しかしながら、上記従来の構成では、以下に記す理由から、不要に高冷却能力のコンプレッサを用いていることとなる。高冷却能力ゆえに大型かつ高額なコンプレッサを用いるため、冷菓製造装置自体が不要に大型となることと、製造コストが割高になるという問題が生じる。
通常、冷菓購入者の好みは、異なる味覚の冷菓に対して一様ではないため、複数種類の冷菓を提供する場合、冷菓の種類によって需要にばらつきがある。したがって、冷菓製造装置500では、シリンダ512から取り出される冷菓と、シリンダ522から取り出される冷菓との間で、取り出される量が異なる場合がある。
例えば、ユニット510から、バニラ風味の冷菓が提供され、ユニット520から、バニラ風味の冷菓よりも需要の少ないイチゴ風味の冷菓が提供される場合、単位時間にシリンダ512に供給されるミックスの量が、シリンダ522に供給されるミックスの量よりも多くなる。シリンダに供給されるミックスの温度は、すでにシリンダ内に存在する攪拌冷却された冷菓と比べると高温であるため、シリンダ512は、シリンダ522に比べて内部の温度が上昇しやすい。冷菓製造装置500では、コンプレッサ513・523はいずれも、ユニット510のシリンダ512に供給される冷菓の原料を所望の時間内に所望の温度に冷却できる冷却能力を有するように構成されている。
しかしながら、シリンダ522に供給される冷菓の原料の量は、シリンダ512に供給される冷菓の原料の量よりも少ないため、コンプレッサ523は、必要とされる冷却能力を超える冷却能力を有していることになる。すなわち、コンプレッサ523は、不必要な冷却能力の高さから、不必要に大型のものとなり、冷菓製造装置500自体が大型化し、製品コストが割高となってしまう。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷菓製造装置の製造コストを削減しつつ、装置の大型化を抑制し、冷菓の提供量に応じた効率の良い温度調節が可能な冷菓製造装置を実現することにある。
本発明に係る冷菓製造装置は、上記課題を解決するために、冷菓の原料を貯蔵する容器と、上記容器から供給される冷菓の原料を攪拌冷却することにより冷菓を製造するシリンダと、該シリンダの温度を調節する温度調節装置とを、それぞれ少なくとも2つ備える冷菓製造装置であって、冷菓の原料を貯蔵する第1容器および第2容器と、上記第1容器および第2容器からそれぞれ供給される冷菓の原料を攪拌冷却することにより冷菓を製造する第1シリンダおよび第2シリンダと、上記第1容器および第1シリンダの冷却温度を調節する第1温度調節装置と、上記第2容器および第2シリンダの冷却温度を調節する第2温度調節装置とを含み、上記第1温度調節装置の冷却能力が、上記第2温度調節装置の冷却能力よりも高く設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記第1温度調節装置の冷却能力が、上記第2温度調節装置の冷却能力よりも高く設定されている。このため、第1シリンダおよび第2シリンダから供給される冷菓のうち、提供量の多いほうの冷菓(たとえば、バニラ風味の冷菓)を上記第1シリンダから提供し、提供量の少ないほうの冷菓(たとえば、イチゴ風味の冷菓)を上記第2シリンダから提供するようにすれば、供給量の多い冷菓の原料を、冷却能力が高い第1温度調節装置により安定して所望の冷却温度に冷却することができる。一方、第1温度調節装置にくらべ、冷却能力が低く、安価な第2温度調節装置需要の冷却対象を、提供量の少ない冷菓の原料とすることで、冷菓製造装置の製造コストを削減しつつ、装置の不必要な大型化を抑え、冷菓の提供量に応じた効率の良い温度調節が可能な冷菓製造装置を実現することができる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記第1容器の容量が、上記第2容器の容量より大きいことが好ましい。
上記の構成によれば、第2温度調節装置よりも冷却能力が高い第1温度調節装置の冷却対象の冷菓の原料を貯蔵する第1容器の容量を、第2温度調節装置の冷却対象の冷菓の原料を貯蔵する第2容器の容量よりも大きくしている。このため、提供量の多いほうの冷菓(たとえば、バニラ風味の冷菓)を第2容器に入れた場合には、頻繁に冷菓の原料を補充せねばならないが、大きい容量の上記第1容器に貯蔵するようにすれば、第1容器への冷菓の原料の補充回数を減らすことができ、補充作業を軽減できる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記第1シリンダの容量が、上記第2シリンダの容量よりも大きいことが好ましい。
上記の構成によれば、第1シリンダは、第2シリンダよりも多量の冷菓を貯蔵することができる。連続して取り出せる冷菓の量は、主にシリンダの容量によって決まるので、第1シリンダのほうが第2シリンダより多くの冷菓を連続して取り出すことができ、短時間に多量の冷菓を取り出す必要がある場合に、容易に対応できる。
本発明に係る冷菓製造装置では、さらに、第1配電系統から上記第1温度調節装置に電力を供給するための第1電源ケーブルと、第2配電系統から上記第2温度調節装置に電力を供給する第2電源ケーブルとを含み、上記第2電源ケーブルには、第1過電流保護手段が設けられており、上記第1過電流保護手段における最大許容電流が、上記第1電源ケーブルに流れる最大電流よりも小さく設定されていることが好ましい。
第2温度調節装置の冷却能力は第1温度調節装置の冷却能力よりも低いため、第2温度調節装置の定格消費電力は第1温度調節装置の定格消費電力よりも低い。第1温度調節装置が故障し、第1電源ケーブルを流れる電流が過大となり、放置すれば過熱などの問題が発生することを回避するため、第1電源ケーブルは、一般には、冷菓製造装置の外部に設置されている過電流保護手段に接続され、同過電流保護手段から電流が供給される。即ち、当該故障により、過電流保護手段を通過する電流が、所定電流を超えると、過電流保護手段が通電を遮断し、第1温度調節装置などを停止させる。他方、第2温度調節装置における故障による過電流値は、第1温度調節装置の場合と比べ、低いものである。このため、第2電源ケーブルに、第1電源ケーブルの場合と同じ過電流保護手段が接続されていると、第2電源ケーブルに過電流が流れても、その電流値が低いため、過電流保護手段が通電を遮断せず、第2温度調節装置の過熱による事故の原因となる虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、第2電源ケーブルに第1過電流保護手段が設けられるため、上記第2温度調節装置に流れる過大電流により、第1過電流保護手段が通電電流を遮断する。これにより、過電流により、第2温度調節装置が過熱するリスクを軽減することができる。
