JPH10183368A - 溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板 - Google Patents

溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板

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JPH10183368A
JPH10183368A JP16025497A JP16025497A JPH10183368A JP H10183368 A JPH10183368 A JP H10183368A JP 16025497 A JP16025497 A JP 16025497A JP 16025497 A JP16025497 A JP 16025497A JP H10183368 A JPH10183368 A JP H10183368A
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resin
weldability
steel sheet
corrosion resistance
chromate film
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JP16025497A
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Masahiro Fuda
雅裕 布田
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Jun Maki
純 真木
Takayuki Omori
隆之 大森
Nobuyoshi Okada
伸義 岡田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 良好な溶接性、耐食性、プレス成形性を有す
る自動車燃料タンク用溶融アルミめっき鋼板を提供す
る。 【解決手段】 重量%でSi:2〜13%をめっき層中
に含有する両面溶融アルミめっき鋼板の片方の面に、膜
厚が0.1〜2μmであるような有機樹脂クロメート皮
膜を有し、かつ他方の面には、無機系クロメート皮膜も
しくは有機リン酸あるいは/更に微量の有機樹脂を含有
したクロメート皮膜を金属クロム換算で200mg/m
2 以下被覆したこと、あるいは、樹脂クロメート皮膜と
アルミめっき層の間に無機系クロメート皮膜もしくは有
機リン酸あるいは/更に微量の有機樹脂を含有したクロ
メート皮膜を金属クロム換算で100mg/m2 以下被
覆したことを特徴とする、溶接性および耐食性に優れた
燃料タンク用防錆鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の燃料タン
ク用鋼板として優れた溶接性及び耐食性を有する防錆鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の燃料タンクは、車体のデザイン
に合わせて最後に設計されることが通常で、その形状は
近年益々複雑になる傾向にある。また、燃料タンクは自
動車の重要保安部品であるため、その使用材料には、優
れた深絞り特性は勿論のこと、成形後の衝撃による耐割
れ性が良いことも要求される。これに加えて、フィルタ
ー目詰まりに繋がるような腐食生成物が無く、穴あき腐
食の懸念のない材料で、しかも容易に安定して溶接でき
る材料であることが重要である。
【0003】これら様々な特性を有する材料として、従
来よりターンシートと称されるPb−Sn合金めっき鋼
板(特公昭57−61833号公報)が自動車燃料タン
ク素材として幅広く使用されてきている。この材料はガ
ソリンに対して安定な化学的性質を有し、かつめっきが
潤滑性に優れるためプレス成形性に優れ、またスポット
溶接やシーム溶接等の抵抗溶接性にも優れている。これ
以外にも亜鉛めっき鋼板に高付着量クロメート処理を施
した素材も使用されており、Pb−Sn合金程ではない
が、やはり優れた加工性、耐食性を有している。しか
し、近年環境への負荷という意味から鉛を使用しない材
料が求められている。
【0004】このような鉛を使用せず、良好な耐食性及
び加工性を有する素材の一つが、アルミ(Al−Si
系)めっき鋼板である。アルミめっきはその表面に安定
な酸化皮膜が形成されるため、ガソリンを始めとして、
アルコールやガソリンが劣化した際に生じる有機酸に対
し、良好な耐食性を示す。しかしながら、アルミめっき
鋼板を燃料タンク材料として使用する際に、課題が幾つ
かある。その一つは加工性で、アルミめっき鋼板は被覆
層と鋼板との界面に生成する非常に硬質なFe−Al−
Siの金属間化合物(以下、合金層と称する)のため、
この部分を起点としてめっき剥離やめっきのクラックを
生じやすい。
【0005】この課題に対して本発明者らは特願平7−
329193号において、めっき後の冷却速度、再加熱
