以下、本発明を具体化した実施の形態の一つである印刷システム1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
まず、図1を参照して、印刷システム1の全体構成について説明する。図1は、印刷システム1の構成図である。図1に示すように、印刷システム1は、複数のテーププリンタ10と、インターネット300を介してテーププリンタ10に接続されたサーバ20から構成されている。印刷システム1は、後述するように、各テーププリンタ10がインターネット30を介してサーバ20に記憶された文字、記号、図柄等から構成される所定の書式やレイアウト等のデータ(以下、フォーマットデータという)をダウンロードして、印刷を行うものである。
次に、図2を参照して、テーププリンタ10の物理的構成について説明する。図2は、テーププリンタ10のテープカセット収納部11の蓋を取り去った状態を示す平面図である。
図2に示すように、テーププリンタ10は、後述するテープカセット51(図3および図4参照)を収納する凹部であるテープカセット収納部11を後部(図中上部)に備え、前部(図中下部)には、複数のキー30が配列されたキーボード部3を備えている。キー30は、アルファベット、ひらがな、カタカナ、数字、記号等を入力するための文字キー、変換キー、および印刷キー、キャンセルキー等の各種機能のコマンドを各々入力するための複数の機能キーから構成されている。さらに、テーププリンタ10は、テープカセット収納部11とキーボード部3との間に、キーボード部3で入力された文字や、後述するようにサーバ20からダウンロードされたフォーマット等が表示される液晶ディスプレイ12を備えている。
次に、図3および図4を参照して、テーププリンタ10のテープカセット収納部11に収納されるテープカセット51の物理的構成について説明する。図3は、テープカセット51の斜視図である。図4は、上ケース52を取り外した状態の下ケース53の平面図である。
図3に示すように、テープカセット51は、上ケース52と下ケース53とから構成されている。テープカセット51には、後述するテープスプール68(図4参照)およびリボン巻取りスプール71(図4参照)をそれぞれ回動可能に支持する支持孔57および支持孔55が設けられている。なお、図3には、上ケース52に形成された各支持孔55、57のみしか図示されていないが、下ケース53についても、同様に、上ケース52の各支持孔55、57に対向する各支持孔55、57が形成されている。
また、図3に示すように、テープカセット51の前側(図中右下側)には、テープスプール68から引き出された印字テープ67、およびリボンスプール70から引き出されたインクリボン69を案内し、開口58Aから送出するアーム部58が設けられている。なお、印字テープ67、テープスプール68、インクリボン69、およびリボンスプール70については図4を参照して後述する。
アーム部58の後方には、テーププリンタ10のサーマルヘッド141(図5参照)が装着されるヘッド装着部59が設けられている。ヘッド装着部59において、アーム部58と対向する壁部59Aには、テープカセット51の後方(図中左上方)に向かって入り込んだ第1嵌合部60が形成され、また、ヘッド装着部59の左側側壁には、第1嵌合部60と直行する方向(壁部59Aに沿った方向)に入り込んだ第2嵌合部61が形成されている。これらの第1嵌合部60、第2嵌合部61は、サーマルヘッド141を支持する図示外のヘッドホルダに形成された2つの突起部に嵌合されて、ヘッド装着部59に対するサーマルヘッド141の装着を、印字テープ67およびインクリボン69に干渉することなく確実に行うためのものである。
さらに、印字テープ67およびインクリボン69の走行方向に関しヘッド装着部59の下流側には、後述するテープ送りローラ62を回動可能に支持する支持孔63が設けられている。テープ送りローラ62は、それに対向する圧接ローラ(図示外)との協働により、テープスプール68から印字テープ67を引き出すものである。また、テープ送りローラ62の近傍位置には、上下一対の規制部材64、65が設けられており、各規制部材64、65は、サーマルヘッドの下流側にて文字が印刷された印字テープ67を幅方向に規制するものである。
次に、図4を参照して、テープカセット51の内部構成について説明する。図4に示すように、下ケース53の後部(図中上部)には、離形紙を外側に向けて印字テープ67を巻回したテープスプール68が、前述した支持孔57を介して回動可能に配置されている。また、下ケース53の前部(図中下部)には、インクリボン69を巻回したリボンスプール70が回動可能に配置されている。さらに、テープスプール68とリボンスプール70との間には、リボンスプール70からインクリボン69を引き出すとともに、文字の印刷で消費されたインクリボン69を巻き取るリボン巻取りスプール71が、前述した支持孔55を介して回動可能に配置されている。
