JP4730886B2 - 紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサン、該ポリシロキサンの製造方法、及び該ポリシロキサンを配合してなる処理剤 - Google Patents
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Description
しかし、この方法では、表面コーティング皮膜に表面滑性や撥水性がないので、利用分野が限られる。
また、化粧品分野では、前記紫外線吸収剤が皮膚刺激性を有すること、及び化粧品の成分であるシリコーンオイルやスクアラン等の油剤に前記紫外線吸収剤が難溶であることから、紫外線吸収剤をシリコーン変性することにより、皮膚刺激性、溶解性を改良する方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。その他、ラジカル重合性基を有するシリコーンマクロモノマーと、ラジカル重合性基を有する紫外線吸収剤と、ラジカル重合性モノマーとの共重合体からなるコーティング剤が提案されている(特許文献4参照)。
また、繊維用撥水剤の分野では、シリコーン系のものがよく用いられているが、それらの紫外線吸収性の改善が求められている。
このような状況に鑑み、本発明は、前記した従来技術が有する問題点を解決し、長期にわたる紫外線吸収性(耐紫外線性の付与)、表面滑性、撥水性、柔軟性、及び溶剤に対する溶解性の全てを兼備したオルガノポリシロキサンを提供しようしてなされたものである。
すなわち、本発明は、一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンと、一般式(2)〜(4)で示される紫外線吸収剤の1種もしくは2種以上との付加化合物からなることを特徴とする紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンである。
[式(1)中、Rは炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、
Aは−R1−(NH−R2)a−NH2(R1は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R2は炭素数1〜4の2価炭化水素基であり、aは0〜4の整数である。)で示される1価の基であり、
XはR、A又は−OR3(R、Aは前記どおりであり、R3は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基である。)で示される1価の基であり、
mは5〜500の整数、nは0〜100の整数を表す。但し、n=0の場合、2個のXのうち、少なくとも1個はAである。]
[式(2)〜(4)中、R4〜R7(但し、式(2)ではR4〜R6)のうち、少なくとも1個はアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を含有する有機基、その他は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、リン酸基及びリン酸エステル基から選ばれる同種もしくは異種の原子又は基である。]
前記一般式(1)において、Rは炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子で置換された基を挙げることができる.これらの中では、特にメチル基が、撥水性、平滑性、柔軟性の面から好ましい.
R1の具体例としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、中でもトリメチレン基が好ましい。
また、R2の具体例としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、中でもジメチレン基が好ましい。
一般式(2)〜(4)中、R4〜R7(但し、一般式(2)ではR4〜R6)のうち、少なくとも1個はアクリロキシ基又はメクリロキシ基を含有する有機基、その他は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、リン酸基及びリン酸エステル基から選ばれる同種又は異種の原子又は基である。
その他、各種紫外線遮蔽剤の粉体の表面を本発明の紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンで被覆し、耐候性、潤滑性、撥水性の高い粉体にすることができる。これらの処理粉体は、化粧品用や塗料用の顔料として利用できる。
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌装置を備えた容量500mlの四つ口セパラブルフラスコに、下記式(A)で示されるアミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン(アミン当量1,500g/モル)100g、下記式(B)で示される2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(分子量323)10g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して31モル%)及びトルエンを100g仕込み、窒素ガスを導入した後に密閉して、110℃で8時間反応を行った。反応終了後、10mmHg減圧下、80℃で1時間低沸点留分の除去を行い、淡黄色でアミン当量1,710g/モルのオイル状物(C)106gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(C)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
得られた淡黄色オイル状物をクロロホルムに溶解して(濃度50mg/100mlクロロホルム)、紫外線吸収スペクトルを測定した結果を図1に示した。また、下記に示す方法により、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を測定し、結果を表1に示した。
実施例1において、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの配合量を20g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して62モル%)とした以外は、全て実施例1と同様にして、淡黄色でアミン当量1,800g/モルのオイル状物(D)115gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(D)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
実施例1と同様に、得られた淡黄色オイル状物をクロロホルムに溶解して(濃度50mg/100mlクロロホルム)、紫外線吸収スペクトルを測定した結果を図2に示した。また、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
実施例1において、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを、下記式(C)で示される2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン(分子量326)に変更し、その配合量を20g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して62モル%)とした以外は、全て実施例1と同様にして、淡黄色でアミン当量1,800g/モルのオイル状物(E)110gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(E)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノンのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
実施例1と同様に、得られた淡黄色オイル状物をクロロホルムに溶解して(濃度50mg/100mlクロロホルム)、紫外線吸収スペクトルを測定した結果を図3に示した。また、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
