JP4739558B2 - シリコーンゴムシートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーンゴムシートの製造方法に関し、詳しくは、精密印刷用ブランケットやOA機器の中間転写体等として用いられる、表面が平滑なシリコーンゴムシートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコーンゴムはその表面張力が小さいという性質を利用し、OA機器の中間転写体の表面材料や微細パターンをオフセット印刷するためのブランケット等に用いられており、使用上、その厚み精度を良好とすることやその外表面を平滑とすることが望まれている。このようなシリコーンシートの製造方法としては、コーターを用いる方法、注型による方法、押し出しによる方法、キャストによる方法、およびプレスによる方法等が挙げられる。
【0003】
例えば、特開昭60−260308において、均一の厚みで巻き込み気泡が少なく透明性の高いシートの製造方法が提供されている。
即ち、円筒金型内に熱硬化型シリコーンゴムを注入硬化させて離型面を形成した後、液体エラストマーを注入して遠心形成し、エラストマーのみを剥離して取り出し、切断してシートとする製造方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したコーターを用いる方法等のいずれの方法においても、厚みが薄く均一で平滑なシートを作成することが困難である。また、必要以上のシリコーンゴムを注入しなければならないため、ゴムのロスが大きい。さらには、表面粗さが小さいものを作ることが難しく、製法によっては気泡がシート内に入る場合もあるなどの問題点もある。特に、近年機械の大型化に伴いサイズの大きいシリコーンシートの要求性が高まっているが、大きなシートを作製する場合、加熱に大きなエネルギーを要したりするなど、問題点が顕著に表れてしまう。
【0005】
また、特開昭60−260308に開示の製造方法では、シリコーンゴムを離型層とし、その上のウレタンシートを取り出す方法であるため、シリコーンゴム層のみを金型から取り出して、転写体等に用いることができない。また、離型層とシート層の2層構造としてシートを作成していることから、遠心成形する材料を2回に分けて金型に注入して遠心硬化しなければならす作業に手間がかかる上に、離型層は製品として使用できないため、生産性が悪くなる。さらに、表面粗さが大きいという問題点もある。
【0006】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、大きくて厚みが薄く均一である上に、微少な凹凸もなく外表面が平滑なシリコーンゴムシートを得ることができ、さらには、製造時の工程を効率的にするシリコーンゴムシートの製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
【発明を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、金型を備えた遠心成形機を用い、上記金型内に常温での粘度が0.1Pa・s以上100Pa・s以下の液状シリコーンゴムを注入し、上記金型を5rpm以上3000rpm以下の回転数で、まず常温で3分以上2時間以下回転させた後、40℃以上120℃以下に加熱して5分以上6時間以下回転させながら、金型内周面に沿って、液状シリコーンゴムを硬化させ、上記金型に触れていない面がセルフレベリングにより平滑となるように筒状のシリコーンゴム体を遠心形成し、上記筒状のシリコーンゴム体を金型内周面から剥離して取り出した後、該シリコーンゴム体を切断してシート状にしていることを特徴とするシリコーンゴムシートの製造方法を提供している。
【0008】
このように、金型に触れていない面がセルフレベリングにより平滑となるように遠心成形しているため、筒状のシリコーンゴム体の内周面を平滑にすることができ、シリコーンゴム体を切断してシート状とした際に、シートの少なくとも一面を平滑にすることができる。また、セルフレベリング作用により厚みも均一にすることができる。即ち、本発明の製造方法では、金型の表面粗さにかかわらず、微小な凹凸もなく非常に平滑な面を有し、厚みが均一なシリコーンゴムシートを製造することができる。また、シリコーンゴムのみを遠心成形により成形しているため、精度よく、しかも簡単に製造することができる。
【0009】
上記金型内に注入する液状シリコーンゴムとしては、RTV(室温硬化型)、LTV(加熱硬化型)等が挙げられ、一液の液状タイプ、二液の液状タイプのいずれも用いることができる。
