JP4722883B2 - トルクロッド - Google Patents

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Description

この発明は、自動車用エンジンのマウントに使用するトルクロッドに関する。
アーム部とその長方向両端に設けられたブッシュを備え、トルクロッド全体でダイナミックダンパとして機能することにより防振することは公知である。また、アーム部がブッシュを囲むリング部と一体になっているとともに、これらアーム部及びリング部を樹脂製にして軽量化したものも公知である。
さらに、樹脂製にすることにより、ダイナミックダンパとしての質量が減少する結果、共振周波数が高くなってしまうため、例えば100Hz程度の比較的低い周波数で共振するよう、アーム部に重り(質量体)を取付けて共振周波数を調整したものもある(特許文献1参照)。
特開平8−233030号公報
ところで、上記公知例のように重りをアーム部へ外付けすると、取付の手間を要し、組立工数を多くするとともに、アーム部が振動で反復して曲がるため、長期使用中に外付けした重りが脱落してしまうおそれがあり、耐久性向上を困難にしていた。また、仮にゴムブッシュ中へ重りを一体化すれば、ゴムブッシュのバネに影響を与え、防振性能を変化させてしまうおそれがあった。そのうえ、外付けすることにより重りがアーム部の外側へ突出するため、これが近傍の他部品に接触しないようにレイアウト上の配慮も必要であった。
そこで本願発明は、重りを長期使用によっても脱落しないように取付けて耐久性を向上させるとともに、ゴムブッシュの主バネ部におけるバネに影響を与えず、かつ重りを殆ど外部へ露出させないようにしてレイアウト容易にすることを目的とする。
上記課題を解決するため本願のトルクロッドに係る請求項1の発明は、鉄より比重の小さな材料からなるアーム部と、その長手方向両端に形成されたリング部内へ一体化されているゴムブッシュとを備えたトルクロッドにおいて、
前記ゴムブッシュのうち、防振すべき主たる振動を吸収する主バネ部以外の部分へ重りを設けるとともに、
前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒と前記リング部を結合して前記主バネ部をなす弾性腕部と、この弾性腕部と前記リング部の間に設けられる分離空間であるすぐり部と、このすぐり部により前記弾性腕部と分離されて前記リング部へ一体化されるストッパとを備え、
前記重りを埋設一体化し前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒と前記リング部を連結する前記主バネ部と、この主バネ部と分離されて前記前記リング部へ一体化されているストッパを備え、
このストッパのゴム中へ前記重りを埋設一体化したたことを特徴とする。
請求項の発明は上記請求項において、前記重りを前記すぐり部近傍に設けたことを特徴とする。
請求項の発明は上記請求項1において、前記重りを前記ゴムブッシュ外周部と前記リング部との結合部上に設け、前記ゴムブッシュの前記リング部に対する結合を利用して前記重りを前記リング部内周面へ固定したことを特徴とする。
請求項の発明は上記請求項1において、 前記鉄より比重の小さな材料は、樹脂又は軽合金であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ゴムブッシュの主バネ部以外の部分へ重りを設けたので、振動による重りやロッドの変形はゴムにより吸収されるため、重りが剛体側から分離して脱落するおそれがなくなり、耐久性が向上する。しかも、ゴムブッシュのリング部に対する焼き付け時に一体化できるので、特別な取付工程が不要となり、作業性も向上する。そのうえ、重りをゴム中へ一体化し、ほとんど露出させないようにすることができるので、レイアウトも容易になる。
また、主バネ部が内筒からリング部側へ延出する腕状の弾性腕部であり、この弾性腕部とリング部との間にすぐり部を設け、弾性腕部以外の部分へ重りを設けたので、耐久性良く重りを取付けることができ、かつゴムブッシュのバネに影響を与えない。
さらに、重りを弾性腕部以外の部分におけるゴム中へ一体化したので、主バネ部へ影響を与えない。
そのうえ、ストッパ中へ重りを設けたので、主バネ部に影響を与えずに重りを設けることができる。また、ストッパは重り取付用として比較的スペースがあるので、ストッパを有効活用して重りを取付けることができる。