により解決できることを提示した。もう一つの課題は溶
接性である。すなわち、アルミめっき鋼板はスポット溶
接やシーム溶接等の抵抗溶接は可能であるが、被覆金属
のAlは通常電極として使用されるCuとの親和性が高
く、溶接時に電極表面に脆いAl−CuもしくはAl−
Cu−Fe合金を形成し、これが連続作業中に次第に欠
損していって早期に溶接不良に陥るといった問題を有し
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の溶接
性の課題を解決し、しかも、Pbを使用せずに有機物環
境における優れた耐食性を備える、新しい燃料タンク用
防錆鋼板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミめ
っき鋼板の抵抗溶接性を改善するため種々検討を重ねた
結果、アルミめっき鋼板の表面に、例えば酸化皮膜、ク
ロメート皮膜、有機樹脂皮膜等を施すことで溶接性が大
幅に向上するということを知見した。この作用は、皮膜
による鋼板間の接触抵抗値が上昇し、その結果、低い溶
接電流でも鋼板間で充分な発熱による溶接ナゲット形成
が促進されることと、皮膜があることで、前述した溶接
電極チップとめっき金属との反応を抑制することによる
電極寿命の長命化できることを知見した。最も効果があ
るのは、有機樹脂皮膜をアルミめっき鋼板両面に塗布し
た材料であるが、両面とも有機樹脂を被覆するため、通
常の無機系クロメート処理よりも処理コストが高くなる
ことや、相応の処理設備(ロールコーター、静電塗布装
置等々)が両面に必要になってくる。また、比較的高い
温度で硬化可能な乾燥炉も必要である。
【0008】本発明は、処理コストと溶接性を適度に両
立させることを目標に開発した処理である、すなわち、
鋼板の一方の面に樹脂を主成分としたクロム酸との複合
皮膜(以下、樹脂クロメート皮膜と称する)を適正な膜
厚に施し、また、他方の面には、クロム酸とシリカから
なる無機系クロメート皮膜や、有機リン酸と微量の樹脂
の少なくとも1種を含有した無機系クロメート皮膜を実
施したもの、あるいは、その樹脂クロメート皮膜とめっ
き層との間に無機クロメート皮膜や有機リン酸と微量の
樹脂の少なくとも1種を含有した無機系クロメート皮膜
を施すことである。この処理は、耐食性とスポット溶
接、シーム溶接等の抵抗溶接一般の両方に対して、比較
的低コストで効果を発揮することを知見し完成したもの
である。
【0009】また、樹脂クロメート皮膜は通常の状態で
も充分な耐食性を発揮するが、より耐食性を向上させる
ためには、樹脂クロメート皮膜とめっき層界面に無機系
クロメート処理を施すことも可能である。例えば、アル
ミめっき層に深い加工疵が発生した場合、皮膜中のクロ
ム酸の溶出が樹脂によって抑えられるため、無機系クロ
メートに比べ防錆能力が発揮されない場合があり、環境
によっては疵部より発錆し易くなる場合がある。この処
理を施すことで、前述したような良好な抵抗溶接性に加
え、さらに耐食性能を向上することができることも知見
したのである。
【0010】本発明は、以上のような考え、知見に基づ
いて得られたもので、本発明の要旨は、 (1)重量%でSi:2〜13%をめっき層中に含有す
る両面溶融アルミめっき鋼板の片方の面に、膜厚が0.
1〜2μmである樹脂クロメート皮膜を有し、かつ他方
の面には無機系クロメート皮膜を金属クロム換算で20
0mg/m2 以下被覆したことを特徴とする、溶接性及
び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。 (2)重量%でSi:2〜13%をめっき層中に含有す
る両面溶融アルミめっき鋼板の片方の面に、膜厚が0.
1〜2μmである樹脂クロメート皮膜を有し、かつ他方
の面には、有機リン酸と微量の樹脂の少なくとも1種を
含有した無機系クロメート皮膜を金属クロム換算で20
0mg/m2 以下被覆したことを特徴とする、溶接性及
び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。
【0011】(3)樹脂クロメート皮膜とアルミめっき
層の間に、無機系クロメート皮膜を金属クロム換算で1
00mg/m2 以下被覆したことを特徴とする、前記
(1)または(2)に記載の溶接性及び耐食性に優れた
燃料タンク用防錆鋼板。 (4)樹脂クロメート皮膜とアルミめっき層の間に、有
機リン酸と微量の樹脂の少なくとも1種を含有した無機
系クロメート皮膜を金属クロム換算で100mg/m2
以下被覆したことを特徴とする、前記(1)または
(2)に記載の溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用
防錆鋼板。 (5)アルミ系めっき層の付着量が片面当たり60g/
2 以下である前記(1)〜(4)に記載の溶接性及び
耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
