JP4736424B2 - アゾ化合物又はその塩、及び該化合物又はその塩を含有する偏光膜 - Google Patents
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そして、特許文献1においては、偏光材料として二色性染料を用いる染料系偏光膜が、比較的高い偏光度を有し、しかも高温かつ高湿条件下における耐久性や長時間暴露に対する耐光性が優れていることが開示されている。しかしながら、一般に染料系偏光膜は、ヨウ素系偏光膜に比べて熱や水に対する耐久性に優れるものの、偏光性能が劣る傾向にあり、少しでもヨウ素系偏光膜に匹敵するだけの偏光性能を有する染料系偏光膜が要望されている。
式(I)におけるAは、スルホ及び/若しくはカルボキシルを1〜2個有するフェニル、又は1〜3個のスルホを有するナフチルである。
フェニルとしては、例えば、2−、3−又は4−スルホフェニル、2−、3−又は4−カルボキシフェニル、2,4−又は2,5−ジスルホフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、及び、2−カルボキシ−4−又は−5−スルホフェニルなどが挙げられ、中でもモノスルホフェニルは入手が容易であることから好ましい。
また、ナフチルとしては、例えば、5−、6−、7−又は8−スルホ−2−ナフチル、4−、5−、6−又は7−スルホ−1−ナフチル、6,8−、4,8−、5,7−又は3,6−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−又は4,6−ジスルホ−1−ナフチル、及び、3,6,8−又は4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル等が挙げられ、中でも、ジスルホナフチルは入手容易であることから好ましく、とりわけ、ジスルホ−2−ナフチルが好ましい。
R1〜R6としては、偏光度の観点から、水素原子、メチル又はメトキシが特に好ましい。
(式中、Y、Zは前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族アミン化合物を、水性溶媒中、クロロ炭酸フェニルと反応させて、
(式中、A、X、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同じ意味を表す。)
で示されるアゾ中間化合物とを、水性溶媒中、20〜60℃で反応させることにより、アゾ化合物(I)を得ることができる。
偏光膜には、前記アゾ化合物又はその塩に加えて、他の有機染料と含有させることにより、色相を補正し、偏光性能を向上させることができる。この場合に用いられる有機染料としては、二色性の高いものであればいかなる染料でもよいが、特に耐光性に優れる染料を選択することにより、液晶プロジェクター用途に適した偏光膜とすることができる。
Dのフェニルとしては、例えば2−、3−又は4−スルホフェニル、2−、3−又は4−カルボキシフェニル、2,4−又は2,5−ジスルホフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、2−カルボキシ−4−又は−5−スルホフェニル、2−又は3−メチル−4−スルホフェニル、2−又は3−メチル−4−カルボキシフェニル、2,5−ジメチル−4−スルホフェニル、2,5−ジメチル−4−カルボキシフェニル、2−又は3−メトキシ4−スルホフェニル、2−又は3−メトキシ4−カルボキシフェニル、2,5−ジメトキシ4−スルホフェニル、及び、2,5−ジメトキシ4−カルボキシフェニル等が挙げられる。
フェニルとしては、中でもモノスルホフェニルは入手が容易であることから好ましい。
また、Dのナフチルとしては、例えば、5−、6−、7−又は8−スルホ−2−ナフチル、4−、5−、6−又は7−スルホ−1−ナフチル、6,8−、4,8−、5,7−又は3,6−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−又は4,6−ジスルホ−1−ナフチル、及び、3,6,8−又は4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル等が挙げられる。
ナフチルとしては、ジスルホナフチルが入手容易であることから好ましく、とりわけジスルホ−2−ナフチルが好ましい。
R7〜R10としては、偏光度の観点から、水素原子、メチル又はメトキシが特に好ましい。
Fは、フェニルを表し、Fのフェニルには、ヒドロキシ、アミノ、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びスルホからなる群から選ばれる基が1〜2個結合していてもよい。ここでアルキル及びアルコキシとしては、R7〜R10として例示された基が挙げられる。Fとしては、フェニル、4−アミノフェニル及びヒドロキシフェニルが製造が容易であることから好ましい。
nは0又は1を表し、とりわけ0が製造が容易であることから好ましい。
本発明の偏光膜に用いられる偏光膜基材としては、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などからなるものが利用される。ここでいうポリビニルアルコール系の樹脂には、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全ケン化物であるポリビニルアルコール自体のほか、ケン化EVA樹脂のような、酢酸ビニルと他の共重合可能な単量体、例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフィン類、クロトン酸やアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、ビニルエーテル類などとの共重合体のケン化物、さらにはポリビニルアルコールをアルデヒドで変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども包含される。