本発明に係る冷菓製造装置は、さらに、冷菓の原料を貯蔵する第3容器と、上記第3容器から供給される冷菓の原料を攪拌冷却することにより冷菓を製造する第3シリンダと、上記第3容器および第3シリンダの冷却温度を調節する第3温度調節装置とを備え、上記第1温度調節装置の冷却能力が、上記第3温度調節装置の冷却能力よりも高く設定されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、上記第1温度調節装置の冷却能力が、上記第3温度調節装置の冷却能力よりも高く設定されている。このため、第1シリンダおよび第3シリンダから供給される冷菓のうち、提供量の多いほうの冷菓(たとえば、バニラ風味の冷菓)を上記第1シリンダから提供し、提供量の少ないほうの冷菓(たとえば、チョコレート風味の冷菓)を上記第3シリンダから提供するようにすれば、供給量の多い冷菓の原料を、冷却能力が高い第1温度調節装置により安定して所望の冷却温度に冷却することができる。一方、第1温度調節装置にくらべ、冷却能力の低く、安価な第3温度調節装置の冷却対象を、提供量の少ない冷菓の原料とすることで、冷菓製造装置の製造コストを削減しつつ、装置の不必要な大型化を抑え、冷菓の提供量に応じた効率の良い温度調節が可能な冷菓製造装置を実現することができる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記第1容器の容量が、第3容器の容量よりも大きいことが好ましい。
上記の構成によれば、第3温度調節装置よりも冷却能力が高い第1温度調節装置の冷却対象の冷菓の原料を貯蔵する第1容器の容量を、第3温度調節装置の冷却対象の冷菓の原料を貯蔵する第3容器の容量よりも大きくしている。このため、提供量の多いほうの冷菓(たとえば、バニラ風味の冷菓)を第2容器に入れた場合には、頻繁に冷菓の原料を補充せねばならないが、大きい容量の上記第1容器に貯蔵するようにすれば、第1容器への冷菓の原料の補充回数を減らすことができ、補充作業を軽減できる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記第1シリンダの容量が、上記第3シリンダの容量よりも大きいことが好ましい。
上記の構成によれば、第1シリンダは、第3シリンダよりも多量の冷菓を貯蔵することができる。連続して取り出せる冷菓の量は、主にシリンダの容量によって決まるので、第1シリンダのほうが第3シリンダより多くの冷菓を連続して取り出すことができ、短時間に多量の冷菓を取り出す必要がある場合に、容易に対応できる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記第1シリンダは、2つのシリンダに隣り合うように設けられることが好ましい。
ここで、一般に、2つのシリンダから混合冷菓を提供する場合、需要の少ない冷菓同士を混合した冷菓(例えば、イチゴ風味とチョコレート風味とを混合したもの)よりも、需要の多い冷菓(例えば、バニラ風味のもの)を含む混合冷菓のほうが、需要が多い。上記の構成によれば、例えば、冷菓製造装置が3つのシリンダを有している場合、第1シリンダは、第2シリンダおよび第3シリンダに隣り合うように設けられる。これにより、隣り合うシリンダ内の冷菓を混合して取り出す場合に、第1シリンダ内の冷菓と第2シリンダ内の冷菓との混合冷菓、および第1シリンダ内の冷菓と第3シリンダ内の冷菓との混合冷菓を取り出すことができる。さらに、第1温度調節装置の冷却能力が、第3温度調節装置の冷却能力よりも高く設定されているので、第1シリンダから、需要の多い冷菓が取り出されるように構成すれば、上記のように、冷菓の提供量に応じた効率の良い温度調節が可能な冷菓製造装置を実現することができるとともに、上記冷菓製造装置から需要に適合した混合冷菓を提供することができる。
本発明に係る冷菓製造装置では、さらに、第1配電系統から上記第1温度調節装置に電力を供給するための第1電源ケーブルと、第2配電系統から共有電源ケーブルを介して、上記第2温度調節装置および上記第3温度調節装置にそれぞれ電力を供給するための第2電源ケーブルおよび第3電源ケーブルとを含むことが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1温度調節装置に比べ冷却能力の小さい上記第2温度調節装置および上記第3温度調節装置とが、電源を共有している。このため、2つのシリンダを備えた冷菓製造装置に用いる2配電系統の電源環境を、3つのシリンダを備えた冷菓製造装置に適用することができる。このため、既存の2配電系統の電源環境から大幅な設備変更を要することなく、3つのシリンダを備えた冷菓製造装置の配電系統を実現することができる。
また、上記の構成において、上記第2電源ケーブルおよび第3電源ケーブルに、それぞれ、第2過電流保護手段および第3過電流保護手段が設けられており、上記第2過電流保護手段および第3過電流保護手段における各最大許容電流が、上記第1電源ケーブルに流れる最大電流よりも小さく設定されていることが好ましい。
