JP2002039352A - ベルト式無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
ベルト式無段変速機の変速制御装置Info
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Abstract
向推力を最適で且つできる限り小さな値に設定可能とす
る。 【解決手段】 大径化側プーリがドライブおよびドリブ
ンプーリのいずれであるかを判断する大径化側プーリ判
断手段と、ベルトスリップ無しに動力伝達を行うための
推力を算出するスリップ防止推力算出手段と、定常状態
で現在の変速比を維持するためにいずれかのプーリのス
リップ防止推力に加算される推力を算出する変速比維持
推力算出手段と、目標変速比への変速を行わせるために
大径化側プーリに加算される推力を算出する加算推力算
出手段と、スリップ防止推力、変速比維持推力および変
速加算推力に基づいて目標変速比への変速を行うための
基本変速制御推力を算出する基本変速制御推力算出手段
と、一方の推力がスリップ防止推力に等しく、他方の推
力がスリップ防止推力以上となるように、基本変速制御
推力を減算する補正を行う変速制御推力補正手段とを有
する。
Description
可変のドライブおよびドリブンプーリ間にVベルトを巻
き掛けて構成されるベルト式無段変速機に関し、さらに
詳しくは、これらドライブおよびドリブンプーリに加え
る軸方向推力を制御してこのベルト式無段変速機の変速
制御を行う変速制御装置に関する。
よびその変速制御装置は従来から種々提案されており、
実用に供されている。ベルト式無段変速機においては、
ドライブプーリのプーリ幅制御(軸方向推力制御)を行
うドライブ側アクチュエータと、ドリブンプーリのプー
リ幅制御(軸方向推力制御)を行うドリブン側アクチュ
エータとを有し、これら両アクチュエータによりドライ
ブおよびドリブンプーリに加える軸方向推力を制御して
プーリ幅制御を行い、変速制御を行うように構成され
る。
力制御を走行状態に応じて適切に制御し、自動的な変速
制御を行わせるための変速制御装置を有したベルト式自
動変速機が従来から種々提案されている。一例を挙げれ
ば、特開平9−72397号に開示のベルト式自動変速
機があり、ここではいずれか一方のプーリの軸方向推力
を目標推力に設定し、他方を目標推力とプーリ推力比の
積または比に対応した値とエンジン回転数偏差に対応し
た値との和により得られる推力に設定して変速制御を行
うことが開示されている。
段変速機の変速制御を行う装置および方法が従来から主
種提案されてはいるが、従来ではシフトアップ変速およ
びシフトダウン変速での制御フィードバックゲインが同
一であったり、フィードバックゲインを算出するパラメ
ータが不適切であったりして、変速応答性、収束性があ
まり適切でなくなることがあるという問題があった。ま
た、ドライブおよびドリブンプーリの推力は、ベルトス
リップを発生させずに所定の変速制御が可能な範囲にお
いて、できる限り小さな値として効率の良い制御が要望
される。
無段変速機の変速制御のために必要とされるプーリ軸方
向推力を最適で且つできる限り小さな値に設定可能な構
成の変速制御装置を提供することを目的とする。
め、本発明は、ドライブ側およびドリブン側アクチュエ
ータ(例えば、実施形態におけるドライブ側およびドリ
ブン側シリンダ室6,9)により付与される軸方向推力
を制御してドライブおよびドリブンプーリのプーリ幅を
変更し、目標変速比への変速制御を行う変速制御装置に
おいて、変速制御を行うときにVベルトの巻き掛け径が
大きくなるようにプーリ幅が可変調整される大径化側プ
ーリがドライブおよびドリブンプーリのいずれであるか
を判断する大径化側プーリ判断手段(例えば、実施形態
におけるステップS51)と、ドライブおよびドリブン
プーリにおいてベルトスリップ無しにVベルトを介して
動力伝達を行うために必要なスリップ防止推力を算出す
るスリップ防止推力算出手段(例えば、実施形態におけ
るステップS1)と、目標変速比への変速を行わせるた
めに大径化側プーリに加算される変速加算推力を算出す
る加算推力算出手段(例えば、実施形態におけるステッ
プS5)とを有し、変速時において、小径化側プーリの
軸方向推力をスリップ防止推力とし、大径化側プーリの
軸方向推力を、スリップ防止推力に定常状態におけるド