実施例1において、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの配合量を32g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して100モル%)とした以外は、全て実施例1と同様にして、淡黄色でアミン当量2,110g/モルのオイル状物(F)126gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(F)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ルのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
実施例1と同様に、得られた淡黄色オイル状物をクロロホルムに溶解し(濃度50mg/100mlクロロホルム)、紫外線吸収スペクトルを測定した結果を図4に示した。また、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を実施例1と同様に測定し、結果を表1に示した
実施例1において、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの配合量を26g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して80モル%)とした以外は、全て実施例1と同様にして、淡黄色でアミン当量2,050g/モルのオイル状物(G)116gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(G)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ルのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
実施例1と同様に、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を測定し、結果を表1に示した
実施例1において、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの配合量を6.4g(アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサン中の全アミノ基に対して20モル%)とした以外は、全て実施例1と同様にして、淡黄色でアミン当量1,600g/モルのオイル状物(H)116gを得た。その後、核磁気共鳴吸収法(1H−NMR)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、フーリエ赤外分光法(FT−IR)により、該オイル状物(H)の構造を調べたところ、上記アミノアルキル基含有オルガノポリシロキサンのアミノ基が、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ルのメタクリロキシ基の二重結合に付加して生成した付加化合物であることを確認した。
実施例1と同様に、得られた淡黄色オイル状物の皮膜物性を測定し、結果を表1に示した
実施例1で得られたオイル状物30gをトルエン70gに溶解して原液処理液を調製した。この原液処理液1gをトルエン99gに溶解させ、これにポリエステル/綿混紡(65%/35%)ブロード布を1分間浸漬した後、絞り率100%の条件でロ−ルを用いて絞り、100℃で2分間乾燥した後、さらに150℃で2分間熱処理して、評価用処理布を作製した。
そして、得られた評価用処理布の水接触角(協和界面科学社製、contact angle meter)の測定を行った。
次いで、上記評価用処理布に対し、促進耐候性試験機(岩崎電機社製、スーパ−UV試験機)を用いて、紫外線(UV)照射強度60mW/cm2、1サイクル:照射5時間、休止5時間の条件下で、UV照射を10サイクル繰り返し行った。その後、改めて、UV照射後の評価用処理布の水接触角を測定した。また、UV照射後の該評価用処理布(ブロード布)の特性変化を目視及び手触で観察した。
表1の結果より、実施例1〜3に係る付加化合物は、UV吸収性があり、トルエンに対する溶解性が良好で、ブロード布の柔軟性を低下させることがなく、また、UV照射により撥水性が低下しないことがわかる。
それに対し、比較例1に係る付加化合物は、UV吸収性は認められるものの、トルエンに対する溶解性が十分ではなく、ブロード布の柔軟性を低下させ、UV照射により撥水性が低下することが確認された。比較例2に係る付加化合物は、トルエンに対する溶解性が十分ではなく、ブロード布の柔軟性を低下させ、UV照射により撥水性が低下することが確認された。比較例3に係る付加化合物は、UV吸収性が不十分で、ブロード布を黄色に着色させ、UV照射により撥水性が低下することが確認された。
Claims (12)
- 一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサン中のアミノ基の全モル数に対して、一般式(2)〜(4)で示される紫外線吸収剤の1種もしくは2種以上に含有されるアクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基の全モル数が30〜70モル%となる割合で、一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンと、一般式(2)〜(4)で示される紫外線吸収剤の1種もしくは2種以上を、式5で示される反応式により付加反応させて得られる付加化合物からなることを特徴とする紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサン。
Aは−R1−(NH−R2)a−NH2(R1は炭素数1〜8の2価炭化水素基であり、R2は炭素数1〜4の2価炭化水素基であり、aは0〜4の整数である。)で示される1価の基であり、
XはR、A又は−OR3(R、Aは前記どおりであり、 R3は水素原子又は炭素数1〜8の1価炭化水素基である。)で示される1価の基であり、
mは5〜500の整数、nは0〜100の整数を表す。但し、n=0の場合、2個のXのうち、少なくとも1個はAである。]
式5
[上記反応式において、一般式(1)中のアミノ基は、一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンのA中の末端にある1級アミノ基、あるいはA中の繰り返し単位中の2級アミノ基である。] - 請求項1において一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサン中のアミノ基の全モル数に対して、請求項1において一般式(2)〜(4)で示される紫外線吸収剤の1種もしくは2種以上に含有されるアクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基の全モル数が30〜70モル%となる割合で、一般式(1)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンと、一般式(2)〜(4)で示される紫外線吸収剤の1種もしくは2種以上を、80〜140℃で2〜10時間、付加反応させることを特徴とする紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
- 請求項1記載の紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンの単独物からなるか、又は、当該オルガノポリシロキサンを配合してなることを特徴とする繊維処理剤。
- 請求項3記載の繊維処理剤で処理した繊維。
- 請求項1記載の紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンの単独物からなるか、又は、当該オルガノポリシロキサンを配合してなることを特徴とするプラスチック表面の保護コーティング剤。
- 請求項5記載の保護コーティング剤をコーティングしたプラスチック。
- 請求項1記載の紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンを配合してなることを特徴とするワックス。
- 請求項7記載のワックスで処理した物品。
- 請求項1記載の紫外線吸収性基含有オルガノポリシロキサンの単独物からなるか、又は、当該オルガノポリシロキサンを配合してなることを特徴とする紫外線遮蔽剤粉体の表面被覆剤。
- 請求項9記載の表面被覆剤で被覆した紫外線遮蔽剤粉体。
- 請求項10記載の紫外線遮蔽剤粉体からなる化粧品用顔料。
- 請求項10記載の紫外線遮蔽剤粉体からなる塗料用顔料。
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