JP4116745B2 - 多層樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

多層樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、性質の異なる樹脂層を複数積層状に形成してなる多層樹脂成形品の製造方法並びに製造装置に関し、特に、単一の金型で一回の成形工程によって多層構造を得ることのできる新規な製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形法や圧縮成形法により多層成形品を得るための従来の成形方法としては、インサート成形法や多色成形法が知られている。これら従来公知の成形法は、いずれも各層をそれぞれの成形金型と成形工程によって成形している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来方法のように、各層をそれぞれの金型を用いて個別の成形工程によって成形すると、設備コスト、成形コストが増大し、成形品が非常に高価なものとなる。
【0004】
そこで、本発明は、単一の金型を用いた一回の成形工程によって多層成形品を得ることのできる新規な多層樹脂成形品の製造方法並びに製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、多層成形品の各層を構成するそれぞれの成形材料を単純に混ぜ合わせて溶融したブレンド物に剪断力を付与すると、各成形材料の粘度差によって成形時の金型充填中に層状に構成されることを知見した。即ち、射出成形や圧縮成形は、溶融した成形材料を、金型の雄型と雌型との隙間(キャビティ)に流し込み、硬化した後に成形品として取り出すが、金型内で成形材料が流動すると、溶融樹脂材料が金型壁面に触れた直後から冷却されてその粘度が上昇し、その結果、粘度が上昇した材料のすぐ内側の流動中材料との間で常に剪断状態にある。このとき、成形材料が溶融時粘度に差がある混合材料により構成されていると、この剪断現象によって低粘度材料が流動層の外側へ移行し、高粘度材料が流動層の中心(内側)に移行しようとする現象が生じる。かかる知見に加えて、本願発明者らは、単純に射出成形や圧縮成形するときに成形材料に生じる剪断現象のみでは良好な多層構造を得ることはできないため、成形材料の金型充填開始の時点から、金型の雌型及び/又は雄型を高速に相対回転させることによって強烈な剪断力を発生させ、その結果混合材料の積層成形品を得る方法を見出した。
【0006】
即ち、本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、雄型と雌型との間に形成される回転体状のキャビティ(製品成形用空洞部)内に粘度の異なる2種以上の樹脂材料を混合溶融してなる溶融混合樹脂材料を充填し、雄型と雌型とを相対回転することで剪断応力の小さいキャビティの厚さ方向所定部分に粘度の高い樹脂材料の層を形成させるとともに、該高粘度樹脂層の内外に粘度の低い樹脂材料の層を形成させ、かかる多層状態で樹脂材料を硬化させることを特徴とするものである。
【0007】
なお、上記した2種以上の樹脂材料としては、これら複数の樹脂材料のうちの最も高い融点の近傍の温度では相溶性の小さいもの(即ち、非相溶系の組み合わせ)を選択するのが好ましい。一方で、キャビティに充填される際の溶融混合樹脂材料は、2種以上の樹脂材料が均一に混合溶融された均一ブレンド物であることが望ましい。異種のポリマーは、通常は混和し難いが、重合性の界面作用物質である相溶化剤を添加することによって、2種以上のポリマーから所望の性質を有する均一ブレンド物が形成され易くなる。特に、本発明において用いる相溶化剤としては、所定の温度以上で大きな相溶性を示すものが好ましい。これによれば、キャビティ内に溶融混合樹脂材料を射出或いは投入等する際には、この溶融混合樹脂材料の温度を、相溶化剤により大きな相溶性を示す温度にしておくことで、押出機内で分離現象が生じることを解消して、均一ブレンド物の状態でキャビティ内に溶融混合樹脂材料を充填することが可能である。そして、金型に接触して冷却されると相溶性を示さなくなり、上記した金型の相対回転によりキャビティ内の樹脂材料に剪断力を付与することで容易に多層化させることが可能となる。
【0008】
上記本発明の製造方法によれば、単一の金型を用いた一回の成形工程を経ることにより、多層構造を得ることが可能であるから、多層成形品の大幅なコスト低減を図ることが可能となる。
