JP4739258B2 - 車両用リアガラスに形成されるデフォッガの熱線パターン構造および車両用リアガラス - Google Patents

車両用リアガラスに形成されるデフォッガの熱線パターン構造および車両用リアガラス Download PDF

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Description

本発明は、車両のリアガラスに設けられるデフォッガの構造および車両用リアガラスに関し、特に、ガラスアンテナが設けられたリアガラスのデフォッガの熱線パターンの構造および車両用リアガラスに関する。
車両のリアガラスに設けられるTVアンテナ、特に地上波デジタルTV放送(周波数470〜710MHz)用のガラスアンテナには、希望波方向へ向くように指向性をコントロールし、希望波方向以外の方向からくる不要波の干渉を抑え、テレビの画質を向上させるという性能が要求される。特に高速走行時には、ドップラーシフトにより受信性能が低下するので、希望波と不要波の感度差(FB比;フロント−バック比)が10dB以上必要と考えられている。
このためには、例えば特開2002−135025号公報に示されるように、反射器と導波器を有する指向性アンテナを用いるのが有効であることが知られている。また、特開2003−283405号公報に示されているように、車体のルーフ部(金属)をリフレクタ(反射器)として動作させることにより希望波方向の指向性を得ることが知られている。
特開2002−135025号公報 特開2003−283405号公報
従来のアンテナをリアガラスに設ける場合、次のような問題が発生する。すなわち、熱線の影響により、希望波方向への指向性のコントロールが困難である。すなわち、FB比を確保しにくいという状況がある。これは、図1に点線2で示すように、熱線の影響によりリアガラスのアンテナの指向性が、リアガラス面に垂直な方向に変化し、水平方向の感度が低下するためである。なお、図中4は、熱線がない場合のアンテナの指向性を示している。
また、熱線のこのような影響により、無給電素子である反射器と導波器を用いても、希望波方向へ指向性のコントロールが困難である。
本発明の目的は、リアガラスに設置したアンテナ、中でもTV用アンテナ、特にデジタルTV用アンテナに対し、デフォッガの熱線の影響を軽減するような熱線パターンの構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、アンテナと上記熱線パターン構造を有するデフォッガとを備えるリアガラスを提供することにある。
本発明の熱線パターン構造は、車両のリアガラス上に形成されたアンテナに対向して形成されるデフォッガの熱線パターン構造において、前記アンテナに近接する前記デフォッガの少なくとも1本の熱線は、メアンダー形状を有している。
第1の態様によれば、前記メアンダー形状を有する熱線部分と、前記アンテナとの間の距離は、前記メアンダー形状を有する熱線部分の熱線の幅よりも大きい。
第2の態様によれば、前記少なくとも1本の熱線は、メアンダー形状熱線部分と、このメアンダー形状熱線部分に接続され、横方向に延びる熱線とを有し、前記メアンダー形状熱線部分の幅は、前記横方向に延びる熱線の幅より大きい。
また、本発明の車両用リアガラスはリアガラス上に形成されたアンテナと、前記アンテナに対向して、前記リアガラス上に形成されたデフォッガであって、前記アンテナに近接する少なくとも1本の熱線はメアンダー形状を有する熱線パターン構造のデフォッガとを備えている。
本発明によれば、リアガラス上のアンテナに近接する熱線を、アンテナに対する熱線の影響を軽減する形状としたため、希望波方向への指向性のコントロールが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明において、λはテジタルTV用アンテナの受信波の波長を、kは波長短縮率(ガラスにおいては、0.6〜0.7)を示すものとする。
図2は、リアガラスに設けた本発明のデフォッガの熱線パターン構造の一実施例を示す図である。デフォッガの熱線パターンは、左右対称であり、図面を簡単にするために、左側の端部分のみ示すものとする。
車両のリアガラス10上のデフォッガ12と車体(ボディ)のルーフ14との間であって、ピラー17に接近して、デジタルTV用のモノポールアンテナ16が設けられている。なお、本明細書において、モノポールアンテナは、1本の線状のもの、1本の帯状(線状よりも幅が広い)のもの、1本の帯状のものを中抜きにしてループ状にしたものを含むものとする。図2では、ループ状のモノポールアンテナを示している。
