ところが、上記のようなホイールベース長設定装置(ECU)を使用する場合には、該設定装置が搭載される車両の実際のホイールベース長に対応した値がホイールベース長としてROMに記憶されているため、複数種類(上記では2種類)のホイールベース長設定装置を用意する必要がある。すなわち、実際のホイールベース長が長い車両用のホイールベース長設定装置と、実際のホイールベース長が短い車両用のホイールベース長設定装置とをそれぞれ用意する必要がある。このように複数種類のホイールベース長設定装置を用意する場合には、コストが増大してしまうという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搭載される車両の実際のホイールベース長の差異に起因した車両性能のばらつきを抑制できると共に、搭載される車両の実際のホイールベース長に対応可能に構成することによるコスト増大を抑制できるホイールベース長設定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両(C)の走行時に前輪(FR,FL)と後輪(RR,RL)との間のホイールベース長(WB)を設定するホイールベース長設定装置(11)であって、車両(C)の走行時に前記前輪(FR,FL)に発生した振動を検出する前輪振動検出手段(S41)と、車両(C)の走行時に前記後輪(RR,RL)に発生した、前記前輪振動検出手段(19)により検出された前輪(FR,FL)の振動に対応する振動を検出する後輪振動検出手段(S53)と、時間(TVWF,TVWR,DTVW)を計測する時間計測手段(S42,S57)と、車両(C)の車体速度(VSF,VSR,VS)を演算する車体速度演算手段(S34)と、前記時間計測手段(S42,S57)により計測された、前記前輪振動検出手段(S41)により前輪(FR,FL)の振動が検出されてから前記後輪振動検出手段(S53)により後輪(RR,RL)の振動が検出されるまでの間隔時間(DTVW)、及び、前記前輪振動検出手段(S41)により前輪(FR,FL)の振動が検出されてから前記後輪振動検出手段(S53)により後輪(RR,RL)の振動が検出されるまでの間の何れかのタイミングでの前記車体速度演算手段(S34)による演算結果(LWB)に基づいて前記ホイールベース長(WB)を設定するためのホイールベース長設定処理を実行するホイールベース長設定手段(S71,S73)とを備えたことを要旨とする。
上記構成では、前輪振動検出手段が前輪の振動を検出してから後輪振動検出手段が後輪の振動を検出するまでの間隔時間が、時間計測手段による時間計測に基づき検出される。また、前輪振動検出手段により前輪の振動が検出されてから後輪振動検出手段により後輪の振動が検出されるまでの間の何れかのタイミングで車体速度が、車体速度演算手段の演算により検出される。そして、ホイールベース長設定手段は、時間計測手段により計測された間隔時間と、車体速度演算手段により演算された車体速度とに基づいてホイールベース長を設定する。すなわち、本発明のホイールベース長設定装置は、該ホイールベース長設定装置が搭載される車両の実際のホイールベース長に容易に対応できるように構成されているため、車両毎に複数種類のホイールベース長設定装置を用意する必要が無くなる。したがって、搭載される車両の実際のホイールベース長の差異に起因した車両性能のばらつきを抑制できると共に、搭載される車両の実際のホイールベース長に対応可能に構成することによるコスト増大を抑制できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のホイールベース長設定装置において、前記前輪(FR,FL)の車輪加速度(DVWFR,DVWFL)を演算する前輪加速度演算手段(S31)と、前記後輪(RR,RL)の車輪加速度(DVWRR,DVWRL)を演算する後輪加速度演算手段(S33)とをさらに備え、前記前輪振動検出手段(S41)は、前記前輪加速度演算手段(S31)により演算された前記前輪(FR,FL)の車輪加速度(DVWFR,DVWFL)が予め設定された前輪加速度閾値(KDVWF)以上である場合に前記前輪(FR,FL)の振動を検出するように構成され、前記後輪振動検出手段(S33)は、前記後輪加速度演算手段(S33)により演算された前記後輪(RR,RL)の車輪加速度(DVWRR,DVWRL)が予め設定された後輪加速度閾値(KDVWR)以上である場合に前記後輪(RR,RL)の振動を検出するように構成されていることを要旨とする。
一般に、車両には各車輪(前輪及び後輪)の車輪速度を検出するための車輪速度検出手段(前側車輪速度検出手段及び後側車輪速度検出手段)が設けられている。そして、前輪加速度演算手段は、前側車輪速度検出手段により検出された前輪の車輪速度に基づいて前輪の車輪加速度を演算することにより検出すると共に、後輪加速度演算手段は、後側車輪速度検出手段により検出された後輪の車輪速度に基づいて後輪の車輪加速度を演算することにより検出する。そして、本発明では、前輪振動検出手段は、前輪加速度演算手段により演算された前輪の車輪加速度が前輪加速度閾値以上である場合に、前輪の振動を検出する。一方、後輪振動検出手段は、後輪加速度演算手段により演算された後輪の車輪加速度が後輪加速度閾値以上である場合に、後輪の振動を検出する。すなわち、本発明のホイールベース長設定装置では、前輪や後輪の振動を検出するために新たな構成要素を車両に設ける必要がないため、ホイールベース長の設定処理を実行することによる車両の部品点数の増加が抑制される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記前輪振動検出手段(S38)によって前記前輪(FR,FL)の振動が検出されてからの予め設定された前側検出後時間(TF3)内において前輪加速度演算手段(S31)により検出された前記前輪(FR,FL)の車輪加速度(DVWFR,DVWFL)のうち最も大きい最大前輪加速度(DVWFRTF3,DVWFLTF3)と、前記後輪振動検出手段(S33)によって前記後輪(RR,RL)の振動が検出されてからの予め設定された後側検出後時間(TR3)内において後輪加速度演算手段(S33)により検出された前記後輪(RR,RL)の車輪加速度(DVWRR,DVWRL)のうち最も大きい最大後輪加速度(DVWRRTR3,DVWRLTR3)との車輪加速度差を演算し、該車輪加速度差の絶対値が予め設定された変化量閾値(KVWD)以下である場合に、前記ホイールベース長設定処理を実行するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、前輪の振動が検出されてから前側検出時間が経過するまでの間の最大前輪加速度と、後輪の振動が検出されてから後側検出時間が経過するまでの間の最大後輪加速度とを演算より検出する。そして、ホイールベース長設定手段は、最大前輪加速度から最大後輪加速度を減算することにより演算された車輪加速度差の絶対値が変化量閾値以下である場合、前輪が振動した要因と後輪が振動した要因とが同一であると判断し、ホイールベース長の設定処理を実行する。そのため、前輪が振動した要因と後輪が振動した要因とが異なる場合に、ホイールベース長の設定処理が実行されることが回避される。したがって、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長と大きく異なったホイールベース長がホイールベース長設定手段によって設定されることが抑制される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、車両(C)の状態の変化を検出するための車両状態検出手段(S21,S22)をさらに備え、前記前輪振動検出手段(S38)は、前記前輪(FR,FL)の振動を検出した時点の前後の予め設定された前輪側所定時間(TF1,TF2)内において、前記車両状態検出手段(S21,S22)により車両状態の変化が検出された場合に、前記前輪(FR,FL)が振動したと判定するように構成され、前記後輪振動検出手段(S48)は、前記後輪(RR,RL)の振動を検出した時点の前後の予め設定された後輪側所定時間(TR1,TR2)内において、前記車両状態検出手段(S21,S22)により車両状態の変化が検出された場合に、前記後輪(RR,RL)が振動したと判定するように構成されていることを要旨とする。
一般に、車輪の振動が検出されるタイミングと、該車輪の振動に起因して車両状態が変化するタイミングとでは、検出するための手段が異なるため、時間的な誤差が多少生じてしまう。そのため、本発明では、前輪振動検出手段は、前輪の振動を検出した時点の前後の予め設定された前輪側所定時間内において、車両状態検出手段により車両状態の変化が検出された場合に、前記前輪が振動したと判定するようになっている。また、後輪振動検出手段は、後輪の振動を検出した時点の前後の予め設定された後輪側所定時間内において、車両状態検出手段により車両状態の変化が検出された場合に、前記後輪が振動したと判定するようになっている。すなわち、各振動検出手段は、車輪の振動と車両状態の変化がそれぞれ検出されるタイミングの誤差を加味しつつ、各車輪の振動に基づいて車両状態が実際に変化した場合についてのみ、各車輪が振動したものとそれぞれ検出する。そのため、電気信号のノイズ発生に起因して、各車輪FR,FL,RR,RLが振動したと各振動検出手段により誤って検出されることが抑制される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)による前記ホイールベース長(WB)の設定時において、前記車体速度演算手段(S34)による車両(C)の車体速度(VSF,VSR,VS)の演算が複数回実行された場合に、該各車体速度(VSF,VSR,VS)の変化量(HVS)を算出する車体速度変化量算出手段(S45)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記車体速度変化量算出手段(S45)により算出された算出結果(HVS)が予め設定された車体速度変化量閾値(KHVS)よりも大きい場合に、前記ホイールベース長設定処理を停止するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長の設定時において、車体速度演算手段によって複数回演算された各車体速度の変化量が車体速度変化量閾値よりも大きい場合、ホイールベース長の設定処理を停止する。すなわち、車両の車体速度が不安定な状態である場合には、各車輪の振動を検出したとしても、ホイールベース長の設定処理を行わない。そのため、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長と大きく異なったホイールベース長がホイールベース長設定手段によって設定されることが抑制される。