よる樹脂クロメート皮膜の効果は完全に解明されていな
いが、単なる樹脂塗布による接触抵抗値増大以外のCr
の効果があるものと推定している。樹脂クロメート処理
はCrを水溶液として供給するもので、塗膜中のCrの
分布が均一になっており、このことも溶接性向上に寄与
していると考えられる。また、標準的な有機塗装処理で
あるクロメート処理後の樹脂塗装処理に比べて工程が少
なく、コスト上も有利な処理である。さらには、低温で
硬化可能な樹脂を使用することにより特別な乾燥炉を必
要とせず、従来のクロメート処理設備で処理可能である
という利点も有する。更にはCrを含んでいる分、単な
る樹脂塗布よりも耐食性に優れる。
【0013】一方、無機系クロメートは、クロム酸を主
成分とし、シリカやリン酸を含有するタイプで、樹脂塗
装や樹脂クロメートに比較して、低コストで処理できる
こと、耐食性もある程度兼ね備えていること、および鋼
板間の接触抵抗値の増大や溶接電極とめっき金属との反
応抑制効果もあることから、両面樹脂クロメート処理材
よりやや溶接性は劣るものの、充分に実用できる処理で
ある。更に、有機リン酸と樹脂の少なくとも1種を微量
含有したクロメート皮膜は、上記無機クロメートよりも
耐食性に優れる。この皮膜は、クロム酸−シリカを主成
分とし、有機リン酸/クロム酸濃度比≦1、有機樹脂/
クロム酸濃度比≦1の処理液から得られるものである。
【0014】本発明においては、めっきの後工程で片面
樹脂クロメート処理を行うものとする。本処理は主とし
て溶接性を目的としたものであるが、樹脂クロメート皮
膜は潤滑性を有するため加工性も向上する利点がある。
樹脂クロメート皮膜の限定理由であるが、樹脂クロメー
ト皮膜中には、主構成成分のクロム酸、樹脂以外に、耐
食性向上の目的からシリカ、クロメートの黄色さを低下
させる目的からリン酸等を添加することが可能である。
【0015】樹脂クロメート皮膜の膜厚は、0.1〜2
μmに限定する。0.1μm未満では樹脂として健全な
膜を形成することが不可能で、抵抗溶接性への寄与も充
分でなく、2μm超では接触抵抗値が増大しすぎて電極
と鋼板、あるいは鋼板と鋼板の導通が妨げられて、導通
不良等を生じる。本発明において樹脂クロメート皮膜の
組成は特に定めないが、樹脂/クロム酸比が異なると皮
膜の性能は変化する。例えば樹脂/クロム酸比が小さい
と適正な接触抵抗値が得られずに溶接性に劣る傾向にあ
る。一方、樹脂/クロム酸比が大きいと、単独皮膜の場
合耐食性に劣り、また溶接性もやや劣化する。従って、
樹脂/クロム酸比は1〜8程度が好ましい。
【0016】本発明において使用可能な樹脂としては、
例えば、アクリル酸または/及びメタクリル酸エステ
ル,カルボン酸ビニルエステル,ビニルエーテル,スチ
レン,アクリルアミド,アクリロニトリル,ハロゲン化
ビニルなどのエチレン系不飽和化合物及びエポキシ,ウ
レタン,ポリエステル等がある。前述したように、これ
らの中でもとりわけ従来のクロメート設備を使用する場
合には、低温焼付可能なエマルジョンタイプの樹脂が望
ましい。これらの樹脂は主として単独で使用されるが、
2種以上を複合添加して使用しても構わない。また、樹
脂中に例えば少量の潤滑剤、防錆顔料等を添加すること
は、何ら本発明の趣旨を損なうものではない。
【0017】本発明においては、めっきの後工程で上記
の樹脂クロメート処理を行うものであるが、その製造方
法は、塗布、浸漬、スプレーなど公知の方法で可能であ
る。また、無機系クロメート処理皮膜の厚みは、金属ク
ロム換算で200mg/m 2 以下とする。この範囲で良
好な抵抗溶接性が得られるが、75mg/m2 以上12
0mg/m2 以下では、さらに良好な抵抗溶接性が得ら
れる。付着量が200mg/m2 超だと、絶縁性が高く
なり溶接性が劣化する。逆に少なすぎても電極とめっき
の反応抑制効果が不安定で、やはり溶接性低下を招くこ
とがある。クロム付着量は10〜200mg/m2 が望
ましい。
【0018】また、樹脂クロメート皮膜とアルミめっき
層の間に無機系クロメート皮膜を施すことが望ましい。
この場合には、金属クロム換算で100mg/m2 以下
とする。100mg/m2 を超えると耐食性の効果が飽
和するとともに、樹脂クロメート皮膜厚みと加えた皮膜
厚みが増大するため接触抵抗値が高くなり、溶接性に悪
影響を及ぼす。無機系クロメート皮膜の組成は特に定め
ないが、クロム酸−シリカ混合液で可であり、更にリン
酸或いはホスホン酸及びホスホン酸塩化化合物等の有機
リン酸、樹脂の少なくとも1種以上を添加しても良い。
但し、有機リン酸や樹脂の添加量が多すぎるとコスト的
な負担が増すと共に効果(耐食性向上など)が飽和して
しまう。有機リン酸/クロム酸濃度比≦1、樹脂/クロ
ム酸濃度比≦1で良い。
【0019】次に、めっき層の限定理由を説明する。め
っき被覆層中のSi添加量であるが、この元素は通常合
金層を薄くする目的から10重量%程度添加されてい
