JP4722689B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、インバータの直流側電流の検出値から推定される各相電流の電流リップルが増大することで電動機の運転効率が過剰に低下してしまうことを防止することが可能な電動機の制御装置を提供することを目的とする。
また、請求項2に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、電動機のトルクおよび回転数に基づき、複数相間のキャリア信号の位相差を設定することにより、実際に電流検出手段により検出される直流側電流における各相電流毎の電流持続時間を適切な値に設定することができ、例えば電流持続時間が過剰に短くなることで、相電流の検出が困難となってしまったり、例えば電流持続時間が過剰に長くなることで、相電流の電流リップルが増大してしまうという問題が生じることを防止することができる。
この実施形態による電動機の制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有する回転子(図示略)と、この回転子を回転させる回転磁界を発生する固定子(図示略)とを備えて構成されている。
そして、モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、バッテリ13を直流電源とするパワードライブユニット(PDU)14と、制御部15とを備えて構成されている。
PDU14は、例えば図2に示すように、トランジスタのスイッチング素子(例えば、IGBT:Insulated Gate Bipolar mode Transistor)を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路14aと平滑コンデンサCとを具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ14Aを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ13が接続されている。
そして、ブリッジ回路14aと、バッテリ13の負極側端子との間には、PWMインバータ14Aの直流側電流(DCリンク電流)IDCを検出する直流側電流センサ14bが備えられている。
そして、PWMインバータ14Aの直流側には各スイッチング状態S1〜S8に応じて断続的に各相電流Iu,Iv,Iwが発生し、直流側電流センサ14bにより検出される直流側電流(DCリンク電流)IDCは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつ、あるいは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつの符号が反転したもの、あるいは、ゼロとなる。
そして、ハイ側U相およびV相トランジスタUH,VHとロー側W相トランジスタWLとがオン状態となる第2スイッチング状態S2である時刻t2から時刻t3の期間および時刻t6から時刻t7の期間では、DCリンク電流IDCはW相電流Iwの符号が反転した電流(−Iw)となる。
そして、ハイ側U相トランジスタUHとロー側V相およびW相トランジスタUL,WLとがオン状態となる第7スイッチング状態S7である時刻t3から時刻t4の期間および時刻t5から時刻t6の期間では、DCリンク電流IDCはU相電流Iuとなる。
そして、ハイサイドアームがオフ状態かつローサイドアームがオン状態となる第8スイッチング状態S8である時刻t4から時刻t5の期間では、DCリンク電流IDCはゼロとなる。
そして、この制御部15には、直流側電流センサ14bにより検出される直流側電流(DCリンク電流)IDCと、バッテリ13の端子電圧(電源電圧)VBを検出する電圧センサ13aから出力される検出値と、モータ12の回転子の回転角(つまり、所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)θを検出する回転センサ12aから出力される検出信号と、外部の制御装置(図示略)から出力されるトルク指令Trとが入力されている。
dq−3相変換部23は、回転センサ12aから入力される回転子の回転角θを用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上での電圧指令値であるU相出力電圧*VuおよびV相出力電圧*VvおよびW相出力電圧*Vwに変換する。
DUTY算出部31は、各相出力電圧*Vu,*Vv,*Vwと、電源電圧VBとに基づき、仮に単一の三角波からなるキャリア信号によるパルス幅変調を実行した場合に得られるPWMインバータ14Aの各トランジスタUH,ULおよびVH,VLおよびWH,WLをオン/オフ駆動させる各ゲート信号のデューティつまりオン/オフ状態の比率を算出する。
また、例えば図6(b)に示す各相出力電圧*Vu,*Vv,*Vw(*Vu=*Vv>*Vw)に対するキャリア周期fcのDCリンク電流IDCでは、第5スイッチング状態S5である時刻t2から時刻t3に亘る期間および時刻t4から時刻t5に亘る期間がW相電流Iwの電流持続時間とされ、第4スイッチング状態S4または第3スイッチング状態S3の何れか一方に対応して、U相電流IuまたはV相電流Ivの何れか一方の電流持続時間がゼロとされ、U相電流IuまたはV相電流Ivの何れか他方の電流持続時間は未定となる。
例えば、位相差算出部33は、電流持続時間算出部32により算出された各相電流Iu,Iv,Iw毎の電流持続時間のうちの最小の電流持続時間(最小電流持続時間)を選択し、この最小電流持続時間が所定時間未満である場合には、この所定時間から最小の電流持続時間を減算して得た値を位相差とする。一方、最小の電流持続時間が所定値以上である場合には、位相差をゼロとする。
なお、この最小の電流持続時間に対する判定閾値である所定時間は、例えば直流側電流センサ14bの出力応答の時間特性および直流側電流センサ14bの検出動作のサンプリング時間等に応じた値であって、直流側電流センサ14bによる実際の検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に対し、少なくとも検出安定時間よりも長い時間とされている。
