JP7002625B1 - 交流回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オルタ発電制御からインバータ制御への切り替わり時に、インバータ制御の基本電圧指令値を適切に設定し、切り替え時に巻線電流の制御性が悪化することを抑制できる交流回転機の制御装置を提供する。【解決手段】今回及び過去の電流指令値、及び交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出し、基本電圧指令値に基づいて算出した電圧指令値に基づいて、複数のスイッチング素子をPWM制御によりオンオフするインバータ制御と、誘起電圧により発電を行わせる際に、ゼロオンモードとハイオンモードとローオンモードとを切り替えるオルタ発電制御と、を切り替えて実行し、オルタ発電制御からインバータ制御への切り替わり時に、今回の電流指令値、電流検出値、及び電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出する交流回転機の制御装置。【選択図】図2

Description

本願は、交流回転機の制御装置に関するものである。
ステータの電機子巻線に生じた誘起電圧により、交流回転機及びインバータに整流発電を行わせる際に、電流が流れるダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子をオンさせることで、発電効率を向上させ、素子の発熱を低減させるオルタ発電制御を行う技術が知られている。
特許文献1の技術では、電圧指令値に基づいて複数のスイッチング素子をPWM制御によりオンオフするインバータ制御を行う際に、電流指令値及び交流回転機の電気的定数に基づいて基本電圧指令値を算出し、基本電圧指令値に基づいて電圧指令値を算出している。
特許文献2の技術では、回転速度と要求出力とに基づいて、オルタ発電制御とインバータ制御とを切り替えを行い、車両用の交流回転機の高効率運転を行っている。
特許文献3の技術では、オルタ発電制御を行う際に、制御回路により、各相の巻線電流が0Aにクロスしたゼロクロス時点を検出し、ゼロクロス時点を基準に、スイッチング素子をオン又はオフしている。
国際公開第2015/068258号 特開2016-185026号公報 特開2011-135695号公報
特許文献1の技術では、オルタ発電制御からインバータ制御に切り替えたときの基本電圧指令値の設定について特に考慮されていない。基本電圧指令値が、今回及び過去の電流指令値に基づいて算出されるように構成される場合は、オルタ発電制御の実行中は、電流指令値が存在しないので、オルタ発電制御からインバータ制御に切り替えたときに、過去の電流指令値が存在しないことになり、基本電圧指令値を適切に算出できなくなる。
特許文献2の技術では、オルタ発電制御とインバータ制御との間で、巻線電流の振幅及び位相が異なるため、オルタ発電制御からインバータ制御への切り替え時に、巻線電流を高い応答性で制御しようとすると、巻線電流の挙動が過渡的に乱れる可能性がある。一方、応答性を低くすると、巻線電流の制御性が悪化する。
そこで、本願は、オルタ発電制御からインバータ制御への切り替わり時に、インバータ制御の基本電圧指令値を適切に設定し、切り替え時に巻線電流の制御性が悪化することを抑制できる交流回転機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る交流回転機の制御装置は、ロータと、複数相の電機子巻線を有するステータとを設けた交流回転機を、インバータを介して制御する交流回転機の制御装置であって、
前記インバータは、各相について、直流電源の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子と前記直流電源の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記電機子巻線に接続される直列回路を設け、前記スイッチング素子は、逆並列接続されたダイオードの機能を有し、
前記交流回転機の制御装置は、
今回及び過去の前記電機子巻線の電流指令値、及び前記交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出し、前記基本電圧指令値に基づいて、電圧指令値を算出し、前記電圧指令値に基づいて、複数の前記スイッチング素子をPWM制御によりオンオフするインバータ制御と、
複数相の前記電機子巻線に生じた誘起電圧により前記交流回転機に発電を行わせる際に、各相について、高電位側及び低電位側の前記スイッチング素子をオフするゼロオンモードと、高電位側の前記スイッチング素子をオンすると共に低電位側の前記スイッチング素子をオフするハイオンモードと、高電位側の前記スイッチング素子をオフすると共に低電位側の前記スイッチング素子をオンするローオンモードと、の切り替えを判定し、切り替えるオルタ発電制御と、
を切り替えて実行し、
前記オルタ発電制御から前記インバータ制御への切り替わり時に、過去の前記電流指令値に代えて電流検出値を用い、今回の前記電流指令値、前記電流検出値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出するものである。
