JP4729387B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両にそなえられベルトをプーリに押し付けてトルク伝達を行う車両用ベルト式無段変速機(CVT)の油圧制御装置に関する。
近年、燃費低減効果が高い無段変速機を搭載した車両が増加しているが、ベルト式無段変速機では、プライマリプーリ及びセカンダリプーリにベルトを巻回し、両プーリにベルトを押し付け、この押し付け力によって生じる摩擦力を用いることで、ベルトと各プーリ間の動力伝達を行っている。このときプーリとベルト間の摩擦力がベルト駆動力よりも小さいと、ベルトスリップが発生して無段変速機の耐久性を低下させるおそれがある。そのためプーリとベルト間の摩擦力がベルト駆動力を下回ることがないよう、プーリの押し付け力、即ち、プーリ推力(油圧推力、又は、単に、推力ともいう)を与える油圧の下限値を設定している。
しかし、変速時(変速比の制御時)において、いずれか一方のプーリへの油圧を減少させる場合、下限値を設定していると油圧の下降を十分に実現できず、応答性悪化のおそれがある。そのため他方のプーリへの油圧を増加させて応答性を確保しているが、他方のプーリへの油圧の増大に伴ってエンジン負荷が増加し、燃費の悪化を招いてしまう。
そこで、従来技術にあっては、プーリへの油圧に下限値(下限ガード)を設定し、供給油圧の低い低圧側プーリへの油圧をこの下限値を下回らないようにすると共に、低圧側プーリへの油圧指令値がこの下限値以下となるときには、この下限値と低圧側プーリへの油圧指示値との差に基づいて他方の高圧側プーリへの油圧指令値を大きい側に補正することにより、ベルトスリップを回避しつつ変速応答性を確保している(例えば、特許文献1参照)。
なお、かかる従来技術における低圧側プーリ,高圧側プーリとは、予め油圧回路の構造から決まるもので、一般には、プライマリプーリに供給するプライマリ油圧がセカンダリプーリに供給するセカンダリ油圧を利用していることから、プライマリ油圧はセカンダリ油圧を超えることはないため、プライマリプーリが上記低圧側プーリに、セカンダリプーリが上記高圧側プーリに相当する。この場合、プライマリ油圧を下限値でガードすると共に、プライマリ油圧指令値が下限値以下となるときには、下限値とプライマリ油圧指示値との差に基づいてセカンダリ油圧指令値を大きい側に補正することになる。
特開2001−173770号公報
しかしながら、上記の従来技術にあっては、変速比の制御時に、油圧に着目して、下限ガードによりベルトスリップを回避しつつ変速応答性を確保するようにしているが、変速条件によっては、必要最小限の油圧供給とはならず、燃費向上の余地がまだ残されている。
つまり、上記の従来技術では、例えば、プライマリプーリのプーリ推力がセカンダリプーリのプーリ推力よりも小さい領域でアップシフトを行う場合、高い推力を保持するセカンダリプーリの推力指令値は高いままとされ、さらに低い推力を保持するプライマリプーリの推力指令値を増加させることで対応しており、全体として高い油圧が必要となり、燃費向上の余地が残される(図8参照)。
また、プライマリプーリのプーリ推力がセカンダリプーリのプーリ推力よりも大きい領域でダウンシフトを行う場合にも、高い推力を保持するプライマリプーリの推力指令値は高いままとされ、さらに低い推力を保持するセカンダリプーリの推力指令値を増加させるため、上記と同様の課題がある(図10参照)。
また、従来技術にあっては、変速比の制御時に、プーリのストロークエラーe(目標ストロークx*に対する実ストロークxの差;e=x*−x)に対する着目はされていても、ストロークエラーeに対するプーリ制御入力としては、推力比RF(プライマリプーリ推力Fpriとセカンダリプーリ推力Fsecとの比;RF=Fpri/Fsec)の変化までの制御補正はなされていなかった。このため、プーリ推力が高いLOW側の変速比領域では、フィードバック制御入力が相対的に小さくなり、プーリ推力が低いHIGH側の変速比領域では、フィードバック制御入力が相対的に大きくなり、アンバランスを招いていた。
さらに、変速時には、変速速度、即ち各プーリのストローク速度を差推力に応じたものにしたいが、従来技術には、ストローク速度と差推力とを適切な関係とするロジックはなく、課題となっている。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、両プーリの推力比に着目しながら、応答性と燃費改善性をともに向上させることができるようにした、車両用無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
上記目標を達成するため、本発明の車両用無段変速機の油圧制御装置は、駆動側プーリと従動側プーリとをベルトで連結し、前記両プーリに与える油圧推力を調整することにより前記両プーリにおける前記ベルトの回転半径を変化させ、変速比を調整する車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置であって、前記油圧推力に応じて前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの前記回転半径を変化させる油圧式アクチュエータと、車両情報を検出する車両情報検出手段と、前記車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに対する前記油圧推力を演算し、この演算値に基づいて前記油圧式アクチュエータを制御するコントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットは、前記車両情報に基づいて目標変速比を演算し、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との比である推力比を演算し、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの回転に対して前記ベルトが滑らない油圧推力の下限値である駆動側滑り下限値及び従動側滑り下限値を演算し、前記推力比が1未満の場合、前記駆動側滑り下限値を前記駆動側プーリの目標油圧推力である第1駆動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記駆動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記従動側プーリの目標油圧推力である第1従動側目標油圧推力を演算し、前記推力比が1以上の場合、前記従動側滑り下限値を前記従動側プーリの目標油圧推力である第2従動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記従動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記駆動側プーリの目標油圧推力である第2駆動側目標油圧推力を演算し、さらに、前記油圧推力比が1未満である場合、該目標変速比を維持するための前記従動側プーリの油圧推力である従動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第1従動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第1従動側目標油圧推力候補値が前記従動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第1従動側目標油圧推力候補値を前記第1従動側目標油圧推力とし、前記従動側すべり下限値が前記第1従動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値との差分である従動