ライブプーリ推力とドリブンプーリ推力の比を乗算して
得られた値に変速加算推力を加算して得られる推力とす
るように構成される。
よびドリブン側アクチュエータ(例えば、実施形態にお
けるドライブ側およびドリブン側シリンダ室6,9)に
より付与される軸方向推力を制御してドライブおよびド
リブンプーリのプーリ幅を変更し、目標変速比への変速
制御を行う変速制御装置において、変速制御を行うとき
にVベルトの巻き掛け径が大きくなるようにプーリ幅が
可変調整される大径化側プーリがドライブおよびドリブ
ンプーリのいずれであるかを判断する大径化側プーリ判
断手段(例えば、実施形態におけるステップS51)
と、ドライブおよびドリブンプーリにおいてベルトスリ
ップ無しにVベルトを介して動力伝達を行うために必要
なスリップ防止推力を算出するスリップ防止推力算出手
段(例えば、実施形態におけるステップS1)と、目標
変速比への変速を行わせるために大径化側プーリに加算
される変速加算推力を算出する加算推力算出手段(例え
ば、実施形態におけるステップS5)とを有し、変速時
において、大径化側プーリの軸方向推力をスリップ防止
推力とし、小径化側プーリの軸方向推力を、スリップ防
止推力から変速加算推力を減算した推力に、定常状態に
おけるドライブプーリ推力とドリブンプーリ推力の比を
乗算して得られた推力とするように構成される。
制御用のドライブおよびドリブンプーリ推力として、小
さい方の推力として常にスリップ防止推力が設定され、
これに対して所望の変速が可能となるように大きい方の
推力が設定される。これにより所定の変速制御を行うた
めにドライブおよびドリブンプーリに加えられる推力を
発生するためのエネルギーが小さくなり、燃費向上等が
図れる。
として、以下のような構成を採用することができる。す
なわち、ドライブ側およびドリブン側アクチュエータ
(例えば、実施形態におけるドライブ側およびドリブン
側シリンダ室6,9)により付与される軸方向推力を制
御してドライブおよびドリブンプーリのプーリ幅を変更
し、目標変速比への変速制御を行う変速制御装置におい
て、変速制御を行うときにVベルトの巻き掛け径が大き
くなるようにプーリ幅が可変調整される大径化側プーリ
がドライブおよびドリブンプーリのいずれであるかを判
断する大径化側プーリ判断手段(例えば、実施形態にお
けるステップS51)と、ドライブおよびドリブンプー
リにおいてベルトスリップ無しにVベルトを介して動力
伝達を行うために必要なスリップ防止推力を算出するス
リップ防止推力算出手段(例えば、実施形態におけるス
テップS1)と、ベルトスリップ無しにVベルトを介し
て動力伝達を行いながら定常状態のまま現在の変速比を
維持するためにドライブおよびドリブンプーリのいずれ
か一方におけるスリップ防止推力に加算される変速比維
持推力を算出する変速比維持推力算出手段(例えば、実
施形態におけるステップS2)と、目標変速比への変速
を行わせるために大径化側プーリに加算される変速加算
推力を算出する加算推力算出手段(例えば、実施形態に
おけるステップS5)と、スリップ防止推力、変速比維
持推力および変速加算推力に基づいて目標変速比への変
速を行うためにドライブおよびドリブンプーリに加えら
れる基本変速制御推力を算出する基本変速制御推力算出
手段(例えば、実施形態におけるステップS61)と、
ドライブおよびドリブンプーリの一方に加えられる推力
がスリップ防止推力に等しくなり、他方に加えられる推
力がスリップ防止推力以上となるように、基本変速制御
推力を減算する補正を行う変速制御推力補正手段(例え
ば、実施形態におけるステップS63、ステップS6
5)とを有して変速制御装置が構成される。
は、スリップ防止推力と変速比維持推力と変速加算推力
とに基づいて基本変速制御推力が算出され、この基本変
速制御推力を用いて変速制御を行えば、ベルトスリップ
を発生させることなく目標変速比への適切な変速制御が
可能となる。但し、このように算出された基本変速制御
推力は、ドライブ側およびドリブン側プーリにおいてと
もにスリップ防止推力以上となるような設定となる可能
性がある。このような場合には、いずれか一方がスリッ
プ防止推力となるまで両推力を減算しても上記と同等の
変速制御が可能であり、且つ、推力レベルを全体的に低
下させることができるので、本発明では変速制御推力補