請求項の発明によれば、重りをすぐり部近傍のゴム中へ一体化させたので、主バネ部に影響を与えずに重りを設けることができる。
請求項の発明によれば、ゴムブッシュの外周部とリング部との結合部上に重りを設けて、ゴムブッシュの焼き付け時に、ゴムにより重りをリング部の内周面へ当接固定させたので、剛体であるリング部に接触しても、相対動自在に取付けることができ、互いの変形による影響を受けず、その結果耐久性が向上する。
請求項の発明によれば、少なくともリング部及びアーム部のいずれかが鉄より比重の小さい材料で形成することにより、全体の質量が小さくなっても、重りにより共振周波数を下げて防振の必要な周波数となるようにチューニングできる。
図1及び図2は、実施例に係る自動車エンジン支持用のトルクロッド1を示し、図1は平面図、図2は図1の2−2線に沿う断面図である。なお図1には異なる2つの位置に対してそれぞれ重り2(ハッチングをつけて示す)を同時に設けた状態を示し、図2には重り2を上記異なる2つの位置のいずれか側のみに1つだけ設けた2態様をA及びBとして示す。重り2は上記図1のように異なる複数位置へ複数を同時に設けることも、図2のA又はBのようにいずれかの位置へ単独で設けることも可能である。
これらの図において、トルクロッド1は、アーム部3とその長さ方向両端にリング部4及び5が一体に形成され、このリング部4,5の中にそれぞれブッシュ6,7が一体化されている。アーム部3及びリング部4,5は、樹脂(例えば6−6ナイロン、比重1.5)で一体に形成されている。リング部4,5は大きさが大小に異なり、以下、大きい方を大リング部4、小さい方を小リング部5ということにする。大リング部4は小リング部5よりも大きく、略四角状の外形を有し、アール部8aでアーム部3へ接続するよう連続一体に形成されている。アーム部3と大リング部4の間は補強リブ9により補強されている。
小リング部5は大リング部4と90°違いの方向へ開口し(但し、同方向へ開口してもよい)、大リング部4に比べて小型であり、やはりアーム部3と小リング部5はアール部8bを介して接続するよう連続一体に形成されている。各リング部の内側にはゴムブッシュがそれぞれ一体化されて設けられている。ゴムブッシュは大リング部4に設けられるブッシュ6及び小リング部5に設けられるブッシュ7からなり、これらのブッシュ6、7は互いに大きさが大小に異なり、以下、大きい方を大ブッシュ6、小さい方を小ブッシュ7ということにする。図2中の符号8cは下向きに開放された肉抜き凹部、8dは左右方向に貫通する肉抜き穴である。
大ブッシュ6は小ブッシュ7よりも大型で大リング部4の内側へ一体化されている。大ブッシュ6は内筒11を囲んで大リング部4の内側に設けられる防振ゴムであり、アーム状をなす弾性腕部10を有する。弾性腕部10は、図1の図示状態にて内筒11の左右方向へ互いに反対向きに延出する一対の部分を備え、それぞれの先端部がリング部4の内周面へ連結されることにより、大リング部4、大ブッシュ6及び内筒11が一体化されている。
内筒11の中心を通り、かつアーム部3の幅方向中間を通る中心線Cを車両の前後方向へ平行になるように配置したとき、弾性腕部10は後方へ凸の平面視略V字状をなす。
弾性腕部10は、大ブッシュ6が入力する振動を防振するとき、ゴムばねとして振動を吸収するための主バネをなす部分であり、V字状をなすことにより、前後方向と左右方向のバネを異ならせ、かつ前後方向においても後方へ凸をなすことにより、内筒11が相対的に前方へ移動する際(又は、大リング部4側が相対的に後方移動する際)のバネを大きくしている。
内筒11の前方には、大リング部4の前部内周面へ一体化された前ストッパ12が前すぐり部13を挟んで設けられている。前すぐり部13も平面視が略V字状をなす貫通穴であり、前ストッパ12は後方へ凸に前すぐり部13内へ突出して略山形状をなしている。
内筒11の後方となる大リング部4の後部内周面にも後ストッパ14が略山形状をなして一体に設けられている。内筒11及び弾性腕部10との間には後すぐり部15が設けられている。後すぐり部15も平面視が略V字状をなし、弾性腕部10に沿って左右へ広がる貫通穴であり、中央部は後方へ凸に突出している。後ストッパ14はその前縁部が後すぐり部15の開口後部側を形成するよう、中央部が後方へ凸の湾曲形状をなしている。
