JP4642645B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents
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また、従来、例えば電流センサにより検出された電動機の各相電流を1周期に亘って積算して得た積算値、あるいは、電流センサにより検出された電動機の各相電流の1周期に亘る正負の時間比からオフセットを算出し、このオフセットにより電流センサの検出値を補正する制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、電動機の各相電流を1周期に亘って積算、または、電流センサにより検出された各相電流の1周期に亘る正負の時間比を算出する場合には、演算負荷が増大してしまうと共に、各相電流の電流リップルや高調波成分によってオフセットの算出精度が低下してしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電動機の運転状態に拘わらずに、電動機に通電される電流を検出する電流センサの検出値に生じるオフセット誤差を適切に補正して、電動機を適切に制御することが可能な電動機の制御装置を提供することを目的とする。
さらに、請求項1に記載の本発明の電動機の制御装置は、前記所定時間を、前記電流検出手段による検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に基づき設定する所定時間設定手段(例えば、実施の形態でのステップS13、ステップS16)を備えることを特徴としている。
さらに、上記構成の電動機の制御装置によれば、ゼロ電圧ベクトル出力状態の継続時間に対する所定時間を、電流検出手段による検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に基づき算出することにより、電流検出手段の検出結果に対する信頼性を向上させることができ、オフセット誤差の検出精度を、より一層、向上させることができる。
さらに、請求項1に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、オフセット誤差の検出を所定周期毎に許可することにより、ゼロ電圧ベクトル出力状態において電流検出手段により検出された直流側電流を適切に抽出することができる。
さらに、請求項1に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、精度の良いオフセット誤差の検出が困難となる虞がある状態で検出が禁止されることから、オフセット誤差の検出精度を、より一層、向上させることができる。
さらに、請求項1に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、ゼロ電圧ベクトル出力状態の継続時間に対する所定時間を、電流検出手段による検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に基づき算出することにより、電流検出手段の検出結果に対する信頼性を向上させることができ、オフセット誤差の検出精度を、より一層、向上させることができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、複数のオフセット値の所定数に対する平均値をオフセット誤差とすることにより、オフセット誤差の検出精度を、より一層、向上させることができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の電動機の制御装置によれば、インバータに対する直流電源の電源電圧が変動した場合等であっても、オフセット誤差の検出精度を向上させることができる。
この実施形態による電動機の制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有する回転子(図示略)と、この回転子を回転させる回転磁界を発生する固定子(図示略)とを備えて構成されている。
そして、モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、バッテリ13を直流電源とするパワードライブユニット(PDU)14と、制御部15とを備えて構成されている。
PDU14は、例えば図2に示すように、トランジスタのスイッチング素子(例えば、IGBT:Insulated Gate Bipolar mode Transistor)を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路14aと平滑コンデンサCとを具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ14Aを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ13が接続されている。
そして、ブリッジ回路14aと、バッテリ13の負極側端子との間には、PWMインバータ14Aの直流側電流(DCリンク電流)IDCを検出する直流側電流センサ14bが備えられている。
そして、PWMインバータ14Aの直流側には各スイッチング状態S1〜S8に応じて断続的に各相電流Iu,Iv,Iwが発生し、直流側電流センサ14bにより検出される直流側電流(DCリンク電流)IDCは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつ、あるいは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつの符号が反転したもの、あるいは、ゼロとなる。
そして、ハイ側U相およびV相トランジスタUH,VHとロー側W相トランジスタWLとがオン状態となる第2スイッチング状態S2である時刻t2から時刻t3の期間および時刻t6から時刻t7の期間では、DCリンク電流IDCはW相電流Iwの符号が反転した電流(−Iw)となる。
そして、ハイ側U相トランジスタUHとロー側V相およびW相トランジスタUL,WLとがオン状態となる第7スイッチング状態S7である時刻t3から時刻t4の期間および時刻t5から時刻t6の期間では、DCリンク電流IDCはU相電流Iuとなる。
そして、ハイサイドアームがオフ状態かつローサイドアームがオン状態となる第8スイッチング状態S8である時刻t4から時刻t5の期間では、DCリンク電流IDCはゼロとなる。
そして、この制御部15には、直流側電流センサ14bにより検出される直流側電流(DCリンク電流)IDCと、バッテリ13の端子電圧(電源電圧)VBを検出する電圧センサ13aから出力される検出値と、モータ12の回転子の回転角(つまり、所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)θを検出する回転センサ12aから出力される検出信号と、外部の制御装置(図示略)から出力されるトルク指令Trとが入力されている。
