JP4730608B2 - セグメント - Google Patents
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支線トンネルと分岐合流部の築造方法は、これらの築造範囲の外側に止水と山留めを目的とした連続地中壁を施工しておき、本線トンネルのシールド掘削機を掘進させてセグメントを構築する。その後に支線トンネルを開削により施工すると共に、本線トンネルのセグメントを解体して分岐合流部を構築するといった開削工法による方法で施工されている。
しかし、近年では、地上における施工スペースの確保が困難であり、また路面の占有面積が広範囲になると、路面の使用が制限されることによる交通障害や施工中の騒音などの環境問題が発生することから、都市部の大規模な開削工法は困難な状態となっている。
このような問題に対して、開削工法によらない施工方法(非開削工法)として、例えば地中の掘削部の外周を形成するように複数の曲線ボーリングを施工し、その周囲を地盤改良することで屋根状の防護壁を形成し、その内空側で地下空間を形成する工法が実施されている。
また、開削工法によらない非開削工法によって構築される分岐合流施工法が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1は、地上より掘り下げて発進基地を構築し、この発進基地から縦長の矩形断面をなすシールド掘削機を斜め下方の地下に向けて発進させ、先行施工した二本のシールドトンネル(本線トンネル)の間にシールド掘削機を接続させて支線トンネルを構築するものである。そして、支線トンネルと本線トンネルとがラップする接合部は、支線トンネルのシールド掘削機によって切削可能な材料からなるセグメントを設置しておき、シールド掘削機のカッタでこの切削可能なセグメントを切削して構築される。
一般的に、土中のセグメントには、周囲の土水圧により曲げモーメントが作用する。このため、セグメントの周方向をなすピース間の継手は曲げモーメントにより発生する引張力を伝達するため、緊結力の大きいボルトやボルト以外の連結金物などで固定されている。そのため、特許文献1のようにセグメントをシールド掘削機のカッタで切削するような施工では、ボルトや連結金物がカッタによる切削を妨げることになり、シールド掘進機の掘進の効率が低下するといった問題があった。
本発明では、トンネル周方向に隣接する一対の切削セグメント同士を連結するピース間継手としてヒンジ継手を設けることで、そのピース間継手の継手面にかかる曲げモーメントが抑制される構造となる。そのため、このピース間継手には、ボルトなどの剛性の大きな連結部材による連結が不要となり、シールド掘削機のカッタの切削に影響されることなく掘進することができる。また、ボルトや連結金物などによるセグメント連結作業を省略することができる。また、本発明に係るセグメントによって本線トンネルを築造することで、当該本線トンネルに接続させる支線トンネルを築造する際、シールド掘削機によって本線トンネルに備えた切削セグメントを切削しながら掘進させて支線トンネルと本線トンネルとを接合させ、分岐合流部を支線トンネル及び本線トンネルの内部から築造することができるため、開削工法が不要となる。
これにより、土被りの小さな部分からシールド掘削機でトンネルを構築することができるため、立坑や開削にかかるコストを低減させることができ、工期短縮を図ることができる。そして、開削範囲を削減できることから、地上部における施工範囲を小さくすることができる。
そして、本発明のセグメントによって本線トンネルを形成することで、シールド掘削機によって本線トンネルに備えた切削セグメントを切削しながら掘進させて支線トンネルと本線トンネルとを接合させ、支線トンネル及び本線トンネルの内部から分岐合流部を築造することができるため、開削工法が不要となる効果が得られる。
また、支線トンネルや分岐合流部の周囲に大掛かりな地盤改良を施したりする必要もないので、施工コストや施工工期を低減することができる。
さらに、分岐合流部の築造を非開削とすることで、地上部における占有面積が広範囲にならないことから、地上部の交通渋滞など周辺環境を向上させることができる。
図1は本発明の実施の形態によるトンネル分岐合流部の非開削築造方法によって築造された分岐合流部の概略構成を説明するための平面断面図、図2は本線トンネルと支線トンネルとの概略構成を説明するための側断面図、図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ図1におけるA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、図4は本線セグメントを示す断面図、図5は本線セグメントに設けられる切削セグメントのヒンジ継手を示す斜視図、図6(a)、(b)はシールド掘削機の構成および発進状態を説明する図、図7(a)、(b)はシールド掘削機のカッタを傾斜位置にしたときの掘削状態を説明する図、図8(a)はシールド掘削機のカッタを垂直位置にしたときの掘削状態を説明する図、図9(a)はシールド掘削機の軌条の敷設状態を示す図、(b)は図9(a)に示すトンネルを後方から見た図、図10〜図11は分岐合流部を構築するための工程説明図であって、夫々図3(c)に対応した図である。
