JP4923351B2 - コンドームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンドームおよびコンドームの製造方法に関する。より詳しくは、雄型と雌型を用いたコンドームの成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンドームの原料としては、天然ゴムまたはポリウレタンゴム等の合成ゴムが使用されている。ラテックスゴムによりコンドームを製造する場合においては、コンドームの元型をゴム・ラテックスにゆるやかに浸漬させ、該元型の表面にゴムの皮膜が所定の厚さになるまで滞留させ、ゴム・ラテックスより引き上げ、ゴムの皮膜を形成する浸漬法が知られている。
また、コンドームを構成する弾性材としてポリウレタンゴムを用いる方法も知られている。水系ポリウレタン樹脂分散体にコンドームの元型を浸漬し、乾燥させた後、剥離してコンドームを製造するものである。例えば、特開平7−256665号である。
上記浸漬法により得られたコンドームの皮膜の厚みは略均一であり、該コンドームの先端部は浸漬した液が重力により元型の下部に集まるため、肉厚に構成される。また、これらのコンドームの膜厚は浸漬法を利用するため、一定となるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製法においては、浸漬法によりコンドームを成形するため、皮膜の厚みの調節が困難であり、重力の影響を受ける場合が多い。
さらに、浸漬法を用いる場合には、設備が大掛かりになるとともに、製造工程において、乾燥などが必要となる。このため、製造にかかる時間が長くなるものである。
【0004】
従来から、雄型と雌型で形成されるキャビティー内に合成樹脂を射出し圧縮成形して製造するものがあった。狭いキャビティー内の隅々まで成形材料を分散分布させて、成形品のショートを防止し、成形品内に気泡を残したりさせないためには種々の工夫が必要である。
特に、中でも成形材料の高圧圧入は必要であり、高圧で圧入するものである。またエアー抜きの工夫も重要であった。
さらに、この手法を行うためには、成形品において一定の肉厚を必要とするものである。これは、雄型と雌型とを高い精度で型締することが困難であるとともに、肉薄の成形品を構成する場合には、樹脂の流入するための流路を大きく取ることができない。このため、樹脂の供給圧が上がるとともに、キャビティー内に樹脂が充分に行き渡り難くなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のごとく、円柱状の凹部を有する雌型の凹部に、円柱状の雄型を挿入し、前記雄型と前記雌型との間に充填された成形材によりコンドームを構成する、コンドームの製造方法であって、前記雌型の凹部に前記成形材を供給しながら前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに前記雄型と前記雌型を相対的に回動させて、前記雄型と前記雌型との間に充填された前記成形材により前記雌型もしくは前記雄型の調芯を行うとともに、前記雄型と前記雌型により構成されるキャビティーの開口側より空気を吸引する、ものである。
【0006】
請求項2に記載のごとく、前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに、前記雄型または前記雌型を振動させる、ものである。
【0007】
請求項3に記載のごとく前記雄型と前記雌型との型締めが行なわれていく段階において前記雄型と前記雌型との相対的な回動の回転速度を徐々に遅くする、ものである。
【0008】
請求項4に記載のごとく前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに、前記雄型または雌型凹部の成形材と接する表面に設けられた螺旋状の溝に沿って、前記雌型の凹部に供給される前記成形材の混練を行う、ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1はコンドームの成形過程を示す図、図2は熱硬化性樹脂を用いたコンドームの成形過程を示す図、図3は熱可塑性樹脂を用いたコンドームの成形過程の一例を示す図、図4は雄型と雌型の構成の一例を示す一部断面図、図5は成形されたコンドームの一例を示す図、図6は成形されたコンドームの構成を示す側面断面図、図7は成形装置の構成を示す正面断面図、図8は遊星機構の構成を示す図、図9は成形装置の他例を示す図、図10は雄型の駆動構成の他例を示す図である。
【0010】
本発明の基本的な成形工程の構成について、図1を用いて説明する。
本発明は、雌型2に供給された成形材を、雄型1を挿入することにより、成形物5を得るものである。
雄型1は円柱状に構成されており、下端が半球状に構成されている。雄型1の上端には支軸3が接続されている。
雌型2は略円柱状に構成されており、上面より軸心方向に凹部4が設けられている。凹部4は雄型1より大きく構成されており、雄型1を凹部4に挿入可能に構成されている。この構成において、雄型1および雌型2の形状は特に限定されるものではない。雄型1は雌型2に挿入可能な形状であれば良く、雌型2の凹部4は雄型1の外側面に対して一定の間隔維持できる形状であれば良い。
そして、成形材を雌型2の半球部分に供給し、雄型1を雌型2に挿入することにより、雄型1と雌型2間に成形材を満たし、成形物5を得ることが可能となるものである。
【0011】
コンドームの先端部に相当する雌型2の半球部に成形材を供給して、雄型1の挿入によりコンドームを成形するので、コンドームの先端部のピンホール発生を容易に抑制することができる。
コンドームの先端部に相当する雄型1と雌型2の間には必ず成形材が満たされているため、ピンホールの発生を抑制できるものである。さらに、コンドームの先端部を構成される成形材は、雄型1の挿入により圧縮されるものである。これにより、コンドーム先端部が成形材により密に構成されるので、コンドーム先端部を破れにくく構成できるものである。
【0012】
