JP4728981B2 - シミュレータ及び車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
これに対して、前記した構成では、弁ハウジングの基端側に移動したピストンが、基体に設けられた装着穴の底面に支持されるように構成されており、ピストンからの押圧力を基体で受けることになるため、弁ハウジングの剛性を高めておく必要がなくなり、電磁弁を軽量化することができる。
本実施形態では、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などバーハンドルタイプの車両のブレーキ系統に対して、本発明のシミュレータ、及びそのシミュレータを用いた車両用ブレーキ制御装置を適用した場合を例として説明する。
図1は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の液圧回路図である。
本実施形態の車両用ブレーキ制御装置は、図1に示すように、マスタシリンダM1,M2から車輪ブレーキB1,B2に至る液圧路A,Bを有するブレーキ系統K1,K2と、ブレーキ操作子L1,L2の操作反力を、ブレーキ操作子L1,L2に擬似的に付与するシミュレータ30,30と、車輪ブレーキB1,B2に接続されているモジュレータ部10と、車輪ブレーキB1,B2に作用するブレーキ液圧を制御する制御部20と、を備えて構成されている。
ブレーキ系統K1は、図1に示すように、前輪を制動するためのものであり、ブレーキ操作子L1のストローク量に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM1から前輪の車輪ブレーキB1のホイールシリンダに至る液圧路A,Bを具備している。
同様に、ブレーキ系統K2は、後輪を制動するためのものであり、ブレーキ操作子L2のストローク量に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM2から後輪の車輪ブレーキB2のホイールシリンダに至る液圧路A,Bを具備している。
また、レギュレータRを迂回する流路であって出力液圧路Aと車輪液圧路Bとを連通する流路を「吸入路C1、吐出路C2」と称し、さらに、車輪液圧路Bからリザーバ5に至る流路を「開放路D」と称する。
また、「上流側」とは、マスタシリンダM1(M2)側のことを意味し、「下流側」とは、車輪ブレーキB1(B2)側のことを意味する。
図1に示す制御部20は、図示せぬ車輪速度センサから出力された車輪速度や、シミュレータ30で計測された出力液圧路Aのブレーキ液圧に基づいて、シミュレータ30及びモジュレータ部10の各種部品を制御することにより、車輪ブレーキB1,B2に作用するブレーキ液圧を制御するものである。
この制御部20は、図示は省略するが、CPU(中央演算処理装置)、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、前記した物理量、ROMに記憶された制御プログラムや各種の閾値(基準値)等に基づいて演算処理を行うことによって、車輪ブレーキB1,B2の独立したアンチロックブレーキ制御や二つの車輪ブレーキB1,B2を連動させる連動ブレーキ制御を実行することができる。
モジュレータ部10は、図1に示すように、レギュレータRと、制御弁手段Vと、吸入弁4と、リザーバ5と、ポンプ6と、第二の圧力センサ9とを備えて構成されている。
レギュレータRは、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容する状態及び遮断する状態を切り換える機能と、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入が遮断されているときに、レギュレータRの下流側のブレーキ液圧を設定値以下に調節する機能と、上流側のブレーキ液圧が下流側のブレーキ液圧よりも大きくなったときに、上流側から下流側(すなわち、出力液圧路Aから車輪液圧路B)へのブレーキ液の流入を許容する機能とを有しており、本実施形態では、カット弁1、チェック弁1a及びリリーフ弁1bを備えて構成されている。
カット弁1を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御部20と電気的に接続されており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁する。なお、本実施形態のカット弁1は、開弁圧を制御可能なリニア型の電磁弁からなる。
制御弁手段Vは、車輪液圧路Bを開放しつつ開放路Dを遮断する状態、車輪液圧路Bを遮断しつつ開放路Dを開放する状態、及び車輪液圧路Bと開放路Dを遮断する状態を切り換える機能を有しており、入口弁2、チェック弁2aおよび出口弁3を備えて構成されている。