なお、本線トンネル10A、10Bは、以下、必要に応じて「本線トンネル10」で総称する。また、二本の本線トンネル10A、10Bの所定の間隔とは、第一及び第二ランプ部20A、20Bを構築することのできる間隔である。
また、説明の便宜上、上り線の本線トンネル10Aに関する部材に符号Aを付加し、下り線の本線トンネル10Bに関する部材に符号Bを付加して区別する。
また、第一ランプ部20Aの地上部2を第一ランプ出入口21とし、同じく第二ランプ部20Bの地上部2を第二ランプ出入口22とする。
このように本線セグメント11の円周上に1箇所のヒンジ継手Tが設けられていることから、そのヒンジ継手Tの継手面にかかる曲げモーメントが抑制される構造となる。そのため、このヒンジ継手Tには、ボルトなどの剛性の大きな連結部材による連結が不要となり、シールド掘削機30のカッタ32の切削に影響されることなく掘進することができる。また、ボルトや連結金物などによるセグメント連結作業を省略することができることから、本線セグメント11A(11B)の組み立て時間を短縮する効果を奏する。
図2に示すように、支線トンネル20は、第一ランプ出入口21を発進側とし、反対側の第二ランプ出入口22を到達側として後述する傾斜可能なカッタ32を具備した円形断面のシールド掘削機30(図6参照)によって施工される。
図6(a)及び(b)に示すように、本シールド掘削機30は、掘削機本体31に対して前傾姿勢で前倒しになるように傾斜可能に構成されたカッタ32と、カッタ32の前傾時に掘削機本体31との隙間を覆うようにトンネル進行方向にスライド可能なルーフ部材33とを備えている。ここで、カッタ32が垂直位置(トンネル軸に対して垂直方向)にあるときを垂直位置Xとし、カッタ32が傾斜角度θで前傾姿勢にあるときを傾斜位置Yとする。
地盤下げ掘削を行うことにより、地上部2に敷設される軌条34aの高さと坑内の軌条34bの高さとを同一にすることができ、施工性を向上させることができる(図9(a)参照)。また、支線セグメント20a内の路盤Rの高さと地表との高さを同一とすることで経済性を向上させることができる(図9(b)参照)。
なお、このような地盤下げ掘削を行なわずに地上部2から直接掘削してもよい。
このように、カッタ32を傾斜位置Yとする掘削では、掘削断面の上方を先行掘削させることで、垂直位置Xの場合と比較して、カッタ32の上方の地山がカッタ32及びルーフ部材33で支えられて崩れにくい状態とされる。
先ず、図10(a)に示すように、分岐合流部1の本線トンネル10A、10Bの本線セグメント11A、11Bは、シールド掘削機30(図6(a)参照)で掘削できるように切削セグメント12A、12Bを予め設置しておく(図4、図5参照)。
仮壁13A、13Bは、分岐合流部1が築造されるまでの間、本線セグメント11A、11Bにかかる土圧を支持してトンネル断面形状を維持する構造部材となっている。
先ず、シールド掘削機30を地上部2の発進基地3より反力受3Aに推進反力を取って発進し、シールド掘削機30と反力受3Aとの間にセグメント20aを設置しながら本線トンネル10A、10Bの間に向けて掘進する(図6(a)及び(b)、図7(a)及び(b)参照)。
そして、図10(a)に示すように、シールド掘削機30が第一ランプ部20Aを掘進しながら本線トンネル10A、10Bの間に到達し、さらに本線トンネル10A、10B間を掘削すると同時に切削セグメント12A、12Bを切削しながら掘進する。続いて、シールド掘削機30は、分岐合流部1における所定の位置で本線トンネル10A、10Bの向きと略平行に掘進する。
なお、仮壁13A,13Bが設けられていることで本線トンネル10が補強されるため、シールド掘削機30が切削セグメント12A、12Bを掘削しても問題はなく、本線トンネル10を暫定開業しながら分岐合流部1の施工が可能となる。
図10(b)に示すように、本線セグメント11と支線セグメント20aとの交点部(以下、「接合部S」とする)を施工する前に、この接合部S周辺の地盤に所定の注入範囲をもって地盤改良15を行っておく。地盤改良15は、例えば図示しない注入管からモルタルなどの地盤改良材を注入して行う。
先ず、図10(b)に示すように、支線セグメント20aを上下方向に支持するための支柱16をトンネル内部に適宜間隔で立設する。