【0010】
上記金型内に液状シリコーンゴムを注入する前に、上記液状シリコーンゴムと同種又は別種の材料を金型内に注入し、上記金型を回転させながら、金型内周面に沿って、上記材料からなる基材を外層として遠心成形した後に、上記基材からなる外層の内周面に沿って、上記シリコーンゴム体を内層として遠心成形することができる。このように、製造されるシリコーンゴムシートを、シリコーンゴム体からなる内層と、上記液状シリコーンゴムと同種あるいは別種の材料の基材からなる外層との2層構造とすることにより、シリコーンゴムシートの強度を向上することができる。
【0011】
同種の材料とは、上記した液状シリコーンゴムとして用いられる材料を意味し、シリコーンゴム体を形成する液状シリコーンゴムと、同一の液状シリコーンゴムを用いてもよい。
別種の材料とは、上記液状シリコーンゴム以外のゴム又は樹脂等を意味し、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、公知のゴム成分及びこれらの混合物が挙げられる。中でも、熱硬化性樹脂が好ましく、特に、耐熱性に優れるという理由により、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましい。その他、ポリウレタン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂等も用いることができる。
【0012】
上記液状シリコーンゴムと同種あるいは別種の材料からなる基材を外層として設ける際、上記基材を成形した後、該基材の内周面にプライマーを塗布することが好ましい。これにより、シリコーンゴム体からなる内層と、上記液状シリコーンゴムと同種あるいは別種の材料の基材からなる外層との密着性を向上することができる。プライマーとしては、市販のシリコーンゴム用プライマーが使用できる。例えば、信越化学(株)製、「プライマーA」、「プライマーT」等が挙げられる。
なお、基材を設けるには、上記のように遠心成形により基材を成形してもよいし、フィルム状とした上記材料を予め金型内に密着させて配置することで液状シリコーンゴム一体に成形してもよい。
【0013】
硬化前の上記液状シリコーンゴムの粘度は、常温で0.1Pa・s以上100Pa・s以下としている。これにより、厚みが均一なシートを精度よく作製することができる。上記範囲としているのは、粘度が100Pa・sより大きいと遠心時のゴムの流動性が悪くなり均一なベルトを得られないという問題があることによる。なお、上記粘度の下限値は0.1Pa・sとしているが、粘度は低いほど好ましい。
【0014】
液状シリコーンゴムには、必要に応じて、溶剤、粘度調整剤を加え、粘度を調整することができる。上記溶剤としては、キシレン、トルエン、ベンゼン等の有機溶剤を使用することができる。上記粘度調整剤としては、シリコーンオイル等を使用することができる。
また、必要に応じてシリカ等の充填剤を混入してもよい。さらに、硬化剤は必須であり、硬化剤を液状シリコーンゴムに混入してから、金型内に注入する。
【0015】
本発明の製造方法によれば、金型の回転速度、シリコーンゴムの粘度等にもよるが、シリコーンゴム体の厚みが0.01mm以上3mm以下、好ましくは0.05mm以上2mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上1mm以下であるようなシリコーンゴムシートを好適に製造することができる。液状シリコーンゴムの必要量を計算して金型内に注入することで、厚みの制御が容易であるため、特に薄膜のシリコーンゴムシートの製造に好適である。また、遠心成形により成形するため、大きなシートであっても、精度良く均一な厚みとすることができる。
【0016】
遠心成形の方法としては、最初に一定時間室温において金型を回転させながら均一にシリコーンゴム層を作製し、その後に加熱して金型を回転させながらシリコーンゴム層を硬化しシリコーンゴム体を得る。このように、温度を段階的に変更して遠心成形することにより均一な厚さのシートを得ることができる。また、回転時に加熱することによりゴムの硬化を効率よく行うことができる。
【0017】
回転時の回転数は遅すぎると、液状シリコーンゴムがたれてきたりすることにより均一な層が作製できなくなることがあるため、硬化前の液状シリコーンゴムの粘度に応じて、均一なシリコーンゴム体が作製できる適切な回転数とすることが好ましい。具体的には5rpm以上3000rpm以下、好ましくは100rpm以上2500rpm以下とする。上記範囲としているのは、回転数が上記範囲より小さいとシリコーンゴムのたれにより均一なシートが作製できないためであり、一方、回転数が上記範囲より大きいと振動等精度の面で、機械的に困難になるという問題があるためである。なお、液状シリコーンゴムを注入してから金型の回転を開始してもよいし、回転している金型中(回転中)に液状シリコーンゴムを注入してもよい。
