JP4733847B2 - 庇の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物等に庇を取付ける庇の取付構造に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
庇の取付構造の一例として、例えば、特開平6−146457号公報に記載の技術が知られている。
この技術を、図7を参照して説明する。図7において符号1は庇、符号2は建物の外壁を示している。庇1の基端部には金具3が木ねじ4によって取付けられている。この金具3はその上下にそれぞれ固定片3a、3bを有しており、固定片3a、3bの間に係合片3cを有している。
一方、外壁2には前記金具3に係合する金具5が木ねじ8によって取付けられている。この金具5は、固定片5aと前記係合片3cに係合する係合片5cを有している。
前記庇1を外壁2に取付ける場合、金具3の係合片3cを金具5の係合片5cに係合したうえで、前記固定片3aから固定片5aにビス6をねじ込むとともに、固定片3bから外壁2に木ねじ7をねじ込むことによって、行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術では、庇1を外壁2に取付ける作業に非常に手間がかかる。すなわち、まず、金具3の係合片3cを金具5の係合片5cに係合する場合、係合片3cが固定片3aと3bの間にあるために、係合片3cや係合片5cが作業者から見ずらくなり、このため係合片3cを係合片5cに係合するのに手間がかかる。また、固定片5a上に固定片3aを当接してビス6をねじ込む際にも、固定片5a、3aに形成されたビス穴を合わせるのに手間がかかる。さらに、固定片3bから外壁2に木ねじ7をねじ込む場合も、下からのねじ込み作業であるので手間がかかるうえ、作業が非常に行ない難い。
また従来の技術では、上述したように、庇1を建物の外壁2に取付ける作業に非常に手間がかかるばかりか、庇1や外壁2に取付ける金具3、5が比較的複雑な形状であるので、これら金具3、5に要するコストもかかる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、庇を建物に容易に取付けることができるとともに、取付けに要する部品のコストを低減できる庇の取付構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、例えば、図1〜図6に示すように、建物に取付けられる庇9の取付構造であって、前記庇9の基端部に、断面L字状の取付金具10が設けられ、前記建物の躯体に、開口部16の上辺部を構成する第一框材17が固定され、前記第一框材17に、前記取付金具10が、その一片部10aを前記第一框材17の上面17aに当接し、他片部10bを前記第一框材17の前面17bに当接した状態で固定され、
前記第一框材17の上には第二框材21が、これら第一框材17と第二框材21とで前記取付金具10の一片部10aを挟み付けるようにして前記躯体に固定され、さらに、第二框材21の上面が、躯体上端面25と面一になっていることを特徴としている。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、建物の躯体に、開口部16の上辺部を構成する第一框材17が固定され、この第一框材17に、断面L字状の取付金具10が、その一片部10aを第一框材17の上面17aに当接し、他片部10bを前記第一框材17の前面17bに当接した状態で固定されているので、つまり、第一框材17に取付金具10を当接して固定するだけなので、庇9を建物に容易に取付けることができる。また、庇9を建物に取付ける取付金具10は、断面L字状であり、従来に比して簡単な形状であるので、取付金具10に要するコストを低減できる。さらに、庇9にその自重等によって作用する荷重を、取付金具10の一片部10aが第一框材17の上面17aに当接し、他片部10bが第一框材17の前面17bに当接することによって、第一框材17で負担することができ、取付強度が優れたものとなる。
また、第一框材17の上には第二框材21が、これら第一框材17と第二框材21とで前記取付金具10の一片部10aを挟み付けるようにして前記躯体に固定されているので、第一框材17から取付金具10が外れるのを効果的に防止できる。また、第二框材21の上面が、躯体上端面25と面一になっているので、第二框材21の上面と躯体の上端面に亘って、さらに躯体としての壁を構築したり、屋根を構築する際の構築作業を支障なく行える。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の庇9の取付構造において、
例えば、図4および図5に示すように、
