JP2004281515A - 積層型固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弁金属箔1と、弁金属箔1の表面に形成された弁金属多孔質体2と、弁金属多孔質体2の表面に設けた誘電体被膜3と、誘電体被膜3を覆うように設けた固体電解質層5からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲をカーボン層6と銀ペイント層7で覆うように構成することで、素子間の抵抗を低減するとともに素子の容積拡大を可能とした。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、情報通信機器の需要が急速に拡大し、電源回路の2次側やパーソナルコンピュータのCPU周りなどに使用されるコンデンサは、低背化、小型大容量化が強く望まれている。さらに、高周波化に対応した等価直列抵抗(以下、ESR)の低いものが要求されている。
【0003】
従来の積層型固体電解コンデンサは、図5に示すような弁金属箔の表面をエッチングして弁金属多孔質体を形成した弁金属多孔質箔20と弁金属多孔質箔20の表面に形成された誘電体被膜21からなる陽極体と、陽極と陰極を分離する絶縁分離層25と、誘電体被膜21の上に形成された固体電解質層22と固体電解質層22の上に形成されたカーボン層23とカーボン層23の上に形成された銀ペイント層24とからなる集電体層とで形成されたコンデンサ素子26を図6に示すように導電性接着層27を介して複数個積層後、外部電極28,29を接続して構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−68158号公報(第10頁、第3−4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成ではコンデンサ素子を積層すると、集電体層であるカーボン層23と銀ペイント層24や導電性接着層27の持つ固有抵抗や、固体電解質層22とカーボン層23、カーボン層23と銀ペイント層24との間に生じる界面抵抗や、コンデンサ素子間の界面抵抗が大きくなるため、積層型固体電解コンデンサのESRが大きくなってしまい、高周波特性が劣るという問題があった。
【0006】
さらに、コンデンサの容量を大きくしようとすると、積層するコンデンサ素子の数を増やしたり、弁金属多孔質箔20を厚くする必要があり、積層型固体電解コンデンサが大きくなってしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、従来の上記問題点を解決するためになされたものであり、外装の大きさは変えずに低ESR化と大容量化を図った積層型固体電解コンデンサの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を集電体層で覆うように構成したものである。
【0009】
これにより、積層型固体電解コンデンサの低ESR化と大容量化を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を集電体層で覆うように構成したことにより、コンデンサ素子間に集電体層を形成しない分、弁金属多孔質体の厚みや積層数を増すことができ、また、積層間の集電体層の固有抵抗や界面抵抗を削減でき、大容量化と低ESR化を図ることができる。
【0011】
また本発明は、集電体層はカーボン層と銀ペイント層とからなることにより、集電体層と固体電解質層との界面抵抗が低い状態で接続が可能となり、低ESR化を図ることができる。
【0012】
また本発明は、集電体層は樹脂による外装で覆われたことにより、外的環境による影響を受けにくいため、信頼性の優れた積層型固体電解コンデンサにすることができる。
【0013】
また本発明は、弁金属箔と、弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、固体電解質層を覆うように設けたカーボン層からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を銀ペイント層で覆うように構成したことにより、コンデンサ素子間に銀ペイント層を形成しない分、弁金属多孔質体の厚みや積層数を増やすことができ、大容量化を図ることができる。
【0014】
また本発明は、銀ペイント層は樹脂による外装で覆われたことにより、外的環境による影響を受けにくいため、信頼性の優れた積層型固体電解コンデンサにすることができる。
【0015】
また本発明は、弁金属箔と弁金属多孔質体にタンタルまたは/およびニオブまたは/およびアルミニウムを用いたことにより、大容量で、温度特性の優れた積層型固体電解コンデンサにすることができる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例1における積層型固体電解コンデンサについて説明する。図1は本実施例1におけるコンデンサ素子の断面図、図2は本実施例1における積層型固体電解コンデンサの断面図である。
【0017】
図1に示すように、コンデンサ素子は、陽極体である弁金属箔1および弁金属多孔質体2と、誘電体被膜3と、陰極となる固体電解質層5により構成される。
【0018】
弁金属箔1は、板状のタンタル箔またはニオブ箔である。弁金属多孔質体2は、弁金属箔1の一部を除いて上面視が略長方形となるようにタンタルやニオブなどの弁作用金属粉末を含む塗料を塗布し、真空中で焼結して形成する。ここで塗布の方法は、スクリーン印刷、ディスペンサー、ダイコート法などである。
【0019】
誘電体被膜3は、燐酸溶液中で陽極酸化処理を行い弁金属多孔質体2の表面を覆うように形成する。
【0020】