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)による前記ホイールベース長(WB)の設定時において、前記車体速度演算手段(S34)による車両(C)の車体速度(VSF,VSR,VS)の演算が複数回実行された場合に、該各車体速度(VSF,VSR,VS)の平均値(VSAV)を算出する車体速度平均値算出手段(S67)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記車体速度平均値算出手段(S67)により算出された算出結果(VSAV)に基づいて前記ホイールベース長設定処理を実行するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長の設定時において、車体速度演算手段の演算によって複数回検出された各車体速度の平均値を用いてホイールベース長を設定する。すなわち、車体速度の演算誤差を小さくすることが可能になる。そのため、ホイールベース長設定手段は、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長に近い値のホイールベース長を設定することが可能になる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)による前記ホイールベース長(WB)の設定時において、前記車体速度演算手段(S34)による車両(C)の車体速度(VSF,VSR,VS)の演算が複数回実行された場合に、該各車体速度(VSF,VSR,VS)のうち最も大きな値を車体速度(VSF,VSR,VS)と設定する車体速度設定手段(19)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記車体速度設定手段(S34,S43,S58)により設定された車体速度(VSF,VSR,VS)に基づいて前記ホイールベース長設定処理を実行するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長の設定時において、車体速度演算手段の演算によって複数回検出された各車体速度のうち最も大きな値を用いてホイールベース長を設定する。そのため、ホイールベース長設定手段は、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長以上の値のホイールベース長を設定することが可能になる。したがって、車両制動時において、実際のホイールベース長未満の値のホイールベース長が設定された場合に比して、車両に対してより大きな制動力の付与が可能になる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)による前記ホイールベース長(WB)の設定時において、前記車体速度演算手段(S34)による車両(C)の車体速度(VSF,VSR,VS)の演算が複数回実行された場合に、該各車体速度(VSF,VSR,VS)のうち最も小さな値を車体速度(VSF,VSR,VS)と設定する車体速度設定手段(19)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(19)は、前記車体速度設定手段(S34,S43,S58)により設定された車体速度(VSF,VSR,VS)に基づいて前記ホイールベース長設定処理を実行するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長の設定時において、車体速度演算手段の演算によって複数回検出された各車体速度のうち最も小さな値を用いてホイールベース長を設定する。そのため、ホイールベース長設定手段は、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長以下の値のホイールベース長を設定することが可能になる。したがって、車両制動時において、実際のホイールベース長よりも大きな値のホイールベース長が設定された場合に比して車両安定性が確保される。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算をN回(Nは2以上の自然数)以上行った場合、該各演算結果の平均値に基づいてホイールベース長(WB)に設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算がN回(Nは2以上の自然数)以上実行された場合、各演算結果の平均値に基づいてホイールベース長を設定する。そのため、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長とは大きく異なる値のホイールベース長が設定されてしまうことが抑制される。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算の回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数)以下である場合、予め設定された初期値(WB2)をホイールベース長(WB)に設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数)以下である場合、初期値をホイールベース長に設定する。そのため、ホイールベース長による演算誤差によって、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算をN回(Nは2以上の自然数)以上行い、該各演算結果の演算誤差が予め設定された所定誤差量の範囲内である場合には、前記各演算結果に基づいて前記ホイールベース長(S71,S73)を設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算をN回(Nは2以上の自然数)以上実行し、該各演算結果の誤差量が所定誤差量の範囲内である場合、各演算結果に基づいてホイールベース長を設定する。そのため、本発明のホイールベース長設定装置が搭載された車両の実際のホイールベース長とは大きく異なる値のホイールベース長が設定されてしまうことが抑制される。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算をN回(Nは2以上の自然数)以上行い、該各演算結果の演算誤差が予め設定された所定誤差量の範囲外である場合には、予め設定された初期値(WB2)をホイールベース長(WB)に設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算回数がN回(Nは2以上の自然数)以上実行し、該演算結果の誤差量が所定誤差量の範囲外である場合、初期値をホイールベース長に設定する。そのため、ホイールベース長設定手段の演算誤差によって、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は請求項12に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算の回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数)以下である場合、予め設定された初期値(WB2)をホイールベース長(WB)に設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数)以下である場合、初期値をホイールベース長に設定する。そのため、上記演算の回数不足に起因した誤差によって、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項14に記載の発明は、請求項1〜請求項13のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、車両(C)の走行時において該車両(C)の旋回量を検出する車両旋回量検出手段(S35)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記車両旋回量検出手段(S35)による検出結果が予め設定された旋回量閾値(KR)未満である場合に、前記ホイールベース長(WB)の設定処理を実行するように構成されていることを要旨とする。
一般に、車両の旋回時は、車両の車体速度の誤差が大きくなるおそれがあり、このような車体速度を用いてホイールベース長を設定した場合には、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されてしまうおそれがある。しかし、本発明では、車両が旋回していると判断された場合、ホイールベース長設定手段によるホイールベース長の設定処理を停止させるため、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜請求項14のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記前輪(FR,FL)及び後輪(RR,RL)の少なくとも一方に制動力を付与させるための制動力付与手段(20)が操作された場合に、前記ホイールベース長(WB)の設定を停止するように構成されていることを要旨とする。
一般に、前輪及び後輪のうち少なくとも一方に制動力が付与された場合には、車両の車体速度が大きく低下することになるため、この状態でホイールベース長の設定を行った場合には、車両の実際のホイールベース長とは大きく異なるホイールベース長が設定されてしまうおそれがある。しかし、本発明では、車輪に制動力が付与された場合には、ホイールベース長設定手段によるホイールベース長の設定処理を停止させるため、車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜請求項15のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、前記ホイールベース長を設定するための演算による演算結果(LWB)が、予め設定されたホイールベース長閾値(KWB)よりも大きいか否かを判定するホイールベース長判定手段(S72)をさらに備え、前記ホイールベース長設定手段(S71,S73)は、前記ホイールベース長を設定するための演算による演算結果(LWB)が前記ホイールベース長閾値(KWB)以下であると前記ホイールベース長判定手段(S72)が判定した場合には前記ホイールベース長(WB)を前記ホイールベース長閾値(KWB)よりも小さい第1ホイールベース長(WB1)に設定する一方、前記ホイールベース長を設定するための演算による演算結果(LWB)が前記ホイールベース長閾値(KWB)よりも大きいと前記ホイールベース長判定手段(S72)が判断した場合には前記ホイールベース長(WB)を前記ホイールベース長閾値(KWB)よりも大きい第2ホイールベース長(WB2)に設定するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、ホイールベース長設定手段は、ホイールベース長を設定するための演算を実行し、その演算結果がホイールベース長閾値以上である場合、ホイールベース長を第2ホイールベース長に設定する。一方、ホイールベース長設定手段は、上記演算結果がホイールベース長閾値未満である場合、ホイールベース長を第1ホイールベース長に設定する。すなわち、ホイールベース長設定手段は、上記演算結果から第1ホイールベース長又は第2ホイールベース長を選択している。そのため、上記演算結果をホイールベース長に設定する場合とは異なり、演算誤差によって車両の実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長が設定されることが抑制される。
