JP4727840B2 - 加工性及び耐食性に優れた被覆鋼板、並びにその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性及び耐食性に優れた被覆鋼板に関するものであり、特に自動車用鋼板などとして好適な加工性及び耐食性に優れる被覆鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車用鋼板としては、一般的に、めっき処理などの表面処理を施しためっき鋼板や圧延鋼板等が使用されている。これらの自動車鋼板には、ルーフ、フェンダー、ドアなどに成形する際の加工性や、自然環境下で長期間劣化しないという耐食性の他、耐衝撃性などが要求される。
【0003】
前記めっき鋼板としては、例えば、亜鉛系めっきを鋼板表面に形成した溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板などの亜鉛めっき鋼板があり、耐食性に優れていることが知られている。
【0004】
しかしながら、これらの亜鉛めっき鋼板は、耐食性には優れるものの、コストが高くなるという問題の他、例えば、突合せ溶接を行なう部分では、溶接中に亜鉛が蒸発して、溶接部分に気泡が発生するために、溶接不良を起こす場合がある。また、自動車部品に組み立てる際のスポット溶接では、低融点の亜鉛めっきが溶接中に溶融して、通電径を拡大し、ナゲット形成に必要なジュール熱が得られず、溶接ができなくなる(電極寿命が短い)等の問題が指摘されている。また、さらにプレス加工をする際には、めっきの剥離という問題が発生しやすく、素地が露出することによって、腐食が進むという問題もある。
【0005】
一方、冷延鋼板や熱延鋼板等の圧延鋼板は、その表面にリン酸塩皮膜処理やクロメート処理(化成処理)等を施した後、電着塗装することにより、自動車外板として、また、各種メンバー類等の補強部材や足回り部品などとして使用されており、これらの化成処理によって塗膜の密着性や耐久性が向上し、鋼板の耐食性も向上することが知られている。特に最近では、車体の軽量化による燃費向上とそれに伴う排ガスの低減化という点、或いは、衝突安全規制の強化及びローコストという点等から、薄肉で高強度の圧延鋼板の需要が増えて来ている。
【0006】
耐食性を改善する他の方法としては、例えば、特開平4−141554号公報には、鋼板そのものの耐食性を改善する方法が開示されているが、鋼板中にCu、Ni、Ti等の元素を相当量含有させるので原料コストが高くなるだけでなく、加工性が低下することが考えられる。また、耐食性についてもまだ十分とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
高強度の圧延鋼板は、降伏強度が高く、伸びや伸びフランジ性に劣るため、プレス加工の際に割れが発生しやすいという問題がある。また、軟鋼の場合でも難成形性部品を加工する場合、材料特性や塗油のばらつき、金型の型調整のばらつきなどによっては、加工割れを起こすことがあり、鋼板の加工性を向上することは、自動車メーカーにとって重要な課題である。
【0008】
この様な状況の下、冷延鋼板または熱延鋼板の加工性の改善については、潤滑性の良好な潤滑油やプレス油を塗布するといった方法も採用されている。しかし、この方法では、潤滑油等の流体を使用することから、塗布量の不均一化や油分の蒸発が避けられず、必ずしも安定した加工性が得られないという問題がある。また、潤滑効果の安定性を高めるために、使用する油分の粘性を高めたり、極圧添加剤の添加等も試みられているが、これらの方法を採用すると、プレス加工後に実施する脱脂が困難となり、化成処理不良や塗装不良などが発生するという障害が生じている。
【0009】