上記第2温度調節装置および第3温度調節装置の冷却能力は第1温度調節装置の冷却能力よりも低いため、第2温度調節装置および第3温度調節装置の定格消費電力は第1温度調節装置の定格消費電力よりも低い。第1温度調節装置が故障し、第1電源ケーブルを流れる電流が過大となり、放置すれば過熱などの問題が発生することを回避するため、第1電源ケーブルは、一般には、冷菓製造装置の外部に設置されている過電流保護手段に接続され、同過電流保護手段から電流が供給される。即ち、当該故障により、過電流保護手段を通過する電流が、所定電流を超えると、過電流保護手段が通電を遮断し、第1温度調節装置などを停止させる。他方、第2温度調節装置および第3温度調節装置における故障による過電流値は、第1温度調節装置の場合と比べ、低いものである。このため、第2電源ケーブルまたは第3電源ケーブルに、第1電源ケーブルの場合と同じ過電流保護手段が接続されていると、第2電源ケーブルまたは第3電源ケーブルに過電流が流れても、その電流値が低いため、上記過電流保護手段が通電を遮断せず、第2または第3温度調節装置の過熱による事故の原因となる虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、第2電源ケーブルおよび第3電源ケーブルに第2過電流保護手段および第3過電流保護手段が設けられるため、上記第2温度調節装置および第3温度調節装置に流れる過大電流により、第2または第3過電流保護手段が通電電流を遮断する。これにより、過電流により、第2温度調節装置および第3温度調節装置が過熱するリスクを軽減することができる。
本発明に係る冷菓製造装置では、さらに、上記各温度調節装置をそれぞれ制御する制御手段を含み、上記各温度調節装置は、上記各シリンダを加熱殺菌する際に、上記各シリンダの加熱温度を調節するように構成されており、上記各シリンダを加熱殺菌する際に、該各シリンダの全てが、同時に所定の温度以上である状態が所定時間継続するように、上記制御手段が、上記各温度調節装置を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、冷菓製造装置に、隣り合うシリンダ内の各冷菓の原料を混合して取り出す取出口が設けられている場合であっても、加熱殺菌運転において全てのシリンダがいずれも所定の温度以上である状態が所定の時間継続するように制御するため、当該シリンダから加熱された冷菓の原料の供給を受ける当該取出口を十分な殺菌温度に加熱することができる。したがって、シリンダの加熱殺菌を行う際に、当該取出口の殺菌も確実に行うことができる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記制御手段が、上記各シリンダを加熱殺菌する際に、加熱開始からの経過時間を計測する時間計測手段と、上記経過時間が所定の時間に達した時点で、上記各シリンダの各温度と、上記所定の温度とを比較する温度比較手段と、上記各シリンダの少なくとも1つの加熱温度が上記所定の温度に満たない場合、当該シリンダの加熱温度を調節する温度調節装置を故障と判定する判定手段と、を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、シリンダを殺菌温度に加熱するための時間を所定時間以上要してしまう温度調節装置を検出できる。したがって、冷菓製造装置が通常の使用に支障ないか否かを判定できる。
本発明に係る冷菓製造装置では、上記温度調節装置は、上記各シリンダを加熱殺菌する際に、上記各容器も加熱殺菌するように構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、容器内の原料も加熱殺菌されるため、より衛生的な冷菓製造装置が実現できる。
本発明に係る冷菓製造装置によれば、冷菓製造装置の製造コストを削減しつつ、装置の不必要な大型化を抑え、冷菓の提供量に応じた効率の良い温度調節が可能な冷菓製造装置を実現することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、本実施の形態に係る冷菓製造装置100の構成を示すブロック図である。冷菓製造装置100は、ユニット101・102、制御部110、操作・表示部120およびブレーカ130を備えている。ユニット101は、ミックスタンク1a、シリンダ2aおよびコンプレッサ3aを有しており、ユニット102は、ミックスタンク1b、シリンダ2bおよびコンプレッサ3bを有している。制御部110は、冷菓製造装置100の使用者の操作・表示部120に対する操作により、ユニット101・102を制御する。
ユニット101からは、例えばバニラ風味の冷菓が提供され、ユニット102からは、例えばイチゴ風味の冷菓が提供される。一般的にバニラ風味の冷菓のほうが、イチゴ風味の冷菓よりも需要が多いので、ユニット102から提供される冷菓よりもユニット101から提供される冷菓のほうが多い。
図2は、図1に示すユニット101の詳細な構成を示す回路図である。ユニット101には、ミックスタンク1a、シリンダ2aおよびコンプレッサ3aが設けられている。ミックスタンク1aは、冷菓の原料であるミックスを冷却貯蔵する。シリンダ2aは、注ぎ口15を介してミックスタンク1aと接続されており、ミックスタンク1aから供給されたミックスを混練しながら冷却して冷菓を製造する。コンプレッサ3aは、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aを冷却し、また、殺菌のために加熱する。コンプレッサ3aからは、高温高圧のガス冷媒が吐出され、ガス冷媒は後述する経路を経て、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aにおいて熱交換が行われる。
ミックスタンク1a内には、ミックスを攪拌するためのインペラー16が設けられており、インペラー16は、ミックスタンク1aの近傍に設けられているタンク攪拌モータ17によって回転する。また、シリンダ2aの近傍には、シリンダ2a内を攪拌するダッシャーモータ26が設けられている。タンク攪拌モータ17、ダッシャーモータ26のON/OFF制御は、操作・表示部120における使用者の操作と、シリンダ2a内の温度などの条件をもとに、制御部110により行われる。さらに、ミックスタンク1a,シリンダ2aとコンプレッサ3aとを接続する冷媒回路には、第1電磁弁SV1〜第5電磁弁SV5の5つの電磁弁が設けられている。