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値とこの従動側差分値との和を前記第1駆動側目標油圧推力とするともに、前記従動側すべり下限値を前記第1従動側目標油圧推力とし、前記油圧推力比が1以上である場合、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリの油圧推力である駆動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第2駆動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第2駆動側目標油圧推力候補値が前記駆動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第2駆動側目標油圧推力候補値を前記第2駆動側目標油圧とし、前記駆動側すべり下限値が前記第2駆動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値との差分である駆動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値を前記第2駆動側目標油圧推力とするとともに、前記従動側すべり下限値とこの駆動側差分値との和を前記第2従動側目標油圧推力とすることを特徴としている(請求項1)。
前記車両情報検出手段は、エンジン回転センサ,駆動側回転センサ,従動側回転センサ,スロットル開度センサ,及び車センサであることが好ましい(請求項)。
また、前記コントロールユニットは、目標変速速度を得るために、前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との差である差推力を演算し、実変速比を前記目標変速比に追従させるために、前記目標変速比から算出される前記従動側プーリの目標ストローク変位と前記実変速比から算出される前記従動側プーリの実ストローク変位との差分であるストローク差分値と、フィードバック制御ゲインとに基づいて、前記油圧推力にかかるフィードバック制御量を演算し、前記の第1又は第2駆動側目標油圧推力及び第1又は第2従動側目標油圧推力を、前記差推力と前記フィードバック制御量とにより補正した油圧推力に基づいて、前記油圧式アクチュエータを制御することが好ましい(請求項)。
さらに、前記コントロールユニットは、前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値に基づいて、前記推力比の変化率を等しくするための補正値を算出し、該補正値により前記フィードバック制御量を補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御するか、或いは、該補正値により前記差推力と前記フィードバック制御量とをそれぞれ補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御することが好ましい(請求項4,5)。
この場合、前記推力比の変化率を等しくするための補正値は、前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値を、前記駆動側基礎バランス推力と前記駆動側基礎バランス推力とが一致する油圧推力から各プーリのストローク変位が中立となる変速比が1のすべり下限値間での油圧推力を用いて無次元化されることが好ましい(請求項)。
本発明(請求項1)の車両用無段変速機の油圧制御装置によれば、作動油圧を下げながらベルトの滑りを防止することができ、応答性と燃費改善性をともに向上させることができるようになる。
本発明(請求項)の車両用無段変速機の油圧制御装置によれば、変速速度を高めることができ、変速制御の良好な応答性を確保することができる。
本発明(請求項3〜6)の車両用無段変速機の油圧制御装置によれば、変速制御時の各制御パラメータに役割分担させて制御の安定性を向上させることができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[実施形態]
図1〜図11は、本発明の一実施形態を説明するもので、図1,図2はその構成を説明する図、図3〜図5はその制御内容を説明する各種相関図、図6,図7はその制御内容を説明するフローチャート、図8〜図11はその効果を説明する図である。
[CVT油圧制御装置搭載車両のシステム構成]
図1は、CVT油圧制御装置(車両用無段変速機の油圧制御装置)を搭載した車両(自動車)のシステム構成図である。エンジン10の動力はトルクコンバータ20及び前後進クラッチ30を介してCVT300に伝達される。CVT300は駆動側のプライマリプーリ310及び従動側のセカンダリプーリ320からなり、両者の間に介在されたベルト330により動力伝達を行う。
かかるCVT300ではこれらの駆動側及び従動側双方のプーリ310,320にかかる油圧を独立して制御することで変速が行われ、プライマリプーリ(駆動側プーリ)310及びセカンダリプーリ(従動側プーリ)320はそれぞれプライマリスライドプーリ311及びセカンダリスライドプーリ321を備えている。このプライマリスライドプーリ311及びセカンダリスライドプーリ321を油圧によりスライドさせることで、プライマリプーリ310及びセカンダリプーリ320におけるベルト回転半径を独立に変化させて変速を行う。
オイルポンプ40は、第1調圧弁51を介してプライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72に油を供給し、第2調圧弁52を介してプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109に油を供給する油圧源である。また、プライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109はCVTコントロールユニット100により制御されるソレノイドバルブであり、それぞれプライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72と接続して信号圧を送ることで制御を行う。
[CVTプーリの油圧制御]
オイルポンプ40により発生した油圧は第1調圧弁51によりライン圧に調整され、プライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72に供給される。また、第2調圧弁52によりパイロット圧とされてプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109に供給される。CVTコントロールユニット100はプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109を制御し、供給されたパイロット圧を所望の信号圧に調整してプライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72に供給する。
プライマリ調圧弁71及びセカンダリ調圧弁72は、供給された信号圧に基づいてライン圧を調圧し、それぞれプライマリスライドプーリ311及びセカンダリスライドプーリ321に油圧を供給してスライドさせる。以上示されるように、CVTコントロールユニット100によってプライマリソレノイド108及びセカンダリソレノイド109を制御することで、CVT300の変速を達成する。
[CVTコントロールユニットの制御構成]
