JP4729387B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、従来技術にあっては、プーリへの油圧に下限値(下限ガード)を設定し、供給油圧の低い低圧側プーリへの油圧をこの下限値を下回らないようにすると共に、低圧側プーリへの油圧指令値がこの下限値以下となるときには、この下限値と低圧側プーリへの油圧指示値との差に基づいて他方の高圧側プーリへの油圧指令値を大きい側に補正することにより、ベルトスリップを回避しつつ変速応答性を確保している(例えば、特許文献1参照)。
つまり、上記の従来技術では、例えば、プライマリプーリのプーリ推力がセカンダリプーリのプーリ推力よりも小さい領域でアップシフトを行う場合、高い推力を保持するセカンダリプーリの推力指令値は高いままとされ、さらに低い推力を保持するプライマリプーリの推力指令値を増加させることで対応しており、全体として高い油圧が必要となり、燃費向上の余地が残される(図8参照)。
また、従来技術にあっては、変速比の制御時に、プーリのストロークエラーe(目標ストロークx*に対する実ストロークxの差;e=x*−x)に対する着目はされていても、ストロークエラーeに対するプーリ制御入力としては、推力比RF(プライマリプーリ推力Fpriとセカンダリプーリ推力Fsecとの比;RF=Fpri/Fsec)の変化までの制御補正はなされていなかった。このため、プーリ推力が高いLOW側の変速比領域では、フィードバック制御入力が相対的に小さくなり、プーリ推力が低いHIGH側の変速比領域では、フィードバック制御入力が相対的に大きくなり、アンバランスを招いていた。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、両プーリの推力比に着目しながら、応答性と燃費改善性をともに向上させることができるようにした、車両用無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
また、前記コントロールユニットは、目標変速速度を得るために、前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との差である差推力を演算し、実変速比を前記目標変速比に追従させるために、前記目標変速比から算出される前記従動側プーリの目標ストローク変位と前記実変速比から算出される前記従動側プーリの実ストローク変位との差分であるストローク差分値と、フィードバック制御ゲインとに基づいて、前記油圧推力にかかるフィードバック制御量を演算し、前記の第1又は第2駆動側目標油圧推力及び第1又は第2従動側目標油圧推力を、前記差推力と前記フィードバック制御量とにより補正した油圧推力に基づいて、前記油圧式アクチュエータを制御することが好ましい(請求項3)。
本発明(請求項1)の車両用無段変速機の油圧制御装置によれば、変速速度を高めることができ、変速制御の良好な応答性を確保することができる。
[実施形態]
図1〜図11は、本発明の一実施形態を説明するもので、図1,図2はその構成を説明する図、図3〜図5はその制御内容を説明する各種相関図、図6,図7はその制御内容を説明するフローチャート、図8〜図11はその効果を説明する図である。
図1は、CVT油圧制御装置(車両用無段変速機の油圧制御装置)を搭載した車両(自動車)のシステム構成図である。エンジン10の動力はトルクコンバータ20及び前後進クラッチ30を介してCVT300に伝達される。CVT300は駆動側のプライマリプーリ310及び従動側のセカンダリプーリ320からなり、両者の間に介在されたベルト330により動力伝達を行う。
オイルポンプ40により発生した油圧は第1調圧弁51によりライン圧に調整され、プライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72に供給される。また、第2調圧弁52によりパイロット圧とされてプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109に供給される。CVTコントロールユニット100はプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109を制御し、供給されたパイロット圧を所望の信号圧に調整してプライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72に供給する。
図2は、CVTコントロールユニット100の制御ブロック図である。CVTコントロールユニット100は、変速比制御部200,油圧変換部106,電流変換部107を有しており、さらに、変速比制御部200は、目標変速比演算部201,実変速比演算部202,入力トルク演算部203,滑り下限推力演算部204,推力比演算部205,基礎バランス推力演算部206,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部(変速フィードバック量演算部)209,滑り防止及び油圧最小推力配分演算部(以下、推力配分演算部)210を有している。
実変速比演算部202は、プライマリ及びセカンダリ回転センサ210,220から入力されたプライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecに基づき実変速比ipを演算し、滑り下限推力演算部204,推力比演算部205,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部209へ出力する。
ここで、滑り下限推力Flp,Flsとは、ベルトスリップが発生せずに各プーリとベルトのトルク伝達が可能な各プーリの推力である。具体的には、プライマリプーリ310における伝達トルク及びベルト回転半径をTpri,Rpri、プーリの狭角をθ、プーリとベルトとの動摩擦係数をμとすれば、プライマリプーリ310の伝達トルクTpriは、
Tpri=Rpri×2μ×Fpri/cosθ
即ち、