る。溶融アルミめっきで生成する合金層は非常に硬質
で、かつ脆性であるために破壊の起点となりやすく、鋼
板自体の延性も阻害する。通常の2〜3μm程度の合金
層でも延性は3ポイント程度低下する。従って、この合
金層は薄ければ薄いほど加工に対して有利に働く。Si
は2重量%以上添加しないと合金層低減効果が薄く、ま
た、13重量%を超えるとその効果が飽和することに加
えてSiが電気化学的にカソードとなりやすいことから
Si量の増加はめっき層の耐食性劣化につながる。この
ためSi量は2〜13重量%に限定する。
【0020】また、一般にめっき付着量が増大すると耐
食性は向上するが、めっき密着性、溶接性は低下する。
種々の溶接を必要とする燃料タンク材にアルミめっき鋼
板を適用する場合においては、溶接性の確保が重要であ
ることから付着量の上限を片面60g/m2 が望まし
い。より望ましくは片面40g/m2 以下である。ま
た、あまり少ないと耐食性劣化が大きいため、20g/
2 以上とすることが望ましい。従って、アルミめっき
層の付着量を片面当たり60g/m2 以下、より望まし
くは20g/m2 〜40g/m2 である。アルミめっき
のそれ以外の条件については特に限定するものではな
い。しかし、合金層厚みは厚くなると加工性を低下させ
るため薄い方が好ましい。
【0021】また、この他の溶融アルミめっき鋼板の後
処理としては、溶融めっき後外観均一化処理であるゼロ
スパングル処理、めっきの改質処理である焼鈍処理、表
面状態、材質の調整のための調質圧延等があり得るが、
本発明においては特にこれらを限定せず、適用すること
も可能である。使用するめっき原板の組成についても特
に限定するものではない。しかし、高度な加工性を要求
される部位だけに、加工性に優れたC,N等浸入型元素
含有量の少ないIF鋼の適用が望ましく、さらには溶接
後の気密性、二次加工性等を確保するためにBを数pp
m添加した鋼板が望ましい。
【0022】また、鋼板の製造法としては通常の方法に
よるものとする。鋼成分は例えば転炉−真空脱ガス処理
により調節され溶製され、鋼片は連続鋳造法で製造さ
れ、熱間圧延される。熱間圧延、また、それに続く冷間
圧延の条件は鋼板の深絞り性に影響を与える。特に優れ
た深絞り性を付与するためには、熱延時の加熱温度を1
150℃程度と低めに、また、熱延の仕上げ温度は80
0℃程度と低めに、巻取温度は600℃以上と高めに、
冷延の圧下率は80%程度と高めに設定するのが良い。
【0023】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。表1に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処
理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧
延、冷延を行い、冷延鋼板(板厚0.8mm)を得た。
これを材料として、溶融アルミめっきを行った。溶融ア
ルミめっきは無酸化炉−還元炉型のラインを使用し、焼
鈍もこの溶融めっきライン内で行った。焼鈍温度は80
0〜850℃とした。めっき後ガスワイピング法でめっ
き付着量を調節した。この際のめっき温度は660℃と
し、めっき浴組成としては基本的にAl−2%Feと
し、これにSiを添加した。この浴中のFeは浴中のめ
っき機器やストリップから供給されるものである。こう
して製造したアルミめっき鋼板に、表2に示す浴を標準
組成として、無機系クロメート処理及び樹脂クロメート
処理を行った。クロメート皮膜付着量や樹脂クロメート
膜厚はリンガーロールによって調節し、80℃の温風に
て乾燥、成膜を行った。こうして製造した鋼板の燃料タ
ンクとしての性能評価を下記に示す方法により行った。
その処理条件と性能評価結果を表3に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】(1)プレス加工性評価 油圧成形試験機により、直径50mmの円筒ポンチを用
いて、絞り比2.3で成形試験を行った。このときのし
わ抑え圧は500kgで行い、成形性の評価は次の指標
によった。 〇:成形可能で、めっき層の欠陥無し △:成形可能で、めっき層に僅かに疵発生 ×:成形可能で、めっき層に剥離発生
【0027】(2)溶接性評価 下記に示す条件でスポット溶接を行い、ナゲット系が4
√tを切った時点までの連続打点数を評価した。 (溶接条件) 溶接電流:10kA、 加圧力:220kg、 溶接時
間:12サイクル 電極先端径:6mmφ、 電極形状:ドーム型 (評価基準) 〇:連続打点1000点以上(Oex:連続打点150
0点以上) △:連続打点400点以上〜1000点未満 ×:連続打点400点未満
【0028】(3)耐食性評価 ガソリンに対する耐食性を評価した。方法は油圧成型試
験機により、フランジ幅20mm,直径50mm,深さ
25mmの平底円筒絞り加工した試料に、試験液を入れ
て、シリコンゴム製リングを介してガラスで蓋をした。
