JP6884193B2 - 交流回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本願は、交流回転機の制御装置に関するものである。
特許文献1の電子制御装置は、Hブリッジ回路によって直流モータを駆動し、モータ電流を第1電流検出回路と第2電流検出回路とを用いて検出している。また、第1電流検出回路の信号と第2電流検出回路の信号とを相互比較することにより、異常判定をしている。
特許文献2の電動パワーステアリング装置は、Hブリッジ回路によって直流モータを駆動し、直流電源とHブリッジ回路とを接続する母線に直列にシャント抵抗を設けて、Hブリッジ回路をオンオフ制御するPWM周期において母線電流を2回検出することでモータ電流を検出している。
特許文献3のインバータ装置は、直流電源とインバータとの間に接続した電流検出回路によって瞬時電流を検出している。検出タイミングの電圧ベクトルに応じて瞬時電流から相電流を得ている。
特許文献4の電動機制御装置は、電機子巻線とインバータとの間に接続した電流検出回路によって各相電流を検出している。
特開2018−182798号公報 特許第4382768号 特許第3610897号 特許第6173516号
特許文献1では、Hブリッジ回路とモータとを接続する2つの接続経路のそれぞれに、電流検出回路を設けているため、モータ電流が流れている間は、2つの電流検出回路に常に電流が流れる。特許文献1のように、多くの場合、電流検出回路はシャント抵抗を用いるので、電流が流れている間はシャント抵抗が発熱する。よって、2つの電流検出回路を常時モータ電流が流れるので、Hブリッジ内の発熱が大きくなる。また、いずれの電流検出回路にも常にモータ電流が流れるため、電流検出のオフセットをオンラインで取得することが困難である。
特許文献2では、PWM周期においてモータ電流が順方向と逆方向とで切り替わり、母線に設けられた電流検出回路を、PWM周期において順方向及び逆方向に常時電流が流れる。そして、PWM周期に2回検出した母線電流の差を用いてモータ電流を算出していため、それぞれの検出値に含まれる電流検出のオフセットが相殺される。そのため、特許文献2の技術は、母線電流検出回路を、順方向及び逆方向に常時電流が流れるモータには適しているが、交流電機子巻線及び界磁巻線を有する交流回転機において、界磁巻線を流れる界磁電流を検出するのには適しない。また、特許文献2の技術でも、電流検出回路を常時電流が流れるため、電流検出回路の発熱が大きくなる。
特許文献3では、PMW周期の前半で電圧指令を下側にオフセットさせ、後半で電圧指令を上側に同じだけオフセットさせることで、瞬時電流検出時に零ベクトルが発生しないようにしている。また、特許文献3の技術は、3相の電機子巻線を流れる交流電流を検出するための技術である。しかし、界磁巻線を流れる界磁電流は、通常、直流電流であるため、界磁電流を検出するためには、特許文献3の技術は用いることができない。
特許文献4では、常時電流が流れる箇所に電流検出回路が配置されているため、シャント抵抗などを用いた電流検出回路を用いる場合には発熱量が大きくなる。また、電機子巻線の相数だけ電流検出回路を設けるため、電流検出回路の配置スペースが大きくなる。特許文献4の交流回転機は、永久磁石式の交流回転機である。一方、界磁巻線式の交流回転機では、永久磁石式の交流回転機に比べて、界磁巻線に電圧を印加するコンバータ、及びコンバータと界磁巻線とを接続するブラシ等の接続機構等、部品点数が多くなり必要なスペースが大きい。
そこで、交流電機子巻線及び界磁巻線を有する交流回転機において、電機子電流及び界磁電流を検出するための電流検出回路の数を少なくすることができると共に、電流検出回路の発熱を抑制することができる交流回転機の制御装置が望まれる。
本願に係る交流回転機の制御装置は、交流電機子巻線及び界磁巻線を有する交流回転機を制御する交流回転機の制御装置であって、
スイッチング素子を有し、前記直流電源と前記界磁巻線との間で電力変換を行うコンバータと、
スイッチング素子を有し、前記直流電源と前記交流電機子巻線との間で電力変換を行うインバータと、
前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路を流れる電流である第1母線電流を検出する第1母線電流検出回路と、
前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路を流れる電流である第2母線電流を検出する第2母線電流検出回路と、
前記コンバータのスイッチング素子をオンオフして、前記界磁巻線に電圧を印加するコンバータスイッチング制御部と、
前記インバータのスイッチング素子をオンオフして、前記交流電機子巻線に電圧を印加するインバータスイッチング制御部と、
前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出し、検出した前記第1母線電流及び前記第2母線電流に基づいて、前記界磁巻線に流れる電流である界磁電流及び前記交流電機子巻線を流れる電機子電流を算出する電流算出部と、
を備え
前記第1母線電流検出回路は、前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路であって、前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路と共通していない部分を流れる電流である前記第1母線電流を検出し、
前記第2母線電流検出回路は、前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路であって、前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路と共通している部分を流れる電流である前記第2母線電流を検出するものである。


本願に係る交流回転機の制御装置によれば、第1母線電流検出回路と第2母線電流検出回路との2つの電流検出回路により、電機子電流及び界磁巻線を検出することができ、電流検出回路を少なくすることができる。また、第1母線電流検出回路は、直流電源と、界磁巻線に電圧を印加するコンバータとの間の接続経路に設けられる。直流電源とコンバータとの間は、通常、間欠的に電流が流れるので、第1母線電流検出回路の発熱を抑制することができる。
実施の形態1に係る交流回転機及び交流回転機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御器の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御器のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係るコンバータ制御の電圧ベクトルを説明する図である。 実施の形態1に係る電圧ベクトルVf0の電流経路を説明する図である。 実施の形態1に係る電圧ベクトルVf1の電流経路を説明する図である。 実施の形態1に係る電圧ベクトルVf2の電流経路を説明する図である。 実施の形態1に係る電圧ベクトルVf3の電流経路を説明する図である。 実施の形態1に係るコンバータの制御挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係るインバータ制御の電圧ベクトルを説明する図である。 実施の形態1に係るインバータの制御挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係るインバータの制御挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係るコンバータの制御挙動を説明するタイムチャートである。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る交流回転機の制御装置11(以下、単に、制御装置11と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置11の概略構成図である。
1−1.交流回転機
交流回転機1は、ステータ18と、ステータ18の径方向内側に配置されたロータ14と、を備えている。交流回転機1は、界磁巻線型の同期回転機とされている。ステータ18に、交流電機子巻線12が巻装されている。ロータ14に界磁巻線4が巻装され、電磁石が設けられている。
本実施の形態では、交流電機子巻線12は、U相、V相、及びW相の3相の交流電機子巻線Cu、Cv、Cwとされている。3相の交流電機子巻線Cu、Cv、Cwは、スター結線とされてもよいし、デルタ結線とされてもよい。
ロータ14には、ロータ14の回転角度(回転角度)を検出する角度検出回路15が設けられている。角度検出回路15の出力信号は、制御器30に入力される。角度検出回路15には、各種のセンサが用いられる。
本実施の形態では、交流回転機1は、車両用の発電電動機とされている。交流回転機1のロータ14の回転軸は、連結機構を介して内燃機関54に連結される。また、交流回転機1の回転軸は、連結機構を介して車輪52に連結される。例えば、図10に示すように、交流回転機1の回転軸は、プーリ及びベルト機構53を介して、内燃機関54のクランク軸に連結されている。交流回転機1の回転軸は、内燃機関54及び変速装置55を介して車輪52に連結される。交流回転機1は、一方の方向にしか回転せず、他方の方向には回転しない。