雄型1の挿入を円滑に行う方法として、雄型1または雌型2、もしくは雄型1および雌型2に、振動もしくは超音波振動を与えたり、回転させたり、加熱したり、表面をフッ素樹脂などにより被装したり、雄型1と雌型2間の空気を吸引することも可能である。
雄型1の挿入時に、雄型1または雌型2を振動させることにより、成形材が型の振動により、雄型1と雌型2の間に充填され易くなるとともに、型と成形材の間において混練作用を発生させることも可能である。
また、成形材が熱可塑性樹脂である場合には、雄型1と雌型2を加熱し、成形材の流動性を向上させることも可能である。雄型1と雌型2の加熱においては、電磁誘導、高周波電磁誘導による加熱を行うことが可能である。なお、雄型1と雌型2の間にマイクロ波を照射し、成形材自体を加熱することも可能である。
雄型1と雌型2により構成されるキャビティーの開口側より、空気を吸引することにより、成形材のキャビティー開口側への移動を促進できる。そして、低圧下で、成形材のコンプレッションを行うので、成形材の流動時に、成形材に含まれるエアー抜きを行うことも可能である。
【0013】
さらに、雄型1または雌型2、もしくは雄型1および雌型2の成形材と接する表面に凹凸を設け、雄型1の挿入による成形材の移動により混練を行うことも可能である。また、凹凸形状、溝、あるいは凸形状のガイドにより、成形材の移動方向を雄型1の挿入方向と平行にならないように(雄型1の挿入方向と交差する方向に、雄型1の挿入方向に交差するとともに型表面に沿う方向に)することも可能である。例えば、雄型1もしくは雌型2の表面に螺旋状の溝もしくは凸部を設けることにより、成形材を螺旋状の溝もしくは凸部に沿って移動させることができる。これにより、成形物端部のバリを減少することができるとともに、成形物における厚みのむらを解消することも可能である。
なお、雄型1と雌型2の配設方向としては、特に限定しないものであり、雄型1と雌型2を横方向に配設することも可能である。また、雄型1を雌型2の下方に配設し、雄型1を上方に移動させながら雌型2内に挿入することも可能である。この場合、重力により成形材を下方に移動し易くできるものである。さらに、雄型1および雌型2を縦方向もしくは横方向に回動させながら成形を行うことも可能である。雄型1を回転中心側に位置させることにより、遠心力を利用して雄型1を雌型2に挿入することも可能であり、成形材の型外への飛び出しを抑制できる。雌型2を回転中心側に位置させることにより、遠心力を利用して成形材をキャビティーの開口側に導き易くなる。
【0014】
雄型1と雌型2の間に、成形材を充填し、雄型1、雌型2の一方、もしくは両方を回動し、雄型1と雌型2の間において成形物5を得るものである。
そして、雄型1を雌型2の凹部4内に挿入することにより、雄型1と雌型2の間に成形材を満たし、肉薄のコンドームを構成するものである。
上記構成において、雄型1および雌型2の形状は特に限定されるものではない。雄型1は雌型2に挿入し、雌型2に対して回動可能な形状であれば良い。雌型2の凹部4は雄型1の外側面に対して一定の間隔維持できる形状であれば良く、特に限定されるものではない。雄型1の回転軸に対して直交する平面において、雄型1の挿入時に、凹部4の内面に対して雄型1の外面が一定の距離に維持可能であればよい。
【0015】
雄型1を挿入する前に、雌型2の凹部4内に成形材を投入される。この後に雄型1を雌型2に挿入される。雄型1が雌型2に挿入されることにより、雄型1と雌型2の間に成形材が充填される。そして、雄型1を雌型2に対して回転させるものである。
雄型1が雌型2に対して回動することにより、雄型1と雌型2の間の成形材に剪断力が掛かり成形材のエアー抜きを行うとともに、成形材が雄型1および雌型2へ密着するものである。
上記構成において、成形材の雌型2への供給方法としては、凹部4の開口側より成形材を供給する方法を用いることが可能である。この他に、雄型1もしくは雌型2に成形材の供給口を設け、その供給口より成形材の供給を行うこともできる。
また、雄型1の雌型2に対する回転は、上述のごとく雄型1を雌型2に挿入し、雄型1と雌型2との間に所定のキャビティーを構成した後に行う他に、雄型1を回転させながら雌型2に挿入することも可能である。
【0016】
雄型1を回転させながら雌型2に挿入することにより、成形材の供給圧を低減できる。
成形材を雌型2内に先に供給する場合には、開放された空間である雌型2の凹部4に成形材を供給するので、成形材の供給に必要となる成形材の押し出しに必要となる圧力を低くできる。これにより、成形材へのエアーの混入を防止できる。さらに、雄型1の挿入に必要となる力を低減でき、成形装置の省力化を行うことができる。
成形材を供給しながら、雄型1を挿入する場合においても、雄型1の回転により、雄型1と雌型2の間に成形材が導入されやすくなる。このため、成形材供給装置の省力化を図ることができるものである。
また、雄型1と雌型2にかかる力を小さくすることができるので、雄型1および雌型2を中空の型とすることも可能である。そして、雄型1および雌型2の内部に加熱装置や成形材供給装置、もしくは型の駆動装置を配設することも可能である。これにより、成形装置を小型化可能である。
さらに、成形材の供給を容易に行うことが可能であるため、成形材の供給精度を向上でき、成形時に発生する成形材の損失を低減することも可能である。
【0017】
成形工程において、雄型1を雌型2に挿入し一定時間回動させた後に、雄型1を取り出すものである。これにより、雄型1と雌型2の間に位置する成形物5を取り出される。
なお、成形物5は雄型1と雌型2の間に位置する状態で硬化させることが可能である。この他に硬化させる方法として雄型1に付着した状態もしくは雌型に付着した状態で行うことが可能である。
成形物5を、雄型1もしくは雌型2に付着させる場合には、雄型1もしくは雌型2の成形物5に接する側の表面処理により行うことにより、選択的な付着を行うことが可能である。
【0018】
成形物5に対する剥離性において、雄型1の剥離性を雌型2より低くすることにより、成形物5が雄型1に付着しやすくなる。これにより、雄型1を雌型2より取り出す際に、成形物5が雄型1とともに雌型2より取り出されることとなる。
