JP4724770B2 - 吸着体 - Google Patents

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この発明は、対象物を吸引保持するための吸着体に関する。
半導体製造で用いられる半導体ウェーハや、液晶製造で用いられる薄板状のガラス基板等の製造工程に用いられる装置には、半導体ウェーハやガラス基板を固定するための真空吸着装置が備えられており、その固定治具として吸着パッドと称する吸着体が使用されている。
半導体製造や液晶製造の分野では最近、大型化が進んでおり、例えば550×650mmのサイズの基板を製造するラインが本格的な稼動に入ってきている他、650×830mmの基板の開発、さらに次世代では、700×900mm程度の大きな基板も採用されると言われている。基板の大型化により吸着パッドも大型化が必要となっている。
この吸着パッドとして、従来はステンレス等の鉄系材料に貫通孔を施したものが使用されていたが、上記したように吸着パッドの大型化に伴い、重量が大きくなりすぎ、駆動に要するエネルギーが大きくなるという問題があった。
そのため、大型装置には、軽く且つ寸法安定性が良く、大型化しやすいポーラスセラミックを用いた吸着パッドが使用されるようになってきている(文献1)。
特開平6−8086号
しかし、多孔質セラミックを用いた吸着パッドは導電性を有しておらず、近年の精密な製造工程には適合しなくなってきている問題がある。
例えば、吸着パッドに半導体ウェーハを固定してダイシングを行う場合には、ダイシングに先立って、上下動の制御(Z軸制御)を行う際の基準位置を定める作業が行われており、導電性を持たせた切削ブレードが吸着パッドに接触することにより、切削ブレードから吸着パッドへ電流が流れ、位置を記憶して半導体ウェーハの切り込み深さを精密に制御することが行われている。また、半導体ウェーハなどの場合には、この他にも種々の位置決め等が必要である。
このような工程には、導電性のないポーラスセラミックの吸着パッドは、上記したような位置決め制御の障害になる場合がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、吸引手段に接続され、対象物を吸引保持するための吸着体であって、対象物を吸引保持する吸着面と、前記吸引手段により吸引される吸引面とを有する板状の通気性を有するポーラスカーボンと、該ポーラスカーボンの前記吸着面と吸引面以外の部分を塞いで当該部分を不通気とする不通気体と、前記吸引面に連通し、吸引手段に接続される吸引口と、を備え、前記不通気体が前記板状のポーラスカーボンに封孔処理を施した封孔処理部であり、前記封孔処理部は、熱硬化性樹脂を塗布し硬化処理をさせ、該硬化処理後700℃以上で炭化処理を行うことにより形成される、ことを特徴とする。
以上の構成において、板状のポーラスカーボンを主体に構成されるため、軽量で、構造が簡単で且つ導電性を有する吸着体を提供することが可能である。
また不通気体として外枠などを使用しないため、簡単な構成となり、軽量化が可能となる。また、単一材で形成されるため熱膨張差による歪み、変形、剥離がなく、吸着面に段差などが生ずることがなく、長期的に平坦度を維持することができる。更に吸着面に摩耗により歪みが発生した場合でも、単一材料で構成されているため、精度良く研磨加工をすることが出来る、等の効果がある。
本発明の吸着体は、導電性を有し、軽量で大型化が可能である効果がある。
本発明の一実施形態を示す概略正断面図。 参考例を示す概略正断面図。 他の参考例を示す概略正断面図。 本発明の試験装置の概略説明図。 本発明の試験装置の概略説明図。