受信波(600MHz)の波長をλ、波長短絡率をkとした場合、このモノポールアンテナ16の長さAは(1/4)λk、幅Bは約10mmとする。18は、モノポールアンテナの給電点(給電位置)を示す。この場合、給電位置18は、ピラー側としたが、ルーフ側であっても同様の効果が得られる。従って、給電点(給電位置)はピラー側であってもルーフ側であってもよい。
なお、デフォッガ12およびモノポールアンテナ16は、リアガラス上に銀ペーストを印刷し焼成して形成した銀プリント線により作製する。
デフォッガ12は、両側のバスバー20間に熱線が配列されて構成される。モノポールアンテナ16に近接する最上部の熱線12−1の部分は、矩形状に等間隔に折り曲げられてメアンダー(蛇行)形状となっている。メアンダー形状熱線部分22と、モノポールアンテナ16との間の距離Lは、(1/4)λkである。
メアンダー形状熱線部分22の下側には、1本の横方向熱線13が延び、この熱線は縦方向熱線15に接続される。縦方向熱線15には、横方向に延びる4本の熱線12−2,12−3,12−4,12−5が、共通に接続される。横方向熱線13は、熱線12−5と同一の横方向位置にある。熱線12−6以降は、両バスバー間に延びる通常の形状の熱線である。
メアンダー形状熱線部分22の熱線は蛇行しているので、その部分は直線状の熱線に比べて長くなるので、抵抗は大きくなる。このため、バスバー間を横方向に直線状に延びる通常の熱線12−6と比べて全抵抗が大きくなるので、両端部にメアンダー形状熱線部分を有する熱線12−1を流れる電流は小さくなる。このため熱線12−1の発生するジュール熱が小さくなり、防曇の効果が小さくなる。これを防止するためには、メアンダー形状熱線部分22の熱線の幅を大きくして、その部分の抵抗を小さくしても良い。この場合、メアンダー形状熱線部分22の熱線の幅は、熱線12−1の近傍の防曇の効果が通常の熱線12−6と同じ程度になるように調整される。たとえば、熱線12−1の線幅が1mmの場合、メアンダー熱線部分22の熱線の幅は、1〜4mmとすると良い。
また、熱線13および15には、4本の熱線12−2,12−3,12−4,12−5に流れる電流の全部が流れるので線の幅を大きくし、抵抗を小さくするのが好ましい。これは、熱線13および15を通常の熱線と同じ幅とした場合、熱線13および15において発熱量が増大し、異常な発熱となってしまう可能性があるからである。したがって、例えば、通常の熱線の幅が1mmの場合には、熱線13および15の幅は、3〜4mmとする必要がある。
メアンダー形状熱線部分22の横方向寸法をW、縦方向寸法をH、縦方向熱線の等間隔の幅をDとする。実験の結果、メアンダー形状部分22の横方向寸法Wは(1/4)λk〜(1/2)λk、縦方向寸法Hは(1/8)λk〜(1/4)λk、縦方向熱線の等間隔Dは(1/40)λk〜(3/40)λkが好適であることがわかった。
実験は、以下のようにして行った。まず、基準熱線として図3に示す通常タイプの熱線30を車両のリアガラスに形成し、最上部熱線より(1/4)λkの位置にモノポールアンテナ16を形成した。モノポールアンテナ16の長さは(1/4)λk,幅を10mmとした。
電波暗室において、車両を360°水平方向に回転させながら周波数600MHzの電波を一方向より車両へ照射し、車両の各方向でのモノポールアンテナ16の受信感度を測定し、全周の受信感度の特性値(指向特性)を得る。
測定結果を元に、希望方向感度(ガラスを車両の後部窓へ装着した際に、車両の水平面上で、車両の後方を中心とした角度幅180度の領域の平均感度)、希望方向とは逆方向の感度(車両の水平面上で、車両の前方を中心とした角度幅180度の領域の平均感度)およびFB比を算出した。ここでFB比は希望方向感度と希望方向とは逆方向の感度の差分により表される値で、以下の算式により求められる。
FB比(dB)=希望方向感度(dB)−希望方向とは逆方向の感度(dB)
次に、図4に示すように、熱線30をバスバー20から離し、離間距離Wを、(1/8)λk,(1/4)λk,(3/8)λk,(1/2)λk,(5/8)λkとそれぞれ変えて、電波暗室において受信感度を測定し、測定結果を元に希望方向感度、希望方向とは逆方向の感度およびFB比を算出した。なお、これらの測定および算出は基準熱線の測定および算出と同じ方法にて行った。熱線30をバスバー20から離し、離間距離Wを、(1/8)λk,(1/4)λk,(3/8)λk,(1/2)λk,(5/8)λkとそれぞれ変えた場合の希望方向感度およびFB比の結果を、基準熱線で求めた感度およびFB比に対する差分で表した結果を表1に示す。
