遠赤外線放
射物質が結合された羊毛に、親水性が改質された羊毛繊
維と共有結合しうるポリアミドエピクロルヒドリン樹脂
を供給し、上記遠赤外線放射物質ごと羊毛繊維表面を被
覆する樹脂皮膜を形成させて、遠赤外線放射物質の外側
を被覆して羊毛繊維表面に固定させる。上記樹脂皮膜
は、共有結合によって繊維表面と強く一体化されている
ため、上記遠赤外線放射物質は強固に固定される。な
お、形成させる樹脂皮膜の厚みは15〜150mμ、特
に100mμ前後にすることが好適である。上記厚みを
実現するためには、用いるポリアミドエピクロルヒドリ
ン樹脂の配合量を、0.3〜3.0% owf、特に0.6
〜2.0% owfに設定することが好適である。
【0029】上記ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂
は、アゼチジニウムカチオンを有し、かつ水膨潤性を備
えている。
【0030】上記アゼチジニウムカチオンとは、下記に
示すような四級アンモニウムカチオンで、アニオン基と
共有結合を形成しやすい構造を有している。
【0031】
【化4】
【0032】このようなアゼチジニウムカチオンを有
し、かつ水膨潤性を備えるポリアミドエピクロルヒドリ
ン樹脂としては、ハーコセット57(ディック・ハーキ
ュレス社製、分子量6000〜10000)やポーラミ
ンE−125,ポーラミン300XC(ともに東邦化学
社製、分子量8000〜11000)等があげられる。
これらの樹脂の臨界表面張力は50〜54dyne/cm 程度
であり、前記改質された羊毛繊維(臨界表面張力が55
dyne/cm 以上)とのなじみ性がよい。そして、これらの
樹脂の構造中に存在するアゼチジニウムカチオンが前記
改質された羊毛繊維の下記に示すスルホン酸基,カルボ
キシル基等と強力な共有結合を形成して耐久性の高い樹
脂皮膜を形成する。
【0033】
【化5】 −SO2
【0034】
【化6】 −COO
【0035】したがって、前記カチオン変性遠赤外線放
射物質はこの樹脂皮膜に包みこまれて容易に羊毛繊維表
面から脱落することがなく、洗濯等を繰り返してもその
特性が変化することがない。さらに、樹脂自体が高度に
水膨潤性に富んでいるため、洗濯時には樹脂が吸水して
膨潤し、水系で羊毛繊維が充分に柔軟性を示すようにな
る。したがって、遠赤外線放射物質の固定部分に無理な
荷重がかからない。
【0036】なお、上記カチオン変性遠赤外線放射物質
の結合とポリアミドエピクロルヒドリン樹脂による遠赤
外線放射物質の充填固定は、上記のように別工程で行っ
てもよいが、同時に行っても何ら差し支えない。
【0037】このようにして得られた羊毛製品は、遠赤
外線放射物質の固定によって通常の羊毛製品では得られ
ない保温効果を有し、その保温効果が洗濯を繰り返して
も損なわれることがないという特長を有する。したがっ
て、本来羊毛製品は水洗いに不向きとされていたが、こ
の羊毛製品は水洗いが可能であり、取り扱いが容易であ
る。また、上記遠赤外線放射物質として紫外線反射効果
の高いものを用いると、上記保温性が加味されるのみな
らず、従来の羊毛製品では得られない優れた耐光堅ろう
度が付与される。すなわち、従来の羊毛製品の染色加工
品は、鮮美色,パステル色について耐光堅ろう度基準3
級確保が限界であったが、ZnO2 ,ZnO,ZrO2
等を本発明の方法で付与したものは、耐光堅ろう度が向
上し、堅ろう度基準4級を確保することができる。した
がって、より鮮明な色を長期にわたって維持することが
できファッション性の高い外衣品となりうる。
【0038】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0039】
【実施例1】まず、羊毛スライバーに下記の条件で塩素
処理を施した。
【0040】有効塩素量:2% owf 処理機 :クロイ加工機 処理温度 :10℃
【0041】上記処理によって得られた羊毛スライバー
は、その特性が処理前に比べて下記の表1のように改質