【0018】
回転時の温度については、シリコーンゴムの種類等に応じて、硬化するために適切な温度に適宜設定することができるが、具体的には、40℃以上120℃以下とする。上記範囲としているのは、温度が上記範囲より小さいとシリコーンゴムの硬化に時間を要するためであり、温度が上記範囲より大きいとシリコーンゴムが劣化したり、冷めるのに時間がかかるという問題があるためである。また、温度は、液状シリコーンゴムを注入して、回転後、時間が経過してから上昇させる。回転後すぐに温度を上昇させると均一な厚みのシリコーンゴム体になる前に、硬化してしまう可能性があるためである。
【0019】
金型の回転時間については、シリコーンゴムの種類や温度等に応じて、適宜設定することができるが、具体的には、5分以上6時間以下、好ましくは10分以上3時間以下とするのが良い。上記範囲としているのは、回転時間が上記範囲より短いとシリコーンゴム体の成形が不十分であるためであり、回転時間を上記範囲より長くしても成形後の性能に影響がないためである。本発明では温度を段階的に変更して遠心成形するので、常温での回転時間は3分以上2時間以下とし、加熱しながらの回転時間は5分以上6時間以下とする。
【0020】
遠心形成したシリコーンゴム体を切断する際は、製造するシリコーンゴムシートの大きさに応じて、切断位置、切断方向、切断回数等を適宜設定することができる。大きな1枚のシートを得るには、奥行き方向に切断するのが好ましい。
【0021】
また、金型に注入すべき液状シリコーンゴムの必要量は、使用する遠心成形機の金型の大きさ及び必要なシリコーンゴム体の厚みから計算することができるので、必要以上に液状シリコーンゴムを使用する必要がなく、生産性が向上し、コスト的にも有利となる。
【0022】
本発明のシリコーンゴムシートの製造方法により、大きくて厚みが薄く均一である上に、微少な凹凸もなく外表面が平滑なシリコーンゴムシートを提供することができる。これにより、上記の優れた特性を有する、大きくて薄いシリコーンゴムシートを容易に得ることができ、精密印刷様ブランケットやOA機器の中間転写体の表面材料等として好適に使用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のシリコーンゴムシートの製造方法により作製されたシリコーンゴムシート20を示す。
【0024】
以下、図2に示す遠心成形機10を用いた、シリコーンゴムシート20の製造方法を示す。まず、液状シリコーンゴム(RTV)に必要に応じて溶剤、希釈剤、硬化剤を加え、粘度を5Pa・sに調整し、シリコーンゴムの溶液を作製する。次に遠心成形機10の金型11の大きさ、及びベルトの必要厚みから、液状シリコーンゴムの必要量を計算し、液状シリコーンゴムを遠心成形機10の円筒状の金型11内に注入する。注入後、金型11を回転数が1500rpmで一定として常温で0.5時間回転させながら、金型11の内周面11aに沿って、金型11に触れていない面がセルフレベリングにより平滑となるように筒状のシリコーンゴム体21を仮成形した後、さらに40℃に温度を上げて、5時間、金型11を回転させながら遠心形成して完全に硬化させている。これにより、図3(A)(B)に示すように、金型11に触れていない内周面21aをセルフレベリングにより平滑とした筒状のシリコーンゴム体21を得ている。
【0025】
筒状のシリコーンゴム体21を金型11から剥離して取り出した後、図4(A)(B)(C)に示すように、奥行き方向に(図中の点線に沿って)シリコーンゴム体21を切断し、シリコーンゴムシート20を得ている。シリコーンゴムシート20は、円筒状のシリコーンゴム体21のセルフレベリングにより平滑とした内周面21aを表面側、シリコーンゴム体21の外周面21bを裏面側としており、その厚みはセルフレベリングにより均一としている。このように、金型11に接していない内周面21aをシリコーンゴムシート20の表面(使用面)とすることにより、厚みが均一で、平滑な表面を必要とする印刷用ブランケット等としてシリコーンゴムシート20を使用することができる。
【0026】
また、遠心成形機10の金型11の大きさは直径30cm×奥行き40cmとしている。そのため、得られたシリコーンゴムシート20は、幅40cm×約90cmとなる。
