JP4734903B2 - 半導体ウェハのダイシング方法 - Google Patents
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ダイシングテープ2の裏面をカッティングテーブルに真空吸着し、図5(b)に示すように、矢印F1で示す方向に回転するダイシングブレード6はウェハを吸着したカッティングテーブルが移動することにより相対的に予め設定されたダイシング予定線に沿って矢印F2で示す方向へ移動し、半導体ウェハ4のフルダイシングを行う。ダイシングは、ダイシングブレード6の切削方向の前方と側面からダイシングブレード6に切削水を噴射してダイシングブレード6の冷却・潤滑および切り粉の除去を行いながら行う。この従来の方法では、図5(a)において、ダイシングを行った跡である線5で示すように、半導体ウェハ4の端部の外側から内側に向かって縦方向に切断を開始し、ダイシング方向側の端部の外側に達したところで切断を終了する。
次に、図中、ダイシングを行った跡である線3で示すように、線5と直交するように半導体ウェハ4の端部の外側から内側に向かって横方向にダイシングを開始し、ダイシング方向側の端部の外側に達したところでダイシングを終了する。つまり、ダイシングにより縦横に形成された線3,5の両端部が、それぞれ半導体ウェハ4の端部の外側に達するようにダイシングする。
そこで、半導体ウェハの端部までダイシングしないことにより、上記小片の発生を防止する方法が提案されている(特許文献1)。
また、半導体ウェハの周辺部に保護テープを貼ることにより、上記小片の飛散を防止する方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、半導体ウェハの端部までダイシングしないという従来の方法では、半導体ウェハの周辺部がダイシングされていないため、ダイシングテープをエキスパンドしても、各半導体チップ間の間隔を拡げることが困難になるという問題がある。
また、半導体ウェハの周辺部に保護テープを貼るという従来の方法を行うと、ダイシングブレードが保護テープを切断することにより、ダイシングブレードの目詰まりが発生するため、半導体チップにチッピングが発生するし、ダイシングブレードの寿命が短くなるという問題がある。また、半導体ウェハの周辺部に保護テープを貼る工程が必要となるため、ダイシング工程の作業効率が低下するという問題がある。
ダイシングを行った跡を示す全ての線の両端が半導体ウェハの端部に達しないようにダイシングする第2のダイシング工程を備えるため、その工程におけるダイシングの方向に対応する半導体ウェハの両端には、ダイシングにより切断分離された小片が発生しない。
したがって、上記小片による半導体チップおよびブレードの損傷が発生することがない。また、もう一方の第1のダイシング工程では、上記全ての線の両端部が半導体ウェハの端部に達するようにダイシングするため、ダイシング工程の後に行うダイシングテープのエキスパンドにより、各半導体チップ間の間隔を拡げることができる。さらに、半導体ウェハの周辺部に保護テープを貼る手間も不要であるため、ダイシング工程の作業効率を高めることができる。
ダイシング終了側に位置する半導体ウェハの端部には、ダイシングを行った跡を示す全ての線が達しないようにダイシングするため、その端部においては、ダイシングにより切断分離された小片が発生しない。
したがって、その小片による半導体チップおよびブレードの損傷が発生することがない。
その一方、ダイシング開始側に位置する半導体ウェハの端部に上記全ての線が達するようにダイシングしたときに小片が発生し、それが回転するダイシングブレードにより跳ね飛ばされたとしても、小片の飛翔方向には半導体ウェハが存在しないため、その小片により半導体ウェハが損傷することもない。また、小片は、ダイシングにより発生した切り粉を排出する側に存在するため、ダイシングブレードに巻き込まれ、ダイシングブレードが破損してしまうこともない。
第2のダイシング工程において、ダイシングを行った跡を示す線が半導体ウェハの端部に達しないようにダイシングする工程では、上記線が半導体ウェハの端部に達するが、その端部における線の深さが半導体ウェハの底面に達しない深さとなるようにダイシングするため、ダイシング後にダイシングテープをエキスパンドするときに、各半導体チップ間の間隔を拡げ易くすることができる。
この実施形態に係るダイシング方法について図1および図3(a)を参照して説明する。図1(a)は、その方法によりダイシングされた状態の半導体ウェハの平面説明図であり、図1(b)は、その方法を説明する概念図である。図3(a)は半導体ウェハのダイシングラインにおける縦断面図である。なお、図5に示した従来図と同じ構成については同じ符号を使用する。
