JP4731922B2 - エレベータの制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、この発明の実施の形態1に係わるエレベータの制御装置が備えられたエレベータの構成図である。図2は、速度指令と実速度の関係を示す図である。図3は、イナーシャ設定値の変更の様子を説明する図である。
エレベータ1は、図1に示すように、図示しない昇降路内を昇降される乗りかご2、ロープ3を介して乗りかご2に接続されている錘4、ロープ3を巻き上げるシーブ5、シーブ5を回転する電動機6からなる制御対象が備えられている。電動機6の回転軸7には、電動機6の実速度Vmを検出する回転検出器8が備えられている。
そして、電力変換器11は、交流電源12から交流電力が入力され、交流を直流に変換する整流器13、直流を交流に変換して電動機6に流す電流を制御するインバータ14、電動機6に流される電流を検出する変流器15、制御装置20からのトルク指令に基づいてインバータ14を制御するトルク制御回路16から構成されている。
制御装置20は、エレベータ1の乗りかご2の運行の速度パターンに従う速度指令Vrと回転検出器8で検出される実速度Vmが入力され、トルク指令Qrがトルク制御回路16に出力される。
そして、制御装置20は、速度指令Vrに基づきモデルトルクQaとモデル速度Vaとを算出するモデル演算部21、実速度Vmとモデル速度Vaとの速度差分ΔVを算出する速度差分算出部22、速度差分ΔVが予め定められた閾値VTHより大きいときに通常は0がたてられている速度異常検出フラグF0に1をたてる速度異常検出部23、速度差分ΔVに基づき誤差補償トルクQcを算出する誤差補償トルク算出部24、エレベータ1がイナーシャ算出運転されるときにONされるスイッチ25、モデルトルクQaと速度差分ΔVに基づきイナーシャJを算出するイナーシャ算出器26、速度異常検出フラグF0に1がたてられているとき、速度指令Vrと実速度Vmとの大小関係に基づきイナーシャ設定値JG_DEFを変更する設定値変更部27、モデルトルクQaと誤差補償トルクQcとからトルク指令Qrを算出するトルク指令算出部28を有している。
そして、モデル演算部21は、入力されてくる速度指令Vrと演算の結果として出力されるモデル速度Vaとのモデル速度差分ΔVrを演算する減算器31、モデル速度差分ΔVrにイナーシャJを乗算する乗算器32、予め所定の積分ゲインKi1が設定されており、入力された値に積分ゲインKi1を乗じてから積分してモデルトルクQaを求める積分器33、モデルトルクQaをイナーシャJで除算する除算器34、除算器34で求められた値を積分してモデル速度Vaを求める積分器35を有する。
イナーシャ設定値JG_DEFの変更は以下のようにして行われる。
制御対象のイナーシャがモデル演算部21に入力されているイナーシャJより小さい場合、図2(a)に示すように、実速度Vmが速度指令Vrより大きくなる。逆に、制御対象のイナーシャがモデル演算部21に入力されているイナーシャJより大きい場合、図2(b)に示しように、実速度Vmが速度指令Vrより小さくなる。
この速度指令Vrと実速度Vmとの大小関係と制御対象のイナーシャとモデル演算部21に入力されているイナーシャとの大小関係との関係を利用して、イナーシャ算出運転のときに速度異常に相当した状態になった場合、図3に示すように、イナーシャ設定値JG_DEFを変更する。
イナーシャ算出運転を行う前に、設定値変更部27は、イナーシャ設定値JG_DEFの初期値を予め設定する。以下の説明においては、その初期値をJ0と仮に定める。それから、設定値変更部27は、エレベータ1がイナーシャ算出運転され、速度異常が検出されたときのために、イナーシャ補正値をイナーシャ算出運転に先立って算出する。なお、エレベータ1にはイナーシャの最大値と最小値とが定められている。そして、増加イナーシャ補正値JG_PTC_MAX、減少イナーシャ補正値JG_PTC_MINは、式(1)、式(2)により求められる。