正手段によりこのような減算補正を行うようにしてお
り、これにより所定の変速制御を行うためにドライブお
よびドリブンプーリに加えられる推力を発生するための
エネルギーが小さくなり、燃費向上等が図れる。
力と変速比維持推力と変速加算推力とに基づいて算出さ
れるものであるため、ドライブおよびドリブンプーリに
おける基本変速制御推力から変速比維持推力に相当する
推力を減算する補正を行うように構成したり、基本変速
制御推力から変速加算推力に相当する推力を減算する補
正を行うように構成したりするのが好ましい。
ましい実施形態について説明する。図1に本発明に係る
ベルト式無段変速機1の全体構成を示している。ベルト
式無段変速機(CVT)1は、エンジンENGの出力軸
とダンパ機構CPを介して繋がる変速機入力軸2と、こ
れに平行に配設された変速機カウンタ軸3と、これら両
軸2,3の間に配設された金属Vベルト機構4と、入力
軸2の上に配設された遊星歯車式前後進切換機構20
と、変速機カウンタ軸3の上に配設された発進クラッチ
26とから構成される。
プ30、クラッチ制御バルブ40、変速制御バルブ50
等が設けられ、油圧ポンプ30からの作動油が油路30
a〜30eを通り、クラッチ制御バルブ40により制御
されて発進クラッチ6に供給されて発進クラッチ6の作
動が制御され、且つ、変速制御バルブ50により制御さ
れて金属Vベルト機構4に送られて変速制御がなされ
る。
に回転自在に配設されたドライブプーリ5と、変速機カ
ウンタ軸3上にこれと一体回転するように配設されたド
リブンプーリ8と、両プーリ5,8間に掛けられた金属
Vベルト7から構成されている。
に回転自在に配設された固定プーリ半体5Aと、この固
定プーリ半体5Aに対して軸方向に相対移動可能な可動
プーリ半体5Bとから構成される。可動プーリ半体5B
の側方にはドライブ側シリンダ室6が形成され、変速制
御バルブ50から油路30dを介して供給される油圧に
より、可動プーリ半体5Bを軸方向に移動させる軸方向
推力(ドライブプーリ軸方向推力)が発生する。
上に結合して配設された固定プーリ半体8Aと、この固
定プーリ半体8Aに対して軸方向に相対移動可能な可動
プーリ半体8Bとから構成される。可動プーリ半体8B
の側方にはドリブン側シリンダ室9が形成され、変速制
御バルブ50から油路30eを介して供給される油圧に
より、可動プーリ半体8Bを軸方向に移動させる軸方向
推力(ドリブンプーリ軸方向推力)が発生する。
ドリブン側シリンダ室9へ供給される油圧(プーリ側圧
制御油圧)を制御することにより、金属Vベルト7にス
リップが発生しないプーリ軸推力(スリップ防止軸推力
と称する)が設定できるとともに、ドライブプーリ5お
よびドリブンプーリ8のプーリ幅を可変設定することが
でき、金属Vベルト7の両プーリ5,8に対する巻き掛
け半径を連続的に変化させて変速比を無段階に(連続的
に)制御させることができる。
ピニオン式の遊星歯車機構を備え、変速機入力軸2に結
合されたサンギヤ21と、固定プーリ半体5Aに結合さ
れたキャリア22と、後進用ブレーキ25により固定保
持可能なリングギヤ23と、サンギヤ21とリングギヤ
23とを連結可能な前進用クラッチ24とを有して構成
される。前進用クラッチ24が係合されると、サンギヤ
21、キャリア22およびリングギヤ23が変速機入力
軸2と一体的に回転し、駆動プーリ5は変速機入力軸2
と同一方向(前進方向)に駆動される。一方、後進用ブ
レーキ25が係合されるとリングギヤ23が固定保持さ
れ、キャリア22がサンギヤ21と逆方向(後進方向)
に駆動される。
と変速機出力側部材(ギヤ27a等)との間の動力伝達
を制御し、発進クラッチ26の係合を制御してこの動力
伝達を制御できる。この動力は、ギヤ27a,27b,
28a,28bを介してディファレンシャル機構29に
伝達され、ここから図示しない左右の車輪に分割して伝
達される。また、発進クラッチ26が解放されると、動
力伝達ができなくなり、中立状態となる。
側シリンダ室6,9への油圧供給を変速制御バルブ50
により制御して変速制御がなされ、発進クラッチ26へ
の油圧供給をクラッチ制御バルブ40により制御して発
進制御がなされるのであるが、これら制御バルブ40,
50の作動制御は、制御ユニット60からの変速制御信
号により行われる。
ユニット60による変速制御バルブ60の作動制御、す