【0009】
一般に、雄型と雌型とを相対回転しつつ溶融混合樹脂材料をキャビティ内に充填すると、金型接触面近傍が最も剪断力が大きくなり、キャビティの厚さ方向中央部が最も剪断力が小さくなる。したがって、上記高粘度樹脂層は、キャビティの厚さ方向中央部に形成される。
【0010】
また、上記本発明の製造方法において、雄型及び雌型を含む射出成形金型により多層樹脂成形品を製造する場合には、キャビティ内への溶融混合樹脂材料の射出・充填は、雄型と雌型との型閉め後であって、雄型と雌型との相対回転開始後に行う。また、雄型及び雌型を含む圧縮成形金型により多層樹脂成形品を製造する場合には、型開きした状態で雌型内に所定量の溶融混合樹脂材料を投入し、雄型と雌型とを相対回転させつつ型閉めを行う。
【0011】
上記本発明の製造方法は、次の製造装置によって実施することが可能である。即ち、本発明の多層樹脂成形品の製造装置は、雄型と雌型とを型締めすることで回転体状成形品を成形するためのキャビティが形成される成形金型と、雄型と雌型とを相対的に回転駆動する回転駆動機構と、前記キャビティ内に、粘度の異なる2種以上の樹脂材料を混合溶融してなる溶融混合樹脂材料を供給する溶融混合樹脂材料供給手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
回転駆動機構は、雄型及び雌型の何れか一方をその軸心回りに回転駆動するものとすることができる。これによれば、雄型と雌型の一方のみに回転駆動機構を設ければよいから、装置構造の簡素化が図られるとともに、ゲートやスプルーなどの設計の自由度を大きくすることができる。
【0013】
なお、成形金型が射出成形型である場合、雄型若しくは雌型には、溶融混合樹脂材料を射出するためのゲートを、軸心に対して略均等に設けることが好ましい。また、成形金型は圧縮成形型である場合には、該成形金型には、型開き時に雌型の軸心中央部に溶融混合樹脂材料を投入する材料供給ノズルを付設する。
【0014】
なお、本願発明において成形品は合成樹脂成形品が好ましく、特に射出成形法、圧縮成形法に好適に用いられる。また、成形品としては最終成形品のみならず、その後に更に真空成形等の成形加工或いはアフターベーキング等の二次加工が施されるもの(パリソンなど)も含まれる。成形品は軸心方向に沿って径が略一定である円筒状部分を有するものに限られず、軸心方向に沿って順次径が減少・増加する断面テーパー状の部分を有するもの、或いは皿状形状の部分を有するもの等も含まれる。
【0015】
上記回転駆動機構は、雄型と雌型とを相対的に回転駆動するものであればどのような構成を採用してもよく、例えば、雄型と雌型の両者を回転駆動するものでもよいし、雄型と雌型のいずれか一方を固定し、他方を回転駆動するものでもよい。具体的には、例えば、回転駆動機構は、雄型をその軸心回りに回転駆動するものとすることができる。また、回転駆動機構は、雌型をその軸心回りに回転駆動するものとすることもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず第1実施形態として、円筒状部分を有する有底形状の多層樹脂成形品を所謂圧縮成形法により成形する成形金型を有する製造装置を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る多層樹脂成形品の製造装置2の簡略全体図を示しており、該装置2は、圧縮成形金型1と、該金型1へ溶融混合樹脂材料(成形材料)を供給する混練押出機3と、該混練押出機3にペレット状の原材料を供給するためのホッパー4とを備えている。このホッパー4には、多層成形品の各層を構成する複数の樹脂材料が供給される。この樹脂材料の組み合わせは、成形品に要求される性能、用途等に応じて種々選択することができ、例えば、ポリオレフィンとナイロンなどとすることができる。なお、各樹脂材料毎にホッパー4を設けてもよく、また、各樹脂材料毎に溶融混練を行い、溶融状態で異なる樹脂材料を混合するように構成することもできる。而して、上記押出機3やホッパー4等により、キャビティ内に粘度の異なる2種以上の樹脂材料を混合溶融してなる溶融混合樹脂材料を供給する溶融混合樹脂材料供給手段が構成されている。
【0019】
上記成形金型1は、図2〜図4に示すように、互いに接離可能に設けられた雄型10及び雌型30とを有し、図示例では雌型30の基台34が金型装置本体(図示せず)に固定され、雄型10の基台34が金型装置本体に上下動するように設けられている。