請求項17において、請求項1〜請求項16のうち何れか一項に記載のホイールベース長設定装置において、少なくとも四輪を有する車両(C)に搭載されており、前記後輪振動検出手段(S53)は、右前輪(FR)の振動に基づいて前記前輪振動検出手段(S41)による前輪(FR,FL)の振動検出がなされた場合には、右後輪(RR)の振動に基づいて後輪(RR,RL)の振動を検出し、左前輪(FL)の振動に基づいて前記前輪振動検出手段(S41)による前輪(FR,FL)の振動検出がなされた場合には、左後輪(RR)の振動に基づいて後輪(RR,RL)の振動を検出するように構成されていることを要旨とする。
上記構成では、右前輪の振動に基づいて前輪の振動検出がなされた場合には、右後輪の振動に基づいて後輪の振動検出がなされる一方、左前輪の振動に基づいて前輪の振動検出がなされた場合には、左後輪の振動に基づいて後輪の振動検出がなされるようになっている。そのため、右側の車輪のみ振動した場合や左側の車輪のみ振動した場合においても、ホイールベース長の設定が可能になる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
図1に示すように、本実施形態のホイールベース長設定装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)を有する車両(本実施形態ではトラック)に搭載されている。この車両には、マスタシリンダ12及びブースタ13を有する液圧発生装置14と、2つの液圧回路15,16を有する液圧制御装置(図1では二点鎖線で示す。)17とが設けられている。各液圧回路15,16は、液圧発生装置14に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ18a,18b,18c,18dに接続されている。また、車両には、液圧制御装置17を制御するための電子制御装置(以下、「ECU」という。)19が設けられ、該ECU19が、ホイールベース長設定装置11を構成している。
液圧発生装置14には、制動力付与手段としてのブレーキペダル20が設けられている。そして、このブレーキペダル20が車両の運転者によって操作された場合に、液圧発生装置14のマスタシリンダ12及びブースタ13が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ12には、2つの出力ポート12a,12bが設けられている。そして、出力ポート12aには、第1液圧回路15が接続されると共に、出力ポート12bには、第2液圧回路16が接続されている。また、液圧発生装置14には、ECU19に電気的に接続されたブレーキスイッチSW1が設けられ、該ブレーキスイッチSW1からは、ブレーキペダル20の操作状況に応じた信号がECU19に出力されている。
第1液圧回路15には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ18aに接続されるホイールシリンダ18a用(右前輪FR用)の右前輪用経路15aと、左前輪FLに対応するホイールシリンダ18bに接続されるホイールシリンダ18b用(左前輪FL用)の左前輪用経路15bとが形成されている。そして、これら各経路15a,15b上には、常開型の電磁弁21,22と常閉型の電磁弁25,26とがそれぞれ設けられている。
同様に、第2液圧回路16には、右後輪RRに対応するホイールシリンダ18cに接続されるホイールシリンダ18c用(右後輪RR用)の右後輪用経路16aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ18dに接続されるホイールシリンダ18d用(左後輪RL用)の左後輪用経路16bとが形成されている。そして、これら各経路16a,16b上には、常開型の電磁弁23,24と常閉型の電磁弁27,28とがそれぞれ設けられている。
ここで、上記各電磁弁21〜28のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合の各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧の変化について説明する。
まず、各電磁弁21〜28のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁21〜24は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁25〜28は閉じ状態のままである。そのため、マスタシリンダ12からブレーキ液が各経路15a,15b,16a,16bを介して各ホイールシリンダ18a〜18d内に流入し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
一方、各電磁弁21〜28のうち常開型の電磁弁21〜24のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁21〜28が閉じ状態となる。そのため、各経路15a,15b,16a,16bを介したブレーキ液の流動が規制される結果、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
そして、各電磁弁21〜28のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁21〜24が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁25〜28が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ18a〜18d内からブレーキ液が各経路15a,15b,16a,16bを介してリザーバ29,30へと流出し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は降下することになる。
また、各液圧回路15,16上には、各ホイールシリンダ18a〜18d側から流動してきたブレーキ液が貯留されるリザーバ29,30がそれぞれ設けられると共に、各液圧回路15,16においてリザーバ29,30とマスタシリンダ12との間には、ポンプ31,32がそれぞれ配設されている。液圧制御装置17には、各ポンプ31,32を同時に駆動させるためのモータMが設けられている。そして、モータMが駆動した場合、各ポンプ31,32は、リザーバ29,30内のブレーキ液を吸入してマスタシリンダ12側へ排出するようになっている。
ECU19は、入力側インターフェース(図示略)と、出力側インターフェース(図示略)と、CPU40、ROM41、RAM42、及びタイマ43などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、及び各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4がそれぞれ接続されている。また、入力側インターフェースには、車両の進行方向(前後方向)における加速度を検出するための車体加速度センサ(「前後Gセンサ」ともいう。)SE5が接続されている。すなわち、CPU40は、ブレーキスイッチSW1、車輪速度センサSE1〜SE4、及び車体加速度センサSE5からの各信号を受信するようになっている。なお、車体加速度センサSE5は、車両が加速している場合にはECU19が正の値を示すような信号を出力する一方、車両が減速している場合にはECU19が負の値を示すような信号を出力するように設定されている。
ECU19の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ31,32を駆動させるためのモータM及び各電磁弁21〜28が接続されている。そして、CPU40は、上記スイッチSW1及び各センサSE1〜SE5からの入力信号に基づき、モータM及び各電磁弁21〜28の動作を個別に制御するようになっている。
また、ECU19のデジタルコンピュータにおいて、ROM41には、液圧制御装置17(モータM及び各電磁弁21〜28の駆動)を制御するための制御プログラム、及び各種閾値(後述する変化量閾値、車体速度変化量閾値、旋回量閾値及びホイールベース長閾値など)が記憶されている。さらに、ROM41には、ECU19(ホイールベース長設定装置11)が搭載される車両のホイールベース長に対応するように複数(本実施形態では2種類)のホイールベース長(後述する第1ホイールベース長及び第2ホイールベース長)が記憶されている。なお、第1ホイールベース長は、ホイールベース長が比較的短い車両に対応する値(例えば「2.7m」)に設定されると共に、第2ホイールベース長は、ホイールベース長が比較的長い車両に対応する値(例えば「4m」)に設定されている。すなわち、第2ホイールベース長は、第1ホイールベース長よりも値が大きくなるように設定されている。
RAM42には、ホイールベース長設定装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報(各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度や車輪加速度など)が記憶されるようになっている。また、タイマ43は、車両に搭載されているバッテリーから給電されている間はカウントアップ可能とされている。したがって、本実施形態では、タイマ43を備えたECU19が、時間を計測する時間計測手段としても機能するようになっている。
そこで次に、本実施形態のECU19が実行する制御処理ルーチンのうち、車両状態判定処理ルーチン、ホイールベース長演算処理ルーチン及びホイールベース長設定処理ルーチンについて図2〜図7に示すフローチャートと、図8に示すタイミングチャートとに基づき以下説明する。車両状態判定処理ルーチンは、各車輪FL,FR,RL,RRの振動を検出したときの車両状態が安定しているか否かを判定するための処理ルーチンであると共に、ホイールベース長演算処理ルーチンは、車両の走行中に検出された各種データに基づいて後述する算出ホイールベース長を算出するための処理ルーチンである。また、ホイールベース長設定処理ルーチンは、上記ホイールベース長演算処理ルーチンにて算出された算出ホイールベース長に基づいてホイールベース長を設定するための処理ルーチンである。なお、図7に示すタイミングチャートでは、説明理解の便宜上、車輪FR,FL,RR,RLが路面状の異物を踏まない限り、車両の車体加速度(及び各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度)の変化はないものとする。
まず、図2及び図3に示す車両状態判定処理ルーチンについて図8に示すタイミングチャートと共に説明する。