なわち変速制御について以下に詳しく説明する。変速制
御バルブ50は、ドライブ側シリンダ室6およびドリブ
ン側シリンダ室9に供給する油圧を制御する二個のソレ
ノイドバルブを有して構成され、これらソレノイドバル
ブが変速制御ユニット60から供給される変速制御信号
により作動されて変速制御が行われる。この結果、変速
制御信号に基づいて両シリンダ室6,9内の油圧が設定
され、ドライブおよびドリブンプーリ5,8に作用する
ドライブおよびドリブンプーリ軸方向推力が設定され
る。この変速制御のため、変速制御ユニット60には、
エンジン回転信号Ne、エンジンスロットル開度信号T
H、車速信号V、ドライブプーリ回転信号NDR、ドリブ
ンプーリ回転信号NDNが検出されて入力されている。
ライブおよびドリブン軸方向推力FDR,FDNに基づいて
設定される。この軸方向推力は、Vベルト7をドライブ
及びドリブンプーリ5,8に対してスリップさせずに動
力伝達を行わせるに必要なスリップ防止推力F1DR,F
1DNと、現在の変速比Rpを維持するために必要な変速
比維持推力F2DR,F2DNと、現在の変速比Rpを目標
変速比Rtまで最適な速度で変速させるために必要な変
速加算推力Faとに基づいて算出設定される。
速制御信号の設定フローを図2に示しており、このフロ
ーチャートに基づいて説明する。このフローに示すよう
に、まずステップS1においてスリップ防止推力F1D
R,F1DNを算出し、ステップS2において変速比維持
推力F2DR,F2DNを算出する。そして、ステップS3
において変速要求が有るか否かを判断し、変速要求がな
く定常状態であるときにはステップS4に進み、上記ス
リップ防止推力F1DR,F1DNおよび変速比維持推力F
2DR,F2DNから推力演算1を行って現在の定常走行を
維持するために必要な軸方向推力FDR,FDNを算出す
る。
S5に進み、この変速要求に対応する変速を行わせるた
めに必要な変速加算推力Faを算出する。そして、ステ
ップS6において、上記スリップ防止推力F1DR,F1
DN、変速比維持推力F2DR,F2DNおよび変速加算推力
Faから推力演算2を行って、上記変速要求に基づく変
速を行わせるために必要な軸方向推力FDR,FDNを算出
する。
4)もしくは推力演算2(ステップS6)において軸方
向推力FDR,FDNを算出すると、ステップS7に進み、
これら軸方向推力FDR,FDNを得るために必要なドライ
ブ側およびドリブン側シリンダ室6,9の供給油圧が得
られるように、変速制御バルブ50に出力すべき変速制
御信号を算出する。そして、この変速制御信号を用いて
変速制御バルブ50の作動を制御すれば、所望の変速制
御が行われる。
スリップ防止推力算出について説明する。この算出フロ
ーの詳細を図3に示しており、まず、エンジン回転数N
e、エンジンスロットル開度TH、ドライブプーリ回転数
NDR、ドリブンプーリ回転数NDN、変速比Rpを検出し
て読み込む(ステップS11)。次にこれら検出値に基
づいてエンジンから変速機入力軸2に入力される入力ト
ルクTinを算出する(ステップS12)。そして、現在
の変速比Rpに基づいてドライブプーリ5およびドリブ
ンプーリ8の伝達トルクを算出し、このドライブトルク
をスリップ無しに伝達するために両プーリ5,8に必要
とされるスリップ防止推力F1DR,F1DNを算出する
(ステップS13)。
持推力の算出について説明する。この変速比維持推力
は、上記のように両プーリ5,8にスリップ防止推力F
1DR,F1DNを作用させてスリップ無しに動力伝達が可
能なった状態で、定常状態で現在の変速比Rpを維持す
るためにいずれか一方のプーリに加算すべき推力であ
り、図4に示す算出フローに従って算出される。ここ
で、例えば、ドライブプーリのスリップ防止推力F1DR
は、実際の伝達トルクTaに対して、所定の余裕トルク
T1を加えた伝達トルク容量Tt(=Ta+T1)とな
るように設定されており、実際の伝達トルクTaに対す
る伝達トルク容量Ttの比、すなわち安全率SF(=T
t/Ta)の逆数(1/SF)と、変速比Rpに対し
て、バランス推力比TR(特許性球の範囲に規定する、
定常状態におけるドライブプーリ推力とドリブンプーリ
推力の比に対応する)が図5のように予め計算されて設
定されている。
クが零のときを示し、これより上側が正トルク側、すな
わち、エンジン側から駆動トルクが伝達される場合を示