前すぐり部13及び後すぐり部15は、それぞれ軸方向すなわち紙面の垂直方向に貫通する肉抜き穴であり、大リング部4に対して内筒11が前後へ所定のストロークで相対移動できるように、前後方向の開口幅が調節されている。前ストッパ12又は後ストッパ14は、内筒11がストローク限界近傍にて当接したとき、これを受け止めて緩衝するようになっており、その内筒11側への張り出し量によりストローク量を調整している。
前ストッパ12及び後ストッパ14は、前すぐり部13及び後すぐり部15でそれぞれ弾性腕部10と分離され、弾性腕部10が主バネを構成するのに対して、防振部材としてのバネを有するものではない。但し、内筒11がストローク限界近傍にて当接する際の圧縮変形時にバネ力を形成するが、単にストッパとして当接時のショックを緩和するだけのものであり、主バネとして機能するものではない。
重り2は板状の金属からなる質量体であり、図1では前ストッパ12及び後ストッパ14の中へ埋設一体化された状態になっている。但し後述するようにいずれか一方側のみに設けるだけでもよい。重り2の上下部が前ストッパ12及び後ストッパ14から突出することにより一部のみが露出している。但し、ほとんど全体は大ブッシュ6のゴム中へ埋設一体化されている。
なお、重り2の材質及び形状は限定されず種々可能である。重り2の質量は、これを取付けたトルクロッド1全体におけるダイナミックダンパとしての共振が、所定の防振すべき共振域で生じるように調整される。具体的には重り2は体感されやすい100Hz前後の振動を吸収できるように設定される。
この設定は、重り2の質量のみならず、大ブッシュ6及び小ブッシュ7における主バネの合計バネ値並びにアーム部3、大リング部4,及び小リング部5並びに重り2を含む剛体部の合計質量との相関により定められる。したがってトルクロッド1全体の剛性部質量(剛体部の合計質量)が所定の目標値になるように重り2の質量を調整すればよい。
16は拘束ラインであり、大リング部4の内周面と大ブッシュ6の外周面との接合面でもある。重り2は拘束ライン16よりも内側(内筒11側)へ入り込んだ位置にある。
大ブッシュ6の内筒11は、軸穴へ通された図示しないボルトにより車体側へ連結され、小ブッシュ7のインナーシャフト17は左右方向へ延出して、先端が偏平につぶされた取付部17aをなし、ここで図示しないエンジンへボルトで締結される。
図2のAは重り2を後ストッパ14中へ設けた場合を示す。重り2は大ブッシュ6のゴムである後ストッパ14中に断面が大リング部4の内周面と平行に配置されて一体化される。このとき、円弧状をなす大リング部4の内周面における曲面に沿うよう円弧状にしても、単なる平板状にしてもよい。平板状すると中間部が大リング部4の内周面から大きく離れるが、ゴム中へ埋設されてゴムを介して大リング部4の内周面へ連結されるため何の問題もない。本実施例はこの例である(図1参照)。
重り2の側面と大リング部4の内周面とは後ストッパ14を構成するゴムの一部を介して連結されるため、重り2の側面と大リング部4の内周面との間にはゴム層14aが介在されることになり、このゴム層14aにより相互に接着されるが、距離的には分離されて直接接触しないため、振動や力などの伝達は遮断されることになる。このため樹脂部の成形後における熱収縮や使用時の熱膨張による変形等が大リング部4に生じても、この変形は直接重り2へ伝達されず、両部材間に介在するゴムの弾性変形を介することになり、大リング部4の変形は大ブッシュ6のゴムによる弾性変形で吸収される。
図2のBは重り2を前ストッパ12中へ設けた場合を示す。重り2は大ブッシュ6のゴムである前ストッパ12中へ、図2のAと同様に一体化される。したがって、重り2の側面は大リング部4の前端部内周面と平行に配置されて一体化され、大リング部4の内周面とは前ストッパ12におけるゴムの一部であるゴム層12aを介して連結されると同時に重り2と大リング部4の間に介在して熱膨張等による大リング部4の変形を直接重り2へ伝達させずゴム層12aで遮断し、大リング部4の変形は前ストッパ12のゴムによる弾性変形で吸収される。
小ブッシュ7は小リング部5の内周面とインナーシャフト17の外周面との間に充填された両部材を連結する中実のリング状をなす防振ゴムであり、全周方向ですぐり穴等の肉抜き部が無い中実状となっている。したがって小ブッシュ7においては、小ブッシュ7全体が主バネ部となる。
このトルクロッドを樹脂で製造するには、まずアーム部3、大リング部4及び小リング部5を一体にした状態で公知の射出成形等で成形し、その後、これをブッシュ整形用の金型に入れ、大リング部4の内側に内筒11及び重り2をセットし、小リング部5の内側へインナーシャフト17をセットし、その後、大リング部4及び小リング部5の内側へゴムを充填して加硫すれば、重り2及び内筒11並びにインナーシャフト17を大ブッシュ6及び小ブッシュ7で連結一体化したトルクロッド1が得られる。