さて、ECU19は、所定周期毎(例えば0.01秒毎)に車両状態判定処理ルーチンを実行する。そして、車両状態判定処理ルーチンにおいて、ECU19は、車体加速度センサSE5からの入力信号に基づき車体加速度GXを演算する(ステップS10)。続いて、ECU19は、後述するホイールベース長演算処理ルーチンにて前輪FR,FLの振動が検出されたか否か(即ち、後述する前輪振動検出フラグが「ON」にセットされているか否か)を判定する(ステップS11)。
そして、ステップS11の判定結果が否定判定である場合、ECU19は、前輪FR,FLの振動が検出される直前の前側第1所定時間TF1内における車体加速度GXの最大値GXTF1を取得する(ステップS12)。具体的には、ECU19は、前輪FR,FLの振動を検出した場合において、その直前の前側第1所定時間TF1内でステップS10にて検出された各車体加速度GXのうち最も大きな値を最大値GXTF1としてRAM42の所定領域に記憶させる。その後、ECU19は、その処理を後述するステップS24に移行する。
一方、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、ECU19は、前輪FR,FLの振動が検出された直後の前側第2所定時間TF2内における車体加速度GXの最大値GXTF2を取得する(ステップS13)。具体的には、ECU19は、前輪FR,FLの振動を検出した場合において、その直後の前側第2所定時間TF2内でステップS10にて検出された各車体加速度GXのうち最も大きな値を最大値GXTF2としてRAM42の所定領域に記憶させる。
ここで、前輪FR,FLの振動は、詳しくは後述するが、前輪FR,FL用の車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号に基づき検出される。このように前輪FR,FLが振動した場合には、車両の車体加速度GXも前輪FR,FLの振動に基づき変化する。すなわち、車両状態が変化する。しかし、前輪FR,FLの振動に基づきECU19に信号を出力するタイミングは、車輪速度センサSE1,SE2と車体加速度センサSE5とでは多少異なる。そのため、本実施形態では、ECU19は、車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号に基づき前輪FR,FLの振動を検出した前後の前側所定時間(前側第1所定時間TF1及び前側第2所定時間TF2)内で、車体加速度センサSE5からの入力信号に基づき車体加速度GXの変化を検出している。そして、ECU19は、車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号に基づき前輪FR,FLの振動を検出した前後の予め設定された前側所定時間(前側第1所定時間TF1及び前側第2所定時間TF2)内で、車体加速度センサSE5からの入力信号に基づき車体加速度GXの変化(車両状態の変化)が検出された場合に、前輪FR,FLが振動したと判定するようになっている。なお、前側第1所定時間TF1及び前側第2所定時間TF2は、これらの合計が約「0.1秒」となるようにそれぞれ設定される。
続いて、ECU19は、ステップS13の処理を実行した後、図8(b)に示すように、前輪FR,FLの振動が検出されてからの予め設定された前側検出後時間TF3が経過するまでの間での前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの最大値(最大前輪加速度)DVWFRTF3,DVWFLTF3をそれぞれ取得する(ステップS14)。なお、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLは、後述するホイールベース長演算処理ルーチンのステップS30,S31の各処理を実行することによりそれぞれ検出される。また、前側検出後時間TF3は、前側第2所定時間TF2よりも短い時間に設定されている。
そして、ECU19は、後述するホイールベース長演算処理ルーチンにて後輪RR,RLの振動が検出されたか否か(即ち、後述する後輪振動検出フラグが「ON」にセットされているか否か)を判定する(ステップS15)。この判定結果が否定判定である場合、ECU19は、後輪RR,RLの振動が検出される直前の後側第1所定時間TR1内における車体加速度GXの最大値GXTR1を取得する(ステップS16)。具体的には、ECU19は、後輪RR,RLの振動を検出した場合において、その直前の後側第1所定時間TR1内でステップS10にて検出された各車体加速度GXのうち最も大きな値を最大値GXTR1としてRAM42の所定領域に記憶させる。その後、ECU19は、その処理を後述するステップS24に移行する。
一方、ステップS15の判定結果が肯定判定である場合、ECU19は、後輪RR,RLの振動が検出された直後の後側第2所定時間TR2内における車体加速度GXの最大値GXTR2を取得する(ステップS17)。具体的には、ECU19は、後輪RR,RLの振動を検出した場合において、その直後の後側第2所定時間TR2内でステップS10にて検出された各車体加速度GXのうち最も大きな値を最大値GXTR2としてRAM42の所定領域に記憶させる。
ここで、後輪RR,RLの振動は、前輪FR,FLの振動検出と同様に、後輪RR,RL用の車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号に基づき検出される。このように後輪RR,RLが振動した場合には、車両の車体加速度GXも後輪RR,RLの振動に基づき変化する。すなわち、車両状態が変化する。しかし、後輪RR,RLの振動に基づきECU19に信号を出力するタイミングは、車輪速度センサSE3,SE4と車体加速度センサSE5とでは多少異なる。そのため、本実施形態では、ECU19は、車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号に基づき後輪RR,RLの振動を検出した前後の後側所定時間(後側第1所定時間TR1及び後側第2所定時間TR2)内で、車体加速度センサSE5からの入力信号に基づき車体加速度GXの変化を検出している。そして、ECU19は、車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号に基づき後輪RR,RLの振動を検出した前後の予め設定された後側所定時間(後側第1所定時間TR1及び後側第2所定時間TR2)内で、車体加速度センサSE5からの入力信号に基づき車体加速度GXの変化(車両状態の変化)が検出された場合に、後輪RR,RLが振動したと判定するようになっている。なお、後側第1所定時間TR1及び後側第2所定時間TR2は、これらの合計が約「0.1秒」となるようにそれぞれ設定される。
そして、ECU19は、ステップS17の処理を実行した後、図8(c)に示すように、後輪RR,RLの振動が検出されてからの予め設定された後側検出後時間TR3が経過するまでの間での後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの最大値(最大後輪加速度)DVWRRTR3,DVWRLTR3をそれぞれ取得する(ステップS18)。なお、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLは、後述するホイールベース長演算処理ルーチンのステップS32,S33の各処理を実行することによりそれぞれ検出される。また、後側検出後時間TR3は、後側第2所定時間TR2よりも短い時間であると共に、前側検出後時間TF3と同一時間に設定されている。
続いて、ECU19は、ステップS12にて取得した最大値GXTF1と、ステップS13にて取得した最大値GXTF2とを比較して、大きい方の値を前側振動最大値GXFmaxに設定する(ステップS19)。続いて、ECU19は、ステップS16にて取得した最大値GXTR1と、ステップS17にて取得した最大値GXTR2とを比較して、大きい方の値を後側振動最大値GXRmaxとして取得する(ステップS20)。
そして、ECU19は、ステップS19にて設定された前側振動最大値GXFmaxが予め設定された前側振動最大値閾値KGXFmaxよりも大きいか否かを判定する(ステップS21)。この前側振動最大値閾値KGXFmaxは、前輪FR,FLの振動に起因して車両の車体加速度GXが変化したか否かを判定するものであって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。ステップS21の判定結果が否定判定(GXFmax≦KGXFmax)である場合、ECU19は、前輪FR,FLの振動に起因した車両の車体加速度GXの変化が検出されていないものと判断し、その処理をステップS24に移行する。
一方、ステップS21の判定結果が肯定判定(GXFmax>KGXFmax)である場合、ECU19は、前輪FR,FLの振動に起因した車両の車体加速度GXの変化が検出されたものと判断し、ステップS20にて設定された後側振動最大値GXRmaxが予め設定された後側振動最大値閾値KGXRmaxよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。この後側振動最大値閾値KGXRmaxは、後輪RR,RLの振動に起因して車両の車体加速度GXが変化したか否かを判定するものであって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。ステップS22の判定結果が否定判定(GXRmax≦KGXRmax)である場合、ECU19は、後輪RR,RLの振動に起因した車両の車体加速度GXの変化が検出されていないものと判断し、その処理をステップS24に移行する。
一方、ステップS22の判定結果が肯定判定(GXRmax>KGXRmax)である場合、ECU19は、後輪RR,RLの振動に起因した車両の車体加速度GXの変化が検出されたものと判断し、車両状態有効判定フラグSJFLGを「ON」にセットする(ステップS23)。その後、ECU19は、車両状態判定処理ルーチンを終了する。なお、この車両状態有効判定フラグSJFLGは、前輪FR,FLの振動に基づき車両の車体加速度GXが変化すると共に、後輪RR,RLの振動に基づき車両の車体加速度GXが変化した場合に「ON」にセットされるフラグである。そして、この車両状態有効判定フラグSJFLGが「ON」にセットされた場合、後述するホイールベース長演算処理(後述するステップS59)が許可される。したがって、本実施形態では、ECU19が、車両状態検出手段としても機能する。
ステップS24において、ECU19は、車両状態有効判定フラグSJFLGを「OFF」にセットする。その後、ECU19は、車両状態判定処理ルーチンを終了する。
次に、図4及び図5に示すホイールベース長演算処理ルーチンについて図8に示すタイミングチャートと共に説明する。