1−2.直流電源2
直流電源2は、インバータ5及びコンバータ9に電源電圧Vdcを出力する。直流電源2として、バッテリー、DC−DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等、直流電圧を出力する任意の機器が用いられる。直流電源2には、平滑コンデンサ3が並列接続されている。電源電圧Vdcを検出するための電圧検出回路17が備えられている。電圧検出回路17の出力信号は、制御器30に入力される。
1−3.インバータ5
インバータ5は、スイッチング素子を有し、直流電源2と交流電機子巻線12との間で電力変換を行う。インバータ5は、直流電源2の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と、直流電源2の負極側に接続される負極側のスイッチング素子と、が直列接続された直列回路を、3相各相の交流電機子巻線に対応して3組設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、対応する相の交流電機子巻線に接続される。
具体的には、U相の直列回路では、U相の正極側のスイッチング素子SPuとU相の負極側のスイッチング素子SNuとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がU相の交流電機子巻線Cuに接続されている。V相の直列回路では、V相の正極側のスイッチング素子SPvとV相の負極側のスイッチング素子SNvとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がV相の交流電機子巻線Cvに接続されている。W相の直列回路では、Wの正極側のスイッチング素子SPwとW相の負極側のスイッチング素子SNwとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がW相の交流電機子巻線Cwに接続されている。
インバータ5のスイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御器30に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御器30から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
1−4.コンバータ9
コンバータ9は、スイッチング素子を有し、直流電源2と界磁巻線4との間で電力変換を行う。コンバータ9は、スイッチング素子のオンオフにより、直流電源2から界磁巻線に電流を流す電源供給経路20と、コンバータ9内で電流を還流させて界磁巻線4に還流電流を流す還流経路21とが、切り替わる。
本実施の形態では、コンバータ9は、直流電源2の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と直流電源2の負極側に接続される負極側のスイッチング素子とが直列接続された直列回路を2組設けたHブリッジ回路とされている。第1組の直列回路28における正極側のスイッチング素子SP1と負極側のスイッチング素子SN1との接続点が、界磁巻線4の一端に接続され、第2組の直列回路29における正極側のスイッチング素子SP2と負極側のスイッチング素子SN2との接続点が、界磁巻線4の他端に接続される。
コンバータ9のスイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、MOSFET等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御器30に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御器30から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
後述する図6に示すように、コンバータ9のスイッチング素子がオンオフされた場合に、コンバータ9は、電源供給経路20に切り替わる。一方、後述する図5又は図8に示すように、コンバータ9のスイッチング素子がオンオフされた場合に、コンバータ9は、還流経路21に切り替わる。なお、本実施の形態では、界磁巻線4を、第1組の直列回路28側から第2組の直列回路29側の第1方向のみに電流が流れることを前提に設計されている。
1−5.第1母線電流検出回路6
第1母線電流検出回路6は、直流電源2とコンバータ9との間の接続経路を流れる電流である第1母線電流Idcaを検出する電流検出回路である。本実施の形態では、第1母線電流検出回路6は、直流電源2とコンバータ9との間の接続経路であって、直流電源2とインバータ5との間の接続経路と共通していない部分を流れる電流である第1母線電流Idcaを検出する。第1母線電流検出回路6は、コンバータ9と直流電源2の負極側とを接続する接続経路に設けられている。第1母線電流検出回路6は、コンバータ9と直流電源2の正極側とを接続する接続経路に設けられてもよい。第1母線電流検出回路6の出力信号は、制御器30に入力される。
第1母線電流検出回路6にシャント抵抗を用いる場合は、発熱により断線すると、直流電源2からコンバータ9に電力を供給できなくなる。そのため、第1母線電流検出回路6は、ホール素子等の非接触の電流センサが用いられるとよい。非接触の電流センサに異常が生じても、電力供給系統への影響はない。なお、放熱性が確保されて発熱面に支障が無ければ、第1母線電流検出回路6にシャント抵抗が用いられてもよい。
1−6.第2母線電流検出回路7
第2母線電流検出回路7は、直流電源2とインバータ5との間の接続経路を流れる電流である第2母線電流Idcbを検出する電流検出回路である。本実施の形態では、第2母線電流検出回路7は、直流電源2とインバータ5との間の接続経路であって、直流電源2とコンバータ9との間の接続経路と共通していない部分を流れる電流である第2母線電流Idcbを検出する。第2母線電流検出回路7は、インバータ5と直流電源2の負極側とを接続する接続経路に設けられている。第2母線電流検出回路7は、インバータ5と直流電源2の正極側とを接続する接続経路に設けられてもよい。第2母線電流検出回路7の出力信号は、制御器30に入力される。
第2母線電流検出回路7にシャント抵抗を用いる場合は、発熱により断線すると、直流電源2からインバータ5に電力を供給できなくなる。そのため、第2母線電流検出回路7は、ホール素子等の非接触の電流センサが用いられるとよい。非接触の電流センサに異常が生じても、電力供給系統への影響はない。なお、放熱性が確保されて発熱面に支障が無ければ、第2母線電流検出回路7にシャント抵抗が用いられてもよい。
1−7.制御器30
制御器30は、インバータ5及びコンバータ9を介して、交流回転機1を制御する。制御器30は、図2に示すように、コンバータスイッチング制御部31、電流算出部32、異常判定部33、インバータスイッチング制御部34等の機能部を備えている。制御器30の各機能は、制御器30が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御器30は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び外部装置とデータ通信を行う通信回路94等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、角度検出回路15、電圧検出回路17、第1母線電流検出回路6、第2母線電流検出回路7等の各種のセンサ及びスイッチが接続され、これらセンサ及びスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、インバータ5及びコンバータ9のスイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。通信回路94は、車両統合制御装置27等の外部装置と通信を行う。
そして、制御器30が備える各制御部31〜34等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御器30の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31〜34等が用いる判定値等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御器30の各機能について詳細に説明する。
1−7−1.インバータスイッチング制御部34
インバータスイッチング制御部34は、インバータ5のスイッチング素子をオンオフすることにより、各相の交流電機子巻線Cu、Cv、Cwに電圧を印加する。インバータスイッチング制御部34は、各相の交流電機子巻線に印加する3相の電圧指令を算出する。インバータスイッチング制御部34は、公知のベクトル制御又はV/f制御を用いて、3相の電圧指令を算出する。