印字テープ67は、前述したように、ヘッド装着部59の下流側に設けられたテープ送りローラ62と、テーププリンタ10に設けられた圧接ローラ(図示外)との協働により、テープスプール68から引き出され、アーム部58の開口58Aからヘッド装着部59の前側(図中下側)を通過した後、テープ排出部74からテープカセット51の外方へ排出される。また、インクリボン69は、リボン巻取りスプール71によってリボンスプール70から引き出され、アーム部58の開口58Aからヘッド装着部59の前側を通過した後、規制部材64(図3参照)、65の内方に形成された案内部75に案内されて、リボン巻取りスプール71の周囲に巻き取られる。なお、リボン巻取りスプール71の下部には、リボン巻き取りスプール71が逆転して巻き取ったインクリボン69が緩んでしまうのを防止する、クラッチバネ76が取り付けられている。
さらに、下ケース53の右後部(図中右上部)には、テープカセット51の識別情報であるカセット情報を記憶した角型シート状の無線タグが固着されている。なお、カセット情報および無線タグ800の詳細については後述する。
次に、図5〜図7を参照して、テーププリンタ10の電気的構成について説明する。図5は、テーププリンタ10の電気的構成を示すブロック図である。図6は、ROM102の記憶領域の説明図である。図7は、RAM104の記憶領域の説明図である。
図5に示すように、テーププリンタ10の制御構成は、制御基板上に形成される制御回路部100を核として構成されている。制御回路部100は、各機器を制御するCPU101と、CPU101に接続されたROM102、CGROM103、RAM104、および入出力インターフェース105から構成されている。
CGROM103は、多数の文字の各々に関して、表示のためのドットパターンデータをコードデータに対応させて格納するものである。ROM102およびRAM104の詳細については後述する。
入出力インターフェース105には、タグリーダ111と、キーボード部3と、液晶ディスプレイ12に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有するディスプレイコントローラ(以下、LCDCという)132と、サーマルヘッド141を駆動するための駆動回路142と、テープ送りモータ151を駆動するための駆動回路152と、インターネット30を介してサーバ20との間でデータの送受信を行うための通信装置107とが各々接続されている。
タグリーダ111は、テープカセット51に設けられた後述する無線タグ800(図8および図9参照)との間で無線通信を行い、非接触で情報の読み取りを行う周知のタグリーダである。詳細は図示しないが、タグリーダ111は、無線タグ800が有するアンテナ811との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナと、アンテナを介して無線タグ800のIC回路部820へアクセスし、情報の読み取りまたは書き込みを行うための送受信回路と、無線タグ800から読み出された信号を処理するための信号処理回路と、制御回路とを備えている。この制御回路はいわゆるマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、およびRAM等から構成され、RAMの一時的な記憶領域を利用しつつ、ROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うように構成されている。なお、前述したように、無線タグ800は、下ケース53の右後部(図4中右上部)に設けられており、テープカセット51がテーププリンタ10のテープカセット収納部11に装着されると、テープカセット収納部11の底面に対向する。タグリーダ111は、一定の交信範囲を有するため、テープカセット51が装着されたときに無線タグ800が交信範囲内に入る位置であれば、テーププリンタ10の内部の任意の位置に設けることができる。
ここで、図6を参照して、ROM102の詳細について説明する。図6に示すように、読み出し専用の記憶素子であるROM102は、フォーマット取得プログラム記憶領域1021と、基本情報記憶領域1022と、その他プログラム記憶領域1023と、その他データ記憶領域1024とを備えている。フォーマット取得プログラム記憶領域1021には、後述するように、サーバとの間で通信を行い、フォーマットデータを取得(ダウンロード)するためのフォーマット取得プログラムが記憶されている。基本情報記憶領域1022には、テーププリンタ10の基本性能に関する情報であるプリンタ基本情報が、テーププリンタ10の機種を示すプリンタ識別情報(以下、プリンタIDという)とともに記憶されている。例えば、プリンタ基本情報であるテーププリンタ10の解像度や印刷時の印刷可能領域サイズ等が、プリンタIDである「PT24」とともに記憶されている。また、その他プログラム記憶領域1023には、フォーマット取得プログラム以外の、テーププリンタ10の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されている。さらに、その他データ記憶領域1024には、プリンタ基本情報以外の各種のデータが記憶されている。