さらに、図示していないが、ミックスタンク1a,シリンダ2aおよび注ぎ口15には、温度センサが設けられており、温度センサからの信号によって、ミックスタンク1aやシリンダ2a内の温度が、図1に示す操作・表示部120に表示される。
図3は、図1に示すユニット102の詳細な構成を示す回路図である。ユニット102には、ミックスタンク1b,シリンダ2bおよびコンプレッサ3bが設けられている。なお、ユニット102の構成は、図2に示すユニット101において、ミックスタンク1a,シリンダ2aおよびコンプレッサ3aを、それぞれ、ミックスタンク1b,シリンダ2bおよびコンプレッサ3bに置き換えたものと同一である。また、ユニット102の各部材の用途・機能は、ユニット101の各部材と同一であるので、ユニット102の細部の説明は省略する。
このように、複数のシリンダ2a・2bを有する冷菓製造装置100においては、各シリンダ2a・2bの冷却に必要な熱量が互いに異なるため、各シリンダ2a・2b毎に、独立した冷却手段であるコンプレッサ3a・3bがそれぞれ設けられる。
ここで、ユニット101とユニット102とを比較すると、以下のようになる。まず、コンプレッサ3aの定格消費電力がコンプレッサ3bの定格消費電力よりも高く、その結果、コンプレッサ3aの冷却能力がコンプレッサ3bの冷却能力よりも高く設定されている。これにより、内部の温度がミックスタンク1bよりも上昇しやすいミックスタンク1aを、低温に保つことができる。
なお、コンプレッサ3aおよびコンプレッサ3bの冷却能力は、ユニット101およびユニット102から提供される冷菓の量に応じて設定すればよい。例えば、ユニット101から140ccのソフトクリーム換算で5分あたり最大約20個の冷菓が提供され、ユニット102から140ccのソフトクリーム換算で5分あたり最大約15個の冷菓が提供されることが想定される場合、コンプレッサ3aの定格消費電力を約1100Wに設定し、コンプレッサ3bの定格消費電力を約750Wに設定する。
このように、冷菓の提供量に合わせてコンプレッサ3a・3bの冷却能力を設定することにより、冷菓製造装置100の大型化を抑え、また、冷菓製造装置100自体の製品コストを抑えることができる。なお、コンプレッサの定格消費電力が大きいほど、コンプレッサの冷却能力は高くなる。
また、ミックスタンク1aおよびミックスタンク1bの容量も、ユニット101およびユニット102から提供される冷菓の量に応じて設定すればよい。本実施形態では、ミックスタンク1aの容量は、ミックスタンク1bの容量よりも大きくなっている。これにより、補充されるミックスの量がミックスタンク1bよりも多いミックスタンク1aにおける、ミックスの補充回数を減らすことができる。
さらに、シリンダ2a・2bにおいても、シリンダ2aの容量がシリンダ2bの容量よりも大きく構成されており、これにより、シリンダ2aは、シリンダ2bよりも多量の冷菓を貯蔵することができる。したがって、シリンダ2bよりもシリンダ2aのほうが、より多くの冷菓を連続して取り出すことができる。
続いて、図1を参照して、冷菓製造装置100に設けられるブレーカ130について説明する。冷菓製造装置100には、設置場所に設けられている2箇所の配電系統601・602から電力が供給されており、電源ケーブル141および電源ケーブル142が、配電系統601および配電系統602にそれぞれ接続されている。ここで、ユニット101が消費する電力は、電源ケーブル141によって供給され、ユニット102が消費する電力は、電源ケーブル142によって供給される。
配電系統601および配電系統602には、それぞれ外部ブレーカ611および外部ブレーカ612が設けられている。外部ブレーカ611・612は、配電系統601・602から流れる電流が所定の定格電流(最大許容電流)を超えた場合に、電力供給を遮断するための過電流保護装置である。外部ブレーカ611における最大許容電流は、ユニット101が正常状態において電源ケーブル141に流れる電流よりも大であり、コンプレッサ3aの故障などにより電源ケーブル141に流れる過電流よりも小である。例えば、ユニット101において、コンプレッサ3aの故障などにより消費電流上昇が起こり、電源ケーブル141に流れる電流が、例えば20Aを超えた場合、外部ブレーカ611によって電力供給が遮断され、コンプレッサ3aの過電流による温度上昇が停止し、過熱による事故などが防止される。
一方、ユニット102では、コンプレッサ3bの定格消費電力がコンプレッサ3aよりも小さいため、ユニット102に流れる電流が外部ブレーカ612の定格電流以下であっても、コンプレッサ3bの故障などによる異常発熱等の危険がある。そこで、冷菓製造装置100では、配電系統602にブレーカ130を設けている。ブレーカ130は、コンプレッサ3bの故障などにより、電源ケーブル142に所定の定格電流を超える電流が流れた場合に、配電系統602からユニット102への電力供給を遮断する。ブレーカ130における最大許容電流は、冷菓製造装置100が異常時に電源ケーブル141に流れる最大電流よりも小さく設定されている。すなわち、ブレーカ130の定格電流は、外部ブレーカ611・612の定格電流値よりも低く、かつユニット102の正常時の消費電流より高く設定されており、例えば、10Aである。
これにより、電源ケーブル142に10Aを超える電流が流れ、異常発熱等の危険がある場合に、外部ブレーカ612が作動しなくても、ブレーカ130が作動することによって、安全が保たれる。なお、ブレーカ130は、冷菓製造装置100の筐体の内部に設けてもよいし、冷菓製造装置100の筐体の外部に設けてもよい。また、ブレーカ130の代わりに、過電流保護手段としてヒューズを設けてもよい。
続いて、図2を参照して、ユニット101のミックスタンク1aおよびシリンダ2aを冷却・加熱するための具体的構成について説明する。シリンダ2a内は、通常は、細菌などが増殖しにくい低温度に保たれているが、食品衛生上の理由から、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令によると、1日に1回以上、加熱殺菌を行う必要がある。加熱殺菌は、シリンダ内を所定の温度(68℃)以上に加熱し、所定の時間(30分)以上維持することにより行われる。ミックスタンク1aおよびシリンダ2aを冷却および加熱する機能は、以下のように実現されている。
