JP2005294385A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンデンサ素子に固体電解質層、カーボン層、銀ペースト層を順次積層し、外装を施してなる固体電解コンデンサの初期のESRの低減とハンダ付け後のESRの上昇を抑制する。
【解決手段】 タンタル粉末を焼結してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子1に、導電性高分子からなる固体電解質層2、カーボン層3および銀ペースト層4を順次形成してなる固体電解コンデンサの銀ペースト層4として、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとした第1の銀ペースト層の上に、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をバインダーとした第2の銀ペースト層を形成し、二層構造の銀ペースト層とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 タンタル粉末を焼結してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子1に、導電性高分子からなる固体電解質層2、カーボン層3および銀ペースト層4を順次形成してなる固体電解コンデンサの銀ペースト層4として、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとした第1の銀ペースト層の上に、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をバインダーとした第2の銀ペースト層を形成し、二層構造の銀ペースト層とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は固体電解コンデンサに関するもので、特に固体電解質に導電性高分子を用いた固体電解コンデンサに関する。
近年、電子情報機器はデジタル化され、さらに駆動周波数の高速化に伴い駆動電圧の低減化かつ駆動電流の増大化が進んできている。特に、パーソナルコンピューターの心臓部であるマイクロプロセッサの高速化は著しく、駆動電圧は低減の一途をたどっている。このような、マイクロプロセッサに高精度な電力を供給する回路として、電圧制御モジュール(VRM)と呼ばれるDC−DCコンバータが広く使用されている。
ところで、マイクロプロセッサの低電圧化に伴い、マイクロプロセッサの動作を保証する電圧範囲は狭くなってきている。マイクロプロセッサの要求電流は、マイクロプロセッサに課せられる状況により非常に高速で変化するため、DC−DCコンバータだけでは変化に対応できず、出力側に負荷コンデンサを接続してマイクロプロセッサの負荷変動に対応している。
このような負荷コンデンサに求められる機能は、損失を小さくするため等価直列抵抗(ESR)が小さいことである。そのため、負荷コンデンサには、固体電解コンデンサが用いられることが多い。
以下に一般的な固体電解コンデンサについて、図2に基づいて説明する。この図2において、1はコンデンサ素子で、このコンデンサ素子1は弁作用金属であるタンタル金属粉末を成形焼結した多孔質の陽極体よりタンタル線からなる陽極導出線を導出し、かつこの陽極導出線の一部と前記多孔質の陽極体の全面に陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成し、その表面に固体電解質層2を形成し、さらにその表面に陰極層を形成することにより構成されている。
この陰極層はカーボンペースト等を塗布してカーボン層3を形成し、さらに銀ペーストを塗布して銀ペースト層4を形成し、順次積層したものである。5は陽極端子で、陽極導出線に溶接により接続され、そして外装樹脂を形成した後、外装に沿って折り曲げられる。6は陰極端子で、この陰極端子6はコンデンサ素子1に銀接着材8により接続され、そして外装樹脂を形成した後、外装に沿って折り曲げられる。7はコンデンサ素子1全体をモールド成形により被覆する外装樹脂である。この外装樹脂としては一般的に耐熱性を有するエポキシ樹脂を用いている。
ところで、このような固体電解コンデンサの低ESR化を図る技術としては、固体電解質として導電性高分子を用いることが知られている。一般に、これら導電性高分子としては、ポリチオフェン,ポリピロール又はポリアニリン等があり、中でもポリチオフェンは、ポリピロール又はポリアニリンと比較して、導電率が高く熱安定性が特に優れていることから近年注目されており、ポリチオフェンを固体電解質として用いた固体電解コンデンサとして特開平2−15611号公報等に開示されているものがある。