【0020】
前記雌型30及び雄型10は、接近した際に両者の間に所定の隙間が形成されるように設けられており、型締めされた際のこの隙間部分は合成樹脂材料が硬化するキャビティとなる。ここで、雌型30の内径及び雄型10の外径は、成形される合成樹脂成形品の円筒状部分に対応すべく、夫々軸心と平行な断面が円形になるように形成されている。雌型30は、図4に示すように内径が軸心に略平行な垂下部分31を有し、その垂下部分31の底側が底方向につれて順次狭まって、底部には溶融した合成樹脂が投入され貯留される貯留部32(凹部)が形成されている。また、雄型10は、外径が軸心に略平行で前記雌型30の垂下部分31に対応する垂下部分11を有し、その垂下部分11の底側が底方向につれて順次狭まって、更に底方向には前記貯留部32に対応した突出部12が形成されている。なお、雄型10と雌型30の垂下部分11は成形後の成形品の抜き取りを考慮して下方(雄型10の突出方向)につれて若干径が狭められている。また、雌型30の開口部分には、余剰の合成樹脂材料を溜めるための溝部33が形成されている。
【0021】
前記雌型30の基台34には、基台34に載置固定された台座部35aと、この台座部35aに載置固定された立設部35bとから成る雌型ホルダー35が固定されている。この雌型ホルダー35は、その台座部35aが四隅の固定具36により固定されることにより、基台34に固定されている。そして、雌型ホルダー35には、ベアリング5を介して前記雌型30が軸心を中心として回転可能に保持されている。このため、雌型30は、基台34に軸心を中心として回転可能に保持されている。
【0022】
また、雌型30には回転モータ等の駆動手段を有する回転駆動機構7が連結されている。この回転駆動機構7は、図示例ではスプロケット7b、チェーン7c及び回転モータ7aからなり、具体的には、雌型30にスプロケット7bが固着され、このスプロケット7bには図2及び図3に示すように回転モータ7aに巻回されたチェーン7cが巻回されており、回転モータ7aの駆動により雌型30が回転するように設けられている。この回転モータ7aはCPU等からなる制御部(図示省略)によりその駆動が制御されている。なお、回転モータ7aは雌型30の基台34にフランジ部材を介して固定されている。また、前記雌型ホルダー35にはスプロケット7bと干渉しないように切り欠き部35cが形成されており、この切り欠き部35cは雌型ホルダー35の立設部35bの底部に2箇所形成されている。
【0023】
また、雌型30の基台34には、雌型30の中央部の貯留池32に成形樹脂材料を投入するための材料供給ノズル(図示省略)が雌型30の開口部に向けて出退可能に取付けられている。この材料供給ノズルの上流端は、上記押出機3の下流端に接続される。このような材料供給ノズルとしては、従来公知の適宜のものを採用できる。なお、該材料供給ノズルの出退を行う駆動機構も前記制御部によりその駆動が制御されている。
【0024】
前記雄型10の基台14には、四隅の固定具16により台座15が載置固定されており、この台座15には中央部に孔部15aが形成されており、雄型10はこの孔部15aに嵌合されて基台14に固定されている。
【0025】
また、雄型10及び雌型30は、夫々加熱冷却手段により、その成形面の温度が調整されるように設けられており、この加熱冷却手段も前記制御部により制御されている。図示例において、雌型30は隣接する雌型ホルダー35によって加熱冷却され、雌型ホルダー35は内部に形成された流通孔に流体が循環されることにより加熱冷却されるように設けられている。また、雄型10は台座15によって加熱冷却され、雄型ホルダー15は内部に形成された流通孔に流体が循環されることにより加熱冷却されるように設けられている。さらに、雄型10は中空状に形成され、その内部の空間部18には管路17の流出口が突出して設けられている。この管路17は、雄型10の底面部及び台座15の底面部に形成された溝部内に嵌めこまれ、台座15の外部へと表出しており、この管路17は、雄型冷却加熱用の流体の給排用に用いられる。なお、本実施形態においては、空間部18には前記管路17から流体が流入され、雄型10に形成された流出口(図示省略)から流体が排出されるように構成されている。
【0026】