本願に係る交流回転機の制御装置によれば、インバータ制御の通常時は、今回及び過去の電流指令値、及び交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値が算出されるので、交流回転機の特性、及び交流回転機の現在及び過去の電流及び電圧の状態を考慮した適切な基本電圧指令値を算出し、巻線電流を所望の応答性で制御できる。一方、オルタ発電制御の実行時は、電流指令値が演算されないため、オルタ発電制御からインバータ制御に切り替えたときに、基本電圧指令値の算出に用いる過去の電流指令値が存在しない。そのため、過去の電流指令値として、前回、インバータ制御を実行していた時の電流指令値、又は今回の電流指令値を用いることが考えられる。しかし、前回制御実行時の電流指令値又は今回の電流指令値には、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態とは異なっているため、適切な基本電圧指令値が算出されず、巻線電流を所望の応答性で制御できなくなる。本願に係る交流回転機の制御装置によれば、切り替え時に、過去の電流指令値に代えて電流検出値を用い、今回の電流指令値、電流検出値、及び電気的定数に基づいて、基本電圧指令値が算出される。電流検出値には、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態が表れているので、過去の電流指令値の代わりになり、適切な基本電圧指令値が算出され、巻線電流を所望の応答性で制御できる。よって、オルタ発電制御からインバータ制御への切り替わり時に、巻線電流の制御性が悪化することを抑制できる。
実施の形態1に係る交流回転機及び交流回転機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係るオルタ発電制御の実行時の巻線電流の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る図5の時刻t2aにおけるインバータの電流挙動を説明する図である。 実施の形態1に係るオルタ発電制御の実行時の制御タイミングを説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係るモード切り替え判定処理を説明するフローチャートである。 実施の形態1に係る車両用の発電電動機とされた交流回転機の模式図である。 実施の形態1に係るインバータ制御の実行時の制御タイミングを説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る鎖交磁束データを説明する図である。 実施の形態1に係るコンバータのスイッチング素子のオンオフ制御挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る制御装置の概略ブロック図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る交流回転機の制御装置11(以下、単に、制御装置11と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る交流回転機1、インバータ5、及び制御装置11の概略構成図である。
1-1.交流回転機1
交流回転機1は、ステータ18と、ステータ18の径方向内側に配置されたロータ14と、を備えている。交流回転機1は、界磁巻線型の同期回転機とされている。ステータ18の鉄心に、複数相の電機子巻線12が巻装されている。ロータ14の鉄心に界磁巻線4が巻装され、電磁石が設けられている。
本実施の形態では、複数相の電機子巻線12は、U相、V相、及びW相の3相の電機子巻線Cu、Cv、Cwとされている。3相の電機子巻線Cu、Cv、Cwは、スター結線とされてもよいし、デルタ結線とされてもよい。
ロータ14には、ロータ14の回転角度(回転角度)を検出する回転センサ15が設けられている。回転センサ15の出力信号は、制御装置11に入力される。回転センサ15には、ホール素子、レゾルバ、又はエンコーダ等の各種のセンサが用いられる。回転センサ15が設けられず、後述する電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-2.直流電源2
直流電源2は、インバータ5及びコンバータ9に直流電圧Vdcを出力する。直流電源2として、バッテリー、DC-DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等、直流電圧を出力する任意の機器が用いられる。直流電源2には、平滑コンデンサ3が並列接続されている。
1-3.インバータ5
インバータ5は、複数のスイッチング素子を有し、直流電源2と電機子巻線12との間で電力変換を行う。インバータ5は、各相について、直流電源2の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子SPと、直流電源2の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子SNと、が直列接続された直列回路を設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、対応する相の電機子巻線に接続される。3相各相の電機子巻線に対応して、3セットの直列回路が設けられている。
具体的には、U相の直列回路では、U相の高電位側のスイッチング素子SPuとU相の低電位側のスイッチング素子SNuとが直列接続され、2つのスイッチング素子SPu、SNuの接続点がU相の電機子巻線Cuに接続されている。V相の直列回路では、V相の高電位側のスイッチング素子SPvとV相の低電位側のスイッチング素子SNvとが直列接続され、2つのスイッチング素子SPv、SNvの接続点がV相の電機子巻線Cvに接続されている。W相の直列回路では、Wの高電位側のスイッチング素子SPwとW相の低電位側のスイッチング素子SNwとが直列接続され、2つのスイッチング素子SPw、SNwの接続点がW相の電機子巻線Cwに接続されている。