された。
【0042】
【表1】 *:糸(2/48)にしてカバー・ファクター0.41
で編み立てニット天竺とした。そして、このニット天竺
の洗濯収縮率をIWS試験法 TM185に従って測定
した。
【0043】つぎに、上記羊毛スライバーを紡績して2
/48の梳毛糸としたのち、通常のパッケージ染色を行
った。そして、染色に用いたパッケージ染色機を利用
し、ひき続いて下記の条件で羊毛繊維表面にカチオン変
性遠赤外線放射物質を結合させると同時に樹脂皮膜を形
成させた。
【0044】処理液: カチオン変性酸化ジルコニア溶液(PCY−1,日興
化学研究所製) 固形分換算 2.0% owf ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂液(ハーコセット57,テ
゛ィック・ハーキュレス社製) 固形分換算 1.0% owf シリコーン系柔軟剤 固形分換算 0.5% owf 処理温度:20〜25℃ 処理時間:20分 pH:弱酸性(pH5.5〜5.8)で開始し、最終的
に中性〜弱アルカリ性(pH7.0〜7.5)で終了
【0045】そして、上記処理終了後、ブロワー脱水を
行い、ついで熱風乾燥機を使用(90℃,60分間)し
て目的とする梳毛糸を得た。
【0046】
【実施例2】カチオン変性遠赤外線放射物質溶液とし
て、カチオン変性酸化アルミニウム溶液(PCY−2,
日興化学研究所製、固形分換算2.0% owf)を用い、
ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂液を、固形分換算
1.5% owfのものに代えた。そして、遠心脱水(45
00rpm ,1分間)後の乾燥工程において、熱風乾燥機
ではなく高周波真空乾燥機(65℃,45分間)を使用
した。それ以外は実施例1と同様にして目的とする梳毛
糸を得た。
【0047】このようにして得られた2種類の羊毛の梳
毛糸と、未処理の羊毛糸(ウール番手2/48),を用
い、それぞれを同一編機で同一仕様の編地(組織:両面
スムース,目付:350g/m2 )に仕立てた。そし
て、これらについて実用洗濯試験(JIS 0217,104法)を
行い、実用洗濯後の保温効果と風合いを評価した。な
お、保温効果の評価試験は下記のようにして行った。
【0048】<保温効果試験>サーモラボ2型(加藤鉄
工所製)を用い、プレート温度を36.5℃に保ってヒ
ータの消費電力を測定した。環境は20℃×65%RH,
無風状態とした。したがって、保温効果の高いものほど
小さい値となる。
【0049】また、実施例1の編地について、上記実用
洗濯試験の前後でジルコン量を原子吸光法により測定し
た。
【0050】一方、上記各梳毛糸をそれぞれカバーファ
クター0.41で天竺に編み、これらについてIWS TM 1
85法(180分、合格基準:10%未満)に従い洗濯収
縮率を測定した。
【0051】これらの結果を下記の表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】上記の結果から、実施例品は洗濯を繰り返
しても収縮,風合いのいずれも問題がなく、保温効果も
洗濯耐久性を有していることがわかる。
【0054】
【実施例3】まず、羊毛スライバーに下記の条件で塩素
処理を施した。
【0055】有効塩素処理量:5% owf 処理機 :クロイ加工機 処理温度 :10℃
【0056】上記処理によって得られた羊毛スライバー
は、その特性が処理前に比べて下記の表3のように改質
された。
【0057】
【表3】 *:測定は表1と同様にして行った。
【0058】つぎに、上記羊毛スライバーを紡績し、実
施例1と同様にしてパッケージ染色を行った。そして、
染色に用いたパッケージ染色機を利用し、ひき続いて下
記の条件で羊毛繊維表面にカチオン変性遠赤外線放射物
質を結合させた。
【0059】処理液: カチオン変性酸化ジルコニア溶液(PCY−1,日興化
学研究所製) 固形分換算 2.0% owf 80重量%ギ酸 1.0% owf 処理条件:30℃×20分