インバータスイッチング制御部34は、角度検出回路15の出力信号に基づいて、ロータ14の回転角度及び回転角速度を検出する。インバータスイッチング制御部34は、電圧検出回路17の出力信号に基づいて、電源電圧を検出する。
ベクトル制御を用いる場合は、インバータスイッチング制御部34は、トルク指令、後述する電流算出部32により算出された電機子電流の検出値、回転角度、回転角速度、及び電源電圧等に基づいて、3相の電圧指令を算出する。トルク指令は、車両統合制御装置27等から伝達されるように構成されてもよいし、制御器30内で算出されるように構成されてもよい。具体的には、インバータスイッチング制御部34は、トルク指令、回転角速度、及び電源電圧Vdc等に基づいて、dq軸電流指令を算出し、3相の電機子電流の検出値及び回転角度に基づいてdq軸電流検出値を算出し、dq軸電流指令及びdq軸電流検出値に基づいて、dq軸座標系上で電流フィードバック制御を行って、dq軸電圧指令を算出し、dq軸電圧指令及び回転角度に基づいて、3相の電圧指令を算出する。なお、インバータスイッチング制御部34は、電流検出値を用いず、dq軸電流指令に基づいて、交流回転機の諸元を用い、dq軸電圧指令を変化させるフィードフォワード制御を実行してもよい。そして、インバータスイッチング制御部34は、回転角度に基づいて、dq軸電圧指令を、3相の電圧指令に座標変換する。インバータスイッチング制御部34は、3相の電圧指令に対して、空間ベクトル変調、2相変調等の線間電圧が変化しないような変調を加えてもよい。
V/f制御を用いる場合は、インバータスイッチング制御部34は、車両統合制御装置27等から伝達された交流回転機の回転周波数指令fに基づいて、電圧指令の振幅Vを決定する。そして、インバータスイッチング制御部34は、電圧指令の振幅V、及び回転周波数指令fを積分した位相に基づいて、3相の電圧指令を算出する。
インバータスイッチング制御部34は、3相の電圧指令に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)制御により複数のスイッチング素子をオンオフする。インバータスイッチング制御部34は、3相の電圧指令のそれぞれとキャリア波とを比較することにより、各相のスイッチング素子をオンオフするスイッチング信号を生成する。キャリア波は、電源電圧Vdcの振幅を有し、キャリア周波数で振動する三角波とされている。インバータスイッチング制御部34は、電圧指令がキャリア波を上回った場合は、スイッチング信号をオンし、電圧指令がキャリア波を下回った場合は、スイッチング信号をオフする。正極側のスイッチング素子には、スイッチング信号がそのまま伝達され、負極側のスイッチング素子には、スイッチング信号を反転させたスイッチング信号が伝達される。各スイッチング信号は、ゲート駆動回路を介して、インバータ5の各スイッチング素子のゲート端子に入力され、各スイッチング素子をオン又はオフさせる。
1−7−2.コンバータスイッチング制御部31
コンバータスイッチング制御部31は、コンバータ9のスイッチング素子をオンオフすることにより、界磁巻線4に電圧を印加する。コンバータスイッチング制御部31は、コンバータ9のスイッチング素子をオンオフして、電源供給経路20と還流経路21とを切り替える。
本実施の形態では、コンバータスイッチング制御部31は、界磁巻線4に印加する界磁巻線の電圧指令に基づいて、コンバータ9のスイッチング素子をオンオフする。コンバータスイッチング制御部31は、後述する電流算出部32により算出された界磁電流検出値If_detが界磁電流指令に近づくように、界磁巻線の電圧指令を変化させる電流フィードバック制御を行う。コンバータスイッチング制御部31は、トルク指令等に基づいて、界磁電流指令を算出する。トルク指令は、車両統合制御装置27等から伝達されるように構成されてもよいし、制御器30内で算出されるように構成されてもよい。
Hブリッジ回路とされたコンバータ9の4つのスイッチング素子のオンオフパターンは、図4に示すように、4つある。図4において、「0」は、対応するスイッチング素子がオフであり、「1」は、対応するスイッチング素子がオンであることを示す。4つのオンオフパターンを、電圧ベクトルVf0、Vf1、Vf2、Vf3と称す。
<電圧ベクトルVf0>
図4及び図5に示すように、電圧ベクトルVf0では、第1組の正極側のスイッチング素子SP1は「0」(オフ)にされ、第1組の負極側のスイッチング素子SN1は、「1」(オン)にされ、第2組の正極側のスイッチング素子SP2が「0」(オフ)にされ、第2組の負極側のスイッチング素子SN2が「1」(オン)にされる。電圧ベクトルVf0では、電源電圧Vdcが界磁巻線4に印加されず、コンバータ9内で電流が還流し、還流電流が界磁巻線4に流れる。また、直前に電圧ベクトルVf1が設定されている場合は、図5に示すように、界磁巻線4を第1方向に電流が流れる。一方、直前に電圧ベクトルVf2が設定されている場合は、図5とは反対向きに、界磁巻線4を第2方向に電流が流れる。電圧ベクトルVf0は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れない零ベクトルである。
<電圧ベクトルVf1>
図4及び図6に示すように、電圧ベクトルVf1では、第1組の正極側のスイッチング素子SP1は「1」(オン)にされ、第1組の負極側のスイッチング素子SN1は、「0」(オフ)にされ、第2組の正極側のスイッチング素子SP2が「0」(オフ)にされ、第2組の負極側のスイッチング素子SN2が「1」(オン)にされる。電圧ベクトルVf1では、電源電圧Vdcが界磁巻線4に印加され、直流電源2から界磁巻線4に電流が流れる。また、界磁巻線4を、第1組の直列回路28側から第2組の直列回路29側への第1方向に電流が流れる。本実施の形態では、交流回転機1は、この第1方向のみに電流が流れることを前提に設計されており、後述する第2方向に電流が流れる電圧ベクトルVf2は用いられない。電圧ベクトルVf0は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れる有効ベクトルである。
<電圧ベクトルVf2>
図4及び図7に示すように、電圧ベクトルVf2では、第1組の正極側のスイッチング素子SP1は「0」(オフ)にされ、第1組の負極側のスイッチング素子SN1は、「1」(オン)にされ、第2組の正極側のスイッチング素子SP2が「1」(オン)にされ、第2組の負極側のスイッチング素子SN2が「0」(オフ)にされる。電圧ベクトルVf2では、電源電圧Vdcが界磁巻線4に印加され、直流電源2から界磁巻線4に電流が流れる。また、界磁巻線4を、第2組の直列回路29側から第1組の直列回路28側への第2方向に電流が流れる。本実施の形態では、交流回転機1は、この第2方向には電流が流れないことを前提に設計されている。電圧ベクトルVf2も、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れる有効ベクトルであるが、本実施の形態では、用いられない。
<電圧ベクトルVf3>
図4及び図8に示すように、電圧ベクトルVf3では、第1組の正極側のスイッチング素子SP1は「1」(オン)にされ、第1組の負極側のスイッチング素子SN1は、「0」(オフ)にされ、第2組の正極側のスイッチング素子SP2が「1」(オン)にされ、第2組の負極側のスイッチング素子SN2が「0」(オフ)にされる。電圧ベクトルVf3では、電源電圧Vdcが界磁巻線4に印加されず、コンバータ9内で電流が還流し、還流電流が界磁巻線4に流れる。また、直前に電圧ベクトルVf1が設定されている場合は、図8に示すように、界磁巻線4を第1方向に電流が流れる。一方、直前に電圧ベクトルVf2が設定されている場合は、図8とは反対向きに、界磁巻線4を第2方向に電流が流れる。電圧ベクトルVf3は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れない零ベクトルである。
<PWM制御により電圧ベクトルの切り替え>
図9に示すように、コンバータスイッチング制御部31は、界磁巻線の電圧指令を電源電圧Vdcで除算した比率であるオンデューティ比のPWM信号を生成し、PWM信号に基づいて、コンバータ9のスイッチング素子をオンオフする。
例えば、コンバータスイッチング制御部31は、界磁巻線の電圧指令と、PWM周期で0から電源電圧Vdcの間を振動するキャリア波(三角波)とを比較し、電圧指令がキャリア波を上回った場合は、PWM信号をオン(1)し、電圧指令がキャリア波を下回った場合は、PWM信号をオフ(0)する。或いは、コンバータスイッチング制御部31は、単純に、オンデューティ比のPWM信号を生成してもよい。
そして、コンバータスイッチング制御部31は、PWM信号がオン(1)の場合に、電源供給経路20になるようにコンバータ9のスイッチング素子をオンオフし、PWM信号がオフ(0)の場合に、還流経路21になるようにコンバータ9のスイッチング素子をオンオフする。本実施の形態では、コンバータスイッチング制御部31は、PWM信号がオン(1)の場合に、電圧ベクトルVf1のオンオフパターンでコンバータ9のスイッチング素子をオンオフし、PWM信号がオフ(0)の場合に、電圧ベクトルVf0のオンオフパターンでコンバータ9のスイッチング素子をオンオフする。なお、コンバータスイッチング制御部31は、PWM信号がオフ(0)の場合に、電圧ベクトルVf3のオンオフパターンでコンバータ9のスイッチング素子をオンオフしてもよく、或いは、コンバータスイッチング制御部31は、PWM信号がオフ(0)の場合に設定する電圧ベクトルを、電圧ベクトルVf0と電圧ベクトルVf3との間で周期的に切り替えてもよい。