また、固体電解質を導電性高分子とすることにより固体電解コンデンサのESRの低減を図ることができるものの、さらなる低ESR化のためには、固体電解質だけでなく陰極層の改良も必要となってきている。一般的に、固体電解コンデンサの陰極層に用いられる銀ペーストとしては、導電材である銀粒子を樹脂バインダーとともに有機溶媒に分散させたもので、カーボン層の上に銀ペーストと塗布した後、室温から200℃程度の温度で加熱することにより、樹脂バインダー同士を結合させ、それと同時に金属粒子同士が接触して導電膜が形成されて、導電性が現れるようになるものである。
このような銀ペーストに関しては、固体電解コンデンサの低ESR化を目的とした技術としては次にような特許文献がある。
特開2003−173937号
ところで、電子部品は一般的にはプリント基板にハンダ付けされて使用されることが多いが、電子部品のハンダ付けの際には、電子部品は熱的ストレスを受ける。例えば、ハンダ付けをディップ法により行う場合には、電子部品を搭載したプリント基板を、260℃前後の溶融ハンダ中に5〜10秒間浸漬して行っている。また、ハンダ付けをリフロー法により行う場合には、電子部品を搭載したプリント基板を、約230℃の雰囲気中で溶融したハンダを吹き付けるため、やはり高温環境に10〜60秒間程度晒されることになる。
そして、このディップ法またはリフロー法によってハンダ付けされた固体電解コンデンサは、ESRが上昇したり漏れ電流が上昇してしまうことがある。この現象は銀ペースト層の樹脂バインダーの材質による影響が大きく、樹脂バインダーとして熱可塑性樹脂を用いた際に顕著である。この理由としては、ハンダ付けの際の熱によって、銀ペースト層の樹脂バインダーが軟化する。また同時に外装樹脂であるエポキシ樹脂も膨張する。そして、外装樹脂が膨張したことによる機械的ストレスを受けて、軟化した銀ペースト層が部分的に薄くなってしまい、銀ペースト層の導電経路が小さくなってしまうためにESRが上昇すると考えられる。さらに、外装樹脂の膨張による機械的ストレスがコンデンサ素子に直接加わる場合もあり、この場合にはコンデンサ素子の誘電体酸化皮膜が損傷し、漏れ電流が増加してしまうためと考えられる。
一方で、銀ペーストの樹脂バインダーとして熱硬化性樹脂を用いた場合には、ハンダ付け時にディップ法またはリフロー法を行っても、ESRや漏れ電流の上昇は大きくはない。しかし、固体電解コンデンサの初期のESRが、熱可塑性樹脂を樹脂バインダーとして用いた場合に比べ、固体電解コンデンサの初期のESRが大きいという欠点がある。
そこで発明者らは、固体電解コンデンサの陰極層の構造について、さらなる検討を加え結果、固体電解コンデンサの低ESRを図るとともに、ハンダ付け時の固体電解コンデンサの漏れ電流の上昇をも抑制することのできる陰極層を見いだした。
この発明では、固体電解コンデンサの初期のESRの低減を図るとともに、ハンダ付けした後でもESRが上昇することのない固体電解コンデンサを提供するものである。
この出願の請求項1にかかる発明は、弁金属粉末を焼結してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子に、導電性高分子からなる固体電解質層、カーボン層および銀ペースト層を順次形成してなる固体電解コンデンサにおいて、前記銀ペースト層として、熱可塑性樹脂をバインダーとした第1の銀ペースト層の上に、熱硬化性樹脂をバインダーとした第2の銀ペースト層を形成し、二層構造の銀ペースト層としたことを特徴とする固体電解コンデンサである。
熱可塑性樹脂をバインダーとした銀ペーストを固体電解コンデンサに用いた場合には、固体電解コンデンサの初期のESRは低いものの、固体電解コンデンサをハンダ付けした後には、ESRや漏れ電流が大きくなることがある。これは、ハンダ付けした際に熱可塑性樹脂をバインダーとした銀ペースト層も軟化してしまい、外装樹脂の膨張による機械的ストレスが銀ペースト層やコンデンサ素子に加わってしまうためと考えられる。
一方で、熱硬化性樹脂をバインダーとした銀ペーストを固体電解コンデンサに用いた場合には、固体電解コンデンサの初期のESRが高くなってしまう傾向にある。しかしながら、固体電解コンデンサをハンダ付けした後でも、固体電解コンデンサのESRや漏れ電流の上昇が小さいという特性を有する。これは、ハンダ付けした際に熱硬化性樹脂をバインダーとした銀ペースト層は軟化することがないため、外装樹脂が膨張したことによる機会的ストレスが加わった場合でも、銀ペースト層の厚さは変化せず、銀ペースト層内部での導電経路にも変化がないため、ESRの上昇が小さくなるものと考えられる。また、外装樹脂の膨張による機械的ストレスを銀ペースト層が吸収して、コンデンサ素子に加わる機械的ストレスを緩和させているため、漏れ電流の増加も抑制されていると考えられる。
そこで、固体電解コンデンサの低ESRを図るために、カーボン層の上に熱可塑性樹脂をバインダーとした第1の銀ペースト層を設け、その上に、銀ペースト層やコンデンサ素子に加わる機械的ストレスを緩和するために熱硬化性樹脂をバインダーとした第2の銀ペースト層を設ける。このような2層構造の銀ペースト層とすることにより、固体電解コンデンサのESRの低減を図るとともに、ハンダ付けした後でもESRや漏れ電流が上昇することのない固体電解コンデンサが得ることができる。