Figure 0004739258
図5に、表1をグラフ化したものを示す。距離Wを拡げていくに従って、感度およびFB比が改善されているのがわかる。しかし、この距離Wを拡げすぎると、熱線のない部分でデフォッガとしての防曇の効果が得られない。したがって防曇との兼ね合いから、距離Wは、(1/4)λk〜(1/2)λkに選ぶのが好適である。
図2に戻り、最適なメアンダー形状を求めるために、横方向寸法Wを(3/8)λkと固定し、縦方向寸法H,幅Dを変えて、電波暗室において、周波数600MHzの電波を照射した際のモノポールアンテナ16の受信感度を測定し、測定結果を元に希望方向感度およびFB比を算出した。これらの測定および算出は基準熱線の測定および算出と同じ方法にて行った。なお、縦方向寸法Hは、(3/40)λk,(6/40)λk,(9/40)λk,(12/40)λkと変化させ、幅Dは、(1/40)λk,(3/40)λk,(5/40)λkと変化させた。測定した希望方向感度の結果を、基準熱線で求めた感度に対する差分で表した結果を表2に示す。
Figure 0004739258
図6に、表2をグラフ化したものを示す。D=(5/40)λkの場合には、感度の改善はみられない。したがって幅Dは、(1/40)λk〜(3/40)λkが好ましく、縦方向寸法Hは、(1/8)λk〜(1/4)λkが好ましいことがわかる。
求めたFB比を、基準熱線で求めたFB比に対する差分で表した結果を表3に示す。
Figure 0004739258
図7に、表3をグラフ化したものを示す。D=(5/40)λkの場合には、FB比の改善はみられない。したがって幅Dは、(1/40)λk〜(3/40)λkが好ましく、縦方向寸法Hは、(1/8)λk〜(1/4)λkが好ましいことがわかる。
以上の結果より、図2のメアンダー形状熱線部分22の横方向寸法Wは(1/4)λk〜(1/2)λkが、縦方向寸法Hは(1/8)λk〜(1/4)λkが、幅Dは(1/40)λk〜(3/40)λkが好適であることがわかる。
図8は、図2のメアンダー形状の上下を反転させたメアンダー形状の例である。図2の形状では、メアンダー形状部分の熱線12−1は、バスバー20の最上端に接続されているが、図8の場合、メアンダー形状部分の熱線12−1は、バスバー20の最上端より距離Hだけ下がった位置に接続される。効果は、図2のメアンダー形状の場合と同一である。
図9は、メアンダー形状部分の他の変形例を示す。この変形例は、図8のメアンダー形状において、縦方向寸法Hを(3/16)λkとした場合である。図2のメアンダー形状と同じ効果が得られた。
図10は、図2のメアンダー形状熱線部分が1本の熱線で構成されているのとは異なり、2本のメアンダー形状熱線32,34で構成されたメアンダー形状熱線部分を示す。メアンダー形状熱線部分の縦方向寸法H,横方向寸法W,幅Dは、図2の例と同じ範囲とするのが好適である。この場合、蛇行するメアンダー形状熱線32,34の長さは、それぞれほぼ2Wになり、2本のメアンダー形状熱線は並列に接続されているので、その合成抵抗は、横方向寸法がほぼWの直線状導体の抵抗に等価となる。したがって、メアンダー形状熱線32,34の幅は、通常の熱線の幅に同じで良い。
以上の各実施例では、アンテナがモノボールアンテナの場合であったが、本実施例ではダイポールアンテナを用いる。
図11は、本実施例の熱線パターン構造を示す。ダイボールアンテナ40に最も近い1本の熱線43のうち、ダイポールアンテナ40に対向する部分をメアンダー形状部分とした構造を示す。ダイポールアンテナ40に近い1本の熱線のうち、ダイポールアンテナ40に対向する部分をメアンダー形状部分とした構造である。
ダイポールアンテナ40は、全長が18cmで中央に給電点42が設けられている。メアンダー形状部分の横方向寸法Wは24cm、縦方向寸法Hは4.2cm、等間隔Dは1.2cmである。
電波暗室において、車両を360°水平方向に回転させながら周波数500MHzの電波を一方向より車両へ照射し、車両の各方向でのダイポールアンテナ40の受信感度を測定し、全周の受信感度の特性値(指向特性)を得た。図12に、指向特性を示す。車両の後方向の指向性利得が改善されていることがわかる。