以下本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1において、この吸着パッドXはポーラスカーボン板1を主体に構成されている。ポーラスカーボン板1は板状をなしており、基台7上に装着されている。該ポーラスカーボン板1の表面は対象物を吸着する吸着面2になっており、裏面は吸引面3になっている。
ポーラスカーボン板1の裏面は基台7に当接し、基台7にはポーラスカーボン板1の裏面に接触しない空隙5が設けられ、該空隙5に相当するポーラスカーボン板1の裏面部分が吸引面3になっている。
空隙5に連通して、吸引口6が形成され、この吸引口6にポンプなどの吸引手段(図示せず)を接続して、吸引を行うようになっている。
ポーラスカーボン板1の側端面20と表面及び裏面の縁部には封孔処理部4が形成され、この部分が不通気になっている。また、前記吸引面3を除いたポーラスカーボン板1の裏面も基台7に密着して不通気になっている。
以上の構成により、吸着面2と吸引面3のみが通気部分となり、吸引口6から空隙5を介して吸引面3を吸引すると、吸着面2が吸着部として機能し、吸着面2に対象物を吸着保持することができるようになっている。
前記封孔処理部4は、熱硬化性樹脂をハケ等で塗布、または布等に染み込ませて塗布し、硬化処理をさせ、気孔へ樹脂を染みこませることにより形成できる。また、硬化処理後、700℃以上で炭化処理を行う。
上記構成の吸着パッドXは、ポーラスカーボン板1に基台7を装着した極めて簡単な構成であるため、軽量化が可能となる。また、単一材で形成されるため熱膨張差による歪み、変形、剥離がなくなる。
吸着材と外枠とで構成した吸着パッドの場合、異種材料で形成されることによる熱膨張率の相違があり、そのため吸着部が外れたり、歪みが発生したりする。また、熱膨張差や硬さの差による研削加工歪み等により外枠と吸着部とに段差が生じて平坦度が悪くなったり、吸着力が低下する、等の欠点があるが、上記構成の場合、これらの欠点を排除できる。
更に封孔処理部4の熱硬化性樹脂のコーティングはハケ塗りするため非常に作業性に優れている上、任意の位置をコーティング出来る。
また、遮蔽膜として従来使用されているフッ素コーティングは浸透せず、コーティング層が厚くなるため、エアーリークの発生やコストがかかってしまう。また、導電性がない等の問題があるが、上記構成ではこのような問題点は解決される。
以上説明したように、図1に示す吸着パッドXによれば、吸着面2がカーボンであるから、カーボンの導電性を利用し、ワークや切削工具の位置決めを電気的に制御することが出来る。
また上記吸着パッドXはポーラスカーボン板1の表面のみの単一材質で吸着面2が形成されるため、吸着面2の段差はなく、熱による膨張が発生しても膨張率の差がないため、極めて長期的に平坦度を維持することができる。また吸着部2に摩耗により歪みが発生した場合、単一材料で構成されているため、精度良く研磨加工をすることが出来る。また、カーボンは耐薬品製に優れているため、腐食環境下でも使用することが出来る。
さらに、部品点数の削減と外枠を使用しないことから、軽量化する事ができる。
また熱硬化性樹脂はハケで塗布できるため、任意の箇所に塗布出来、封孔処理部4を自由に設定でき、作業性に優れており、安価で仕上げる事が出来る。更に吸引口6などのエアー周りは基台7に持たせることにより、形状を簡潔にまとめることが出来る。
次に参考例を説明する。
図2に示すように、この参考例の吸着パッドX’ではポーラスカーボン板1は容器10に収納されている。容器10は側面部8と底面部9とから構成され、ポーラスカーボン板1の吸着面2を露出し、また側端面20を塞ぎ、裏面の吸引面3以外の部分を塞いで不通気とするようになっている。
側面部8は、ポーラスカーボン板1と同じカーボンからなり、該カーボンに予め熱硬化性樹脂で封孔処理をして不通気としてあり、吸着面2に連続する表面が不通気面80となっている。