図2は、CVTコントロールユニット100の制御ブロック図である。CVTコントロールユニット100は、変速比制御部200,油圧変換部106,電流変換部107を有しており、さらに、変速比制御部200は、目標変速比演算部201,実変速比演算部202,入力トルク演算部203,滑り下限推力演算部204,推力比演算部205,基礎バランス推力演算部206,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部(変速フィードバック量演算部)209,滑り防止及び油圧最小推力配分演算部(以下、推力配分演算部)210を有している。
また、本ベルト式無段変速機の油圧制御装置を搭載した車両には、車速センサ101,プライマリプーリ310の回転数を検出するプライマリ回転センサ102,セカンダリプーリ320の回転数を検出するセカンダリ回転センサ103,エンジン回転センサ104,スロットル開度センサ105が設けられ、これらの各センサは検出値をCVTコントロールユニット100の変速比制御部200へ出力する。
目標変速比演算部201は車速センサ101から入力された車速VSP,プライマリ回転センサ102から入力されたプライマリプーリ回転数Npri及びスロットル開度センサ105から入力されたスロットル開度TV0に基づき目標変速比ip*を演算し、差推力演算部207,変速フィードバック制御部209へ出力する。
実変速比演算部202は、プライマリ及びセカンダリ回転センサ210,220から入力されたプライマリプーリ回転数Npri及びセカンダリプーリ回転数Nsecに基づき実変速比ipを演算し、滑り下限推力演算部204,推力比演算部205,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部209へ出力する。
入力トルク演算部203は、エンジン回転センサ104,プライマリ回転センサ102,スロットル開度センサ105からエンジン回転数Ne,プライマリプーリ回転数Npri,スロットル開度TV0の入力を受け、プライマリプーリ回転数NPri及びエンジン回転数Neに基づき速度比VSを演算し、スロットル開度TV0及びエンジン回転数Neに基づきエンジントルクTeを演算する。この速度比VS,エンジン回転数Ne及びエンジントルクTeよりプライマリプーリ310への入力トルクTinを算出し、滑り下限推力演算部204,推力比演算部205に出力する。
滑り下限推力演算部204は、実変速比演算部202,入力トルク演算部203から入力された実変速比ip及び入力トルクTinに基づきプライマリプーリ310及びセカンダリプーリ320における滑り下限推力Flp,Flsを演算し、基礎バランス推力演算部206,補正値演算部208へ出力する。
ここで、滑り下限推力Flp,Flsとは、ベルトスリップが発生せずに各プーリとベルトのトルク伝達が可能な各プーリの推力である。具体的には、プライマリプーリ310における伝達トルク及びベルト回転半径をTpri,Rpri、プーリの狭角をθ、プーリとベルトとの動摩擦係数をμとすれば、プライマリプーリ310の伝達トルクTpriは、
Tpri=Rpri×2μ×Fpri/cosθ
即ち、
Fpri=Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
であり、プライマリプーリ310においてベルトスリップが発生しない条件は、
プーリとベルト間の摩擦力≧伝達トルク
であるから、安全率をεpriとすれば、プライマリプーリ310における滑り下限推力Flpは、
Flp=εpri×Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
一方、セカンダリプーリ320における滑り下限推力Flsについても、プライマリプーリ310と同様に求められ、
Fls=εsec×Tsec×cosθ/(2μ×Rsec)
ここで、プライマリプーリ310とセカンダリプーリ320におけるベルト張力Tは同一であるため、
T=Tpri/Rpri=Tsec/Rsec
したがって、
Tsec=Tpri×Rsec/Rpri
よって
Fls=εsec×(Tpri×Rsec/Rpri)×cosθ/(2μ×Rsec)
=εsec×Tpri×cosθ/(2μ×Rpri)
=(εsec/εpri)Flp
プライマリ側とセカンダリ側の安全率を同一値とすれば
Flp=Fls=F
となり、プライマリプーリ310の滑り下限推力Flpとセカンダリプーリ320の滑り下限推力Flsとは同一値Fとなる。
推力比演算部205では、実変速比演算部202から入力された実変速比ipと入力トルク演算部203から入力された入力トルクTinとに基づいて、所定の変速比を維持できる推力比RF(=Fp/Fs,Fp:プライマリ推力,Fs:セカンダリ推力)を演算し、演算部206,推力配分演算部210に出力する。
基礎バランス推力演算部206は、滑り下限推力演算部204から入力された滑り下限推力Flp,Flsと、推力比演算部205から入力された推力比RFとに基づいて、プライマリプーリ310及びセカンダリプーリ320の基礎バランス推力Fp*,Fs*を演算し、推力配分演算部210に出力する。
この基礎バランス推力Fp*,Fs*の演算について説明する。推力Fは、図3(a)に示すように、変速比ipが高いほど(ロー側ほど)高くなり、入力トルクTinが高いほど高くなる傾向にあり、ある入力トルクTinに対して滑り下限推力Flimの特性線(図3(a)中の太線参照)を設定することができる。また、推力比RFは、図3(b)に示すように、変速比ipが高いほど(ロー側ほど)低くなり、伝達トルクが高いほど高くなる傾向にあり、伝達トルクが0の場合(無負荷時)には、変速比=1において推力比=1となるが、伝達トルクが正となるドライブ走行時には、変速比>1において推力比=1となり、伝達トルクが負となる下り坂走行時やコースト走行時には、変速比<1において推力比=1となる。
基礎バランス推力は、推力比RFがRF<1の領域では、プライマリプーリの基礎バランス推力Fp*は滑り下限推力Flimの値に設定し、セカンダリプーリの基礎バランス推力Fs*はプライマリプーリの基礎バランス推力Fp*、即ち、滑り下限推力Flimよりも推力比の逆数(1/RF)相当だけ高い推力の値に設定する。推力比>1の領域では、セカンダリプーリの基礎バランス推力Fs*は滑り下限推力Flimの値に設定し、プライマリプーリの基礎バランス推力Fp*はセカンダリプーリの基礎バランス推力Fs*、即ち、滑り下限推力Flimよりも推力比RF相当高い推力の値に設定する。
このような基礎バランス推力を変速比ipに対応して示せば、図3(c)に示すように、伝達トルクが負となるクリープ走行時やコースト走行時には、変速比<1の推力比=1を中心に、推力比<1と推力比>1と領域が区分され、基礎バランス推力Fp*1,Fs*1が決まり、伝達トルクが0の場合(無負荷時)には、変速比=1の推力比=1を中心に、推力比<1と推力比>1と領域が区分され、基礎バランス推力Fp*2,Fs*2が決まり、伝達トルクが正となるドライブ走行時には、変速比>1の推力比=1を中心に、推力比<1と推力比>1と領域が区分され、基礎バランス推力Fp*3,Fs*3が決まる。
このように、無負荷時には、図4(a)に示すように、変速比=1において推力比=1となり、変速比=1を境に、基礎バランス推力Fp*,Fs*を設定することができるが、有負荷時には、図4(b)に示すように変速比>1において、推力比=1となるか、或いは、変速比<1において推力比=1となるので、基礎バランス推力Fp*,Fs*を算出するには、推力比RFに着目することが重要である。
そして、図5に示すように、推力比=1を境に、これよりも変速比の大きい領域である推力比<1の領域では、プライマリプーリの基礎バランス推力Fp*は滑り下限推力Flimとして、要求される推力比に応じてセカンダリプーリの基礎バランス推力Fs*を設定するセカンダリ制御領域とし、推力比=1よりも変速比の小さい領域である推力比>1の領域では、セカンダリプーリの基礎バランス推力Fs*は滑り下限推力Flimとして、要求される推力比に応じてプライマリプーリの基礎バランス推力Fp*を設定するプライマリ制御領域とする。