【0027】
次に、第2実施形態のシリコーンゴムシート30の製造方法を示す。
図5(A)(B)は、第2実施形態のシリコーンゴムシートの製造方法により作製されたシリコーンゴムシート30を示す。
【0028】
まず、ポリイミド樹脂溶液を粘度1Pa・sに調整し、円筒状の金型11に注入し、金型11を回転数が1500rpmで一定として130℃に温度をあげて1時間回転させた後、200℃で1時間500rpmで回転後、さらに300℃で1時間500rpmで回転させながら、金型11の内周面11aに沿って、ポリイミド樹脂を硬化して、ポリイミドからなる基材32を外層として遠心成形している。その後、上記第1実施形態と同様に、金型11内に液状シリコーンゴムを注入し、1500rpmで一定として常温で3時間回転させながら、シリコーンゴムを硬化し、外層であるポリイミド樹脂からなる基材32の内周面32aに沿ってシリコーンゴム体31を内層として遠心形成している。
【0029】
金型11が冷えた後に、シリコーンゴム体31からなる内層とポリイミド樹脂の基材32からなる外層を一体として金型11から取り出して、奥行き方向に切断し、厚さ0.3mmのシリコーンゴムシート30を得ている。
シリコーンゴムシート30は内層である円筒状のシリコーンゴム体31のセルフレベリングにより平滑とした内周面31aを表面(使用面)側、外層である基材32の外周面32bを裏面側としている。
【0030】
このように、シリコーンゴム体の外周面に沿って、耐熱性であるポリイミド樹脂の基材32を設けて2層構造とすることにより、厚みが均一で、表面が非常に平滑なシリコーンゴムシート30の強度を向上させることができる。
【0031】
以下、本発明のシリコーンゴムシートの製造方法の実施例及び比較例について詳述する。
【0032】
(実施例1)
液状シリコーンゴム(RTV)110gをキシレンに溶解した。硬化剤を11g添加し、粘度を5Pa・sとした後、遠心成形機の金型内にこのシリコーンゴム溶液を300g流し込んだ。なお、このシリコーンゴム溶液は、得られるシリコーンゴムシートの厚みが0.3mmであるとして、必要な量を計算して調整した。また、金型の大きさは直径30cm×奥行き40cmとした。金型の回転を開始後、徐々に回転数をあげ、300rpmとなったところで回転数を一定として、室温で0.5時間回転し、その後続けて40℃にて、5時間回転した後、回転を停止した。そのまま金型が冷えるまで放置し、金型が冷えた後に筒状のシリコーンゴム体を取り出し、奥行き方向に切断して、実施例1のシリコーンゴムシート(幅40cm×約90cm)を得た。
【0033】
(実施例2)
ポリイミド樹脂溶液を100g円筒状の金型11に注入し、金型11を回転数が回転数が1500rpmで130℃に温度をあげて1時間回転させた後、200℃で1時間500rpmで回転後、さらに300℃で1時間500rpmで回転させながらポリイミド樹脂を硬化した。
次に、実施例1と同様の液状シリコーンゴムを300g注入し、1500rpmで一定として室温で1時間回転させながら、その後続けて40℃にて、2時間回転した後、回転を停止した。金型が冷えた後に一体となったシリコーンゴム体を取り出し、奥行き方向に切断して、実施例2のシリコーンゴムシート(幅40cm×約90cm)を得た。
【0034】
(比較例1)
二軸で張った長さ90cmのベルト上に、コーターを用いて、幅40cm、厚み0.3mmに、液状シリコーンゴム200g、硬化剤20gをキシレンに溶解させたゴム溶液をコーティングで1周塗ったところで、コーターを離し、硬化後、シリコーンゴムベルトを取り外した。なお、シリコーンゴムシートの作製には、上記配合のゴム溶液を400g使用した。
【0035】
上記実施例のシリコーンゴムシート及び比較例のシリコーンゴムシートについて以下の評価を行った。
実施例のシート及び比較例のシートについて、各々幅方向、長さ方向の厚み24点を測定し、その平均値、及び最大値と最小値との差を各々求めた。
さらに、ベルトの外表面の表面粗さ(10点粗さRz[μm])の測定(6ヶ所の平均)を行った(テンコール社製のものを使用)。
さらに、目視による気泡の有無を観察した。
上記各評価の結果を下記の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示される様に、実施例1のシリコーンゴムシートは、平均厚さ0.30mmであり、厚みの最大値と最小値の差も0.02mmと小さく、厚みのバラツキが少なかった。また、気泡もシート内に入らなかった。即ち、本発明の製造方法により、精度良く、所定の厚みを均一に有するシリコーンゴムシートを得ることができた。