また、めっきを実施しない圧延鋼板の場合、めっき鋼板ほど耐食性が十分とは言えず、特に需要の増えている高強度で薄肉の鋼板は、腐食すると板厚がさらに薄くなるので、その強度が低下するという場合もある。特に最近では、自動車車体の軽量化や塗装材料の耐久性、美観の向上が一層強く求められ、塗装鋼板の耐食性の向上が求められているが、単に化成処理を施した後に、塗装を行なう従来の塗装鋼板の耐食性では満足できなくなっている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低い製造コストで、塗装性や溶接性を低下することなく被覆鋼板の加工性及び耐食性を改善することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工性及び耐食性に優れる被覆鋼板とは、素地鋼板表面にシリカを含有するリン酸塩皮膜を被覆した鋼板であって、前記リン酸塩皮膜の鋼板表面への付着量は、0.05〜3g/m2であることろに要旨を有する。前記リン酸塩皮膜は、リン酸塩100質量部に対し1〜30質量部のシリカを含有することが好ましい。また、前記リン酸塩皮膜は、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種を金属塩の金属成分として0.3〜25質量%含有することが望ましい。さらに、前記シリカの平均粒子径は、120nm以下であることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する素地鋼板(原板)は、熱延鋼板又は冷延鋼板のどちらでも使用することができる。前記鋼板の種類は、特に限定されず、例えば、軟質鋼板、高強度鋼板、アルミキルド鋼板、Ti添加IF鋼板、Nb添加IF鋼板、C−Mn系高強度鋼板等が挙げられる。めっき鋼板は含まない。
【0013】
また、鋼板の化学組成も、特に限定されることなく、C、Mn及び不可避残部の他,強度や金属組織に応じて、あるいは、更に耐食性を付与するためにSi、P、S、Al、Ti、Cr、Nb、Cu、Ni、Zr、V、B、Mo等を一般に用いられる範囲で含有することができる。
【0014】
本発明の被覆鋼板の表面を被覆するリン酸塩皮膜は、リン酸塩とシリカを必須成分として含有する。前記リン酸塩皮膜の鋼板表面の付着量は、0.05g/m2以上、好ましくは0.1g/m2以上、より好ましくは0.5g/m2以上であり、3g/m2以下、好ましくは2g/m2以下、より好ましくは1.5g/m2以下である。前記リン酸塩皮膜の付着量が0.05g/m2未満であると、鋼板の耐食性や加工性が低下し、付着量が3g/m2を超えると曲げ等による変形抵抗が高くなるために、加工性が低下するからである。
【0015】
本発明において、「加工性」とは、一般的なプレス加工時の深絞り性、張出し性、伸びフランジ性、曲げ性等の他、特に、プレス成形時に鋼板摺動部で発生する熱や圧力によって、該摺動部に施した皮膜組成物(例えばリン酸塩皮膜層)と金型面との間に凝着が生じず、鋼板に割れが生じない(割れ性)ということである。また、本発明において、「耐食性」とは、鋼板が、酸化や硫化などによって劣化を受けにくいことである。
【0016】
本発明において、シリカを含有するリン酸塩皮膜で鋼板表面を被覆することによって加工性が向上するメカニズムについては、明らかではないが、シリカを含有させることによって、低面圧から高面圧のプレス加工におけるプレス油の保持効果が高まり、その結果、金型と鋼板表面との潤滑性が高まるためと推定される。また、耐食性が向上するのは、シリカを含有するリン酸塩皮膜で鋼板表面を被覆することによって、腐食要因である水分子や塩素イオンの拡散を抑制し、腐食速度を遅くする傾向があるためと推定される。
【0017】
本発明の被覆鋼板は、さらに化成処理、電着塗装を行ない、例えば、自動車用外板として用いることができるが、シリカを含有するリン酸塩皮膜で鋼板表面を被覆しておくことにより、塗装後の鋼板の耐食性についても向上することができる。塗装後の耐食性が改善される理由についても明らかではないが、塗膜欠陥部付近のカソード反応を抑制する効果があるためと考えられる。
【0018】
前記リン酸塩皮膜の必須成分であるリン酸塩は、特に限定されず、例えばホパイト[Zn3(PO4)2・4H2O]、ホスホフィライト[Zn2Fe(PO4)2]等のリン酸亜鉛系;[CaZn2(PO4)2・2H2O]の様なリン酸亜鉛‐カルシウム系;[(Mn,Fe)5H2(PO4)4・4H2O]の様なリン酸マンガン系;[Fe3(PO4)2・8H2O]の様なリン酸鉄系などが挙げられ、耐食性や塗料密着性を特に向上するという点から、ホパイト、ホスホフィライト等のリン酸亜鉛系が特に好ましい。前記リン酸塩は、単独で或いは2種類以上を組合せて用いることができる。
【0019】