JG_PTC_MIN=(JG_DEF−最小値)/2 (2)
イナーシャ設定値JG_DEFが初期値J0に設定されていて、ある時点T0において速度異常検出フラグF0に1がたてられ、速度指令Vrが実速度Vmより大きいときは、制御対象のイナーシャが初期値J0より大きいと推定し、イナーシャ設定値JG_DEFを初期値J0からJ1に変更する。イナーシャ設定値JG_DEFの値J1は、式(3)に基づいて求められる。
JG_PTC_MIN=JG_PTC_MAX (5)
JG_PTC_MIN=JG_PTC_MIN/2 (9)
JG_PTC_MAX=JG_PTC_MIN (10)
ステップ(以下、Sと略記する。)101では、設定値変更部27は、イナーシャ設定値JG_DEFに初期値としてJ0を代入する。
S102では、設定値変更部27は、増加イナーシャ補正値JG_PTC_MAXと減少イナーシャ補正値JG_PTC_MINをそれぞれ式(1)、(2)に従って求める。
S104では、エレベータ1をイナーシャ算出運転する。
S105では、設定値変更部27は、イナーシャ算出運転において、速度異常検出フラグF0に1がたてられたか否かを判断し、1がたてられていないときS113へ進む。1がたてられているときS106へ進む。
S106では、設定値変更部27は、イナーシャ算出失敗数カウンタCNT_ERRに1を加算する。
S107では、設定値変更部27は、イナーシャ算出失敗数が3以下であるか否かを判断する。イナーシャ算出失敗数が4のときS114へ進む。イナーシャ算出失敗数が3以下のときS108へ進む。
S108では、設定値変更部27は、実速度Vmと速度指令Vrとの大小関係を判断する。実速度Vmが速度指令Vrより大きいとき、S109へ進み、実速度Vmが速度指令Vrより小さいとき、S111へ進む。
S109では、設定値変更部27は、イナーシャ設定値JG_DEFからJG_PTC_MINを減算して、その値をイナーシャ設定値JG_DEFに代入し、イナーシャ設定値JG_DEFをイナーシャ算出器26に出力し、S110へ進む。
S110では、設定値変更部27は、減少イナーシャ補正値JG_PTC_MINと増加イナーシャ補正値JG_PTC_MAXをそれぞれ式(9)、式(10)に従って求めて、S104へ戻る。
S112では、設定値変更部27は、増加イナーシャ補正値JG_PTC_MAXと減少イナーシャ補正値JG_PTC_MINをそれぞれ式(4)、式(5)に従って求めて、S104へ戻る。
S114では、設定値変更部27は、イナーシャが原因ではない速度異常であるとして、イナーシャ算出運転を終了し、起動を不可にする。
また、速度異常を4回検出したとき、エレベータの起動を不可にしているが、この回数も4に限るものではない。
図5は、この発明の実施の形態2に係わるエレベータの制御装置が備えられたエレベータの構成図である。図6は、実施の形態2に係わるエレベータの制御装置で行われるイナーシャ設定値の変更手順を示すフローチャートである。
実施の形態2に係わる制御装置20Bは、実施の形態1の制御装置20と誤差補償トルク算出部24Bが異なっており、その他は同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
実施の形態2に係わる誤差補償トルク算出部24Bは、実施の形態1と同様にモデル速度Vaと実速度Vmとの速度差分ΔVが入力され、演算された結果として誤差補償トルクQcが出力される。