次に、図7を参照して、RAM104の記憶領域について説明する。図7に示すように、各種データが一時的に記憶されるRAM104は、装着カセット情報記憶領域1041と、受信カセット情報記憶領域1042と、フォーマットデータ記憶領域1043と、印刷データ記憶領域1044と、その他データ記憶領域1045とを備えている。装着カセット情報記憶領域1041には、後述するように、タグリーダ111により検出された、テーププリンタ10に装着されたテープカセット51の情報である装着カセット情報が記憶される。受信カセット情報記憶領域1042には、後述するように、サーバ20との通信により受信されたテープカセット51の情報である受信カセット情報が記憶される。フォーマットデータ記憶領域1043には、後述するように、サーバ20との通信によりサーバ20から受信されたフォーマットデータが記憶される。印刷データ記憶領域1044には、入力データから展開された印刷用ドットパターンおよび印加パルス数等が印刷用データとして記憶される。サーマルヘッド141は、この印刷データ記憶領域1044に記憶された印刷用データに従って、印刷を行う。また、その他データ記憶領域1045には、上記の情報以外の各種のデータが記憶される。
次に、図8および図9を参照して、テープカセット51に設けられた無線タグ800の構成について説明する。図8は、無線タグ800の電気的構成を示す部ブロック図である。図9は、メモリ部826の記憶領域の説明図である。
図8に示す無線タグ800は、コイル状のアンテナ811と、IC回路部820とを構成の主体とし、角型のシート状に形成されたものである(図4参照)。アンテナ811は、タグリーダ111が有するアンテナ(図示外)との間で、無線電波を用いて非接触で信号の送受信を行うものである。一方、IC回路部820は、アンテナに接続された整流部821、整流部821に接続された電源部822、アンテナに接続されたクロック抽出部823、アンテナに接続された変復調部824、クロック抽出部823および変復調部824に接続された制御部825、および制御部825に接続されたメモリ部826を備えている。整流部821は、アンテナ811によって受信された搬送波を整流する。電源部822は、整流部821による整流された搬送波のエネルギを蓄積し駆動電源とするためのものである。クロック抽出部823は、アンテナ811によって受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部825に供給する。変復調部824は、タグリーダ111から搬送波に乗せて送信され、アンテナ811によって受信された受信信号の復調を行うと共に、制御部825からの応答信号に基づき、受信された搬送波を変調反射する。制御部825は、変復調部824により復調された受信信号を解釈し、メモリ部826に記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、変復調部824等を介して返信する等、無線タグ800の基本的な作動を制御する。後述するメモリ部826は、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶手段として機能する。
無線タグ800のメモリ部826は、図9に示すように、カセット情報記憶領域8261と、その他データ記憶領域8262とを備えている。カセット情報記憶領域8261には、テープカセット51の備える印字テープ67のテープ幅とテープカセット51に付与された特定情報(以下、カセットIDという)が記憶されている。カセットIDは、テープカセット51が有する印字テープ67に印刷するためにサーバ20からダウンロード可能なフォーマットを特定する識別情報である。例えば、36mm幅の印字テープ67と特定の飾り枠フォーマットに対応するテープカセット51には、テープ幅36mmを示す「TZ−161」と、特定の飾り枠を示す「000001」とを組み合わせた「TZ−161−000001」がカセットIDとして記憶されている。なお、本実施形態でいう「フォーマット」とは、文字、数字、記号、図柄、囲み枠、これらの所定の書式やレイアウト、特定のフォントを含む。また、その他データ記憶領域8262には、上記の情報以外の各種のデータが記憶されている。
次に、図10〜図12を参照して、サーバ20の構成について説明する。図10は、サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。図11は、RAM103の記憶領域の説明図である。図12は、フォーマットデータベース(DB)204に記憶されるデータ2041の説明図である。
図10に示すように、サーバ20は、各機器の制御や、データの転送、種々の演算等を行うCPU201と、サーバ20の制御プログラム等を格納したROM202と、後述するRAM203と、後述するフォーマットDBと204と、インターネットを介してテーププリンタ10との間でデータの送受信を行うための通信装置207と、データ入出力を制御する入出力インターフェース205とを備えている。なお、ROM202には、後述するフォーマット送信プログラムが記憶されている。または、別途設けられた記憶装置に、フォーマット送信プログラムを記憶させるように構成してもよい。