この出願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、第1の銀ペースト層が、アクリル樹脂をバインダーとする銀ペースト層であり、第2の銀ペースト層がフェノール樹脂をバインダーとする銀ペースト層であることを特徴とする。
上記のような2層の銀ペースト層を得る際には、熱可塑性の樹脂バインダーとしてアクリル樹脂を、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いることにより、固体電解コンデンサのESRの低減させる効果が高い。
この発明では、導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサでも、導電性高分子の導電性を損なうことなく、導電性の高い陰極層を形成することができ、固体電解コンデンサの低ESR化を達成することができる。
次にこの発明の実施に形態について図1とともに説明する。
コンデンサ素子1はタンタル微粉末を直方体形状に成型し、焼結して形成されたものである。このコンデンサ素子1にはタンタルよりなる陽極導出線が植設され、外部に導出されている。このコンデンサ素子1のタンタルの表面には、リン酸水溶液に浸漬して陽極酸化することにより誘電体酸化皮膜が形成される。
このようなコンデンサ素子1を形成するには、タンタルの他、アルミニウム、ニオブ、チタン等の弁作用金属の粉末を用いることができる。
このコンデンサ素子1に導電性高分子層2を形成するために、まずコンデンサ素子1を重合性モノマー溶液に浸漬する。
このような重合性モノマー溶液の重合性モノマーとしては、チオフェン又はその誘導体であると好適である。チオフェンの誘導体としては次に掲げる構造のものを例示できる。このようなチオフェン又はその誘導体は、ポリピロール又はポリアニリンと比較して、導電率が高いとともに熱安定性が特に優れているため、低ESRで耐熱特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
XはOまたはS
XがOのとき、Aはアルキレン、又はポリオキシアルキレン
Xの少なくとも一方がSのとき、
Aはアルキレン、ポリオキシアルキレン、置換アルキレン、置換ポリオキシアルキレン:ここで、置換基はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基
チオフェンの誘導体の中でも、3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いると好適である。3,4−エチレンジオキシチオフェンは、酸化剤と接触することで、緩やかな重合反応によってポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)を生成するため、3,4−エチレンジオキシチオフェンのモノマー溶液を微細な構造を有するコンデンサ素子の内部にまで浸透した状態で重合させることができる。この結果、コンデンサ素子の内部にまで導電性高分子層を形成することができるようになり、固体電解コンデンサの静電容量の増大を図ることができる。
重合性モノマー溶液は、上記のような重合性モノマーを所定の溶媒で希釈したものである。希釈することによって重合性モノマー溶液の粘性が低くなり、コンデンサ素子の内部にまで重合性モノマーが浸透しやすくなる。溶媒としては各種有機溶媒を用いることができるが、重合性モノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いた場合は、イソプロピルアルコールが適当である。
コンデンサ素子を重合性モノマー溶液に所定時間浸漬した後、コンデンサ素子を重合性モノマー溶液より引き上げ、大気中で放置する。この大気中への放置によって重合性モノマー溶液のイソプロピルアルコールが揮発し、3,4−エチレンジオキシチオフェンがコンデンサ素子に付着した状態となる。
さらに、コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬する。酸化剤溶液は純水等の所定溶媒に、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩やスルホン酸塩を溶解した溶液を用いることができる。この酸化剤溶液への浸漬によって、重合性モノマーの重合が進行し、高分子化する。
以上のような工程によって、コンデンサ素子の内部にまで、導電性高分子を形成する。
そして、導電性高分子の重合を終えたコンデンサ素子を純水による流水で洗浄する。その後コンデンサ素子を乾燥し、1回の重合を終える。