この試験後の腐食状況を目視観察した。樹脂クロメート
処理面、無機系クロメート処理面の双方で評価した。 (試験条件) 試験液:ガソリン+蒸留水10%+蟻酸200ppm 試験期間:40℃で3ケ月放置 (評価基準) 〇:赤錆発生0.1%未満 △:赤錆発生0.1〜5%または白錆発生有り ×:赤錆発生5%超または白錆顕著
【0029】70mm×150mmの平板にクロスカッ
ト疵を入れ、塩水噴霧試験により錆発生状況を評価し
た。樹脂クロメート処理面、無機系クロメート処理面の
双方で評価した。 (試験条件) 塩水噴霧試験240時間後の錆発生率 (評価基準) 〇:白錆発生5%未満(Oex:錆発生無し) △:白錆発生5%〜50%または赤錆発生5%未満 ×:白錆発生50%超または赤錆顕著
【0030】表3及び表4に示すように、めっき中のS
iが少なすぎると(比較例23)合金層が成長しすぎて
加工時にめっき剥離が発生する。また、逆にSiが多す
ぎると(比較例24)、耐食性が劣化する。また、アル
ミめっきの付着量が多すぎると(比較例27)、溶接部
が劣化する。樹脂クロメート皮膜厚みが薄すぎても(比
較例25,27)、また厚すぎても(比較例26,2
9)、良好な溶接性は得られない。また、無機系クロメ
ート皮膜が厚すぎる場合も(比較例28)良好な溶接性
は得られない。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】本発明は、自動車燃料タンク材料として
必要な耐食性、プレス加工性を兼備し、かつこれまでの
課題であった溶接性も改善された溶融アルミめっき鋼板
を提供するもので、今後Pb系材料が環境問題で使用困
難となったときの新しい燃料タンク材として非常に有望
であり、産業上の寄与も大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大森 隆之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 岡田 伸義 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でSi:2〜13%をめっき層中
    に含有する両面溶融アルミめっき鋼板の片方の面に、膜
    厚が0.1〜2μmである樹脂クロメート皮膜を有し、
    かつ他方の面には、無機系クロメート皮膜を金属クロム
    換算で200mg/m2 以下被覆したことを特徴とす
    る、溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%でSi:2〜13%をめっき層中
    に含有する両面溶融アルミめっき鋼板の片方の面に、膜
    厚が0.1〜2μmである樹脂クロメート皮膜を有し、
    かつ他方の面には、有機リン酸と微量の樹脂の少なくと
    も1種を含有した無機系クロメート皮膜を金属クロム換
    算で200mg/m2 以下被覆したことを特徴とする、
    溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。
  3. 【請求項3】 樹脂クロメート皮膜とアルミめっき層の
    間に、無機系クロメート皮膜を金属クロム換算で100
    mg/m2 以下被覆したことを特徴とする、請求項1ま
    たは請求項2に記載の溶接性及び耐食性に優れた燃料タ
    ンク用防錆鋼板。
  4. 【請求項4】 樹脂クロメート皮膜とアルミめっき層の
    間に、有機リン酸と微量の樹脂の少なくとも1種を含有
    した無機系クロメート皮膜を金属クロム換算で100m
    g/m2 以下被覆したことを特徴とする、請求項1また
    は請求項2に記載の溶接性及び耐食性に優れた燃料タン
    ク用防錆鋼板。
  5. 【請求項5】 アルミ系めっき層の付着量が片面当たり
    60g/m2 以下である請求項1〜請求項4に記載の溶
    接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板。
JP16025497A 1996-10-30 1997-06-17 溶接性及び耐食性に優れた燃料タンク用防錆鋼板 Withdrawn JPH10183368A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6730407B2 (en) 2000-08-09 2004-05-04 Nippon Steel Corporation Soluble lubricating surface-treated stainless steel sheet with excellent shapability for fuel tank and method for manufacturing fuel tank
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