1−7−3.電流算出部32
電流算出部32は、第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流Idca_det(以下、第1母線電流検出値Idca_detと称す)を検出し、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流Idcb_det(以下、第2母線電流検出値Idcb_detと称す)を検出する。そして、電流算出部32は、第1母線電流検出値Idca_det及び第2母線電流検出値Idcb_detに基づいて、界磁巻線4に流れる電流である界磁電流If_det(以下、界磁電流検出値If_detと称す)及び交流電機子巻線12を流れる電機子電流(以下、電機子電流検出値と称す)を算出する。
1−7−3−1.界磁電流検出値の算出
図9に示すように、界磁巻線4を流れる界磁電流Ifは、電源供給経路20に切り替えられている有効ベクトルの場合は、単調増加し、還流経路21に切り替えられている零ベクトルの場合は、単調減少する。第1母線電流検出回路6は、直流電源2とコンバータ9との間の接続経路を流れる第1母線電流Idcaを検出するように構成されている。そのため、図9及び図6に示すように、有効ベクトルの場合は、界磁電流Ifは、第1母線電流検出回路6の配置箇所を流れるので、第1母線電流Idcaにより界磁電流Ifを検出できる。一方、図9及び図5に示すように、零ベクトルの場合は、界磁電流Ifは、第1母線電流検出回路6の配置箇所を流れないので、第1母線電流Idcaはゼロになり、界磁電流Ifを検出できない。よって、第1母線電流検出回路6を用いる場合は、有効ベクトルと零ベクトルの切り替えを考慮して、界磁電流Ifを検出する必要がある。
電流算出部32は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流Idca_det(以下、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detとも称す)を検出する。そして、電流算出部32は、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detに基づいて、界磁電流検出値If_detを算出する。例えば、電流算出部32は、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detを、界磁電流検出値If_detに設定する。
If_det=Idca_det ・・・(1)
この構成によれば、界磁電流Ifに等しくなる有効ベクトル時の第1母線電流と、電流が零になる零ベクトル時の第1母線電流とを区別して、界磁電流検出値If_detを精度よく算出することができる。
<第1母線電流検出回路6のオフセットの補償>
第1母線電流検出回路6の出力信号にはオフセットが生じる場合がある。オフセットが生じていない場合は、零ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detはゼロになるが、オフセットが生じた場合は、零ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detはオフセット分、ゼロからシフトする。
そこで、電流算出部32は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れない零ベクトルの場合に、第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流のオフセットIdca_offを検出する。電流算出部32は、零ベクトル時に検出した第1母線電流検出値Idca_detを、第1母線電流のオフセットIdca_offに設定する(Idca_off=Idca_det)。
次式に示すように、電流算出部32は、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detから第1母線電流のオフセットIdca_offを減算して、オフセット調整後の第1母線電流検出値Idca_detoffを算出する。そして、電流算出部32は、オフセット調整後の第1母線電流検出値Idca_detoffに基づいて、界磁電流検出値If_detを算出する。
Idca_detoff=Idca_det−Idca_off
If_det=Idca_detoff ・・・(2)
第1母線電流検出回路6のオフセットは、温度ドリフトにより生じる場合が多く、温度変化の時定数は大きいため、PWM周期に比べ、十分遅く変化する。よって、PWM周期毎に、第1母線電流のオフセットIdca_offを検出する必要はない。
そこで、電流算出部32は、第1母線電流のオフセットIdca_offの検出頻度を、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detの検出頻度よりも低くしてもよい。例えば、電流算出部32は、PWM周期毎に有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detを検出し、複数のPWM周期毎に第1母線電流のオフセットIdca_offを検出してもよい。また、電流算出部32は、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detから、過去の複数回で検出した第1母線電流のオフセットIdca_offの平均値を減算して、界磁電流検出値If_detを算出してもよい。
<検出タイミング>
図9に示すように、電流算出部32は、有効ベクトルを設定している期間の中央のタイミング(時刻t3)で、第1母線電流検出回路6により有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detを検出する。この構成によれば、有効ベクトルを設定している期間において、概ね一定の傾きで増加している界磁電流Ifの中心値を検出することができ、また、PWM周期の界磁電流Ifの平均値を検出することができる。よって、界磁電流検出値If_detの精度を高めることができる。また、有効ベクトルを設定している期間を、電流を検出できる限界まで減少させることができる。特許文献2の直流モータの場合には、オンデューティ比を電流が検出できる限界以上に制限すると、そのままトルクとして出力されてしまう。一方、本実施の形態の交流回転機では、界磁巻線の電流によって得られた磁束をトルクに変換するには、交流電機子巻線に電流が流れる必要があるため、電源供給経路20に切り替えている期間の下限を設定することが可能である。
また、電流算出部32は、零ベクトルを設定している期間の中央のタイミング(時刻t1、時刻t5)で、第1母線電流検出回路6により第1母線電流のオフセットIdca_offを検出する。この構成によれば、スイッチング素子のオンオフによる電流への影響を受け難くなるので、界磁電流検出値If_detの精度を高めることができる。また、零ベクトルを設定している期間を、電流を検出できる限界まで減少させることができる。
本実施の形態では、電流算出部32は、キャリア波の山及び谷のタイミングで電流を検出する。
<有効ベクトル及び零ベクトルの設定期間>
スイッチング素子をオン又はオフしてから、スイッチング素子を流れる電流が安定するまでには応答遅れがある。スイッチング素子のオン期間又はオフ期間が短すぎると、スイッチング素子のオン又はオフ後、電流が安定した状態で電流を検出できず、電流の検出精度が悪化する。
そこで、電流算出部32は、スイッチング素子のオン又はオフ後、電流が安定するまでの電流安定期間以上の間、有効ベクトルを設定し、有効ベクトル時の第1母線電流検出値Idca_detを検出する。また、電流算出部32は、電流安定期間以上の間、零ベクトルを設定し、第1母線電流のオフセットIdca_offを検出する。この構成によれば、スイッチング素子のオン又はオフ後、電流が安定した状態で電流を検出でき、界磁電流検出値If_detの精度を高めることができる。
1−7−3−2.電機子電流検出値の算出
図10に示すように、インバータ5の6つのスイッチング素子のオンオフパターンは、8つある。図10において、「0」は、対応するスイッチング素子がオフであり、「1」は、対応するスイッチング素子がオンであることを示す。8つのオンオフパターンを、電圧ベクトルV0〜V7と称す。
電圧ベクトルV0では、U相、V相、W相の負極側のスイッチング素子SNu、SNv、SNwが全てオンになり、U相、V相、W相の正極側のスイッチング素子SPu、SPv、SPwが全てオフになり、負極側の電線を介して、3相の交流電機子巻線Cu、Cv、Cwの端子が相互に接続される。この電圧ベクトルV0では、電流は、3相の交流電機子巻線とインバータの間で還流し、第2母線電流Idcbはゼロになり、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れない零ベクトルの状態になる。