さて、ECU19は、所定周期毎(例えば0.01秒毎)にホイールベース長演算処理ルーチンを実行する。そして、ホイールベース長演算処理ルーチンにおいて、ECU19は、前輪FR,FL用の車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号に基づき前輪FR,FLの車輪速度VWFR,VWFLを演算することによりそれぞれ検出する(ステップS30)。続いて、ECU19は、ステップS30にて検出した前輪FR,FLの車輪速度VWFR,VWFLをそれぞれ微分することにより、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLを演算によりそれぞれ検出する(ステップS31)。この点で、本実施形態では、ECU19が、車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号から前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLを演算する前輪加速度演算手段としても機能する。
そして、ECU19は、後輪RR,RL用の車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号に基づき後輪RR,RLの車輪速度VWRR,VWRLを演算することによりそれぞれ検出する(ステップS32)。続いて、ECU19は、ステップS32にて検出した後輪RR,RLの車輪速度VWRR,VWRLをそれぞれ微分することにより、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLを演算によりそれぞれ検出する(ステップS33)。この点で、本実施形態では、ECU19が、車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号から後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLを演算する後輪加速度演算手段としても機能する。
続いて、ECU19は、ステップS30,S32にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWFR,VWFL,VWRR,VWRLのうち最も値の小さな車輪速度を基準に、各種処理を行うことにより(即ち、変化量の勾配制限やフィルタリングなどを行うことにより)、車両の車体速度VSを演算により検出する(ステップS34)。この点で、本実施形態では、ECU19が、車体速度演算手段として機能する。なお、ECU19は、各車輪速度のうち最も値の大きな車輪速度、2番目に大きな値の車輪速度、3番目に大きな値の車輪速度、及び各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWFR,VWFL,VWRR,VWRLの平均値のうち何れか一つを基準にして、車両の車体速度VSを演算により検出するようにしてもよい。
そして、ECU19は、ステップS30にて検出した右前輪FRの車輪速度VWFRと左前輪FLの車輪速度VWFLとの車輪速度差の絶対値を算出し、該絶対値が予め設定された旋回量閾値KR以上であるか否かを判定する(ステップS35)。すなわち、車両の旋回時においては、右前輪FRと左前輪FLとの間では車輪速度差が発生する。そのため、本実施形態では、右前輪FRの車輪速度VWFRと左前輪FLの車輪速度VWFLとの車輪速度差を算出し、該算出結果の絶対値が旋回量閾値KR以上である場合に、ECU19は、車両が旋回しているものと判断する。この点で、本実施形態では、ECU19が、車両の旋回量(右前輪FRの車輪速度VWFRと左前輪FLの車輪速度VWFLとの車輪速度差)を検出する車両旋回量検出手段としても機能する。
そして、ステップS35の判定結果が肯定判定である場合、ECU19は、車両が旋回中であるものと判断し、その処理を後述するステップS37に移行する。一方、ステップS35の判定結果が否定判定である場合、ECU19は、車両は非旋回中であるものと判断し、ブレーキスイッチSW1からの入力信号が「ON」であるか否かを判定する(ステップS36)。すなわち、ECU19は、ブレーキペダル20が踏み込み操作されたか否かを判定する。そして、ステップS36の判定結果が肯定判定である場合、ECU19は、各車輪FR,FL,RR,RLに各ホイールシリンダ18a〜18dによって制動力が付与されていると判断し、その処理を後述するステップS37に移行する。
ステップS37において、ECU19は、ホイールベース長演算処理が実行中であるか否かを示す演算処理フラグFWBCALを「OFF」にセットし、その後、ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。
一方、ステップS36の判定結果が否定判定である場合、ECU19は、上記演算処理フラグFWBCALが「ON」にセットされているか否かを判定する(ステップS38)。この判定結果が否定判定(FWBCAL=「OFF」)である場合、ECU19は、ステップS31にて検出された前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLが予め設定された前輪加速度閾値KDVWF以上であるか否かを判定する(ステップS39)。この前輪加速度閾値KDVWFは、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLから前輪FR,FLの振動が検出されたか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。そのため、このステップS39の判定処理が肯定判定になった場合、ECU19が、前輪FR,FLの振動を検出したことになる。
そして、ステップS39の判定結果が否定判定(DVWFR,DVWFL<KDVWF)である場合、ECU19は、前輪FR,FLの振動を検出できなかったものと判断し、前輪振動検出フラグFVflgを「OFF」にセットすると共に、後輪振動検出フラグRVflgを「OFF」にセットする(ステップS40)。その後、ECU19は、ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。なお、前輪振動検出フラグFVflgは、前輪FR,FLの振動が検出された場合(即ち、後述するステップS39の判定処理が肯定判定)になった場合に「ON」にセットされるフラグである。また、後輪振動検出フラグRVflgは、後輪RR,RLの振動が検出された場合(即ち、後述するステップS51の判定処理が肯定判定)になった場合に「ON」にセットされるフラグである。
一方、ステップS39の判定結果が肯定判定(DVWFR,DVWFL≧KDVWF)である場合、ECU19は、前輪FR,FLが振動したものと判断し、前輪振動検出フラグFVflgを「ON」にセットすると共に、後輪振動検出フラグRVflgを「OFF」にセットする(ステップS41)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU19が、前輪振動検出手段としても機能する。そして、ECU19は、タイマ43がカウントアップしている時間(以下、「前側検出時間」という。)TVWFを取得し、該前側検出時間TVWFをRAM42の所定領域に記憶させる(ステップS42)。続いて、ECU19は、その時点での車体速度(ステップS34の演算処理にて検出された車体速度)VSを取得し、該車体速度VSを前輪振動時の車両の車体速度(以下、「前側検出時車体速度」という。)VSFとしてRAM42の所定領域に記憶させる(ステップS43)。そして、ECU19は、上記演算処理フラグFWBCALを「ON」にセットし(ステップS44)、その後、ホイールベース長演算処理ルーチンを一旦終了する。
その一方で、ステップS38の判定結果が肯定判定(FWBCAL=「ON」)である場合、ECU19は、ステップS43にて検出した前側検出時車体速度VSFからステップS34にて検出した車体速度VSを減算することにより、車体速度変化量HVSを算出する(ステップS45)。この点で、本実施形態では、ECU19が、車両の車体速度VSF,VSの検出が複数回(2回)実行された場合に、各車体速度VSF,VSの車体速度変化量HVSを算出する車体速度変化量算出手段としても機能する。
そして、ECU19は、ステップS45の算出結果である車体速度変化量HVSの絶対値が予め設定された車体速度変化量閾値KHVS以下であるか否かを判定する(ステップS46)。この車体速度変化量閾値KHVSは、車体速度の変化量が大きい場合には後述する算出ホイールベース長の算出処理を停止させるための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。そして、ステップS46の判定結果が否定判定(HVSの絶対値>KHVS)である場合、ECU19は、上記演算処理フラグFWBCALを「OFF」にセットし(ステップS47)、前輪振動検出フラグFVflg及び後輪振動検出フラグRVflgをそれぞれ「OFF」にセットする(ステップS48)。その後、ECU19は、ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。
一方、ステップS46の判定結果が肯定判定(HVSの絶対値≦KHVS)である場合、ECU19は、ステップS33にて検出された後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLが予め設定された後輪加速度閾値KDVWR以上であるか否かを判定する(ステップS51)。この後輪加速度閾値KDVWRは、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLから後輪RR,RLの振動が検出されたか否かを判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。そのため、このステップS51の判定処理が肯定判定になった場合、ECU19が、後輪RR,RLの振動を検出したことになる。
そして、ステップS51の判定結果が否定判定(DVWRR,DVWRL<KDVWR)である場合、ECU19は、後輪RR,RLの振動を検出できなかったものと判断し、後輪振動検出フラグRVflgを「OFF」にセットし(ステップS52)、その後、ホイールベース長演算処理ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS51の判定結果が肯定判定(DVWRR,DVWRL≧KDVWR)である場合、ECU19は、後輪RR,RLが振動したものと判断し、後輪振動検出フラグRVflgを「ON」にセットする(ステップS53)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU19が、後輪振動検出手段としても機能する。そして、ECU19は、上記ステップS14にて取得した右前輪FRの車輪加速度DVWFRの最大値DVWFRTF3から上記ステップS18にて取得した右後輪RRの車輪加速度DVWRRの最大値DVWRRTR3を減算し、該減算結果の絶対値が予め設定された変化量閾値KDVW以下であるか否かを判定する(ステップS54)。この変化量閾値KDVWは、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの最大値DVWFRTF3,DVWFLTF3と後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの最大値DVWRRTR3,DVWRLTR3との差が大きすぎる場合には後述する算出ホイールベース長の演算処理を一旦停止させるための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