そして、導電性高分子の重合を終えたコンデンサ素子を純水による流水で洗浄する。その後コンデンサ素子を乾燥し、1回の重合を終える。
以上のような、重合性モノマー溶液への浸漬から乾燥までの工程を複数回繰り返し、所望の厚さの導電性高分子層を得て、固体電解質層とする。
なお、コンデンサ素子は多孔質体であるため、固体電解質層を形成した後でも、コンデンサ素子の内部は完全には充填されない場合があり、隙間を有する構造となっている。また、化学重合により形成した導電性高分子層は、化学重合が進行する方向を制御することが困難であるため、導電性高分子層はその表面に微細な凹凸を有する構造となる。
さらに、純水洗浄、乾燥まで行った後、固体電解質層2の上にカーボン層3を形成する。カーボン層3は、カーボン粉末と樹脂バインダーとを混合したカーボンペーストを塗布し、乾燥することにより形成することができる。カーボン層を形成した場合には、カーボン層の樹脂バインダーが、固体電解質層とカーボン層、およびカーボン層と銀ペースト層との密着強度を向上させるように作用し、固体電解質層、カーボン層、銀ペースト層が強固に密着する。その結果、固体電解コンデンサを熱的負荷が加わったり、長時間使用した場合でも、それぞれの層の界面での接触抵抗が増加することがなく、全体として固体電解コンデンサの使用時におけるESR特性の悪化を低減することができる。
次に、カーボン層3の上に銀ペースト層4を形成する。銀ペースト層4は、粒径8μmの銀粒子と樹脂バインダーを有機溶媒で混練した銀ペーストを塗布し、その後熱処理することにより形成する。
ここで形成した銀ペースト層4は二層構造のものであり、二種類の銀ペーストを用いて形成する。まずアクリル樹脂からなる樹脂バインダーと銀粒子を有機溶媒によって混練した銀ペーストを塗布し、乾燥・熱処理を行って第1の銀ペースト層を形成する。次に、フェノール樹脂と銀粒子を有機溶媒によって混練した銀ペーストを塗布し、乾燥・熱処理を行って、フェノール樹脂を硬化させて、第2の銀ペースト層を形成する。
以上のように、銀ペースト層3を形成した後、この銀ペースト層3の上に銀接着材8により陰極端子6を接合するとともに、前記陽極体から引出した陽極線に陽極端子5を溶接等の手段により接合する。さらに、トランスファーモールドにより外装樹脂7によってコンデンサ素子1を被覆する。さらに、陰極端子6及び陽極端子5を外装樹脂7に沿うように所定の位置に折曲げてチップ状の固体電解コンデンサを完成した。
次にこの発明のより具体的な実施例に基づいて説明する。
コンデンサ素子1として、陽極導出線としてタンタル線を用い、大きさが1.0×3.4×4.7mm3のタンタル焼結体を用いた。コンデンサ素子1を90℃に加熱した0.4%リン酸水溶液中で、15Vの直流電圧を240分間印加して陽極酸化を行って誘電体酸化皮膜を形成し、終了後に脱イオン水の流水により洗浄、その後に乾燥を行った。
コンデンサ素子1として、陽極導出線としてタンタル線を用い、大きさが1.0×3.4×4.7mm3のタンタル焼結体を用いた。コンデンサ素子1を90℃に加熱した0.4%リン酸水溶液中で、15Vの直流電圧を240分間印加して陽極酸化を行って誘電体酸化皮膜を形成し、終了後に脱イオン水の流水により洗浄、その後に乾燥を行った。
次に、このコンデンサ素子1をイソプロピルアルコール50gと3,4−エチレンジオキシチオフェン50gとを混ぜ合わせてなるモノマー溶液に7分間浸漬し、次に遷移金属イオンを含む酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄40gを60gのブタノールに溶解させて得た酸化剤溶液に15分間浸漬し、化学酸化重合を行い、誘電体酸化皮膜の上に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した。そして、コンデンサ素子に付着した余分なモノマーや酸化剤を除去するために、ブタノールによる洗浄を5分間行った後、105℃で5分間乾燥した。次いで、前記コンデンサ素子を60℃に加熱した0.4%のリン酸水溶液中で、13Vの直流電圧をで30分間印加して、皮膜の欠陥部を修復する再化成を行い、その後に脱イオン水の流水により洗浄して乾燥を行った。その後に固体電解質層2が所望の厚さになるまで、モノマー溶液への浸漬−乾燥までの重合回数を4回繰り返した。
次に、さらに固体電解質層の上にカーボン層3を形成した。カーボン層4は、カーボン粉末を有機溶媒に樹脂バインダーとともに分散させたカーボン液を固体電解質層2の上に塗布して、乾燥させて形成した。
さらに、カーボン層3の上に銀ペースト層4を形成した。銀ペースト層は二層構造のものであり、二種類の銀ペーストを用いて形成する。まずアクリル樹脂からなる樹脂バインダーと粒径8μmの銀粒子を有機溶媒によって混練した銀ペーストを塗布し、その後、常温で30分間乾燥した後に、150℃で熱処理を行って、40μm程度の厚さの第1の銀ペースト層を形成した。次に、フェノール樹脂と粒径8μmの銀粒子を有機溶媒によって混練した銀ペーストを塗布し、その後、90℃で1時間乾燥し、さらに150℃で40分間熱処理を行って、フェノール樹脂を硬化させて、40μm程度の厚さの第2の銀ペースト層を形成した。