各種データを一時的に記憶するRAM203は、図11に示すように、プリンタ情報記憶領域2031と、カセット情報記憶領域2032と、フォーマットデータ記憶領域2033と、その他データ記憶領域2034とを備えている。プリンタ情報記憶領域2031には、後述するように、テーププリンタ10から受信したテーププリンタ10のプリンタIDが記憶される。カセット情報記憶領域2032には、同じく、テーププリンタ10から受信したテープカセット51のカセットIDが記憶される。フォーマットデータ記憶領域2033には、後述するフォーマットDB204からテーププリンタ10への送信用に抽出されたフォーマットデータが記憶される。その他データ記憶領域2034には、上記以外の各種のデータが記憶される。
フォーマットDB204は、サーバ20に接続可能なテーププリンタ10のプリンタIDと、テーププリンタ10に装着可能なテープカセット51のカセットIDとに対応づけて、フォーマットデータを記憶するデータベースである。例えば、図12に示すように、テーププリンタ10の機種を示すプリンタID「PT24」について、36mm幅のテープカセット51の種類を示すカセットID「TZ−161−000001」に対応するフォーマットデータとして、犬の飾り枠が記憶され、カセットID「TZ−161−000002」に対応するフォーマットデータとして、鉛筆の飾り枠が記憶され、カセットID「TZ−161−000003」に対応するフォーマットデータとして、花束の飾り枠が記憶されている。後述するように、サーバ20は、このフォーマットDB204に記憶されたフォーマットデータの中から、テーププリンタ10から送信されるプリンタIDとカセットIDとに適合するフォーマットデータを選択し、テーププリンタ10に送信する。なお、フォーマットDB204は、サーバ20の外部に別途設けることも可能である。
次に、図13および図14を参照して、印刷システム1を構成するテーププリンタ10とサーバ20との間で行われるフォーマットデータの送受信について説明する。図13は、テーププリンタ10において実行されるフォーマットデータ取得処理のフローチャートである。図14は、サーバ20において実行されるフォーマットデータ送信処理のフローチャートである。なお、図13に示すフォーマットデータ取得処理は、テーププリンタ10のCPU101がROM102のフォーマット取得プログラム記憶領域1021に記憶されたフォーマット取得プログラム(図6参照)に従って、各種演算及び処理を実行することにより行われるものである。また、図14に示すフォーマットデータ送信処理は、サーバ20のCPU201がROM202のプログラム記憶領域(図示外)に記憶されたフォーマット送信プログラムに従って、各種演算及び処理を実行することにより行われるものである。
まず、図13を参照して、テーププリンタ10において実行されるフォーマットデータ取得処理について説明する。図13に示すフォーマットデータ取得処理は、テーププリンタ10の電源がONにされると開始される。処理が開始されると、まず、CPU101は、電源スイッチ(図示外)がOFFにされたか否かを判断する(S101)。電源スイッチがOFFであれば(S101:YES)、そのまま処理は終了する。この時点で電源がONであれば(S101:YES)、CPU101は次に無線タグ800が検出されたか否かを判断する(S102)。前述したように、無線タグ800はテープカセット51の下ケース53に固着されているため(図4参照)、無線タグ800を有するテープカセット51がテーププリンタ10に装着されると、CPU101は、タグリーダ111を介して無線タグ800を検出する(S102:YES)。一方、無線タグ800が検出されない場合には、ユーザがキーボード部3の各種キーを操作して内蔵フォーマットを選択し、印刷を行う通常モードに移行して適宜処理を行った後(S132)、電源OFFを検出したか否かの判断に戻る(S101)。
無線タグ800が検出された場合には(S102:YES)、CPU101は、タグリーダ111を介して、無線タグ800のメモリ部826のカセット情報記憶領域8261に記憶されたカセットIDを読取り、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶させる(S103)。このとき、例えば前述のような、36mm幅の印字テープ67と犬の飾り枠フォーマット(図12参照)に対応するカセットID「TZ−161−000001」が取得される。その後、CPU101は、この時点でRAM104の受信カセット情報記憶領域1042を参照して、ここに記憶されているカセットIDがあれば、S103で読み取ったカセットIDと一致するか否かを判断する(S104)。