Fpri=Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
であり、プライマリプーリ310においてベルトスリップが発生しない条件は、
プーリとベルト間の摩擦力≧伝達トルク
であるから、安全率をεpriとすれば、プライマリプーリ310における滑り下限推力Flpは、
Flp=εpri×Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
一方、セカンダリプーリ320における滑り下限推力Flsについても、プライマリプーリ310と同様に求められ、
Fls=εsec×Tsec×cosθ/(2μ×Rsec)
ここで、プライマリプーリ310とセカンダリプーリ320におけるベルト張力Tは同一であるため、
T=Tpri/Rpri=Tsec/Rsec
したがって、
Tsec=Tpri×Rsec/Rpri
よって
Fls=εsec×(Tpri×Rsec/Rpri)×cosθ/(2μ×Rsec)
=εsec×Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
=(εsec/εpri)Flp
プライマリ側とセカンダリ側の安全率を同一値とすれば
Flp=Fls=F
となり、プライマリプーリ310の滑り下限推力Flpとセカンダリプーリ320の滑り下限推力Flsとは同一値Fとなる。
基礎バランス推力演算部206は、滑り下限推力演算部204から入力された滑り下限推力Flp,Flsと、推力比演算部205から入力された推力比RFとに基づいて、プライマリプーリ310及びセカンダリプーリ320の基礎バランス推力Fp*,Fs*を演算し、推力配分演算部210に出力する。
α=Flim/Fo
ただし、Flim:各ip毎の滑り下限推力,Fo:αを無次元化する変数(変速比ip=1〜推力比RF=1の滑り下限推力)
変速フィードバック制御部209は、実変速比が目標変速に確実に追従するようにフィードバック制御量Ufbを設定する。このフィードバック制御量Ufbは、次式から求める。
Ufb=KP・e+KI∫edt+KD・de/dt
e=xSA−xSR
ただし、e:ストロークエラー,xSA:目標セカンダリストローク,xSR:実セカンダリストローク,KP:比例ゲイン,KI:積分ゲイン,KD:微分ゲイン
電流変換部107は入力された油圧指令値Ppri及びPsecを各ソレノイドの制御用電流に変換し、電流値を出力する。
図6は、CVTコントロールユニット100において実行されるプーリ推力演算制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS2では、目標変速比演算部201,実変速比演算部202,入力トルク演算部203において、実変速比ip、目標変速比ip*,入力トルクTinが演算され、ステップS3へ移行する。
ステップS4では、推力比演算部205において、走行条件と入力トルクとから所定の変速比を維持できる推力比RFを演算し、ステップS5へ移行する。
ステップS6では、差推力演算部207において、ステップS2で演算された目標変速比ip*及び実変速比ipに基づいてプライマリプーリ310とセカンダリプーリ320とのバランス推力に加算される目標変速速度を得るための差推力dF(Fp*−Fs*)を演算し、ステップS7へ移行する。
ステップS8では、変速フィードバック制御部209において、実変速比が目標変速に確実に追従するように、変速フィードバック制御Ufbを演算し、ステップS9へ移行する。
ステップS9で推力比が1以下と判断されると、ステップS10に移行し、スプライマリ推力をプライマリ推力下限値(Flp)とし(Fpri=Fp*=Flp)、セカンダリ側に差推力とF/B制御量を加えて(Fsec=Fs*+Uin,Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb))、ステップS11に移行する。
ステップS12で、セカンダリ推力がセカンダリ滑り下限値Flsよりも小さいと判断されると、ステップS12に移行し、セカンダリ推力Fsecが滑り下限値Flsをどのくらい下回ったかを計算し(ΔFs=Fls−Fsec)、ステップS13に移行する。
ステップS13では、新たなプライマリ推力をFlp+ΔFsとし(Fpri=F1p+ΔFs)、新たなセカンダリ推力をFlbとする(Fsec=Fls)。
ステップS15では、プライマリ推力がステップS3で求めたプライマリ滑り下限値F1pよりも小さいかを判断する。
ステップS17では、新たなプライマリ推力をプライマリ推力下限値(Flp)とし(Fpri=Flp)、新たなセカンダリ推力をFls+ΔFpとする(Fsec=Fls+ΔFp)。
図7は、図6に示すステップS13又はS17以降の処理としてCVTコントロールユニット100の油圧変換部106で実行される油圧換算制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS22では、各条件から各プーリにおける最小油圧指令値Ppri_min及びPsec_minを演算し、ステップS23へ移行する。
ステップS24では、最小油圧指令値Ppri_min,Psec_minと目標油圧指令値P*pri,P*secの差分Ppri_min−P*pri,Psec_min−P*secを演算し、プライマリ側差分Ppri_min−P*pri=a(pri)とし、セカンダリ側差分Psec_min−P*sec=a(sec)としてステップS25へ移行する。
ステップS26では、油圧最小限を下回っていない方のプーリに対する油圧指令値にステップS25で演算された補正量a(Pri)´もしくはa(sec)´を加算し、制御を終了する。
[1−1:推力比1未満の領域における変速比−推力相関図の対比]
図8は、推力比1未満の領域(推力比1よりも変速比が大きいロー側である領域)における従来技術と本実施形態における変速比−推力相関図の対比を示す図である。図8(a)に従来技術の変速比−推力相関図を、図8(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御の変速比−推力相関図を示す。