入口弁2を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御部20と電気的に接続されており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁する。
出口弁3を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御部20と電気的に接続されており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁する。
吸入弁4は、ポンプ6の吸入側の吸入路C1を開閉するものであり、本実施形態では、常閉型の電磁弁からなる。つまり、吸入弁4は、吸入路C1を開放する状態及び遮断する状態を切り換えるものであり、開弁状態ではマスタシリンダM1とポンプ6の吸入口とが連通した状態になる。
吸入弁4を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御部20と電気的に接続されており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁する。
リザーバ5は、開放路Dの終点に設けられており、出口弁3が開放されることによって逃がされたブレーキ液を一時的に貯溜する機能を有している。
また、リザーバ5とポンプ6の吸入口とを連通する流路には、リザーバ5側からポンプ6側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁5aが設けられている。
ポンプ6は、吸入路C1と吐出路C2との間に介設されており、モータ7の回転力によって駆動し、上流側(マスタシリンダM1側)にあるブレーキ液を吸入路C1から吸入して、下流側(車輪ブレーキB1側)の吐出路C2に吐出する。
ポンプ6は、通常時のブレーキ制御や連動ブレーキ制御の際に駆動され、後記するように、上流側にあるブレーキ液を吸入して下流側に吐出することで、車輪ブレーキB1にブレーキ液圧を付与する。
また、ポンプ6は、アンチロックブレーキ制御の際にも駆動され、リザーバ5に一時的に貯溜されたブレーキ液を車輪液圧路B側に吐出することで、減圧された出力液圧路Aや車輪液圧路Bの圧力状態を回復させる。
なお、ポンプ6には、その吸入口側から吐出口側へのブレーキ液の流入のみを許容する一方向弁が内包されているので、吐出口側のブレーキ液圧が吸入口側のブレーキ液圧より高くなっても、ブレーキ液が逆流することはない。
また、ポンプ6の吐出側には、図示せぬダンパやオリフィスが設けられており、その協働作用によってポンプ6から吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させている。
モータ7は、前輪のブレーキ系統K1にあるポンプ6及び後輪のブレーキ系統K2にあるポンプ6の共通の動力源であり、制御部20からの指令に基づいて作動する。
第二の圧力センサ9は、車輪液圧路Bにおけるブレーキ液圧の大きさを計測するものである。
第二の圧力センサ9で計測されるブレーキ液圧は、車輪ブレーキB1(より詳細には、ホイールシリンダ)におけるブレーキ液圧と相関する物理量であるが、実質的には、車輪ブレーキB1におけるブレーキ液圧とみなすことができる。
なお、以下の説明においては、第二の圧力センサ9で計測されたブレーキ液圧を「ホイール圧」と称することとする。ホイール圧は、制御部20に随時取り込まれ、連動ブレーキ制御などに用いられる。
図2は、本実施形態のシミュレータにおける電磁弁を示した図で、閉弁状態の側断面図である。図3は、本実施形態のシミュレータにおける電磁弁を示した図で、開弁状態の側断面図である。図4は、本実施形態のシミュレータにおける電磁弁を示した図で、チェック弁が開弁状態の側断面図である。
なお、以下の説明において、先端側とは図2から図4の上側に対応し、基端側とは図2から図4の下側に対応している。この先端側及び基端側とは、電磁弁を解り易く説明するために便宜上設定したものであり、電磁弁の構成を限定するものではない。
なお、分岐路Eは、出力液圧路Aから電磁弁40に至る液圧路(流路)である。
電磁弁40は、図1に示すように、出力液圧路Aから分岐した分岐路Eに接続された常閉型の電磁弁であり、制御部20と電気的に接続された電磁コイル44(図2参照)を有しており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイル44を励磁すると閉弁し、電磁コイル44が消磁すると開弁するように構成されている。また、電磁弁40には、ストロークシミュレータ50及び第一のチェック弁60が組み込まれている。
この弁ハウジング41の外周面には、スペーサ46a及びC字状の抜け止め部材46bが外嵌されており、弁ハウジング41は、スペーサ46a及び抜け止め部材46bによって、装着穴71の内部に保持されている。