第1実施形態における製造装置2は上記構成からなるが、次にこの製造装置を用いて、例えばポリエチレンなどのポリオレフィンとナイロンとのポリマーブレンドから1回の成形工程によって多層樹脂成形品を製造する方法について説明する。
【0027】
まず、雄型10及び雌型30を離反して型開き状態として、溶融混合された均一ブレンド樹脂材料を材料供給ノズルから雌型30内に投入する。この投入された合成樹脂材料は貯留池32に貯留される。
【0028】
そして、材料供給ノズルが雌型30の開口部から離反した後に、雄型10を雌型30内に進入させて、型締めを開始する。この型締め開始の際には、回転駆動機構7を駆動させて、雌型30を回転させておく。
【0029】
型締めの際に、雄型10と雌型30との相対回転を継続して行っていると、ポリオレフィンとナイロンとの溶融時粘度差により、粘度の高いナイロンがキャビティの厚さ方向中央側へ移行し、粘度の低いポリオレフィンがキャビティの厚さ方向方向両外側へ移行していき、混合樹脂材料がキャビティ内で多層化される。そして、成形材料の硬化が進むにつれて雌型30の回転速度を徐々に遅くなるように制御する。
【0030】
成形材料がすべて硬化した後に、型開きを行い、成形品を取り出す。なお、型開きの前に成形品を冷却し、冷却工程終了後に成形品を取り出しても良い。また、取り出された成形品にアフターベーキング等の後処理を施しても良い。
【0031】
上記第1実施形態では成形金型として圧縮成形金型を例示したが、本発明の製造装置は、圧縮成形金型に代えて射出成形金型を用いることも可能である。以下、本発明の第2実施形態に係る製造装置の射出成形金型を図面を参酌して詳細に説明する。なお、図5は、第2実施形態において成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成からなる部分については、図番を共通のものとし、その詳細説明を省略する。
【0032】
第2実施形態における成形金型1は、上記第1実施形態と同様に、互いに接離可能に設けられるとともに型締めされた際にキャビティを形成する雄型10及び雌型30が、回転駆動機構7によって相対的に回転操作可能に構成されている。なお、図示例では雌型30の基台34が金型装置本体(図示せず)に固定され、雄型10の基台14が金型装置本体に上下動するように設けられている。また、後述するように雄型10が回転駆動機構7によって回転操作可能に設けられている。
【0033】
この第2実施形態においては、雄型10の基台14には、基台14に載置固定された台座部19aと、この台座部19aに載置固定された立設部19bとから成る雄型ホルダー19が固定されている。この雄型ホルダー19は、その台座部19aが四隅の固定具16により固定されて基台14に固定されている。そして、前記雄型10は、雄型ホルダー19にベアリング5を介して軸心を中心として回転可能に保持されて、また軸心に直交する方向に微小移動可能となる。そして、雄型10は回転駆動機構7が連結されており、この回転駆動機構7は、雄型10に固着されたスプロケット7b、該スプロケット7bに券回されたチェーン(図示省略)及びこのチェーンが巻回された回転モータ(図示省略)から構成されている。
【0034】
前記雌型30及び雄型10は、第1実施形態と同様に、型締めされた際にキャビティとして機能するものであるが、雌型30の軸心中央部には、混練押出機3(図示省略)により溶融された成形材料をキャビティ内に射出するゲート9が設けられている。なお、ゲート9に溶融成形材料を供給するランナー38はヒーター等のランナー加熱手段によって加熱されるホットランナー式を採用することが好ましく、また雌型30は二段スプール式の金型から構成することも可能である。
【0035】
また、雄型10及び雌型30は、第1実施形態と同様に、加熱冷却手段により、その成形面の温度を調整可能に設けられており、雄型10は雄型ホルダー19によって、雌型30は基台34に固定され雌型30を固定する台座39によって加熱冷却されている。なお、上述のホットランナー式のランナーを採用する場合には、ランナー加熱手段は雌型30と隙間をもって配して、ランナー加熱手段による雌型30の成形面の温度変化を防止することが好ましい。
【0036】
第2実施形態における成形金型1は上記構成からなるが、次にこの成形金型1を用いて、例えばポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂からなる成形品の成形方法について説明する。
【0037】