4は弁金属多孔質体2で覆われていない弁金属箔1上の弁金属多孔質体2の端面に形成された絶縁分離層であり、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂などを塗布したりポリイミドテープを貼りつけて陽極と陰極を分離し、短絡防止を図ったものである。
【0021】
固体電解質層5は、誘電体被膜3を覆うように設けられ、ポリピロールまたはポリチオフェンなどの導電性高分子層を化学重合法または電解重合法などにより形成するか、または硝酸マンガン溶液を含浸させて熱分解することによって二酸化マンガン層を形成することで得ることができる。
【0022】
以上のようにして得られたコンデンサ素子を図2に示すように2個積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を覆うように導電ペーストであるカーボンと銀ペイントを塗布することによって、カーボン層6および銀ペイント層7を順次積層して集電体層を形成する。
【0023】
この集電体層は陰極としての役割をもち、コンデンサ素子の積層体を外的ストレスから保護するとともに、低抵抗で効率よく陰極を取出すことができる。
【0024】
上記コンデンサ素子の積層体の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を溶接などで接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を導電性接着剤で結合し、外部端子8,9の端部のみが露出しコンデンサ素子の積層体を覆うようにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施して、図2に示す積層型固体電解コンデンサを得る。
【0025】
このエージングによって、誘電体被膜3の形成後のコンデンサ素子の製造過程において壊れた誘電体被膜3を修復し、漏れ電流を低減することができる。
【0026】
なお、外装10として、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0027】
このような構成により、積層されたコンデンサ素子間は、固体電解質層5で接しており、カーボン層6と銀ペイント層7が存在しないため、従来のコンデンサよりもカーボン層6および銀ペイント層7のもつ固有抵抗や界面抵抗が削減され、積層型固体電解コンデンサのESRを低くすることができる。
【0028】
また、図2に示すように、積層されたコンデンサ素子の最外層に銀ペイント層7を形成しているが、この銀ペイント層7に熱硬化型の銀ペーストを用いることにより、その硬化時の効果によってコンデンサ素子間の積層面に残留応力が作用し、固体電解質層5どうしの接触抵抗を低減することができるために低いESR特性を実現することができる。これは固体電解質層5どうしが圧接していることによって低い接触抵抗を実現しているためである。
【0029】
また、この銀ペイント層7に用いる熱硬化型樹脂としては少なくともエポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの変性樹脂を含む樹脂材料などを用いることができる。さらにこの時の硬化温度としては200℃以下が好ましい。また接触抵抗を低減するための応力を発生させるための前記銀ペイント層7の厚みとしては100μm以上であれば良いことが分かった。
【0030】
さらに、各コンデンサ素子のカーボン層6と銀ペイント層7の削減により積層型固体電解コンデンサの外装10の大きさを変えずにコンデンサ素子の積層数を増やすことや、弁金属多孔質体2の厚みを厚くすることができるため、コンデンサの小型大容量化を図ることができる。
【0031】
なお、本実施例1においては、弁金属箔1および弁金属多孔質体2はタンタルとニオブを例に挙げたが、一般に固体電解コンデンサに用いられるアルミニウムやチタンなどの弁金属ならなんでもよい。また、弁金属箔1と弁金属多孔質体2からなる陽極体として、アルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔の必要部分の表面側をエッチングして弁金属多孔質体2と弁金属箔1が一体となって構成されたものとしてもよい。
【0032】
なお、本実施例1ではコンデンサ素子を2個積層した場合について説明したが、積層するコンデンサ素子は2個に限らず何個でもよい。
【0033】
(実施例2)
本発明の他の実施例を示す。図1、図2と同一構成要件は同符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施例2におけるコンデンサ素子は、図3に示すように、固体電解質層5を覆うように固体電解質層5上に導電ペーストであるカーボンを塗布し、カーボン層6を形成している。
【0035】
以上のようにして得られたコンデンサ素子を図4に示すように2個積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を覆うように導電ペーストである銀ペイントを塗布することによって、銀ペイント層7を形成する。
【0036】
上記コンデンサ素子の積層体の弁金属箔1と外部端子(陽極)8を溶接などで接合し、銀ペイント層7と外部端子(陰極)9を導電性接着剤で接合し、外部端子8,9の端部のみが露出しコンデンサ素子の積層体を覆うようにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂による外装10で被覆封止した後、エージングを施して、図4に示す積層型固体電解コンデンサを得る。
【0037】
このエージングによって、誘電体被膜3の形成後のコンデンサ素子の製造過程において壊れた誘電体被膜3を修復し、漏れ電流を低減することができる。
【0038】
なお、外装10として、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0039】
