以下、本発明の実施の形態に係る電力変換装置、連系管理装置、系統連系分散発電システム、および複数の電力変換装置による系統連系運転の停止方法を、図面に基づいて説明する。系統連系分散発電システムは、複数のパワーコンディショナと、1つのマスタコントローラとで構成される場合を例として説明する。電力変換装置は、パワーコンディショナを例として説明する。連系管理装置は、マスタコントローラを例として説明する。複数の電力変換装置による系統連系運転の停止方法は、系統連系分散発電システムの動作の一部として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る系統連系分散発電システム1の構成を示すシステム構成図である。
系統連系分散発電システム1は、複数の発電装置としての複数の分散型発電装置2と、複数の電力変換装置としての複数のパワーコンディショナ3と、連系管理装置としての1つのマスタコントローラ4と、を有する。パワーコンディショナ3は、マスタコントローラ4と通信し、二段能動方式を改良した方式により、単独運転を防止する。
系統連系分散発電システム1は、たとえば住宅、ビル、公共施設などに設置される。系統連系分散発電システム1は、電力系統としての商用電力系統5に接続される。また、商用電力系統5は、負荷機器6に接続され、発電所において発電した交流電圧の系統電力を負荷機器6へ供給する。
なお、このように複数の分散型発電装置2を複数のパワーコンディショナ3により個別に1つの商用電力系統5へ接続する方式は、ストリング方式、ACモジュール方式などと呼ばれている。したがって、この実施の形態に係る系統連系分散発電システム1は、ストリング方式の分散発電システムであり、ACモジュール方式の分散発電システムである。
商用電力系統5が負荷機器6へ供給する系統電力の交流電圧の正常値は、たとえば50Hz、100Vである。商用電力系統5が負荷機器6へ供給する系統電力の交流電圧の正常値には、この他にもたとえば、60Hz、100Vのものや、50Hz、200Vのものなどがある。商用電力系統5は、単相三線式で系統電力を供給するものであっても、三相三線式で系統電力を供給するものであってもよい。
商用電力系統5は、系統電力の交流電圧を制御する。商用電力系統5は、たとえば交流電圧の周波数が正常値を中心とする所定の変動範囲に収まるように交流電圧を制御し、交流電圧の振幅が正常値を中心とする所定の変動範囲に収まるように交流電圧を制御する。
また、商用電力系統5は、停電が発生すると、その電力系統内に設置された図示外の開閉器を開き、その停電箇所およびその下流側の電力系統を切り離す。点検整備などにより故障箇所を修復すると、開いている開閉器を閉じ、停電から復旧する。商用電力系統5は、負荷機器6への系統電力供給を再開する。
なお、系統連系分散発電システム1は、商用電力系統5以外の電力系統、たとえば工場内の自家発電設備による電力を供給する電力系統や、他の系統連系分散発電システム1などに接続されていてもよい。
負荷機器6は、たとえば家庭の電化製品などである。家庭の電化製品には、たとえばエアコン、冷蔵庫などのモータを用いるものや、テレビジョン受信機などの変圧器を有するものなどがある。これらの家庭の電化製品は、商用電力系統5から供給される交流電圧の系統電力を消費する。
分散型発電装置2は、たとえば太陽光発電装置、燃料電池装置、風力発電装置、ガス発電装置、地熱発電装置、河川発電装置、その他の発電装置である。太陽光発電装置は、光電変換素子が複数形成された半導体パネルを有する。太陽光発電装置は、複数の光電変換素子が受光光量に応じた電圧を発生し、受光光量に応じた直流電圧の電力を発生する。
なお、系統連系分散発電システム1の複数の分散型発電装置2は、たとえば複数の太陽光発電装置のみなどのように一種類の分散型発電装置2で構成されていてもよいが、複数種類の発電装置が組み合わされた並列運転の構成であってもよい。
複数の分散型発電装置2は、発電ケーブル7により、複数のパワーコンディショナ3に接続される。図1の系統連系分散発電システム1では、各分散型発電装置2は、1対1対応でパワーコンディショナ3に接続されている。なお、複数の分散型発電装置2が、1つのパワーコンディショナ3に接続されていてもよい。
図2は、図1中のパワーコンディショナ3の構成を示すブロック図である。
パワーコンディショナ3は、発電接続端子11と、系統接続端子12と、通信用コネクタ13と、を有する。発電接続端子11は、発電ケーブル7により分散型発電装置2に接続される。系統接続端子12は、発電ケーブル8により商用電力系統5および負荷機器6に接続される。通信用コネクタ13には、たとえばRJ45タイプのコネクタが有る。RJ45タイプのコネクタには、たとえば、4組のツイストペア信号線を有する、カテゴリー5、カテゴリー6などの通信ケーブルが接続される。ただし、本発明はこれら特定のコネクタ、ケーブル種類に限定されるものではない。
発電接続端子11は、電力変換手段としての出力電力生成部14に接続される。出力電力生成部14は、たとえば直直変換器15と、直交変換器16と、を有する。直直変換器15は、発電接続端子11に入力される直流電圧の電力を、安定した所定の直流電圧の電力へ変換する。直交変換器16は、直直変換器15が生成する安定した電圧の電力を、交流電圧の電力へ変換する。直交変換器16は、変換により生成した交流電圧の電力を、系統接続端子12へ出力する。
なお、発電接続端子11に発電ケーブル7により接続される分散型発電装置2が、交流電圧の電力を発生するものである場合、出力電力生成部14の入力段である直直変換器15を、交直変換器へ置き換えればよい。交直変換器は、発電接続端子11に入力される交流電圧の電力を、安定した所定の直流電圧の電力へ変換する。
パワーコンディショナ3は、発電接続端子11、系統接続端子12および通信用コネクタ13などの入出力端子および出力電力生成部14の他に、発電電力検出部17、系統電力検出部18、マイクロコンピュータ19、温度センサ20などを有する。
発電電力検出部17は、発電接続端子11に入力される電力を検出する。発電電力検出部17は、たとえば発電接続端子11に入力される電力の瞬時電圧を周期的に検出し、その検出値をマイクロコンピュータ19へ出力する。
系統電力検出部18は、系統接続端子12の電力を検出する。系統電力検出部18は、たとえば系統接続端子12の電力の瞬時電圧を周期的に検出し、その検出値をマイクロコンピュータ19へ出力する。
温度センサ20は、パワーコンディショナ3の温度を周期的に検出する。温度センサ20は、検出した温度の値を、マイクロコンピュータ19へ出力する。
図3は、図2中のマイクロコンピュータ19のハードウェア構成を示すブロック図である。
マイクロコンピュータ19は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)21と、RAM(Random Access Memory)22と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)23と、タイマ24と、I/O(Input/Output:入出力)ポート25と、これらを接続するシステムバス26と、を有する。
I/Oポート25は、マイクロコンピュータ19の周辺回路をシステムバス26へ接続する入出力部である。I/Oポート25には、たとえば発電電力検出部17、系統電力検出部18、温度センサ20、通信用コネクタ13などが接続される。特に、RJ45タイプの通信用コネクタ13は、通信ケーブルの2組のツイストペア信号線が、I/Oポート25に接続する。
タイマ24は、時刻、経過時間などを計測する。タイマ24は、計測する時刻や経過時間を、システムバス26へ出力する。
EEPROM23は、半導体メモリの一種であり、電気的な書き込みが可能であるとともに、電力が供給されていない状態でも書き込まれたデータを保持する不揮発性メモリの一種である。なお、EEPROM23などの半導体メモリの替わりに、ハードディスクドライブなどの記憶装置を用いてもよい。
EEPROM23には、パワーコンディショナプログラム31と、パワーコンディショナ3が制御に使用するデータと、を記憶する。パワーコンディショナ3が制御に使用するデータには、たとえば高感度異常判断基準データ32、能動動作データ33、通常感度異常判断基準データ34などがある。
高感度異常判断基準データ32と、通常感度異常判断基準データ34とは、系統電力検出部18が、系統電力の電力品質の良否の判断に使用する基準データである。系統電力の電力品質の良否は、たとえば検出した系統電力の周波数の変動量、検出した系統電力の電圧振幅の変動量、検出した系統電力の高調波成分の大きさなどにより判断することができる。
