JP4738822B2 - 静電レンズ装置およびその調整方法、荷電粒子線露光装置、ならびにデバイス製造方法 - Google Patents

静電レンズ装置およびその調整方法、荷電粒子線露光装置、ならびにデバイス製造方法 Download PDF

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本発明は、主に半導体集積回路等の露光に用いられる電子ビーム露光装置やイオンビーム露光装置、試料の分析等に用いられる電子顕微鏡、加工に用いられる収束イオンビーム装置等の荷電粒子線装置等に使用される静電レンズ装置、静電レンズ装置の調整方法およびその静電レンズ装置により収束される複数の荷電粒子線を用いてパターン描画を行う荷電粒子線露光装置に関する。
従来の荷電粒子ビームを収束するための静電レンズが採用されている一つの形態では、特許文献1(特開平9−245708号公報)に示されているように、荷電粒子源から放出される荷電粒子を加速、成形、縮小し、試料上にビーム照射することによって所定のパターンを試料上に形成する荷電粒子線描画装置があり、荷電粒子線を成形する際には静電レンズアレイを用いて複数のビームを個別に収束している。さらに、特許文献2(特開2001−345259号公報)に示されている方式では静電レンズアレイに印加できる電圧は個別に設定することができ、ビーム毎に異なる収束効果を実現している。
一方、静電レンズを使用する別の形態として、特許文献3(特開平10−241616号公報)には、加速用電極および減速用電極を用いることによって静電レンズの低収差化を図った方法も提案されている。
特開平9−245708号公報 特開2001−345259号公報 特開平10−241616号公報
しかしながら、上記従来例に示されている静電レンズアレイでは、各レンズに印加する電圧は個別に設定できるものの、隣接する静電レンズ間に異なる電圧を設定すると電場干渉が発生し、ビーム照射位置のずれ、解像度の劣化を招いていた。また、加速用電極および減速用電極を用いた方法はレンズの低収差化を図ることはできるものの、静電レンズアレイに適用した場合、前従来例と同様電場干渉によるビーム照射位置のずれを招くことが避けられず、何れの方式においても電場干渉が生じた場合のビーム位置ずれを避けることができない。
本発明は、上述の従来例における問題点を解消することを課題とする。
本発明の1つの側面は、荷電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置に係り、前記静電レンズ装置は、基準電圧が印加される複数の基準電極と、前記基準電圧よりも大きい電圧、または、前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される複数の加減速用電極とを備え、前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電極と加減速用電極とが交互に配置され、前記複数の加減速用電極に印加される電圧は、その夫々の前記基準電圧に対する電位差の総和が0になるように、設定される。
本発明の第2の側面は、荷電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置の調整方法に係り、前記調整方法は、前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電圧が印加される基準電極と前記基準電圧よりも大きい電圧または前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される加減速用電極とを交互に配置する工程と、複数の前記加減速用電極に印加される電圧を、その夫々の前記基準電圧に対する電位差の総和が0になるように、設定する工程と、を有する。
本発明の第3の側面は、荷電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置の調整方法に係り、前記調整方法は、前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電圧が印加される基準電極と前記基準電圧よりも大きい電圧または前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される加減速用電極を交互に配置する工程と、前記荷電粒子線の進行方向に平行な方向における焦点位置を変化させずに前記荷電粒子線の進行方向に垂直な方向における照射位置を変化させるように、複数の前記加減速用電極に印加される電圧を設定する工程と、を有する。
本発明の第4の側面は、荷電粒子線露光装置に係り、前記荷電粒子線露光装置は、上記の静電レンズ装置を具備する。
本発明の第5の側面は、デバイス製造方法に係り、前記製造方法は、上記の荷電粒子線露光装置を用いてパターンを基板上に露光する工程と、露光された前記基板を現像する工程と、を有する。