上記製造においては、逆にまず、内筒11及び17並びに重り2を一体化した大ブッシュ6及び小ブッシュ7を成形し、その後これらを射出型にセットしてから、樹脂を射出することにより各ブッシュと一体化したトルクロッドを得ることもできる。
但し、樹脂の成形は射出成形に限定されるものではない。
上記先に樹脂成形する場合には、各ブッシュはゴムの成形後に冷却して収縮する。このとき重り2はゴム中にあり、ゴムと各リング部との接着面で収縮が起きても、この変形はゴム自体に止まるため、重り2と大リング部4との結合関係に何ら影響はなく、成形後の熱収縮によって結合部が破壊されて分離したり破損することがない。
同様に後から射出成形する場合も、樹脂の熱収縮はゴム層14aで吸収され、重り2には影響が及ばないので、樹脂成形後の熱収縮による重り2との結合部が破壊されるようなことはない。
次に、第1実施例の作用を説明する。内筒11及びインナーシャフト17をエンジン及び車体へ取付けた状態で、エンジンより振動がトルクロッド1へ伝達されると、トルクロッド1は大リング部4及び小リング部5のゴムバネと、アーム部3及び大リング部4、小リング部5さらには重り2の質量とによるダイナミックダンパとして機能し、所定の共振を行う。
このとき、重り2を設けることにより、アーム部3及び大リング部4、小リング部5が軽量な樹脂製にもかかわらず、共振周波数を下げて、体感されやすい100Hz程度の振動を吸収できるようになる。
また、重り2は主バネ部である弾性腕部10を避けて設けてあるため、主バネ部のバネ値を変更することはなく、防振性能を低下させることはない。そのうえ、防振性に影響がなく、かつ比較的スペースに余裕がある前ストッパ12又は後ストッパ14もしくは双方へ重り2を埋設一体化することにより、重り2を容易に設けることができ、ほとんど外部へ露出させないので、他部品との干渉のおそれがなく、外観性も向上し、レイアウトも容易になる。
したがって、重り2を大リング部4へ埋設一体化したときのように、大リング部4の熱収縮や熱膨張が、重り2へ直接働いて接合面にて割れが生じるような事態を回避できる。
しかも、重り2と大リング部4は直接接触せず、ゴム層12a又は14aを介しているので、重り2と大リング部4の振動による変形はゴムにて吸収され相手方へは伝達されず、それぞれの熱変形等も相手方へ伝達されないから、長期使用しても重り2が大リング部4と分離して脱落するおそれはなく、耐久性を高めることができる。また、前ストッパ12及び後ストッパ14へ設けることにより、重り2でこれら前ストッパ12及び後ストッパ14の剛性を高くできるので、ストッパ機能を高めることができる。
図3以下は、重りの設置場所に関するバリエーションであり、大リング部4及び小リング部5並びに大ブッシュ6及び小ブッシュ7は、それぞれ模式的に示すものとする。
図3及び図4は第1参考例であり、図3に示すように、重り2を前すぐり部13又は後すぐり部15の左右方向端部13a及び15aへ設けた例である。図3の4−4線断面図である図4に示すように、重り2は一側面を大リング部4の内周面へ接触させた当接状態で周囲を大ブッシュ6のゴムで覆うことにより大リング部4の内周面へ固定され、重り2と大リング部4は当接面にて相対的な動きを許容されている。但し、図2に示すように、大リング部4の内周面と非接触にしてゴム中へ設けることもできる。
このようにすると、主バネ部である弾性腕部10の拘束ラインから外れた前すぐり部13及び後すぐり部15のスペースの端部13a、15aを利用して重り2を容易に設けることができ、必要に応じてすぐり部内へ張り出させることも容易になる。なお、重り2は、設置スペースの状況に応じて種々な形状を採り得る。このような例である第3実施例として重り2を円柱状に形成したものを図5に示す(円柱状の重り2をハッチングで示す)。
また、重り2は一側面を大リング部4の内周面へ接触しているが非結合であるから、それぞれの振動は直接相手へ伝達されず、当接面にて重り2と大リング部4は相対的に動くことができるので、それぞれの個別の動きを許容して当接面に応力を集中させず、耐久性を向上させることができる。
図6乃至図9は小ブッシュ7へ重り2を設けた第2参考例に係り、図6はインナーシャフト17方向から示す正面図、図7は図2と同一部位の断面図、図8は図6の8−8線断面図、図9は重り2の斜視図である。この例では、図6及び7に示すように、重り2が拘束ライン16より外側に位置する。