電圧ベクトルV7では、U相、V相、W相の正極側のスイッチング素子SPu、SPv、SPwが全てオンになり、U相、V相、W相の負極側のスイッチング素子SNu、SNv、SNwが全てオフになり、正極側の電線を介して、3相の交流電機子巻線Cu、Cv、Cwの端子が相互に接続される。この電圧ベクトルV7では、電流は、3相の交流電機子巻線とインバータの間で還流し、第2母線電流Idcbはゼロになり、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れない零ベクトルの状態になる。
他の電圧ベクトルV1〜V6では、第2母線電流Idcbは、U相、V相、W相の交流電機子巻線を流れる電機子電流Iu、Iv、Iwになる。これらの電圧ベクトルV1〜V6では、第2母線電流Idcbはゼロにならず、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れる有効ベクトルの状態になる。
上述したように、インバータスイッチング制御部34は、3相の電圧指令Vu、Vw、Vwのそれぞれとキャリア波Caとを比較することにより、各相のスイッチング素子をオンオフするスイッチング信号を生成する。図11に、PWM周期Tcにおける、3相の電圧指令Vu、Vw、Vw、キャリア波Ca、各スイッチング素子のスイッチング信号を示す。この図に示すように、PWM周期Tcにおいて、電圧ベクトルV0からV8が切り替わる。時刻t1からt2、及び時刻t6からt7において、零ベクトルである電圧ベクトルV7になっている。それ以外の期間で、有効ベクトルである電圧ベクトルV1、V2になっている。
図10に示すように、有効ベクトルである電圧ベクトルV1〜V6のそれぞれによって、第2母線電流Idcbが、3相の電機子電流Iu、Iv、Iwのいずれかと等しくなる。例えば、電圧ベクトルV1では、第2母線電流Idcbが、U相の電機子電流Iuと等しくなる。電圧ベクトルV2では、第2母線電流Idcbが、W相の電機子電流Iwの符号反転値(−Iw)と等しくなる。このように、有効ベクトルの種類に応じて、第2母線電流Idcbが、有効ベクトルの種類に応じた特定の相の電機子電流に等しくなる。よって、第2母線電流Idcbにより、各相の電機子電流を検出することができる。
一方、零ベクトルである電圧ベクトルV0、V7においては、インバータ電流Iinがゼロになる。この零ベクトルの期間において、第2母線電流のオフセットIdcb_offを検出できる。
<有効ベクトル時の電機子電流の算出>
電流算出部32は、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流検出値Idcb_detを検出する。
電流算出部32は、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detを、第2母線電流検出値Idcb_detの検出時のインバータ5のスイッチング素子のオンオフパターンに基づいて決定した特定の相の電機子電流検出値として算出する。この決定の際、電流算出部32は、図10に示すような、インバータ5のスイッチング素子のオンオフパターン(電圧ベクトル)と、第2母線電流に等しくなる特定相の電機子電流の情報及び電流の符号反転の有無の情報とが予め設定されたデータテーブルを参照する。
例えば、電流検出時に電圧ベクトルV1である場合は、電流算出部32は、図10のようなデータテーブルを参照し、特定相としてU相を決定し、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detをU相の電機子電流検出値Iu_detに設定する。電流検出時に電圧ベクトルV2である場合は、電流算出部32は、特定相としてW相を決定し、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detの符号反転値をW相の電機子電流検出値Iw_detに設定する。図11の例では、V相の電機子電流を算出できる電圧ベクトルが設定されないので、3相の電機子電流の合計値がゼロになることを利用して、電流算出部32は、次式に示すように、U相の電機子電流検出値Iu_det及びW相の電機子電流検出値Iw_detに基づいて、V相の電機子電流検出値Iv_detを算出する。
Iu_det=Idcb_det
Iw_det=−Idcb_det ・・・(3)
Iv_det=−Iu_det−Iw_det
図12に別のPWM制御の例を示す。この例では、第1キャリア波Ca1が、U相の電圧指令Vu及びV相の電圧指令Vvと比較され、第1キャリア波Ca1とは逆相の第2キャリア波Ca2が、W相の電圧指令Vwと比較される。図12に示すように、PWM周期Tcにおいて、有効ベクトルである電圧ベクトルV1、V2、V6が設定されている。
図12の例でも、電流検出時に電圧ベクトルV1である場合は、電流算出部32は、図10のようなデータテーブルを参照し、特定相としてU相を決定し、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detをU相の電機子電流検出値Iu_detに設定する。電流検出時に電圧ベクトルV2である場合は、電流算出部32は、特定相としてW相を決定し、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detの符号反転値をW相の電機子電流検出値Iw_detに設定する。電流検出時に電圧ベクトルV6である場合は、電流算出部32は、特定相としてV相を決定し、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detの符号反転値をV相の電機子電流検出値Iv_detに設定する。なお、2相をIdcb_detにより計算し、残り1相は式(3)と同様に他の2相から算出してもよい。
Iu_det=Idcb_det
Iw_det=−Idcb_det ・・・(4)
Iv_det=−Idcb_det
<零ベクトル時の第2母線電流のオフセットの検出>
電流算出部32は、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れない零ベクトルの場合に、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流のオフセットIdcb_offを検出する。電流算出部32は、零ベクトル時に検出した第2母線電流検出値Idcb_detを、第2母線電流のオフセットIdcb_offに設定する(Idcb_off=Idcb_det)。
そして、電流算出部32は、次式に示すように、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detから、零ベクトル時の第2母線電流のオフセットIdcb_offを減算してオフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffを算出し、オフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffに基づいて、電機子電流検出値を算出してもよい。この場合は、式(3)、式(4)において、第2母線電流検出値Idcb_detの代わりに、オフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffが用いられる。
Idcb_detoff=Idcb_det−Idcb_off ・・・(5)
第2母線電流検出回路7のオフセットは、温度ドリフトにより生じる場合が多く、温度変化の時定数は大きいため、インバータスイッチング制御部34のPWM周期に比べ、十分遅く変化する。よって、PWM周期毎に、第2母線電流のオフセットIdcb_offを検出する必要はない。
そこで、電流算出部32は、第2母線電流のオフセットIdcb_offの検出頻度を、有効ベクトル時の第2母線電流検出値Idcb_detの検出頻度よりも低くしてもよい。例えば、電流算出部32は、複数のPWM周期毎に第2母線電流のオフセットIdcb_offを検出してもよい。また、電流算出部32は、過去の複数回で検出した第2母線電流のオフセットIdcb_offの平均値を用いてもよい。
<交流回転機の制御装置の効果>
最後に、本実施の形態に係る交流回転機の制御装置の効果を説明する。永久磁石式の交流回転機の場合、ロータの磁束は永久磁石によって賄われているため、図1において、コンバータ9、界磁巻線4、及びその間の配線は不要である。界磁巻線式の交流回転機は、永久磁石式に比べてコンバータ9、界磁巻線4までの配線の取り回しの分だけ多くのスペースが必要であると共に、界磁巻線4及びコンバータ9が発熱する。