し、T=0の線より下側が負のトルク側、すなわち、出
力側からエンジン側に駆動トルクが伝達されてエンジン
ブレーキ作用状態となる場合を示し、各線の数字は、安
全率SFの逆数(1/SF)を示す。
常状態で保持するために必要とされるドライブプーリの
軸方向推力とドリブンプーリの軸方向推力の比である。
図5において、現在の変速比と、そのときのドライブプ
ーリ5における安全率の逆数(1/SF)の線とに対応
するバランス推力比TRを求めれば、このバランス推力
比TRが現在の伝達トルク状態で現在の変速比Rpを保
持するために必要なドライブプーリの軸方向推力とドリ
ブンプーリの軸方向推力の比である。
21では、上記のようにしてバランス推力比TRを算出
し、次に、ステップS22において、このような推力比
TRとするために必要な維持推力を算出する。この算出
は、ステップS1において算出したスリップ防止推力F
1DR,F1DNを確保した上で、いずれか一方の推力を増
加させて上記バランス推力TRを得るに必要な増加推力
として算出される。すなわち、図6(A)もしくは
(B)に示すように、ドライブ側のスリップ防止推力F
1DRに変速比維持推力F2DRを加えたり(図6
(B))、ドリブン側のスリップ防止推力F1DNに変速
比維持推力F2DNを加えたり(図6(A))して、上記
のように算出されたバランス推力比TRが得られるよう
にするための変速比維持推力をステップS22において
算出する。
DNに、変速比維持推力F2DNもしくはF2DRを加えて、
図6(A)もしくは(B)のようなバランス推力比が得
られるようにドライブ側およびドリブン側推力が求めら
れる。これら推力をドライブ側およびドリブン側プーリ
に付与すれば、定常状態で現在の変速比を維持したまま
でベルトスリップ無しに動力伝達が可能である。このこ
とから分かるように、図2におけるステップS7におけ
る推力演算1においては、スリップ防止推力F1DR,F
1DNに変速比維持推力F2DNもしくはF2DRを加えて、
ステップS21で算出されたバランス推力比となるドラ
イブ側およびドリブン側推力FDR,FDNが算出される。
出について説明する。この算出フローの詳細を図7に示
しており、まず、要求される変速の種類(すなわち、ア
ップシフトか、ダウンシフトか)および変速によりベル
ト巻き掛け径が大きくなるようにプーリ幅が可変調整さ
れる大径化側プーリを判断する(ステップS51)。変
速要求は、例えば、運転者のアクセルペダルの踏み込み
量、すなわちアクセル開度に対応して設定される目標エ
ンジン回転数に基づいて判断される。アクセルペダルが
踏み込まれるとこれに対応する目標エンジン回転数が増
加し、実際のエンジン回転数を目標エンジン回転数に一
致させるように変速制御が行われる。このときの変速制
御がアップシフトか、ダウンシフトかをステップS51
において判断し、このとき同時に、このような変速制御
において、ベルト巻き掛け径が大きくなる大径化側プー
リがドライブプーリおよびドリブンプーリのどちらであ
るかを判断する。
ンプーリ回転数NDN、変速比Rpから金属Vベルト7の
移動速度、すなわち、ベルト周速Vvを演算する(ステ
ップS52)。そして、図8に示すように予め設定され
たグラフから、現在の周速Vvに対する第1ゲインG1
を求める(ステップS53)。この第1ゲインG1は周
速に反比例する関係のゲインであり、変速の種類(アッ
プシフトもしくはダウンシフト)に応じて設定されてい
る。
DRと、変速比Rpとの関係で一義的にに求まるため、例
えば、図10に示すように、ドライブプーリ回転数NDR
と変速比Rpとに対する第1ゲインG1の関係を予め設
定しておき、この関係から第1ゲインを求めても良い。
このようにすれば、ステップS51の周速演算が不要で
あり、制御が簡単となるという利点がある。上記のよう
に第1ゲインG1は変速の種類に応じて設定されるもの
であり、図10はアップシフトの場合を示している。図
10における変速比Rpに対応する線は変速比毎に設定
されるものであるが、図10においては、最小変速比
(TOP)、中間変速比(MID)および最大変速比
(LOW)を例示的に示している。
目標変速比まで変速されたときにでの大径化側プーリに
おけるベルト巻き掛け径の差Dd、すなわち、大径化プ
ーリにおいて現在の変速比での巻き掛け径が目標変速比
ではどれだけ大きくなるかという径の差を演算する(ス