【0060】つぎに、下記の条件で樹脂加工を施した。
【0061】処理液: ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂液(ハーコセット57,テ゛ィ
ック・ハーキュレス社製) 固形分換算 2.0% owf 処理条件:pH5.5〜5.8で30℃×20分処理
し、pH調整によってpH7.0〜7.5としてからひ
き続き30℃×15分処理した。
【0062】そして、上記処理終了後、ブロワー脱水を
行い、ついで熱風乾燥機を使用(90℃,60分間)し
て目的とする梳毛糸を得た。
【0063】
【実施例4】塩素処理における有効塩素量を2% owfと
した。それ以外は上記実施例3と同様にして目的とする
梳毛糸を得た。なお、この実施例において、塩素処理を
施した段階での羊毛スライバーの改質の程度は、下記の
表4に示す通りである。
【0064】
【表4】 *:測定は表1と同様にして行った。
【0065】
【比較例1】上記実施例3と同様にして羊毛スライバー
の改質を行い、カチオン変性遠赤外線放射物質を付与す
ることなく、そのまま実施例3と同様にして樹脂加工を
行った。
【0066】
【比較例2】上記実施例4と同様にして羊毛スライバー
の改質を行い、カチオン変性遠赤外線放射物質を付与す
ることなく、そのまま実施例3と同様にして樹脂加工を
行った。
【0067】上記実施例3,4品および比較例1,2
品、そして遠赤外線放射物質付与も樹脂加工も行わない
未処理品とを用い、ブランク染色品と、赤色,青色に染
色した染色品とした。
【0068】赤色:Lanasol Red 3G 0.05
% owf 青色:Polar Brill.Blue GAW 0.05% owf (以上、チバガイギー社製)
【0069】これらの染色品の耐光堅ろう度を、JIS L0
842 法にもとづいて測定した。また、IWS試験法のT
M185(180分)にもとづき、洗濯時フェルト収縮
率を求めた。これらの結果を下記の表5にまとめて示
す。
【0070】
【表5】
【0071】上記の結果から、実施例品は比較例品,未
処理品に比べ耐光堅ろう度に優れており、赤や青の鮮明
色相において、従来の羊毛製品では達成困難とされてい
た4級の耐光堅ろう度を実現している。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明の製法による羊毛
製品は、カチオン変性遠赤外線放射物質が、臨界表面張
力55dyne/cm 以上に改質された羊毛繊維表面イオン結
合によって結合され、その状態で、臨界表面張力が上記
羊毛繊維の値以下で繊維に対するなじみ性がよく、しか
も繊維と共有結合によって強固に一体化する特殊な樹脂
で被覆され固定されているため、洗濯によって脱落する
ことがない。したがって、洗濯を繰り返しても遠赤外線
放射物質に由来する優れた保温効果、あるいは紫外線反
射特性に由来する優れた耐光堅ろう度が長く維持される
という、従来実現できなかった効果を実現するものであ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面のクチクル層の少なくとも一部が除
    去されている羊毛繊維の表面を、下記の(A)からなる
    群から選ばれた少なくとも1つのイオン変性遠赤外線放
    射物質をイオン結合により固定させた状態で樹脂によっ
    て被覆したことを特徴とする羊毛製品。(A)TiO 2 ,ZnO 2 ,ZnO,ZrO 2 ,Al 2
    3 およびSnO 2
  2. 【請求項2】 樹脂が、ポリアミドエピクロルヒドリン
    系樹脂である請求項1記載の羊毛製品。
  3. 【請求項3】 イオン変性遠赤外線放射物質が、カチオ
    ン変性遠赤外線放射物質である請求項1または2記載の
    羊毛製品。
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