偏光膜基材としては、ポリビニルアルコール系のフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムが、染料の吸着性及び配向性の点から、好適に用いられる。
本発明の偏光膜はその優れた特性から、カーナビゲーション、液晶プロジェクター、プロジェクション用テレビなどの大光量の液晶表示装置等に好適に使用することができる。
メタニル酸ナトリウム8部を水100部に溶解した後、20〜25℃の温度で、15%炭酸ナトリウム水溶液によりpH7〜8に調整しながら、クロロ炭酸フェニル8部を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度及び同pHで1時間攪拌後、析出した結晶を濾過して、下式(1)で示される中間体を得た。
厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルム[クラレビニロン#7500、(株)クラレ製品]を縦一軸に5倍延伸して、偏光膜基材とした。このポリビニルアルコールフィルムを緊張状態に保ったまま、実施例1で得られた式(I-1)で示されるジスアゾ化合物の塩を0.025%、染色助剤である芒硝を2.0%の濃度とした70℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬したのち取り出して、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥することにより、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmax は440nmであった。この偏光膜の440nmでの偏光度を測定した結果、単体透過率43%における偏光度は、99.25%で、高い偏光度を示した。また、高温・高湿の状態でも長時間にわたる耐久性を示し、長時間暴露に対する耐光性にも優れていた。
アゾ化合物(I-1)の代わりに、特許文献1の第7頁、式(1b)で表される化合物を用いて、実施例と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは440nmであった。この偏光膜の440nmでの偏光度を測定した結果、単体透過率43%における偏光度は、98.75%にとどまった。
Claims (12)
- Aが、モノスルホフェニル又はジスルホナフチルである請求項1に記載のアゾ化合物又はその塩。
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6が、互いに同一又は相異なり、水素原子、メチル又はメトキシである請求項1又は2に記載のアゾ化合物又はその塩。
- Yが水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載のアゾ化合物又はその塩。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のアゾ化合物又はその塩を偏光膜基材に含有してなる偏光膜。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のアゾ化合物又はその塩と、該アゾ化合物又はその塩とは異なり、かつ極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料とを、偏光膜基材に含有してなる偏光膜。
- 極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料が、下式(V)で表されるアゾ化合物又はその塩である請求項6に記載の偏光膜。
(式中、Dは、スルホ及び/若しくはカルボキシルを1〜2個有するフェニル、又は1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。Dのフェニル若しくはナフチルには、炭素数1〜4のアルキル及び/又は炭素数1〜4のアルコキシが1〜2個結合していてもよい。R7、R8、R9及びR10は、互いに同一又は相異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコシキを表す。Eは−NH−、−N=N−又は−NHCO−を表す。Fは、フェニルを表し、Fのフェニルには、ヒドロキシ、アミノ、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びスルホからなる群から選ばれる基が1〜2個結合していてもよい。nは0又は1を表す。) - R7、R8、R9及びR10が、互いに同一又は相異なり、水素原子、メチル又はメトキシである請求項7に記載の偏光膜。
- Fが、ヒドロキシ又はアミノが結合していてもよいフェニルである請求項7又は8に記載の偏光膜。
- Dが、モノスルホフェニル又はジスルホナフチルである請求項7〜9のいずれかに記載の偏光膜。
- 偏光膜基材が、ポリビニルアルコールである請求項5〜10のいずれかに記載の偏光膜。
- 請求項5〜11のいずれかに記載の偏光膜を有する液晶表示装置。
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