受信カセット情報記憶領域1042には、後述するように、サーバ20から受信されたカセットIDが記憶されるので、S104の処理が初めての場合には、受信カセット情報記憶領域1042に記憶されているカセットIDは存在しない(S104:NO)。この場合、CPU101は、ROM102の基本情報記憶領域1022から、テーププリンタ10の機種を示すプリンタIDを読み出し、S103で無線タグ800から読み取られ、装着カセット情報記憶領域1041に記憶されたカセットIDとともに、サーバ20へ送信する(S105)。例えば、前述のプリンタID「PT24」およびカセットID「TZ−161−000001」がサーバ20へ送信される。その後、サーバ20から送信されたカセットIDおよびフォーマットデータを受信(ダウンロード)すると、これらをそれぞれRAM104の受信カセット情報記憶領域1042およびフォーマットデータ記憶領域1043に記憶させる(S106)。なお、このときサーバ20から送信されてくるカセットIDは、前述のS105でテーププリンタ10から送信されたカセットIDがそのまま返信されたものである。前述の送信例の場合は、カセットID「TZ−161−000001」とともに、図12の1行目に示す、プリンタID「PT24」およびカセットID「TZ−161−000001」に対応する犬の飾り枠のフォーマットデータ(フォーマットデータ欄の第1行目)が送信されてくる。なお、このときのサーバ20における処理については、後述する。
カセットIDとフォーマットデータを受信した後(S106)、キーボード部3に設けられたキャンセルキーが押下げられた場合は(S111:YES)、処理を最初からやり直すために、再び電源スイッチがOFFにされたか否かの判断に戻る(S101)。一方、キャンセルキーは押下げられず(S111:NO)、何らかの編集指示が入力された場合には(S112:YES)、編集指示に基づく編集処理が行われる(S113)。このとき、液晶ディスプレイ12(図2参照)には、例えば、ダウンロードされた犬の飾り枠のフォーマットデータ(図12参照)が表示されているので、キーボード部3の各種キーを操作して、犬の飾り枠内に文字をさらに加えたり、犬の飾り枠の大きさを変更したりする編集作業を行うことができる。
編集作業が行なわれた後(S113)、または編集指示が入力されない場合(S112:NO)、CPU101は、キーボード部3に設けられた印刷キー31(図2参照)が押下げられたか否かに基づいて、印刷が指示されたか否かを判断する(S121)。印刷キー(図示外)が押下げられない場合は(S121:NO)、S111に戻り、キャンセルキーが押下げられて(S111:YES)、処理の開始時点(S101)に戻るか、または印刷キーが押下げられるまで(S121:YES)、S111〜S121の処理を繰り返す。そして、印刷キーが押下げられると(S121:YES)、タグリーダ111を介して、無線タグ800が検出されたか否か、すなわち、この時点で装着されているテープカセット51が、無線タグ800を有するものであるか否かを判断する(S122)。本実施形態では、サーバ20からダウンロードしたフォーマットデータは、後述するように、カセットIDによってこのデータを要求したテープカセット51が装着されたときにのみ印刷できるように構成されている。無線タグ800が検出されない場合(S122:NO)とは、カセットIDによって要求したフォーマットデータをダウンロードしている間に、データ要求時のテープカセット51が、無線タグ800を有しないテープカセット51に交換されたことを意味する。したがって、この場合には、CPU101はサーバ20からダウンロードしたフォーマットデータの印刷は行わず、液晶ディスプレイ12(図2参照)に、「現在装着されているテープカセットでは、表示中のフォーマットは印刷できません。」等のエラーメッセージを表示させる(S131)。エラーメッセージを表示させた後は(S131)、電源スイッチがOFFにされたか否かの判断に戻る(S101)。
一方、タグリーダ111を介して、無線タグ800が検出された場合には(S122:YES)、CPU101は、この時点で装着されているテープカセット51の無線タグ800のカセット情報記憶領域8261から、カセットIDを読取り、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶させる(S123)。なお、すでに記憶されているカセットIDがある場合には、新たに読み取られたカセットIDにより上書きする。そして、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶されたカセットIDと、受信カセット情報記憶領域1042に記憶されているカセットIDとが一致しているか否かを判断する(S124)。なお、ここで受信カセット情報記憶領域1042に記憶されているカセットIDとは、処理開始時点で読み取られて(S102)サーバ20に送信され(S103)、その後、サーバ20からフォーマットデータとともに返信されたカセットIDである(S104)。すなわち、ここで両者が一致しない場合(S124:NO)、要求したフォーマットデータをダウンロードしている間に、データ要求時のテープカセット51が、他のフォーマットを特定する、あるいは、テープ幅の異なるテープカセット51等に交換されたことを意味する。したがって、この場合には(S124:NO)、「現在装着されているテープカセットでは、表示中のフォーマットは印刷できません。」等のエラーメッセージを表示させる(S131)。エラーメッセージを表示させた後は(S131)、前述の無線タグ800が検出されなかった場合(S122:NO)と同様に、処理がキャンセルされたか否かの判断に戻る(S111)。