そして、ステップS54の判定結果が肯定判定((DVWFRTF3−DVWRRTR3)の絶対値≦KDVW)である場合、ECU19は、その処理を後述するステップS57に移行する。一方、ステップS54の判定結果が否定判定((DVWFRTF3−DVWRRTR3)の絶対値>KDVW)である場合、ECU19は、その処理をステップS55に移行する。すなわち、本実施形態では、ECU19は、右前輪FRの振動が検出された場合には右後輪RRの振動を検出するようになっている。
このステップS55において、ECU19は、上記ステップS14にて取得した左前輪FLの車輪加速度DVWFLの最大値DVWFLTF3からステップS18にて取得した左後輪RLの車輪加速度DVWRLの最大値DVWRLTR3を減算し、該減算結果の絶対値が変化量閾値KDVW以下であるか否かを判定する。この判定結果が否定判定((DVWFLTF3−DVWRLTR3)の絶対値>KDVW)である場合、ECU19は、前輪振動検出フラグFVflg及び後輪振動検出フラグRVflgをそれぞれ「OFF」にセットし(ステップS56)、ホイールベース長演算処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS55の判定結果が肯定判定((DVWFLTF3−DVWRLTR3)の絶対値≦KDVW)である場合、ECU19は、その処理を後述するステップS57に移行する。すなわち、本実施形態では、ECU19は、左前輪FLの振動が検出された場合には左後輪RLの振動を検出するようになっている。
ステップS57において、ECU19は、タイマ43がカウントアップしている時間(以下、「後側検出時間」という。)TVWRを取得し、該後側検出時間TVWRをRAM42の所定領域に記憶させる。続いて、ECU19は、その時点での車体速度(ステップS34の演算処理にて検出された車体速度)VSを取得し、該車体速度VSを後輪振動時の車両の車体速度(以下、「後側検出時車体速度」という。)VSRとしてRAM42の所定領域に記憶させる(ステップS58)。
そして、ECU19は、図6に詳述する算出ホイールベース長演算処理を実行することにより、算出ホイールベース長を演算し、該算出ホイールベース長をRAM42の所定領域に記憶させる(ステップS59)。続いて、ECU19は、上記演算処理フラグFWBCALを「OFF」にセットし(ステップS60)、その後、ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。なお、本実施形態では、ホイールベース長演算処理ルーチンでは記載していないが、上記ステップS44にて演算処理フラグFWBCALが「ON」にセットされてからの経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になった場合には、ECU19は、演算処理フラグFWBCALを「OFF」にセットすると共に、前輪振動検出フラグFVflg及び後輪振動検出フラグRVflgをそれぞれ「OFF」にセットする。この経過時間閾値は、前輪FR,FLの振動が検出されてから後輪RR,RLの振動が検出されるまでの経過時間が長すぎる場合、後輪RR,RLの振動を検出できなかったと判断するための値であって、予め実験やシミュレーションなどによって設定される。
ここで、図8(a)に示すように、車両Cの走行中において各車輪FR,FL,RR,RLが路面状の異物Fを踏んでいない場合、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの変化は、ほとんどないと共に、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの変化も、ほとんどない。また、車両の車体加速度GXの変化も、ほとんどない。しかし、図8(b)に示すように、各車輪FR,FL,RR,RLのうち前輪FR,FLが路面上の異物Fを踏んでしまった場合には、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLが大きく変化すると共に、車両の車体加速度GXも大きく変化する。しかも、車体加速度GXの変化(車両状態の変化)が、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの変化が検出された直後の前側第2所定時間TF2内に表れている。その結果、路面上の異物Fを踏んだことに起因した前輪FR,FLの振動が、検出される。
その後、図8(c)に示すように、各車輪FR,FL,RR,RLのうち後輪RR,RLが路面上の異物Fを踏んでしまった場合には、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLが大きく変化すると共に、車両の車体加速度GXも大きく変化する。しかも、車体加速度GXの変化(車両状態の変化)が、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの変化が検出される直前の後側第1所定時間TR1内に表れている。その結果、路面上の異物Fを踏んだことに起因した後輪RR,RLの振動が、検出される。
次に、上記ホイールベース長演算処理ルーチンのステップS59で実行される算出ホイールベース長演算処理(算出ホイールベース長演算処理ルーチン)について図6に示すフローチャートに基づき以下説明する。
さて、算出ホイールベース長演算処理ルーチンにおいて、ECU19は、上記車両状態有効判定フラグSJFLGが「ON」にセットされているか否かを判定する(ステップS65)。この判定結果が否定判定(SJFLG=「OFF」)である場合、ECU19は、算出ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。一方、ステップS65の判定結果が肯定判定(SJFLG=「ON」)である場合、ECU19は、上記ステップS42にて取得した前側検出時間TVWFをRAM42から読み出すと共に、上記ステップS57にて取得した後側検出時間TVWRをRAM42から読み出す。そして、ECU19は、後側検出時間TVWRから前側検出時間TVWFを減算することにより、間隔時間DTVWを算出する(ステップS66)。
続いて、ECU19は、上記ステップS43にて検出した前側検出時車体速度VSFをRAM42から読み出すと共に、上記ステップS58にて検出した後側検出時車体速度VSRをRAM42から読み出す。そして、ECU19は、後側検出時車体速度VSRと前側検出時車体速度VSFとの平均値を算出し、該平均値を平均車体速度VSAVに設定する(ステップS67)。この点で、本実施形態では、ホイールベース長の設定時において車両の車体速度の検出が複数回(2回)実行された場合に、該各車体速度VSF,VSRの平均値である平均車体速度VSAVを算出する車体速度平均値算出手段としても機能する。
そして、ECU19は、ステップS66にて算出された間隔時間DTVWとステップS67にて算出された平均車体速度VSAVとを乗算することにより、算出ホイールベース長LWBを算出し、該算出ホイールベース長LWBをRAM42の所定領域に記憶させる(ステップS68)。その後、ECU19は、算出ホイールベース長演算処理ルーチンを終了する。
次に、ホイールベース長設定処理ルーチンについて図7に示すフローチャートに基づき以下説明する。
さて、ECU19は、所定周期毎(例えば0.01秒毎)にホイールベース長設定処理ルーチンを実行する。そして、ホイールベース長設定処理ルーチンにおいて、ECU19は、RAM42の所定領域に算出ホイールベース長LWBが記憶されているか否かを検出することにより、算出ホイールベース長LWBが確定しているか否かを確認する(ステップS70)。この判定結果が否定判定である場合、ECU19は、上記ステップS59の算出ホイールベース長演算処理が実行されていないものと判断し、車両のホイールベース長WBを初期値である第2ホイールベース長WB2に設定し(ステップS71)、その後、ホイールベース長設定処理ルーチンを終了する。
一方、ステップS70の判定結果が肯定判定である場合、ECU19は、RAM42の所定領域から算出ホイールベース長LWBを読み出し、該算出ホイールベース長LWBが予め設定されたホイールベース長閾値KLWB(例えば「3m」)よりも大きいか否かを判定する(ステップS72)。このホイールベース長閾値KLWBは、ホイールベース長WBを第1ホイールベース長WB1又は第2ホイールベース長WB2の何れか一方に設定するための値であって、第1ホイールベース長WB1よりも大きく且つ第2ホイールベース長WB2よりも小さな値に設定されている。
そして、ステップS72の判定結果が肯定判定(LWB>KLWB)である場合、ECU19は、車両のホイールベース長WBを第2ホイールベース長WB2に設定し(ステップS71)、その後、ホイールベース長設定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS72の判定結果が否定判定(LWB≦KLWB)である場合、ECU19は、車両のホイールベース長WBを第1ホイールベース長WB1に設定する(ステップS73)。したがって、この点で、本実施形態では、ECU19がホイールベース長設定手段としても機能する。その後、ECU19は、ホイールベース長設定処理ルーチンを終了する。
なお、本実施形態において、ECU19は、上記ホイールベース長設定処理ルーチンを実行することによりホイールベース長WBを設定しても、ホイールベース長演算処理ルーチン及びホイールベース長設定処理ルーチンを引き続き実行する。そして、ECU19は、確定したホイールベース長WB(算出ホイールベース長LWB)の確認を行い、ホイールベース長WBが適切な値に設定されていないと判断した場合、ホイールベース長WBを適切な値に設定する。すなわち、車両Cの実際のホイールベース長が「2.5m」であるにも関わらず、ホイールベース長WBが第2ホイールベース長WB2に設定されてしまっていた場合において、ホイールベース長WBの設定後の確認時に設定ミスが確認されたときに、ECU19は、ホイールベース長WBを第1ホイールベース長WB1に再設定する。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの変化に基づいて前輪FR,FLの振動が検出された場合には、タイマ(時間計測手段)43がカウントアップする時間に基づき前側検出時間TVWFが取得されると共に、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号に基づいた演算により車両の前側検出時車体速度VSFが検出される。また、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの変化に基づいて後輪RR,RLの振動が検出された場合には、タイマ43がカウントアップする時間に基づき後側検出時間TVWRが取得されると共に、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号に基づいた演算により後側検出時車体速度VSRが検出される。そして、前側検出時間TVWFと後側検出時間TVWRとにより間隔時間DTVWが算出され、該間隔時間DTVWと車体速度VSF,VSRとから算出ホイールベース長LWBが算出され、該算出ホイールベース長LWBに基づいたホイールベース長WBが設定される。すなわち、本実施形態のホイールベース長設定装置11は、該ホイールベース長設定装置11が搭載される車両Cの実際のホイールベース長に容易に対応できるように構成されているため、車両C毎に複数種類のホイールベース長設定装置11を用意する必要が無くなる。したがって、搭載される車両Cの実際のホイールベース長の差異に起因した車両性能のばらつきを抑制できると共に、搭載される車両Cの実際のホイールベース長に対応可能に構成することによるコスト増大を抑制できる。