前記取付金具10の一片部10aと他片部10bのうち、少なくとも一片部10aから前記第一框材17に止着材20がねじ込まれあるいは打ち込まれていることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、取付金具10の一片部10aと他片部10bのうち、少なくとも一片部10aから前記第一框材17に止着材20がねじ込まれあるいは打ち込まれているので、庇9にその自重によって作用する荷重を、前記止着材20のせん断抵抗によっても、負担することができ、より取付強度が優れたものとなる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の庇9の取付構造において、例えば、図1および図2に示すように、前記庇9が、前記第一框材17に対して直角に配置された棒状をなす複数の第一骨部材11と、これら第一骨部材11に対して直角に配置されて、これら第一骨部材11の先端どうしを連結する棒状の第二骨部材12とを備え、前記複数の第一骨部材11の基端部のそれぞれに前記取付金具10が取付けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、前記庇9が、複数の第一骨部材11と、これら第一骨部材11に対して直角に配置されて、これら第一骨部材11の先端どうしを連結する第二骨部材12とを備えているので、第一骨部材11と第二骨部材12とがいわゆるラーメン構造となり、構造的に強固な庇9となるとともに、庇9をほぼフラットに形成することができる。また、第一骨部材11の本数、第二骨部材12の長さを調整することによって、庇9の大きさを容易に変更することができる。さらに、前記複数の第一骨部材11の基端部のそれぞれに前記取付金具10が取付けられているので、複数の第一骨部材11のそれぞれを第一框材17に固定でき、よって、第一骨部材11と第二骨部材12を備えた庇9を建物に容易に取付けることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の庇9の取付構造において、例えば、図1および図2に示すように、前記第一骨部材11の基端部と、この第一骨部材11に隣り合う第一骨部材11と前記第二骨部材12の交差部との間に、斜め材14が架設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、第一骨部材11の基端部と、この第一骨部材11に隣り合う第一骨部材11と前記第二骨部材12の交差部との間に、斜め材14が架設されているので、庇9を建物に取付けたりする際や地震等の際に、該庇9に作用する横荷重を斜め材14によって負担して、庇9の歪みを効果的に防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の庇の取付構造の実施の形態について説明する。
図1は本発明の庇の取付構造の一例を示すもので、その斜視図、図2は同分解斜視図である。これらの図に示すように、本例の庇の取付構造は、庇9の基端部に取付金具10が設けられ、建物の躯体に第一框材17が固定され、この第一框材17に取付金具10が固定された構成となっている。
【0016】
前記庇9は、図1および図2に示すように、棒状の3本の第一骨部材11と、棒状の一本の第二骨部材12とを備えている。
【0017】
前記第一骨部材11は、四角筒状をなす鉄骨で形成されたものであり、前記第一框材17と直角に、かつ、互いに所定間隔をおいて平行に配置されている。
【0018】
前記第二骨部材12は、四角筒状をなす鉄骨で形成されたものであり、前記第一骨部材11に対して直角に配置されている。また、第二骨部材12の両端部および中央部には、それぞれ前記第一骨部材11の先端部が固定されており、これによって、前記第二骨部材12は三本の第一骨部材11の先端部どうしを連結している。
【0019】
前記取付金具10は断面L字状に形成されている。すなわち、図5に示すように、前記取付金具10は前記第一框材11の上面17aに当接する一片部10aと前記第一框材11の前面17bに当接する他片部10bとが直角に交わり、形成されている。また、前記取付金具10は前記第一骨部材11の幅よりも幅広に形成されている。
【0020】
また、図3に示すように、前記第一骨部材11の基端部には三角形板状の係止部15aが形成されており、第一骨部材11と第二骨部材12との交差部には三角形板状の係止部15bが形成されている。つまり、第一骨部材11と第二骨部材12とを備えた庇9内には、その対向する角部13a、13bにそれぞれ係止部15a、15bが形成されている。そして、対向する係止部15a、15b間には、金属製の線材で形成された斜め材14が配置されており、この斜め材14の一端部が前記係止部15aに係止され、他端部が前記係止部15bに係止されている。これによって、前記第一骨部材11の基端部と、この第一骨部材11に隣り合う第一骨部材11と前記第二骨部材12の交差部との間に、斜め材14が架設されている。
【0021】