インバータ5の各スイッチング素子は、逆並列接続されたダイオードの機能を有している。例えば、各スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、逆並列接続された寄生ダイオードを有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置11に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御装置11から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
電機子電流センサ8は、各相の電機子巻線Cu、Cv、Cwに流れる電流を検出する電流検出回路である。本実施の形態では、電機子電流センサ8は、各相のスイッチング素子の直列回路と電機子巻線とをつなぐ電線上に備えられている。各相の電機子電流センサ8の出力信号は、制御装置11に入力される。電機子電流センサ8は、ホール素子、シャント抵抗等の電流センサとされている。なお、電機子電流センサ8は、各相のスイッチング素子の直列回路に直列接続されてもよい。
1-4.コンバータ9
コンバータ9は、スイッチング素子を有し、直流電源2と界磁巻線4との間で電力変換を行う。本実施の形態では、コンバータ9は、直流電源2の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子SPと直流電源2の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子SNとが直列接続された直列回路を2組設けたHブリッジ回路とされている。第1組の直列回路28における高電位側のスイッチング素子SP1と低電位側のスイッチング素子SN1との接続点が、界磁巻線4の一端に接続され、第2組の直列回路29における高電位側のスイッチング素子SP2と低電位側のスイッチング素子SN2との接続点が、界磁巻線4の他端に接続される。
コンバータ9のスイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、MOSFET等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置11に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御装置11から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
なお、第1組の直列回路28の低電位側のスイッチング素子SN1をダイオードに置き換えたり、第2組の直列回路29の高電位側のスイッチング素子SP2をダイオードに置き換えたりする等、コンバータ9を他の構成としてもよい。
界磁電流センサ6は、界磁巻線4を流れる電流である界磁電流Ifを検出する電流検出回路である。本実施の形態では、界磁電流センサ6は、界磁巻線4とコンバータ9とをつなぐ電線上に設けられている。界磁電流センサ6は、界磁電流Ifを検出可能な他の個所に設けられてもよい。界磁電流センサ6の出力信号は、制御装置11に入力される。界磁電流センサ6は、ホール素子、シャント抵抗等の電流センサとされている。
1-5.制御装置11
制御装置11は、インバータ5及びコンバータ9を介して、交流回転機1を制御する。制御装置11は、図2に示すように、回転検出部31、電機子電流検出部32、電機子巻線制御部33、界磁電流検出部34、及び界磁巻線制御部35等の機能部を備えている。制御装置11の各機能は、制御装置11が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置11は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び外部装置とデータ通信を行う通信回路94等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、回転センサ15、電機子電流センサ8、界磁電流センサ6等の各種のセンサ及びスイッチが接続され、これらセンサ及びスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、インバータ5及びコンバータ9のスイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。通信回路94は、外部装置と通信を行う。
そして、制御装置11が備える各制御部31~35等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置11の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~35等が用いる鎖交磁束データ等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置11の各機能について詳細に説明する。