成形物5を構成する成形材には一定の粘度を有するものが仕様される。このため、雄型1を雌型2に対して回転させることにより、成形材が雄型1側においてより弾性変形が大きくなる。雄型1と雌型2により構成されるキャビティーは平面断面形状において円形(ドーナツ型)に構成されている。このため、雄型1と雌型2との間において剪断力を受けた成形材が弾性力により縮もうとすると、円の内側(雄型1)に押し付けられる。
【0019】
剥離性の調整方法としては、雄型1と雌型1の回転速度の差を利用することができる。付着させたい側の回転速度を速くすることにより、成形物5を付着させる型を選択することができるものである。前述の如く、成形材は回転する型より抵抗を受け変形する。この変形度合いは型の回転速度に関係するものである。
静置状態より型を回転させることにより、型の回転が成形材に伝達される。この際に、成形材は慣性により始めは静止しているが、回転している型近傍の成形材が変形する。そして、成形材が弾性力により縮む際に型に付着するものである。
なお、雌型2に付着させる場合には、雌型2の回転速度を雄型1より速くし、雌型2の内面近傍の成形材を雌型2に付着させるものである。雌型2と成形物5が密着している場合には、大気圧により成形物5が雌型2に押し付けられるものであり、成形物5が雌型2内に保持されるものである。
【0020】
また、剥離性の調整方法として、雄型1と雌型2の面粗度を調整する方法を取ることも可能である。この方法においては、雄型1の面粗度を雌型2の面粗度より粗くすることによりより、成形材を雄型1に付着しやすくできるものである。
さらに、雄型1と雌型2の、成形材と接触する表面にコーティングを行い、剥離性の調整を行うことが可能である。雄型1と雌型2にコーティングする材質を変えることにより、剥離性を容易に調節することができるものである。
なお、雄型1と雌型2の表面に、微細な凹凸を設けることにより、成形材の導入を円滑にすることが可能となるものである。微細な凹凸のある表面に成形材が接触すると、凸部において成形材が圧縮され、凹部に至ると表面に沿って膨張する。この凹凸のある表面においては、この繰り返しが行われ、成形材が雄型1と雌型2の表面に沿って隙間に円滑に広がるものである。
【0021】
次に、熱硬化性樹脂を用いたコンドームの製造に、本発明を適用した場合について説明する。
熱硬化性樹脂としては、加硫剤を配合したゴム等を利用することができる。架橋剤を用いた熱硬化性樹脂においては、架橋剤が分子間の架橋を行うものである。架橋剤を用いない付加型の熱硬化性樹脂においては、熱硬化性樹脂を構成する分子自体が付加反応により架橋構造をとるものであり、架橋剤を必要としないものである。本発明においては、これらの熱硬化性樹脂全般について利用可能であり、物性の違いによる成形方法の例について説明する。
熱硬化性樹脂の一例として、シリコーンゴムを用いて説明する。
シリコーンゴムは、硬化前のシリコーンゴムコンパウンドの粘度によって、ミラブル型シリコーンゴムと液状シリコーンゴムに大別できる。
ミラブル型シリコーンゴムは、高粘度のシリコーンゴムコンパウンドから成り、硬化剤である加硫剤を配合して加熱硬化するシリコーンゴムである。なお、付加型のシリコーンゴムである場合には加硫剤の配合を必要としない。
【0022】
まず、ミラブル型シリコーンゴムを用いた構成について説明する。
始めに、ミラブル型シリコーンゴムの成形材が雌型2内に導入される。そして、前述のごとく、雄型1を回転させながら雌型2に挿入する。
ミラブル型シリコーンゴムにおいても、雄型1の回転により剪断力を与えながら、雄型1を挿入するので、雄型1を円滑に挿入することができる。そして、成形材であるミラブル型シリコーンゴムは、雄型1と雌型2の間に押し上げられる。
成形材が雄型1と雌型2の間に充填された状態において、雄型1を雌型2に対して回転させることにより、雄型1を雌型2に対して調芯するものである。
これにより、雄型1と雌型2間に隙間なく成形材が充填されるとともに、成形材を均一な薄膜に構成することができるものである。
特に、ミラブル型シリコーンを使用する場合には、混練作用により、分子の配向性が消失して網目状構造の分子配列となって成形製品のゴム性が強化される。更に、シリカなどを混入したシリコーンを使用する場合においても、混練作用により、シリカなどを均一に分散させることか可能であり、成形物の均質性が向上するものである。
【0023】
熱硬化性樹脂を用いた成形過程においては、図2に示すごとく、成形物5を加熱するものである。
成形物5は雄型1とともに雌型2より取り出され、加熱装置7により加熱される。
成形物5が雄型1に付着しているので、雄型1を移動させることにより、成形物5を容易に移動させることができるものである。成形材5として熱硬化成樹脂を用いるので、成形後に加熱により架橋を行うものである。
成形物5は雄型1に装着された状態で加熱装置7である加熱炉に挿入され、架橋が行われる。
成形物5の加熱方法としては、成形物5を装着した雄型1を個別に加熱装置7に挿入するほかに、成形物5を一定数ストックして、同時に加熱する方法や、成形物5を加熱しながら移動させ、移動工程と加熱工程を同時に行う方法等を利用することができる。成形物5の加熱方法としては、この他に、雄型1を高周波誘電により加熱することも可能である。この方法を用いることにより、雄型1の表面を短時間に加熱することが可能となる。そして、雄型1の表面に付着した成形物5を加熱することができるものである。さらには、マイクロ波を成形物5に照射して成形物5自体を加熱することも可能である。
このように構成することにより、成形物の製造にかかる時間を短縮することができ、生産効率を向上できるものである。
なお、成形過程において、雄型1は雌型2より速い回転速度で回転され、雄型1は雌型2より離型性が良い構成となっている。このため、成形物が雄型1に付着しやすく、雌型2より剥がれやすくなるものである。
【0024】
加熱による架橋が行われた後に、架橋された成形物5のピンホール検査が行われる。
ピンホール検査としては、成形物を雄型1に装着したい状態で塩水に浸けて、導通の有無を検出する方法や、成形物を介して放電の有無を検査する放電によるピンホール検査を行うことができる。
