JP4738017B2 - 中間転写型熱転写印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷画像をフィルム上に一旦転写した後、フィルム上の画像を記録媒体の表面に転写するための中間転写型熱転写印刷装置に関するものである。
従来、このような分野の技術として、特開2000−187712号公報がある。この公報に記載されたカード記録装置は、磁気ストライプ付きのカード、ICカードなどの表面に所望の画像を印刷するための装置である。すなわち、このカード記録装置は、フィルム及びカラーインクリボンをサーマルヘッドとプラテンローラとで挟み込んで、カラーインクリボンによってフィルム上に画像を一旦熱転写(一次転写)し、その後、フィルム上の画像とカードの表面とを重ね合わせながら、ヒートローラでフィルムを加熱させている。このとき、フィルムをカードに押圧することによって、カードの表面にフィルム上の画像が再転写(二次転写)される。さらに、特開平11−58878号公報には、プラテンローラにサーマルヘッドを適切な力をもって押し当てるための板バネが開示され、この板バネにサーマルヘッドがネジにより固定されている。
特開2000−187712号公報 特開平11−58878号公報
しかしながら、サーマルヘッドの交換を配慮して、サーマルヘッドはネジによって板バネに固定されているため、工具を必要とし、サーマルヘッドの交換作業性が悪くなるといった問題点がある。
本発明は、特に、サーマルヘッドの交換作業性を向上させるようにした中間転写型熱転写印刷装置を提供することを目的とする。
本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置は、インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置において、フィルムが周面の一部に巻き付けられた状態でフィルムを搬送するプラテンローラと、プラテンローラとの協働によりフィルムの表面にインクリボンを押し当てて、フィルムの表面に画像を熱転写するサーマルヘッドと、プラテンローラに対して進退運動する可動部材と、サーマルヘッドを有すると共に、可動部材に対して着脱自在なサーマルヘッド保持部と、可動部材にサーマルヘッド保持部を着脱自在に引っ掛けるフック部が設けられた係止手段と、可動部材に設けられると共に、可動部材の進退運動の方向に沿ってサーマルヘッドをプラテンローラに向けて付勢する加圧手段と、可動部材の前進時にサーマルヘッド保持部と係合するように装置本体から突出し、サーマルヘッド保持部の位置を可動部材の前進方向で規制する位置決め手段と、を備え、印刷時にサーマルヘッドをプラテンローラへ押圧する加圧手段により、サーマルヘッド保持部に揺動自在に連結され且つ可動部材の進退方向に揺動させて固定された倒れ角度調整板が位置決め手段に押圧されることで、位置決め手段は、サーマルヘッド保持部の前倒れを規制することを特徴とする。
この中間転写型熱転写印刷装置は、サーマルヘッドとプラテンローラとの協働による一次転写と、ヒートローラによる二次転写とを行うタイプの印刷装置であり、フィルム及びインクリボンを搬送させながら一次転写が実施され、フィルムを搬送させながら二次転写が実施される。さらに、このような装置では、サーマルヘッドの交換が必要である。そこで、この交換作業を容易にするために、サーマルヘッド保持部は、係止手段のフック部によって可動部材に対し着脱自在に引っ掛けられているので、可動部材に対しサーマルヘッド保持部を簡単に取り外しでき、これによって、サーマルヘッドの交換作業性が向上する。
また、加圧手段は、可動部材の進退運動する方向に延在して、先端がサーマルヘッド保持部に当接する押圧ピンと、押圧ピンの周囲に巻回されると共に、押圧ピンの先端をサーマルヘッド保持部に向けて付勢する圧縮コイルバネと、を有すると好適である。圧縮コイルバネの付勢力によって、押圧ピンがサーマルヘッド保持部をプラテンローラに向けて付勢し続けるので、サーマルヘッドがプラテンローラに適切な力をもって押し当てられることになる。
また、係止手段は、基端が可動部材に回動自在に取り付けられると共に、先端にフック部が設けられたレバーと、サーマルヘッド保持部に設けられると共に、フック部を引っ掛けるピン部と、レバーのフック部をピン部に向けて回動方向に付勢するバネ部とを有すると好適である。レバーのフック部を持ち上げることにより、サーマルヘッド保持部のピン部からフック部から外れるので、可動部材からサーマルヘッド保持部を取り外すことができる。これに対して、バネ部の付勢力によってフック部がピン部に係合し続けることになるので、可動部材の進退時に、サーマルヘッド保持部が可動部材から外れ難くなる。このような構成は、サーマルヘッド保持部の容易な着脱を実現するものである。