本発明の第6の側面は、荷電粒子線露光装置に係り、前記荷電粒子線露光装置は、上記の調整方法で調整された静電レンズ装置を具備する。
本発明の第7の側面は、デバイス製造方法に係り、前記製造方法は、上記の荷電粒子線露光装置を用いてパターンを基板上に露光する工程と、露光された前記基板を現像する工程と、を有する。
本発明によれば、静電レンズ装置の各電極への印加電位を調整することによってレンズ通過後のビーム位置ずれを大幅に減少させることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について実施例を挙げて説明する。
荷電粒子線の一例として本実施形態では電子線を収束するための静電レンズ装置(以下、静電レンズという)について説明する。なお、本実施形態は、電子線に限らずイオンビームを用いた荷電粒子線装置にも同様に適用できる。
[第1の実施例]
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る静電レンズアレイの概略断面図である。静電レンズアレイを構成する各々の静電レンズは従来技術と同様、円形開口のものである。本静電レンズアレイは複数のビーム4−a〜4−cを個々に収束するように各々のビームに対応する開口を有しており、また、基準電極としての接地電極1および加速用電極2−a〜2−f、減速用電極3−a〜3−fを有している。ビーム4を収束させるには加速用電極、減速用電極にそれぞれ+、−の電圧を印加すればよい。
しかしながら、複数のビーム4−a〜4−cの収束作用を個別にコントロールする場合、個々の静電レンズ装置に独立した電圧(例えば接地電極1に対する電位差)、すなわち多くの場合異なる電圧を印加しなくてはならない。個々の静電レンズに異なる電圧を印加すると隣り合う電極間にて電場干渉を起こし、収束作用の他、偏向作用も生じる。例えば、図2(a)の如く加速用電極2−a〜2−fのみに電圧を印加しビームを収束させた場合、静電レンズを通過した後のビームは4−dの如く本来照射されるべき位置に照射されず、照射位置のずれを生じる。照射位置のずれ量は隣り合う静電レンズ間の強度差に比例するため、本実施例のように個々の静電レンズに異なる電圧を印加し、さらに隣接間の印加電圧差も静電レンズごとに異なる場合、ビーム照射位置は静電レンズ毎に異なる。
そこで本実施例では以下の方法を用いてビーム照射位置のずれがなくなるような静電レンズを実現した。本実施例の電圧印加方法を図2−(b)に示す。
先に述べた静電レンズの偏向作用は加速用電極と減速用電極では反対方向の作用があり、本実施例では加速用電極2−a〜2−fと減速用電極3−a〜3−fの偏向作用を打ち消すように、加速用電極2−a〜2−fおよび減速用電極3−a〜3−fの基準電極としての接地電極からの印加電圧を逆極性で絶対値をほぼ等しくしている。さらに、加速用電極2−a〜2−fおよび減速用電極3−a〜3−fが一組だけであるとビーム偏向による傾きは打ち消すことはできるが、ビームのシフト偏向分が残り、少ないながらもビーム照射位置ずれの原因となる。そこで本実施例では、加速用電極2−a〜2−cと減速用電極3−a〜3−cを一組、減速用電極3−d〜3−fと加速用電極2−d〜2−fを一組それぞれ配置し、シフト偏向分をも打ち消すようにした。即ち、所定の面(図2(b)において中央の接地電極を通り荷電粒子線の進行軸に垂直な面)に対して対称となるように加速用電極2−a〜2−fと減速用電極3−a〜3−fとを配列することによってシフト偏向分をも打ち消すようにしている。
なお、2組の加速用電極と減速用電極の組が両方ともビーム4−a〜4−cの方向と同じでは偏向作用を打ち消すことはできない。ビーム4−a〜4−cの方向に対して配列が互に逆方向となる加速用電極−減速用電極の組と減速用電極−加速用電極の組、または減速用電極−加速用電極の組と加速用電極−減速用電極の組とを配置する必要がある。
本実施例によるビーム照射位置ずれの低減効果を確認するために図1に示した静電レンズの加速用電極2−a〜2−fに+1kV〜+2kV、減速用電極3−a〜3−fに−1kV〜−2kVの電圧をそれぞれ印加した。同じビームが通過する加速用電極開口、減速用電極開口には極性は異なるものの同じ電圧を印加している。上記の条件にてビーム位置ずれを測定したとところ、位置ずれは1ミクロン以下であった。一方、減速用電極開口のみに−1kVを印加した場合約200ミクロンのビーム位置ずれを生じた。