また、底面部9はステンレスからなり、空隙5と吸引口6を形成してある。空隙5に対応するポーラスカーボン板1の裏面が吸引面3となっている。また吸引口6は真空ポンプなどの吸引装置(図示せず)に接続されるように構成されている。
ポーラスカーボン板1の気孔率は40%であり、また容器10に接着或いは焼き嵌め法により結合されている。また結合後に、吸着面2と側面部8の表面である不通気面80に研磨加工を施し、平坦度を数μm以下にしてある。
以上の構成の吸着パッドX’は、ポーラスカーボン板1と側面部8が同一の材料であるため、熱膨張差はほぼ0となり、熱による膨張が発生しても、吸着面2と不通気面80に段差が生ずることがなく、長期的に平坦度を維持することができる。また、吸着面2と不通気面80は、カーボンの導電性を有するため、ワークや切削工具の位置決めを電気的に制御することが出来る。また、カーボンは耐薬品製に優れているため、腐食環境下でも使用することが出来る。
なお、図2の参考例では、側面部8と底面部9を別体としたが、図3に示すように、容器10全体を一体的に不通気性カーボンで形成してもよい。この構成においても、図2の参考例と同様な効果を得られる。
<ポーラスカーボン板1の材料>
一般的なポーラスカーボンは、コークス粒とピッチの炭化物を結合材とした2元系の組織構造の多孔体であり、半導体ウェーハ等の対象物を吸着、開放させるときの加圧減圧の繰り返し動作により、破損したり発塵したりする等の可能性がある。
即ちカーボンの硬さが100Hvであるのに対して、吸着対象物であるシリコンウェーハの硬さは一般的に600Hv、またガラス基板が950Hvである。
そのため、シリコンウェーハやガラス基板の吸着、開放をポーラスカーボンの上で繰り返すことにより、吸着面にシリコンウェーハやガラス基板の吸着痕や接触傷や摩耗が発生し、吸着力が低下する。また、摩耗により、摩耗粉が発生し、シリコンウェーハやガラス基板を汚染する可能性がある。
そのため、ポーラスカーボン板1の材料として、自己焼結性炭素で形成され、その気孔率が10〜50vol%である、ポーラスカーボンを用いるのが好ましい。該ポーラスカーボンに、熱硬化性樹脂を含浸硬化させ、自己焼結性炭素で出来た骨格表面を熱硬化性樹脂で被膜しても良い。また前記ポーラスカーボンに、熱硬化性樹脂を含浸硬化し、炭化処理を行い、自己焼結性炭素で出来た骨格表面をガラス状カーボンで被膜しても良い。この構成により、軽量且つ導電性を維持しつつ、充分な強度を持ち、発塵を抑えることが可能になる。
以下材料について詳細に説明する。
自己焼結性炭素は、ピッチバインダーを添加せずに、成形後焼結することで炭素粉末同士が強固に焼結して高強度カーボン材料となる炭素粉末であり、原料粒子自体が強固な結合力を示すため、気孔率の大きい多孔体であっても高強度なポーラスカーボンを得ることができる。
しかし、強度の高い自己焼結性炭素材料で作られたポーラスカーボンでもプレス成形時による局部的な不均一により、局部的に見ると粒子が脱落しやすい部分もあり、加圧減圧の繰り返し応力により、その部分に炭素の脱落が微量発生し、発塵する可能性もある。
そこで粉塵の発生を防ぐ方法として、熱硬化性樹脂またはガラス状カーボンで被膜することが望ましい。
被膜する方法は自己焼結性炭素材料で形成されたポーラスカーボンへ真空含浸装置を用い、濃度調整した熱硬化性樹脂を真空含浸させる。真空含浸後に加圧含浸しても良いが樹脂濃度が低いため、含浸液の粘度は1P以下となり、特に加圧する必要はない。
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等があり、いずれでも良いが、接着強度が高く、半導体使用液にも充分に耐える耐薬品性を有し、さらに安価であることが望ましく、接着強度が高く、耐薬品性にも優れ、比較的安価なフェノール樹脂またはエポキシ樹脂が良い。
