JP4722883B2 - トルクロッド - Google Patents
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Description
さらに、樹脂製にすることにより、ダイナミックダンパとしての質量が減少する結果、共振周波数が高くなってしまうため、例えば100Hz程度の比較的低い周波数で共振するよう、アーム部に重り(質量体)を取付けて共振周波数を調整したものもある(特許文献1参照)。
そこで本願発明は、重りを長期使用によっても脱落しないように取付けて耐久性を向上させるとともに、ゴムブッシュの主バネ部におけるバネに影響を与えず、かつ重りを殆ど外部へ露出させないようにしてレイアウト容易にすることを目的とする。
前記ゴムブッシュのうち、防振すべき主たる振動を吸収する主バネ部以外の部分へ重りを設けるとともに、
前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒と前記リング部を結合して前記主バネ部をなす弾性腕部と、この弾性腕部と前記リング部の間に設けられる分離空間であるすぐり部と、このすぐり部により前記弾性腕部と分離されて前記リング部へ一体化されるストッパとを備え、
前記重りを埋設一体化し前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒と前記リング部を連結する前記主バネ部と、この主バネ部と分離されて前記前記リング部へ一体化されているストッパを備え、
このストッパのゴム中へ前記重りを埋設一体化したたことを特徴とする。
そのうえ、ストッパ中へ重りを設けたので、主バネ部に影響を与えずに重りを設けることができる。また、ストッパは重り取付用として比較的スペースがあるので、ストッパを有効活用して重りを取付けることができる。
弾性腕部10は、大ブッシュ6が入力する振動を防振するとき、ゴムばねとして振動を吸収するための主バネをなす部分であり、V字状をなすことにより、前後方向と左右方向のバネを異ならせ、かつ前後方向においても後方へ凸をなすことにより、内筒11が相対的に前方へ移動する際(又は、大リング部4側が相対的に後方移動する際)のバネを大きくしている。
内筒11の前方には、大リング部4の前部内周面へ一体化された前ストッパ12が前すぐり部13を挟んで設けられている。前すぐり部13も平面視が略V字状をなす貫通穴であり、前ストッパ12は後方へ凸に前すぐり部13内へ突出して略山形状をなしている。
前ストッパ12及び後ストッパ14は、前すぐり部13及び後すぐり部15でそれぞれ弾性腕部10と分離され、弾性腕部10が主バネを構成するのに対して、防振部材としてのバネを有するものではない。但し、内筒11がストローク限界近傍にて当接する際の圧縮変形時にバネ力を形成するが、単にストッパとして当接時のショックを緩和するだけのものであり、主バネとして機能するものではない。
なお、重り2の材質及び形状は限定されず種々可能である。重り2の質量は、これを取付けたトルクロッド1全体におけるダイナミックダンパとしての共振が、所定の防振すべき共振域で生じるように調整される。具体的には重り2は体感されやすい100Hz前後の振動を吸収できるように設定される。
大ブッシュ6の内筒11は、軸穴へ通された図示しないボルトにより車体側へ連結され、小ブッシュ7のインナーシャフト17は左右方向へ延出して、先端が偏平につぶされた取付部17aをなし、ここで図示しないエンジンへボルトで締結される。
上記製造においては、逆にまず、内筒11及び17並びに重り2を一体化した大ブッシュ6及び小ブッシュ7を成形し、その後これらを射出型にセットしてから、樹脂を射出することにより各ブッシュと一体化したトルクロッドを得ることもできる。
但し、樹脂の成形は射出成形に限定されるものではない。
同様に後から射出成形する場合も、樹脂の熱収縮はゴム層14aで吸収され、重り2には影響が及ばないので、樹脂成形後の熱収縮による重り2との結合部が破壊されるようなことはない。