特に、成形物の内側に位置する電極と外側に位置する電極とに高電圧をかけ、放電によりピンホールを検査する方法とることにより、成形物を濡らすことなく、検査を行うことが可能である。これにより、成形物を乾燥する時間を省略でき、製造にかかる時間を短くすることが可能である。
【0025】
ピンホール検査が行われた成形物5は、図2に示すごとく、巻き上げ工程において、雄型1より巻き上げられるものである。
成形物5の開口部側端部に、成形物5の巻き上げを行う装置が当接し、成形物5の巻き上げを行う。
巻き上げを行う装置としては、布等により被装された回転体を駆動するものを用いる。回転体を成形体に当節させることにより成形物の巻き上げを短時間に行うことができるものである。
【0026】
次に、熱硬化成樹脂である液状のシリコーンゴムを用いた場合について説明する。
この場合には、成形材を雄型1と雌型2の間に保持した状態で加熱し、成形物を得ることができるものである。この際に、加熱しながら雄型1を回転させることも可能であり、雄型1の回転を停止して成形材の加熱を行うことも可能である。
そして、上述した工程において、加熱の工程を除いて同一の工程により行うことができるものである。
なお、加熱の手法としては、上述のミラブル型に用いた過熱方法を利用することも可能である。
【0027】
次に、熱可塑性樹脂を用いたコンドームの製造に、本発明を適用した場合について説明する。
熱可塑性樹脂としては、ウレタン樹脂等を利用することができる。
熱可塑性樹脂を用いる場合には、まず成形材を加熱し、流動化させた状態で雄型と雌型の間に供給する。成形材の供給方法は、前述の熱硬化成樹脂の供給方法と同様に行うことも可能である。
さらには、雄型もしくは雌型により加熱しながら成形材を流動化させることも可能である。成形材を粉体もしくはペレット状態で雌型内に供給し、雄型と雌型によりはさみ、雄型を雌型に対して回動させる。これと同時に加熱を行うことにより、熱可塑性樹脂により構成される成形材を流動化させ、雄型および雌型により成形を可能とするものである。
雄型および雌型の加熱方法としては、高周波誘導を利用することが可能である。雄型および雌型に高周波の磁界をかけ、雄型および雌型を加熱することにより、雄型および雌型を短時間で加熱可能である。そして、雄型および雌型の表面のみを加熱することが可能であるため、過熱に必要となるエネルギーを小さくすることができ、冷却も容易となる。
【0028】
成形材が導入された雌型内に、雄型が回転しながら挿入され、流動化している成形材が、雌型と雄型の間に充填される。そして、冷却することにより、成形材の流動性が低下する。成形材の流動性が一定値以下となると、成形材を雄型に付着させた状態で雌型より取り出すことが可能となる。なお、流動性は成形材の温度の測定、もしくは冷却にかかる時間より、認識可能である。
雌型より取り出された成形材は充分に冷却され、成形物となる。この後に、成形物に対してピンホール検査が行われ、巻き上げが行われるものである。
なお、成形材の冷却は、雄型が雌型に挿入された状態で行うことも可能である。雄型もしくは雌型を中空構造とすることにより、冷却にかかる時間を減少できる。
【0029】
熱可塑性樹脂を用いてコンドームを製造する際には、上記の構成により、プリフォームを構成することも可能である。
図3において、プリフォーム用の雌型12の凹部13内に、熱可塑性の樹脂を流動状態で供給する。そして、プリフォーム用の雄型11を雌型12に挿入し、回転させる。これにより、プリフォーム用の雄型11と雌型12の間にプリフォームが構成されるものである。
そして、雄型11と雌型12間のプリフォームを冷却し、雄型11とともにプリフォーム15を、雌型12より取り出す。
プリフォーム15を充分に冷却したのちに、プリフォーム15を装着した雄型11を成形型16に挿入し、空気や液体をプリフォーム16内に注入するものである。
これにより、プリフォーム15が成形型16に沿ってブロー成形されるものである。
そして、ブロー成形されたコンドームについて、ピンホール検査などが行われるものである。
上記の構成においても、雄型11と雌型12間の成形材に、型を回転することにより剪断力を加えて、成形を行うので、プリフォーム15へのエアーの混入など防ぎ、プリフォーム15の成形精度を向上できる。
【0030】
次に、コンドームの成形装置の構成について図4を用いて説明する。
まず、図4において、雄型1と雌型2の構成について説明する。
雄型1は略円柱状に構成されている。雄型1の中央部は後端に向けて径が徐所に大きくなる構成をとっている。雄型1の先端部は略円錐形に構成されているものである。先端部は丸みを帯びた円錐形状に構成されており、先端が半球状に構成されているものである。そして、雄型1の後端部は外に広がった形状に個性されている。
雄型1の後端には支軸3が接続されている。支軸3に駆動力を伝達することにより、雄型1を駆動するものである。
雌型2の凹部4は雄型1の外形に沿った構成されている。雌型2の凹部4には雄型1が挿入され、雄型1と雌型2の間に一定の隙間を構成するものである。
垂直に立設した雌型2に雄型1を垂直に挿入し、雄型1を雌型2に対して回動させるので、成形材の上昇位置を一定にできるものである。そして、成形物の開口端において、水平を得ることができるものである。これにより、成形材のロスを低減できるものである。
【0031】
さらに、雄型1の表面および雌型2凹部4表面に、凹部6および凹部7を構成し、コンドームに模様を構成することも可能である。
前述のごとく、雄型1と雌型2の間に成形材を充填し、雄型1を雌型2に対して回転させるので、成形材を充分に行き渡らせることが可能である。
このため、凹部6および凹部7は雄型1および雌型2の表面に容易に構成可能であり、形状においても特に限定されるものではない。
このように、凹部6および凹部7を構成した雄型1および雌型2により、図5に示すようなコンドーム21を容易に構成することが可能となるものである。コンドーム21の表面および内面には、凹凸のある模様21が構成されるものである。