回転検出部31は、電気角でのロータの磁極位置θ(ロータの回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、回転検出部31は、回転センサ15の出力信号に基づいて、ロータの磁極位置θ(回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。磁極位置は、ロータに設けられた電磁石のN極の向きに設定される。なお、回転検出部31は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
電機子電流検出部32は、電機子電流センサ8の出力信号に基づいて、3相の電機子巻線に流れる巻線電流Ius、Ivs、Iwsを検出する。ここで、Iusが、U相の巻線電流Iuの検出値であり、Ivsが、V相の巻線電流Ivの検出値であり、Iwsが、W相の巻線電流Iwの検出値である。なお、電機子電流センサ8が2相の巻線電流を検出するように構成され、残りの1相の巻線電流が、2相の巻線電流の検出値に基づいて算出されてもよい。例えば、電機子電流センサ8が、V相及びW相の巻線電流Ivs、Iwsを検出し、U相の巻線電流Iusが、Ius=-Ivs-Iwsにより算出されてもよい。
1-5-1.電機子巻線制御部33
電機子巻線制御部33は、後述するインバータ制御を行うインバータ制御部331と、後述するオルタ発電制御を行うオルタ発電制御部332と、後述する制動制御を行う制動制御部333と、インバータ制御とオルタ発電制御と制動制御との切り替えを行う制御切換部334と、を備えている。
1-5-1-1.制御切換部334
制御切換部334は、インバータ制御とオルタ発電制御と制動制御とのいずれを実行するか判定し、インバータ制御とオルタ発電制御と制動制御との切り替えを行う。例えば、制御切換部334は、外部の制御装置から、誘起電圧による発電制御の指令が伝達されている場合に、オルタ発電制御を実行すると判定し、オルタ発電制御部332にオルタ発電制御の実行を指令し、オルタ発電制御部332が生成した各スイッチング信号を、ゲート駆動回路を介して、インバータ5の各スイッチング素子のゲート端子に入力させ、各スイッチング素子をオン又はオフさせる。
制御切換部334は、外部の制御装置から、インバータ制御の指令が伝達されている場合に、インバータ制御を実行すると判定し、インバータ制御部331にインバータ制御の実行を指令し、インバータ制御部331が生成した各スイッチング信号を、ゲート駆動回路を介して、インバータ5の各スイッチング素子のゲート端子に入力させ、各スイッチング素子をオン又はオフさせる。
制御切換部334は、外部の制御装置又は制御装置内の判定部から、制動制御の指令が伝達されている場合に、制動制御を実行すると判定し、制動制御部333に制動制御の実行を指令し、制動制御部333が生成した各スイッチング信号を、ゲート駆動回路を介して、インバータ5の各スイッチング素子のゲート端子に入力させ、各スイッチング素子をオン又はオフさせる。
1-5-1-2.オルタ発電制御部332
<誘起電圧による発電>
インバータ5の全てのスイッチング素子をオフした状態で、各相について、ロータの回転により生じた電機子巻線の誘起電圧が、直流電源の高電位側の電圧を上回ると、電機子巻線から直流電源の高電位側に、高電位側のスイッチング素子の逆並列ダイオードを通って電流が流れる。一方、電機子巻線の誘起電圧が、直流電源の低電位側の電圧を下回ると、直流電源の低電位側から電機子巻線に、低電位側のスイッチング素子の逆並列ダイオードを通って電流が流れる。このように、回転により生じた電機子巻線の誘起電圧が、直流電源の高電位側の電圧を上回り、直流電源の低電位側の電圧を下回る状態になると、インバータ5は整流器として機能し、交流回転機が発生した交流電力を直流電力に整流して、直流電源に供給する。すなわち、3相の電機子巻線に生じた誘起電圧により、交流回転機が発電を行う。このような、ダイオードによる整流を、ダイオード整流という。
<同期整流>
ダイオードを電流が流れると、電力損失が大きいため、発熱量が大きくなる。そこで、誘起電圧によりダイオードを電流が流れるときに、ダイオードのスイッチング素子をオンすれば、ダイオードに代えてスイッチング素子を電流が流れるので、電力損失を低減し、発熱量を低減することができる。このようなスイッチング素子をオンする整流を、同期整流という。
例えば、図4に、誘起電圧による発電時の3相の電機子巻線を流れる3相の巻線電流Iu、Iv、Iwを示している。図4には、説明を簡単にするため、電気角1次成分のみの波形を示しているが、5次等の高調波成分を含んでいても同様のことがいえる。
<巻線電流に応じた同期整流>
図4の時刻t2aにおいて、インバータ5内を電流は図5のように流れる。時刻t2aでは、U相の巻線電流は正であり、同期整流を行わない場合はU相の低電位側のダイオードを電流が流れるため、U相の低電位側のスイッチング素子SNuをオンすることで、発熱量を低減できる。同様に、時刻t2aでは、V相の電流は負であり、V相の高電位側のダイオードを電流が流れるため、V相の高電位側のスイッチング素子SPvをオンすることで、発熱量を低減する。時刻t2aでは、W相の電流は正であり、W相の低電位側のダイオードを電流が流れるため、W相の低電位側のスイッチング素子SNwをオンすることで、発熱量を低減する。よって、同期整流では、各相について、誘起電圧によって発生する巻線電流が負の場合に、高電位側のスイッチング素子SPをオンし、低電位側のスイッチング素子SNをオフし、巻線電流が正の場合に、高電位側のスイッチング素子SPをオフし、低電位側のスイッチング素子SNをオンする。
<0A付近でのダイオード整流の実施>