濃い濃度の熱硬化性樹脂をポーラスカーボンへ含浸硬化すると、ポーラスカーボンの気孔の一部または全部を塞いでしまい性能が著しく低下するため、熱硬化性樹脂を溶媒で薄める必要がある。含浸樹脂濃度を10wt%以下に希釈すると被覆層部は1μm以下に薄くすることが可能となる。更に言うなら、含浸前の気孔率を殆ど低下させない3〜4wt%の濃度が望ましい。
溶媒は熱硬化性樹脂が溶解する有機溶剤が条件となる。有機溶剤としてアセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、ベンジン等が挙げられるが、汎用性、安全性、安価な物が良い。例えば、フェノール樹脂を使用した場合はエタノール、イソプロピルアルコールが望ましい。
真空含浸後、含浸樹脂の硬化処理および有機溶剤の除去処理を行う。例えば、フェノール樹脂に溶媒としてエタノールを使用した場合、特に温度指定はないが、180℃程度に加温することにより、エタノールを除去すると共に、フェノール樹脂を完全に硬化させる事が出来る。
ガラス状カーボンは熱硬化性樹脂を炭化させて生成させるため、熱硬化性樹脂の炭化率が高い方が炭化させる熱硬化性樹脂の濃度を低くすることが出来、内部まで均一にガラス状炭素にすることが出来る。
炭化させる熱硬化性樹脂を特定する必要はないが、その中でも炭化率が高く比較的安価なフェノール樹脂が望ましい。炭化処理は樹脂の炭化温度以上で実施する必要がある。例えば、フェノール樹脂の場合、不活性な雰囲気下で800℃以上で焼成することで、炭化する事が出来る。
この様に、自己焼結性炭素で出来たポーラスカーボンの自己焼結性炭素の骨格の表面を熱硬化性樹脂から低熱膨張であるガラス状カーボンへ変化させることにより、周囲の環境での温度変化に対しても吸着面の平面度を維持できる。
以下実施例を示す。
<実施例1〜4>
○カーボンの製造工程
平均粒径20μmに調整した自己焼結性炭素粉をφ120mmの金型を用い油圧プレスで成形圧0.4、0.5、0.7、0.8t/cm2でそれぞれ成形し、φ120×0×10mmの円板成形体を得た。その円板成形体を非酸化雰囲気で昇温速度30℃/hrで1000℃まで昇温して、30分保持し放冷した。
得られた焼結体をφ100×0×5mmに加工後、十分に洗浄し、ポーラスカーボンを得た。加工物に対しアルキメデス法により開気孔を測定した結果、開気孔率はそれぞれ、50、40、20、10vol%であった。このポーラスカーボンを超音波洗浄機でアセトンを用い10分間洗浄し、充分に乾燥させた。得られたポーラスカーボンは真空含浸装置を用い、真空条件下で1時間脱気した後、エタノールを溶媒に4wt%に調整したレゾール型フェノール樹脂を投入し、充分に含浸させた。続いて乾燥炉にて昇温速度10℃/hrで200℃まで昇温して、30分保持することにより、溶媒に使用したエタノールを除去するとともに、フェノール樹脂を加熱硬化させた。この処理でポーラスカーボンの骨格がフェノール樹脂で被膜された。上記工程で得た吸着パッド用ポーラスカーボンをアルキメデス法により開気孔を測定した結果、開気孔率はそれぞれ、50、40、20、10vol%であった。ここで得られた自己焼結性炭素の骨格表面を熱硬化性樹脂で被膜した吸着パッド用ポーラスカーボンを実施例1,2,3,4の材料とした。
<実施例5〜8>
平均粒径20μmに調整した自己焼結性炭素粉をφ120mmの金型を用い油圧プレスで成形圧0.4、0.5、0.7、0.8t/cm2でそれぞれ成形し、φ120×0×10mmの円板成形体を得た。その円板成形体を非酸化雰囲気で昇温速度30℃/hrで1000℃まで昇温して、30分保持し放冷した。