また、可動部材の進退運動する方向は水平方向であって、位置決め手段は、水平方向に進退する可動部材に着脱自在に搭載されたサーマルヘッド保持部の位置を、プラテンローラの軸線方向で規制する手段と、上下方向で規制する手段と、をさらに備えると好適である。サーマルヘッドは可動部材によって印画位置と待機位置との間を水平方向に進退するので、フィルム上に正確な画像を形成させるためには、サーマルヘッドの進退の繰り返しを一定の精度で行わせる必要がある。しかし、係止手段のフック部によって、可動部材にサーマルヘッド保持部が着脱自在に引っ掛けられているだけなので、可動部材にサーマルヘッド保持部を装着する度に厳密な位置調整を行うことは困難を伴うものである。そこで、前述した位置決め手段の採用により、サーマルヘッドの交換の度にサーマルヘッドの位置調整を行うことへの煩わしさが解消される。これによって、サーマルヘッドの交換作業を簡素化することができる。
本発明によれば、サーマルヘッドの交換作業性を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、中間転写型熱転写印刷装置1は、カードプリンタとも呼ばれ、印刷画像を厚さ約20μm程度の透明なフィルムFに一旦転写した後、このフィルムFから記録媒体(例えばプラスチック製のキャッシュカード、クレジットカード、プリペードカード、ICカードなど)Sに再転写する装置である。このような熱転写印刷装置1は、カードSを発行する際に利用され、高品位な画像をカードSの表面に印刷することできる。従って、セキュリティを高める目的で顔写真の入ったカードSの発行をも可能にする。
このような中間転写型熱転写印刷装置1は、印刷予定のプラスチック製カードSを積層状態でセッティングするためのストック部2を有する。カードSは、送出し爪3の進退運動によってストック部2の一番下から一枚ずつ繰り出され、ストック部2から繰り出されたカードSは、反転部4内に一旦装填される。反転部4が水平状態から90度回転した後、送りローラ6によってカードSが上昇すると、カードSは磁気読み/書き部7内に送り込まれる。そして、この磁気読み/書き部7で、カードSの磁気ストライプ内に所定の情報を書き込んだり、磁気ストライプ内の所定の情報を読み取る。
これに対して、送りローラ6によってカードSが下降すると、カードSは、非接触IC読み/書き部8内に送り込まれる。そして、この非接触IC読み/書き部8で、カードSのIC内に所定の情報を書き込んだり、IC内の所定の情報を読み取る。その後、反転部4から送り出されたカードSは、着脱自在なクリーニングローラ10を通過した後、ガイド溝12で両側を支持されながら、搬送ローラ11によりカードSは画像印刷される直前まで移動する。
なお、磁気検出や非接触IC検出が必要ない場合には、反転部4は水平に維持される。また、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8で不適切と判断されたカードSは、反転部4の回転後、送りローラ6によってイジェクトボックス9内に排出される。
次に、カードSへの画像転写を可能にするために、この熱転写印刷装置1は、フィルムFに画像を熱転写する記録部(一次転写部)Aと、フィルムFに転写された画像とカードSとを対向させて、カードSに画像を熱転写する再転写部(二次転写部)Bと、画像転写後のカードSの反りを矯正する反り矯正部Cとを備えている。
さらに、この熱転写印刷装置1は、抜き差しにより交換可能なフィルムカートリッジ13とリボンカートリッジ14とを有している。このフィルムカートリッジ13では、フィルムFが上下一対のボビン15,16に巻かれ、リボンカートリッジ14では、カラーインクリボンRが上下一対のボビン17,18に巻かれている。そして、リボンカートリッジ14内のカラーインクリボンRには、溶融性又は昇華性のイエロー・マゼンタ・シアンの3色(またはブラックを加えた4色)のインクを1フレームとして周期的にインクが塗布されている。