差推力演算部207は、差推力と変速速度(又はストローク速度)との関係から、目標変速比に到達するまでの目標変速速度を得るための差推力dFを演算する。この差推力dFは、目標変速比ip*と実変速比ipとの差分から差推力dFを演算する。
補正値演算部208は、走行条件VSPと変速比とに適した変速制御入力の補正値αを演算する。この補正値αは、推力比の変化率を等しくするためのもので、下式から算出する。
α=Flim/Fo
ただし、Flim:各ip毎の滑り下限推力,Fo:αを無次元化する変数(変速比ip=1〜推力比RF=1の滑り下限推力)
変速フィードバック制御部209は、実変速比が目標変速に確実に追従するようにフィードバック制御量Ufbを設定する。このフィードバック制御量Ufbは、次式から求める。
Ufb=KP・e+KI∫edt+KD・de/dt
e=xSA−xSR
ただし、e:ストロークエラー,xSA:目標セカンダリストローク,xSR:実セカンダリストローク,KP:比例ゲイン,KI:積分ゲイン,KD:微分ゲイン
推力配分演算部210は、基礎バランス推力演算部206,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部209からそれぞれ入力された基礎バランス推力Fp*,Fs*,差推力dF,補正値α,フィードバック制御量Ufbに基づいて、プライマリ推力指令値Fpri,セカンダリ推力指令値Fsecを演算し、油圧変換部106へ出力する。
つまり、推力配分演算部210は、推力比が1以下か否かを判断し、推力比が1以下なら、プライマリ推力指令値Fpriをプライマリ推力下限値Flpとし(Fpri=Fp*=Flp)、セカンダリ推力指令値Fsecを基礎バランス推力Fs*に差推力dFとF/B制御量を加えたものとする(Fsec=Fs*+Uin,ただし、Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb))。
さらに、推力比が1以下のもとに、セカンダリ推力がセカンダリ滑り下限値Flsよりも小さいかを判断し、セカンダリ推力がセカンダリ滑り下限値Flsよりも小さいなら、セカンダリ推力Fsecと滑り下限値Flsとの差を計算し(ΔFs=Fls−Fsec)、プライマリ推力をFlp+ΔFsに変更し(Fpri=F1p+ΔFs)、セカンダリ推力をFlsに変更する(Fsec=Fls)。
一方、推力比が1よりも大きければ、プライマリ側に差推力とF/B制御量を加えたものをプライマリ推力指令値Fpri(Fpri=Fp*+Uin)とし、セカンダリ推力指令値Fsecをセカンダリ推力下限値Flsとする(Fsec=Fs*=Fls,ただし、Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb))。
また、推力比が1よりも大のもとに、プライマリ推力がプライマリ滑り下限値F1pよりも小さいかを判断し、プライマリ推力がプライマリ滑り下限値F1pよりも小さいなら、プライマリ推力Fpriと滑り下限値Flpとの差を計算し(ΔFp=F1p−Fpri)、プライマリ推力をプライマリ推力下限値Flpに変更しFpri=Flp)、セカンダリ推力をFlp+ΔFsに変更する(Fsec=Fls+ΔFp)。
油圧変換部106は入力された推力指令値Fpri及びFsecを油圧指令値Ppri及びPsecに換算する。プライマリプーリ310及びセカンダリプーリ320においては遠心力による油圧変化量、プーリ保持スプリング力,及び受圧面積がそれぞれ異なることを考慮して推力指令値Fpri及びFsecの補正を行い、油圧指令値Ppri及びPsecに換算して電流変換部107へ出力する。
電流変換部107は入力された油圧指令値Ppri及びPsecを各ソレノイドの制御用電流に変換し、電流値を出力する。
[プーリ推力演算制御処理]
図6は、CVTコントロールユニット100において実行されるプーリ推力演算制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS1では、車速センサ101,プライマリ回転センサ102,セカンダリ回転センサ103,エンジン回転センサ104,スロットル開度センサ105の各センサの検出値を読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、目標変速比演算部201,実変速比演算部202,入力トルク演算部203において、実変速比ip、目標変速比ip*,入力トルクTinが演算され、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、滑り下限推力演算部204において、実変速比とプライマリ入力トルクとからベルトが滑らない滑り下限推力Flp,Flsが演算され、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、推力比演算部205において、走行条件と入力トルクとから所定の変速比を維持できる推力比RFを演算し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、基礎バランス推力演算部206において、ステップS2において演算された実変速比ip,目標変速比ip*及び入力トルクTinに基づいて基礎バランス推力Fp*及びFs*を演算し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、差推力演算部207において、ステップS2で演算された目標変速比ip*及び実変速比ipに基づいてプライマリプーリ310とセカンダリプーリ320とのバランス推力に加算される目標変速速度を得るための差推力dF(Fp*−Fs*)を演算し、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、補正値演算部208において、走行条件と変速比に適した変速比F/B制御の補正値αを演算し、ステップS8へ移行する。
ステップS8では、変速フィードバック制御部209において、実変速比が目標変速に確実に追従するように、変速フィードバック制御Ufbを演算し、ステップS9へ移行する。
ステップS9〜ステップS17では、推力配分演算部210において、基礎バランス推力演算部206,差推力演算部207,補正値演算部208,変速フィードバック制御部209からそれぞれ入力された基礎バランス推力Fp*,Fs*,差推力dF,補正値α,フィードバック制御量Ufbに基づいて、プライマリ推力指令値Fpri,セカンダリ推力指令値Fsecを演算する。
つまり、ステップS9は、推力比が1以下か否かを判断する。
ステップS9で推力比が1以下と判断されると、ステップS10に移行し、スプライマリ推力をプライマリ推力下限値(Flp)とし(Fpri=Fp*=Flp)、セカンダリ側に差推力とF/B制御量を加えて(Fsec=Fs*+Uin,Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb))、ステップS11に移行する。
ステップS11は、セカンダリ推力がステップS3で求めたセカンダリ滑り下限値Flsよりも小さいかを判断する。
ステップS12で、セカンダリ推力がセカンダリ滑り下限値Flsよりも小さいと判断されると、ステップS12に移行し、セカンダリ推力Fsecが滑り下限値Flsをどのくらい下回ったかを計算し(ΔFs=Fls−Fsec)、ステップS13に移行する。
ステップS13では、新たなプライマリ推力をFlp+ΔFsとし(Fpri=F1p+ΔFs)、新たなセカンダリ推力をFlbとする(Fsec=Fls)。