一方、図4の時刻t6aでは、W相の巻線電流iwは負値ではあるが、0A付近である。W相の巻線電流の検出値Iwsには検出誤差が含まれるため、巻線電流Iwが負値であっても、巻線電流の検出値Iwsが正値になることがある。誤って、ダイオードが通電していない逆側のスイッチング素子がオンされると、誤ってオンされた逆側のスイッチング素子を電流が流れ、発電効率が低下する。また、0A付近では、ダイオードを電流が流れても発熱量は大きくならない。そのため、電流の検出誤差を考慮して、0A付近では、高電位側及び低電位側のスイッチング素子の双方をオフして、ダイオード整流を行い、誤って逆側のスイッチング素子がオンされないようにすることが考えられる。
また、特許文献3では、電流が0Aにクロスしたゼロクロス時点を連続的に検出し、ゼロクロス時点を基準に、スイッチング素子をオン又はオフしている。そのため、ゼロクロス時点を検出する専用の制御回路が必要になると考えられ、制御装置が大型化する。また、専用の制御回路を用いる場合は、状況に応じて閾値を変化させることは容易でなく、固定の閾値が用いられる。一方、本実施の形態では、後述するように、ゼロクロス時点を検出する専用の制御回路を設けることなく、インバータ制御と共通の制御装置により、第2制御周期Tc2ごとに電流を検出し、スイッチング素子がオン又はオフされるので、制御装置が大型化することを抑制できる。なお、ゼロクロス時点を検出する専用の制御回路が設けられ、ゼロクロス時点の検出結果に基づいて、オルタ発電制御が実行されてもよい。
<オルタ発電制御>
そこで、オルタ発電制御部332は、3相の電機子巻線に生じた誘起電圧により交流回転機に発電を行わせる際に、各相について、ゼロオンモードとハイオンモードとローオンモードとの切り替えを判定し、切り替えるオルタ発電制御を実行する。ゼロオンモードは、高電位側のスイッチング素子及び低電位側のスイッチング素子をオフするモードである。ハイオンモードは、高電位側のスイッチング素子をオンすると共に低電位側のスイッチング素子をオフするモードである。ローオンモードは、高電位側のスイッチング素子をオフすると共に低電位側の前記スイッチング素子をオンするモードである。本実施の形態では、モードの切り替え判定及び切り替えは、第2制御周期Tc2ごとに実行される。
この構成によれば、高電位側及び低電位側のスイッチング素子の双方がオフされるゼロオンモードに切り替えられるので、電流の検出誤差、及び制御周期による遅れが生じても、0A付近で、誤って、ダイオードが通電していない逆側のスイッチング素子がオンされることを抑制し、発電効率が低下することを抑制できる。
<制御タイミング>
図6に示すように、オルタ発電制御の実行時は、第2制御周期Tc2で振動する三角波のキャリア信号C2の山の頂点で、3相の巻線電流Ius、Ivs、Iwsが検出される。巻線電流の検出後、各相の巻線電流の検出値に基づいたゼロオンモード、ハイオンモード、及びローオンモードの切り替え判定処理が行われ、次のキャリア信号C2の谷の頂点で、切り替えの判定結果に基づいて、各スイッチング素子のスイッチング信号のオン又はオフの設定が更新され、更新されたオン又はオフの設定は、次の次のキャリア信号C2の谷の頂点まで保持される。
<巻線電流の検出値と判定値との比較による切り替え判定>
オルタ発電制御部332は、各相について、電機子巻線の巻線電流の検出値と判定値とを比較することで、ゼロオンモード、ハイオンモード、及びローオンモードの切り替えを判定する。本実施の形態では、オルタ発電制御部332は、各相について、電機子巻線の巻線電流の検出値が、0よりも大きい値に設定されたローオン判定値IthL以上である場合は、ローオンモードに切り替えると判定し、電機子巻線の巻線電流の検出値が、0よりも小さい値に設定されたハイオン判定値IthH以下である場合に、ハイオンモードに切り替えると判定し、電機子巻線の巻線電流の検出値が、ローオン判定値IthLより小さく、且つハイオン判定値IthHより大きい場合に、ゼロオンモードに切り替えると判定する。なお、オルタ発電制御部332は、各相について、巻線電流の検出値に基づいて、予測時間先の巻線電流の予測値を算出し、巻線電流の予測値と判定値とを比較することで、モードの切り替え判定を行ってもよい。
この構成によれば、各相について、電機子巻線の巻線電流の検出値が、ハイオン判定値IthHからローオン判定値IthLまでの範囲内である場合に、ゼロオンモードに設定され、ダイオード整流が行われるので、電流の検出誤差、及び制御周期による遅れが生じても、0A付近で、誤って、ダイオードが通電していない逆側のスイッチング素子がオンされることを抑制し、発電効率が低下することを抑制できる。
この切り替え判定処理を、図7に示すフローチャートのように構成できる。図7の判定処理は、3相の巻線電流の検出が行われた後、各相について実行される。ステップS130で、オルタ発電制御部332は、巻線電流の検出値がローオン判定値IthL以上であるか否かを判定し、ローオン判定値IthL以上である場合は、ステップS132に進み、ローオンモードに切り替えると判定し、ローオン判定値IthL以上でない場合は、ステップS131に進む。ステップS131で、オルタ発電制御部332は、巻線電流の検出値がハイオン判定値IthH以下であるか否かを判定し、ハイオン判定値IthH以下である場合は、ステップS133に進み、ハイオンモードに切り替えると判定し、ハイオン判定値IthH以下でない場合は、ステップS134に進み、ゼロオンモードに切り替えると判定する。各相の判定結果は、次のキャリア信号C2の谷の頂点でスイッチング信号の設定に反映される。