以上のように、銀ペースト層4を形成した後、この銀ペースト層3の上に銀接着材8により陰極端子6を接合するとともに、コンデンサ素子から引出した陽極導出線に陽極端子5を溶接等の手段により接合する。さらに、トランスファーモールドにより外装樹脂7によって被覆し、陰極端子6及び陽極端子5を、外装樹脂7に沿って、所定の位置に折曲げてチップ状の固体電解コンデンサを完成した。
(従来例1)
従来例として、実施例1と同様にして、導電性高分子層の形成を行い、さらにコンデンサ素子にカーボン層を形成した後、さらにカーボン層の上にアクリル樹脂をバインダーとした銀ペーストのみを用い、約80μmの厚さ銀ペースト層を形成した。この従来例1の銀ペースト層は一層の銀ペースト層となる。さらに、その後の工程を実施例と同様に形成したチップ型固体電解コンデンサを用意した。
従来例として、実施例1と同様にして、導電性高分子層の形成を行い、さらにコンデンサ素子にカーボン層を形成した後、さらにカーボン層の上にアクリル樹脂をバインダーとした銀ペーストのみを用い、約80μmの厚さ銀ペースト層を形成した。この従来例1の銀ペースト層は一層の銀ペースト層となる。さらに、その後の工程を実施例と同様に形成したチップ型固体電解コンデンサを用意した。
(従来例2)
従来例として、実施例1と同様にして、導電性高分子層の形成を行い、さらにコンデンサ素子にカーボン層を形成した後、さらにカーボン層の上にフェノール樹脂をバインダーとした銀ペーストのみを用い、約80μmの厚さ銀ペースト層を形成した。この従来例1の銀ペースト層は一層の銀ペースト層となる。さらに、その後の工程を実施例と同様に形成したチップ型固体電解コンデンサを用意した。
従来例として、実施例1と同様にして、導電性高分子層の形成を行い、さらにコンデンサ素子にカーボン層を形成した後、さらにカーボン層の上にフェノール樹脂をバインダーとした銀ペーストのみを用い、約80μmの厚さ銀ペースト層を形成した。この従来例1の銀ペースト層は一層の銀ペースト層となる。さらに、その後の工程を実施例と同様に形成したチップ型固体電解コンデンサを用意した。
(試験結果)
以上のようにして作製した固体電解コンデンサの初期の電気的測定およびハンダリフロー条件(250℃、5秒間)にて熱的ストレスを印加した後の電気的特性の測定を行った。その結果を次の表に示す。
以上のようにして作製した固体電解コンデンサの初期の電気的測定およびハンダリフロー条件(250℃、5秒間)にて熱的ストレスを印加した後の電気的特性の測定を行った。その結果を次の表に示す。
この表1に示した結果から判るように、本発明の実施例の固体電解コンデンサは、従来例2の固体電解コンデンサよりも初期のESRが低くなっていることが判る。また、ハンダリフロー条件での熱的ストレスを加えた後のESRは、本発明の実施例では殆ど上昇していないが、従来例1の固体電解コンデンサでは、ESRの上昇が見られた。この結果より、本発明の実施例の固体電解コンデンサは、初期のESRの値が低く、しかも、ハンダ付けした後もESRの上昇が殆どない優れた特性を有することが明らかとなった。
1 コンデンサ素子
2 導電性高分子層
3 カーボン層
4 銀ペースト層
5 陽極端子
6 陰極端子
7 外装樹脂
8 銀接着材
2 導電性高分子層
3 カーボン層
4 銀ペースト層
5 陽極端子
6 陰極端子
7 外装樹脂
8 銀接着材
Claims (2)
- 弁金属粉末を焼結してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子に、導電性高分子からなる固体電解質層、カーボン層および銀ペースト層を順次形成してなる固体電解コンデンサにおいて、
前記銀ペースト層として、熱可塑性樹脂をバインダーとした第1の銀ペースト層の上に、熱硬化性樹脂をバインダーとした第2の銀ペースト層を形成し、二層構造の銀ペースト層としたことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記第1の銀ペースト層が、アクリル樹脂をバインダーとする銀ペースト層であり、前記第2の銀ペースト層がフェノール樹脂をバインダーとする銀ペースト層であることを特徴とする請求項1に記載に固体電解コンデンサ。
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JP2008300407A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Nec Tokin Corp | 表面実装薄型コンデンサ |
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