ミックスタンク1a・シリンダ2aとコンプレッサ3aとを接続する冷媒回路には、さらに、タンク用熱交換器5、シリンダ用熱交換器6および四方弁7が設けられている。タンク用熱交換器5は、ミックスタンク1aと冷媒との間の熱交換を行い、シリンダ用熱交換器6は、シリンダ2aと冷媒との間の熱交換を行う。四方弁7は、コンプレッサ3aからの吐出ガス冷媒の流れる方向を切換える。
また、四方弁7には、流入ポートD,中継ポートS,第1切換ポートCおよび第2切換ポートEが設けられている。流入ポートDには、コンプレッサ3aの吐出配管8が接続されている。中継ポートSには、コンプレッサ3aの吸込配管9に通ずる中継管24が接続されている。第1切換ポートCには、順次、第1ガス管10,ウォーターコンデンサ11および液管12が接続されている。また、液管12の先端側は、ドライヤー25を経て第1支管12aと第2支管12bと第3支管12cとに分岐されている。
ウォーターコンデンサ11は水熱交換器として構成されている。ウォーターコンデンサ11の内部には、熱交換用冷媒配管11aおよび水配管13が並設されており、熱交換用冷媒配管11aを流れる冷媒と水配管13を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。
第1ガス管10には第1逆止弁CV1が設けられており、第1逆止弁CV1は、ウォーターコンデンサ11側から第1切換ポートCに向かう冷媒の流れを遮断する。コンプレッサ3aと四方弁7との間にはハイカットスイッチ22が設けられている。ハイカットスイッチ22は、コンプレッサ3aの吐出ガス圧力を検知し、同圧力が高圧になり過ぎると、信号を制御部110に送出し、制御部110はコンプレッサ3aの運転を停止させ、同圧力が過大となるのを防止する。
また、第1逆止弁CV1と熱交換用冷媒配管11aとの間には分岐管10aが設けられており、分岐管10aはウォーターバルブ13aに接続されている。これにより、第1ガス管10に一定圧力以上がかかると、ウォーターバルブ13aの弁が開いて水配管13に冷却水が流れるようになっている。
第1支管12aには第1電磁弁SV1、第1キャピラリーチューブ20aが設けられている。第1キャピラリーチューブ20aは、タンク用熱交換器5と第5電磁弁SV5との間の部位に接続されている。第2支管12bには、第2電磁弁SV2および第2キャピラリーチューブ20bが設けられており、第2キャピラリーチューブ20bは、シリンダ2a内に通じているシリンダ用サクション管9cに接続されている。第3支管12cには、第3電磁弁SV3および定圧膨張弁21が設けられている。
また、吸込配管9には、冷媒の気液分離を行うアキュームレータ23が設けられている。吸込配管9の冷媒流入側は、第2熱交換用配管9dと中継管24とに分岐されている。第2熱交換用配管9dは、補助熱交換器14内を通して定圧膨張弁21に接続されている。サクション管9aは、ミックスタンク1aのタンク用熱交換器5に接続されている。中継管24は、四方弁7の中継ポートSに接続されている。
四方弁7の第2切換ポートEには、サクション管9aが接続されており、サクション管9aは、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aのシリンダ用熱交換器6に接続されている。
一方、補助熱交換器14内には、第2熱交換用配管9dおよび第1熱交換用配管14aが並設されており、両配管14a・9d内を各々流れる冷媒間での熱交換が行われる。
第1熱交換用配管14aの両端には、それぞれ、第1バイパス管31の一端と第2バイパス管32の一端とが接続されている。第1バイパス管31の他端は、第4電磁弁SV4に接続されており、第4電磁弁SV4は、シリンダ用サクション管9cを介してシリンダ用熱交換器6に接続されている。また、第2バイパス管32は、第2逆止弁CV2を有しており、第2バイパス管32の他端は、第1逆止弁CV1とウォーターコンデンサ11との間の部位に接続されている。第2逆止弁CV2は、ウォーターコンデンサ11側から補助熱交換器14へと向かう冷媒の流れを遮断する。
上記の構成において、まず、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aの両方を冷却する冷却運転、すなわち通常の冷菓製造時の運転について説明する。
まず、四方弁7において、流入ポートDが第1切換ポートCに、中継ポートSが第2切換ポートEにそれぞれ連通するように切換える。続いて、第1電磁弁SV1・第2電磁弁SV2をそれぞれ開弁し、第3電磁弁SV3・第4電磁弁SV4・第5電磁弁SV5をそれぞれ閉弁し、コンプレッサ3aを運転させる。これにより、図2に実線矢印で示す冷却冷凍循環経路に沿って冷媒が循環し、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aが冷却される。
冷却冷凍運転において、コンプレッサ3aから吐出される約100℃の高温高圧のガス冷媒は、吐出配管8,四方弁7および第1ガス管10を経て、ウォーターコンデンサ11に導かれ、ウォーターコンデンサ11で水配管13を流れる冷却水との熱交換によって凝縮する。ここで凝縮した液冷媒は、液管12に流出し、ドライヤー25を経て、第1支管12a・第2支管12bに分流する。
分流した液冷媒は、それぞれ、第1キャピラリーチューブ20aおよび第2キャピラリーチューブ20bを通過する時に減圧され、低圧の液冷媒に変化する。液冷媒は、タンク用熱交換器5およびシリンダ用熱交換器6にそれぞれ流入した時に、更に減圧され、急激に断熱膨張し周囲から熱を吸収して蒸発する。これにより、ミックスタンク1aは約0〜4℃に冷却され、シリンダ2aは約−2〜−7℃に冷凍される。
第1電磁弁SV1・第2電磁弁SV2の開弁/閉弁により第1支管12a・第2支管12bを通る冷媒の流量が調整され、これにより、ミックスタンク1aを冷却温度に保ち、かつシリンダ2aを冷凍温度にする温度制御が行われる。