一方、ステップS9で推力比が1よりも大と判断されると、ステップS14に移行し、ステップS14では、プライマリ側に差推力とF/B制御量を加え(Fpri=Fp*+Uin,Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb))、セカンダリ推力をセカンダリ推力下限値(Fls)とし(Fsec=Fs*=F1s) 、ステップS15に移行する。
ステップS15では、プライマリ推力がステップS3で求めたプライマリ滑り下限値F1pよりも小さいかを判断する。
ステップS15で、プライマリ推力がプライマリ滑り下限値F1pよりも小さいと判断されると、ステップS16に移行し、ステップS16では、プライマリ推力Fpriが滑り下限値Flpをどのくらい下回ったかを計算し(ΔFp=F1p−Fpri) 、ステップS17に移行する。
ステップS17では、新たなプライマリ推力をプライマリ推力下限値(Flp)とし(Fpri=Flp)、新たなセカンダリ推力をFls+ΔFpとする(Fsec=Fls+ΔFp)。
[油圧換算制御処理]
図7は、図6に示すステップS13又はS17以降の処理としてCVTコントロールユニット100の油圧変換部106で実行される油圧換算制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS21では、各プーリの回転に伴って発生する遠心力による油圧変化量、各プーリを保持するスプリング力、及び受圧面積の各条件から各プーリに対する目標油圧指令値P*pri及びP*secを演算し、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、各条件から各プーリにおける最小油圧指令値Ppri_min及びPsec_minを演算し、ステップS23へ移行する。
ステップS23では、演算された目標油圧指令値P*priまたはP*secが最小油圧指令値Ppri_minまたはPsec_minを下回るかどうかが判断され、YESであればステップS24へ移行し、NOであれば制御を終了する。
ステップS24では、最小油圧指令値Ppri_min,Psec_minと目標油圧指令値P*pri,P*secの差分Ppri_min−P*pri,Psec_min−P*secを演算し、プライマリ側差分Ppri_min−P*pri=a(pri)とし、セカンダリ側差分Psec_min−P*sec=a(sec)としてステップS25へ移行する。
ステップS25では、プライマリプーリ310とセカンダリプーリ320の受圧面積の違いを考慮して演算されたa(pri),a(sec)の値を補正し、それぞれa(Pri)´,a(sec)´としてステップS26へ移行する。
ステップS26では、油圧最小限を下回っていない方のプーリに対する油圧指令値にステップS25で演算された補正量a(Pri)´もしくはa(sec)´を加算し、制御を終了する。
[従来技術と本実施形態の対比]
[1−1:推力比1未満の領域における変速比−推力相関図の対比]
図8は、推力比1未満の領域(推力比1よりも変速比が大きいロー側である領域)における従来技術と本実施形態における変速比−推力相関図の対比を示す図である。図8(a)に従来技術の変速比−推力相関図を、図8(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御の変速比−推力相関図を示す。
従来技術では、ベルトスリップ回避のためプーリ推力に下限を設定し、変速時には低推力側プーリの推力を増減させて目標変速比に対応する差推力を確保する制御を行う。低出力側の推力指令値がすべり下限推力を下回った場合は下限推力に保持する。また、保持することで低い推力を持つプーリのベルト回転半径の時間変化率が減少して応答性が悪化することを回避するため、低出力側の推力指令値と下限推力の差分をとり、この差分を高い推力を持つプーリの推力指令値に加算して応答性を確保する。
一方、本実施形態では、低推力側プーリの推力は滑り限界推力に保持し、高推力側プーリの推力を増減させて目標変速比に対応する差推力を確保する制御を行う。高推力側の推力指令値が下限推力を下回った場合は、高推力側の推力指令値をすべり下限推力に保持する。また、応答性確保のため高推力側の推力指令値と下限推力の差分をとり、この差分を低推力側プーリの推力指令値に加算する。
(推力比1未満の領域におけるダウンシフト)
変速比をβ1からβ2に増加させてダウンシフトを行う場合、プライマリプーリのベルト回転半径を縮径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を拡径する必要がある。この場合、従来技術にあっては低推力側であるプライマリプーリのベルト回転半径を縮径するためプライマリ推力を減少させて変速を達成しようとするが、目標変速比β2に対応するプライマリ推力がすべり下限値を下回るため、目標プライマリ推力とすべり下限値の差分Bを演算し、この差分Bを高推力側であるセカンダリ推力に加算する。同様に、本実施形態では低推力側であるプライマリ推力が滑り下限推力に保持されているため、セカンダリプーリ320のベルト回転半径を拡径すべく、セカンダリ推力F*secを増加させる。
したがって、推力比1未満の領域内のダウンシフトにおいては、従来技術及び本実施形態ともにプライマリ推力を滑り下限推力に保持し、セカンダリ推力を増加させることにより目標変速比に対応する差推力を確保し、ダウンシフトを行う。そのため両者ともに油圧が増加する。
(推力比1未満の領域におけるアップシフト)
変速比をβ1からβ3に減少させてアップシフトを行う場合は、プライマリプーリのベルト回転半径を拡径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を縮径する必要がある。この場合、従来技術にあっては低推力側であるプライマリプーリのベルト回転半径を拡径してアップシフトを達成するため、プライマリ推力を増加させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成する。このとき高推力側であるセカンダリ推力は高推力のまま推移するため、プライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持し、全体として油圧負荷は高い状態にある。
本実施形態では、高推力側であるセカンダリプーリ320におけるベルト回転半径を縮径してアップシフトを達成するため、セカンダリ推力F*secを減少させて目標変速比に対応する差推力を確保する。このとき目標セカンダリ推力F*secの値がプーリ推力の滑り下限値を下回った場合、セカンダリ推力指令値Fsecを滑り下限値に保持するとともに、滑り限界値と目標セカンダリ推力F*secの差分値ΔFsを演算し、この差分値ΔFsをプライマリ推力指令値Fpriに加算する。
したがって、変速比1以上領域内のアップシフトにおいては、従来技術にあってはプライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持するため油圧負荷が高くなるが、本実施形態においては高推力のセカンダリ推力指令値Fsecを下げることで油圧負荷を低減している。また、目標セカンダリ推力F*secの値がプーリ推力の滑り下限値を下回った場合、セカンダリ推力指令値Fsecを滑り下限値に保持するとともに、滑り下限値と目標セカンダリ推力F*secの差分値ΔFsを演算し、この差分値ΔFsをプライマリ推力指令値Fpriに加算することで、応答性を確保している。
[1−2:推力比1未満の領域における経時変化の対比]
図9は、推力比RFが1未満の領域でアップシフトを行う場合における従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートである。図9(a)に従来技術のタイムチャートを、図9(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御のタイムチャートを示す。