次に本実施例による静電レンズを電子ビーム描画装置に搭載した例を図3に示す。電子銃5から放射された電子ビームは絞り11、レンズ6、アパーチャアレイ12によって複数ビームに成形された後、本実施例による静電レンズアレイ13に入射する。本実施例による静電レンズアレイ13は開口(静電レンズ)によって異なるレンズ強度を持ち異なる高さに焦点を結ぶ。ビームは静電レンズアレイ13を通過後ブランキングアレイ14およびレンズ7から10によってウエハ15に縮小投影される。静電レンズアレイ13の焦点位置がビームによって異ならせることができるため、縮小投影された後のビームの収差を大幅に低減させることができる。また、本実施例による静電レンズアレイ13は開口ごとに印加する電圧は異なるものの、静電レンズ通過後のビーム位置ずれを1ミクロン以下に抑えることができるため、ウエハ上で20nm以下にまで照射位置の歪を抑えることができた。
なお、加速用電極および減速用電極が1組だけの場合でもビーム位置ずれは数ミクロンにまで低減することがわかり、静電レンズを配置するシステムによっては十分な効果が得られることがわかった。
また、本実施例では静電レンズアレイのビーム位置ずれを打ち消すよう、加速用電極および減速用電極を配置したが、静電レンズアレイだけでなく、各電極開口が各々一つあり、1本のビームを収束する静電レンズ系であっても、構成の非対称性から静電レンズ部で偏向作用を受ける場合には本実施例で述べたように加速用電極および減速用電極を配置することによりビーム位置ずれを低減させることができる。
[第2の実施例]
次に実施例2を説明する。実施例1では加速用電極および減速用電極を同数使用し、極性は異なるものの接地電極からの電圧をほぼ等しく印加することによって静電レンズ通過後のビーム位置ずれを大幅に低減することができた。本実施例では加速用電極および減速用電極の電極数を同数使用することなく、ほぼ同様の効果を得られる方法を説明する。
図4に本実施例による静電レンズ概略図を示す。実施例1では加速用電極および減速用電極を同数用いていたが本実施例では加速用電極2−a〜2−fを2組、減速用電極3−a〜3−cを1組使用し、加速用電極2−a〜2−fにそれぞれ+0.5kV〜+1.0kV、減速用電極3−a〜3−cに−1kV〜−2kVを印加した。同じビームが通過する加速用電極と減速用電極についてはそれぞれ極性は異なるものの加速用電極の−2倍の電圧を減速用電極に印加している。このように電圧を印加することによって加速用電極による偏向作用を減速用電極による偏向作用によってキャンセルすることができ、かつ静電レンズの電極枚数を減らすことができる。
本実施例では加速用電極の−2倍の電圧を減速用電極に印加したが、同様に減速用電極2枚、加速用電極1枚の構成にて減速用電極の−2倍の電圧を加速用電極に印加した場合にも同様の効果が得られる。また電極数が変化した場合にも加速用電極と減速用電極の印加電圧の総和が接地電極に等しくなる(ゼロになる)場合には加速用電極、減速用電極による偏向作用をキャンセルすることができ、同様の効果を得ることができる。
また、実施例1と同様に本実施例では静電レンズアレイの場合を例に説明したが、実施例1と同様静電レンズアレイだけでなく、単一開口のレンズに本実施例を適用した場合にも同様の効果を得ることができる。
[第3の実施例]
次に本発明の実施例3を説明する。実施例1および実施例2では接地電極に対する加速用電極および減速用電極への印加電圧の総和が接地電極に等しくなるよう印加電圧を調整したが、本実施例ではビームの位置ずれが小さくなるよう別の方法を用いた。構成は実施例1と同様図1に示す通りであり、加速用電極、減速用電極にそれぞれ+、−の電圧を印加するが、極性が異なるだけで同じ電圧を印加した場合にはビームの位置ずれは完全に0にはならない。そのため、本実施例ではビームの位置ずれを測定し、ビームの位置ずれ量が0になり、かつ所望の収束効果が得られるよう加速用電極および減速用電極のバランスを調整した。
本方法により、ビームの位置ずれを完全に0に調整することができる。なお、本実施例では実施例1と同様の構成にて説明したが、実施例2と同様の構成においても同様の効果を得ることができる。
上述の実施例1〜3によれば、静電レンズの印加電圧を調整することによってレンズ通過後のビーム位置ずれを大幅に減少させることができる。
[第4の実施例]
次に、上述の電子ビーム描画装置を利用した微小デバイスの製造プロセスを説明する。
図5は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。
ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(EBデータ変換)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。
一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。
次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、ステップ7でこれを出荷する。