(2)一般に、車両Cには、前輪FR,FLの車輪速度VWFR,VWFLを検出するための車輪速度センサSE1,SE2と、後輪RR,RLの車輪速度VWRR,VWRLを検出するための車輪速度センサSE3,SE4とがそれぞれ設けられている。そして、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLは、車輪速度センサSE1,SE2からの入力信号に基づいた演算により前輪FR,FLの車輪速度VWFR,VWFLを検出し、該検出した車輪速度VWFR,VWFLを微分することにより検出される。また、後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLは、車輪速度センサSE3,SE4からの入力信号に基づいた演算により後輪RR,RLの車輪速度VWRR,VWRLを検出し、該検出した車輪速度VWRR,VWRLを微分することにより検出される。そして、本実施形態では、前輪FR,FLの振動は、検出された車輪加速度DVWFR,DVWFLが前輪加速度閾値KDVWF以上である場合に検出される。一方、後輪RR,RLの振動は、検出された車輪加速度DVWRR,DVWRLが後輪加速度閾値KDVWR以上である場合に検出される。すなわち、本実施形態のホイールベース長設定装置11では、前輪FR,FLや後輪RR,RLの各振動を検出するために新たな構成要素(例えば振動センサ)を車両Cに設ける必要がないため、ホイールベース長WBの設定処理の実行に基づく車両Cの部品点数の増加を抑制できる。
(3)ステップS54及びS55では、ステップS14の演算処理にて検出された前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの最大値DVWFRTF3,DVWFLTF3から上記ステップS18の演算処理にて検出された後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの最大値DVWRRTR3,DVWRLTR3を減算する。そして、その減算結果の絶対値が変化量閾値KHVW以下である場合には、前輪FR,FLが振動した要因と後輪RR,RLが振動した要因とが同一であると判断される。そして、ホイールベース長WBの設定処理が実行される結果、算出ホイールベース長LWBが算出され、該算出ホイールベース長LWBに基づきホイールベース長WBが設定される。一方、前輪FR,FLが振動した要因と後輪RR,RLが振動した要因とが異なる場合には、ホイールベース長WBの設定処理が実行されることが回避される。したがって、本実施形態のホイールベース長設定装置11が搭載された車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なったホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(4)一般に、車輪FR,FL,RR,RLの振動が検出されるタイミングと、該車輪FR,FL,RR,RLの振動に起因して車両状態(車体加速度GX)が変化するタイミングとでは、検出するためのセンサが異なるため、時間的な誤差が多少生じてしまう。そのため、本実施形態では、前輪FR,FLの振動が検出された場合において、その検出時点の前後の前側所定時間(前側第1所定時間TF1及び前側第2所定時間TF2)内にて車体加速度GXの変化が検出されたときに、前輪FR,FLが振動したものと判断される。一方、後輪RR,RLの振動が検出された場合において、その検出時点の前後の後側所定時間(後側第1所定時間TR1及び後側第2所定時間TR2)内にて車体加速度GXの変化が検出されたときに、後輪RR,RLが振動したものと判断される。すなわち、車輪FR,FL,RR,RLの振動は、車輪FR,FL,RR,RLの振動と車体加速度GXの変化がそれぞれ検出されるタイミングの誤差を加味しつつ、各車輪FR,FL,RR,RLの振動に基づいて車体加速度GXが実際に変化した場合についてのみ検出される。そのため、電気信号のノイズ発生に起因して、各車輪FR,FL,RR,RLが振動したと誤って検出されることを抑制できる。
(5)ホイールベース長WBの設定時において、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号に基づいた演算により車体速度を複数回(2回)検出し、該検出した各車体速度の車体速度変化量HVSが車体速度変化量閾値KHVSよりも大きい場合には、ホイールベース長WBの設定処理が停止される。すなわち、車体速度が不安定な状態である場合には、各車輪FR,FL,RR,RLの振動を検出したとしても、算出ホイールベース長LWBを算出するための前側検出時間TVWF、前側検出時車体速度VSF、後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRの検出誤差が発生する可能性が大きくなるため、ホイールベース長WBの設定処理を行わない。そのため、本実施形態のホイールベース長設定装置11が搭載された車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なったホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(6)ホイールベース長WBの設定時には、各車輪速度センサSE1〜SE4の各信号に基づいた演算により車体速度を複数回(2回)検出し、該検出した各車体速度の平均車体速度VSAVを用いて算出ホイールベース長LWBが算出される。そして、この算出ホイールベース長LWBに基づきホイールベース長が設定される。すなわち、車体速度の検出誤差を小さくすることが可能になる。そのため、本実施形態のホイールベース長設定装置11が搭載された車両Cの実際のホイールベース長に近い値のホイールベース長WBを設定することができる。
(7)一般に、車両Cの旋回時は、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号に基づいて検出される車両Cの車体速度の誤差が大きくなるおそれがあり、このような車体速度を用いてホイールベース長WBを設定した場合には、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されてしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、車両Cの旋回が検知された場合、ホイールベース長WBの設定処理が停止されるため、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(8)また、各車輪FR,FL,RR,RLに制動力が付与された場合には、車両Cの車体速度が大きく低下することになるため、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号に基づいた演算により検出される車両Cの車体速度の誤差が大きくなるおそれがある。この状態でホイールベース長WBの設定を行った場合には、車両Cの実際のホイールベース長とは大きく異なるホイールベース長WBが設定されてしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、各車輪FR,FL,RR,RLに制動力が付与された場合には、ホイールベース長WBの設定処理が停止されるため、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(9)前輪FR,FLの振動が検出されたときの前側検出時間TVWF及び前側検出時車体速度VSFと、後輪RR,RLの振動が検出されたときの後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRとに基づいて算出ホイールベース長LWBが算出される。そして、この算出ホイールベース長LWBがホイールベース長閾値KLWBよりも大きい場合、ホイールベース長WBが第2ホイールベース長WB2に設定される一方、算出ホイールベース長LWBがホイールベース長閾値KLWB以下である場合、ホイールベース長WBが第1ホイールベース長WB1に設定される。すなわち、ホイールベース長WBは、上記ステップS53の算出ホイールベース長演算処理によって算出された算出ホイールベース長LWBによって第1ホイールベース長WB1又は第2ホイールベース長WB2に設定される。そのため、算出ホイールベース長LWBをホイールベース長WBに設定する場合とは異なり、演算誤差によって車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(10)また、上記ステップS59の算出ホイールベース長演算処理により算出ホイールベース長LWBが設定されていない場合には、ホイールベース長WBは、初期値である第2ホイールベース長WB2に設定される。そのため、車両制動時において、車両Cの実際のホイールベース長よりも小さい値のホイールベース長WB(例えば、第1ホイールベース長WB1)が設定されることに起因して、車両Cに付与される制動力が不足してしまうことを抑制できる。
(11)上記ステップS44にて演算処理フラグFWBCALが「ON」にセットされてからの経過時間が予め設定された経過時間閾値以上になった場合には、演算処理フラグFWBCALが「OFF」にセットされる。すなわち、前輪FR,FLの振動が検出されてから後輪RR,RLの振動が検出されるまでの経過時間が長すぎる場合には、後輪RR,RLの振動が検出されなかったものと判断される。そのため、不意に後輪RR,RLの振動が検出されたことに起因して、算出ホイールベース長LWBが算出されてしまうことを抑制できる。したがって、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