検出した系統電力の周波数が正常な周波数(たとえば50Hz)に対してプラスマイナス3%以上変動していたり、検出した系統電力の電圧振幅が正常な電圧(たとえば100V)に対してプラスマイナス5%以上変動していたり、検出した系統電力の高調波成分の大きさが所定の判定閾値以上になっていたりすると、系統電力の電力品質は良好なものとは言えなくなる。
商用電力系統5の系統電力が停電などにより変動するとき、系統電力の高調波成分が大きく変動する。また系統電力の交流電圧の周波数や電圧振幅が大きく変動する。さらに、電圧波形の位相が跳躍する場合、インピーダンスが変化する場合もある。
高感度異常判断基準データ32および通常感度異常判断基準データ34は、たとえば二次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、三次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、四次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、五次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、六次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、七次高調波成分の大きさと比較される判定閾値、判定期間の値(たとえば0.2秒)、系統電力の周波数の許容範囲の値(たとえば正常値のプラスマイナス3%)、系統電力の電圧振幅の許容範囲の値(たとえば正常値のプラスマイナス5%)、判定期間の値(たとえば0.5秒)などを有する。また、これらの値の時間変化率と比較される判定閾値を有することも出来、さらに電圧波形の位相跳躍値と比較される判定閾値をもつことも可能である。
なお、高感度異常判断基準データ32における判定閾値などは、たとえば交流電力の周波数の変化率、交流電力の高調波の変化率、交流電力の電圧の変化率などによるものとするのが望ましい。商用電力系統5に停電などの異常が発生したとき、これらの変化に基づく判断は、商用電力系統5を運用する電力会社が推奨する系統への電源接続のためのガイドラインにおいて規定される判定基準による判断に比べて、格段に短い時間で異常と判断することができる場合がある。高感度異常判断基準データ32に基づく判断において、約0.2秒以内で判断することも可能である。また、通常感度異常判断基準データ34における判定閾値などは、電力会社が推奨する先のガイドラインそのものに規定されるものとしたり、先のガイドラインより若干短い時間で異常と判断するものとしたりすればよい。高感度異常判断基準データ32の値や通常感度異常判断基準データ34の値は、たとえば通常感度異常判断基準データ34の値を先のガイドラインなどにしたがって決めた後、シミュレーションや実験などにより、その通常感度異常判断基準データ34に基づく異常判断よりも短い時間での異常判断が可能となるように、高感度異常判断基準データ32の値を決めるようにすればよい。
能動動作データ33は、能動動作の制御に使用するデータである。能動動作とは、パワーコンディショナ3が系統電力の異常を積極的に検出するために実行する動作である。図1に示すように、系統連系分散発電システム1は、商用電力系統5と、負荷機器6とに接続されている。この接続の下で商用電力系統5が停電したとしても、複数のパワーコンディショナ3が供給する電力と負荷機器6の消費電力とが釣り合っていると、複数のパワーコンディショナ3が供給する電力の品質は、商用電力系統5が良好とする品質の電力に維持される。複数のパワーコンディショナ3が供給する電力の交流電圧などは、商用電力系統5の停電により変動しない。この状況下では、自身の出力電圧に基づいて系統電力の異常を検出するパワーコンディショナ3は、商用電力系統5の停電を検出することができない。複数のパワーコンディショナ3は、電力を供給し続けてしまう。このような商用電力系統5の停電中の電力供給を防止するために、パワーコンディショナ3は、能動動作をする。
能動動作データ33は、たとえば出力電圧を絞り込むデータを有する。能動動作データ33は、出力電圧を絞り込むデータであり、その例として、下記式1に基づくデータを有する。下記式1において、yは、出力電力生成部14へ供給される電流指令値(参照電圧)であり、xは、検出した電力系統の線路電圧(能動動作開始時の系統電力の検出電圧)であり、tは、能動動作開始からの経過時間であり、Tは所定の絞込み期間(たとえば0.5秒)であり、Cは、所定の係数(たとえば5)である。なお、能動動作データ33は、下記式1そのものであってもよい。本発明における能動動作は、ここに示した例に限定されるものではない。
y = x・[1−(t/T)C] ・・・式1
図4は、図2中の能動動作データ33(C=5)による、出力電流振幅(相対値)の経時変化を示す図である。縦軸は、能動動作開始時を基準とした出力電流振幅(相対値)であり、横軸は、能動動作開始からの経過時間である。図4による絞込み制御では、所定の絞込み期間(0.5秒)において、出力電流振幅(相対値)が「0」となる。このように上記式1に基づく能動動作データ33を用いて電流指令値(参照電圧)を絞込み制御することで、出力電流振幅(相対値)を絞り込むことができる。
なお、このEEPROM23に記憶されるパワーコンディショナプログラム31およびデータは、マイクロコンピュータ19の外部メモリなどに記憶されていてもよい。さらに、この外部メモリなどは、パワーコンディショナ3に対して着脱可能に装着されるものであってもよい。このパワーコンディショナプログラム31およびデータは、パワーコンディショナ3の出荷前にEEPROM23などに記憶されたものであっても、出荷後にEEPROM23などに記憶されたものであってもよい。出荷後にEEPROM23などに記憶されるパワーコンディショナプログラム31は、たとえばCD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶された状態でユーザへ提供したり、インターネットなどのデータ伝送媒体を介してユーザへ提供したりすることができる。なお、EEPROM23などに記憶されるパワーコンディショナプログラム31およびデータの一部が、コンピュータ読取可能な記録媒体や、伝送媒体によりユーザへ提供されたものであってもよい。
図3中のマイクロコンピュータ19のCPU21は、EEPROM23に記憶されるパワーコンディショナプログラム31をRAM22に読み込み、実行する。パワーコンディショナプログラム31を実行するCPU21は、EEPROM23に記憶されるデータをRAM22に読み込み、使用する。これにより、マイクロコンピュータ19には、図2に示すように、装置制御部41と、通知手段としての通信制御部42と、停止実行手段としての出力制御部43と、第一系統異常判断手段および検出手段としての高感度系統異常判断部44と、能動動作指示部45と、第二系統異常判断手段としての通常感度系統異常判断部46と、が実現される。
通信制御部42は、通信用コネクタ13を介してI/Oポート25に接続される信号線を用いて、他の通信制御部(たとえば後述する図7に示すマスタコントローラ4の通信制御部73)との間でパケットデータ等を用い通信を行なう。パケットデータには、たとえばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)パケットデータ、UDP(User Datagram Protocol)/IPパケットデータがある。なお、通信制御部42および通信制御部73は、パケットデータ以外にも、たとえば独自プロトコルに基づく通信データにより、通信を行なうようにしてもよい。
インターネットプロトコル(IP)では、通信ケーブルとしてのネットワーク9に接続される複数の機器をIPアドレスにより区別する。IPアドレスは、ネットワーク9上で互いに区別することができる固有の値を有する。機器間で1対1に送受されるTCP/IPパケットデータやUDP/IPパケットデータは、送信元の機器のIPアドレスと、送信先の機器のIPアドレスとを有する。
なお、図1中の複数のパワーコンディショナ3およびマスタコントローラ4などの機器に割り当てられるIPアドレスは、各機器に固有のIPアドレスを予め割り当てて記憶させるようにしても、ネットワーク9に、図示外のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを接続したり、マスタコントローラ4にDHCPサーバ機能を持たせたりして、各機器の起動時に自動的に割り当てるようにしてもよい。さらに、各機器がUPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)機能などにより、それぞれの起動時に未使用のIPアドレスを自ら自動的に判断して利用するようにしてもよい。