さらに、シートの外表面の表面粗さRzも0.1μm程度とすることができ、平滑な表面とすることができた。
【0038】
また、実施例2のシリコーンゴムシートについても、平均厚さ0.40mm(その内、ポリイミド樹脂の基材厚さは0.10mm)であり、厚みの最大値と最小値の差も0.02mmと小さく、厚みのバラツキが少なかった。また、気泡もシート内に入らなかった。実施例1と同様、本発明の製造方法により、精度良く、所定の厚みを均一に有するシリコーンゴムシートを得ることができた。
さらに、シートの外表面の表面粗さRzも0.2μmとすることができ、平滑な表面とすることができた。
【0039】
一方、比較例のシリコーンゴムシートは、0.3mmの厚みとなる様にコーティングしたにもかかわらず、その平均厚みは0.29mmであり、また厚みの最大値と最小値の差も0.06mmと大きく、厚みの均一性及び精度が劣っていた。また、シート内に気泡が入っているのが観察された。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、金型内に液状シリコーンゴムを注入し、金型と接していない面をセルフレベリングにより平滑として筒状のシリコーンゴム体を形成し、その後切断してシリコーンゴムシートを作製することにより、従来まで困難であった大きくて薄く、かつ厚みが均一で表面が平滑であるシリコーンゴムシートを精度良く簡単に製造することができる。
【0041】
このように、金型と接していないシリコーンゴム体の内周面をシリコーンゴムシートの表面とすることにより、金型の表面粗さにかかわらず、非常に平滑な外表面のシリコーンゴムシートを製造することができる。
さらに、シリコーンゴム単一層でシートを製造することができるので、成形時の加熱も効率的にできるため、成形時間を短くすることができる。
【0042】
従って、本発明により製造されるシリコーンゴムシートは、上記のような特性に優れるため、特に精密印刷用ブランケットやOA機器の中間転写体の表面材料等として非常に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の製造方法により製造されたシリコーンゴムシートが示された斜視図である。
【図2】 遠心成形機の断面図である。
【図3】 実施形態の製造方法により遠心成形した状態の金型で(A)が斜視図、(B)が断面図である。
【図4】 本発明の実施形態の製造方法により製造されたシリコーンゴムシートの工程で、(A)がシリコーンゴム体の斜視図、(B)が(A)において点線でシリコーンゴム体を切断した状態の斜視図、(C)がシリコーンゴムシートの斜視図ある。
【図5】 本発明の第2実施形態の製造方法により製造されたシリコーンゴムであり、(A)が遠心成形したときの断面図、(B)がシリコーンゴムシートの斜視図である。
【符号の説明】
10 遠心成形機
11 金型
20 シリコーンゴムシート
21 シリコーンゴム体
Claims (3)
- 金型を備えた遠心成形機を用い、
上記金型内に常温での粘度が0.1Pa・s以上100Pa・s以下の液状シリコーンゴムを注入し、
上記金型を5rpm以上3000rpm以下の回転数で、まず常温で3分以上2時間以下回転させた後、40℃以上120℃以下に加熱して5分以上6時間以下回転させながら、金型内周面に沿って、液状シリコーンゴムを硬化させ、上記金型に触れていない面がセルフレベリングにより平滑となるように筒状のシリコーンゴム体を遠心形成し、
上記筒状のシリコーンゴム体を金型内周面から剥離して取り出した後、該シリコーンゴム体を切断してシート状にしていることを特徴とするシリコーンゴムシートの製造方法。 - 上記金型内に液状シリコーンゴムを注入する前に、
上記液状シリコーンゴムと同種又は別種の材料を金型内に注入し、
上記金型を回転させながら、金型内周面に沿って、上記材料からなる基材を外層として遠心成形した後に、
上記基材からなる外層の内周面に沿って、上記シリコーンゴム体を内層として遠心成形し、
内層と外層を一体として金型内周面から剥離して取り出した後、該2層構造のシリコーンゴム体を切断して、内層の内周面を表面側、外層の外周面を裏面側としたシート状にしている請求項1に記載のシリコーンゴムシートの製造方法。 - 上記金型内に注入するシリコーンゴムが、二液の液状タイプからなるものである請求項1又は請求項2に記載のシリコーンゴムシートの製造方法。
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