このダイシング方法を実行するためのダイシング装置としては公知の装置を用いる。たとえば、ダイシングブレード6を支持するとともに回転駆動するヘッドと、ダイシングを行う位置にセットされた半導体ウェハ4の端部(エッジ)を検出するための検出装置と、この検出装置による検出結果に基づいてダイシングブレード6をダイシング開始位置へ案内して下降させるとともに、ダイシング終了位置に到達したダイシングブレード6を上昇させる制御装置とを備える装置を用いる。
図1(b)に示すように、ダイシングブレード6は矢印F1で示す方向に回転し、矢印F2で示す方向(図1(a)では上から下)へダイシングを進める。最初に行うダイシング工程では、半導体ウェハ4の両端間をフルダイシングする。ダイシングブレード6の周面を、ダイシングブレード6の進行方向の後ろから見ると、ダイシングブレードの周面が下から上に流れるように見える(図1(b)では時計回り)。
まず、高速回転するダイシングブレード6を予め半導体ウェハ4の表面に設定されているダイシングライン(このダイシングラインは、図示する線5と略一致する)の一端5a、つまりダイシングブレード6の周面が下から上に流れるように見える側(ダイシングブレード6の回転方向と反対側)に位置する半導体ウェハ4の端部の外側に存在するダイシングテープ2の上に下降させ、そのダイシングテープ2を含めて半導体ウェハ4の一端4fをダイシングする。続いて、ダイシングブレード6をダイシングラインの他端5bへ移動させ、ダイシングブレード6の周面が上から下に流れるように見える側(ダイシングブレード6の回転方向側)に位置する半導体ウェハ4の端部4gおよびその外側に存在するダイシングテープ2をダイシングし、ダイシングブレード6を上昇させる。
つまり、半導体ウェハ4の両端間をフルダイシングする。このフルダイシングを各ダイシングラインに沿って行う。これにより、半導体ウェハ4は、一定間隔で平行にフルダイシングされた状態となる。図1(a)に示す例では、ダイシングにより形成された跡を示す複数本の線5が縦方向に一定間隔で平行に形成されている。
このダイシング工程では、図1(b)に示すように、ダイシングブレード6の周縁底部が半導体ウェハ4の端部にかからないように、その端部よりも内側にダイシングブレード6を下降させ、もう一方の端部近傍内側に向けて(図1(a)では左から右に向けて)ウェハを吸着したカッティングテーブルを移動させる。このダイシングにおいても、ダイシングブレード6の回転方向および切削方向は、最初のダイシング工程と同じである。そして、ダイシングブレード6が切削方向側の端部近傍内側に達したところでダイシングブレード6を上昇させる。これにより、図3(a)に示すように、半導体ウェハ4の両端には、ダイシングされていない切り残し部分4aがそれぞれ形成された状態になる。このようなダイシングを各ダイシングラインに沿って行う。図1(a)に示す例では、ダイシングにより形成された跡を示す複数の線3が横方向に一定間隔で平行に形成されている。
また、従来のように、半導体ウェハ4の周囲を総て切り残す方法では、ダイシングテープ2をエキスパンドして各半導体チップ4e間の間隔を拡げることが困難であったが、上記の方法によれば、最初のダイシング工程では、線5の両端部が半導体ウェハ4の端部に達するようにダイシングするため、ダイシングテープ2をエキスパンドして各半導体チップ4e間の間隔を拡げることができる。
次に、この発明の第2実施形態について図2および図3(b)を参照して説明する。図2は、この実施形態に係る半導体ウェハのダイシング方法によりダイシングされた状態の半導体ウェハの平面説明図である。図3(b)は半導体ウェハのダイシングラインにおける縦断面図である。
この実施形態に係る半導体ウェハのダイシング方法は、最初のフルダイシングにより形成された線と交差するようにダイシングするダイシング工程において、線の一端が半導体ウェハの端部に達しないようにダイシングすることを特徴とする。
最初に、前述の第1実施形態と同じように半導体ウェハ4を両端までフルダイシングする。次に、そのフルダイシングにより形成された線5と交差するようにダイシングを行うが、ダイシングを開始する側の半導体ウェハ4の端部はダイシングし、その端部と反対側(ダイシングブレードの切削方向側)の端部はダイシングしないようにする。つまり、半導体ウェハ4の外側に位置するダイシングテープ2からダイシングを開始し、その近傍の半導体ウェハ4の端部4hをダイシングし、そのまま進行方向側の端部近傍内側に向けてダイシングを進め、進行方向側の端部近傍内側に達したところでダイシングを中止する。換言すると、回転するダイシングブレード6の周面を見た場合に、その周面が上から下に流れるように見える側に位置する半導体ウェハ4の端部はダイシングしないようにする。