変速比をβ1からβ2に増加させてダウンシフトを行う場合、プライマリプーリのベルト回転半径を縮径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を拡径する必要がある。この場合、従来技術にあっては低推力側であるプライマリプーリのベルト回転半径を縮径するためプライマリ推力を減少させて変速を達成しようとするが、目標変速比β2に対応するプライマリ推力がすべり下限値を下回るため、目標プライマリ推力とすべり下限値の差分Bを演算し、この差分Bを高推力側であるセカンダリ推力に加算する。同様に、本実施形態では低推力側であるプライマリ推力が滑り下限推力に保持されているため、セカンダリプーリ320のベルト回転半径を拡径すべく、セカンダリ推力F*secを増加させる。
したがって、推力比1未満の領域内のダウンシフトにおいては、従来技術及び本実施形態ともにプライマリ推力を滑り下限推力に保持し、セカンダリ推力を増加させることにより目標変速比に対応する差推力を確保し、ダウンシフトを行う。そのため両者ともに油圧が増加する。
変速比をβ1からβ3に減少させてアップシフトを行う場合は、プライマリプーリのベルト回転半径を拡径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を縮径する必要がある。この場合、従来技術にあっては低推力側であるプライマリプーリのベルト回転半径を拡径してアップシフトを達成するため、プライマリ推力を増加させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成する。このとき高推力側であるセカンダリ推力は高推力のまま推移するため、プライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持し、全体として油圧負荷は高い状態にある。
図9は、推力比RFが1未満の領域でアップシフトを行う場合における従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートである。図9(a)に従来技術のタイムチャートを、図9(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御のタイムチャートを示す。
時刻t1においてアップシフト変速制御が開始される。従来技術では低推力側のプーリ推力を増大させて目標変速比に対応する差推力を確保するためプライマリ側推力指令値の制御を行うが、本実施形態では高推力側プーリの推力指令値を減少させて目標変速比に対応する差推力を確保する。したがって、従来技術においては、各プーリのベルト回転半径を目標変速比ip*に対応した回転半径とすべく、プライマリ推力指令値Fpriが急上昇し、セカンダリ推力指令値Fsecは徐々に低下する。
このとき、目標変速比ip*に対応すべくセカンダリプーリ320の推力指令値Fsecは急激に低下し、これに伴ってプライマリプーリ310とセカンダリプーリ320との推力の差は急減する。Fsecは滑り下限推力Flsを下回ってさらに低下しようとするが、変速制御部160によりFsecは滑り下限推力Flsを下限とされており、滑り下限推力Flsに到達して減少を停止する。
時刻t1〜t2では、従来技術におけるセカンダリ推力は減少を継続し、プライマリ推力については、制御量は同一値で推移するものの推力は若干減少する。
一方、本実施形態では、セカンダリプーリ320の推力指令値Fsecが滑り下限推力Flsに到達して減少を停止したことで、セカンダリプーリ320のベルト回転半径の時間変化率が低下し、プライマリ推力指令値Fpriを滑り下限推力Flpに保持したままでは応答性が悪化する。
時刻t2では、従来技術においてプライマリ推力が急減少を開始し、それに伴ってプライマリプーリヘの制御量も減少を開始する。本実施形態においては、セカンダリ推力指令値Fsecが滑り下限推力に達しても停止しなかったと仮定した場合、時刻t2においてFsecは推力指令値Fsecに到達し、増加を開始する。したがって、滑り下限推力とセカンダリ推力指令値Fsecの差分ΔFsは減少を開始し、ΔFsが加算されたプライマリ推力Fpriも減少を開始する。Fpriの減少に伴い、差推力も減少を開始する。
時刻t3において滑り下限推力Flsとセカンダリ推力指令値Fsecの差分ΔFsの値が0となる。そのため図6のフローチャートにおけるステップS13又はS17から図7のフローチャートにおけるステップS20へ移行する制御の流れとなり、プライマリ推力指令値Fpriは滑り限界推力の値に保持され、セカンダリ推力指令値Fsecは目標変速比ip*に対応したベルト回転半径となるよう制御され、上昇を開始する。
時刻t4において、従来技術及び本実施形態のベルト回転半径がともに目標変速比ip*に対応する値に達し、各プーリ推力が一定値となる。これに伴い従来技術ではプライマリプーリの制御量が一定値となり、本実施形態では差推力が0となる。
図10は、推力比1以上の領域(推力比1よりも変速比が小さいハイ側である領域)における従来技術と本実施形態における変速比−推力相関図の対比を示す図である。図10(a)に従来技術の変速比に対する推力の相関図を、図10(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ準力制御の変速比−推力相関図を示す。
変速比をβ1´からβ2´に増加させてダウンシフトを行う場合、プライマリプーリのベルト回転半径を縮径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を拡径する必要がある。