(時刻t1)
時刻t1においてアップシフト変速制御が開始される。従来技術では低推力側のプーリ推力を増大させて目標変速比に対応する差推力を確保するためプライマリ側推力指令値の制御を行うが、本実施形態では高推力側プーリの推力指令値を減少させて目標変速比に対応する差推力を確保する。したがって、従来技術においては、各プーリのベルト回転半径を目標変速比ip*に対応した回転半径とすべく、プライマリ推力指令値Fpriが急上昇し、セカンダリ推力指令値Fsecは徐々に低下する。
これに対し本実施形態では高い油圧をかけられているセカンダリプーリ320の推力指令値Fsecを制御して目標変速比ip*に到達させるため、プライマリプーリ310の推力指令値Fpriを滑り下限推力Flpに保持しつつ、セカンダリプーリ320の推力指令値Fsecの値を低下させてアップシフトを行う。
このとき、目標変速比ip*に対応すべくセカンダリプーリ320の推力指令値Fsecは急激に低下し、これに伴ってプライマリプーリ310とセカンダリプーリ320との推力の差は急減する。Fsecは滑り下限推力Flsを下回ってさらに低下しようとするが、変速制御部160によりFsecは滑り下限推力Flsを下限とされており、滑り下限推力Flsに到達して減少を停止する。
(時刻t1〜t2)
時刻t1〜t2では、従来技術におけるセカンダリ推力は減少を継続し、プライマリ推力については、制御量は同一値で推移するものの推力は若干減少する。
一方、本実施形態では、セカンダリプーリ320の推力指令値Fsecが滑り下限推力Flsに到達して減少を停止したことで、セカンダリプーリ320のベルト回転半径の時間変化率が低下し、プライマリ推力指令値Fpriを滑り下限推力Flpに保持したままでは応答性が悪化する。
そのため滑り下限推力Flsとセカンダリ推力指令値Fsecの差分ΔFsをプライマリ推力指令値Fpriに加算する。ΔFsの加算により、Fpriの値は上昇を開始し、時刻t1〜t2にわたって上昇を継続する。また、セカンダリ推力指令値Fsecは滑り限界推力に保持されてそのまま推移する。セカンダリ推力指令値Fsecとプライマリ推力指令値Fpriの差推力もt1と同一の値で推移する。
(時刻t2)
時刻t2では、従来技術においてプライマリ推力が急減少を開始し、それに伴ってプライマリプーリヘの制御量も減少を開始する。本実施形態においては、セカンダリ推力指令値Fsecが滑り下限推力に達しても停止しなかったと仮定した場合、時刻t2においてFsecは推力指令値Fsecに到達し、増加を開始する。したがって、滑り下限推力とセカンダリ推力指令値Fsecの差分ΔFsは減少を開始し、ΔFsが加算されたプライマリ推力Fpriも減少を開始する。Fpriの減少に伴い、差推力も減少を開始する。
(時刻t3)
時刻t3において滑り下限推力Flsとセカンダリ推力指令値Fsecの差分ΔFsの値が0となる。そのため図6のフローチャートにおけるステップS13又はS17から図7のフローチャートにおけるステップS20へ移行する制御の流れとなり、プライマリ推力指令値Fpriは滑り限界推力の値に保持され、セカンダリ推力指令値Fsecは目標変速比ip*に対応したベルト回転半径となるよう制御され、上昇を開始する。
(時刻t4)
時刻t4において、従来技術及び本実施形態のベルト回転半径がともに目標変速比ip*に対応する値に達し、各プーリ推力が一定値となる。これに伴い従来技術ではプライマリプーリの制御量が一定値となり、本実施形態では差推力が0となる。
[2−1:推力比1以上の領域における変速比に対する推力の相関図の対比]
図10は、推力比1以上の領域(推力比1よりも変速比が小さいハイ側である領域)における従来技術と本実施形態における変速比−推力相関図の対比を示す図である。図10(a)に従来技術の変速比に対する推力の相関図を、図10(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ準力制御の変速比−推力相関図を示す。
推力比1未満の領域と同様、従来技術では、低推力側プーリの推力を増減させて目標変速比に対応する差推力を確保し、目標変速比に到達させる制御を行う。低推力側の推力指令値がすべり下限推力を下回った場合は下限推力に保持し、応答性悪化を回避するため低推力側の推力指令値と下限推力の差分を高い推力を持つプーリの推力指令値に加算して応答性を確保する。
本実施形態においても推力比1未満の領域と同様、低推力側プーリの推力は滑り下限推力に保持し、高推力側プーリの推力を増減させて目標変速比に対応する差推力を確保し、目標変速比に到達させる制御を行う。高推力側の推力指令値が下限推力を下回った場合は、高推力側の推力指令値を滑り下限推力に保持し、応答性確保のため高推力側の推力指令値と下限推力の差分を低推力側プーリの推力指令値に加算する。
(推力比1以上の領域におけるダウンシフト)
変速比をβ1´からβ2´に増加させてダウンシフトを行う場合、プライマリプーリのベルト回転半径を縮径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を拡径する必要がある。
推力比1以上の領域と同様、従来技術にあっては低推力側であるセカンダリプーリのベルト回転半径を拡径してダウンシフトを達成するため、セカンダリ推力を増加させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成する。このとき高推力側であるプライマリ推力は高推力のまま推移するため、プライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持し、全体として油圧負荷は高い状態にある。
本実施形態では、高推力側であるプライマリプーリ310におけるベルト回転半径を縮径してダウンシフトを達成するため、プライマリ推力F*priを減少させて目標変速比に対応する差推力を確保する。このとき目標プライマリ推力F*priの値がプーリ推力の滑り下限値を下回った場合、プライマリ推力指令値Fpriを滑り下限値に保持するとともに、滑り限界値と目標プライマリ推力F*Priの差分値ΔFpを演算し、この差分値ΔFpをセカンダリ推力指令値Fsecに加算する。
したがって、推力比1以上の領域内のダウンシフトにおいて、従来技術にあってはプライマリ推力及びセカンダリ推力ともに高い推力を保持するため油圧負荷が高くなるが、本実施形態においては高推力のプライマリ推力指令値Fpriを下げることで油圧負荷を低減している。また、目標プライマリ推力F*priの値がプーリ推力の滑り限界値を下回った場合、プライマリ推力指令値Fpriを滑り限界値に保持するとともに、滑り下限値と目標プライマリ推力F*priの差分値ΔFpを演算し、この差分値ΔFpをセカンダリ推力指令値Fsecに加算することで、応答性を確保している。
(推力比1以上の領域におけるアップシフト)
変速比をβ1´からβ3´に減少させてアップシフトを行う場合は、プライマリプーリのベルト回転半径を拡径し、セカンダリプーリのベルト回転半径を縮径する必要がある。
推力比1未満の領域と同様、従来技術にあっては低推力側であるセカンダリプーリのベルト回転半径を縮径するためセカンダリ推力を減少させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を達成しようとするが、目標変速比β3に対応するセカンダリ推力がすべり下限値を下回るため、目標セカンダリ推力とすべり下限値の差分Bを演算し、この差分Bを高推力側推力であるプライマリ推力に加算する。