一方、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶されたカセットIDと、受信カセット情報記憶領域1042に記憶されているカセットIDとが一致している場合には(S124:YES)、適宜編集されたフォーマットデータを、公知の方法で印刷用データに展開して、印刷データ記憶領域1044に記憶させる。そして、この印刷用データを順次読み出してサーマルヘッド141やテープ送りモータ151を駆動し、サーマルヘッド141によって印字テープ67に印刷を行う(S125)。印刷完了後は、別のフォーマットデータに基づく印刷や、通常モードでの印刷も行えるように、CPU101は、再び電源スイッチがOFFにされたか否かの判断に戻る(S101)。
ここで、最初の処理のS122またはS124において、サーバ20にカセットIDを送信してフォーマットデータを要求したテープカセット51と異なるテープカセット51が装着されていたために(S122:NOまたはS124:NO)、エラーメッセージが表示された場合(S131)の、2巡目の処理について説明する。この場合、エラーメッセージの表示後には、いずれも処理の最初に戻る(S101)。この時点で、処理開始時にテーププリンタ10に装着され、フォーマットデータの要求(S105)に使用されたテープカセット51が再び装着されたものとする。すると、無線タグ800のカセット情報記憶領域8261から、カセットIDが読み取られ、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶される(S101:NO→S102:YES→S103)。そして、無線タグ800から読み取られたカセットIDと、RAM104の受信カセット情報記憶領域1042に記憶されたカセットIDが一致するか否かが判断されるるが、この場合、両者は一致する(S104:YES)。ここで、受信カセット情報記憶領域1042に記憶されたカセットIDに対応するフォーマットデータは、すでに最初の処理でダウンロードされ、RAM104のフォーマットデータ記憶領域1043に記憶されている。したがって、この2巡目の処理では、CPU101は、サーバ20にプリンタIDおよびカセットIDを送信してフォーマットデータを要求せずに、編集や印刷の実行を可能とするため、そのままS111に進む。そして、テープカセット51がそのまま交換されなければ、その後、適宜編集や印刷を行うことができる。
また、最初の処理のフォーマットデータ要求時(S105)とは異なるカセットIDが記憶された無線タグ800を有するテープカセット51を、2巡目の処理でもそのまま装着しておいた場合についても説明する。この場合、2巡目の処理において、無線タグ800のカセット情報記憶領域8261から読み取られ(S101:NO→S102:YES→S103)、RAM104の装着カセット情報記憶領域1041に記憶されたカセットIDは、受信カセット情報記憶領域1042に記憶されたカセットIDとは一致しない(S104:NO)。したがって、CPU101は、テーププリンタ10のプリンタIDとともに、新たに装着カセット情報記憶領域1041に記憶されたカセットIDをサーバ20に送信する(S105)。そして、新たに送信したカセットIDに適合するフォーマットデータをサーバ20から受信する(S106)。その後、印刷実行が指示されるまでにテープカセット51がさらに交換されていなければ、カセットIDは一致するので(S123→S124:YES)、2巡目の処理で新たにダウンロードしたフォーマットデータをそのまま印刷することができる(S125)。
また、最初の処理で、無線タグ800を有するテープカセット51がテーププリンタ10に装着され、カセットIDによりフォーマットデータが要求され、同じテープカセット51を用いて印刷が行われた後の2巡目以降の処理についても、同様である。すなわち、フォーマットデータの要求時(S105)に装着されていたテープカセット51が装着され続けていれば、新たにデータの送受信を行うことなく、同じフォーマットデータを利用して、何度でも編集や印刷を行うことができる。一方、テープカセット51が交換された場合には、無線タグ800を有するテープカセット51であれば、新たにフォーマットデータを要求して(S15)ダウンロードし(S106)、編集や印刷を行うことができる。
いずれの場合も、何巡目かの処理において、電源スイッチがOFFにされると(S101:YES)、処理は終了する。このとき、RAM104の各記憶領域に記憶されたデータはすべて消去されるので、一旦ダウンロードしたフォーマットデータも失われる。