(12)本実施形態では、右前輪FRの振動が検出された場合には、そのときの前側検出時間TVWF及び前側検出時車体速度VSFが検出され、その後、右後輪RRの振動が検出された場合には、そのときの後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRが検出される。そして、前側検出時間TVWF及び前側検出時車体速度VSFと、後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRとから算出ホイールベース長LWBが算出される。一方、左前輪FLの振動が検出された場合には、そのときの前側検出時間TVWF及び前側検出時車体速度VSFが検出され、その後、左後輪RLの振動が検出された場合には、そのときの後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRが検出される。そして、前側検出時間TVWF及び前側検出時車体速度VSFと、後側検出時間TVWR及び後側検出時車体速度VSRとから算出ホイールベース長LWBが算出される。そのため、右側の車輪FR,RRのみ振動した場合や左側の車輪FL,RLのみ振動した場合においても、算出ホイールベース長LWBの算出を実行することができる。すなわち、ホイールベース長WBを設定することができる。
なお、実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、算出ホイールベース長LWBがまだ算出されていない場合には、ホイールベース長WBが第1ホイールベース長WB1に設定されるようにしてもよい。このように構成した場合には、車両制動時において、車両Cの実際のホイールベース長よりも大きな値のホイールベース長WBが設定されることに起因して、車両の安定性が低下してしまうことを抑制できる。
・実施形態において、ホイールベース長設定処理ルーチンを実行せずに、上記ステップS59にて算出された算出ホイールベース長LWBをホイールベース長WB(=LWB)に設定してもよい。この場合、車両Cの実際のホイールベース長と略同一のホイールベース長WBを設定することができる。そのため、車両制動時において、より適切な制動力が車両Cに付与されると共に、車両安定性が良好に確保される。
・実施形態において、車両Cの駐車時などに用いられるパーキングブレーキのパーキングレバーが操作された場合には、ブレーキペダル20が踏み込み操作された場合と同様に、ホイールベース長WBの設定処理を停止させてもよい。この場合、パーキングブレーキのパーキングレバーが制動力付与手段として機能することになる。
・実施形態において、車両Cのステアリングホイールの操舵角を検出するための操舵角検出センサを設け、該操舵角検出センサからの信号に基づいて車両Cが旋回しているか否かを判定するようにしてもよい。
・また、車両Cの旋回状態を検出するためのヨーレイトセンサを設け、該ヨーレイトセンサからの信号に基づいて車両Cが旋回しているか否かを判定するようにしてもよい。なお、ヨーレイトセンサは、車両に働くヨーレイト(Yaw Rate)を検出するためのセンサである。
・実施形態において、算出ホイールベース長LWBの算出をN回(Nは2以上の自然数であって、例えば10回)実行し、該各算出ホイールベース長LWBの誤差量(演算誤差)が予め設定された所定誤差量(例えば「0.1m」)の範囲内である場合のみ、これら各算出ホイールベース長LWBに基づいてホイールベース長WBを設定するようにしてもよい。一方、各算出ホイールベース長LWBの誤差量が所定誤差量の範囲外である場合又は算出ホイールベース長LWBの演算回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数であって、例えば5回)以下である場合、ホイールベース長WBを初期値である第2ホイールベース長WB2に設定するようにしてもよい。このように構成した場合には、1回の算出ホイールベース長LWBの演算結果に基づいてホイールベース長WBが設定される場合と異なり、算出ホイールベース長LWBの演算誤差によって、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
・実施形態において、算出ホイールベース長LWBの算出をN回(Nは2以上の自然数であって、例えば5回)実行し、各算出ホイールベース長LWBの平均値に基づいてホイールベース長WBを設定するようにしてもよい。一方、算出ホイールベース長LWBの演算回数がN回よりも少ないM回(Mは1以上の自然数であって、例えば4回)以下である場合、ホイールベース長WBを初期値である第2ホイールベース長WB2に設定するようにしてもよい。このように構成した場合には、M回以下の算出ホイールベース長LWBの演算結果に基づいてホイールベース長WBが設定される場合と異なり、算出ホイールベース長LWBの演算誤差によって、車両Cの実際のホイールベース長と大きく異なる値のホイールベース長WBが設定されることを抑制できる。
・実施形態において、算出ホイールベース長LWBの算出をN回(Nは2以上の自然数であって、例えば2回)実行し、各算出ホイールベース長LWBのうち最も大きな値の算出ホイールベース長LWBに基づいてホイールベース長WBを設定するようにしてもよい。
・実施形態において、算出ホイールベース長演算処理のステップS67では、前側検出時車体速度VSF及び後側検出時車体速度VSRのうち小さな値の車体速度を読み出し、該車体速度に基づいてステップS68の処理により算出ホイールベース長LWBを算出するようにしてもよい。このように構成した場合、ホイールベース長設定装置11が搭載された車両Cの実際のホイールベース長以下の値のホイールベース長WBを設定することが可能になる。したがって、車両制動時において、実際のホイールベース長よりも大きな値のホイールベース長WBが設定された場合とは異なり、車両安定性の低下を抑制できる。
・実施形態において、算出ホイールベース長演算処理のステップS67では、前側検出時車体速度VSF及び後側検出時車体速度VSRのうち大きな値の車体速度を読み出し、該車体速度に基づいてステップS68の処理により算出ホイールベース長LWBを算出するようにしてもよい。このように構成した場合、ホイールベース長設定装置11が搭載された車両Cの実際のホイールベース長以上の値のホイールベース長WBを設定することが可能になる。したがって、車両制動時において、実際のホイールベース長未満の値のホイールベース長WBが設定された場合とは異なり、車両Cに対してより大きな制動力を付与できる。
・実施形態では、上記ステップS38の判定結果が肯定判定になった直後から、後輪RR,RLの振動が検出されるまでの間、所定周期毎(0.01秒毎)に車体速度変化量HVSを算出し、該車体速度変化量HVSの絶対値が車体速度変化量閾値KHVS以下であるか否かの判定処理を実行しているが、該判定処理をステップS58の後処理として一回のみ実行するようにしてもよい。
・実施形態において、上記ステップS45,S46の各処理を実行しなくてもよい。すなわち、ホイールベース長WBの設定処理時において、車体速度が大きく変化したとしても、ステップS40にて検出した前側検出時車体速度VSFとステップS58にて検出した後側検出時車体速度VSRとの平均値を使用して算出ホイールベース長LWBが算出されることになる。
・実施形態において、上記ステップS59の算出ホイールベース長演算処理で用いられる車体速度は、前輪FR,FLの振動が検出されてから前輪FR,FLの振動が検出されるまでの何れかのタイミングで演算された車体速度であってもよい。すなわち、算出ホイールベース長演算処理で用いられる車体速度は、平均車体速度VSAVではなく、前側検出時車体速度VSFであってもよいし、後側検出時車体速度VSRであってもよい。
・実施形態において、車輪FR,FL,RR,RLが振動した場合には、車両Cの横方向加速度(車両進行方向に対する左右方向への加速度)にも変化が表れるため、車体加速度センサSE5の代わりに横方向加速度センサを設けてもよい。
・実施形態において、車両状態有効判定処理ルーチンを実行させなくてもよい。この場合、車両状態(車体加速度)の変化によらず、算出ホイールベース演算処理が実行されることになる。
・実施形態において、上記ステップS54,S55を実行しなくてもよい。すなわち、前輪FR,FLの車輪加速度DVWFR,DVWFLの最大値DVWFRTF3,DVWFLTF3と後輪RR,RLの車輪加速度DVWRR,DVWRLの最大値DVWRRTR3,DVWRLTR3との加速度差に応じて、算出ホイールベース長LWBの算出の実行の有無を決定しなくてもよい。
・実施形態において、車両Cの車体速度VSF,VSRは、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWFR,VWFL,VWRR,VWRLから検出するのではなく、車体速度センサやGPS(Global Positioning System )から取得した情報から検出するようにしてもよい。
・実施形態において、タイマ43は、前輪FR,FLの振動が検出されてから時間のカウントアップを開始し、後輪RR,RLの振動が検出されたときに時間のカウントアップを停止させるようなものであってもよい。
・実施形態では、四輪を有する車両Cに具体化しているが、例えば六輪有する車両Cに具体化してもよい。すなわち、右前と左前には車輪が一つずつ配置されると共に、右後には二つの車輪が並置され、さらに、左後側には二つの車輪が並置された車両に具体化してもよい。
・実施形態において、第1液圧回路15には右前輪FR用のホイールシリンダ18aと左後輪RL用のホイールシリンダ18dとが接続されると共に、第2液圧回路16には右後輪RR用のホイールシリンダ18cと左前輪FL用のホイールシリンダ18bとが接続されるような回路構成としてもよい。
11…ホイールベース長設定装置、19…ECU(前輪振動検出手段、後輪振動検出手段、時間計測手段、車体速度演算手段、ホイールベース長設定手段、前側車輪速度演算手段、後側車輪速度演算手段、車両状態判定手段、車体速度変化量算出手段、車体速度平均値算出手段、車体速度設定手段、車両旋回量検出手段、ホイールベース長判定手段)、20…ブレーキペダル(制動力付与手段)、C…車両、DTVW…間隔時間、DVWFR,DVWFL,DVWRR,DVWRL…車輪加速度、DVWFRTF3,DVWFLTF3…前輪の車輪加速度の最大値(最大前輪加速度)、DVWRRTR3,DVWRLTR3…後輪の車輪加速度の最大値(最大後輪加速度)、FR…右前輪、FL…左前輪、HVS…車体速度の変化量、KDVW…変化量閾値、KDVWF…前輪加速度閾値、KDVWR…後輪加速度閾値、KHVS…車体速度変化量閾値、KLWB…ホイールベース長閾値、KR…旋回量閾値、KWB…ホイールベース長閾値、RR…右後輪、RL…左後輪、TF1…前側第1所定時間、TF2…前側第2所定時間、TF3…前側検出後時間、TR1…後側第1所定時間、TR2…後側第2所定時間、TR3…後側検出後時間、TVWF…前側検出時間、TVWR…後側検出時間、VS…車体速度、VSAV…平均車体速度、VSF…前側検出時車体速度、VSR…後側検出時車体速度、VWFR,VWFL…前輪の車輪速度、VWRR,VWRL…後輪の車輪速度、WB1…第1ホイールベース長、WB2…第2ホイールベース長(初期値)、WB…ホイールベース長。