模様21は、図6に示すごとく、コンドーム21の主要部を構成するフィルム状部分24より突出した凸部23により構成されるものである。模様22を凸部23により構成するので、フィルム状部分24の厚みが薄くなることがなく、任意の形状の模様22を構成することが可能となるものである。
【0032】
雄型1および雌型2は中空構造をとることも可能である。
金型を中構造とすることにより、金型により吸収される熱量を減少でき、成形材の加熱および冷却を容易に行うことが可能である。
また、金型を軽量化でき、金型の成形および補修を容易に行うことが可能となる。例えば、金型の重心が軸心と一致していない場合には、金型内部にバランサを配設し、重心位置の調節を行うことが可能である。
さらに、金型を中空構造とし、内部に冷却装置や加熱装置などを配設し、金型による温度調節を行うことも可能である。
【0033】
次に、駆動装置を含むコンドーム製造装置の構成について図7および図8を用いて説明する。
コンドーム製造装置は遊星機構31、雄型32および雌型33により構成されるものである。
雄型32の側面には、螺旋状の溝51が刻設されている。溝51は雄型32の下端部より上部に渡り設けられている。そして、雄型32の先端部には楔状の溝52が刻設されている。
溝51は、雄型32が回動することにより、成形材に対して上昇もしくは下降する力を与えるものである。
雄型32に挿入時に成形材が雌型33の下部に位置する場合には、雄型32を成形材が上昇する方向に回動させるものである。溝51はコンドームの開口側端部に相当する位置まで構成されているので、その位置より上へ成形材を押し上げない。このため、成形されるコンドームの開口側端部を、成形過程において略水平に構成することができるものである。
また、成形材が雌型33の上部より供給される場合には、雄型32を成形材が降下する方向に回動することができるものである。
なお、雄型32の先端部に溝52を構成することにより、雄型32の挿入時に成形材より受ける抵抗を軽減するとともに、成形材を円滑に雄型32および雌型33に沿わせて上昇させることができるものである。
上記構成において、雄型32の側面に溝51のかわりに、突出部を螺旋状に構成することも可能である。
【0034】
次に、遊星機構31の構成について説明する。
遊星機構31により、入力軸34に伝達された駆動力を雄型32および雌型33に伝達するものである。
遊星機構31は雄型32および雌型33の上方に位置している。遊星機構31はアウターケース44により被装されるものであり、遊星機構31のギヤや伝達軸はアウターケース44内に配設されるものである。
遊星機構31において、上部に配設された入力軸34より駆動力が入力されるものである。入力軸34の下端にはサンギヤ35が挿嵌固定されている。サンギヤ35は、側方に位置する遊星ギヤ37・37に歯合している。
遊星ギヤ37はリングギヤ36内に配設されるものであり、リングギヤ36に歯合した構成となっている。遊星ギヤ37・37はギヤ支持体38により回動自在に支持されているものである。ギヤ支持体38は駆動軸39に上端に挿嵌固定されており、駆動軸39の下端には雄型32が接続されているものである。
【0035】
リングギヤ36はインナーケース40の上端に固設されており、インナーケース40の下端にはロッド41を介して雌方33が接続されている。これにより、リングギヤ36に伝達された駆動力を雌型33に伝達するものである。
インナーケース40は駆動軸39を内装する構成となっている。インナーケース40は内側において、軸受を介して駆動軸39を支持する構成となっている。
そして、インナーケース40は、アウターケース44により軸受を介して、回動自在に支持されているものである。
なお、インナーケース40の下部と駆動軸39の間、アウターケース44の下部とインナーケース40の間にはシール部材が配設され、アウターケース44内の潤滑油の流出を防止するものである。
インナーケース40に接続されたロッド41の下端は、雌型33の上より、垂直方向に設けた孔42内に挿入されている。ロッド41は孔42内において、上下方向に摺動自在に構成されている。これにより、雄型32を雌型33に挿入する際にも、雌型33に駆動力を伝達することが可能となる。
【0036】
上記構成において、入力軸34に駆動力が伝達されると、サンギヤ35が駆動される。そして、サンギヤ35に歯合した遊星ギヤ37が駆動され、リングギヤ36の内周に沿って、サンギヤ35を中心に公転する。遊星ギヤ37の公転はギヤ支持体38を介して駆動軸39に伝達される。これにより、雄型32が駆動されるものである。
前記遊星ギヤ37の公転の反力を受けるリングギヤ36は、駆動軸39の回転方向とは反対側に駆動されるものである。これにより、ロッド41を介して、雌型33が雄型32と反対方向に駆動されるものである。
これにより、雄型32と雌型33を互いに異なる方向に回転させることができる。雄型32と雌型33が相対的に回動することにより、雄型32と雌型33の回転速度を高くすることなく、雄型32と雌型33の間に充填される成形材に大きい剪断力を与えることができる。
このため、雄型32と雌型33において、回転による振動を低減することができ、雄型32と雌型33の間により成形されるキャビッティーの精度を向上できる。
【0037】
次に、遊星機構31の他例について、図9を用いて説明する。
図9に示す実施例は、雌型33に回転速度を任意に調節するものである。
図9において、インナーケース40の上部外周がギヤとなっており、該インナーケース40の上部側方に位置するギヤ46に歯合しているものである。ギヤ46の支軸47はアウターケース44に回動自在に枢支されている。
支軸47の上端はアウターケース44の外に突出した構成となっており、支軸47に駆動力を伝達し、ギヤ46を駆動可能に構成しているものである。
ギヤ46はインナーケース40に歯合しているため、ギヤ46の駆動により、インナーケース40の絶対回転速度を調節することが可能となる。このため、雌型33に絶対回転速度を支軸47に入力する駆動力により行うことが可能となる。
このため、入力軸34に伝達される駆動力により、雄型32の雌型33に対する回転速度を調節するものである。