まず、雄型10及び雌型30を近接させて型締め状態とし、雄型10及び雌型30の相対回転を開始し、混練押出機3により混合溶融された溶融混合樹脂材料(成形材料)をゲート9からキャビティ内に射出する。ここで、射出速度、射出圧力等は使用する成形材料の特性、製品形状等によって定められ、射出に際してその射出圧等を一定とすることもでき、多段階で変更することも可能である。
【0038】
このようにキャビティ内に射出された成形材料は雄型10及び雌型30の成形面と接触する部分から順次硬化を開始し、雄型10及び雌型30とが相対回転することによって、キャビティ内を流動する成形材料に大きな剪断力が付与される。すると、粘度の大きい樹脂材料はキャビティの厚さ方向中央側へ移行し、粘度の小さい樹脂材料はキャビティの厚さ方向両外側へ移行するため、1回の成形工程によって混合樹脂材料の多層化が図られる。なお、上記射出が行われている段階において、雄型10の回転速度を徐々に遅くなるように制御するのが好ましい。
【0039】
そして、上記射出作業が終了後は、射出装置の圧力を下げて、所謂保圧を行い、合成樹脂材料を硬化させる。合成樹脂がすべて硬化した後に、型開きを行い、多層樹脂成形品を取り出す。
【0040】
なお、本願発明は上記実施形態の態様に限定されるものではなく、本願発明の意図する範囲内で適宜設計変更可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明にあっては、多層成形品の各層を構成する樹脂材料を予め溶融混合し、この溶融混合樹脂材料をキャビティ内に充填する際に雄型及び雌型を相対回転させることにより、各樹脂材料の粘度差とキャビティ内部における剪断力の差に起因して各樹脂材料が内外に分散し、一つの金型を用いた1回の成形工程で多層構造を得ることができる。かかる新規な製造方法及び製造装置を用いて多層樹脂成形品を製造することにより、成形工数の大幅な削減、設備コストの削減を図ることができ、製品コストをも大幅に低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施形態に係る多層樹脂成形品の製造装置の全体簡略側面図である。
【図2】本願発明の第1実施形態における成形金型の正面図である。
【図3】第1実施形態の雌型の平面図である。
【図4】第1実施形態において雌型に雄型を挿入する段階における図2のA−A線断面図である。
【図5】本願発明の第2実施形態における成形金型の雌型に雄型を挿入する段階における縦断面図である。
【符号の説明】
1 成形金型
2 多層樹脂成形品の製造装置
7 回転駆動機構
9 ゲート
10 雄型
30 雌型

Claims (4)

  1. 雄型(10)と雌型(30)との間に形成される回転体状のキャビティ内に粘度の異なる2種以上の樹脂材料を混合溶融してなる溶融混合樹脂材料を充填し、雄型(10)と雌型(30)とを相対回転することで剪断応力の小さいキャビティの厚さ方向所定部分に粘度の高い樹脂材料の層を形成させるとともに、該高粘度樹脂層の内外に粘度の低い樹脂材料の層を形成させ、かかる多層状態で樹脂材料を硬化させることを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法。
  2. 高粘度樹脂層は、キャビティの厚さ方向中央部に形成させることを特徴とする請求項1に記載の多層樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記雄型(10)及び雌型(30)を含む射出成形金型(1)により多層樹脂成形品を製造する請求項1又は2に記載の製造方法であって、
    キャビティ内への溶融混合樹脂材料の射出・充填は、雄型(10)と雌型(30)との型閉め後であって、雄型(10)と雌型(30)との相対回転開始後に行うことを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法。
  4. 雄型(10)及び雌型(30)を含む圧縮成形金型(1)により多層樹脂成形品を製造する請求項1又は2に記載の製造方法であって、
    型開きした状態で雌型(30)内に所定量の溶融混合樹脂材料を投入し、雄型(10)と雌型(30)とを相対回転させつつ型閉めを行うことを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法。
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