テップS54)。これは図9に示すように予め設定され
たグラフから、ステップS54において求められた径の
差Ddに対する第2ゲインG2を求めて行われる(ステ
ップS55)。第2ゲインG2は径の差Ddに比例する
関係のゲインであり、変速の種類(アップシフトもしく
はダウンシフト)に応じて設定されている。
数でのドライブプーリ回転数と目標エンジン回転数での
ドライブプーリ回転数との差NDRERRと、変速比Rpと
の関係で一義的に求まるため、例えば、図11に示すよ
うに、目標エンジン回転数までのドライブプーリ回転数
の差NDRERRと変速比Rpとに対する第2ゲインG2の
関係を予め設定しておき、この関係から第2ゲインを求
めても良い。このようにすれば、ステップS54の径の
差Ddの演算が不要であり、制御が簡単となる。上記の
ように第2ゲインG2は変速の種類に応じて設定される
ものであり、図11はアップシフトの場合を示してい
る。図11における変速比Rpに対応する線は変速比毎
に設定されが、図11においては、最小変速比(TO
P)、中間変速比(MID)および最大変速比(LO
W)を例示的に示している。
2ゲインG2が求まると、ステップS56において変速
加算推力Faが演算される。この変速加算推力Faは、
基本推力値Fbに、上記第1ゲインG1および第2ゲイ
ンG2を乗算して求められる。なお、基本推力値Fb
は、実験的に予め求められている値であり、例えば、2
0kgwである。
2について、図12を参照して説明する。この演算で
は、ステップS61において、ドライブ側およびドリブ
ン側におけるスリップ防止推力F1DR、F1DNに、変速
比維持推力F2DRもしくはF2DNを加え、さらに、大径
化側プーリに変速加算推力Faを加えて、ドライブプー
リ基本変速制御推力FDR′およびドリブンプーリ基本変
速制御推力FDN′を算出する。
基本変速制御推力FDR′もしくはFDN′がスリップ防止
推力F1DRもしくはF1DNであるような場合、例えば図
13(A)に示すように、ドライブプーリ基本変速制御
推力がスリップ防止推力F1DRであるような場合と、図
13(B)に示すように、両プーリ基本変速制御推力が
ともにスリップ防止推力より大きくなる場合とがある。
いずれの場合にも、このままの基本変速制御推力FDR′
およびFDN′をドライブおよびドリブンプーリに与える
制御を行えば、所望の変速制御が可能である。
プーリの基本変速制御推力がともにスリップ防止推力よ
り大きく、それだけ無駄な推力を用いることになる。す
なわち、図13(B)の場合には、両プーリの推力の差
さえ十分にあれば、両プーリのいずれか一方がスリップ
防止推力となるまで両プーリの推力を同等に下げても、
ベルトスリップ無しに所望の変速制御が可能であり、こ
のようにすれば、無駄な推力を設定することなく効率の
良い変速制御が可能である。
おいて、ドライブおよびドリブンプーリの基本変速制御
推力FDR′およびFDN′のうちのいずれか一方がスリッ
プ防止推力であるか否かを判断している。いずれか一方
がスリップ防止推力の場合、すなわち、図13(A)の
ような場合には、このままドライブおよびドリブンプー
リの基本変速制御推力FDR′およびFDN′を軸方向推力
FDRおよびFDNとして設定する。
わち、図13(B)に示すような場合には、ステップS
63に進み、まず変速比維持推力分の推力を両プーリの
推力から減算する。例えば、図13(B)の場合には、
ドリブンプーリに変速比維持推力F2DNがあるため、ド
リブンプーリの推力FDN′(=F1DN+F2DN)からこ
れを減算してドリブンプーリの推力をスリップ防止推力
F1DNまで下げる。同時に、ドライブプーリ基本変速制
御推力FDR′からドリブンプーリの変速比維持推力F2
DN分の推力を減算する。なお、このとき、ドライブプー
リ基本変速制御推力FDR′からドリブンプーリの変速比
維持推力F2DNをそのまま減算するのではなく、定常状
態のドライブおよびドリブンプーリの推力比(a/b)
に対応して、ドライブプーリにおけるドリブンプーリの
変速比維持推力F2DN分に対応する推力を演算し、これ
を減算(FDR′−F2DN×a/b)する。この減算の結
果が、請求項1における「前記スリップ防止推力に定常
状態におけるドライブプーリ推力とドリブンプーリ推力
の比を乗算して得られた値に前記変速加算推力を加算し