以上のように、回転するダイシングブレード6の周面を見た場合に、その周面が上から下に流れるように見える側に位置する半導体ウェハ4の端部はダイシングしないため、その端部では、線3,5により囲まれた領域が形成されないので、小片が切断分離されるという現象が発生しない。このため、切断分離された小片がダイシングブレード6によって跳ね飛ばされ、それが半導体チップ4eに衝突して損傷するおそれがない。また、その小片がダイシングブレード6に当たり、ダイシングブレード6が破損してしまうおそれもない。
また、従来のように、半導体ウェハ4の周囲を総て切り残す方法では、ダイシングテープ2をエキスパンドして各半導体チップ4e間の間隔を拡げることが困難であったが、上記の方法によれば、最初のダイシング工程では、線5の両端部が半導体ウェハ4の端部に達するようにダイシングし、次のダイシング工程では、線3の一端が半導体ウェハ4の端部に達するようにダイシングするため、ダイシングテープ2をエキスパンドして各半導体チップ4e間の間隔を拡げることができる。
(1)図3(c)は半導体ウェハのダイシングラインにおける縦断面図である。同図に示すように、半導体ウェハ4のうち、フルダイシングしない端部を完全に残すのではなく、半導体ウェハ4の表面から所定の深さまでダイシング(たとえば、ハーフダイシング)するようにしても良い。つまり、ダイシングブレード6が端部を残す位置に到達したときに、ダイシングブレード6を半導体ウェハ4の表面から上方へ離すのではなく、半導体ウェハ4の底部から所定の高さ持上げ、その状態で端部外方まで移動させる。
この方法を実施すれば、端部を完全に残す場合よりも、ダイシングテープをエキスパンドするときに各半導体チップ4e間の間隔を拡げ易い。また、この方法は、前述の第1実施形態または第2実施形態にも適用することができ、その場合も、この実施形態による効果に加えて第1実施形態または第2実施形態の効果を奏することもできる。
この方法によれば、半導体ウェハ4の端部を総て切り残すのではなく、所定の面積以下となる領域だけを選択して残すことができるため、発生する小片の数を減らすことができる。したがって、切断分離された小片による半導体チップ4およびダイシングブレード6の損傷を軽減することができる。
Claims (3)
- ダイシングテープに貼着された半導体ウェハを回転するダイシングブレードによりフルダイシングして複数の半導体チップに完全切断分離する半導体ウェハのダイシング方法において、
前記半導体ウェハをダイシングするダイシング工程は、所定方向に前記半導体ウェハをダイシングする第1のダイシング工程と、前記所定方向と交差する方向に前記半導体ウェハをダイシングする第2のダイシング工程とから成り、
前記第1のダイシング工程でダイシングを行った跡を示す全ての線の両端は、前記半導体ウェハの端部に達しており、かつ、前記第2のダイシング工程でダイシングを行った跡を示す全ての線の両端は、前記半導体ウェハの端部に達していないことを特徴とする半導体ウェハのダイシング方法。 - ダイシングテープに貼着された半導体ウェハを回転するダイシングブレードによりフルダイシングして複数の半導体チップに完全切断分離する半導体ウェハのダイシング方法において、
前記半導体ウェハをダイシングするダイシング工程は、所定方向に前記半導体ウェハをダイシングする第1のダイシング工程と、前記所定方向と交差する方向に前記半導体ウェハをダイシングする第2のダイシング工程とから成り、
前記第1のダイシング工程でダイシングを行った跡を示す全ての線の両端は、前記半導体ウェハの端部に達しており、かつ、前記第2のダイシング工程でダイシングを行った跡を示す全ての線のうちダイシング開始側となる一端は、前記半導体ウェハの端部に達し、当該全ての線のうちダイシング終了側となる他端は、半導体ウェハの端部に達しないことを特徴とする半導体ウェハのダイシング方法。 - 前記第2のダイシング工程において、前記線が前記半導体ウェハの端部に達しないようにダイシングする工程では、前記線が前記半導体ウェハの端部に達するが、その端部における前記線の深さが前記半導体ウェハの底面に達しない深さとなるようにダイシングすることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウェハのダイシング方法。
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