また、弁ハウジング41の基端面41bは、基体70の装着穴71の底面71aに所定間隔を離して対峙しており、この基端面41bの中心部には、開口部41cが形成されている。
また、弁ハウジング41の外周面において、開口部41aが形成されている部位には、円筒状のフィルタ枠体47が外嵌されている。
このフィルタ枠体47の側周壁部には、開口部47aが複数箇所に形成されており、開口部47aにはフィルタ膜47bが張られている。
そして、分岐路Eからのブレーキ液は、フィルタ枠体47の開口部47aを通過し、フィルタ膜47bによって濾過された後に、弁ハウジング41の開口部41aを通過して、弁ハウジング41の内部に流入することになる。
なお、弁ハウジング41の外周面において、フィルタ枠体47の上下に対応する位置には、リング状のパッキン48,48が外嵌されており、このパッキン48,48が弁ハウジング41の外周面と装着穴71の内周面との間に密着することにより、弁ハウジング41の外周面と装着穴71の内周面との間を液密にシールしている。
弁座部材42の内部には、円形断面の空洞部であるシリンダ42aが形成されている。このシリンダ42aの基端側は開口されており、弁ハウジング41の基端面41bの開口部41cに連通している。
弁座部材42の先端部の中央部には、隙間Sとシリンダ42aとを連通する開口部42bが形成されている。この弁座部材42の開口部42bは、円形断面形状の貫通穴であり、上下の開口縁部にはテーパ面が形成されている。
この可動コア45の基端面の中央部には、環状の凸部45cが形成されている。また、可動コア45の先端面の中央部には、凹部45aが形成されており、この凹部45aにはコイルスプリング45bが挿入されている。
コイルスプリング45bの先端側は、可動コア45の先端面から突出して固定コア43に当接しており、このコイルスプリング45bの付勢力によって、可動コア45は弁座部材42側に付勢されている。
ストロークシミュレータ50は、図2に示すように、弁座部材42の内部に形成されているシリンダ42aと、このシリンダ42aの内部に装着されるピストン52とから構成されている。
また、ピストン52の外周面には、凹溝52bが全周に亘って形成されている。この凹溝52bにはリング状のシール部材52cが装着されており、このシール部材52cがシリンダ42aの内周面に密着することにより、ピストン52の外周面とシリンダ42aの内周面との間を液密にシールしている。
さらに、シリンダ42aにおいて、ピストン52よりも基端側の空間は、装着穴71の底部の内部空間に連通しており、密閉空間となっている。
また、ピストン52の基端面の中央部には、装着穴71の底面71aに向けて突出した当接部52aが形成されており、この当接部52aはコイルスプリング53の中央部に挿入されている。
そして、図3に示すように、ピストン52が弁座部材42の基端側に移動したときには、弁座部材42の基端側の開口部及び弁ハウジング41の基端面41bの開口部41cから当接部52aの基端部が突出し、装着穴71の底面71aに当接することにより、弁座部材42は基端側42dへの移動が制限されている。
第一のチェック弁60は、図2に示すように、可動コア45の基端面に固着されることにより、可動コア45と弁座部材42との間に設けられているガイド部材61と、このガイド部材61に保持されている弁体62とによって形成されている。
また、ガイド部材61の側周壁部には開口部61aが形成されている。
この弁体62は、円盤状の部材の基端面に半球状の封止部62aが突出し、先端面には円柱状の突出部62bが突出した形状となっている。
そして、ガイド部材61が弁座部材42の基端面に当接したときには、弁体62の封止部62aが弁座部材42の開口部42bの開口縁部に圧着され、弁体62によって弁座部材42の開口部42bが封止されている。
このような第一のチェック弁60では、ストロークシミュレータ50のシリンダ42a内のブレーキ液圧から出力液圧路A(分岐路E)のブレーキ液圧を差し引いたときの値が開弁圧以上になったときに開弁するように構成されている。
分離弁31は、図1に示すように、シミュレータ30よりも下流側において出力液圧路Aを開閉するものであって、常開型の電磁弁からなり、開弁状態ではブレーキ液の通流を許容し、閉弁状態では遮断する。
なお、分離弁31を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御部20と電気的に接続されており、制御部20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁するように構成されている。
第二のチェック弁32は、図1に示すように、上流側から下流側へのブレーキ液の流入のみを許容するものであり、分離弁31と並列に設けられている。つまり、第二のチェック弁32は、分離弁31を迂回する流路に設けられており、分離弁31の上流側のブレーキ液圧から下流側のブレーキ液圧を差し引いたときの値が開弁圧以上になったときに開弁するように構成されている。
なお、第二のチェック弁32の開弁圧は、ポンプ6でブレーキ液を吸入する際に、第二のチェック弁32よりも下流側の出力液圧路Aに発生する圧力変動によって開弁しない程度の大きさに設定する。
貯溜室33は、図1に示すように、ポンプ6で吸入されるブレーキ液を貯溜しておくものであり、分離弁31よりも下流側において出力液圧路Aに接続されている。貯溜室の構成に特に制限はないが、本実施形態では、ブレーキ液の出入口を有し底面側が大気開放されているシリンダ、このシリンダ内を摺動するピストン、このピストンをシリンダの底面側に付勢する付勢部材などを備えて構成されている。
この貯溜室33は、ポンプ6を駆動させたときに、付勢部材の付勢力に抗してピストンが出入口側に摺動移動することで、貯溜されていたブレーキ液を出力液圧路Aに供給し、出力液圧路Aを通じてブレーキ液が還流されてきたときには、付勢部材でピストンをシリンダの底面側に摺動移動させることにより、ブレーキ液を貯溜する空間を形成する。
第一の圧力センサ8は、図1に示すように、分離弁31よりも上流側の出力液圧路Aにおいてブレーキ液圧の大きさを計測するものである。
第一の圧力センサ8で計測されるブレーキ液圧は、マスタシリンダM1におけるブレーキ液圧と相関する物理量であるが、実質的には、マスタシリンダM1におけるブレーキ液圧とみなすことができる。
なお、以下の説明においては、第一の圧力センサ8で計測されたブレーキ液圧を「マスタ圧」と称することとする。マスタ圧は、制御部20に随時取り込まれ、連動ブレーキ制御などに用いられる。
本実施形態では、第一の圧力センサ8が分離弁31よりも上流側の出力液圧路Aに設けられているため、分離弁31を閉弁させたときでもマスタ圧を取得することができる。
次に、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置におけるブレーキ制御について説明する。なお、以下の説明においては図1を適宜に参照するものとする。
車両用ブレーキ制御装置では、図示しないエンジンを作動させると、制御部20によってシミュレータ30の分離弁31が閉弁され、シミュレータ30とモジュレータ部10との間で液路(出力液圧路A)が遮断されて分離された状態となる。
このとき、可動コア45に固着されているガイド部材61も固定コア43側に移動し、このガイド部材61に保持されている弁体62が固定コア43側に引き寄せられる。このようにして、第一のチェック弁60の弁体62が弁座部材42の開口部42bから離間するため、弁座部材42の開口部42bが開かれた状態となる。
このとき、シリンダ42aにおいて、ピストン52よりも基端側の空間は、装着穴71の底部の内部空間に連通しており、密閉空間となっているため、ピストン52に対してエアダンパの役割りを果たすことになり、ピストン52に作用しているブレーキ液圧の一部を吸収することになる。
そして、ブレーキ液貯溜室51の拡張量に応じた量のブレーキ液が出力液圧路Aからブレーキ液貯溜室へ流入することにより、ブレーキ操作子L1には、その流出量に応じた操作ストロークが発生するため、ブレーキ操作子L1の操作感覚が確保される。
そして、ポンプ6の作動に伴って、ポンプ6の吸入側は負圧状態となるので、シミュレータ30の貯溜室33及びリザーバ5に貯溜されていたブレーキ液は、ポンプ6に吸引されて吸い出される。
制御部20では、車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧が所定の液圧(例えば、第一の圧力センサ8と同等の液圧)となったか否かが判定され、所定のブレーキ液圧に至るまでポンプ6が作動制御される。
また、制御部20では、車輪ブレーキB1にかかるブレーキ液圧が所定の液圧となったことを判定した場合にはポンプ6を停止する。
このように、分離弁31の上流側のブレーキ液圧から下流側のブレーキ液圧を差し引いた値が第二のチェック弁32の開弁圧以上になると、第二のチェック弁32を通ってブレーキ液が下流側に流入するので、分離弁31よりも下流側のブレーキ液圧(車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧)はブレーキ操作子L1のストローク量に応じて昇圧することになる。
これにより、シリンダ42a内のブレーキ液は、ピストン52によって、開口部42bから弁ハウジング41内の隙間Sに押し出され、弁ハウジング41の開口部41aを通じて分岐路E(出力液圧路A)にブレーキ液が流入する。このようにして、出力液圧路A(分岐路E)の減圧量に応じたブレーキ液が、ストロークシミュレータ50から出力液圧路A(分岐路E)に流入することになる。