ここで、前述した記録部Aでは、水平方向に進退可能なフィルム引出しローラ19a,19bとプラテンローラ(通称「プラテン」)20の協働により、プラテンローラ20の略半周面にフィルムFが押し当てられるように巻き付けられる。その後、ラック・ピニオンからなるヘッド進退機構25によってサーマルヘッド21を前進させ、サーマルヘッド21によって、プラテンローラ20上のフィルムFにカラーインクリボンRが押し当てられる。そして、モータによってプラテンローラ20を正転させ、フィルムFとカラーインクリボンRとを同期させながら下方に送ることで、加熱状態のサーマルヘッド21によって、カラーインクリボンRの第1色目(シアン)がフィルムF上に熱転写される。また、フィルムF上に画像を熱転写した後のカラーインクリボンRは、フィルムFから剥離させられながら、ボビン18に巻き取られていく。
次に、ラック・ピニオンからなるヘッド進退機構25によってサーマルヘッド21を後退させて、フィルムFとカラーインクリボンRとを離間させた状態で、プラテンローラ20を逆転させながらフィルムFを上昇させて元の位置に復帰させる。その後、前述の転写動作を繰り返しながら、フィルムF上にマゼンタ、イエロー、ブラックの順に色を重層させて、所望のカラー画像をフィルムF上に作り出す。
その後、巻取り側ボビン16等の回転によってフィルムF上の記録画像をヒートローラ23の手前まで移動させる。このとき、カードSの先端は、フィルムF上の記録画像の先端と位置合わせされ、カードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態で再転写部Bに送り込まれる。
この再転写部Bにおいて、位置合わせされたカードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態でヒートローラ23と押圧ローラ24とで挟み込まれ、160〜200°Cに加熱されたヒートローラ23と押圧ローラ24との協働により、カードSとフィルムFとを加圧搬送させながら、フィルムF上の記録画像をカードSの表面に徐々に転写させる。このとき、フィルムFは、カードSから剥離しながらボビン16に巻き取られていく。また、ヒートローラ23によって加熱されたカードSには反りが発生するので、カードSは、反り矯正部Cに送り込まれて加圧処理された後、真っ直ぐな状態で装置1外に排出される。
水平方向に進退運動する可動部材30には、図2及び図3に示すように、着脱自在なサーマルヘッド保持部60が装着され、このサーマルヘッド保持部60にはサーマルヘッド21がネジ固定されている。この可動部材30は、装置本体側に固定されたベース部材32のガイドレール33に沿って水平方向に進退し、ヘッド進退機構25(図1参照)によって水平方向に進退する。
このヘッド進退機構25は、可動部材30の天板部30aの裏面に固定されたラック部と、このラック部に噛合するピニオン部とからなる。そして、このピニオン部は、回転軸を介してベース部材32に取り付けられていると共に、減速歯車列を介して駆動モータに連結されている。従って、駆動モータの駆動ギアを正転又は反転させることにより、可動部材30及びサーマルヘッド21をヘッド進退機構25を介して水平方向に進退させることができる。
そして、可動部材30が前進運動する結果として、サーマルヘッド21が、フィルムF及びカラーインクリボンRを介してプラテンローラ20の表面に押し当てられる。このとき、フィルムF及びカラーインクリボンRがサーマルヘッド21とプラテンローラ20とで挟まれ、インクをフィルムFに熱転写する準備が整えられる。そして、熱転写時にサーマルヘッド21からカラーインクリボンRに熱が加えられるが、この熱をある程度冷却した後でなければ、インクがフィルムFに定着せず、フィルムFからカラーインクリボンRを剥がす際に剥離不良が発生する。よって、このような装置1では効率の良い冷時剥離が求められている。
そこで、可動部材30の前端には、回動自在な剥離ローラ40がローラ進退機構41を介して取り付けられている。この剥離ローラ40は、サーマルヘッド21の進退運動に追従すると共に、カラーインクリボンRの幅方向に延在する。そして、このローラ進退機構41は、剥離ローラ40のみをプラテンローラ20に向けてサーマルヘッド21より前方に突出させるために必要な機構であり、左右対称構造を有すると共に、可動部材30の側壁30bに対して進退方向に摺動する板状の剥離ローラブラケット42を有している。この剥離ローラブラケット42の前端には、回動自在な剥離ローラ40の回転軸40aの端部が取り付けられている。さらに、この剥離ローラブラケット42は、ガイド手段43を介して可動部材30に連結されている。このガイド手段43は、可動部材30の側壁30bで水平方向に形成されたガイド穴43aと、剥離ローラブラケット42の裏面側に設けられたガイドピン43bとによって構成され、ガイド穴43aに沿ってガイドピン43bが移動することで、剥離ローラブラケット42を水平方向に確実に摺動させることができる。