前記リン酸塩皮膜に含有されるシリカの種類についても、特に限定されず、例えば、完全結晶化した乾式シリカ、水分散型シリカ(コロイダルシリカ)などを用いることができ、特にコロイダルシリカの使用は、水分散タイプのために配合が容易になるので好ましい。また、前記シリカの平均粒子径は、120nm以下であることが好ましい。平均粒子径が120nmを超えると、耐食性が低下する傾向があるからである。前記シリカの平均粒子径は、光散乱強度測定法によって求めることができる。
【0020】
前記リン酸塩皮膜中の前記シリカの含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記リン酸塩100質量部に対して1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であって、30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。前記シリカの含有量が、1質量部未満では、加工性及び耐食性の向上効果がともに極めて小さく、また30質量部を超えると、リン酸塩皮膜中に含有されるシリカの割合が高くなるために、皮膜が脆くなり、鋼板加工時にリン酸塩皮膜にクラックが入りやすくなったり、リン酸塩皮膜の剥離が生じやすくなるので好ましくない。
【0021】
前記リン酸塩皮膜は、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種を金属塩の金属成分として含むことが好ましい。この金属成分は、必須成分であるリン酸塩の金属成分とさらに耐食性を向上させるために添加される金属塩の金属成分のいずれか、或いは両方の金属成分に由来するものである。
【0022】
さらに耐食性を向上させるために添加される前記金属塩としては、特に限定されないが、例えば、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の無機酸又は有機酸などの塩が挙げられ、Mg、Zn、Al、Zr、La、Li等と硫酸若しくはリン酸との金属塩が特に好ましく、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸リチウム、リン酸ニッケル、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタン、硫酸ジルコニウム、硫酸ランタノイド、硫酸セシウム、、硫酸銅などが挙げられる。Mg、Zn、Al、Ce、Li、Ca等の金属成分は腐食先端でのpHの低下を抑制することによって、またTi、Zr、La、Cu、Ni等の金属成分は腐食生成物の緻密化により腐食の進行を抑制して、耐食性を向上するものと推定される。
【0023】
また、前記リン酸塩皮膜は、さらに加工性や塗装性等を向上するために、Mn、Fe、Coなどを含有しても良い。前記金属塩は、例えば、必須成分であるリン酸塩とシリカの配合時に添加することができる。
【0024】
前記金属成分(リン酸塩及び/又は耐食性向上金属塩の金属成分)は、前記リン酸塩皮膜中に、0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有される。0.3質量%未満では、耐食性向上効果が極めて小さく、25質量%を超えるとリン酸塩皮膜の比率が小さくなるために、鋼板と電着塗装との密着性改善効果が小さくなるために好ましくない。前記リン酸塩皮膜中に含有される金属成分の含有量は、例えば、蛍光X線分析法、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法等の定量分析法を用いて測定することができる。
【0025】
次に、前記リン酸塩皮膜の鋼板表面への被覆方法について説明するが、特に下記方法に限定されるものではない。まず、リン酸塩、コロイダルシリカ及び水とを配合したリン酸塩皮膜処理液を作製する。さらに耐食性を向上させる場合には、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む金属塩を前記リン酸塩皮膜処理液に配合する。前記リン酸塩皮膜処理液を鋼板表面に塗布した後、または、鋼板を当該処理液に浸漬処理した後、乾燥させることにより、鋼板表面をシリカを含有するリン酸塩皮膜で被覆することができる。前記乾燥の温度は、特に限定されず、50℃以上、好ましくは80℃以上であって、150℃以下、好ましくは100℃以下の温度とすることが望ましい。また、前記リン酸塩皮膜中にシリカを均一に分散するためには、塗布型の被覆方法を採用することが好ましい。