これにより、雌型33の絶対回転速度と、雄型32の相対回転速度を調節可能となるので、雄型32と雌型33の回転制御を容易に行うことが可能となる。
【0038】
次に、図10を用いて、雄型の駆動構成における他の実施例について説明する。図10に示す実施例においては、雄型をダイレクトドライブモータ(DDモータ)により駆動するものである。
図10に示すごとく、雄型1の上部には支軸3が接続されている。そして、支軸3の上端には円盤61の中心が固設されている。
円盤61の周部には永久磁石62が複数個配設されており、永久磁石62の外側には電磁石63が配設されるものである。
電磁石63は図示しないコントローラに接続されている。電磁石63はこのコントローラにより供給される電流量および電流の方向が制御され、永久磁石62近傍の磁場を変化させる。これにより、円盤61を駆動し、雄型1を駆動できるものである。
円盤61の周部に配設した磁石の力により、駆動を行うので、大きなトルクを容易に得ることが可能である。そして、永久磁石62と電磁石63が非接触であるため、雄型1の調芯作用を促進できる。
また、雄型1の駆動方式は、雌型の駆動方式として利用することも可能である。
【0039】
金型の駆動方法としては、他に、支軸3にバネ継手やユニバーサルジョイントを接続し、雄型の調芯作用を促進させることが可能である。
また、支軸3にアルミニウム円板のような導電性の円板を取り付け、アルミニウム円板の上方に電圧コイルを、下方に電流コイルを配設し、渦電流を発生させアルミニウム円板を駆動し、支軸3を介して雄型を回転駆動することも可能である。支軸3にプロペラを装着し、上方より風を当てることにより、雄型を駆動することも可能である。
さらには、雄型と雌型を電極として電圧をかけ、雄型もしくは雌型の延出方向に磁界をかけることにより、成形材自体を雄型と雌型に対して回動させることも可能である。
【0040】
コンドームの製造装置としては、上述した形態のもの以外にも、図11から図12に示すもの、図14、図15に示すものも利用することが可能である。
まず、図11から図12に示す実施形態について説明する。
図11は、本実施形態における成形金型の正面図で、図12は雌型の平面図である。図13は、同実施形態において成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における図12のA−A線断面図である。
【0041】
成形金型101は、互いに接離可能に設けられた雄型110及び雌型130とを有し、図示例では雌型130の基台134が金型装置本体(図示せず)に固定され、雄型110の基台134が金型装置本体に上下動するように設けられている。
【0042】
前記雌型130及び雄型110は、接近した際に両者の間に所定の隙間が形成されるように設けられており、型締めされた際に、この隙間部分が合成樹脂材料を成形するキャビティーとなる。
雌型130の内径及び雄型110の外径は、成形される合成樹脂成形品の円筒状部分に対応すべく、夫々軸心と平行な断面が円形になるように形成されている。雌型130は、図13に示すように内径が軸心に略平行な垂下部分131を有し、その垂下部分131の底側が底方向につれて順次狭まって、底部には溶融した合成樹脂が投入され貯留される貯留部132(凹部)が形成されている。
また、雄型110は、外径が軸心に略平行で前記雌型130の垂下部分131に対応する垂下部分111を有し、その垂下部分111の底側が底方向につれて順次狭まって、更に底方向には前記貯留部32に対応した突出部12が形成されている。
なお、雄型110と雌型130の垂下部分111は成形後の成形品の抜き取りを考慮して下方(雄型110の突出方向)につれて若干径が狭められている。雄型110と雌型130との隙間部分は、0.1mm〜0.3mmの範囲に設けられている。雌型130の開口部分には、余剰の合成樹脂材料を溜めるための溝部133が形成されている。
【0043】
前記雌型130の基台134には、基台134に載置固定された台座部135aと、この台座部135aに載置固定された立設部135bとから成る雌型ホルダー135が固定されている。
雌型ホルダー135は、台座部135aが四隅の固定具136により固定されることにより、基台134に固定されている。そして、雌型ホルダー135には、ベアリング105を介して前記雌型130が軸心を中心として回転可能に保持されている。このため、雌型130は、基台134に軸心を中心として回転可能に保持されている。また、ベアリング105の若干の遊びにより、軸心と垂直な方向に移動自在に設けられている。
つまり、雌型130は、図に示す左側に力が作用した際にベアリング105の遊びの範囲内で左側に移動することができる。
【0044】
雌型130には回転モータ等の駆動手段を有する回転駆動機構107が連結されている。この回転駆動機構107は、図示例ではスプロケット107b、チェーン107c及び回転モータ107aからなっている。具体的には、雌型130にスプロケット107bが固着され、このスプロケット107bには図11及び図12に示すように回転モータ107aに巻回されたチェーン107cが巻回されている。そして、回転モータ107aの駆動により雌型130が回転するように設けられている。
この回転モータ107aはCPU等からなる制御部(図示省略)によりその駆動が制御されている。なお、回転モータ107aは雌型130の基台134にフランジ部材を介して固定されている。また、前記雌型ホルダー135にはスプロケット107bと干渉しないように切り欠き部135cが形成されており、この切り欠き部135cは雌型ホルダー135の立設部135bの底部に2箇所形成されている。
【0045】
また、雌型130の基台134には、雌型130の中央部の貯留池132に成形樹脂材料を投入するための材料供給ノズル(図示省略)が雌型130の開口部に向けて出退可能に取付けられている。該材料供給ノズルの出退を行う駆動機構も前記制御部によりその駆動が制御されている。材料供給ノズルとしては、従来周知の適宜のものを採用することが可能である。
【0046】