dq−3相変換部23は、回転センサ12aから入力される回転子の回転角θを用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上での電圧指令値であるU相出力電圧*VuおよびV相出力電圧*VvおよびW相出力電圧*Vwに変換する。
そして、PWM信号生成部24は、生成したゲート信号のデューティDUTYつまり各スイッチング素子をオン/オフ駆動させる各パルスのオン/オフ状態の比率を算出する。
このオフセット補正部25は、例えば図5に示すように、オフセット検出可否判定部31と、タイマ32と、オフセット検出部33と、オフセット補正値演算部34と、オフセット補正値記憶部35と、直流側電流補正部36とを備えて構成されている。
そして、オフセット検出部33は、ゼロ電圧ベクトル出力状態であると判定され、かつ、オフセット検出可否判定部31による判定結果においてオフセット検出の実行が許可されている場合に直流側電流センサ14bから入力されるDCリンク電流IDCを、直流側電流センサ14bの検出値に対するオフセット値として設定し、このオフセット値とオフセット検出の実行完了を示す信号とを出力する。
直流側電流補正部36は、直流側電流センサ14bから入力されるDCリンク電流IDCからオフセット補正値演算部34により算出されたオフセット補正値を減算して得た値を、新たにDCリンク電流IDCとして設定することにより、直流側電流センサ14bから入力されるDCリンク電流IDCを補正する。
つまり、直流側電流センサ14bにより検出されるDCリンク電流IDCは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつ、あるいは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつの符号が反転したもの、あるいは、ゼロとなることから、例えば上記表1に基づき、PWMインバータ14Aの各スイッチング状態S2〜S7において直流側電流センサ14bにより検出されるDCリンク電流IDCを各相推定電流Ius,Ivs,Iwsとして設定する。
先ず、例えば図6に示すステップS01においては、オフセット補正値の検出処理であるオフセット検出の前回の実行時から所定周期が経過したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進み、このステップS02においては、オフセット検出の実行を許可し、一連の処理を終了する。
すなわち、例えば図7に示すステップS11においては、オフセット検出の実行が許可されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS12に進み、このステップS12においては、例えば図8に示す時刻t4から時刻t5の期間のように、PWMインバータ14Aが第8スイッチング状態S8となることに起因してモータ12の線間電圧の全てがゼロとなる第1ゼロ電圧ベクトル出力状態、および、例えば図8に示す時刻t1から時刻t2の期間および時刻t7から時刻t8の期間のように、PWMインバータ14Aが第1スイッチング状態S1となることに起因してモータ12の線間電圧の全てがゼロとなる第2ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行を禁止し、各オフセット検出許可フラグF_Z1,F_Z2のフラグ値にゼロを設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS13に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS14に進み、このステップS14においては、第1ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行を許可し、第1オフセット検出許可フラグF_Z1のフラグ値に「1」を設定して、後述するステップS16に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS15に進み、このステップS15においては、第1ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行を許可し、第1オフセット検出許可フラグF_Z1のフラグ値に「0」を設定して、後述するステップS16に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進み、このステップS17においては、第2ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行を許可し、第2オフセット検出許可フラグF_Z2のフラグ値に「1」を設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS18に進み、このステップS18においては、第2ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行を許可し、第2オフセット検出許可フラグF_Z2のフラグ値に「0」を設定して、一連の処理を終了する。
先ず、例えば図9に示すステップS21においては、第1オフセット検出許可フラグF_Z1のフラグ値に「1」が設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS26に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS23に進む。
そして、ステップS23においては、最大電圧相(例えば、図8でのU相)のハイ側のスイッチング素子(例えば、図8でのハイ側U相トランジスタUH)がオフ状態とされた時刻(例えば、図8での時刻t4)、あるいは、最大電圧相(例えば、図8でのU相)のロー側のスイッチング素子(例えば、図8でのロー側U相トランジスタUL)がオン状態とされた時刻(例えば、図8での時刻t4)から、所定時間が経過したか否かを判定する。なお、この所定時間は、少なくとも直流側電流センサ14bの検出安定時間(例えば、図8での時刻t4から時刻t4aの期間)よりも長い時間とされている。
ステップS23の判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、ステップS23の判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進む。
そして、ステップS25においては、第1ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行完了を示す第1オフセット検出完了フラグF_E1のフラグ値に「1」を設定して、一連の処理を終了する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS27に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS28に進む。