次に、図14を参照して、サーバ20において実行されるフォーマットデータ送信処理につて説明する。図14に示すフォーマットデータ送信処理は、サーバ20において、ROM202に記憶されたフォーマットデータ送信プログラムが起動されると開始される。処理が開始されると、CPU201はまず、終了が指示されたか否かを判断し(S201)、終了指示がなければ(S201:NO)、インターネット30を介して接続されているテーププリンタ10のいずれ(図1参照)かから、プリンタIDおよびカセットIDを受信したか否かを判断する(S202)。プリンタIDおよびカセットIDを受信していなければ(S202:NO)、S201に戻り、プリンタIDおよびカセットIDを受信するまでS201〜S202の処理を繰り返す。そして、プリンタIDおよびカセットIDを受信した場合には(S202:YES)、CPU201は、これらをそれぞれRAM203のプリンタ情報記憶領域2031およびカセット情報記憶領域2032に記憶させる。
そして、これらを参照して、フォーマットDB204から、プリンタ情報記憶領域2031に記憶されたプリンタIDおよびカセット情報記憶領域2032に記憶されたカセットIDに適合するフォーマットデータを選択し、RAM203のフォーマットデータ記憶領域2033に記憶させる(S203)。例えば、テーププリンタ10から、プリンタID「PT24」およびカセットID「TZ−161−000001」を受信した場合には(S202:YES))、図12の1行目に示す、プリンタID「PT24」およびカセットID「TZ−161−000001」に対応する犬の飾り枠のフォーマットデータ(フォーマットデータ欄の第1行目)が、フォーマットDB204からRAM203のフォーマットデータ記憶領域2033に取得されることになる(S203)。前述したように、プリンタIDはテーププリンタ10の機種を特定するものであるため、プリンタIDに対応するフォーマットデータを選択することにより、テーププリンタ10の解像度や印刷可能領域に適合するデータを選択することができる。また、カセットIDは、ダウンロードするフォーマットを特定するとともに、テープ幅等のテープの種別を示す識別情報である。よって、カセットIDに対応するフォーマットデータを選択することにより、テープ幅に合わないデータが選択されることはない。フォーマットデータ記憶領域2033にフォーマットデータを取得すると、CPU201は、S202において受信され、カセット情報記憶領域2032に記憶されたカセットIDとともに、このフォーマットデータをテーププリンタ10に返信する(S204)。そして、データの送信後は、再びS201に戻り、終了指示がされない限り(S201:NO)、S201〜S204の処理を繰り返す。そして、終了が指示されると(S201:YES)、処理は終了する。
以上に説明したように、本実施形態に係る印刷システム1は、テープカセット51が装着されるテーププリンタ10と、インターネット30を介してテーププリンタ10に接続され、種々のフォーマットデータを格納するフォーマットDB204を備えたサーバ20とから構成されている。テーププリンタ10では、装着されたテープカセット51の無線タグ800から、印刷するフォーマットを特定するカセットIDを読み出し、自己の機種を特定するプリンタIDとともに、サーバ20へ送信する。そして、これを受けたサーバ20は、受信したプリンタIDおよびカセットIDの両者に適合するフォーマットデータをフォーマットDB204から選択し、受信したカセットIDとともに、テーププリンタ10に返信する。テーププリンタ10は、装着されたテープカセット51のカセットIDが、サーバ20から受信したカセットIDと一致する場合のみ、同時に受信したフォーマットデータにより印刷を行う。
すなわち、テーププリンタ10には所望のフォーマットのデータが内蔵されていない場合でも、この所望のフォーマットを特定するカセットIDを有するテープカセット51さえあれば、ユーザは、サーバ20から容易に所望のフォーマットをダウンロードして使用することができる。しかも、テープカセット51を装着するだけでダウンロードが開始されるので、ダウンロードのために特別な操作を行う必要がなく、便利である。また、テープカセット51の有する印字テープ67の種別およびテーププリンタ10の性能に適合するフォーマットデータがサーバから送信されるので、テーププリンタ10では送信されたデータを印刷できない等の不具合が生じることがない。さらに、テープカセット51が装着される都度、カセットIDに対応するフォーマットデータのみがダウンロードされ、電源がOFFにされればRAM104に記憶されたフォーマットデータは消去される。したがって、テーププリンタ10に大容量の記憶装置が必要とされることもなく、処理効率もよい。
また、サーバ20からダウンロードしたフォーマットデータは、そのフォーマットデータを特定するカセットIDを有するテープカセット51にしか印刷できない。したがって、せっかく特定のテープカセット51のためにダウンロードしたフォーマットデータを、誤って他のテープカセット51に印刷してしまう虞がない。さらに、個々のテープカセット51に対して、ダウンロード可能なフォーマットデータの料金を課金するような場合が想定される。このような場合、フォーマットデータを特定するカセットIDを有するテープカセット51以外には、ダウンロードしたフォーマットデータの印刷を実行できないようにすることができ、好都合である。