TCP/IPパケットデータを送受する場合、受信側の通信制御部42,73は、ネットワーク9において一部のパケットデータが消失すると、そのパケットデータの再送を送信側の通信制御部42,73に要求する。UDP/IPパケットデータを送受する場合、受信側の通信制御部42,73は、送信側の通信制御部42,73にそのような再送要求をしない。
出力制御部43は、出力電力生成部14による電力出力を制御する。出力制御部43は、出力電力生成部14が生成する電力の交流電圧の品質が所定の品質となるように、出力電力生成部14へ電流指令値を出力し、出力電力生成部14を制御する。出力制御部43は、たとえば電圧上昇抑制制御や最大電力追従制御などにより、出力電力生成部14を制御する。
また、出力制御部43は、能動動作が指示されると、EEPROM23から能動動作データ33を読み込み、上記式1による能動動作因子を含む電流指令値を出力電力生成部14へ出力する。
高感度系統異常判断部44は、EEPROM23から高感度異常判断基準データ32を読み込み、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧を監視する。高感度系統異常判断部44は、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧に基づいて、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、能動動作の要不要を判断するため、系統電力の異常を監視する。たとえば、系統電力の二次から七次までの高調波成分のいずれかが所定の閾値(たとえば0.2%)を超えている状態が所定の時間(たとえば0.2秒)継続しているか否かを判断する。
そして、上の例では、二次から七次までの高調波成分のいずれかが所定の閾値を超えている状態が所定の時間継続している場合、高感度系統異常判断部44は、異常の判断結果を、通信制御部42へ供給する。それ以外の場合、高感度系統異常判断部44は、正常の判断結果を、通信制御部42へ供給する。
なお、高感度系統異常判断部44は、1秒に1回以上となる所定の頻度で、系統電力が異常であるか否かを判断するようにしてもよい。
通常感度系統異常判断部46は、EEPROM23から通常感度異常判断基準データ34を読み込み、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧を監視する。通常感度系統異常判断部46は、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧に基づいて、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、単独運転であるか否かを判断するため、系統電力の異常を監視する。たとえば、系統電力の最大電圧が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.2秒)継続しているか否かと、系統電力の周波数が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.2秒)継続しているか否かと、を判断する。
そして、通常感度系統異常判断において所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間継続している場合は、単独運転が起こったものと判断し、通常感度系統異常判断部46は、出力制御部43へ停止指示を供給する。それ以外の場合、通常感度系統異常判断部46は、出力制御部43へ停止指示を供給しない。
図5は、瞬時電圧などの1つの要因に基づいて、異常および正常を判断する要因別異常判断部51の一例を示すブロック図である。図5の要因別異常判断部51は、減算器52と、8秒移動平均演算部53と、例えば0.2秒移動平均演算部54と、異常判断部55と、を有する。
8秒移動平均演算部53は、瞬時電圧値の8秒間の平均値を演算する。減算器52は、瞬時電圧値から、この8秒間平均値を減算する。これにより、減算器52は、瞬時電圧値の、判断を行なう時刻からさかのぼった8秒間の平均値に対する差を演算する。瞬時電圧値が急激に変化するとき、減算器52の減算出力値は大きくなる。
また、減算器52の減算出力値は、例えば0.2秒移動平均演算部54へ供給される。0.2秒移動平均演算部54は、減算出力値の0.2秒間の平均値を演算する。瞬時電圧値の急激な変化が0.2秒以上にわたって継続すると、0.2秒移動平均演算部54が演算する0.2秒間平均値は大きくなる。
異常判断部55は、この例えば0.2秒間平均値と、所定の閾値とを比較する。異常判断部55は、0.2秒間平均値が所定の閾値以上である場合、異常と判断する。それ以外の場合、異常判断部55は、正常と判断する。
図2中の高感度系統異常判断部44や通常感度系統異常判断部46は、この図5の要因別異常判断部51と同じブロック構成の複数の要因別異常判断部51を有する。高感度系統異常判断部44や通常感度系統異常判断部46は、たとえば二次から七次までの各高調波成分毎の複数の要因別異常判断部51を有し、いずれか1つの要因別異常判断部51が異常と判断したら、異常の判断結果を通信制御部42へ供給する。高感度系統異常判断部44の複数の要因別異常判断部51は、高感度異常判断基準データ32の判定閾値を、それぞれの0.2秒間平均値と比較し、個別に系統電力の異常を判定する。また、高感度系統異常判断部44や通常感度系統異常判断部46は、系統電力の最大電圧を判断する要因別異常判断部51と、系統電力の周波数を判断する要因別異常判断部51とを有し、いずれか1つの要因別異常判断部51が異常と判断したら、停止指示を出力制御部43へ供給する。通常感度系統異常判断部46の複数の要因別異常判断部51は、通常感度異常判断基準データ34の許容範囲の値を、それぞれの0.2秒間平均値と比較し、個別に系統電力の異常を判定する。
能動動作指示部45は、通信コネクタ13を介してI/Oポート25に送信されるマスタからの能動動作指示の有無を監視する。能動動作指示部45は、この他の組のツイストペア信号線の電圧が所定の閾値を超えたら、能動動作指示を生成し、出力制御部43および通常感度系統異常判断部46へ供給する。
装置制御部41は、パワーコンディショナ3の全体的な動作を管理する。装置制御部41は、パワーコンディショナ3の起動制御および停止制御を実行する。図6は、図2中の装置制御部41が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。装置制御部41は、パワーコンディショナ3への電力供給が開始されたり、パワーコンディショナ3の出力が停止して再起動されたりしたとき、図6の処理を開始する。
図7は、図1中のマスタコントローラ4の構成を示すブロック図である。
マスタコントローラ4は、系統接続端子61と、系統電力検出部62と、コネクタとしての通信コネクタ63と、マイクロコンピュータ64と、を有する。系統接続端子61は、発電ケーブル8により、商用電力系統5および負荷機器6に接続される。通信コネクタ63には、たとえば10Base−Tタイプの通信ケーブルが接続される。このマスタコントローラ4に接続される10Base−Tタイプの通信ケーブルは、複数のパワーコンディショナ3に接続される複数の10Base−Tタイプの通信ケーブルとともに、たとえばルータ機器やハブ機器などのネットワーク9中継機器に接続される。この複数の10Base−Tタイプの通信ケーブルとネットワーク9中継機器とにより、図1に示す系統連系分散発電システム1のネットワーク9が構成される。
マスタコントローラ4のマイクロコンピュータ64は、図3に示すパワーコンディショナ3のマイクロコンピュータ19と同様に、CPU68と、RAMと、EEPROM65と、タイマ66と、I/Oポートと、これらを接続するシステムバスと、を有する。I/Oポートには、系統電力検出部62および通信コネクタ63が接続される。特に、通信コネクタ63としてRJ45コネクタを使用した場合は、カテゴリー5、カテゴリー6等の通信ケーブルをI/Oポートに接続する。
EEPROM65は、図示外のマスタコントローラプログラムや、マスタコントローラ4が制御に使用するデータなどを記憶する。マスタコントローラ4が制御に使用するデータとしては、たとえばPC状態テーブル67などがある。CPU68が、EEPROM65に記憶されるマスタコントローラプログラムを実行することで、マスタコントローラ4には、低感度系統異常判断部71と、装置制御部72と、受信手段としての通信制御部73と、PC状態管理部74と、要否判断手段としての能動動作判断部75と、停止指示手段および上位指示手段としての能動動作指示信号生成部76と、が実現される。
PC状態テーブル67は、系統連系分散発電システム1の稼動中の複数のパワーコンディショナ3の状態を管理するためのテーブルである。PC状態テーブル67は、稼動中のパワーコンディショナ3毎のレコードを有する。各レコードには、対応するパワーコンディショナ3を特定するための識別情報や、対応するパワーコンディショナ3の正常あるいは異常の判断結果などが登録される。対応するパワーコンディショナ3を特定するための識別情報としては、たとえばパワーコンディショナ3のIPアドレスなどを使用することができる。