前記第一框材17は、図2に示すように、建物の躯体の前記開口部16の上辺部を構成するものであり、前記取付金具10が当接する箇所には当接面19が形成されている。該当接面19は図5および図6に示すように、前記第一框材17に座掘り加工を施して形成されたもので、前記取付金具10の一片部10aと当接する当接面19の上面19aと他片部10bに当接する前面19bが形成とで構成されている。該座掘り加工によって、前記第一框材17の上面17aおよび前面17bから前記当接面19までの深さは前記取付金具10の厚さと同じか、やや深く形成されている。また、前記当接面19は前記取付金具10の横幅と同幅か、やや幅広に形成されている。
【0022】
前記第二框材21は、図1に示すように、前記第一框材17と同長さ同厚さの角材である。また、第二框材21は、該第二框材21と第一框材17とで前記取付金具10の一片部10aを挟み付けるようにして前記躯体に固定されている。さらに、第二框材21の上面は、躯体上端面25と面一になっている。
【0023】
次に上記構成の庇9の取付方法について説明する。
まず、前記第一框材17に形成された前記当接面19に前記取付金具10の前記一片部10aおよび前記他片部10bを当接させる。そして、図4および図5に示すように、前記庇9を支えながら、前記取付金具10の一片部10aからコーチスクリュー等の止着材20を前記第一框材17にねじ込む。さらに、前記取付金具10の他片部10bからも、止着材20を第一框材17にねじ込む。そして、第二框材21を釘等(図示せず)を用いて躯体に取付ける。この際に、前記第一框材17と前記第二框材21とで前記取付金具10の一片部10aを挟み付けるようにする。さらに、図1に示すように、前記第二框材21の上面が、躯体上端面25と面一になるようにして取付ける。
【0024】
次に、図4に示すように、庇先端部材22および庇天井部材23および庇屋根部材24をビス等(図示せず)によって前記庇9に止着していき、前記庇9の取付けを完成させる。
【0025】
本実施の形態の庇の取付構造によれば以下のような効果が得られる。
建物の躯体に、開口部16の上辺部を構成する第一框材17が固定され、この第一框材17に、断面L字状の取付金具10が、その一片部10aを第一框材17の上面17aに当接し、他片部10bを前記第一框材17の前面17bに当接した状態で固定されているので、つまり、第一框材17に取付金具10を当接して固定するだけなので、庇9を建物に容易に取付けることができる。また、庇9を建物に取付ける金具は、断面L字状であり、従来に比して簡単な形状であるので、取付金具10に要するコストを低減できる。さらに、庇9にその自重等によって作用する荷重を、取付金具10の一片部10aが第一框材17の上面17aに当接し、他片部10bが第一框材17の前面17bに当接することによって、第一框材17で負担することができ、取付強度が優れたものとなる。
【0026】
また、取付金具10の一片部10aと他片部10bから前記第一框材17に止着材20がねじ込まれているので、庇9にその自重によって作用する荷重を、この止着材20のせん断抵抗によっても、負担することができ、より取付強度が優れたものとなる。
【0027】
また、第一框材17の上には第二框材21が、これら第一框材17と第二框材21とで前記取付金具10の一片部10aを挟み付けるようにして前記躯体に固定されているので、第一框材17から取付金具10が外れるのを効果的に防止できる。また、第二框材21の上面が、躯体上端面25と面一になっているので、第二框材21の上面と躯体の上端面に亘って、さらに躯体としての壁を構築したり、屋根を構築する際の構築作業を支障なく行える。
【0028】
また、前記庇9が、複数の第一骨部材11と、これら第一骨部材11に対して直角に配置されて、これら第一骨部材11の先端どうしを連結する第二骨部材12とを備えているので、第一骨部材11と第二骨部材12とがいわゆるラーメン構造となり、構造的に強固な庇9となるとともに、庇9をほぼフラットに形成することができる。また、第一骨部材11の本数、第二骨部材12の長さを調整することによって、庇9の大きさを容易に変更することができる。さらに、前記複数の第一骨部材11の基端部のそれぞれに前記取付金具10が取付けられているので、複数の第一骨部材11のそれぞれを第一框材17に固定でき、よって、第一骨部材11と第二骨部材12を備えた庇9を建物に容易に取付けることができる。
【0029】
また、第一骨部材11の基端部と、この第一骨部材11に隣り合う第一骨部材11と前記第二骨部材12の交差部との間に、斜め材14が架設されているので、庇9を建物に取付けたりする際や地震等の際に、該庇9に作用する横荷重を斜め材14によって負担して、庇9の歪みを効果的に防止できる。
【0030】