前記雄型110の基台114には、四隅の固定具116により台座115が載置固定されており、この台座115には中央部に孔部115aが形成されており、雄型110はこの孔部115aに嵌合されて基台114に固定されている。
【0047】
また、雄型110及び雌型130は、夫々加熱冷却手段により、その成形面の温度が調整されるように設けられており、この加熱冷却手段も前記制御部により制御されている。
図示例において、雌型130は隣接する雌型ホルダー135によって加熱冷却され、雌型ホルダー135は内部に形成された流通孔に流体が循環されることにより加熱冷却されるように設けられている。また、雄型110は台座115によって加熱冷却され、雄型ホルダー115は内部に形成された流通孔に流体が循環されることにより加熱冷却されるように設けられている。
さらに、雄型110は中空状に形成され、その内部の空間部118には管路117の流出口が突出して設けられている。この管路117は、雄型110の底面部及び台座115の底面部に形成された溝部内に嵌めこまれ、台座15の外部へと表出しており、この管路117は、雄型冷却加熱用の流体の給排用に用いられる。
なお、本実施形態においては、空間部118には前記管路117から流体が流入され、雄型110に形成された流出口(図示省略)から流体が排出されるように構成されている。
【0048】
この実施形態における成形金型101は上記構成からなるが、次にこの成形金型101を用いて、例えばポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなる成形品の成形方法について説明する。
【0049】
まず、雄型110及び雌型130を離反して型開き状態として、高周波加熱等により予備過熱された合成樹脂材料を材料供給ノズルから雌型130内に投入する。この投入された合成樹脂材料は貯留池132に貯留される。
【0050】
そして、材料供給ノズルが雌型130の開口部から離反した後に、雄型110を雌型130内に進入させて、型締めを開始する。この型締め開始の際には、回転駆動機構107を駆動させて、雌型130を回転させておく。また、型締めを行う際には雄型110及び雄型110の成形面が所定温度となるように加熱冷却手段を制御する。具体的には、型締め開始時には、成形材料の流動性が高まるように架橋反応が起こらない程度に加熱する。その後雄型110が雌型130内に一定距離進入した段階で、成形面と接触している合成樹脂材料が硬化する程度に更に加熱する。
またこの型締めの段階において、相対回転する雄型110及び雌型130の夫々の成形面に接触し硬化した成形樹脂層同士が互いに接触して、両者の軸心にズレが生じている場合には雌型130が軸心と直交方向に微小移動し、自己調芯がなされる。
【0051】
上記型締めが行われている段階において、雌型130の回転速度を徐々に遅くなるように制御し、型締め完了時には雌型130の回転を停止させておく。
【0052】
そして、上記型締めが完了した後に、成形材料の熱硬化反応を起こさせるように加熱加圧を行う。なお、上記加熱加圧を行う前に成形材料中の揮発性物質を抜くためのガス抜きを行っても良いが、高周波予備加熱を行っている場合には特に必要はない。
【0053】
上記加熱加圧工程が完了し、合成樹脂がすべて硬化した後に、型開きを行い、成形品を取り出す。なお、型開きの前に成形品を冷却し、冷却工程終了後に成形品を取り出しても良い。また、取り出された成形品にアフターベーキング等の後処理を施しても良い。
【0054】
次に、図14の実施形態について説明する。
図14は成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図である。
【0055】
成形金型101は、互いに接離可能に設けられるとともに型締めされた際にキャビティーを形成する雄型101及び雌型130が、回転駆動機構107によって相対的に回転操作されるとともにキャビティーの軸心に直交する方向に相対的に微小移動可能に構成されている。なお、図示例では雌型130の基台134が金型装置本体(図示せず)に固定され、雄型110の基台114が金型装置本体に上下動するように設けられている。
また、後述するように雄型110が回転駆動機構107によって回転操作されるとともに軸心に直交する方向に微小移動可能に設けられている。
【0056】
この実施形態においては、雄型110の基台114には、基台114に載置固定された台座部119aと、この台座部119aに載置固定された立設部119bとから成る雄型ホルダー119が固定されている。
この雄型ホルダー119は、その台座部119aが四隅の固定具116により固定されて基台114に固定されている。そして、前記雄型110は、雄型ホルダー119にベアリング105を介して軸心を中心として回転可能に保持されて、また軸心に直交する方向に微小移動可能となる。そして、雄型110は回転駆動機構107が連結されており、この回転駆動機構107は、雄型110に固着されたスプロケット107b、該スプロケット107bに券回されたチェーン(図示省略)及びこのチェーンが巻回された回転モータ(図示省略)から構成されている。
【0057】
前記雌型130及び雄型110は、型締めされた際にキャビティーとして機能するものであるが、雌型130の軸心中央部には、射出装置(図示省略)により溶融された成形材料をキャビティー内に射出するゲート109が設けられている。なお、ゲート109に溶融成形材料を供給するランナー138はヒーター等のランナー加熱手段によって加熱されるホットランナー式を採用することが好ましく、また雌型130は二段スプール式の金型から構成することも可能である。
【0058】
また、雄型110及び雌型130は、加熱冷却手段により、その成形面の温度を調整可能に設けられており、雄型110は雄型ホルダー119によって、雌型130は基台134に固定され雌型130を固定する台座139によって加熱冷却されている。なお、上述のホットランナー式のランナーを採用する場合には、ランナー加熱手段は雌型130と隙間をもって配して、ランナー加熱手段による雌型130の成形面の温度変化を防止することが好ましい。