低感度系統異常判断部71は、系統電力検出部62が検出する系統接続端子61の瞬時電圧を監視する。低感度系統異常判断部71は、系統電力検出部62が検出する系統接続端子61の瞬時電圧に基づいて、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、系統電力の最大電圧が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.5秒)継続しているか否かと、系統電力の周波数が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.5秒)継続しているか否かと、を判断する。そして、いずれかの判断において所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間継続している場合、低感度系統異常判断部71は、装置制御部72へ停止通知を供給する。それ以外の場合、低感度系統異常判断部71は、装置制御部72へ停止通知を供給しない。
装置制御部72は、マスタコントローラ4の全体的な動作を管理する。装置制御部72は、マスタコントローラ4およびパワーコンディショナ3の起動制御および停止制御を実行する。図8は、図7中の装置制御部72が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。装置制御部72は、パワーコンディショナ3への電力供給が開始された後に、図8の処理を開始する。
PC状態管理部74は、EEPROM65に記憶されるPC状態テーブル67を管理、更新する。PC状態管理部74は、新たに稼動するパワーコンディショナ3用のレコードを生成し、PC状態テーブル67に登録する。PC状態管理部74は、パワーコンディショナ3から正常あるいは異常の判断結果などを取得すると、その取得情報を、対応するレコードに登録する。PC状態管理部74は、パワーコンディショナ3が停止すると、その停止したパワーコンディショナ3に対応するレコードを、PC状態テーブル67から削除する。
能動動作判断部75は、EEPROM65に記憶されるPC状態テーブル67に基づいて、能動動作の要否を判断する。能動動作判断部75は、具体的には、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、PC状態テーブル67に登録されているパワーコンディショナ3の台数を基準として、所定数(たとえば半数)以上となるレコードに異常の判断結果が登録されているか否かを判断する。そして、過半数となる異常の判断結果が登録されている場合、能動動作判断部75は、能動動作要と判断する。それ以外の場合、能動動作判断部75は、能動動作不要と判断する。
能動動作指示信号生成部76は、能動動作判断部75が能動動作要と判断すると、能動動作指示信号を生成する。能動動作指示信号生成部76は、能動動作指示信号を送信する。たとえば、RJ45の通信コネクタ63を介してI/Oポートに接続される1組のツイストペア信号線の電圧を変化させる。能動動作指示信号生成部76は、このようにデータ通信用の通信ケーブルの1組のツイストペア信号線を、アナログ信号線として利用することが出来る。
これにより、能動動作指示信号生成部76が能動動作要の判断をアナログ信号により通知する専用の信号線を、異常の判断結果を伝送する信号線と別に引き回す必要がない。1つの通信ケーブルにより、異常の判断結果を伝送し、能動動作要の判断を通知することができる。
マスタコントローラ4の上述した構成要素以外の各構成要素は、図2のパワーコンディショナ3の同名の構成要素と同じ機能を奏するものであり、説明を省略する。
次に、以上の構成を有する系統連系分散発電システム1の動作を説明する。
以下の説明では、商用電力系統5は、所定の品質の系統電力を負荷機器6へ供給し、複数の分散型発電装置2は、所定の直流電圧の電力を、複数のパワーコンディショナ3へ供給しているものとして説明を開始する。
図8に示すように、発電が投入されると、マスタコントローラ4の装置制御部72は、処理を開始する。マスタコントローラ4の装置制御部72は、まず、タイマ66から時刻情報を取得し、所定時間(たとえば5秒)経過するのを待つ(ステップST11)。その後、装置制御部72は、マスタコントローラ4の起動処理を開始する(ステップST12)。これにより、マスタコントローラ4に実現される低感度系統異常判断部71、通信制御部73、PC状態管理部74、能動動作判断部75、能動動作指示信号生成部76などが所定の動作を開始する。
マスタコントローラ4の系統電力検出部62は、系統接続端子61の瞬時電圧を検出し、マイクロコンピュータ64へ出力する。低感度系統異常判断部71は、系統電力検出部62が検出する系統接続端子61の瞬時電圧の監視を開始する。
マスタコントローラ4の装置制御部72は、マスタコントローラ4の起動を終えると、停止指示通知を生成し、通信制御部73へ供給する(ステップST13)。マスタコントローラ4の通信制御部73は、通信コネクタ63を介して1組のツイストペア信号線を用いて、ネットワーク9へ停止指示通知を送出する。通信制御部73は、停止指示通知を、TCP/IPパケットデータにより送出する。これにより、マスタコントローラ4より先に起動していたパワーコンディショナ3は、停止し、再起動される。
その後、マスタコントローラ4の装置制御部72は、系統電力検出部62により検出される瞬時電圧や、低感度系統異常判断部71による判断などに基づいて、商用電力系統5および装置が正常であるか否かを周期的に判断する(ステップST14)。具体的にはたとえば、装置制御部72は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、系統電力の交流電圧が正常(例えば190〜214ボルト)の範囲内であるか否かや、系統電力の周波数が正常値のプラスマイナス3%の範囲内であるか否かなどを判断する。
そして、商用電力系統5および装置が正常ではないと判断すると、装置制御部72は、PC状態テーブル67を消去するなどの停止処理を実行する(ステップST15)。その後、装置制御部72は、図8の処理をステップST11から再度実行する。
図6に示すように、マスタコントローラ4からの停止指示通知により停止して再起動したパワーコンディショナ3や、マスタコントローラ4より後に発電が投入されるパワーコンディショナ3は、処理を開始する。パワーコンディショナ3の装置制御部41は、まず、タイマ24の時刻情報に基づいて5秒経過するのを待つ(ステップST1)。
5秒が経過すると、装置制御部41は、発電電力検出部17が検出する瞬時電圧と、系統電力検出部18が検出する瞬時電圧とに基づいて、これらの入力電力が正常であることを確認する(ステップST2)。装置制御部41は、たとえば系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、系統電力の交流電圧が190〜214ボルトの範囲内であるか否かと、系統電力の周波数が正常値のプラスマイナス3%の範囲内であるか否かと、発電接続端子11の電圧が70から350ボルトの範囲内であるか否かを判断する。
これらの入力電力が正常であることを確認すると、パワーコンディショナ3の装置制御部41は、マスタコントローラ4への起動可能通知を生成する(ステップST3)。装置制御部41は、生成した起動可能通知を通信制御部42へ供給する。パワーコンディショナ3の通信制御部42は、通信用コネクタ13を介して1組のツイストペア信号線を用いて、ネットワーク9へ起動可能通知を送出する。通信制御部42は、マスタコントローラ4を送信先に指定したTCP/IPパケットデータにより、起動可能通知を送出する。
なお、所定時間待ちの時点で入力電力が正常でない場合、パワーコンディショナ3の装置制御部41は、図6の処理をステップST1から再度実行する。パワーコンディショナ3の装置制御部41は、ステップST2において入力電力が正常と判断されるまで、所定時間毎に入力電力が正常であるか否かを判断する。
マスタコントローラ4へ起動可能通知を供給した後、パワーコンディショナ3の装置制御部41は、起動許可通知および停止指示通知待ち状態となる(ステップST4、ST5)。装置制御部41は、所定時間(たとえば1分)の間に、起動許可通知あるいは停止指示通知の中の一方を受信しない場合(ステップST6においてYesの場合)、自ら再起動し、図6の処理をステップST1から再度実行する。
起動可能通知は、ネットワーク9上を伝送し、マスタコントローラ4の装置制御部72により受信される。マスタコントローラ4の装置制御部72は、受信した起動可能通知を、PC状態管理部74へ供給する。
