JP4737773B2 - 表面実装薄型コンデンサ - Google Patents

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本発明は、複数のコンデンサ素子を積層してなる表面実装薄型コンデンサに関し、特に低ESR化のためのコンデンサ素子の電気的な接続構造に関するものである。
半導体の高周波化に伴い、電子部品や電気部品のプリント配線基板などに実装される表面実装型のデカップリング用のコンデンサは市場から益々低ESR化を要求されるようになってきている。板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体とするコンデンサ素子を積層して構成される表面実装薄型コンデンサにおいて、低ESR特性を実現するためには、各コンデンサ素子の構成部品および材料の固有抵抗の低減が必要であり、また、コンデンサ素子を積層して並列接続した場合、各コンデンサ素子の外周の陰極部を電極全体にわたっていかに低抵抗で接続させるかが重要なポイントとなる。
図3に従来の表面実装薄型コンデンサの内部構造の一例の斜視図を示す。また、図4にその断面図を示し、図4(a)はA−A断面図、図4(b)はB−B断面図である。このような表面実装薄型コンデンサは、例えば特許文献1に開示されている。図3および図4において、板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体1とし、その陽極体表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された固体電解質層である導電性高分子層3と、導電性高分子層3上に形成されたグラファイト層4と、グラファイト層4上に形成した導電体層である銀層25とからなるコンデンサ素子を複数個積層して構成されている。なお、各コンデンサ素子の陽極体1の外側に延在する両端部の導電性高分子層3の両側にはレジスト層2が形成され、そのさらに外側の両端には金属板6が接続されている。
この表面実装薄型コンデンサは以下のようにして製造される。まず、板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体とし、この表面に誘電体層となる酸化皮膜を陽極酸化法などを用いて形成する。この陽極体1の中央部分1aには、表面の酸化皮膜を覆うように、導電性高分子層3を形成する。その後、導電性高分子層3の上にグラファイト層4、熱硬化型の銀ペーストによる銀層25を順次形成して陰極導体層とする。
一方、陽極体1の両端部の陰極導体層が未形成な部分については、先ず、絶縁性樹脂を主成分とするレジスト層2を導電性高分子層3の両端に隣接する隣接部分1bに形成する。その後、このレジスト層2が形成された部分の更に外側に延在する陽極体1の両端部分1cに金属板6を溶接にて接続して陽極部を形成し、コンデンサ素子を得る。
次に、このコンデンサ素子を複数個積み重ねて積層し、各コンデンサ素子の外側の銀層25間を熱硬化型の導電性接着剤27を介して互いに接着し、電気的に接続する。このとき銀層25の上下の面の間だけでなく側面部にも導電性接着剤27を塗布し各コンデンサ素子を電気的に接続する。陽極部については、互いに重なった各コンデンサ素子の両端部の陽極体1と金属板6を溶接などで接続することで、図3および図4に示す構造を完成し、その後、陽極端子、陰極端子を接続し、外装ケースなどを設置して表面実装薄型コンデンサを完成する。
特開2006−128247号公報
上記の従来の表面実装薄型コンデンサでは、各コンデンサ素子の銀層25の間及びその側面部に、上述のように導電性接着剤27を塗布した上で、これを挟みこんで加圧、加熱することで接着を行っている。その際には、熱硬化性の導電性接着剤27が硬化に至るまでの間に若干変形し、各コンデンサ素子の銀層25と密着するが、銀層25についてはすでに硬化が完了しておりそれ以上変形を起こすことがない。このため導電性接着剤27と銀層25とが十分に密着しないままに導電性接着剤27が硬化してしまいその間に密着性が十分ではない部分が生じてしまう。
この密着性の低下は、各コンデンサ素子の陰極部の電極抵抗を高くするため、コンデンサとしてのESR特性を大きく劣化させることになる。
そこで、本発明の課題は、複数のコンデンサ素子を積層して表面実装薄型コンデンサを作製する際に、各コンデンサ素子間において陰極部の電極の十分な密着性が得られ、電極抵抗の小さい陰極部が安定して得られる表面実装薄型コンデンサを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の表面実装薄型コンデンサは、板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体とし、その陽極体表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、該固体電解質層上に形成されたグラファイト層と、該グラファイト層上に形成した導電体層とからなるコンデンサ素子を複数個積層して構成された表面実装薄型コンデンサにおいて、前記導電体層として熱可塑性銀ペーストを用い、前記複数のコンデンサ素子が熱硬化性の導電性接着剤を介して接続され、前記複数のコンデンサ素子の接続部分は前記熱硬化性の導電性接着剤が前記導電体層に覆われて形成されていることを特徴とする。