<ゼロオンモードによるデッドタイムの代替>
ここで、各相において、ローオンモードからハイオンモードに切り替える場合、及びハイオンモードからローオンモードに切り替える場合は、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子とが同時にオンにならないように、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子の双方をオフにするデッドタイムを設けることを考慮する必要がある。このデッドタイムは、ゼロオンモードと同じ状態である。上記の巻線電流の検出値に基づいた切り替え判定処理によれば、ハイオンモードとローオンモードとの切り替え間に、ゼロオンモードに切り替えられるので、デッドタイムの代わりになる。
オルタ発電制御部332は、ゼロオンモードからハイオンモード又はローオンモードへの切り替え、及びハイオンモード又はローオンモードからゼロオンモードへの切り替えは行うが、ハイオンモードからローオンモードへの切り替え及びローオンモードからハイオンモードへの切り替えは行わないように構成される。
<第2制御周期Tc2の設定>
第2制御周期Tc2は、第1制御周期Tc1よりも短い周期に設定されている。この構成によれば、回転速度の変動、界磁磁束の変化などの状態の変化により、巻線電流の挙動に変化があった場合においても、巻線電流の検出時点と、スイッチング素子のオンオフの時点との時間差を低減し、状態変化の影響を相対的に小さくするこができ、同期整流のタイミング設定の精度を向上させることができる。
インバータ制御では、電圧指令値の算出のための演算処理負荷が大きいが、オルタ発電制御では、電流指令値に基づいて切り替え判定を行う程度であるため、演算処理負荷が小さい。よって、第1制御周期Tc1でインバータ制御を実行可能な処理速度を有する演算処理装置において、第2制御周期Tc2を、第1制御周期Tc1よりも短くすることができる。よって、特許文献3のように、ゼロクロス時点を検出する専用の制御回路を設けることなく、インバータ制御と共通の制御装置により、オルタ発電制御を適切に実行することができる。
<車両の発電電動機として用いられる場合>
本実施の形態の交流回転機の制御装置を、車両用の発電電動機に使用する場合、図8のような構成となる。交流回転機1のロータの回転軸は、プーリ及びベルト機構101を介して、内燃機関100のクランク軸に連結されている。交流回転機1の回転軸は、内燃機関100及び変速装置102を介して車輪103に連結される。交流回転機1は、電動機として機能し、内燃機関100の補機として、車輪103の駆動力源となると共に、発電機として機能し、内燃機関100の回転を利用して発電を行う。交流回転機1は内燃機関100と接続されていることから、内燃機関100のイナーシャにより回転変動は緩やかなものとなるため、第2制御周期Tc2でオルタ発電制御を実施する際には回転変動の影響を小さくすることができる。
1-5-1-3.制動制御部333
制動制御部333は、全相の高電位側のスイッチング素子SPをオンすると共に、全相の低電位側のスイッチング素子SNをオフする、或いは、全相の高電位側のスイッチング素子SPをオフすると共に、全相の低電位側のスイッチング素子SNをオンする制動制御を実行する。
制動制御により、3相の電機子巻線の端子が相互に短絡され、3相の電機子巻線を電流が還流し、交流回転機は、負トルクを出力する。
1-5-1-4.インバータ制御部331
インバータ制御部331は、電圧指令値に基づいて、複数のスイッチング素子を第1制御周期Tc1でPWM制御(Pulse Width Modulation)によりオンオフするインバータ制御を実行する。
本実施の形態では、図2に示すように、インバータ制御部331は、電流指令値算出部331a、基本電圧算出部331b、電流座標変換部331c、電流制御部331d、電圧指令値算出部331e、電圧座標変換部331f、及びPWM制御部331gを備えている。
電流指令値算出部331aは、電流指令値を算出する。本実施の形態では、電流指令値算出部331aは、d軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoを算出する。例えば、電流指令値算出部331aは、公知の各種のベクトル制御を用い、トルク指令値To、回転角速度ω、及び直流電圧Vdcに基づいて、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを算出する。
基本電圧算出部331bは、基本電圧指令値を算出する。本実施の形態では、基本電圧算出部331bは、d軸の基本電圧指令値Vdoff、q軸の基本電圧指令値Vqoffを算出する。詳細は、後述する。
電流座標変換部331cは、3相の巻線電流の検出値Ius、Ivs、Iwsを、d軸及びq軸の回転座標系上のd軸電流の検出値Ids及びq軸電流の検出値Iqsに変換する。d軸及びq軸の回転座標系は、検出した磁極位置θの方向に定めたd軸及びd軸より電気角で90°進んだ方向に定めたq軸からなる2軸の回転座標であり、ロータの磁極位置θの回転に同期して回転する。具体的には、電機子電流検出部32は、3相の巻線電流の検出値Ius、Ivs、Iwsを、磁極位置θに基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸電流の検出値Ids及びq軸電流の検出値Iqsに変換する。