さらに、剥離ローラブラケット42の進退運動を可能にするために、可動部材30の側壁30bと剥離ローラブラケット42とを作動レバー44を介して連結する。この作動レバー44は、可動部材30の側壁30bに設けられた立上げ片46に軸部を介して支持されている。そして、作動レバー44の基端は剥離ローラブラケット42に連結され、作動レバー44の先端には、水平方向に突出する作動ピン50が設けられている。さらに、作動レバー44の基端に設けられた軸部は、剥離ローラブラケット42に設けられた軸孔内に差し込まれている。従って、作動レバー44の揺動に伴って剥離ローラブラケット42は水平方向に進退する。
また、剥離ローラブラケット42に設けられた後側のガイドピン43bと、可動部材30の側壁30bから内方に向けて突出した引っ掛けピンとの間で引張りバネ52が架け渡されている。この引張りバネ52によって、剥離ローラブラケット42は後方に向けて付勢される。従って、剥離ローラブラケット42及び剥離ローラ40が作動レバー44の揺動によって前進させられた後、作動レバー44が解放状態になると、バネ52の付勢力によって剥離ローラブラケット42及び剥離ローラ40を自動的に後退(復帰)させることができる。
さらに、仕切板P1,P2(図7参照)の内壁面から可動部材30側に向けて係止片(図示せず)が突出し、この係止片は、作動レバー44の先端に設けられた作動ピン50の移動経路の途中に配置されている。従って、可動部材30が前進する途中で作動ピン50が係止片に突き当たると、係止片によって作動レバー44の回動を開始させることができる。また、剥離ローラブラケット42と剥離ローラ40の回転軸とを捩りコイルバネ(図示せず)で連結し、この捩りコイルバネは剥離ローラ40をプラテンローラ20側に向けて付勢している。
このようなローラ進退機構41の採用により、可動部材30の進退運動に連動して、剥離ローラ40を進退運動させることができ、剥離ローラ40をプラテンローラ20に向けてサーマルヘッド21よりも前方に突出させることができる。これにより、プラテンローラ20の周面上で出来るだけ下流側に剥離ローラ40を確実に圧着させることができるので、プラテンローラ20の周面上において、サーマルヘッド21の圧着位置と剥離ローラ40の圧着位置との間の距離を出来るだけ長くすることで、インクの冷却距離を可能な限り長くすることができる。その結果、インクをフィルムFに安定して定着させることができ、フィルムFからカラーインクリボンRを剥がす際の剥離不良を抑制する。
このように構成された可動部材30に対して、サーマルヘッド保持部60は、サーマルヘッド21の交換を可能にするために着脱自在になっている。このサーマルヘッド保持部60は、略直立状態で延在する板状のベース部61を有している。そして、このベース部61の表面側には、止めネジ65によってサーマルヘッド21が固定され、ベース部61の裏面側には、サーマルヘッド21をファン冷却するための冷却フィン62が固定されている。
このようなサーマルヘッド保持部60は、可動部材30に設けられた加圧手段63によってプラテンローラ20に向けて付勢され、その結果として、このサーマルヘッド保持部60のサーマルヘッド21は、プラテンローラ20の表面に所定の圧力をもって押し当てられることになる。サーマルヘッド21の押付け力を決定している加圧手段63は、水平方向に延在して、先端がサーマルヘッド保持部60のベース部61の背面に当接する左右一対の押圧ピン64と、各押圧ピン64の周囲に巻回されると共に、押圧ピン64の先端をサーマルヘッド保持部60のベース部61に向けて付勢する圧縮コイルバネ66とを有する。この押圧ピン64の基端は、可動部材30の天板部30aに立設した支持板67を貫通し、押圧ピン64の基端には、バネ力調整ネジ68が螺着されている。このバネ力調整ネジ68の雌ネジ部68aは押圧ピン64内にねじ込まれ、バネ力調整ネジ68のヘッド部68bと押圧ピン64の基端との間にはワッシャ69が嵌め込まれている。そして、このワッシャ69は、支持板67から押圧ピン64のヘッド部68aが抜け出るのを防止している。