得られた焼結体をφ100×0×5mmに加工後、十分に洗浄し、ポーラスカーボンを得た。加工物に対しアルキメデス法により開気孔を測定した結果、開気孔率はそれぞれ、50、40、20、10vol%であった。このポーラスカーボンを超音波洗浄機でアセトンを用い10分間洗浄し、充分に乾燥させた。
得られたポーラスカーボンは真空含浸装置を用い、真空条件下で1時間脱気した後、エタノールを溶媒に4wt%に調整したレゾール型フェノール樹脂を投入し、充分に含浸させた。続いて乾燥炉にて昇温速度10℃/hrで200℃まで昇温して、30分保持することにより、溶媒に使用したエタノールを除去するとともに、フェノール樹脂を加熱硬化させた。更に、フェノール樹脂で被膜された吸着パッド用ポーラスカーボンを非酸化雰囲気で昇温速度30℃/hrで900℃まで昇温して、30分保持することにより、フェノール樹脂を炭化処理してガラス状カーボンとした。この炭化処理により、フェノール樹脂が炭化され、吸着パッド用ポーラスカーボンの自己焼結性炭素の骨格表面をガラス状カーボンで被膜した。上記工程で得た吸着パッド用ポーラスカーボンをアルキメデス法により開気孔を測定した結果、開気孔率はそれぞれ、50、40、20、10vol%だった。ここで得られた自己焼結性炭素の骨格表面にガラス状カーボンを被膜した吸着パット用ポーラスカーボンを実施例5,6,7,8の材料とした。
<実験方法>
上記で得たポーラスカーボン板を用いて吸着パッドXを製作した。吸着面2は研磨にて平面度1μm以下に整えた。
次に図4に示す通り、吸着パッドXの吸引口6と真空ポンプPとをバルブ11および圧力計14を介して接続しテスト装置とした。
吸着パッドX単独で(吸着パッドに何も吸着させない状態で)バルブ11を開き、バルブ12およびバルブ13を閉じて真空ポンプPを起動させ、吸着パッドX単独の圧力(吸着パッドの抵抗)を測定した後、吸着パッドXに平面度が1μm以下のφ150mmのガラス板Bを吸着させ、ガラス吸着時の圧力を測定した。吸着力はガラス吸着時と未吸着時との差圧×吸着面積として表し、30kgf以上を合格とした。更にバルブ11を閉じ、バルブ13を開くことにより窒素ボンベ15から圧力調整弁16で制御された0.4MPaGの窒素によりガラス板を開放することが出来る。
発塵量の評価はガラスBの吸着を1分間、ガラスBの開放を1分間の作業を1000回繰り返し行い、その時の発塵量をパーティクルカウンタ17により吸着部の表面上に存在する0.5μm以上の大きさの塵の数を測定し、352000個/m以下を合格とした。
結果を表1に示す。
いずれの実施例においても、優れた吸着力を示し、発塵もなかった。
Figure 0004724770
<保護膜の形成>
ポーラスカーボン板1の吸着面2に保護膜を形成して、吸着面2の強化と発塵の防止をはかることも可能である。該保護膜は、導電性を有し、表面硬さが600Hv以上、10μm以下の厚さを有するものとする。また材質としては、DLC、TiN、TiCN、TiAlN、TiCrN、CrN、Crの中の1つの保護膜とすることができる。
特にTiN、TiCN、TiAlN、TiCrN、CrNは良導体であり、また水素添加量の多いDLCは導電性を有し、硬さが1800以上と硬いため、傷や摩耗の心配がなく、より好ましい。
また前記保護膜は、10μmを超えて形成すると気孔の一部または全部が塞がり、通気量と吸着力が低下し、シリコンウェーハまたはガラス基板を強固に固定することが出来ず吸着パッドとして性能が満足できない。保護膜の厚みが薄い方が気孔の塞がりが少なくなり、シリコンウェーハやガラス基板を強固に固定出来ることができるため、保護膜はより薄い方が望ましい。そのため保護膜は10μm以下とするのが望ましい。
上記構成の保護膜を施した吸着パッドは、通気性、吸着力、導電性を維持しつつ、摩耗や発塵或いは形状変化を抑制することができる。