本実施形態では、低推力側プーリ推力であるセカンダリ推力が滑り下限推力に保持されているため、プライマリプーリ310のベルト回転半径を拡径すべく、プライマリ推力F*secを増加させて目標変速比に対応する差推力を確保する。
したがって、推力比1以上の領域内のアップシフトにおいては、従来技術及び本実施形態ともにセカンダリ推力を滑り下限推力に保持し、プライマリ推力を増加させることによりダウンシフトを行う。そのため両者ともに油圧が増加する。
[2−2:推力比1以上の領域における経時変化の対比]
図11は、推力比RFが1以上の領域でダウンシフトを行う場合における従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートである。図11(a)に従来技術のタイムチャートを、図11(b)に本願ベルト式無段変速機の油圧制御装置によるプーリ推力制御のタイムチャートを示す。
図11に示す経時変化は時刻t11〜t14が図9の時刻t1〜t4にそれぞれ対応し、各時刻における各プーリ推力の変化は図9に示す実変速比1未満の領域でのアップシフトの場合と同じ変化を示すため説明は省略する。
[本実施形態の効果]
従来技術にあっては、ベルトスリップを回避しつつ変速応答性を確保するため、プーリ推力に下限を設定し、低い推力を持つプーリのベルト回転半径を目標変速比に対応した回転半径となるよう推力を演算して目標変速比に対応する差推力を確保し、この推力が下限推力を下回った場合は下限推力に保持している。また、保持することで低い推力を持つプーリのベルト回転半径の時間変化率が減少して応答性が悪化することを回避するため、推力と下限推力の差分をとり、この差分を高い推力を持つプーリの推力指令値に加算して応答性を確保していた。
しかしながら、上記従来技術にあっては、推力比RFが1未満の領域でアップシフトを行う場合、高い推力を保持するセカンダリプーリの推力指令値は高いままであり、さらに低い推力のプライマリプーリの推力指令値を増加させることで、全体として高い油圧が必要となり、燃費向上の妨げとなるという課題があった。また、推力比RFが1以上の領域でダウンシフトを行う場合にも、高い推力を保持するプライマリプーリの推力指令値は高いままであり、さらに低い推力を保持するセカンダリプーリの推力指令値を増加させるため同様の課題が発生する。
これに対し本実施形態では、高い油圧をかけられている側のプーリの推力を減少させて目標変速比ip*に対応した差推力を確保するため、低推力プーリの推力指令値を滑り下限推力に保持しつつ、高推力プーリの推力指令値を低下させて目標変速比に対応する差推力を確保し、変速を行うこととした。また、目標変速比に対応した高推力プーリの推力指令値が滑り下限推力を下回った場合、滑り下限推力と高推力プーリの推力指令値の差分値をとり、この差分値を低推力プーリの推力指令値に加算することとした。
これにより、推力比RFが1未満の領域でアップシフトを行う場合、低い推力を保持するプライマリプーリ310の推力指令値は低いままとしつつ、高い推力を保持するセカンダリプーリ320の推力を減少させることが可能となる。また、推力比RFが1以上の領域でダウンシフトを行う場合にも、低い推力を保持するセカンダリプーリ320の推力指令値は低いままとしつつ、高い推力を保持するプライマリプーリ310の推力を減少させることが可能となる。よって、ベルトスリップを回避しつつ、不必要な油圧発生を回避することでエンジン負荷を低減し、燃費及びベルト寿命の向上を図ったベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することができる(請求項1に対応)。
また、目標変速比に対応した高推力プーリの推力指令値が滑り下限推力を下回った場合、滑り下限推力と高推力プーリの推力指令値の差分値をとり、この差分値を低推力プーリの推力指令値に加算することで、高推力プーリが推力指令値に保持された場合であっても、低推力プーリの推力を必要最低限増加させることで応答性を確保することが可能となる。よって、ベルトスリップを回避しつつ、燃費向上と応答性確保を同時に達成したベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することができる(請求項2に対応)。
また、CVTコントロールユニット100はプライマリ回転センサ102、セカンダリ回転センサ103,スロットル開度センサ105,エンジン回転センサ104,車速センサ101の検出値に基づいて制御を行うこととした。これにより、ベルトスリップを回避しつつ、制御応答性を向上させることができる(請求項3に対応)。
また、コントロールユニット100は、目標変速速度を得るために、差推力dFを演算し、実変速比ipを目標変速比ip*に追従させるために、フィードバック制御量Ufbを設定し、さらに、推力比RFの変化率を等しくするために補正値αを算出して、下式により、推力指令値Fpri,Fsecを算出することにより、変速制御時の各制御パラメータに役割分担させて制御の安定性を向上させることができる。
Fsec=Fs*+Uin,Uin=dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb)
Fpri=Fp*+Uin,Uin==dF+α・Ufb又はUin=α・(dF+Ufb)
なお、補正値αによりフィードバック制御量Ufb及び差推力dFの両方を補正した方が推力比RFの変化率を等しくするためには好ましいが、フィードバック制御量Ufbのみを補正しても一定の効果がある。
[その他]
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
本発明の一実施形態にかかるCVT油圧制御装置を搭載した車両のシステム構成図である。 図1のCVT油圧制御装置のCVTコントロールユニットの制御ブロック図である。 本発明の一実施形態のCVT油圧制御にかかる基礎バランス推力を説明する図であり、(a)は変速比,入力トルクに対する推力の相関図、(b)は変速比に対する推力比の相関図、(c)は変速比に対する推力の相関図である。 本発明の一実施形態のCVT油圧制御にかかる変速比と推力比に関して説明する変速比に対する推力の相関図である。 本発明の一実施形態のCVT油圧制御にかかる基礎バランス推力と制御領域とを説明する変速比に対する推力の相関図である。 CVTコントロールユニットにおいて実行されるプーリ推力演算制御処理の流れを示すフローチャートである。 CVTコントロールユニットの油圧変換部で実行される油圧換算制御処理の流れを示すフローチャートである。 推力比が1未満の領域における従来技術と本実施形態の変速比に対する推力の相関図の対比を示す図であり、(a)は従来技術を示し、(b)は本実施形態を示す。 推力比が1未満の領域でアップシフトを行う場合の従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートであり、(a)は従来技術を示し、(b)は本実施形態を示す。 推力比が1以上の領域における従来技術と本実施形態の変速比に対する推力の相関図の対比を示す図であり、(a)は従来技術を示し、(b)は本実施形態を示す。 推力比が1以上の領域でアップシフトを行う場合の従来技術と本実施形態における各プーリ推力の経時変化を示すタイムチャートであり、(a)は従来技術を示し、(b)は本実施形態を示す。
符号の説明
10 エンジン
20 トルクコンバータ
30 前後進クラッチ
40 オイルポンプ
51 第1調圧弁
52 第2調圧弁
71 プライマリ調圧弁
72 セカンダリ調圧弁
100 コントロールユニット
101 車速センサ
102 プライマリ回転センサ
103 セカンダリ回転センサ
104 エンジン回転センサ
105 スロットル開度センサ
108 プライマリソレノイド
109 セカンダリソレノイド