タンク用熱交換器5およびシリンダ用熱交換器6で蒸発した低温低圧のガス冷媒は、サクション管9a,中継管24および吸込配管9を経てアキュームレータ23に流入し、液分を除去された後、コンプレッサ3aに返流される。
コンプレッサ3aに返流されたガス冷媒は、再び加圧されて高温高圧のガス冷媒となり、ウォーターコンデンサ11に吐出され、上記の冷却循環経路を循環する。
次に、ミックスタンク1aおよびシリンダ2aを加熱する加熱運転について説明する。
まず、四方弁7において、流入ポートDが第2切換ポートEに、中継ポートSが第1切換ポートCにそれぞれ連通するように切換える。なお、第1逆止弁CV1によって、中継ポートSおよび第1切換ポートCには、冷媒は流れない。続いて、第3電磁弁SV3・第4電磁弁SV4・第5電磁弁SV5をそれぞれ開弁し、第1電磁弁SV1・第2電磁弁SV2をそれぞれ閉弁してコンプレッサ3aを運転させる。これにより、△矢印で示す加熱循環経路に沿って冷媒が循環し,加熱運転に切換わる。
加熱運転においては、コンプレッサ3aから吐出される約100℃の高温高圧のガス冷媒は、吐出配管8,四方弁7およびサクション管9aを経て、タンク用熱交換器5およびシリンダ用熱交換器6に流入する。ここで、ガス冷媒は、周囲への放熱によってミックスタンク1aおよびシリンダ2aを加熱した後、約70〜80℃の高温高圧ガス冷媒となる。
ミックスタンク1aから出たガス冷媒は、タンク用サクション管9b,第5電磁弁SV5および第1バイパス管31を経て補助熱交換器14に流入する。また、シリンダ2aから出たガス冷媒は、シリンダ用サクション管9c,第4電磁弁SV4および第1バイパス管31を経て補助熱交換器14に流入する。
補助熱交換器14において、ガス冷媒は、後述する低温低圧の気液混合冷媒と熱交換された後、第2バイパス管32を経て、ウォーターコンデンサ11に流入して凝縮し、約40℃の液冷媒となる。続いて、当該液冷媒は、液管12に流出し、第3支管12cに流入する。
第3支管12cに流入した液冷媒は、定圧膨張弁21の通過時に断熱膨張して、低温低圧の気液混合冷媒に変化する。その後、気液混合冷媒は、第2熱交換用配管9dを通って補助熱交換器14に流入し、第1熱交換用配管14aを流れる上記の高温のガス冷媒と熱交換して蒸発する。その後、蒸発したガス冷媒は吸込配管9・アキュームレータ23を経てコンプレッサ3aに返流され、コンプレッサ3aにおいて再度加圧され、高温高圧のガス冷媒となって、上記の加熱循環経路を循環する。
以上のように、ユニット101のミックスタンク1aおよびシリンダ2aが冷却・加熱される。同様に、図3に示すユニット102においても、ミックスタンク1bおよびシリンダ2bの冷却・加熱が行われる。
なお、加熱運転において、ミックスタンク1aを低温に保ったまま、シリンダ2aのみ加熱する構成としてもよく、当該構成は、本件出願人による先の特許出願に係る特許第2869407号公報(平成10年12月25日登録)に詳細に記載されている。また、冷却及び加熱方法は、上記の方法に限らず、ヒータなどでシリンダやミックスタンクを加熱してもよい。
図4は、冷菓製造装置100の正面の一部を示している。ミックスタンク1a・1bが冷菓製造装置100の上部に設けられており、シリンダ2a・2bが冷菓製造装置100の正面に取り付けられている。ミックスタンク1a・1bには、蓋18a・18bが取り付けられている。シリンダ2aの前方には、取出口27aが設けられ、シリンダ2bの前方には、取出口27cが設けられている。シリンダ2a内の冷菓は、取出口27aから取り出され、シリンダ2b内の冷菓は、取出口27cから取り出される。
さらに、取出口27aと取出口27cとの間に、取出口27bが設けられている。取出口27aと取出口27bとは、管28aによって連結されており、取出口27bと取出口27cとは、管28bによって連結されている。これにより、取出口27bからは、シリンダ2a内の冷菓とシリンダ2b内の冷菓とを混合した冷菓が取り出されるようになっている。
また、取出口27a〜27cの上方には、操作・表示部120が設けられており、操作・表示部120には、使用者が冷菓製造装置100を制御するための複数のスイッチが設けられている。
ここで、上述の加熱運転により、シリンダ2aおよびシリンダ2b内を加熱殺菌する場合、図1に示すコンプレッサ3aおよびコンプレッサ3bが同時に運転を開始したとしても、シリンダ2aおよびシリンダ2bの加熱度合いが異なることがある。具体的には、シリンダ2a内のミックスおよびシリンダ2b内のミックスの熱容量が異なっていたり、コンプレッサ3aの加熱能力とコンプレッサ3bの加熱能力とが異なっている場合、各シリンダ2a・2bを低温状態から殺菌に必要な温度まで加熱するのにかかる時間がばらついてしまう。
ここで、取出口27aおよび取出口27cの内部は、それぞれシリンダ2aおよびシリンダ2bからミックスを介して伝わる熱により加熱・殺菌される。しかし、シリンダ2aおよびシリンダ2bの内部が殺菌に必要な温度になるタイミングが異なると、取出口27bの内部に十分な熱が伝わらない虞がある。
そこで、冷菓製造装置100では、図1に示す制御部110は、シリンダ2a内の温度とシリンダ2b内の温度とがいずれも殺菌に必要な所定の温度以上である状態を、所定の時間継続するように、コンプレッサ3a・3bを制御する。以下、冷菓製造装置100の加熱殺菌運転について説明する。
図5は、図1に示す制御部110の構成を示すブロック図である。制御部110は、運転切換部111、時間計測部112、温度比較部113および判定部114を有している。運転切換部111は、第1電磁弁SV1〜第5電磁弁SV5の開弁/閉弁制御を行う。時間計測部112は、加熱運転開始からの経過時間や、シリンダ2a・2b内が所定の殺菌温度に達してからの経過時間を計測する。温度比較部は、シリンダ2a・2b内の温度と所定の殺菌温度との比較を行う。判定部は、コンプレッサ3a・3bの加熱機能の良否を判定する。