特許文献4の電動機制御装置のように、電機子巻線とインバータとの間に3つの電流検出回路を用いる場合では、常時電流が流れるためシャント抵抗を用いた場合には発熱量が大きくなる。本実施の形態では、インバータ5に零ベクトルが設定された場合は、第2母線電流検出回路7を通る電流が零となるため、特許文献4の1つの電流検出回路と比べても発電量を抑制することができる。さらに、電流検出回路の個数を3個から1個に減らせると共に、電流検出回路と制御器との間の配線を削減できる。そのため、永久磁石式よりもスペース及び発熱の面で不利な界磁巻線式の交流回転機を小型化及び低発熱化することができる。
本実施の形態のように、交流回転機が、車両用の発電電動機であり、エンジンに隣接して、エンジンルーム内に配置される場合は、配置スペースが限られるため、交流回転機及び制御装置の小型化が求められる共に、エンジンの熱が伝達され、熱環境が厳しいので、低発熱化が求められる。上記のように、電機子電流を母線に設けられた1つの第2母線電流検出回路7により検出することによって、電流検出回路の発熱を低減できると共に部品点数の削減によって小型化が実現できる。
ロータの磁束は界磁電流の大きさによって変化するため、界磁電流は出力トルクに大きく影響する。第1母線電流のオフセットを除去して界磁電流の検出精度を向上することで、出力トルク、すなわち駆動力の精度と車両用の発電電動機による発電量の精度を向上することができる。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る交流回転機1及び制御装置11について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置11の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、第2母線電流検出回路7の配置位置が実施の形態1と異なる。図13は、本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置11の概略構成図である。
本実施の形態では、第2母線電流検出回路7は、直流電源2とインバータ5との間の接続経路であって、直流電源2とコンバータ9との間の接続経路と共通している部分を流れる電流である第2母線電流Idcbを検出する。
<第2母線電流Idcbからインバータ電流Iinの抽出>
そのため、第2母線電流検出回路7により検出される第2母線電流Idcbは、直流電源2とインバータ5との間を流れる電流であるインバータ電流Iinと、直流電源2とコンバータ9との間を流れる電流であるコンバータ電流Icnとが、合わさった電流となる。そのため、電機子電流を算出するためには、第2母線電流Idcbから、第1母線電流検出回路6により検出されるコンバータ電流Icnを減算してインバータ電流Iinを抽出する必要がある。
そこで、電流算出部32は、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流検出値Idcb_detを検出すると共に第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流検出値Idca_detを検出する。そして、電流算出部32は、次式に示すように、第2母線電流検出値Idcb_detから第1母線電流検出値Idca_detを減算して、直流電源2とインバータとの間を流れる電流であるインバータ電流検出値Iin_detを算出する。
Iin_det=Idcb_det−Idca_det ・・・(6)
そして、実施の形態1と同様に、電流算出部32は、有効ベクトル時のインバータ電流検出値Iin_detを、インバータ電流検出値Iin_detの検出時のインバータ5のスイッチング素子のオンオフパターンに基づいて決定した特定の相の電機子電流検出値として算出する。
<第1母線電流のオフセット誤差の除去>
この際、第1母線電流検出値Idca_detにはオフセット誤差が含まれる可能性がある。そこで、実施の形態1と同様に、電流算出部32は、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れない零ベクトルの場合に、第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流のオフセットIdca_offを検出する。電流算出部32は、零ベクトル時に検出した第1母線電流検出値Idca_detを、第1母線電流のオフセットIdca_offに設定する(Idca_off=Idca_det)。
そして、電流算出部32は、次式に示すように、インバータスイッチング制御部34の有効ベクトルの場合に検出した第1母線電流検出値Idca_detから、第1母線電流のオフセットIdca_offを減算して、オフセット調整後の第1母線電流検出値Idca_detoffを算出し、インバータスイッチング制御部34の有効ベクトルの場合に検出した第2母線電流検出値Idcb_detから、オフセット調整後の第1母線電流検出値Idca_detoffを減算して、インバータ電流検出値Iin_detを算出してもよい。
Idca_detoff=Idca_det−Idca_off
Iin_det=Idcb_det−Idca_detoff ・・・(7)
<第2母線電流のオフセット誤差の除去(1)>
また、第2母線電流検出値Idcb_detにはオフセット誤差が含まれる可能性がある。第2母線電流のオフセットは、インバータ電流Iin及びコンバータ電流Icnが流れていない状態で検出することができる。
そこで、電流算出部32は、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れない零ベクトルの場合であって、直流電源2とコンバータ9との間で電流が流れない零ベクトルの場合に、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流のオフセットIdcb_offを検出する。電流算出部32は、双方の零ベクトル時に検出した第2母線電流検出値Idcb_detを、第2母線電流のオフセットIdcb_offに設定する(Idcb_off=Idcb_det)。
電流算出部32は、次式に示すように、インバータスイッチング制御部34の有効ベクトルの場合に検出した第2母線電流検出値Idcb_detから、第2母線電流のオフセットIdcb_offを減算して、オフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffを算出する。この場合は、式(6)、式(7)において、第2母線電流検出値Idcb_detの代わりに、オフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffが用いられ、オフセット調整後のインバータ電流が算出され、オフセット調整後のインバータ電流に基づいて、電機子電流検出値が算出される。
<第2母線電流のオフセット誤差の除去(2)>
或いは、第2母線電流のオフセットは、インバータ電流Iinが流れていない状態で検出することができる。すなわち、第2母線電流のオフセットは、インバータ電流Iinが流れていない状態で検出した第2母線電流から、コンバータ電流Icnとなる第1母線線電流を減算することで検出できる。
そこで、電流算出部32は、直流電源2とインバータ5との間で電流が流れない零ベクトルの場合に、第2母線電流検出回路7の出力信号に基づいて第2母線電流検出値Idcb_detを検出すると共に、第1母線電流検出回路6の出力信号に基づいて第1母線電流検出値Idca_detを検出する。そして、電流算出部32は、次式に示すように、検出した第2母線電流検出値Idcb_detから第1母線電流検出値Idca_detを減算して、第2母線電流検出値Idcb_detoffを算出する。この場合も、式(6)、式(7)において、第2母線電流検出値Idcb_detの代わりに、オフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffが用いられる。
Idcb_detoff=Idcb_det−Idca_det ・・・(8)
式(8)の第1母線電流検出値Idca_detには、第1母線電流のオフセットIdca_offが含まれる可能性がある。そこで、次式に示すように、式(8)の算出において、第1母線電流検出値Idca_detから第1母線電流のオフセットIdca_offを減算してもよい。
Idcb_detoff=Idcb_det
−(Idca_det−Idca_off) ・・・(9)
<検出回路の異常判定>
インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合には、インバータ電流Iinがゼロになるので、第1母線電流検出値Idca_detと第2母線電流検出値Idcb_detとが等しくなるはずである。
そこで、異常判定部33は、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された、第2母線電流検出値Idcb_detと第1母線電流検出値Idca_detとを比較して、第1母線電流検出回路6及び第2母線電流検出回路7の一方又は双方の異常を判定する。
例えば、異常判定部33は、次式に示すように、インバータスイッチング制御部34の零ベクトルの場合の第2母線電流検出値Idcb_detと第1母線電流検出値Idca_detとの偏差の絶対値が、予め設定した判定値閾値THabよりも大きくなった場合に異常が発生したと判定する。