て得られる推力」である。
およびドリブンプーリの軸方向推力のいずれか一方がス
リップ防止推力以下となっていないかの判断を行う(ス
テップS64)。上記演算により、いずれか一方(変速
比維持推力が設定されている方)の軸方向推力はスリッ
プ防止推力になるのであるが、他方の推力がスリップ防
止推力以下となってはベルトスリップが発生するおそれ
があるためこの判断を行う。この判断において他方の軸
方向推力がスリップ防止推力以上であるときには、ステ
ップS66に進み、このまま演算結果を軸方向推力FDR
およびFDNとして設定する。
リップ防止推力未満となると判断されたときには、ステ
ップS65に進み、ステップS61において演算された
ドライブおよびドリブンプーリの基本変速制御推力FD
R′およびFDN′から、変速加算推力Fa分の推力を減
算し、その結果をステップS67で軸方向推力FDRおよ
びFDNとして設定する。例えば、図13(B)の場合に
は、ドライブプーリに変速加算推力Faがあるため、ド
ライブプーリ基本変速制御推力FDR′(=F1DR+F
a)からこれを減算してドライブプーリの推力をスリッ
プ防止推力F1DRまで下げる。同時に、ドリブンプーリ
基本変速制御推力FDN′から変速加算推力Fa分の推力
を減算する。このときにも、定常状態のドリブンおよび
ドライブプーリの推力比(b/a)に対応してドリブン
プーリにおける変速加算推力Fa分の推力を演算し、こ
れを減算(FDN′−Fa×b/a)する。この減算の結
果が、請求項2における「前記スリップ防止推力から前
記変速加算推力を減算した推力に、定常状態におけるド
ライブプーリ推力とドリブンプーリ推力の比を乗算して
得られた推力」である。このようにしてFDRとFDNの少
なくとも一方をスリップ防止推力F1DRあるいはF1DN
とし、他方をこれより大きい推力となるように演算し、
車両への適切な実装を可能とする。
プーリの軸方向推力FDRおよびFDNが求まると、図2の
ステップS7に進み、このような軸方向推力を得るため
に変速制御バルブ50に要求される変速制御信号を求め
る。そして、変速制御ユニット60から変速制御バルブ
50にこの変速制御信号が送出されて、変速制御バルブ
50の作動制御が行われ、所望の変速制御がなされる。
スリップ防止推力と変速比維持推力と変速加算推力とに
基づいて基本変速制御推力が算出され、この基本変速制
御推力を用いて変速制御を行えば、ベルトスリップを発
生させることなく目標変速比への適切な変速制御が可能
となる。但し、このように算出された基本変速制御推力
は、ドライブ側およびドリブン側プーリにおいてともに
スリップ防止推力以上となるような設定となる可能性が
ある。このような場合には、いずれか一方がスリップ防
止推力となるまで両推力を減算しても上記と同等の変速
制御が可能であり、且つ、推力レベルを全体的に低下さ
せることができるので、本発明では変速制御推力補正手
段によりこのような減算補正を行うようにしており、こ
れにより所定の変速制御を行うためにドライブおよびド
リブンプーリに加えられる推力を発生するためのエネル
ギーが小さくなり、燃費向上等が図れる。
力と変速比維持推力と変速加算推力とに基づいて算出さ
れるものであるため、ドライブおよびドリブンプーリに
おける基本変速制御推力から変速比維持推力に相当する
推力を減算する補正を行うように構成したり、基本変速
制御推力から変速加算推力に相当する推力を減算する補
正を行うように構成したりするのが好ましい。
段変速機の構成を示す概略図である。
示すフローチャートである。
テップの内容を示すフローチャートである。
ップの内容を示すフローチャートである。
数と、バランス推力比との関係を示すグラフである。
プ防止推力に変速比維持推力を加算する例を示すグラフ
である。
プの内容を示すフローチャートである。
である。
る。
インとの関係を示すグラフである。
までの回転変化量と、変速比と、第2ゲインとの関係を
示すグラフである。
内容を示すフローチャートである。
ップ防止推力に変速比維持推力および変速加算推力を加
算する例を示すグラフである。
タ) 8 ドリブンプーリ 9 ドリブン側シリンダ室(ドリブン側アクチュエー
タ) 50 変速制御バルブ 60 変速制御ユニット
Claims (2)
- 【請求項1】 プーリ幅可変のドライブプーリと、プー
リ幅可変のドリブンプーリと、前記ドライブおよびドリ