このため、3相のキャリア信号によってパルス幅変調を実行した際に得られる各相電流Iu,Iv,Iw毎の電流持続時間が、少なくとも直流側電流センサ14bの検出安定時間よりも長くなるようにして、3相のキャリア信号の位相差が設定される。
さらに、3相のキャリア信号によってパルス幅変調を実行する際には、3相のキャリア信号の位相差が増大(例えば、図7(b)での位相差p2から図7(a)での位相差p1>p2へと増大)することに伴い、各相電流Iu,Iv,Iwの電流リップルが増大傾向に変化することから、各相電流Iu,Iv,Iw毎の電流持続時間に直流側電流センサ14bの検出安定時間が確保される3相のキャリア信号の位相差として、検出安定時間に係る所定時間から最小電流持続時間を減算して得た値が設定される。
このため、3相のキャリア信号の位相差がゼロとされ、いわば単一のキャリア信号によってパルス幅変調が実行される場合と同等の状態に設定される。
ゲート信号演算部34は、キャリア信号切替部34から入力された3相または単一のキャリア信号と、各相出力電圧*Vu,*Vv,*Vwと、電源電圧VBとに基づくパルス幅変調により、PDU14のPWMインバータ14Aの各トランジスタUH,ULおよびVH,VLおよびWH,WLをオン/オフ駆動させる各パルスからなるゲート信号を生成する。
つまり、直流側電流センサ14bにより検出されるDCリンク電流IDCは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつ、あるいは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつの符号が反転したもの、あるいは、ゼロとなることから、例えば上記表1に基づき、PWMインバータ14Aの各スイッチング状態S2〜S7において直流側電流センサ14bにより検出されるDCリンク電流IDCを各相推定電流Ius,Ivs,Iwsとして設定する。
そして、ステップS02においては、各相電流Iu,Iv,Iw毎の電流持続時間から最小電流持続時間を取得する。なお、このステップS02において、例えば図6(b)に示すように各相出力電圧*Vu,*Vv,*Vwのうちの何れか2相同士、あるいは、全相同士が所定値以内で略同等となる場合には、最小電流持続時間にゼロを設定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04に進み、このステップS04においては、所定時間から最小電流持続時間を減算して得た値を位相差として設定し、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ゼロを位相差として設定し、一連の処理を終了する。
すなわち、この変形例では、ステップS11において、所定時間から最小電流持続時間を減算して得た値を位相差として設定する。
そして、ステップS12において、位相差がゼロ以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS13に進み、このステップS13においては、位相差にゼロを設定して、一連の処理を終了する。
12 モータ
14 PWMインバータ(インバータ)
14b 直流側電流センサ(電流検出手段)
15 制御部(制御手段)
24 PWM信号生成部(パルス幅変調信号生成手段)
25 相電流推定部(相電流推定手段)
32 電流持続時間算出部(電流持続時間検出手段)
33 位相差算出部(位相差設定手段)
ステップS03 判定手段、所定値設定手段
Claims (2)
- パルス幅変調信号により複数相の電動機への通電を順次転流させるインバータと、該インバータの直流側電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段により検出された前記直流側電流に基づいて前記電動機の相電流を推定する相電流推定手段と、該相電流推定手段により推定された前記相電流に基づき前記インバータのスイッチング素子のオン/オフ状態を制御するスイッチング制御を実行する制御手段とを備える電動機の制御装置であって、
前記パルス幅変調信号を複数相のキャリア信号により生成するパルス幅変調信号生成手段と、
単一のキャリア周期における前記直流側電流において、各前記複数相毎の相電流の持続時間である電流持続時間を検出する電流持続時間検出手段と、
前記電流持続時間検出手段により検出された各前記複数相毎の前記電流持続時間のうちの最小値に基づき、前記複数相間の前記キャリア信号の位相差を設定する位相差設定手段と、
前記電流持続時間検出手段により検出された各前記複数相毎の前記電流持続時間のうちの最小値が、所定値以上であるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記位相差設定手段は、前記判定手段により前記最小値が前記所定値未満であると判定された場合には、前記所定値から前記最小値を減算して得た値を前記位相差とし、前記判定手段により前記最小値が前記所定値以上であると判定された場合には、前記位相差をゼロとしており、
前記所定値を、前記電流検出手段による検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に基づき設定する所定値設定手段を備え、
前記所定値設定手段は、前記所定値を前記検出安定時間よりも長い時間とすることを特徴とする電動機の制御装置。 - パルス幅変調信号により複数相の電動機への通電を順次転流させるインバータと、該インバータの直流側電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段により検出された前記直流側電流に基づいて前記電動機の相電流を推定する相電流推定手段と、該相電流推定手段により推定された前記相電流に基づき前記インバータのスイッチング素子のオン/オフ状態を制御するスイッチング制御を実行する制御手段とを備える電動機の制御装置であって、
前記パルス幅変調信号を複数相のキャリア信号により生成するパルス幅変調信号生成手段と、
前記電動機のトルクおよび回転数に基づき、前記複数相間の前記キャリア信号の位相差を設定する位相差設定手段とを備え、
前記位相差設定手段は、前記電動機の回転数が所定回転数以上である場合に前記位相差をゼロに設定しており、前記回転数が低下することに伴い、前記位相差を増大傾向に変化させることを特徴とする電動機の制御装置。
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