|Idcb_det−Idca_det|>THab ・・・(10)
<第2母線電流のオフセットを考慮した異常判定>
異常判定部33は、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された第1母線電流検出値Idca_detと、インバータスイッチング制御部34の零ベクトルの場合に検出された第2母線電流検出値Idcb_detから第2母線電流のオフセットIdcb_offを減算したオフセット調整後の第2母線電流検出値Idcb_detoffとを比較して、第1母線電流検出回路6及び第2母線電流検出回路7の一方又は双方の異常を判定してもよい。この場合は、式(10)は、次式のようになる。
Idcb_detoff=Idcb_det−Idcb_off
|Idcb_detoff−Idca_det|>THab ・・・(11)
<第1母線電流のオフセットを考慮した異常判定>
異常判定部33は、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された第1母線電流検出値Idca_detから第1母線電流のオフセットIdca_offを減算した値と、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された第2母線電流検出値Idcb_detとを比較して、第1母線電流検出回路6及び第2母線電流検出回路7の一方又は双方の異常を判定してもよい。この場合は、式(10)は、次式のようになる。
Idca_detoff=Idca_det−Idca_off
|Idcb_det−Idca_detoff|>THab ・・・(12)
<第1母線電流及び第2母線電流のオフセットを考慮した異常判定>
異常判定部33は、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された第1母線電流検出値Idca_detから第1母線電流のオフセットIdca_offを減算した値と、インバータスイッチング制御部34が零ベクトルの場合に検出された第2母線電流検出値Idcb_detから第2母線電流のオフセットIdcb_offを減算した値と、を比較して、第1母線電流検出回路6及び第2母線電流検出回路7の一方又は双方の異常を判定してもよい。この場合は、式(10)は、次式のようになる。
Idca_detoff=Idca_det−Idca_off
Idcb_detoff=Idcb_det−Idcb_off
|Idcb_detoff−Idca_detoff|>THab
・・・(13)
電機子電流は、全相の電機子電流の和が零となることを利用して異常を判定できるが、界磁電流は、1つの直流成分しか無いため、単独での異常検出が容易でない。上記の構成によれば、界磁電流に関連する電流検出回路の異常を、インバータスイッチング制御部34の零ベクトルの場合に検出された、第1母線電流と第2母線電流とを比較するという、簡単な方法で判定することができる。
交流回転機は、ロータの磁束と電機子電流に略比例したトルクを発生させる。ロータの磁束は界磁電流の大きさによって変化するため、界磁電流は出力トルクに大きく影響するが、第1母線電流検出回路6及び第2母線電流検出回路7の異常を判定することにより、駆動時に界磁電流が過大であれば必要以上の駆動力が出たり、発電時に界磁電流が過小であれば所望の発電量を確保できなかったりすることを防止できる。
〔その他の実施の形態〕
最後に、本願のその他の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の各実施の形態では、交流回転機1は、3相の交流電機子巻線を備えている場合を例に説明した。しかし、交流回転機1は、3相以外の複数相の交流電機子巻線を備えてもよく、複数組の複数相の交流電機子巻線を備えてもよい。
(2)上記の各実施の形態では、交流回転機1は、車両用の発電電動機である場合を例に説明した。しかし、交流回転機1は、車両用の発電電動機以外の各種の用途の交流回転機とされてもよい。
(3)上記の各実施の形態では、コンバータ9は、Hブリッジ回路である場合を例に説明した。しかし、コンバータスイッチング制御部31が、還流経路21に切り替える場合に、図5の電圧ベクトルVf0のみを設定する場合は、第2組の正極側のスイッチング素子SP2が常時オフになるので、第2組の正極側のスイッチング素子SP2の回路部分が設けられず、非接続であってもよく、或いは、逆並列ダイオードのみが設けられてもよい。また、この場合は、第2組の負極側のスイッチング素子SN2が常時オンになるので、第2組の負極側のスイッチング素子SN2の回路部分が接続線により構成されてもよい。第1組の負極側のスイッチング素子SN1は、還流経路21の場合にONすることで逆並列ダイオードに比べて抵抗を低減できるが、発熱量に余裕があれば第1組の負極側のスイッチング素子SN1の回路部分は逆並列ダイオードのみであってもよい。
一方、コンバータスイッチング制御部31が、還流経路21に切り替える場合に、図8の電圧ベクトルVf3のみを設定する場合は、第1組の負極側のスイッチング素子SN1が常時オフになるので、第1組の負極側のスイッチング素子SN1の回路部分が設けられず、非接続であってもよく、或いは、逆並列ダイオードのみが設けられてもよい。また、この場合は、第1組の正極側のスイッチング素子SP1が常時オンになるので、第1組の正極側のスイッチング素子SP1の回路部分が接続線により構成されてもよい。第2組の正極側のスイッチング素子SP2は、還流経路21の場合にONすることで逆並列ダイオードに比べて抵抗を低減できるが、発熱量に余裕があれば第2組の正極側のスイッチング素子SP2の回路部分は逆並列ダイオードのみであってもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 交流回転機、2 直流電源、4 界磁巻線、5 インバータ、6 第1母線電流検出回路、7 第2母線電流検出回路、9 コンバータ、11 交流回転機の制御装置、12 交流電機子巻線、20 電源供給経路、21 還流経路、31 コンバータスイッチング制御部、32 電流算出部、33 異常判定部、34 インバータスイッチング制御部

Claims (17)

  1. 交流電機子巻線及び界磁巻線を有する交流回転機を制御する交流回転機の制御装置であって、
    スイッチング素子を有し、直流電源と前記界磁巻線との間で電力変換を行うコンバータと、
    スイッチング素子を有し、前記直流電源と前記交流電機子巻線との間で電力変換を行うインバータと、
    前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路を流れる電流である第1母線電流を検出する第1母線電流検出回路と、
    前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路を流れる電流である第2母線電流を検出する第2母線電流検出回路と、
    前記コンバータのスイッチング素子をオンオフして、前記界磁巻線に電圧を印加するコンバータスイッチング制御部と、
    前記インバータのスイッチング素子をオンオフして、前記交流電機子巻線に電圧を印加するインバータスイッチング制御部と、
    前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出し、検出した前記第1母線電流及び前記第2母線電流に基づいて、前記界磁巻線に流れる電流である界磁電流及び前記交流電機子巻線を流れる電機子電流を算出する電流算出部と、
    を備え
    前記第1母線電流検出回路は、前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路であって、前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路と共通していない部分を流れる電流である前記第1母線電流を検出し、
    前記第2母線電流検出回路は、前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路であって、前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路と共通している部分を流れる電流である前記第2母線電流を検出する交流回転機の制御装置。
  2. 前記第1母線電流検出回路は、前記直流電源と前記コンバータとの間の接続経路であって、前記直流電源と前記インバータとの間の接続経路と共通していない部分を流れる電流である前記第1母線電流を検出し、
    前記電流算出部は、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、検出した前記第1母線電流に基づいて、前記界磁電流を算出する請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流のオフセットを検出する請求項2に記載の交流回転機の制御装置。