また、前記第一框材17の上面17aおよび前面17bから前記当接面19までの深さは前記取付金具10の厚さと同じか、やや深く形成されているので、前記第一框材17の上部の躯体に前記第二框材21を取付ける際に、該第二框材21を前記第一框材17にぴったり重なるように容易に取付けることができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、前記庇屋根部材24に比較的フラットなものを使用しているが、傾斜の付いたものを使用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の発明によれば、第一框材に、断面L字状の取付金具が、その一片部を第一框材の上面に当接し、他片部を前記第一框材の前面に当接した状態で固定されているので、つまり、第一框材に取付金具を当接して固定するだけなので、庇を建物に容易に取付けることができる。また、庇を建物に取付ける金具は、断面L字状であり、従来に比して簡単な形状であるので、取付金具に要するコストを低減できる。
また、第一框材と第二框材とで前記取付金具の一片部を挟み付けるようにして前記躯体に固定されているので、第一框材から取付金具が外れるのを効果的に防止できる。また、第二框材の上面が、躯体上端部と面一になっているので、第二框材の上面と躯体の上端面に亘って、さらに躯体としての壁を構築したり、屋根を構築する際の構築作業を支障なく行える。
【0033】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、取付金具の一片部と他片部のうち、少なくとも一片部から前記第一框材に止着材がねじ込まれあるいは打ち込まれているので、庇にその自重によって作用する荷重を、この止着材のせん断抵抗によっても、負担することができ、より取付強度が優れたものとなる。
【0035】
請求項3の発明によれば、請求項1または2と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記庇が、複数の第一骨部材と、これら第一骨部材に対して直角に配置されて、これら第一骨部材の先端どうしを連結する第二骨部材とを備えているので、第一骨部材11と第二骨部材12とがいわゆるラーメン構造となり、構造的に強固な庇となるとともに、庇をほぼフラットに形成することができる。また、第一骨部材の本数、第二骨部材の長さを調整することによって、庇の大きさを容易に変更することができる。さらに、前記複数の第一骨部材の基端部のそれぞれに前記取付金具が取付けられているので、複数の第一骨部材のそれぞれを第一框材に固定でき、よって、第一骨部材と第二骨部材を備えた庇を建物に容易に取付けることができる。
【0036】
請求項4の発明によれば、請求項3と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、第一骨部材の基端部と、この第一骨部材に隣り合う第一骨部材と前記第二骨部材の交差部との間に、斜め材が架設されているので、庇を建物に取付けたりする際や地震等の際に、該庇に作用する横荷重を斜め材によって負担して、庇の歪みを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の庇の取付構造の一例を説明するもので、その斜視図である。
【図2】同、分解斜視図である。
【図3】同、庇の取付構造の平面図である。
【図4】同、庇を建物に取付けた状態を示す断面図である。
【図5】同、庇を第一框材に固定した状態を示す要部の断面図である。
【図6】同、第一框材の要部を示す斜視図である。
【図7】従来の庇の取付構造の一例を示すもので、その断面図である。
【符号の説明】
9 庇
10 取付金具
10a 一片部
10b 他片部
11 第一骨部材
12 第二骨部材
14 斜め材
16 開口部
17 第一框材
17a 上面
17b 前面
20 止着材
21 第二框材
25 躯体上端
Claims (4)
- 建物に取付けられる庇の取付構造であって、
前記庇の基端部に、断面L字状の取付金具が設けられ、前記建物の躯体に、開口部の上辺部を構成する第一框材が固定され、前記第一框材に、前記取付金具が、その一片部を前記第一框材の上面に当接し、他片部を前記第一框材の前面に当接した状態で固定され、
前記第一框材の上には第二框材が、これら第一框材と第二框材とで前記取付金具の一片部を挟み付けるようにして前記躯体に固定され、さらに、第二框材の上面が、躯体上端面と面一になっていることを特徴とする庇の取付構造。 - 請求項1記載の庇の取付構造において、
前記取付金具の一片部と他片部のうち、少なくとも一片部から前記第一框材に止着材がねじ込まれあるいは打ち込まれていることを特徴とする庇の取付構造。 - 請求項1または2記載の庇の取付構造において、
前記庇が、前記第一框材に対して直角に配置された棒状をなす複数の第一骨部材と、これら第一骨部材に対して直角に配置されて、これら第一骨部材の先端どうしを連結する棒状の第二骨部材とを備え、前記複数の第一骨部材の基端部のそれぞれに前記取付金具が取付けられていることを特徴とする庇の取付構造。 - 請求項3記載の庇の取付構造において、
前記第一骨部材の基端部と、この第一骨部材に隣り合う第一骨部材と前記第二骨部材の交差部との間に、斜め材が架設されていることを特徴とする庇の取付構造。
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