【0026】
シリカを含有するリン酸塩皮膜処理を施した本発明の被覆鋼板は、造船、石油輸送管、大型構造物、自動車フレーム、自動車用外板、スチール家具、家庭電気製品等の用途に使用され得るが、特に高度な加工性や耐食性が要求される自動車用鋼板に好適である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
[評価方法]
(1)加工性
供試材に防錆油を塗布し(1.5g/m2)、平面工具引き抜き試験を以下の条件で行ない、摩擦係数μを測定することにより評価した。
工具:平面工具(18×18mm)
加圧力:30MPa
摺動速度:300mm/min
摺動距離:150mm
摩擦係数μの判断基準:摩擦係数が小さい程、鋼板表面と金型の潤滑性に優れるので、プレス加工性に優れることを意味する。
◎:μ<0.10
○:0.10≦μ<0.13
×:0.13≦μ
【0029】
(2)耐食性
▲1▼裸耐食性
供試材について、塩水、乾燥、湿潤の腐食環境サイクルを1日3サイクル行なう腐食試験を30日間実施し、供試材の最大侵食深さによって評価を行なった。最大侵食深さの判断基準:最大侵食深さの小さい程、鋼板表面の劣化を受けにくく耐食性に優れることを意味する。
◎:400μm未満
○:400μm以上、600μm未満
×:600μm以上
【0030】
▲2▼電着塗装後耐食性
供試材の中心付近にカッターナイフを用いて、長さ80mmで60度の角度で交差するように2本の傷(以下、「クロスカット」という)をつける。前記クロスカットは、塗膜を貫通して素地鋼板に届く様に行なった。その後、クロスカットした供試材について、塩水、乾燥、湿潤の腐食環境サイクルを1日3サイクル行なう腐食試験を60日間実施した。評価は、図1に示した様にクロスカット部2と塗膜が膨れた部分3との片側最大膨れ幅4にて評価した。
片側最大膨れ幅の判断基準:最大膨れ幅が小さい程、塗膜の密着性や耐久性に優れるので、塗装後耐食性に優れることを意味する。
◎:4.0mm未満
○:4.0mm以上、5.0mm未満
×:5.0mm以上
【0031】
(3)金属元素量及びシリカの測定
供試材のリン酸塩皮膜を5%無水クロム酸溶液にて溶解して、セイコー電子(株)製ICP発光分光分析装置を用いてシリカ、およびMg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Ca等の含有量を測定した。
【0032】
[試験片の作製及び評価]
▲1▼リン酸塩皮膜処理
表1および表2の処方に基づき、リン酸塩、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製)、水、及びMg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Ca等の金属塩を添加し、リン酸塩皮膜処理液を調整した。前記リン酸塩皮膜処理液を原板の表面に塗布し、乾燥させた後、供試材とした。原板としては、440MPa級の冷延鋼板(板厚1.2mm)及び熱延鋼板(板厚1.8mm)を用いた。
【0033】
▲2▼電着塗装処理
▲1▼で得られた供試材について、さらに自動車外板用のリン酸塩処理を施した後、カチオン型電着塗装、中塗り、上塗り塗装を行ない、塗装後耐食性試験の供試材とした。
電着塗装:カチオン型PT−U80(日本ペイント製)
中塗り:ESプライマーTP−65−2(関西ペイント製)
上塗り:エオアミラックNo.6000改2(日本ペイント製)
【0034】
▲1▼及び▲2▼で得られた供試材について、加工性、耐食性について試験を行なった。その結果を表1および表2に示した。素地鋼板表面へのリン酸塩皮膜の付着量は、リン酸塩皮膜処理前後の鋼板の重量変化により求め、リン酸塩皮膜中に含有される金属元素の量についてはICP発光分析法により測定した。
【0035】
【表1】
Figure 0004727840
【0036】