そして、貯溜室33にブレーキ液が再び貯溜され、次にポンプ6が作動したときにポンプ6に供給されるブレーキ液として備えられる。
アンチロックブレーキ制御は、車輪がロック状態に陥りそうになったときに実行されるものであり、ロック状態に陥りそうな車輪の車輪ブレーキB1,B2に対応する制御弁手段Vを制御して、車輪ブレーキB1,B2に作用するブレーキ液圧を減圧、増圧或いは一定に保持する状態を適宜に選択することによって実現される。
減圧、増圧及び保持のいずれを選択するかは、図示せぬ車輪速度センサから得られた車輪速度に基づいて、制御部20によって判断される。なお、制御部20では、アンチロックブレーキ制御中は、モジュレータ部10のレギュレータRのカット弁1を閉弁させ、吸入弁4を開弁させる。
連動ブレーキ制御には、後輪のブレーキ系統K2に対応するブレーキ操作子L2の操作に連動して、前輪のブレーキ系統K1に対応する車輪ブレーキB1にブレーキ液圧を付与する制御(以下、「リア連動ブレーキ制御」ということがある)と、前輪のブレーキ系統K1に対応するブレーキ操作子L1の操作に連動して後輪のブレーキ系統K2に対応する車輪ブレーキB2にブレーキ液圧を付与する制御(以下、「フロント連動ブレーキ制御」ということがある。)とが含まれている。
なお、以下の説明において、「リア連動ブレーキ制御」と「フロント連動ブレーキ制御」とを区別しない場合には、「連動ブレーキ制御」と称することとする。
また、リア連動ブレーキ制御とフロント連動ブレーキ制御は、制御対象となるブレーキ系統が異なるだけで、基本的な動作は同一であるので、以下の説明では、リア連動ブレーキ制御について説明し、フロント連動ブレーキ制御の説明は省略する。
制御部20では、後輪のブレーキ系統K2に対応するブレーキ操作子L2の操作に連動して前輪のブレーキ系統K1に対応する車輪ブレーキB1にブレーキ液圧を付与する必要があるか否か、すなわち、連動ブレーキ制御を実行する必要があるか否かを判定する。
なお、車輪液圧路Bのブレーキ液圧が所定の圧力よりも大きくなると、車輪液圧路Bのブレーキ液がレギュレータRを通って出力液圧路Aに逃がされ、車輪液圧路Bのブレーキ液圧が所定の圧力に保たれることになる。
そして、貯溜室33にブレーキ液が再び貯溜され、次にポンプ6が作動したときにポンプ6に供給されるブレーキ液として備えられる。
図示しないエンジンが作動していない状態では、分離弁31をはじめとして全ての電磁弁が消磁された状態となる。つまり、分離弁31、レギュレータRのカット弁1、及び制御弁手段Vの入口弁2が開弁状態となり、電磁弁40、吸入弁4、制御弁手段Vの出口弁3が閉弁となる。したがって、ブレーキ操作子L1の操作力に起因して発生したブレーキ液圧は、そのまま車輪ブレーキB1に作用するようになり、ブレーキ操作子L1の操作力による車輪ブレーキB1の制動が可能となる。
本実施形態の車両用ブレーキ制御装置では、図3に示すように、電磁弁40の弁座部材42の内部に形成されたシリンダ42a及びピストン52によってストロークシミュレータ50が構成されている。さらに、電磁弁40の可動コア45に設けられたガイド部材61に保持された弁体62によって第一のチェック弁60が形成されている。
すなわち、電磁弁40には、ストロークシミュレータ50及び第一のチェック弁60が組み込まれており、電磁弁40、ストロークシミュレータ50及び第一のチェック弁60が単体の部品によって構成されている。そのため、シミュレータ30の部品点数を減らすことができ、シミュレータ30をコンパクトに構成することができるとともに、シミュレータ30の部品コストを安くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
例えば、本実施形態では、図2に示すように、第一のチェック弁60の弁体62は、円盤状の部材の基端面に半球状の封止部62aが突出し、先端面には円柱状の突出部62bが突出している形状となっているが、円球状の弁体を用いることもできる。この構成では、弁体の加工が容易であるため、部品コストを安くすることができる。
2 入口弁
3 出口弁
4 吸入弁
5 リザーバ
6 ポンプ
7 モータ
8 第一の圧力センサ
9 第二の圧力センサ
10 モジュレータ部
20 制御部
30 シミュレータ
31 分離弁
33 貯溜室
40 電磁弁
41 弁ハウジング
41a 開口部
42 弁座部材
42a シリンダ
43 固定コア
44 電磁コイル
45 可動コア
50 ストロークシミュレータ
51 ブレーキ液貯溜室
52 ピストン
52a 当接部
60 チェック弁
61 ガイド部材
62 弁体
70 基体
71 装着穴
71a 底面
B1 前輪の車輪ブレーキ
B2 後輪の車輪ブレーキ
K1 前輪のブレーキ系統
K2 後輪のブレーキ系統