106 油圧変換部
107 電流変換部
200 変速比制御部
201 目標変速比演算部
202 実変速比演算部
203 入力トルク演算部
204 滑り下限推力演算部
205 推力比演算部
206 基礎バランス推力演算部
207 差推力演算部
208 補正値演算部
209 変速フィードバック制御部(変速フィードバック量演算部)
210 滑り防止及び油圧最小推力配分演算部(以下、推力配分演算部)
310 プライマリプーリ
311 プライマリスライドプーリ
320 セカンダリプーリ
321 セカンダリスライドプーリ

Claims (6)

  1. 駆動側プーリと従動側プーリとをベルトで連結し、前記両プーリに与える油圧推力を調整することにより前記両プーリにおける前記ベルトの回転半径を変化させ、変速比を調整する車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置であって、
    前記油圧推力に応じて前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの前記回転半径を変化させる油圧式アクチュエータと、
    車両情報を検出する車両情報検出手段と、
    前記車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリに対する前記油圧推力を演算し、この演算値に基づいて前記油圧式アクチュエータを制御するコントロールユニットとを備え、
    前記コントロールユニットは、
    前記車両情報に基づいて目標変速比を演算し、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との比である推力比を演算し、前記駆動側プーリ及び前記従動側プーリの回転に対して前記ベルトが滑らない油圧推力の下限値である駆動側滑り下限値及び従動側滑り下限値を演算し、
    前記推力比が1未満の場合、前記駆動側滑り下限値を前記駆動側プーリの目標油圧推力である第1駆動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記駆動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記従動側プーリの目標油圧推力である第1従動側目標油圧推力を演算し、
    前記推力比が1以上の場合、前記従動側滑り下限値を前記従動側プーリの目標油圧推力である第2従動側目標油圧推力に設定し、且つ、前記従動側滑り下限値と前記目標変速比とに基づいて前記駆動側プーリの目標油圧推力である第2駆動側目標油圧推力を演算し、
    さらに、前記油圧推力比が1未満である場合、該目標変速比を維持するための前記従動側プーリの油圧推力である従動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第1従動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第1従動側目標油圧推力候補値が前記従動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第1従動側目標油圧推力候補値を前記第1従動側目標油圧推力とし、前記従動側すべり下限値が前記第1従動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記従動側すべり下限値と前記第1従動側目標油圧推力候補値との差分である従動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値とこの従動側差分値との和を前記第1駆動側目標油圧推力とするともに、前記従動側すべり下限値を前記第1従動側目標油圧推力とし、
    前記油圧推力比が1以上である場合、該目標変速比を維持するための前記駆動側プーリの油圧推力である駆動側基礎バランス推力に、変速時に必要な制御推力量を加減算した値を前記第2駆動側目標油圧推力の候補値として演算し、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値とを比較し、前記第2駆動側目標油圧推力候補値が前記駆動側すべり下限値よりも大きい場合、前記第2駆動側目標油圧推力候補値を前記第2駆動側目標油圧とし、前記駆動側すべり下限値が前記第2駆動側目標油圧推力候補値よりも大きい場合、前記駆動側すべり下限値と前記第2駆動側目標油圧推力候補値との差分である駆動側差分値を演算し、前記駆動側すべり下限値を前記第2駆動側目標油圧推力とするとともに、前記従動側すべり下限値とこの駆動側差分値との和を前記第2従動側目標油圧推力とする
    ことを特徴とする、車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
  2. 前記車両情報検出手段は、エンジン回転センサ,駆動側回転センサ,従動側回転センサ,スロットル開度センサ,及び車センサである
    ことを特徴とする、請求項記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  3. 前記コントロールユニットは、
    目標変速速度を得るために、前記駆動側プーリに対する油圧推力と前記従動側プーリに対する油圧推力との差である差推力を演算し、
    実変速比を前記目標変速比に追従させるために、前記目標変速比から算出される前記従動側プーリの目標ストローク変位と前記実変速比から算出される前記従動側プーリの実ストローク変位との差分であるストローク差分値と、フィードバック制御ゲインとに基づいて、前記油圧推力にかかるフィードバック制御量を演算し、
    前記の第1又は第2駆動側目標油圧推力及び第1又は第2従動側目標油圧推力を、前記差推力と前記フィードバック制御量とにより補正した油圧推力に基づいて、前記油圧式アクチュエータを制御する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  4. 前記コントロールユニットは、
    前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値に基づいて、前記推力比の変化率を等しくするための補正値を算出し、該補正値により前記フィードバック制御量を補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御する
    ことを特徴とする、請求項記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  5. 前記コントロールユニットは、
    前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値に基づいて、前記推力比の変化率を等しくするための補正値を算出し、該補正値により前記差推力と前記フィードバック制御量とをそれぞれ補正した上で、前記油圧式アクチュエータを制御する
    ことを特徴とする、請求項記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
  6. 前記推力比の変化率を等しくするための補正値は、前記駆動側すべり下限値及び前記従動側すべり下限値を、前記駆動側基礎バランス推力と前記駆動側基礎バランス推力とが一致する油圧推力から各プーリのストローク変位が中立となる変速比が1のすべり下限値間での油圧推力を用いて無次元化される
    ことを特徴とする、請求項4又は5記載の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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