このような構成により、積層されたコンデンサ素子間はカーボン層6で接しており、銀ペイント層7が存在しないため、従来のコンデンサよりも銀ペイント層7のもつ固有抵抗や界面抵抗が削減され、積層型固体電解コンデンサのESRを低くすることができる。
【0040】
さらに、各コンデンサ素子の銀ペイント層7の削減により積層型固体電解コンデンサの外装10の大きさを変えずにコンデンサ素子の積層数を増やすことや、弁金属多孔質体2の厚みを厚くすることができるため、コンデンサの小型大容量化を図ることができる。
【0041】
なお、本実施例2においては、弁金属箔1および弁金属多孔質体2はタンタルとニオブを例に挙げたが、一般に固体電解コンデンサに用いられるアルミニウムやチタンなどの弁金属ならなんでもよい。また、弁金属箔1と弁金属多孔質体2からなる陽極体として、アルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔の必要部分の表面側をエッチングして弁金属多孔質体2と弁金属箔1が一体となって構成されたものとしてもよい。
【0042】
なお、本実施例2ではコンデンサ素子を2個積層した場合について説明したが、積層するコンデンサ素子は2個に限らず何個でもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、積層型固体電解コンデンサの大容量化と低ESR化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるコンデンサ素子の断面図
【図2】本発明の実施例1における積層型固体電解コンデンサの断面図
【図3】本発明の実施例2におけるコンデンサ素子の断面図
【図4】本発明の実施例2における積層型固体電解コンデンサの断面図
【図5】従来のコンデンサ素子の断面図
【図6】従来の積層型固体電解コンデンサの断面図
【符号の説明】
1 弁金属箔
2 弁金属多孔質体
3 誘電体被膜
5 固体電解質層
6 カーボン層
7 銀ペイント層
10 外装
Claims (6)
- 弁金属箔と、前記弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、前記弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、前記誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を集電体層で覆うように構成した積層型固体電解コンデンサ。
- 集電体層はカーボン層と銀ペイント層とからなる請求項1記載の積層型固体電解コンデンサ。
- 集電体層は樹脂による外装で覆われた請求項1記載の積層型固体電解コンデンサ。
- 弁金属箔と、前記弁金属箔の表面に形成された弁金属多孔質体と、前記弁金属多孔質体の表面に設けた誘電体被膜と、前記誘電体被膜を覆うように設けた固体電解質層と、前記固体電解質層を覆うように設けたカーボン層からなるコンデンサ素子を積層し、このコンデンサ素子の積層体の周囲を銀ペイント層で覆うように構成した積層型固体電解コンデンサ。
- 銀ペイント層は樹脂による外装で覆われた請求項4記載の積層型固体電解コンデンサ。
- 弁金属箔と弁金属多孔質体にタンタルまたは/およびニオブまたは/およびアルミニウムを用いた請求項1または4記載の積層型固体電解コンデンサ。
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JP2003068027A JP2004281515A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 積層型固体電解コンデンサ |
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JP2003068027A Pending JP2004281515A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 積層型固体電解コンデンサ |
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Cited By (6)
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JP2007227716A (ja) * | 2006-02-24 | 2007-09-06 | Nichicon Corp | 積層型固体電解コンデンサおよびその製造方法 |
JP2009182029A (ja) * | 2008-01-29 | 2009-08-13 | Nichicon Corp | 積層型固体電解コンデンサ |
US8014129B2 (en) | 2007-12-26 | 2011-09-06 | Nec Tokin Corporation | Stacked solid electrolytic capacitor |
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CN104200996A (zh) * | 2014-06-25 | 2014-12-10 | 福建国光电子科技股份有限公司 | 多层模式电极元件的固体电解电容器 |
JP2015500575A (ja) * | 2011-12-14 | 2015-01-05 | ケメット エレクトロニクス コーポレーション | 高い容量効率を有する積層コンデンサ |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068027A patent/JP2004281515A/ja active Pending
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