なお、マスタコントローラ4の装置制御部72は、起動可能通知の一部のデータを受信していないとき、その部分データの再送要求を、ネットワーク9へ送出する。パワーコンディショナ3の通信制御部42は、ネットワーク9から部分データの再送要求を受信すると、要求された起動可能通知の部分データを、再度ネットワーク9へ送出する。これにより、マスタコントローラ4の装置制御部72は、パワーコンディショナ3の通信制御部42が送信する起動可能通知を受信することができる。
マスタコントローラ4において、通信制御部73から起動可能通知が供給されたPC状態管理部74は、通知されたパワーコンディショナ3用のレコードを生成し、PC状態テーブル67に登録する。このレコードには、起動可能通知の送信元のパワーコンディショナ3のIPアドレスなどが登録される。
その後、PC状態管理部74は、起動許可通知を生成し、通信制御部73へ供給する。マスタコントローラ4の通信制御部73は、生成した起動許可通知をネットワーク9へ送出する。通信制御部73は、起動可能通知の送信元のパワーコンディショナ3を送信先に指定し、TCP/IPパケットデータにより起動許可通知を送出する。
起動許可通知は、ネットワーク9を介して、起動可能通知の送信元のパワーコンディショナ3の通信制御部42へ送信される。通信制御部42は、受信した起動許可通知を、装置制御部41へ供給する。起動許可通知が供給されると、パワーコンディショナ3の装置制御部41は、起動処理を開始する(ステップST7)。これにより、パワーコンディショナ3では、出力制御部43、高感度系統異常判断部44、能動動作指示部45、通常感度系統異常判断部46などが所定の動作を開始する。
パワーコンディショナ3の発電電力検出部17は、発電接続端子11の瞬時電圧を検出し、マイクロコンピュータ19へ出力する。系統電力検出部18は、系統接続端子12の瞬時電圧を検出し、マイクロコンピュータ19へ出力する。起動した出力制御部43は、これらの検出電圧に基づいて、出力電力生成部14を制御する。出力電力生成部14は、発電接続端子11に入力される直流電圧の電力を、交流電圧の電力へ変換し、系統接続端子12へ出力する。出力電力生成部14は、商用電力系統5が負荷機器6へ供給する系統電力の交流電圧と略同じ波形の交流電圧を生成し、系統接続端子12へ出力する。これにより、出力電力生成部14は、分散型発電装置2が生成する電力を用いて、商用電力系統5が供給する系統電力の品質を損なうことなく、商用電力系統5および負荷機器6へ電力を供給する。
また、起動した高感度系統異常判断部44は、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧の監視を開始する。
パワーコンディショナ3の起動処理を終えた装置制御部41は、発電電力検出部17により検出される瞬時電圧や、系統電力検出部18により検出される瞬時電圧に基づいて、商用電力系統5および分散型発電装置2が正常であるか否かを周期的に判断する(ステップST8)。
具体的にはたとえば、パワーコンディショナ3の装置制御部41は、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、系統電力の交流電圧が所定(例えば190〜214ボルト)の範囲内であるか否かと、系統電力の周波数が所定(例えば正常値のプラスマイナス3%)の範囲内であるか否かと、発電接続端子11の電圧が正常範囲内(例えば70から350ボルト)であるか否かを判断する。また、装置制御部41は、タイマ24の計測時間や、温度センサ20により検出される温度に基づいて、自身の装置が正常であるか否かを周期的に判断する。
そして、商用電力系統5あるいは分散型発電装置2が正常ではない場合、あるいは自身の装置が正常ではない場合、装置制御部41は、出力制御部43へ出力停止を指示する(ステップST10)。出力停止が指示された出力制御部43は、交流電力の供給を停止する。その後、装置制御部41は、図6の処理をステップST1から再度実行する。
また、装置制御部41は、停止指示の有無を確認する(ステップST9)。そして、マスタコントローラ4または出力制御部43から停止要求がある場合、装置制御部41は、出力制御部43へ出力停止を指示する(ステップST10)。出力停止が指示された出力制御部43は、交流電力の供給を停止する。その後、装置制御部41は、図6の処理をステップST1から再度実行する。
なお、商用電力系統5および分散型発電装置2が正常であり、且つ、停止指示が無い場合、装置制御部41は、周期的にステップST8およびST9の判断処理を繰り返し実行する。
以上の図8のマスタコントローラ4および図6の複数のパワーコンディショナ3の起動処理により、複数の分散型発電装置2が生成する電力は、複数のパワーコンディショナ3により所定の交流電圧の電力へ変換された上で、商用電力系統5へ供給される。また、マスタコントローラ4のPC状態テーブル67には、稼動する複数のパワーコンディショナ3に対応する複数のレコードが登録される。
その後、稼動するパワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44は、EEPROM23から高感度異常判断基準データ32を読み込み、周期的に、系統電力の異常を判定する。高感度系統異常判断部44は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、二次から七次までの高調波成分のいずれかが所定の閾値(たとえば0.2%)を超えている状態が所定の時間(たとえば0.2秒、好ましくは0.1秒)継続しているか否かを判断する。高感度系統異常判断部44は、正常の判断結果を、通信制御部42へ供給する。
パワーコンディショナ3の通信制御部42は、高感度系統異常判断部44から供給される正常の判断結果を、UDP/IPパケットデータとしてネットワーク9へ送出する。マスタコントローラ4の通信制御部73は、ネットワーク9からUDP/IPパケットデータを受信すると、それに含まれる正常の判断結果を、PC状態管理部74へ供給する。PC状態管理部74は、通信制御部73から供給された正常の判断結果を、PC状態テーブル67の、送信元のパワーコンディショナ3に対応するレコードに登録する。
なお、このようにパワーコンディショナ3の通信制御部42は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に送信する判断結果を、UDP/IPパケットデータで送信する。したがって、マスタコントローラ4の通信制御部73は、再送制御をすることはない。再送制御により、ネットワーク9のトラフィックが増加しないようにすることができる。
たとえば1000台などの多数のパワーコントローラがネットワーク9に接続されていたとしても、データコリジョンによる判断結果の消失を、効果的に抑制することができる。マスタコントローラ4の通信制御部73は、1000台のパワーコントローラが系統電力の1サイクルに相当する時間毎に送信する判断結果を、10Base−Tタイプの通信ケーブルにより高い確率で効率良く受信することができる。
図9は、複数のパワーコンディショナ3およびマスタコントローラ4が起動している状態で、系統停電が発生した時の連系動作の流れを示すタイミングチャートである。
系統停電が発生し、系統電力の交流電圧の二次から七次までの高調波成分のいずれかが所定の閾値(たとえば0.2%)を超えている状態が所定の時間(たとえば0.2秒、好ましくは0.1秒)継続すると、パワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44は、系統電力を異常と判断し、異常の判断結果を通信制御部42へ供給する(ステップST21)。
パワーコンディショナ3の通信制御部42は、高感度系統異常判断部44から供給される異常の判断結果を、ネットワーク9を介して、マスタコントローラ4の通信制御部73へ送信する(ステップST22)。
PC状態管理部74は、通信制御部73が受信した異常の判断結果を、PC状態テーブル67の、送信元のパワーコンディショナ3に対応するレコードに登録する(ステップST23)。なお、商用電力系統5に停電などが発生して系統電力の品質が悪化すると、商用電力系統5に個別に接続される複数のパワーコンディショナ3では、系統電力の異常を個別に判断し、その異常の判断結果を個別にマスタコントローラ4の通信制御部73へ送信する。これにより、マスタコントローラ4のPC状態テーブル67には、複数の異常の判断結果が登録される。
マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、EEPROM65に記憶されるPC状態テーブル67を読み込み、能動動作の要否を判断する(ステップST24)。PC状態テーブル67のレコード数の過半数となる複数のレコードに異常の判断結果が登録されていると、能動動作判断部75は、能動動作要と判断する。