そして、ステップS28においては、最小電圧相(例えば、図8でのW相)のハイ側のスイッチング素子(例えば、図8でのハイ側W相トランジスタWH)がオン状態とされた時刻(例えば、図8での時刻t7)、あるいは、最小電圧相(例えば、図8でのW相)のロー側のスイッチング素子(例えば、図8でのロー側W相トランジスタWL)がオフ状態とされた時刻(例えば、図8での時刻t7)から、所定時間が経過したか否かを判定する。なお、この所定時間は、少なくとも直流側電流センサ14bの検出安定時間(例えば、図8での時刻t7から時刻t7aの期間)よりも長い時間とされている。
ステップS28の判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、ステップS28の判定結果が「YES」の場合には、ステップS29に進む。
そして、ステップS30においては、第2ゼロ電圧ベクトル出力状態でのオフセット検出の実行完了を示す第2オフセット検出完了フラグF_E2のフラグ値に「1」を設定して、一連の処理を終了する。
先ず、例えば図10に示すステップS21においては、第1オフセット検出許可フラグF_Z1のフラグ値に「1」が設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS37に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS32に進む。
そして、ステップS33においては、第1オフセット検出完了フラグF_E1のフラグ値を初期化、つまりフラグ値にゼロを設定する。
そして、ステップS34においては、オフセット積算値OFSに第1オフセット値OF1を加算する処理を所定回数に亘って実行したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS38に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS35に進む。
そして、ステップS36においては、オフセット積算値OFSを初期化する。
そして、ステップS37においては、オフセット検出の実行を禁止し、各オフセット検出許可フラグF_Z1,F_Z2のフラグ値にゼロを設定して、一連の処理を終了する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS37に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS39に進む。
そして、ステップS40においては、第2オフセット検出完了フラグF_E2のフラグ値を初期化、つまりフラグ値にゼロを設定する。
そして、ステップS41においては、オフセット積算値OFSに第2オフセット値OF2を加算する処理を所定回数に亘って実行したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS37に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS35に進む。
先ず、例えば図11に示すステップS42においては、直流側電流センサ14bから入力されるDCリンク電流IDCからオフセット補正値を減算して得た値を、新たにDCリンク電流IDCとして設定することにより、直流側電流センサ14bから入力されるDCリンク電流IDCを補正し、一連の処理を終了する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進む。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS29に進む。
12 モータ
14 PWMインバータ(インバータ)
14b 直流側電流センサ(電流検出手段)
31 オフセット検出可否判定部(検出許可手段)
33 オフセット検出部(オフセット誤差検出手段、継続時間算出手段)
34 オフセット補正値演算部(オフセット誤差検出手段)
35 オフセット値記憶部(記憶手段)
36 直流側電流補正部(直流側電流補正手段)
ステップS13、ステップS16 所定時間設定手段
Claims (5)
- パルス幅変調信号により複数相の電動機への通電を順次転流させるインバータと、該インバータの直流側電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段により検出された前記直流側電流に基づいて前記インバータのスイッチング素子のオン/オフ状態を制御するスイッチング制御を実行する制御手段とを備える電動機の制御装置であって、
前記電流検出手段により検出された前記直流側電流のオフセット誤差を検出するオフセット誤差検出手段と、該オフセット誤差検出手段により検出された前記オフセット誤差に応じて、前記電流検出手段により検出された前記直流側電流を補正する直流側電流補正手段とを備え、
前記オフセット誤差検出手段は、前記電動機の複数相間の相電圧の差である線間電圧の全てがゼロとなるゼロ電圧ベクトル出力状態において前記電流検出手段により検出された前記直流側電流をオフセット値とし、該オフセット値に応じて前記オフセット誤差を検出し、
前記オフセット誤差検出手段による前記オフセット誤差の検出を所定周期毎に許可する検出許可手段を備え、
前記オフセット誤差検出手段は、前記ゼロ電圧ベクトル出力状態の継続時間が所定時間以上であり、かつ、前記検出許可手段により前記オフセット誤差の検出が許可されている場合に、前記オフセット誤差を検出し、
前記オフセット誤差検出手段は、前記ゼロ電圧ベクトル出力状態の継続時間が所定時間未満である場合、または、前記検出許可手段により前記オフセット誤差の検出が許可されていない場合に、前記オフセット誤差の検出を禁止し、
前記所定時間を、前記電流検出手段による検出状態が所定の安定状態に到達するのに要する検出安定時間に基づき設定する所定時間設定手段を備えることを特徴とする電動機の制御装置。 - 前記オフセット値を記憶する記憶手段を備え、
前記オフセット誤差検出手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記オフセット値の所定数に対する平均値を前記オフセット誤差とすることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。 - 前記ゼロ電圧ベクトル出力状態の前記継続時間を、前記インバータの前記スイッチング素子のオン/オフ状態の比率であるデューティ値に基づき算出する継続時間算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
- 前記ゼロ電圧ベクトル出力状態の前記継続時間を、前記電動機の各前記複数相毎の出力電圧値と、前記インバータの直流側電圧と、パルス幅変調周期とに基づき算出する継続時間算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
- 前記直流側電流補正手段は、前記ゼロ電圧ベクトル出力状態以外の状態において前記電流検出手段により検出された前記直流側電流から前記オフセット誤差を減算することによって前記直流側電流を補正することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかひとつに記載の電動機の制御装置。
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