そして、図11(a)に示すように、上部側の支線セグメント20aを支線トンネル20の内部側から取り外し、適宜切削材14を取り除く。さらに、本線トンネル10Aと支線トンネル20との車線接続部分に相当する箇所における車線側上部接合部S1は、両セグメント11A、20a同士を溶接などの固定手段によって接合して一体化する。
また、図11(b)に示すように、下部側の車線側下部接合部S2についても上部側と同様に、支線セグメント20aと本線セグメント11Aとを一体化させる。その後、図11(c)に示すように、不要になった支柱16および仮壁13Aを撤去して本線トンネル10Aと支線トンネル20とをトンネルの幅方向に連通させる。
以上に説明した工程を実施することによって、支線トンネル20が本線トンネル10A、10Bに接続された分岐合流部1の築造が完了する。本実施の形態では、1台のシールド掘削機30で地上部2から支線トンネル20を連続して掘削するため、分岐合流部1を非開削により施工できる。また、土被りの小さな部分からシールド掘削機30でトンネルを構築することができるため、立坑や開削にかかるコストを低減させることができ、工期短縮を図ることができる。そして、開削範囲を削減できることから、地上部2における施工範囲を小さくすることができる。
なお、分岐合流部1の接合部Sや支持壁17などの構造や位置は、構築される道路設備に応じて適宜設計されることは言うまでもない。
そして、シールド掘削機30によって本線トンネル10を切削しながら掘進させて支線トンネル20と本線トンネル10とを接合させ、支線トンネル20及び本線トンネル10の内部から分岐合流部1を築造することができるため、開削工法が不要となる効果が得られる。
また、支線トンネル20や分岐合流部1の周囲に大掛かりな地盤改良を施したりする必要もないので、施工コストや施工工期を低減することができる。
さらに、分岐合流部1の築造を非開削とすることで、地上部2における占有面積が広範囲にならないことから、地上部の交通渋滞など周辺環境を向上させることができる。
例えば、本実施の形態では第一ランプ部20Aと第二ランプ部20Bを1台のシールド掘削機30で掘進して構築しているが、これに限定されることはなく、このほかに例えば1箇所のランプ部が本線トンネル10に合流している場合にも適用できる。この場合、シールド掘削機30で1箇所のランプ部を掘進させて所定の分岐合流部1を通過させた後、任意の地上部に向けて掘削を継続し、その地上部に到達させればよい。
また、本実施の形態では2本の本線トンネル10A、10Bの間に支線トンネル20が分岐合流する施工としているが、これに限定されず、1本又は3本以上の本線トンネルに対しても同様の非開削築造方法を適用して分岐合流部を築造することができる。
さらに、本実施の形態では道路トンネルに適用された分岐合流部1について説明したが、道路トンネルの用途に限定されることはなく、地下鉄が地上の鉄道と相互乗り入れするような場合の鉄道トンネル等に適用してもかまわない。
さらにまた、本実施の形態ではカッタ32が前傾姿勢となるシールド掘削機30を使用しているが、このようなカッタ構造或いはシールド掘削機に限定されることはない。例えば、図12に示すように上下方向に二分割されたカッタ41を有するシールド掘削機40を使用し、上部41aを下部41bより前方に突出させて掘進させてもよい。また、トンネル掘削方向に対して垂直方向の面(図8(a)の垂直位置に相当)のカッタを有する一般的なシールド掘削機を使用してもかまわない。
2 地上部
3 発進基地
10、10A、10B 本線トンネル
11、11A、11B 本線セグメント
12A、12B 切削セグメント
12a 凸状ヒンジ部(凸状部)
12b 凹状ヒンジ部(凹状部)
13A、13B 仮壁
14 切削材
20 支線トンネル
20a 支線セグメント
20A 第一ランプ部
20B 第二ランプ部
30 シールド掘削機
32 カッタ
S 接合部
T ヒンジ継手
Claims (1)
- シールドトンネルを形成する円管状のセグメントであって、
トンネル周方向の一部分に、シールド掘削機によって切削可能な材料からなり、トンネル周方向に隣接して配置された一対の切削セグメントが設けられており、
該一対の切削セグメント同士を連結するピース間継手が、一方の切削セグメントの継手面上にトンネル軸方向に沿って延設された断面視円弧状の凸状ヒンジ部と、他方の切削セグメントの継手面上にトンネル軸方向に沿って延設されて前記凸状ヒンジ部が係合する断面視円弧状の凹状ヒンジ部と、からなるヒンジ継手であることを特徴とするセグメント。
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