さらに、押圧ピン64は円筒状のスペーサ70内に挿入され、押圧ピン64の先端側に設けられた鍔部64aとスペーサ70との間に圧縮コイルバネ66が配置され、このスペーサ70は、バネ力によって支持板67に押し付けられている。そこで、バネ力調整ネジ68を所定の方向に回すことで、押圧ピン64が支持板67から前方に向けて突出する量を容易に調整することができ、これにより、プラテンローラ20に対するサーマルヘッド21の押し当てる力を容易に調整することができる。そして、調整後の押圧ピン64の先端は、圧縮コイルバネ66の付勢力によって、サーマルヘッド保持部60をプラテンローラ20に向けて付勢し続けることになるので、プラテンローラ20にサーマルヘッド21を適切な力で押し当てることができる。
さらに、サーマルヘッド保持部60は、可動部材30に対し係止手段71を介して着脱自在に連結されている。この係止手段71は、基端が可動部材30の支持板67にシャフト73を介して回動自在に取り付けられた左右一対のレバー72を有し、各レバー72の先端にはフック部72aが設けられている。これに対し、サーマルヘッド保持部60のベース部61の両端に設けられた左右一対の側板74a,74bには、フック部72aを引っ掛けるピン部76が突出している。また、レバー72と支持板67とは、ねじりバネ部(バネ部)77を介して連結され、このねじりバネ部77によって、レバー72のフック部72aはピン部76に向けて揺動自在に付勢される。
さらに、サーマルヘッド保持部60に設けられたベース部61の下部にはブラケット78が水平方向に延在し、このブラケット78には、前後方向に延在する長穴78aが形成されている。そして、この長穴78a内には、可動部材30の天板部30aに設けられた突起部79が挿入される。このようなブラケット78の採用により、可動部材30に対するサーマルヘッド保持部60の装着が容易になる。
このような係止手段71では、図4に示すように、レバー72のフック部72aをバネ力に抗して持ち上げると、サーマルヘッド保持部60のピン部76からフック部72aが外れ、その結果として、可動部材30からサーマルヘッド保持部60を取り外すことができる。そして、サーマルヘッド21を交換するにあたって、ベース部61の裏面に設けられた止めネジ65(図2参照)を外して、サーマルヘッド21をベース板61から取り外す。なお、レバー72の基端側には指掛け片75が設けられ、この指掛け片75を指で押し下げることにより、サーマルヘッド保持部60のピン部76からレバー72のフック部72aを容易に外すことができる。
次に、サーマルヘッド保持部60の装着手順について説明する。まず、図5及び図6に示すように、ブラケット78の長穴78a内に可動部材30の突起部79を挿入し、サーマルヘッド保持部60をレバー72に向けて押し込む。そして、サーマルヘッド保持部60のピン部76をフック部72aのガイド面72bに強く押し付けることにより、レバー72のフック部72aがバネ力に抗して持ち上げられ、最終的に、バネ部77の付勢力によってフック部72aがピン部76に引っ掛かる。また、可動部材30にサーマルヘッド保持部60を装着した後、バネ力によって、フック部72aがピン部76に係合し続けることになるので、可動部材30の進退時においてサーマルヘッド保持部60が可動部材30から外れ難くなる。このような構成は、サーマルヘッド21のワンタッチ装着を実現するものであり、工具や調整治具を必要としないので、サーマルヘッド21の交換作業を短時間で行うことができる。
さらに、サーマルヘッド保持部60のサーマルヘッド21は可動部材30によって印画位置と待機位置との間を水平方向に進退するので、フィルムF上に正確な画像を形成させるためには、サーマルヘッド21の進退の繰り返しを一定の精度で行わせる必要がある。しかし、係止手段71のフック部72aによって可動部材30にサーマルヘッド保持部60が着脱自在に引っ掛けられているだけなので、可動部材30にサーマルヘッド保持部60を装着する度に厳密な位置調整を行うことは困難を伴うものである。
そこで、この熱転写印刷装置1は、図7に示すように、水平方向に進退する可動部材30に対して着脱自在に搭載されたサーマルヘッド保持部60の位置を、プラテンローラ20の軸線方向(X方向)と、上下方向(Y方向)と、可動部材30の前進方向(Z方向)とで規制する位置決め手段80をさらに備える。
この位置決め手段80は、サーマルヘッド保持部60の位置すなわちサーマルヘッド21の位置をプラテンローラ20の軸線L方向(X方向)で規制する左右規制手段81を有している。この左右規制手段81は、図7及び図8に示すように、装置本体側に固定された左右一対の仕切板P1,P2間に配置されたプラテンローラ20に対して、サーマルヘッド21を軸線L方向で位置決めするためのものである。具体的にこの左右規制手段81は、仕切板P1からプラテンローラ20側に覗き出て、サーマルヘッド保持部60の左右一対の側板74a,74bのうちの一方の側板74aの外壁面に当接する第1の押圧ローラ82と、仕切板P2からプラテンローラ20側に覗き出て、他方の側板74bの外壁面にバネ力をもって当接する第2の押圧ローラ83とを有している。