ブンプーリ間に巻き掛けられたVベルトと、前記ドライ
ブプーリに軸方向推力を付与するドライブ側アクチュエ
ータと、前記ドリブンプーリに軸方向推力を付与するド
リブン側アクチュエータとを備えて構成されるベルト式
無段変速機において、前記ドライブ側アクチュエータに
より付与されるドライブ側軸方向推力および前記ドリブ
ン側アクチュエータにより付与されるドリブン側軸方向
推力を制御して前記ドライブおよびドリブンプーリのプ
ーリ幅を変更し、目標変速比への変速制御を行う変速制
御装置であって、 変速制御を行うときに前記Vベルトの巻き掛け径が大き
くなるようにプーリ幅が可変調整される大径化側プーリ
が前記ドライブおよびドリブンプーリのいずれであるか
を判断する大径化側プーリ判断手段と、 前記ドライブおよびドリブンプーリにおいてベルトスリ
ップ無しに前記Vベルトを介して動力伝達を行うために
必要なスリップ防止推力を算出するスリップ防止推力算
出手段と、 前記目標変速比への変速を行わせるために前記大径化側
プーリに加算される変速加算推力を算出する加算推力算
出手段とを有し、 変速時において、小径化側プーリの軸方向推力を前記ス
リップ防止推力とし、大径化側プーリの軸方向推力を、
前記スリップ防止推力に定常状態におけるドライブプー
リ推力とドリブンプーリ推力の比を乗算して得られた値
に前記変速加算推力を加算して得られる推力とすること
を特徴とするベルト式無段変速機の変速制御装置。 - 【請求項2】 プーリ幅可変のドライブプーリと、プー
リ幅可変のドリブンプーリと、前記ドライブおよびドリ
ブンプーリ間に巻き掛けられたVベルトと、前記ドライ
ブプーリに軸方向推力を付与するドライブ側アクチュエ
ータと、前記ドリブンプーリに軸方向推力を付与するド
リブン側アクチュエータとを備えて構成されるベルト式
無段変速機において、前記ドライブ側アクチュエータに
より付与されるドライブ側軸方向推力および前記ドリブ
ン側アクチュエータにより付与されるドリブン側軸方向
推力を制御して前記ドライブおよびドリブンプーリのプ
ーリ幅を変更し、目標変速比への変速制御を行う変速制
御装置であって、 変速制御を行うときに前記Vベルトの巻き掛け径が大き
くなるようにプーリ幅が可変調整される大径化側プーリ
が前記ドライブおよびドリブンプーリのいずれであるか
を判断する大径化側プーリ判断手段と、 前記ドライブおよびドリブンプーリにおいてベルトスリ
ップ無しに前記Vベルトを介して動力伝達を行うために
必要なスリップ防止推力を算出するスリップ防止推力算
出手段と、 前記目標変速比への変速を行わせるために前記大径化側
プーリに加算される変速加算推力を算出する加算推力算
出手段とを有し、 変速時において、大径化側プーリの軸方向推力を前記ス
リップ防止推力とし、小径化側プーリの軸方向推力を、
前記スリップ防止推力から前記変速加算推力を減算した
推力に、定常状態におけるドライブプーリ推力とドリブ
ンプーリ推力の比を乗算して得られた推力とすることを
特徴とするベルト式無段変速機の変速制御装置。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
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DE60137821T DE60137821D1 (de) | 2000-07-24 | 2001-07-20 | Übersetzungssteuerung für stufenloses Umschlingungsgetriebe |
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-
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CN111828576A (zh) * | 2019-04-16 | 2020-10-27 | 本田技研工业株式会社 | 带式无级变速器 |
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CN111828576B (zh) * | 2019-04-16 | 2023-05-30 | 本田技研工业株式会社 | 带式无级变速器 |
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