表1より、本発明の被覆鋼板は、加工性、裸耐食性、電着塗装後の耐食性に優れていることが分かる。実施例4、9及び実施例12等の場合の様に、シリカの平均粒子径が150nmになると、耐食性が少し低下するような傾向が認められるので、シリカの平均粒子径は、120nm以下であることが好ましい。また、実施例16や実施例20のように、リン酸塩皮膜中に含まれる金属成分の量が25質量%を超えている場合には、電着塗装後の耐食性が低下する傾向が認められるので、リン酸塩皮膜中に含まれる金属成分は、25質量%以下であることが望ましい。
【0037】
【表2】
Figure 0004727840
【0038】
比較例1、3、8及び9では、リン酸塩皮膜はシリカを含有しているものの、加工性、耐食性のいずれも低下した。これは、リン酸塩皮膜の付着量が少なすぎるために、その改善効果が小さいためと考えられる。比較例2、4、10及び11においても、加工性が低下しているが、これは、逆にリン酸塩皮膜の付着量が多すぎるために、鋼板表面が硬質化し、変形抵抗が高くなり、加工性が低下したものと考えられる。
【0039】
比較例5〜7は、シリカを含まないリン酸塩皮膜処理をした場合であり、シリカを含まない場合には、裸耐食性、電着塗装後の耐食性のいずれも悪くなった。この結果より、本発明におけるリン酸塩皮膜処理は、シリカを必須成分として含有することが極めて重要であるということがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の被覆鋼板は、以上の様に構成されており、素地鋼板表面にシリカを含有するリン酸塩皮膜を処理することにより、加工性、耐食性の両特性に優れる被覆鋼板を提供することができた。また、本発明の被覆鋼板は、さらに溶接性や塗装性にも優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電着塗装後の耐食性テストの試験結果例である。
【符号の説明】
1:電着塗装後の供試体
2:クロスカット
3:塗膜が膨れた部分
4:片側最大膨れ幅

Claims (8)

  1. 熱延鋼板又は冷延鋼板の素地鋼板表面に、シリカを含有するリン酸塩皮膜を被覆した鋼板であって、
    前記リン酸塩皮膜は、リン酸塩、シリカ及び水を配合したリン酸塩皮膜処理液を鋼板表面に塗布した後、又は、前記リン酸塩皮膜処理液に鋼板を浸漬処理した後、乾燥させることによって形成されるものであり、
    前記リン酸塩皮膜の鋼板表面への付着量が、0.05〜3g/m2であることを特徴とする加工性及び耐食性に優れた被覆鋼板。
  2. 前記リン酸塩皮膜は、リン酸塩100質量部に対し1〜30質量部のシリカを含むものである請求項1に記載の被覆鋼板。
  3. 前記リン酸塩皮膜は、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種を金属塩の金属成分として0.3〜25質量%含有している請求項1又は2に記載の被覆鋼板。
  4. 前記シリカの平均粒子径は、120nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の被覆鋼板。
  5. 加工性及び耐食性に優れた被覆鋼板の製造方法であって、
    熱延鋼板又は冷延鋼板の素地鋼板表面にリン酸塩、シリカおよび水を配合したリン酸塩皮膜処理液を塗布した後、又は、前記リン酸塩皮膜処理液に前記素地鋼板を浸漬処理した後、乾燥させることによって、付着量が0.05〜3g/m 2 のリン酸塩皮膜が被覆された被覆鋼板を製造することを特徴とする被覆鋼板の製造方法。
  6. 前記リン酸塩皮膜は、リン酸塩100質量部に対し1〜30質量部のシリカを含むものである請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記リン酸塩皮膜は、Mg、Zn、Al、Ti、Zr、La、Ce、Li、Cu、Ni、Caよりなる群から選ばれる少なくとも1種を金属塩の金属成分として0.3〜25質量%含有している請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 前記シリカの平均粒子径は、120nm以下である請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
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