図8に明らかなように、小リング部5の内周面にインナーシャフト17の外周面方向へ開放された溝状の凹部20を設け、この中へ重り2を収納し、凹部20を覆うように小ブッシュ7を小リング部5と一体化し、同時に小ブッシュ7を小リング部5と一体化する。
小ブッシュ7はゴムをインナーシャフト17と小リング部5の間へ注入して加硫硬化させることにより形成でき、このとき小ブッシュ7は重り2及び小リング部5へ加硫接着し、さらに小ブッシュ7の一部は小リング部5の表面にオーバーラップ部22となって重なることにより結合を強化する。但し予め小ブッシュ7をゴムで成形しておき、これを小リング部5及び重り2と接着してもよい。これにより、小ブッシュ7により重り2は小リング部5と非結合で一体化する。しかし重り2は拘束ライン16より外側に位置するから、小ブッシュ7の主バネ部に影響を与えないようにすることができる。
しかも、重り2を小リング部5の内側へゴムで確実に保持させておくことができ、長期使用により重り2が小リング部5から脱落するおそれがない。
このとき図9に示した斜視図のように、重り2に複数の貫通穴21等を設けることにより、小ブッシュ7を前記注入により形成する場合、注入したゴム液が貫通穴21を通って凹部20の壁面へ加硫接着するから、小ブッシュ7と小リング部5及び重り2との連結を強化することができ、重り2をさらに強く固定できる。
また、この例では重り2を小リング部5の内周面に沿うよう円弧状に湾曲させているが、凹部20内に収納できるものであれば湾曲しない平板状や、棒状もしくは球形等の塊状のものでもよい。
なお、本願発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、トルクロッドを樹脂製とせず、アルミ合金等の適宜軽合金製等とすることもできる。この場合、軽合金等の比重が鉄より軽いものであることが条件となる。すなわち、鉄より軽い剛性材料を用いてトルクロッドを形成した場合でも、質量の減少による共振周波数の調整を重りの付加により簡単に行えるとともに、長期仕様でも重りを安定的に取付けることができるようになる。またトルクロッドの用途はエンジン支持用に限らず、例えば、サスペンションリンク等へ種々適用可能である。
第1実施例に係るトルクロッドの平面図 図1の2−2線断面図 第1参考例に係る大ブッシュの平面視概念図 図3の4−4線断面図 重りを円柱状に形成した第実施例の第1図同様図 第2参考例に係るトルクロッドの正面図 図2と同様部位の断面図 図6の8−8線断面図 重りの斜視図
符号の説明
2:重り、3:アーム部、4:大リング部、5:小リング部、6:大ブッシュ、7:小ブッシュ、10:弾性腕部、11:内筒、12:前ストッパ、13:前すぐり部、14:後ストッパ、15:後すぐり部、16:拘束ライン

Claims (4)

  1. 鉄より比重の小さな材料からなるアーム部と、その長手方向両端に形成されたリング部内へ一体化されているゴムブッシュとを備えたトルクロッドにおいて、
    前記ゴムブッシュ(6)のうち、防振すべき主たる振動を吸収する主バネ部(10)以外の部分へ重り(2)を設けるとともに、
    前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒(11)と前記リング部(4)を結合して前記主バネ部をなす弾性腕部(10)と、この弾性腕部(10)と前記リング部(4)の間に設けられる分離空間であるすぐり部(13)と、このすぐり部(13)により前記弾性腕部(10)と分離されて前記リング部(4)へ一体化されるストッパ(12・14)とを備え、
    このストッパ(12・14)のゴム中へ前記重り(2)を埋設一体化したことを特徴とするトルクロッド。
  2. 前記重り(2)を前記すぐり(13)部近傍に設けたことを特徴とする請求項に記載したトルクロッド。
  3. 前記重り(2)を前記ゴムブッシュ(6)外周部と前記リング部(4)との結合部上に設け、前記ゴムブッシュ(6)の前記リング部(4)に対する結合を利用して前記重りを前記リング部(4)内周面へ固定したことを特徴とする請求項1に記載したトルクロッド。
  4. 前記鉄より比重の小さな材料は、樹脂又は軽合金であることを特徴とする請求項1に記載したトルクロッド。
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