ここで、前記弁作用金属の陽極体は、弁作用を有する金属をエッチングして形成されてもよく、または、弁作用を有する金属粉末を焼結して形成されてもよい。
また、前記導電体層は、熱可塑性銀ペーストを印刷して形成されてもよく、または、熱可塑性銀ペーストを転写して形成されてもよい。
また、前記の導電性接着剤は、熱硬化性銀ペーストをディスペンサにより塗布して形成されていてもよく、また、熱硬化性銀ペーストを転写して形成されていてもよい。
本発明の表面実装薄型コンデンサでは、コンデンサ素子の陰極部の銀層に熱可塑性銀ペーストを用いることにより、2つのコンデンサ素子の銀層に挟まれた熱硬化性銀ペーストが、加圧により銀層の間に広がりながら硬化が行われると同時に、加圧、加熱によって各コンデンサ素子の熱可塑性の銀層が軟化し、挟まれた導電性接着剤に押された箇所がさらに凹んで変形を起こすので、各コンデンサ素子の陰極部の電極間の密着性が高くなる。これによって各コンデンサ素子間において陰極部の電極の十分な密着性が得られ、電極抵抗の小さい陰極部が安定して得られる表面実装薄型コンデンサが得られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であり、本発明による表面実装薄型コンデンサの内部構造の一例の斜視図を示す。また、図2にその断面図を示し、図2(a)はA−A断面図、図2(b)はB−B断面図である。
図1および図2において、従来の表面実装薄型コンデンサと同様に、板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体1とし、その陽極体表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された固体電解質層である導電性高分子層3と、導電性高分子層3上に形成されたグラファイト層4と、グラファイト層4上に形成した導電体層である銀層15とからなるコンデンサ素子を複数個積層して構成されている。なお、各コンデンサ素子の陽極体1の外側に延在する両端部の導電性高分子層3の両側にはレジスト層2が形成され、そのさらに外側の両端には金属板6が接続されている。
但し、本実施の形態においては、銀層15には熱可塑性銀ペーストを用い、導電性接着剤17には熱硬化性の銀ペーストを用いている点が異なっている。
本実施の形態のコンデンサは、次のようにして製造される。まず、板状または箔状の弁作用金属を、塩酸などの塩化物水溶液に入れて化学的あるいは電気化学的にエッチングを行い、無数の空孔を形成して表面積を200倍等に大きくする拡面化を施す方法、もしくは、板状、箔状に加工した弁作用金属を、同じ弁作用金属の微粉末により両側から挟みこんでプレス成形した後に、高温真空中で焼結する方法により、厚さ方向の中央部に厚さ10〜300μmの非多孔質層を備え、かつその両側に厚み10〜300μmの多孔質層を備えた陽極体1を形成する。ここで、弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ等を用いることができる。
具体的な一例としては、厚み150μmのアルミニウム箔を塩酸に入れて、電気化学的にエッチングすることにより、表面積を200倍に大きくする拡面化を行い、表面に深さ40μm程度の多孔質層を備えた箔状の陽極体1を形成することができる。
また、厚み100μmのタンタル箔を、タンタルの微粉末により両側から挟みこんでプレス成形した後に、高温真空中で焼結することにより、表面に深さ50μm程度の多孔質層を備えた板状の陽極体1を形成することができる。
次に、上記陽極体1の中央部分1aの多孔質層の表面に誘電体層となる酸化皮膜を、陽極酸化法などを用いて形成する。例えば電気化学的方法による化成処理を行い誘電体層となる酸化皮膜を形成することができる。次にこの中央部分1aの両側の隣接部分1bの表面に、絶縁性樹脂を用いてレジスト層2を形成する。例えばエポキシ樹脂をベースとする絶縁性樹脂を用いることができる。
次に、上記の酸化皮膜が表面に形成された陽極体1の中央部分1aを覆うように、導電性高分子層3を形成し、更にその表面にグラファイト層4を形成する。具体的には、ポリピロールからなる導電性高分子層3を化学重合により形成し、更にその表面にグラファイト層4をスクリーン印刷により形成することができる。
次に、グラファイト層4が形成された部分を覆うように、熱可塑性銀ペーストを用いて印刷、転写などの方法により銀層15を形成する。この場合、ポリエステル樹脂をベースとする熱可塑性銀ペーストをスクリーン印刷により塗布し銀層15を形成してもよく、また、上記熱可塑性銀ペーストをローラ転写により塗布し銀層15を形成してもよい。