推力比1以上の領域と同様、従来技術にあっては低推力側であるセカンダリプーリのベルト回転半径を拡径してダウンシフトを達成するため、セカンダリ推力を増加させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成する。このとき高推力側であるプライマリ推力は高推力のまま推移するため、プライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持し、全体として油圧負荷は高い状態にある。
変速比をβ1´からβ3´に減少させてアップシフトを行う場合は、プライマリプーリのベルト回転半径を拡径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を縮径する必要がある。
推力比1未満の領域と同様、従来技術にあっては低推力側であるセカンダリプーリのベルト回転半径を縮径するためセカンダリ推力を減少させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成しようとするが、目標変速比β3に対応するセカンダリ推力がすべり下限値を下回るため、目標セカンダリ推力とすべり下限値の差分Bを演算し、この差分Bを高推力側推力であるプライマリ推力に加算する。
したがって、推力比1以上の領域内のアップシフトにおいては、従来技術及び本実施形態ともにセカンダリ推力を滑り下限推力に保持し、プライマリ推力を増加させることによりダウンシフトを行う。そのため両者ともに油圧が増加する。
図11は、推力比RFが1以上の領域でダウンシフトを行う場合における従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートである。図11(a)に従来技術のタイムチャートを、図11(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御のタイムチャートを示す。
図11に示す経時変化は時刻t11〜t14が図9の時刻t1〜t4にそれぞれ対応し、各時刻における各プーリ推力の変化は図9に示す実変速比1未満の領域でのアップシフトの場合と同じ変化を示すため説明は省略する。
従来技術にあっては、ベルトスリップを回避しつつ変速応答性を確保するため、プーリ推力に下限を設定し、低い推力を持つプーリのベルト回転半径を目標変速比に対応した回転半径となるよう推力を演算して目標変速比に対応する差推力を確保し、この推力が下限推力を下回った場合は下限推力に保持している。また、保持することで低い推力を持つプーリのベルト回転半径の時間変化率が減少して応答性が悪化することを回避するため、推力と下限推力の差分をとり、この差分を高い推力を持つプーリの推力指令値に加算して応答性を確保していた。
また、コントロールユニット100は、目標変速速度を得るために、差推力dFを演算し、実変速比ipを目標変速比ip*に追従させるために、フィードバック制御量Ufbを設定し、さらに、推力比RFの変化率を等しくするために補正値αを算出して、下式により、推力指令値Fpri,Fsecを算出することにより、変速制御時の各制御パラメータに役割分担させて制御の安定性を向上させることができる。
Fpri=Fp*+Uin,Uin==dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb)
なお、補正値αによりフィードバック制御量Ufb及び差推力dFの両方を補正した方が推力比RFの変化率を等しくするためには好ましいが、フィードバック制御量Ufbのみを補正しても一定の効果がある。
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
20 トルクコンバータ
30 前後進クラッチ
40 オイルポンプ
51 第1調圧弁
52 第2調圧弁
71 プライマリ調圧弁
72 セカンダリ調圧弁
100 コントロールユニット
101 車速センサ
102 プライマリ回転センサ
103 セカンダリ回転センサ
104 エンジン回転センサ
105 スロットル開度センサ
108 プライマリソレノイド
109 セカンダリソレノイド
106 油圧変換部
107 電流変換部
200 変速比制御部
201 目標変速比演算部
202 実変速比演算部
203 入力トルク演算部
204 滑り下限推力演算部
205 推力比演算部
206 基礎バランス推力演算部
207 差推力演算部
208 補正値演算部
209 変速フィードバック制御部(変速フィードバック量演算部)
210 滑り防止及び油圧最小推力配分演算部(以下、推力配分演算部)
310 プライマリプーリ
311 プライマリスライドプーリ
320 セカンダリプーリ
321 セカンダリスライドプーリ
Claims (6)
- 駆動側プーリと従動側プーリとをベルトで連結し、前記両プーリに与える油圧推力を調整することにより前記両プーリにおける前記ベルトの回転半径を変化させ、変速比を調整する車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置であって、
前記油圧推力に応じて前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの前記回転半径を変化させる油圧式アクチュエータと、
車両情報を検出する車両情報検出手段と、
前記車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに対する前記油圧推力を演算し、この演算値に基づいて前記油圧式アクチュエータを制御するコントロールユニットとを備え、
前記コントロールユニットは、
前記車両情報に基づいて目標変速比を演算し、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との比である推力比を演算し、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの回転に対して前記ベルトが滑らない油圧推力の下限値である駆動側滑り下限値及び従動側滑り下限値を演算し、