電流制御部331dは、巻線電流の検出値及び電流指令値に基づいて、フィードバック電圧指令値を算出する。例えば、電流制御部331dは、巻線電流の検出値が電流指令値に近づくように、フィードバック電圧指令値を変化させる。例えば、基本電圧算出部331bは、d軸電流の検出値Idsがd軸の電流指令値Idoに近づき、q軸電流の検出値Iqsがq軸の電流指令値Iqoに近づくように、比例積分制御等を行って、d軸のフィードバック電圧指令値Vdofb及びq軸のフィードバック電圧指令値Vqfbを算出するフィードバック制御を実行する。また、d軸電流とq軸電流の非干渉化のための公知のフィードフォワード制御が行われてもよい。
電圧指令値算出部331eは、基本電圧指令値に基づいて、電圧指令値を算出する。本実施の形態では、電圧指令値算出部331eは、基本電圧指令値とフィードバック電圧指令値とを加算して、電圧指令値を算出する。なお、電圧指令値算出部331eは、フィードバック電圧指令値を加算せずに、基本電圧指令値を電圧指令値として算出してもよい。
電圧指令値算出部331eは、d軸の基本電圧指令値Vdoffとd軸のフィードバック電圧指令値Vdofbとを加算して、d軸の電圧指令値Vdoを算出し、q軸の基本電圧指令値Vqoffとq軸のフィードバック電圧指令値Vqofbとを加算して、q軸の電圧指令値Vqoを算出する。
電圧座標変換部331fは、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、磁極位置θに基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに変換する。なお、電圧座標変換部331fは、3相の電圧指令値に対して、2相変調、空間ベクトル変調等の線間電圧が変化しないような変調を加えてもよい。
PWM制御部331gは、電圧指令値に基づいて、第1制御周期Tc1でPWM制御によりインバータ5の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。本実施の形態では、図9に示すように、PWM制御部331gは、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoのそれぞれと第1制御周期Tc1で振動するキャリア信号C1とを比較することにより、複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。キャリア信号C1は、第1制御周期Tc1で0を中心に電源電圧の半分値Vdc/2の振幅で振動する三角波とされている。直流電圧Vdcは、電圧センサにより検出されてもよい。
PWM制御部331gは、各相について、キャリア信号C1が電圧指令値を下回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号QPをオン(本例では、1)して、高電位側のスイッチング素子をオンし、キャリア信号C1が電圧指令値を上回った場合は、高電位側のスイッチング素子のスイッチング信号QPをオフ(本例では、0)して、高電位側のスイッチング素子をオフする。一方、PWM制御部331gは、各相について、キャリア信号C1が電圧指令値を下回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号QNをオフ(本例では、0)して、低電位側のスイッチング素子をオフして、低電位側のスイッチング素子をオフし、キャリア信号C1が電圧指令値を上回った場合は、低電位側のスイッチング素子のスイッチング信号QNをオン(本例では、1)して、低電位側のスイッチング素子をオンする。なお、各相について、高電位側のスイッチング素子のオン期間と低電位側のスイッチング素子のオン期間との間には、高電位側及び低電位側のスイッチング素子の双方をオフにする短絡防止期間(デッドタイム)が設けられてもよい。
図9に示すように、インバータ制御の実行時は、第1制御周期Tc1で振動するキャリア信号C1の山の頂点で、3相の巻線電流Ius、Ivs、Iwsが検出される。巻線電流の検出後、インバータ制御部331の各部において、巻線電流の検出値に基づいた3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoの算出処理が行われ、次のキャリア信号C1の谷の頂点で、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoが更新され、PWM制御に反映される。なお、次のキャリア信号C1の谷の頂点までに、電圧指令値の算出処理が終了しない場合は、次の次のキャリア信号C1の谷の頂点で、電圧指令値が更新されればよい。
第1制御周期Tc1は、インバータ制御が実行される最大回転速度において、電流リプルに含まれる第1制御周期の成分を許容できる制御周期の最大値以下に設定されればよい。例えば、第1制御周期Tc1は、10kHzの逆数に設定される。
1-5-1-4-1.基本電圧算出部331b
基本電圧算出部331bの詳細について説明する。まず、基本電圧指令値の算出方法について説明する。
交流回転機1の電圧方程式は、式(1)のようになる。
Figure 0007002625000002
ここで、Vdは、d軸の印加電圧であり、Vqは、q軸の印加電圧であり、sはラプラス演算子であり、Rは巻線抵抗であり、ψはロータ磁石による鎖交磁束であり、界磁電流Ifに応じて変化し、Ldはd軸インダクタンスであり、Lqはq軸インダクタンスである。