本実施形態において、テーププリンタ10が、本発明の「印刷装置」に相当する。また、テーププリンタ10のROM102の基本情報記憶領域1022が、「装置情報記憶手段」に相当する。図13のS103およびS123において、カセットIDの読み取り処理を行うテーププリンタ10のCPU101が、「カセット情報検出手段」に相当する。図13のS105において、サーバ20にプリンタIDとカセットIDとを送信するCPU101が、「識別情報送信手段」に相する。図13のS106において、サーバ20から、フォーマットデータを受信するCPU101が、「印刷対象データ受信手段」に相当する。図13のS125において、印刷の実行処理を行うCPU101が、「印刷制御手段」に相当する。図14のS202において、テーププリンタ10からプリンタIDおよびカセットIDを受信するサーバ20のCPU201が、「識別情報受信手段」に相当する。図14のS203において、プリンタIDおよびカセットIDに適合するフォーマットデータを選択するCPU201が、「印刷対象データ選択手段」に相当する。図14のS204にといて、テーププリンタ10にフォーマットデータを送信するCPU201が、「印刷対象データ送信手段」に相当する。
なお、前述の実施形態に示される印刷システム1の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、前述のテーププリンタ10では、無線タグ800にカセットIDが記憶されていたが、テープカセット51に、ダウンロード可能なフォーマットデータの識別情報が記憶され、テーププリンタ10でそれを取得できれば、他の形態でも構わない。そこで、前述の実施形態のテーププリンタ10およびテープカセット51の構成を、図15〜図17を参照して以下に説明する変形例に係るテーププリンタ15およびテープカセット510のようにしてもよい。図15は、変形例に係るテーププリンタ15のテープカセット収納部11の蓋を取り去った状態を示す平面図である。図16は、変形例に係るテーププリンタ15の電気的構成を示すブロック図である。図17は、変形例に係るテープカセット510の底面図である。
図15に示すように、変形例に係るテーププリンタ15の基本的な構成は、前述の実施形態に係るテーププリンタ10と同一である。ただし、テープカセット収納部11の底面の後部(図中上部)に配設されたバーコードリーダ112を備えた点で異なっている。図16から明らかなように、このバーコードリーダ112は、テーププリンタ10のタグリーダ111に代えて設けられたものである。そして、テーププリンタ15に装着されるテープカセット510の構造は、実施形態に係るテープカセット51とほぼ同一である。ただし、図17に示すように、テープカセット510の底面にはバーコード900が付着されており、代わりに、内部には無線タグ800は設けられていない。この変形例に係るテープカセット510がテーププリンタ15に装着されると、テープカセット510の底面に付されたバーコード900が、テープカセット収納部11に設けられたバーコードリーダ112に対向する位置に配置される。
変形例に係るテーププリンタ15とサーバ20との間で行われるフォーマットデータの送受信処理は、前述の実施形態の場合とほぼ同様である。ただし、図13に示すテーププリンタ15のフォーマットデータ取得処理のS103およびS123で行われるカセットID読取りは、バーコードリーダ112を介してテープカセット510に付されたバーコード900を読み取ることにより行われる。このような構成によっても、本発明に係る印刷制御システムを実現することができる。なお、バーコード900以外に、二次元コード等を用いて、同様の処理を行うことももちろん可能である。
さらに、前述の実施形態では、テーププリンタ10とサーバ20とがインターネットで接続されている例を説明したが、両者の接続方法はこれに限られず、LAN等の他のネットワークで接続されていてもよい。また、接続の形態は、有線を介しても無線を介しても構わない。さらに、テーププリンタ10が直接サーバ20に接続される形式だけでなく、USB等の手段によりテーププリンタ10をパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ装置に接続し、汎用コンピュータ装置を経由して、サーバ20に接続させるように構成してもよい。
また、前述の実施形態では、フォーマットデータとして、飾り枠を例として説明したが、フォーマットデータはこれに限られない。例えば、まるがき体のような特別なフォントや、アニメのキャラクターの図柄、バーコード印刷用のデータ等であってもよい。
また、前述の実施形態では、カセットIDとして、テープ幅およびテープカセット51に付与された特定情報に従ったダウンロード可能なフォーマットのデータについて説明したが、カセットIDはこれに限られない。例えば、カセットIDとして、テープ種(ラミネートタイプ、レセプタータイプ、感熱タイプ)および元々備わるテープの背景(色、模様等)、あるいは文字色(インクリボン69の色)、さらには、特殊テープ(布テープ等)の情報を加えてもよい。これにより、さらに詳細にダウンロード可能なフォーマットのデータの選択が可能となり、より特徴のあるテープを印刷することができるようになる。