上記保護膜は吸着面2を研磨して、所定の平面度にした上で、形成するのが望ましい。
この保護膜は、シリコンウェーハの硬さより高い600Hv以上とする。好ましくはガラス基板の硬さより高い1000Hv以上がよい。
また保護膜としては高い硬さの方が望ましいが、保護膜の内部応力により膜が安定せず、剥離してしまうため硬さは10000Hvを上限とする。
また、保護膜の厚さは、10μm以下が望ましい。10μmを超えると気孔の一部または全部を塞いでしまい、通気性が悪くなり、十分な吸着力を維持できないためである。また、保護膜が薄い方が気孔の塞がりを抑え、良好な吸着力を維持出来る。特に薄さの下限の制限はない。
以下実施例を説明する。
1.ポーラスカーボン
平均粒径20μmに調整した自己焼結性炭素粉をφ120mmの金型を用い油圧プレスで成形圧0.5t/cm2で成形し、φ120×0×10mmの円板成形体を得た。その円板成形体を非酸化雰囲気で昇温速度30℃/hrで1000℃まで昇温して、30分保持し放冷した。
焼結して得られた焼結体をφ100×0×5mm、平面度を1μmに加工後、十分に洗浄し、ポーラスカーボンを得た。加工物に対しアルキメデス法により開気孔を測定した結果、開気孔率は40%であった。
2.保護膜
このポーラスカーボンの吸着面に下記表2に示す保護膜をコーティングし、その硬さをダイナミック超微小硬さ計で測定したところ、表2に示す硬さであった。
3.吸着パッドX
上記保護膜を施した各ポーラスカーボンを用いて図3に示す吸着パッドXを製作し、図5に示すように吸引口6と真空ポンプPとをバルブ11及び圧力計14を介して接続し、テスト装置とした。
4.試験方法
吸着パッドX単独で(吸着パッドに何も吸着させない状態で)バルブ11を開き、バルブ12とバルブ13を閉じて真空ポンプ6を起動させ、吸着パッドX単独の圧力(吸着パッドの抵抗)を測定した後、吸着パッドXに平面度が1μm以下のφ150mmのガラス板Bを吸着させ、ガラス吸着時の圧力を測定した。ガラス板の開放はバルブ11を閉じ、バルブ13を開いて行った。
ガラス板Bの吸着と開放を10,000回以上実施し、10,000回以上後の吸着パッドXの評価を行った結果を表2に示す。実施例11乃至16については、表2に示す通り、ガラス板Bと吸着面1に摩耗や傷の痕跡はなく、平面度もテスト前と同じ1μm以下を示した。吸着力の評価方法はガラス吸着時と未吸着時との差圧×吸着面積を吸着力として、吸着力30kgf以上を合格とし、合格となった。
Figure 0004724770
1:ポーラスカーボン板、2:吸着面、3:吸引面、4:封孔処理部、5:空隙、6:吸引口、7:基台、8:側面部、9:底面部、10:容器、20:側端面、80:不通気面。

Claims (2)

  1. 吸引手段に接続され、対象物を吸引保持するための吸着体であって、
    対象物を吸引保持する吸着面と、前記吸引手段により吸引される吸引面とを有する板状の通気性を有するポーラスカーボンと、
    該ポーラスカーボンの前記吸着面と吸引面以外の部分を塞いで当該部分を不通気とする不通気体と、
    前記吸引面に連通し、吸引手段に接続される吸引口と、を備え、
    前記不通気体が前記板状のポーラスカーボンに封孔処理を施した封孔処理部であり、
    前記封孔処理部は、熱硬化性樹脂を塗布し硬化処理をさせ、該硬化処理後700℃以上で炭化処理を行うことにより形成される、
    ことを特徴とする吸着体。
  2. 前記吸着面に、導電性を有し、表面硬さが600Hv以上、10μm以下の厚さを有する保護膜を形成した、
    請求項に記載の吸着体。
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