図6は、冷菓製造装置100における加熱運転の手順を示すフローチャートである。運転切換部111によって、冷却冷凍運転から加熱運転に切換わり、加熱運転が開始されると(ステップS1)、温度比較部113は、シリンダ2a・2b内がどちらも所定の殺菌温度に達しているか判定する(ステップS2)。シリンダ2a・2b内がどちらも所定の殺菌温度に達している場合(ステップS2において「YES」)、時間計測部112が、シリンダ2a・2b内がどちらも所定の殺菌温度に達してからの時間を計測し、所定の時間(例えば30分)経過したか否か判定する(ステップS3)。当該所定の時間が経過すると(ステップS3において「YES」)、運転切換部111は、加熱運転から冷却冷凍運転に切換えて、コンプレッサ3aにシリンダ2a・2bの冷却を開始させる。
また、冷菓製造装置100は、コンプレッサ3a・3bの故障の検出機能を有している。以下、図1および図7に基づいて、当該検出機能について説明する。
図7は、冷菓製造装置100におけるコンプレッサ3a・3bの故障検出手順を示すフローチャートである。運転切換部111によって、冷却冷凍運転から加熱運転に切換わり、加熱運転が開始されると(ステップS11)、時間計測部112は、シリンダ2a・2bの加熱開始からの時間経過の計測を開始する(ステップS12)。時間計測部112の当該計測開始から所定時間が経過した場合(ステップS13において「YES」)、温度比較部113は、温度センサからの信号に基づき、シリンダ2a・2b内の温度を、所定の殺菌温度と比較する(ステップS14)。シリンダ2a・2b内の温度が、いずれも所定の殺菌温度以上である場合(ステップS15において「YES」)、判定部114は、コンプレッサ3a・3bを正常と判定する(ステップS16)。
一方、シリンダ2a・2bの少なくとも一方で、内部の温度が所定の殺菌温度に満たない場合(ステップS15において「NO」)、判定部114は、シリンダ2a内の温度が所定の殺菌温度に満たなければコンプレッサ3aを故障であると判定し、シリンダ2b内の温度が所定の殺菌温度に満たなければコンプレッサ3bを故障であると判定する(ステップS17)。この場合、コンプレッサ3aおよび/又はコンプレッサ3bが故障している旨が、操作・表示部120に表示される(ステップS18)。これにより、冷菓製造装置100の使用者は、装置の故障を容易に知ることができる。
さらに、冷菓製造装置100において、蓋18a・18bそれぞれの近傍に、識別表示19a・19bが設けられている。識別表示19a・19bは、ミックスタンク1aとミックスタンク1bとを区別するための表示であり、例えば、識別表示19aには、需要の多い冷菓用である旨が表示され、識別表示19bには、需要の少ない冷菓用である旨が表示される。
これにより、冷菓製造装置100の使用者は、取り出し頻度の高い冷菓の原料ミックスを、確実にミックスタンク1aに入れることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図8ないし図9に基づいて説明すると以下の通りである。
図8は、本実施の形態に係る冷菓製造装置200の構成を示すブロック図である。冷菓製造装置200は、3つのユニット201・202・203、制御部210、操作・表示部220および2つのブレーカ230a・230bを備えている。すなわち、本実施の形態に係る冷菓製造装置200は、3つのユニット201〜203を有しているので、それぞれのユニットから異なる種類の冷菓を提供することにより、1台の冷菓製造装置200から3種類の冷菓(例えば、バニラ風味・イチゴ風味・チョコレート風味のもの)を製造することができる。
ここで、ユニット201は、実施の形態1に係る冷菓製造装置100におけるユニット101(図2参照)と略同様の構成であり、ユニット202は、冷菓製造装置100におけるユニット102(図3参照)と略同様の構成である。また、ユニット203は、ミックスタンク1c、シリンダ2cおよびコンプレッサ3cを有しており、ユニット202と同じく、冷菓製造装置100におけるユニット102と略同様の構成である。また、ミックスタンク1cの容量は、ミックスタンク1aの容量よりも小さく、コンプレッサ3cの冷却能力は、コンプレッサ3bと同一に設定されている。また、シリンダ2cの容量は、シリンダ2aの容量よりも小さい。
制御部210は、ユニット201〜203の冷却・加熱等の制御を行い、当該制御は、ユニット201〜203からの温度情報や、操作・表示部220における使用者の操作により行われる。
上記のように、ユニット201は、冷菓製造装置100のユニット101と略同一であり、ユニット202・203は冷菓製造装置100のユニット102と略同一であるので、コンプレッサ3aのほうがコンプレッサ3b・3cよりも、冷菓の冷却能力が高く設定されている。本実施の形態では、ユニット201からは、例えばバニラ風味の冷菓が提供され、ユニット202・203からは、それぞれバニラ風味の冷菓よりも需要の少ないイチゴ風味の冷菓およびチョコレート風味の冷菓が提供される。
このように、冷菓製造装置200においても、実施の形態1の冷菓製造装置100と同様に、冷菓の提供量に合わせて、コンプレッサ3a〜3cの冷却能力が異なるように設定されている。例えば、コンプレッサ3aの定格消費電力は、1100Wであり、コンプレッサ3b・3cの定格消費電力は、ともに750Wである。これにより、冷菓製造装置200の大型化を抑え、また、冷菓製造装置200自体の製品コストを抑えることができる。なお、本実施の形態では、コンプレッサ3bとコンプレッサ3cの冷却能力が同一に設定されているが、異なっていてもよい。
ここで、ユニット201,202および203が、それぞれ1つの配電系統から電力を供給されるように構成すると、冷菓製造装置200を設置する場所には、3つの配電系統が必要となるため、冷菓製造装置200の設置場所が限定されてしまう。