上記ステップ4のウエハプロセスは以下のステップを有する。ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を成膜するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打ち込みステップ、ウエハに感光剤を塗布するレジスト処理ステップ、上記の電子ビーム描画装置によって回路パターンをレジスト処理ステップ後のウエハに露光する露光ステップ、露光ステップで露光したウエハを現像する現像ステップ、現像ステップで現像したレジスト像以外の部分を削り取るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト剥離ステップ。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
本発明の実施例1に係る静電レンズの要部概略を示す図である。 実施例1を説明するための静電レンズとビーム軌道を示す図である。 実施例1を説明するための本発明による静電レンズを搭載した電子ビーム描画装置を示す図である。 本発明の実施例2に係る静電レンズの要部概略を示す図である。 デバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
符号の説明
1:接地電極
2−a〜2−f:加速用電極
3−a〜3−f:減速用電極
4−a〜4−d:電子ビーム軌道
5:電子源
6〜10:レンズ
11,16:絞り
12:アパーチャアレイ
13:静電レンズアレイ
14:ブランキングアレイ
15:ウエハ

Claims (8)

  1. 電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置であって、
    基準電圧が印加される複数の基準電極と、
    前記基準電圧よりも大きい電圧、または、前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される複数の加減速用電極と、を備え、
    前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電極と加減速用電極とが交互に配置され、
    前記複数の加減速用電極に印加される電圧は、その夫々の前記基準電圧に対する電位の総和が0になるように、設定されることを特徴とする静電レンズ装置。
  2. 前記複数の加減速用電極は、前記基準電圧よりも大きい電圧が印加される加速用電極および前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される減速用電極を含み、前記加速用電極および前記減速用電極の夫々が、前記荷電粒子線の進行方向に垂直なに対し対称となるように配されていることを特徴とする請求項1に記載の静電レンズ装置。
  3. 荷電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置の調整方法であって、
    前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電圧が印加される基準電極と前記基準電圧よりも大きい電圧または前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される加減速用電極とを交互にする工程と、
    複数の前記加減速用電極に印加される電圧を、その夫々の前記基準電圧に対する電位の総和が0になるように、設定する工程と、を有することを特徴とする静電レンズ装置の調整方法。
  4. 荷電粒子線を収束する作用を有する静電レンズ装置の調整方法であって、
    前記荷電粒子線の入射側から前記荷電粒子線の進行方向に沿って、基準電圧が印加される基準電極と前記基準電圧よりも大きい電圧または前記基準電圧よりも小さい電圧が印加される加減速用電極を交互にする工程と、
    前記荷電粒子線の進行方向に平行な方向における焦点位置を変化させずに前記荷電粒子線の進行方向垂直な方向における照射位置を変化させるように、複数の前記加減速用電極に印加される電圧を設定する工程と、を有することを特徴とする静電レンズ装置の調整方法。
  5. 請求項1または2に記載の静電レンズ装置を具備することを特徴とする荷電粒子線露光装置。
  6. 請求項に記載の荷電粒子線露光装置を用いてターンを基板上に露光する工程と、露光された前記基板を現像する工程と、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
  7. 請求項3または4に記載の調整方法で調整された静電レンズ装置を具備することを特徴とする荷電粒子線露光装置。
  8. 請求項7に記載の荷電粒子線露光装置を用いてパターンを基板上に露光する工程と、露光された前記基板を現像する工程と、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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