前記推力比が1未満の場合、前記駆動側滑り下限値を前記駆動側プーリの目標油圧推力である第1駆動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記駆動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記従動側プーリの目標油圧推力である第1従動側目標油圧推力を演算し、
前記推力比が1以上の場合、前記従動側滑り下限値を前記従動側プーリの目標油圧推力である第2従動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記従動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記駆動側プーリの目標油圧推力である第2駆動側目標油圧推力を演算し、
さらに、前記油圧推力比が1未満である場合、該目標変速比を維持するための前記従動側プーリの油圧推力である従動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第1従動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第1従動側目標油圧推力候補値が前記従動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第1従動側目標油圧推力候補値を前記第1従動側目標油圧推力とし、前記従動側すべり下限値が前記第1従動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値との差分である従動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値とこの従動側差分値との和を前記第1駆動側目標油圧推力とするともに、前記従動側すべり下限値を前記第1従動側目標油圧推力とし、
前記油圧推力比が1以上である場合、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリの油圧推力である駆動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第2駆動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第2駆動側目標油圧推力候補値が前記駆動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第2駆動側目標油圧推力候補値を前記第2駆動側目標油圧とし、前記駆動側すべり下限値が前記第2駆動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値との差分である駆動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値を前記第2駆動側目標油圧推力とするとともに、前記従動側すべり下限値とこの駆動側差分値との和を前記第2従動側目標油圧推力とする
ことを特徴とする、車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 - 前記車両情報検出手段は、エンジン回転センサ,駆動側回転センサ,従動側回転センサ,スロットル開度センサ,及び車速センサである
ことを特徴とする、請求項1記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 - 前記コントロールユニットは、
目標変速速度を得るために、前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との差である差推力を演算し、
実変速比を前記目標変速比に追従させるために、前記目標変速比から算出される前記従動側プーリの目標ストローク変位と前記実変速比から算出される前記従動側プーリの実ストローク変位との差分であるストローク差分値と、フィードバック制御ゲインとに基づいて、前記油圧推力にかかるフィードバック制御量を演算し、
前記の第1又は第2駆動側目標油圧推力及び第1又は第2従動側目標油圧推力を、前記差推力と前記フィードバック制御量とにより補正した油圧推力に基づいて、前記油圧式アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 - 前記コントロールユニットは、
前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値に基づいて、前記推力比の変化率を等しくするための補正値を算出し、該補正値により前記フィードバック制御量を補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項3記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 - 前記コントロールユニットは、
前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値に基づいて、前記推力比の変化率を等しくするための補正値を算出し、該補正値により前記差推力と前記フィードバック制御量とをそれぞれ補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御する
ことを特徴とする、請求項3記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。 - 前記推力比の変化率を等しくするための補正値は、前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値を、前記駆動側基礎バランス推力と前記駆動側基礎バランス推力とが一致する油圧推力から各プーリのストローク変位が中立となる変速比が1のすべり下限値間での油圧推力を用いて無次元化される
ことを特徴とする、請求項4又は5記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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