この第1の押圧ローラ82は、仕切板P1にネジ止めされた板バネ84の先端に回動自在に取り付けられていると共に、仕切板P1に設けられた開口86内に挿入されてプラテンローラ20側に覗き出る。また、第2の押圧ローラ83は、仕切板P2にねじりバネ88を介して取り付けられた揺動アーム87の先端に装着されていると共に、仕切板P2に設けられた開口89内に挿入されてプラテンローラ20側に覗き出る。
その結果、仕切板P1と仕切板P2との間で水平方向に進退運動する可動部材30に係止手段71を介して取り付けられたサーマルヘッド保持部60は、第2の押圧ローラ83の付勢力によって第1の押圧ローラ82に押し付けられる。その結果として、サーマルヘッド保持部60の左右方向(X方向)の位置決めがなされ、サーマルヘッド21の左右方向の位置決めが達成される。なお、このような左右方向の位置決めは、サーマルヘッド21がプラテンローラ20に当たる直前すなわち可動部材30の前進終了直前に行われている。
さらに、位置決め手段80は、サーマルヘッド保持部60の位置すなわちサーマルヘッド21の位置を上下方向(Y方向)で規制する上下規制手段90を有している。この上下規制手段90は、図3及び図7に示すように、仕切板P1,P2間に配置されたプラテンローラ20に対してサーマルヘッド保持部60を上下方向で位置決めするためのものである。具体的にこの上下規制手段90は、仕切板P1の内壁面からプラテンローラ20側に向けて水平方向に突出する第1のガイドローラ91と、仕切板P2の内壁面からプラテンローラ20側に向けて水平方向に突出する第2のガイドローラ92とを有し、第1のガイドローラ91と第2のガイドローラ92とは、水平方向(X方向)で対峙している。
各ガイドローラ91,92は、側板74a,74bの前側下端に形成された矩形の切欠き部93内に入り込むと共に、切欠き部93の上辺93aに当接することで、サーマルヘッド保持部60の下方の位置決めがなされる。さらに、切欠き部93の上辺93aは、バネ付勢されたレバー72によって、各ガイドローラ91,92に押さえ付けられる。従って、サーマルヘッド21がプラテンローラ20に当たる直前すなわち可動部材30の前進終了直前において、切欠き部93を形成する上辺93aにガイドローラ91,92が当接することで、サーマルヘッド保持部60の上下方向(Y方向)の位置決めがなされる。
さらに、位置決め手段80は、サーマルヘッド保持部60の位置すなわちサーマルヘッド21の位置を可動部材30の前進方向(Z方向)で規制する前倒れ規制手段93を有している。この前倒れ規制手段93は、図3及び図7に示すように、サーマルヘッド21がプラテンローラ20に押し当てられる際にサーマルヘッド保持部60が前倒れし過ぎるのを防止するものである。具体的にこの前倒れ規制手段93は、ガイドローラ91,92の上方において、仕切板P1の内壁面からプラテンローラ20側に向けて水平方向に突出する第1の突き当てローラ94と、仕切板P2の内壁面からプラテンローラ20側に向けて水平方向に突出する第2の突き当てローラ95とを有し、第1の突き当てローラ94と第2の突き当てローラ95とは、水平方向(X方向)で対峙している。そして、各突き当てローラ94,95は、側板74a,74bに設けられた倒れ角度調整板96の前縁面に当接する。
略扇状をなす倒れ角度調整板96は、図9に示すように、側板74aの上端に設けられた軸部98を介して揺動自在に連結され、倒れ角度調整板96の下端には円弧状の長穴96aが形成され、側板74aに設けられた調整ネジ97は、この長穴96aを貫通して側板74aに螺着されている。さらに、倒れ角度調整板96の前縁には、突き当てローラ94が当接する円弧状の膨出部96bが設けられている。また、倒れ角度調整板96には、ピン部76を貫通させるための長穴96cが設けられている。なお、側板74bにも、前述と同様の構成をもった倒れ角度調整板96が装着されている。
そこで、サーマルヘッド21の前倒れ規制を行うにあたって、先ず、調整ネジ97を緩め、倒れ角度調整板96を所定の位置まで揺動させて、倒れ角度調整板96の膨出部96bの位置調整を行う。その後、調整ネジ97を締め込んで、倒れ角度調整板96をしっかりと固定させる。このような倒れ角度調整板96を採用することで、サーマルヘッド21がプラテンローラ20に押し当てられる際の前倒し過ぎを防止することができる。