L1 前輪のブレーキ操作子
L2 後輪のブレーキ操作子
M1 前輪のマスタシリンダ
M2 後輪のマスタシリンダ
R レギュレータ部
V 制御弁手段
A 出力液圧路(液圧路)
B 車輪液圧路(液圧路)
E 分岐路
Claims (5)
- 操作子の操作反力を、前記操作子に擬似的に付与するシミュレータであって、
液圧路に連通する開口部が形成されている筒状の弁ハウジングと、
前記弁ハウジングの基端側の内部に装着される弁座部材と、
前記弁ハウジングの先端側の内部に固着される固定コアと、
前記弁ハウジングの内部であって、前記弁座部材と前記固定コアとの間に摺動自在に装着され、前記弁座部材側に付勢されている可動コアと、
前記可動コアと前記弁座部材との間に設けられ、前記弁座部材に形成された開口部を封止している弁体と、
前記弁ハウジングの外部で前記固定コアを囲繞する位置に設けられた電磁コイルと、
前記弁座部材の内部に形成されたストロークシミュレータと、を備え、
前記ストロークシミュレータは、
前記弁座部材の内部に形成された空洞部であるシリンダと、
前記シリンダの内部に摺動自在に装着され、前記シリンダの内部に液貯溜室を画成し、前記液貯溜室側に付勢されているピストンと、から構成され、
前記電磁コイルが励磁され、前記可動コアが前記固定コアに吸引されて移動することで、前記弁体によって封止されていた前記弁座部材の開口部が開かれ、前記液貯溜室に液が流入して前記ピストンを押圧することにより、前記操作子の操作力に応じた操作反力が前記操作子に作用するように構成されていることを特徴とするシミュレータ。 - 前記可動コアは、前記弁体を移動自在に保持しているガイド部材を備えており、
前記弁体を前記弁座部材側に付勢することにより、前記シリンダ側から前記液圧路側への液の流入のみを許容するチェック弁が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシミュレータ。 - マスタシリンダに通じる液圧路を有するブレーキ系統と、
ブレーキ操作子の操作反力を、前記ブレーキ操作子に擬似的に付与するシミュレータと、
前記シミュレータで計測された前記液圧路のブレーキ液圧に基づいて、車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧を制御する制御部と、を備えている車両用ブレーキ制御装置であって、
前記シミュレータは、
前記液圧路に設けられた電磁弁と、
前記ブレーキ操作子の操作力に応じた操作反力を前記ブレーキ操作子に作用させるストロークシミュレータと、から構成され、
前記電磁弁は、
前記液圧路に連通する開口部が形成されている筒状の弁ハウジングと、
前記弁ハウジングの基端側の内部に装着される弁座部材と、
前記弁ハウジングの先端側の内部に固着される固定コアと、
前記弁ハウジングの内部であって、前記弁座部材と前記固定コアとの間に摺動自在に装着され、前記弁座部材側に付勢されている可動コアと、
前記可動コアと前記弁座部材との間に設けられ、前記弁座部材に形成された開口部を封止している弁体と、
前記弁ハウジングの外部で前記固定コアを囲繞する位置に設けられた電磁コイルと、を備え、
前記電磁コイルが励磁されることにより、前記可動コアが前記固定コアに吸引されて移動するように構成され、
前記ストロークシミュレータは、前記弁座部材の内部に形成されており、
前記弁座部材の内部に形成された空洞部であるシリンダと、
前記シリンダの内部に摺動自在に装着され、前記シリンダの内部にブレーキ液貯溜室を画成し、前記ブレーキ液貯溜室側に付勢されているピストンと、から構成され、
前記可動コアが前記固定コアに吸引されて移動することにより、前記弁体によって封止されていた前記弁座部材の開口部が開かれて、前記ブレーキ液貯溜室にブレーキ液が流入するように構成されていることを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記可動コアは、前記弁体を移動自在に保持しているガイド部材を備えており、
前記弁体を前記弁座部材側に付勢することにより、前記ストロークシミュレータ側から前記液圧路側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 前記弁ハウジングの基端面は、前記シミュレータが取り付けられる基体に設けられた有底の装着穴の底面に対峙しており、
前記弁座部材の開口部から前記ブレーキ液貯溜室に流入したブレーキ液のブレーキ液圧によって、前記弁ハウジングの基端側に移動した前記ピストンが、前記装着穴の底面に当接するように構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用ブレーキ制御装置。
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