  4. 前記電流算出部は、前記コンバータスイッチング制御部が前記有効ベクトルの場合に検出した前記第1母線電流から、前記コンバータスイッチング制御部が前記零ベクトルの場合に検出した前記第1母線電流のオフセットを減算してオフセット調整後の第1母線電流を算出し、前記オフセット調整後の第1母線電流に基づいて、前記界磁電流を算出する請求項3に記載の交流回転機の制御装置。
  5. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出すると共に前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、検出した前記第2母線電流から前記第1母線電流を減算して、前記直流電源と前記インバータとの間を流れる電流であるインバータ電流を算出する請求項1から4のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  6. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流のオフセットを検出し、
    前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れる有効ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出すると共に前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、前記有効ベクトルの場合に検出した前記第1母線電流から前記第1母線電流のオフセットを減算して、オフセット調整後の第1母線電流を算出し、前記有効ベクトルの場合に検出した前記第2母線電流から、前記オフセット調整後の第1母線電流を減算して、前記直流電源と前記インバータとの間を流れる電流であるインバータ電流を算出する請求項1から4のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  7. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合であって、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流のオフセットを検出する請求項又はに記載の交流回転機の制御装置。
  8. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出すると共に前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、検出した前記第2母線電流から前記第1母線電流を減算して、前記第2母線電流のオフセットを算出する請求項又はに記載の交流回転機の制御装置。
  9. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流のオフセットを検出し、
    前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第2母線電流を検出すると共に前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流を検出し、検出した前記第2母線電流から、前記第1母線電流から前記第1母線電流のオフセットを減算した値を減算して、前記第2母線電流のオフセットを算出する請求項又はに記載の交流回転機の制御装置。
  10. 前記電流算出部は、インバータ電流から前記第2母線電流のオフセットを減算してオフセット調整後のインバータ電流を算出し、前記オフセット調整後のインバータ電流に基づいて、前記電機子電流を算出する請求項からのいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  11. 前記直流電源と前記インバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合に、前記第2母線電流検出回路の出力信号に基づいて検出された前記第2母線電流と、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて検出された前記第1母線電流とを比較して、前記第1母線電流検出回路及び前記第2母線電流検出回路の一方又は双方の異常を判定する異常判定部を更に備えた請求項から1のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  12. 前記インバータスイッチング制御部が前記零ベクトルの場合に検出された前記第1母線電流と、前記インバータスイッチング制御部が前記零ベクトルの場合に検出された前記第2母線電流から前記第2母線電流のオフセットを減算したオフセット調整後の第2母線電流とを比較して、前記第1母線電流検出回路及び前記第2母線電流検出回路の一方又は双方の異常を判定する異常判定部を更に備えた請求項から1のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  13. 前記電流算出部は、前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が零ベクトルの場合に、前記第1母線電流検出回路の出力信号に基づいて前記第1母線電流のオフセットを検出し、
    前記インバータスイッチング制御部が前記零ベクトルの場合に検出された前記第1母線電流から前記第1母線電流のオフセットを減算した値と、前記インバータスイッチング制御部が前記零ベクトルの場合に検出された前記第2母線電流から前記第2母線電流のオフセットを減算した値と、を比較して、前記第1母線電流検出回路及び前記第2母線電流検出回路の一方又は双方の異常を判定する異常判定部を更に備えた請求項から1のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  14. 前記コンバータは、前記直流電源の正極側に接続される正極側のパワー半導体と前記直流電源の負極側に接続される負極側のパワー半導体とが直列接続された直列回路を2組設け、第1組の前記直列回路における前記正極側のパワー半導体と前記負極側のパワー半導体との接続点が、前記界磁巻線の一端に接続され、第2組の前記直列回路における前記正極側のパワー半導体と前記負極側のパワー半導体との接続点が、前記界磁巻線の他端に接続され、少なくとも第1組の前記直列回路における前記正極側のパワー半導体及び第2組の前記直列回路における前記負極側のパワー半導体は、スイッチング素子である請求項1から1のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  15. 前記第1組の前記直列回路における前記負極側のパワー半導体は、スイッチング素子であり、
    前記コンバータスイッチング制御部は、
    前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れる有効ベクトルの場合は、第1組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオンにし、負極側のスイッチング素子をオフにすると共に、第2組の前記直列回路における負極側のスイッチング素子をオンにし、
    前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合は、第1組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオフにし、負極側のスイッチング素子をオンにすると共に、第2組の前記直列回路における負極側のスイッチング素子をオンにする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  16. 前記第2組の前記直列回路における正極側のパワー半導体は、スイッチング素子であって、
    前記コンバータスイッチング制御部は、
    前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れる有効ベクトルの場合は、第1組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオンにすると共に、第2組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオフにし、負極側のスイッチング素子をオンにし、
    前記直流電源と前記コンバータとの間で電流が流れない零ベクトルの場合は、第1組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオンにすると共に、第2組の前記直列回路における正極側のスイッチング素子をオンにし、負極側のスイッチング素子をオフにする請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  17. 前記交流回転機は、車両用の発電電動機である請求項1から16のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
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