そこで、本実施の形態では、ユニット202および203は、共通の配電系統から電力を供給される。すなわち、冷菓製造装置200は、冷菓製造装置100と同様に、設置場所に設けられている2箇所の配電系統601・602から電力が供給されており、電源ケーブル241および電源ケーブル242が、配電系統601および配電系統602にそれぞれ接続されている。電源ケーブル242は、電源ケーブル242aおよび電源ケーブル242bに分岐しており、ユニット201,202および203が消費する電力は、それぞれ電源ケーブル241・242a・242bによって供給される。
このように、冷菓製造装置200は、配電系統が2箇所設けられている環境であれば使用可能であるので、同一の設置環境における冷菓製造装置100から冷菓製造装置200への使用の切換えが容易になる。なお、ユニット202の定格消費電力とユニット203の定格消費電力の和は、配電系統602の供給可能電力以下である必要がある。
また、配電系統601および配電系統602は、外部ブレーカ611および外部ブレーカ612にそれぞれ接続されており、外部ブレーカ611・612の定格電流値は、例えば20Aである。さらに、電源ケーブル242aおよび電源ケーブル242bには、それぞれブレーカ230aおよびブレーカ230bが設けられている。ブレーカ230a・230bの設置目的は、実施の形態1におけるブレーカ130(図1参照)の設置目的と同一であり、各ブレーカ230a・230bにおける最大許容電流は、冷菓製造装置200が異常時に電源ケーブル241に流れる最大電流よりも小さく設定されている。すなわち、ブレーカ230a・230bの定格電流値は、外部ブレーカ612の定格電流値よりも低く、例えば10Aである。
これにより、ユニット202またはユニット203における故障により消費電流が上昇したにもかかわらず、外部ブレーカ612が作動しない場合でも、ブレーカ230aまたはブレーカ230bが作動して電力供給を遮断するので、安全が保たれる。なお、ブレーカ230a・230bは、冷菓製造装置200の筐体の内部に設けてもよいし、冷菓製造装置200の筐体の外部に設けてもよい。また、ブレーカ230a・230bの代わりに、過電流保護手段としてヒューズを設けてもよい。
図9は、冷菓製造装置200の正面の一部を示している。3つのミックスタンク1a・1b・1cが冷菓製造装置200の上部に設けられており、3つのシリンダ2a・2b・2cが冷菓製造装置100の正面に取り付けられている。ミックスタンク1a・1b・1cには、蓋18a・18b・18cがそれぞれ取り付けられ、シリンダ2a・2b・2cの前方には、5つの取出口27a・27b・27c・27d・27eがそれぞれ設けられている。
また、ミックスタンク1aは、ミックスタンク1bとミックスタンク1cとの間に設けられて、シリンダ2aは、シリンダ2bとシリンダ2cとの間に設けられ、蓋18aは、蓋18bと蓋18cとの間に設けられている。取出口27a・27c・27eからは、それぞれシリンダ2a・2b・2c内の冷菓が取り出される。
このように、冷菓製造装置200は、図4に示す冷菓製造装置100の構成に、ミックスタンク1c、蓋18c、シリンダ2c、取出口27d・27eをさらに設けた構成と略同様であり、取出口27aと取出口27dとは、管28cによって連結され、取出口27dと取出口27eとは、管28dによって連結されている。これにより、取出口27bからは、シリンダ2a内の冷菓とシリンダ2b内の冷菓とを混合した冷菓が取り出され、取出口27dからは、シリンダ2a内の冷菓とシリンダ2c内の冷菓とを混合した冷菓が取り出されるようになっている。
ここで、一般的に、混合冷菓を提供する場合、需要の少ない冷菓同士を混合した冷菓(例えば、イチゴ風味とチョコ風味とを混合したもの)よりも、需要の多い冷菓(例えば、バニラ風味のもの)とそれ以外の冷菓とを混合した冷菓のほうが、需要が多い。そこで、冷菓製造装置200では、シリンダ2aをシリンダ2bとシリンダ2cとの間に設け、取出口27bおよび取出口27dから取り出される混合冷菓が、いずれもシリンダ2a内の冷菓(需要の多い冷菓)を含むように構成されている。
また、取出口27a〜27eの上方には、操作・表示部220が設けられており、操作・表示部220には、使用者が冷菓製造装置200を制御するための複数のスイッチが設けられている。
ここで、シリンダ2a・2b・2c内を加熱殺菌する場合、シリンダ2a・2b・2c内を別々に加熱すると、取出口27bおよび取出口27dの内部に十分な熱が伝わらない虞がある。そこで、図8に示す制御部210は、シリンダ2a・2b・2cの内部の温度がいずれも殺菌に必要な所定の温度以上である状態が、所定の時間継続されるように、コンプレッサ3a・3b・3cを制御する。これにより、取出口27a・27c・27eだけでなく、これら取出口と管28a〜28dにより結合された取出口27b・27dも、取出口27a・27c・27eと同様に、加熱された冷菓原料により十分加熱される。
さらに、冷菓製造装置200において、蓋18a・18b・18cそれぞれの近傍に、識別表示19a・19b・19cが設けられている。識別表示19a・19b・19cは、ミックスタンク1aとミックスタンク1bとミックスタンク1cとを区別するための表示であり、例えば、識別表示19aには、需要の多い冷菓用である旨が表示され、識別表示19b・19cには、需要の少ない冷菓用である旨が表示される。
これにより、冷菓製造装置200の使用者は、取り出し頻度の高い冷菓の原料ミックスを、確実にミックスタンク1aに入れることができる。
また、本実施の形態では、ミックスタンク、シリンダおよび温度調節装置を有するユニットを3つ備えた冷菓製造装置について説明したが、これに限るものではなく、冷菓製造装置は、当該ユニットを4つ以上備えていてもよい。この場合、温度調節装置のうち少なくとも1つの冷却能力が、他の温度調節装置の冷却能力と異なるように設定されていることが好ましく、冷却能力の高い温度調節装置によって温度を調節されるシリンダによって、需要の多い冷菓を提供し、冷却能力の低い温度調節装置によって温度を調節されるシリンダによって、需要の少ない冷菓を提供することにより、冷菓製造装置の大型化を抑えることができ、さらに、温度調節装置の製品コストも抑えることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。