能動動作判断部75が能動動作要と判断すると、能動動作指示信号生成部76は、能動動作指示信号を生成する(ステップST25)。能動動作指示信号生成部76は、生成した能動動作指示信号により、通信コネクタ63を介してツイストペア信号線の電圧を変化させる(ステップST26)。このツイストペア信号線は、ネットワーク9を介して、複数のパワーコンディショナ3の能動動作指示部45に接続されている。
複数のパワーコンディショナ3の能動動作指示部45は、ツイストペア信号線の電圧が所定の閾値を超えると、出力制御部43および通常感度系統異常判断部46へ能動動作を指示する(ステップST27)。能動動作指示があると、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43は、それぞれのEEPROM23から能動動作データ33を読み込む。複数の出力制御部43は、略同時に、上記式1にしたがって出力電流を能動的に変化させる。能動動作としては、有効電力を絞り込む方法、無効電力を変動させる方法、交流電圧波形に対し、位相、周波数を変化させる方法などがあり、いずれを用いることも可能である。
この能動動作により、たとえば商用電力系統5の停電発生時に、複数のパワーコンディショナ3が供給する電力と、商用電力系統5に接続される負荷機器6の消費電力が釣り合っていたとしても、系統電力の電圧品質は、悪化する。
これに対して、商用電力系統5が正常である場合、商用電力系統5は、系統電力を所定の品質に維持するように系統電力を制御する。したがって、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43が複数の出力電力生成部14の出力を変化させたとしても、系統接続端子12,61の瞬時電圧は、略所定の電力品質の電圧(たとえば100V)に維持される。複数のパワーコンディショナ3の系統電力検出部18およびマスタコントローラ4の系統電力検出部62が検出する系統接続端子12,61の瞬時電圧は、略所定の電力品質の電圧に維持される。
能動動作により系統接続端子12の瞬時電圧が低下し、系統電力の品質が悪化すると、通常感度系統異常判断部46は、系統電力検出部18が検出する系統接続端子12の瞬時電圧に基づいて、系統電力を異常と判断する(ステップST28)。通常感度系統異常判断部46は、EEPROM23に記憶される通常感度異常判断基準データ34に基づいて、系統電力の最大電圧が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.2秒、好ましくは0.1秒)継続したり、系統電力の周波数が所定の品質範囲外となっている状態が所定の時間(たとえば0.2秒、好ましくは0.1秒)継続したりしていると判断すると、系統電力を異常と判断する。
系統電力を異常と判断した通常感度系統異常判断部46は、出力制御部43へ停止指示を供給する(ステップST29)。通常感度系統異常判断部46から停止指示が供給されると、出力制御部43は、系統接続端子12への交流電圧の出力を停止する。これにより、高感度系統異常判断部44が系統電力を異常と判断していないパワーコンディショナ3においても、通常感度系統異常判断部46が系統電力を異常と判断し、出力制御部43へ停止指示を供給する。
以上の、複数のパワーコンディショナ3およびマスタコントローラ4による連系動作により、複数のパワーコンディショナ3の出力電力生成部14は、電力の供給を停止する。また、マスタコントローラ4の装置制御部72および複数のパワーコンディショナ3の装置制御部41は、それぞれの停止処理を実行する(図6のステップST10、図8のステップST15)。マスタコントローラ4のEEPROM65に記憶されるPC状態テーブル67は、クリアされる。
なお、この能動動作期間中に、マスタコントローラ4の装置制御部72は、独自に、系統電力を監視するようにしてもよい。そして、マスタコントローラ4の装置制御部72は、能動動作判断部75がステップST26により能動動作の開始を指示してから、出力制御部43が能動動作を開始するまでの所定の予測時間(たとえば0.4秒)が経過したとしても、系統電力が所定の電力品質を維持している場合、能動動作の終了を指示するようにしてもよい。たとえば、商用交流電力系統が瞬時的に停電した場合には、系統電力は、この所定の予測期間の間に正常な状態に復旧する。これにより、複数のパワーコンディショナ3は、商用交流電力系統が瞬時的に停電した前後において、電力を継続的に供給することができる。
なお、マスタコントローラ4の装置制御部72は、たとえば能動動作指示信号生成部76による能動動作指示信号の生成を終了させ、ツイストペア信号線の電圧を戻すことで、複数のパワーコンディショナ3の能動動作指示部45に、能動動作の終了を指示すればよい。また、複数の能動動作指示部45は、能動動作の終了が指示されると、出力制御部43および通常感度系統異常判断部46へ、能動動作の終了を指示すればよい。
また、能動動作の終了が指示された出力制御部43は、たとえば上記式1における能動動作開始からの経過時間tを減らすことで、供給する電力の交流電圧を復旧すればよい。これにより、出力電力生成部14は、絞り込んでいた出力電圧を、再び元の正常時の電圧へ戻すことになる。出力制御部43は、出力を停止することなく、正常な交流電圧の電力を供給する状態へ復旧する。
図10は、商用電力系統5の停電復旧後の連系動作の流れを示すタイミングチャートである。
商用電力系統5の停電が復旧すると、図8の処理を実行するマスタコントローラ4の装置制御部72は、5秒経過後に自身を起動し(ステップST31)、さらに停止指示通知を、起動した通信制御部73に送信させる(ステップST32)。マスタコントローラ4の通信制御部73は、ネットワーク9に接続されている複数のパワーコンディショナ3へ停止指示通知を送信する。その後、マスタコントローラ4の装置制御部72は、商用電力系統5および装置が正常であるか否かを周期的に判断するようになる(ステップST33)。
マスタコントローラ4からの停止指示通知により再起動したパワーコンディショナ3(ステップST34)や、マスタコントローラ4より後に再起動処理を開始したパワーコンディショナ3は、図6の処理を開始する。パワーコンディショナ3の装置制御部41は、5秒経過後に入力電力が正常であることを確認し(ステップST35)、起動可能通知をマスタコントローラ4のPC状態管理部74へ送信する(ステップST36)。起動可能通知は、実際には、パワーコンディショナ3の通信制御部42およびマスタコントローラ4の通信制御部73を介して、マスタコントローラ4のPC状態管理部74へ送信される。
パワーコンディショナ3から起動可能通知を受信すると、マスタコントローラ4のPC状態管理部74は、そのパワーコンディショナ3に対応するレコードを生成し、EEPROM65のPC状態テーブル67に登録する(ステップST37)。また、PC状態管理部74は、起動可能通知を送信してきたパワーコンディショナ3の装置制御部41へ起動許可通知を送信する(ステップST38)。
起動許可通知を受信したパワーコンディショナ3の装置制御部41は、所定の起動処理を実行する(ステップST39)。パワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44は、EEPROM23から高感度異常判断基準データ32を読み込み、系統電力の監視を再開する。高感度系統異常判断部44は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に系統電力の異常を判定し、その判断結果をPC状態管理部74へ通知する(ステップST40)。PC状態管理部74は、通知された判断結果をPC状態テーブル67に登録する(ステップST41)。また、能動動作判断部75は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎にPC状態テーブル67を読み込み、能動動作の要否を判断する。このように、商用電力系統5が復旧すると、マスタコントローラ4および複数のパワーコンディショナ3は、系統電力の異常を検出する前の状態に自動的に復旧する。
以上のように、この実施の形態に係る系統練成分散発電システム1では、分散型発電装置2を商用電力系統5へ接続するパワーコンディショナ3の通信制御部42は、高感度系統異常判断部44により商用電力系統5の系統電力の異常が検出されると、系統電力の異常の判断結果をマスタコントローラ4へ通知する。マスタコントローラ4の通信制御部73は、1つの商用電力系統5に接続される複数のパワーコンディショナ3から、異常の判断結果の通知を受信する。マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、複数のパワーコンディショナ3からの複数の異常の判断結果が登録されるPC状態テーブル67を読み込み、能動動作の要否を判断する。マスタコントローラ4の能動動作指示信号生成部76は、複数のパワーコンディショナ3へ能動動作指示信号を出力する。複数のパワーコンディショナ3の出力電力生成部14は、有効電力を絞る所定の能動動作を実行する。また、出力制御部43は、この能動動作による系統電力の異常が通常感度系統異常判断部46により検出されると、出力電力生成部14による商用電力系統5への電力出力を停止させる。