次に、金属陽極体1の両端部分1cに金属板6を、抵抗溶接、レーザ溶接、超音波溶接などの方法で接続して陽極部を成し、コンデンサ素子を得る。ここで金属板6としては、銅、銅系合金等を用いることができるが、電子部品端子材料からなる板材であるならば、これに限定されるものではない。
次に、それぞれのコンデンサ素子の銀層15の上面及び下面に熱硬化性銀ペーストからなる導電性接着剤17を塗布して複数個積み重ねて上下より加圧して積層し、また各コンデンサ素子のB−B方向(図1)の側面部にも銀層15上に熱硬化性銀ペーストからなる導電性接着剤17を塗布し、100〜300℃の加熱を行い、積層したコンデンサ素子の銀層15同士を接着し接続する。例えばコンデンサ素子を加圧積層した状態で170℃程度の加熱により熱硬化させることができる。また、導電性接着剤である熱硬化性の銀ペーストの塗布方法としては、ディスペンサで塗布する方法、あるいは、凸状スタンプを用いて転写する方法等がある。
さらに、陽極部については、積層したコンデンサ素子の両端において陽極体1同士を金属板6を介して接続する。ここで、陽極体1と金属板6の接続方法は、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接などがある。
以上のように、図1および図2に示す構造の表面実装薄型コンデンサを完成する。本発明では上述のように加圧、加熱によって各コンデンサ素子の熱可塑性の銀層が軟化し、挟まれた導電性接着剤に密着するように変形を起こすので、各コンデンサ素子間において陰極部の電極の十分な密着性が得られ、電極抵抗の小さい陰極部が安定して得られる表面実装薄型コンデンサを得ることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではないことは言うまでもなく、本発明の技術思想の範囲内において、適宜変更され得ることは明らかである。例えば、本発明のコンデンサ素子および表面実装薄型コンデンサを構成する部材の材質、数、位置、形状等は上記の実施の形態に限定されず、目的、用途に応じて好適な材料の選択、構造設計などによる変更が可能である。
本発明の一実施の形態の表面実装薄型コンデンサの内部構造の一例の斜視図。 図1の表面実装薄型コンデンサの断面図を示し、図2(a)はA−A断面図、図2(b)はB−B断面図。 従来の表面実装薄型コンデンサの内部構造の一例の斜視図。 図3の表面実装薄型コンデンサの断面図を示し、図4(a)はA−A断面図、図4(b)はB−B断面図。
符号の説明
1 陽極体
1a 中央部分
1b 隣接部分
1c 両端部分
2 レジスト層
3 導電性高分子層
4 グラファイト層
6 金属板
15、25 銀層
17、27 導電性接着剤
11 陽極部

Claims (7)

  1. 板状または箔状の拡面化した弁作用金属を陽極体とし、その陽極体表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、該固体電解質層上に形成されたグラファイト層と、該グラファイト層上に形成した導電体層とからなるコンデンサ素子を複数個積層して構成された表面実装薄型コンデンサにおいて、前記導電体層として熱可塑性銀ペーストを用い、前記複数のコンデンサ素子が熱硬化性の導電性接着剤を介して接続され、前記複数のコンデンサ素子の接続部分は前記熱硬化性の導電性接着剤が前記導電体層に覆われて形成されていることを特徴とする表面実装薄型コンデンサ。
  2. 前記弁作用金属の陽極体が、弁作用を有する金属をエッチングして形成されたこと特徴とする請求項1記載の表面実装薄型コンデンサ。
  3. 前記弁作用金属の陽極体が、弁作用を有する金属粉末を焼結して形成されたことを特徴とする請求項1記載の表面実装薄型コンデンサ。
  4. 前記導電体層が、熱可塑性銀ペーストを印刷して形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面実装薄型コンデンサ。
  5. 前記導電体層が、熱可塑性銀ペーストを転写して形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面実装薄型コンデンサ。
  6. 前記の導電性接着剤が、熱硬化性銀ペーストをディスペンサにより塗布して形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面実装薄型コンデンサ。
  7. 前記の導電性接着剤が、熱硬化性銀ペーストを転写して形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面実装薄型コンデンサ。
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