本実施例はメアンダー形状部分の熱線が高周波に対して高インピーダンスを示す特性を利用して、アンテナに最も近い1本の熱線の、アンテナに対向する部分を直線形状部分として導波器として機能させたものである。
図13は、本実施例の熱線パターン構造を示す、アンテナは実施例5と同様に、ダイポールアンテナとする。ダイポールアンテナ40は、全長が18cmで中央に結電点42が設けられている。ダイポールアンテナ40に最も近い1本の熱線43は、ダイポールアンテナ40に対向する部分が直線状であり、直線状部分44の両側がメアンダー形状部分46,48となっている。メアンダー部分46の横方向寸法W1は4.8cm、メアンダー部分48の横方向寸法W2は18cm、直線形状部分44の長さW3は12cmである。メアンダー部分の高さHは4.2cm、等間隔幅Dは1.2cmである。
本実施例の熱線パターン構造の指向特性を、実施例5と同様にして求めた。図14に指向特性を示す。車両の後方向の指向性利得が改善されていることがわかる。
なお、図13の例では、アンテナ40がピラー17に近くなるように設けられている場合には、メアンダー形状部分46を省くことができる。
以上の各例では、メアンダー形状は、矩形状の折れ曲がりとしたが、これに限られるものではない。折れ曲がりの角部に丸みをつける、すなわちアール(R)をつけてもよい。このメアンダー形状の熱線部分の例を図15に示す。図2で示したメアンダー形状の折れ曲がり角部にアールをつけたものである。また、正弦波状に蛇行するメアンダー形状も可能である。
以上の実施例では、アンテナがデジタルTV用のアンテナである場合について説明したが、これに限るものではなく、アナログTV用のアンテナを含めたTV用アンテナ一般に適用でき、またその他のFM用アンテナ等にも適用できることは明らかである。
図1は、熱線の影響によりリアガラスのアンテナの指向性が、リアガラスの面に垂直な方向に変化する様子を示す図である。 図2は、リアガラスに設けた本発明のデフォッガの熱線パターン構造の実施例1を示す図である。 図3は、通常タイプの熱線を示す図である。 図4は、図3において熱線をバスバーから離間させた状態を示す図である。 図5は、表1をグラフ化した図である。 図6は、表2をグラフ化した図である。 図7は、表3をグラフ化した図である。 図8は、図2のメアンダー形状の変形例である実施例2を示す図である。 図9は、図2のメアンダー形状の他の変形例である実施例3を示す図である。 図10は、2本のメアンダー形状熱線で構成されたメアンダー形状熱線部分を有する実施例4を示す図である。 図11は、アンテナをバイポーラアンテナとした場合の実施例5を示す図である。 図12は、実施例5におけるアンテナの指向特性を示す図である。 図13は、熱線の一部を導波路としている実施例6を示す図である。 図14は、実施例6におけるアンテナの指向特性を示す図である。 図15は、折れ曲がりの角部に丸みをつけたメアンダー形状の熱線部分を示す図である。
符号の説明
10 リアガラス
12 デフォッガ
13 横方向熱線
14 ルーフ
15 縦方向熱線
16 モノポールアンテナ
17 ピラー
18 給電点
20 バスバー
22 メアンダー形状熱線部分

Claims (2)

  1. 車両のリアガラス上に形成されたアンテナに対向して形成されるデフォッガの熱線パターン構造であって、
    前記アンテナに近接する前記デフォッガの1本の熱線は、メアンダー形状を有し、
    前記アンテナが、デジタルTV用アンテナのアンテナパターンで構成され、
    前記メアンダー形状を有する1本の熱線は、前記アンテナに対向する位置で直線熱線部分とメアンダー形状熱線部分を有し、
    前記デジタルTV用アンテナの受信波の波長をλ、波長短絡率をkとした場合、
    前記メアンダー形状熱線部分の縦方向寸法は、(1/8)λk〜(1/4)λkであり、
    前記メアンダー形状熱線部分の横方向寸法は、(1/4)λk〜(1/2)λkであり、
    前記メアンダー形状熱線部分の横方向における等間隔の幅は、(1/40)λk〜(3
    /40)λkである熱線パターン構造。
  2. 車両用のリアガラスであって、
    前記リアガラス上に形成されたアンテナと、
    前記アンテナに対向して、前記リアガラス上に形成された請求項1に記載の熱線パターン構造を有するデフォッガと、
    を備える車両用リアガラス。

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