したがって、系統練成分散発電システム1の複数のパワーコンディショナ3は、二段能動方式により、電力出力を停止することができる。そのため、一般的な電力系統の停電などの異常を検出する単なる受動方式を採用したり、単なる能動方式を採用したりする場合に比べて、商用電力系統5が正常であるときの能動動作による系統電力の品質低下を抑制しつつ、商用電力系統5が異常となったことを確実に検出して出力を停止することができる。商用電力系統5が正常に動作しているときに、余計な変動を与えないようにすることができる。たとえば、系統練成分散発電システム1が1000台程度のパワーコンディショナ3により構成されるものであったとしても、商用交流発電が正常に動作しているときに、1000台程度のパワーコンディショナ3の能動動作による擾乱を効果的に抑制することができる。たとえば、個々のパワーコンディショナ3が、たとえば1台で商用電力系統5に接続される場合において自分の能動動作により商用電力系統5の異常を検出することができるように大きな能動動作をするとしても、その複数の能動動作による正常な商用電力系統5による系統電力の品質悪化を防止することができる。
また、商用電力系統5が停電したときに、系統練成分散発電システム1が供給する電力と、負荷機器6が消費する電力とが釣り合っていたとしても、能動動作により、系統練成分散発電システム1の給電を停止することができる。商用電力系統5の復旧の妨げとならないようにすることができる。
しかも、複数のパワーコンディショナ3は、マスタコントローラ4による能動動作要の判断に基づいて、略同じタイミングで開始することができる。複数のパワーコンディショナ3の能動動作が、能動動作の開始タイミングのずれにより干渉しないようにすることができる。また、その干渉が生じないようにすることができるので、能動動作による電力品質の所定の品質低下を確実に検出することができる。1つの商用電力系統5に接続される複数のパワーコンディショナ3は、能動動作後に商用電力系統5の停電などの異常を確実に且つ速やかに検出し、出力を停止することができる。商用電力系統5に接続される系統連系分散発電システム1の単独運転を防止することができる。
また、高感度異常判断基準データ32を用いて系統電力の異常を判断する高感度系統異常判断部44は、商用電力系統5の系統電力が変動するとき、通常感度異常判断基準データ34を用いて系統電力の異常を判断する通常感度系統異常判断部46より早くに、異常を検出する。したがって、パワーコンディショナ3の通信制御部42は、商用電力系統5に停電などの異常が発生したら、この高感度の異常判断により速やかに異常の判断結果を通知し、出力制御部43は、通常感度系統異常判断部46による確実な異常判断により、商用電力系統5への電力出力を停止することができる。
また、パワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44および通常感度系統異常判断部46は、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、0.2秒の異常状態の継続により、系統電力の異常を判断する。通信制御部42は、すくなくとも系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、系統電力の電力品質の判断結果を、マスタコントローラ4へ通知する。さらに、マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、系統電力の1サイクルに相当する時間毎に、能動動作の要否を判断し、能動動作指示信号生成部は、判断結果を伝送するツイストペア信号線とは異なる専用のツイストペア信号線を用いたアナログ信号により、複数のパワーコンディショナ3へ能動動作を指示する。その結果、系統練成分散発電システム1は、商用電力系統5の停電などにより系統電力が異常になったら、複数のパワーコンディショナ3とマスタコントローラ4との間で所定の通信をして、1秒以内に複数のパワーコンディショナ3の出力を停止することができる。
なお、高感度系統異常判断部44および通常感度系統異常判断部46は、正常時の系統周波数の1周期以上、好ましくは2周期以上の所定の時間に渡って系統電力が異常であるとき、系統電力が異常であると判断するようにするとよい。これにより、商用交流電力5が停電などしていない正常なときに、その負荷機器6の負荷変動などにより系統電力が変動したとしても、高感度系統異常判断部44および通常感度系統異常判断部46は、過敏に系統電力の異常を判断しなくなる。
また、複数のパワーコンディショナ3の通信制御部42は、再送制御をしないUDP/IPパケットデータにより、商用電力系統5の電力品質の判断結果を、マスタコントローラ4へ通知する。したがって、1つのパワーコンディショナ3からの連続する複数の判断結果は、その順番でマスタコントローラ4へ通知される。マスタコントローラ4のPC状態テーブル67には、最後に受信した判断結果が最新の判断結果として登録され、能動動作判断部75は、この最新の判断結果に基づいて能動動作の要否を判断することができる。
また、マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、PC状態テーブル67に登録されている稼動中のパワーコンディショナ3の台数を基準として、所定数以上(例えばその過半数)となるレコードに異常の判断結果が登録されている場合、能動動作要と判断する。
したがって、能動動作判断部75は、すべてのパワーコンディショナ3が異常の判断結果を通知してこなくとも、能動動作要と判断する。その結果、マスタコントローラ4へ異常の判断結果を通知していないパワーコンディショナ3を含めて、1つの商用電力系統5に接続される複数のパワーコンディショナ3は、系統に異常が発生してから速やかに略同じタイミングにて能動動作を開始し、商用電力系統5への電力供給を停止することができる。複数のパワーコンディショナ3は、そのすべてのパワーコンディショナ3が系統電力の異常の判断結果をマスタコントローラ4へ通知し終える前に、能動動作を開始し、速やかに出力を停止することができる。
しかも、能動動作判断部75は、パワーコンディショナ3に接続される分散型発電装置2がたとえば太陽光分散型発電装置2などのように間欠的に電力を発生する分散型発電装置2であって、稼働台数が変動するものであるにもかかわらず、商用電力系統5に停電が発生したときには、速やかに能動動作要と判断することができる。
これに対して、仮にたとえば、能動動作要の判断のための所定の台数を固定値にすると、商用電力系統5に停電が発生したときに稼動しているパワーコンディショナ3の台数が、その固定値の台数に満たないことがありえる。このとき、マスタコントローラ4は、商用電力系統5に停電が発生し、稼動しているすべてのパワーコンディショナ3が異常の判断結果を通知しているとしても、能動動作要と判断することができなくなってしまう。
さらに、PC状態テーブル67には、稼動中のパワーコンディショナ3が登録される。したがって、系統練成分散発電システム1を構成する分散型発電装置2やパワーコンディショナ3が故障により交換されたり、導入後に追加されたりしたとしても、マスタコントローラ4は、ダイナミックに、稼動中のパワーコンディショナ3をPC状態テーブル67に登録し、管理することができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
たとえば上記実施の形態では、パワーコンディショナ3は、通常時には、高感度系統異常判断部44のみにより系統電力が異常であるか否かを判断している。この他にもたとえば、パワーコンディショナ3は、通常時に、高感度系統異常判断部44および通常感度系統異常判断部46により、系統電力が異常であるか否かを判断するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、パワーコンディショナ3に、高感度系統異常判断部44や通常感度系統異常判断部46以外の第三の系統異常判断部を設け、この第三の系統異常判断部と高感度系統異常判断部44とにより通常時の系統電力の異常を判定するようにしてもよい。この第三の系統異常判断部としては、たとえば系統電力の二次高調波成分の急増などにより瞬時無効電力の変動を検出し、系統電力の異常を判定するものであればよい。