以上のように、左右規制手段81、上下規制手段90及び前倒れ規制手段93とからなる位置決め手段80が熱転写印刷装置1に採用されることで、サーマルヘッド21の交換の度にサーマルヘッド21の位置調整を行うことへの煩わしさが解消される。これによって、サーマルヘッド21の交換作業を簡素化することができる。
本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の一実施形態を示す断面図である。 可動部材からサーマルヘッド保持部を外した状態を示す斜視図である。 熱転写印刷装置の要部を拡大した側面図である。 レバーの回動状態を示す側面図である。 可動部材からサーマルヘッド保持部を外した状態を示す側面図である。 可動部材にサーマルヘッド保持部を装着する直前の状態を示す側面図である。 本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置に適用する位置決め手段を示す斜視図である。 位置決め手段のうちの左右規制手段を示す断面図である。 サーマルヘッド保持部に設けられた倒れ角度調整板を示す側面図である。
符号の説明
1…中間転写型熱転写印刷装置、20…プラテンローラ、21…サーマルヘッド、23…ヒートローラ、30…可動部材、60…サーマルヘッド保持部、63…加圧手段、64…押圧ピン、66…圧縮コイルバネ、71…係止手段、72…レバー、72a…フック部、76…ピン部、77…ねじりバネ部(バネ部)、80…位置決め手段、R…インクリボン、F…フィルム、S…カード(記録媒体)。

Claims (4)

  1. インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、前記記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置において、
    前記フィルムが周面の一部に巻き付けられた状態で前記フィルムを搬送するプラテンローラと、
    前記プラテンローラとの協働により前記フィルムの表面に前記インクリボンを押し当てて、前記フィルムの表面に画像を熱転写するサーマルヘッドと、
    前記プラテンローラに対して進退運動する可動部材と、
    前記サーマルヘッドを有すると共に、前記可動部材に対して着脱自在なサーマルヘッド保持部と、
    前記可動部材に前記サーマルヘッド保持部を着脱自在に引っ掛けるフック部が設けられた係止手段と、
    前記可動部材に設けられると共に、前記可動部材の進退運動の方向に沿って前記サーマルヘッドを前記プラテンローラに向けて付勢する加圧手段と、
    前記可動部材の前進時に前記サーマルヘッド保持部と係合するように装置本体から突出し、前記サーマルヘッド保持部の位置を前記可動部材の前進方向で規制する位置決め手段と、を備え、
    印刷時に前記サーマルヘッドを前記プラテンローラへ押圧する前記加圧手段により、前記サーマルヘッド保持部に揺動自在に連結され且つ前記可動部材の進退方向に揺動させて固定された倒れ角度調整板が前記位置決め手段に押圧されることで、前記位置決め手段は、前記サーマルヘッド保持部の前倒れを規制することを特徴とする中間転写型熱転写印刷装置。
  2. 前記加圧手段は、
    前記可動部材の進退運動する方向に延在して、先端が前記サーマルヘッド保持部に当接する押圧ピンと、
    前記押圧ピンの周囲に巻回されると共に、前記押圧ピンの前記先端を前記サーマルヘッド保持部に向けて付勢する圧縮コイルバネと、を有することを特徴とする請求項1記載の中間転写型熱転写印刷装置。
  3. 前記係止手段は、
    基端が前記可動部材に回動自在に取り付けられると共に、先端に前記フック部が設けられたレバーと、
    前記サーマルヘッド保持部に設けられると共に、前記フック部を引っ掛けるピン部と、
    前記レバーの前記フック部を前記ピン部に向けて回動方向に付勢するバネ部とを有することを特徴とする請求項1記載の中間転写型熱転写印刷装置。
  4. 前記可動部材の進退運動する方向は水平方向であって、前記位置決め手段は、水平方向に進退する前記可動部材に着脱自在に搭載された前記サーマルヘッド保持部の位置を、前記プラテンローラの軸線方向で規制する手段と、上下方向で規制する手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の中間転写型熱転写印刷装置。
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