そして、誤差補償トルク算出部24Bは、図5に示しように、予め所定の比例ゲインKP2が設定されており、入力された速度差分ΔVに比例ゲインKP2を乗じた信号を出力する第1の比例制御器36、予め所定の積分ゲインKi2が設定されており、入力された速度差分ΔVに積分ゲインKi2を乗じてから積分した信号を出力する第1の積分制御器37、第1の比例制御器36と第1の積分制御器37とからの信号を加算する第1の加算器38、予め所定の比例ゲインKP4が設定されており、入力された速度差分ΔVに比例ゲインKP4を乗じた信号を出力する第2の比例制御器53、予め所定の積分ゲインKi4が設定されており、入力された速度差分ΔVに積分ゲインKi4を乗じてから積分した信号を出力する第2の積分制御器54、第2の比例制御器53と第2の積分制御器54とからの信号を加算する第2の加算器55を有している。この第1の比例制御器36と第1の積分制御器37とをまとめて第1の比例積分制御器、第2の比例制御器53と第2の積分制御器54とをまとめて第2の比例積分制御器と称す。
そして、第2のスイッチ51と第3のスイッチ52は、エレベータの運転モード、すなわち、通常運転とイナーシャ算出運転のときに切り換えられる。
これを解決する手段として、イナーシャ算出を行うとき、誤差補償トルク算出部24Bのゲインを小さくすることにより、イナーシャの算出の誤差が大きくなってしまうことが防げる。このために、誤差補償トルク算出部24Bにゲインが異なる2つの比例制御器36、53および積分制御器37、54が備えられ、イナーシャ算出運転時と通常運転時とで比例制御器36、53および積分制御器37、54を切り換えている。
S204では、第2のスイッチ51および第3のスイッチ52が切り換えられて第2の比例制御器53と第2の積分制御器54とが有効になる。
また、S215では、イナーシャ設定値の変更が完了したので、第2のスイッチ51および第3のスイッチ52が切り換えられて第1の比例制御器36と第1の積分制御器37とが有効になる。
Claims (2)
- 発生トルクが入力されるトルク指令に一致するように制御され、エレベータの制御対象を駆動する電動機に対する速度指令をモデル伝達関数により、モデル速度が上記速度指令に追従するように、上記モデル速度とモデルトルクとを演算するモデル演算部と、
上記モデル速度と上記電動機の実速度との差に基づいて誤差補償トルクを演算する誤差補償トルク算出部と、
上記モデルトルクと上記誤差補償トルクとからトルク指令を算出するトルク指令算出部と、
上記モデル速度と上記実速度との差に基づいて得られた補償イナーシャをイナーシャ設定値に加算して上記モデル伝達関数のイナーシャを算出するイナーシャ算出器と、
が備えられているエレベータの制御装置において、
速度異常が検出されているとき、予め定められたイナーシャ設定初期値と予め定められたイナーシャ最大値の差分の数分の一を増加イナーシャ補正値および上記イナーシャ設定初期値と予め定められたイナーシャ最小値の差分の数分の一を減少イナーシャ補正値として求め、速度指令と実速度との大小関係から上記増加イナーシャ補正値または上記減少イナーシャ補正値のいずれかをイナーシャ補正値として選択し、上記選択したイナーシャ補正値により上記イナーシャ設定初期値を補正してイナーシャ設定値を求め、
また、該イナーシャ設定値でイナーシャ算出運転を行っている場合に速度異常が検出されたとき、上記補正に用いたイナーシャ補正値が上記増加イナーシャ補正値の場合新たなイナーシャ補正値として上記増加イナーシャ補正値の数分の一をイナーシャ補正値とし、また、上記補正に用いたイナーシャ補正値が上記減少イナーシャ補正値の場合新たなイナーシャ補正値として上記減車イナーシャ補正値の数分の一をイナーシャ補正値として、イナーシャ設定値を補正する設定値変更部が備えられていることを特徴とするエレベータの制御装置。 - 上記誤差補償トルク算出部は、比例積分ゲインが異なる2つの比例積分制御器を有し、上記エレベータがイナーシャ算出運転されるとき、比例積分ゲインが小さい上記比例積分制御器が選択されていることを特徴とする請求項1に記載するエレベータの制御装置。
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