上記実施の形態では、パワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44は、系統電力の二次から七次までの高調波成分の急増に基づいて系統電力を異常と判断し、通常感度系統異常判断部46は、系統電力の電圧変動および周波数変動に基づいて系統電力を異常と判断する方法が考えられる。この他にもたとえば、高感度系統異常判断部44は、一般的な受動方式の異常判断で使用される位相跳躍検出方式、周波数変化率検出方式、三次高調波検出方式などにより、系統電力の異常を判定するようにしてもよい。また、高感度系統異常判断部44は、交流電圧の実効値の変動幅、交流周波数またはこれらの時間変化率、ならびに電圧位相の跳躍または交流インピーダンスの変動などにより、系統電力の異常を判定するようにしてもよい。なお、交流インピーダンスは、商用電力系統5が正常に動作しているときと、商用電力系統5の一部あるいは全部が停電時に図示外の開閉器により切り離されているときとで、大きく変化する。
また、通常感度系統異常判断部46は、一般的な能動方式の異常判断で使用される無効電力変動方式、有効電力変動方式、位相急変方式、負荷(インピーダンス)急変方式などにより、系統電力の異常を判定するようにしてもよい。また、通常感度系統異常判断部46は、交流電圧の実効値の変動幅、交流周波数またはこれらの時間変化率、ならびに電圧位相の跳躍または交流インピーダンスの変動などにより、系統電力の異常を判定するようにしてもよい。
また、上記実施の形態において、高感度系統異常判断部44と通常感度系統異常判断部46とは、互いに異なる物理量に基づいて系統電力の異常を判定している。この他にもたとえば、高感度系統異常判断部44と通常感度系統異常判断部46とは、同じ物理量により異常を判定するようにしてもよい。高感度系統異常判断部44と通常感度系統異常判断部46とが同じ物理量により異常を判定する場合、高感度系統異常判断部44が異常と判断する品質および/または時間の判断基準を、通常感度系統異常判断部46が異常と判断する品質および/または時間の判断基準より狭く厳しいものとすればよい。
上記実施の形態では、出力制御部43は、能動動作において、出力電力生成部14が生成する交流電圧(有効電力)を絞り込んでいる。この他にもたとえば、出力制御部43は、能動動作において、出力電力生成部14が生成する交流電圧の周波数を、正常値のプラスマイナス3%で変動したり、無効電力を変動したり、位相跳躍方式により変動したりするようにしてもよい。また、出力制御部43が能動動作をする期間は、0.5秒周期で区切るなどしてもよい。また、出力制御部43は、能動動作の指示があったとき、たとえば無効電力の変動などの所定の能動動作因子を含む品質の電力を、少なくとも1秒に1回の割合で、所定の変動範囲内で変動するように継続的に出力するようにしてもよい。このような動作であっても、通常感度系統異常判断部46は、能動動作による系統電力の品質低下を確実に判断することができる。
出力制御部43は、能動動作指示信号のレベルに応じて、能動動作時の出力電圧、周波数、位相などの変動量を変化するようにしてもよい。特に、出力制御部43は、能動動作時の出力電圧などの変動量を能動動作指示信号のレベルに応じて変化することで、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43が同時に能動動作を実行しても、系統電力が過大に変動してしまわないようにすることができる。
上記実施の形態では、複数のパワーコンディショナ3の高感度系統異常判断部44は、同じ高感度検出動作により系統電力の異常を判定している。また、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43は、同じ能動動作を実行し、複数の通常感度系統異常判断部46は、同じ高感度検出動作により系統電力の異常を判定する。この他にもたとえば、複数のパワーコンディショナ3の中の一部のものによる高感度系統異常判断部44、出力制御部43あるいは通常感度系統異常判断部46が、他のパワーコンディショナ3のものと異なる動作や判断を実行するようにしてもよい。
上記実施の形態では、マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、PC状態テーブル67のレコード数を基準として、その過半数のレコードに異常判断結果が登録されている場合、能動動作要と判断する。この他にもたとえば、能動動作判断部75は、予め設定された所定数のレコードに異常判断結果が登録されている場合、能動動作要と判断するようにしてもよい。
上記実施の形態では、マスタコントローラ4は、低感度系統異常判断部71を有する。この他にもたとえば、マスタコントローラ4は、パワーコンディショナ3の通常感度系統異常判断部46などと同等の感度を有する系統異常判断部を有するものであってもよい。この変形例の場合、マスタコントローラ4の能動動作判断部75は、マスタコントローラ4の系統異常判断部が系統電力の異常を検出しているときに、能動動作の要否を判断するようにしてもよい。また、この変形例の場合、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43が能動動作した後の系統電力の異常をマスタコントローラ4の系統異常判断部により判断し、マスタコントローラ4の装置制御部72が複数のパワーコンディショナ3へ停止指示通知を送信し、複数のパワーコンディショナ3の出力制御部43は、このマスタコントローラ4からの停止指示通知に基づいてそれぞれの出力を停止するようにしてもよい。
上記実施の形態では、マスタコントローラ4は、複数のパワーコンディショナ3とは別体の装置として実現されている。この他にもたとえば、マスタコントローラ4は、1つのパワーコンディショナ3に内蔵される装置として実現されていてもよい。
上記実施の形態では、系統連系分散発電システム1は、1つのマスタコントローラ4を有する。この他にもたとえば、系統連系分散発電システム1は、複数のマスタコントローラ4を有するものであってもよい。
ただし、1つの系統連系分散発電システム1が複数のマスタコントローラ4を有する場合、その中の1つのマスタコントローラ4が稼動し、残りのマスタコントローラ4は待機状態とするのが望ましい。1つの系統連系分散発電システム1において複数のマスタコントローラ4が同時に動作すると、ネットワーク9に対して異なる場所に接続される複数のマスタコントローラ4は、たとえばUDP/IPパケットデータの受信に基づく能動動作の要否の判断などにおいて互いに異なる判断をし、システム全体が予想したものとは異なる動作をしてしまう可能性がある。
上記実施の形態では、複数のパワーコンディショナ3とマスタコントローラ4とは、10Base−Tタイプの通信ケーブルにより接続されている。この他にもたとえば、複数のパワーコンディショナ3とマスタコントローラ4とは、100BaseTXタイプの通信ケーブルや、2.4GHz帯または5.2GHz帯などを使用する無線通信回線、自動車の車内LANとして使用されるCAN(Controller Area Network)通信方式、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.5(トークンリング)による通信方式などにより接続されていてもよい。これらのデータ通信方式は、市場において汎用されており、データ通信の信頼性が高い。この他にもたとえば、複数のパワーコンディショナ3とマスタコントローラ4とは、発電ケーブルに2〜30MHz帯の周波数で通信データを重畳する電力線通信方式などにより接続されていてもよい。
特に、IEEE802.5(トークンリング)による通信方式で使用する通信ケーブルは、IEEE802.3による10Base−Tタイプの通信ケーブルと同様に、余分な未使用の信号線を有する。このIEEE802.5で使用する通信ケーブルの未使用の信号線を、能動動作指示信号の専用のアナログ線として使用することができる。マスタコントローラ4は、複数のパワーコンディショナ3へ同時に能動動作を指示することができる。
上記実施の形態では、パワーコンディショナ3の通常感度系統異常判断部46は、能動動作指示部45の指示に基づいて、商用電力系統5の電力異常判断動作を開始している。この他にもたとえば、通常感度系統異常判断部46は、常時、商用電力系統5の電力異常を判断するようにしてもよい。この変形例の場合、通常感度系統異常判断部46は、能動動作が実行していないときでも、系統電力に異常があればそれを判断し、出力制御部43へ停止指示を供給する。すなわち、通常感度系統異常判断部46は、所定の能動動作因子による商用電力系統5の電力品質の低下を検出しても、且つ、所定の能動動作因子によらない商用電力系統5そのものによる電力品質の低下を検出しても、出力電力生成部14による電力系統への電力出力を停止させることができる。