【0059】
すなわち、雄型110と雌型130のうち、回転操作される型が軸心に対して直交する方向に移動可能に設けられているものについて説明したが、これに限定されるものではない。
図15は他の実施形態における成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図である。例えば図15に示すように回転操作される型(図15では雄型110)の他方側の型(図15では雌型130)が直交する方向に移動可能に設けられているものも意図する範囲内である。なお、図15においては圧縮成形による例を図示したが、射出成形による場合も同様である。
【0060】
また、雄型110もしくは雌型130を軸心と直交方向に移動可能に設ける手段は、ベアリング105の遊びを利用するものに限定されるものではなく、例えば図15に示すように一方の型(図15では雌型130)をその基台134にスライド可能に載置することも可能である。図15に示す例においては、雌型130は、基台134のベアリング141(ボールベアリング)上に載置されており、その周囲が基台134の台座ホルダー135に囲まれている。なお、この場合、雌型130には、型締めを行う際に雄型110との衝突を防止すべく予備的な位置決めを行う位置決め手段を設けることが好ましい。
【0061】
さらに、溶融成形材料を射出するためのゲート109が設けられ、雄型110と雌型130とにより射出成形金型101を構成するものに熱硬化性樹脂を射出することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態においては、回転操作される型(雄型110)の他方側の型(雌型130)にゲート109を設けたものについて説明したが、回転操作される型(例えば雄型110)にゲート109を設けることも可能である。さらに、軸心と直交する方向に移動可能に設けられた型(雄型110)の他方側の型(雌型130)にゲート109を設けたものについて説明したが、本願発明はこれに限定されない。すなわち、軸心に直交する方向に移動可能に設けられた型(例えば雄型110)にゲート109を設けることも可能である。さらに、ゲート109は雌型130の軸心中央部に設ける他、雄型110の軸心中央部に設けることも可能である。また、ゲートが、リング状のリングゲートとすること、或いは複数個設けることも可能である。但し、何れの場合においても、ゲートは軸心に対して略均等に配されていることが好ましい。
【0063】
【発明の効果】
本発明のごとく、コンドームを製造することにより、コンドームの先端部に相当する雄型と雌型の間には必ず成形材が満たされているため、ピンホールの発生を抑制できるものである。
さらに、コンドームの先端部を構成される成形材は、雄型の挿入により圧縮されるものである。これにより、コンドーム先端部が成形材により密に構成されるので、コンドーム先端部を破れにくく構成できるものである。
さらに、成形材を構成する高分子の分子配向を解消して、性状の安定したコンドームを構成することができる。さらに、成形材へのエアーの混入を解消できる。
また、コンドームを構成する膜の厚みを、容易な構成により、均一に保つことが可能である。
そして、コンドームの製造にかかる時間を短縮でき、生産性を向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンドームの成形過程を示す図。
【図2】 熱硬化性樹脂を用いたコンドームの成形過程を示す図。
【図3】 熱可塑性樹脂を用いたコンドームの成形過程の一例を示す図。
【図4】 雄型と雌型の構成の一例を示す一部断面図。
【図5】 成形されたコンドームの一例を示す図。
【図6】 成形されたコンドームの構成を示す側面断面図。
【図7】 成形装置の構成を示す正面断面図。
【図8】 遊星機構の構成を示す図。
【図9】 成形装置の他例を示す図。
【図10】 雄型の駆動構成の他例を示す図。
【図11】 成形金型の正面図。
【図12】 同じく雌型の平面図。
【図13】 雌型に雄型を挿入する段階における図12のA−A線断面図。
【図14】 成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図。
【図15】 他の実施形態における成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図。
【図16】 雄型の調芯構成を示す図。
【符号の説明】
1 雄型
2 雌型
3 支軸
4 凹部
5 成形物
31 遊星機構
32 雄型
33 雌型
39 駆動軸
Claims (4)
- 円柱状の凹部を有する雌型の凹部に、円柱状の雄型を挿入し、前記雄型と前記雌型との間に充填された成形材によりコンドームを構成する、コンドームの製造方法であって、
前記雌型の凹部に前記成形材を供給しながら前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに前記雄型と前記雌型を相対的に回動させて、前記雄型と前記雌型との間に充填された前記成形材により前記雌型もしくは前記雄型の調芯を行うとともに、前記雄型と前記雌型により構成されるキャビティーの開口側より空気を吸引する、
コンドームの製造方法。 - 前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに、前記雄型または前記雌型を振動させる、請求項1に記載のコンドームの製造方法。
- 前記雄型と前記雌型との型締めが行なわれていく段階において前記雄型と前記雌型との相対的な回動の回転速度を徐々に遅くする、請求項1または請求項2に記載のコンドームの製造方法。
- 前記雌型の凹部に前記雄型を挿入するときに、前記雄型または雌型凹部の成形材と接する表面に設けられた螺旋状の溝に沿って、前記雌型の凹部に供給される前記成形材の混練を行う、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンドームの製造方法。
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