しかも、重り2と大リング部4は直接接触せず、ゴム層12a又は14aを介しているので、重り2と大リング部4の振動による変形はゴムにて吸収され相手方へは伝達されず、それぞれの熱変形等も相手方へ伝達されないから、長期使用しても重り2が大リング部4と分離して脱落するおそれはなく、耐久性を高めることができる。また、前ストッパ12及び後ストッパ14へ設けることにより、重り2でこれら前ストッパ12及び後ストッパ14の剛性を高くできるので、ストッパ機能を高めることができる。
図3及び図4は第1参考例であり、図3に示すように、重り2を前すぐり部13又は後すぐり部15の左右方向端部13a及び15aへ設けた例である。図3の4−4線断面図である図4に示すように、重り2は一側面を大リング部4の内周面へ接触させた当接状態で周囲を大ブッシュ6のゴムで覆うことにより大リング部4の内周面へ固定され、重り2と大リング部4は当接面にて相対的な動きを許容されている。但し、図2に示すように、大リング部4の内周面と非接触にしてゴム中へ設けることもできる。
また、重り2は一側面を大リング部4の内周面へ接触しているが非結合であるから、それぞれの振動は直接相手へ伝達されず、当接面にて重り2と大リング部4は相対的に動くことができるので、それぞれの個別の動きを許容して当接面に応力を集中させず、耐久性を向上させることができる。
図8に明らかなように、小リング部5の内周面にインナーシャフト17の外周面方向へ開放された溝状の凹部20を設け、この中へ重り2を収納し、凹部20を覆うように小ブッシュ7を小リング部5と一体化し、同時に小ブッシュ7を小リング部5と一体化する。
小ブッシュ7はゴムをインナーシャフト17と小リング部5の間へ注入して加硫硬化させることにより形成でき、このとき小ブッシュ7は重り2及び小リング部5へ加硫接着し、さらに小ブッシュ7の一部は小リング部5の表面にオーバーラップ部22となって重なることにより結合を強化する。但し予め小ブッシュ7をゴムで成形しておき、これを小リング部5及び重り2と接着してもよい。これにより、小ブッシュ7により重り2は小リング部5と非結合で一体化する。しかし重り2は拘束ライン16より外側に位置するから、小ブッシュ7の主バネ部に影響を与えないようにすることができる。
このとき図9に示した斜視図のように、重り2に複数の貫通穴21等を設けることにより、小ブッシュ7を前記注入により形成する場合、注入したゴム液が貫通穴21を通って凹部20の壁面へ加硫接着するから、小ブッシュ7と小リング部5及び重り2との連結を強化することができ、重り2をさらに強く固定できる。
また、この例では重り2を小リング部5の内周面に沿うよう円弧状に湾曲させているが、凹部20内に収納できるものであれば湾曲しない平板状や、棒状もしくは球形等の塊状のものでもよい。
Claims (4)
- 鉄より比重の小さな材料からなるアーム部と、その長手方向両端に形成されたリング部内へ一体化されているゴムブッシュとを備えたトルクロッドにおいて、
前記ゴムブッシュ(6)のうち、防振すべき主たる振動を吸収する主バネ部(10)以外の部分へ重り(2)を設けるとともに、
前記ゴムブッシュは、略中央に設けられた内筒(11)と前記リング部(4)を結合して前記主バネ部をなす弾性腕部(10)と、この弾性腕部(10)と前記リング部(4)の間に設けられる分離空間であるすぐり部(13)と、このすぐり部(13)により前記弾性腕部(10)と分離されて前記リング部(4)へ一体化されるストッパ(12・14)とを備え、
このストッパ(12・14)のゴム中へ前記重り(2)を埋設一体化したことを特徴とするトルクロッド。 - 前記重り(2)を前記すぐり(13)部近傍に設けたことを特徴とする請求項1に記載したトルクロッド。
- 前記重り(2)を前記ゴムブッシュ(6)外周部と前記リング部(4)との結合部上に設け、前記ゴムブッシュ(6)の前記リング部(4)に対する結合を利用して前記重りを前記リング部(4)内周面へ固定したことを特徴とする請求項1に記載したトルクロッド。
- 前記鉄より比重の小さな材料は、樹脂又は軽合金であることを特徴とする請求項1に記載したトルクロッド。
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