式(1)を用いた式(2)により、d軸及びq軸の電流Id、Iqがd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに一致するように、フィードフォワード的にd軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを変化させるd軸及びq軸の基本電圧指令値Vdoff、Vqoffを、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに基づいて算出することができる。ここで、R+sLdの項が、印加電圧から電流までの一次遅れを打ち消す一次進み処理である。
Figure 0007002625000003
第1制御周期Tc1で演算するために、式(2)を離散化すると式(3)を得る。微分演算の項が、離散化されている。
Figure 0007002625000004
ここで、(n)は、今回の演算タイミングにおいて算出された値であることを示し、(n-1)は、前回の演算タイミングにおいて算出された値であることを示す。式(3)において、巻線抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、及びロータの鎖交磁束ψ等の交流回転機の電気的定数が用いられている。なお、離散化の方法により、式(3)から変形されてもよい。
よって、基本電圧算出部331bは、今回及び過去の電流指令値、及び交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出する。例えば、基本電圧算出部331bは、式(3)を用い、今回及び前回の演算タイミングのd軸の電流指令値Ido(n)、Ido(n-1)、今回及び前回の演算タイミングのq軸の電流指令値Iqo(n)、Iqo(n-1)、電気的定数(巻線抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、及びロータの鎖交磁束ψ)、回転角速度ω、及び第1制御周期Tc1に基づいて、今回の演算タイミングのd軸及びq軸の基本電圧指令値Vdoff(n)、Vqoff(n)を算出する。
なお、本実施の形態では、基本電圧算出部331bは、図10に示すような、界磁電流Ifとロータの鎖交磁束ψとの関係が予め設定された鎖交磁束データを参照し、界磁電流検出値Ifsに対応するロータの鎖交磁束ψを算出する。
<オルタ発電制御又は制動制御からの切り替え時>
オルタ発電制御又は制動制御の実行時は、電流指令値が演算されないため、オルタ発電制御又は制動制御からインバータ制御に切り替えたときに、基本電圧指令値の算出に用いる過去の電流指令値が存在しない。そのため、過去の電流指令値として、前回、インバータ制御を実行していた時の電流指令値、又は今回の電流指令値を用いることが考えられる。しかし、前回、インバータ制御の実行時の電流指令値を用いると、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態とは異なっており、不適切な、基本電圧指令値が算出されてしまう。また、今回の電流指令値を用いると、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態が、基本電圧指令値の算出に反映されず、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態から、今回の電流指令値の状態になるように、基本電圧指令値を、一次進み処理によりフィードフォワード的に変化させる機能がなくってしまう。例えば、オルタ発電制御又は制動制御の実行時の電流値と、今回の電流指令値とに、ステップ的な差がある場合でも、基本電圧指令値の算出において一次進み処理が働かず、電流指令値への電流値の追従が、インダクタンス及び巻線抵抗による一次遅れにより遅れてしまう。
そこで、オルタ発電制御又は制動制御からインバータ制御への切り替わり時に、基本電圧算出部331bは、過去の電流指令値に代えて電流検出値を用い、今回の電流指令値、電流検出値、及び電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出する。例えば、基本電圧算出部331bは、式(4)を用い、今回の演算タイミングのd軸の電流指令値Ido(n)、今回の演算タイミングのd軸の電流検出値Ids(n)、今回の演算タイミングのq軸の電流指令値Iqo(n)、今回の演算タイミングのq軸の電流検出値Iqs(n)、電気的定数(巻線抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、及びロータの鎖交磁束ψ)、回転角速度ω、及び第1制御周期Tc1に基づいて、d軸及びq軸の基本電圧指令値Vdoff、Vqoffを算出する。
Figure 0007002625000005
この構成によれば、切り替え時に、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態を、基本電圧指令値の算出に反映させることができ、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態から、今回の電流指令値の状態になるように、基本電圧指令値を、一次進み処理によりフィードフォワード的に変化させる機能を働かせることができる。例えば、オルタ発電制御又は制動制御の実行時の電流値と、今回の電流指令値とに、ステップ的な差がある場合でも、基本電圧指令値の算出において一次進み処理を働かせ、インダクタンス及び巻線抵抗による一次遅れを打ち消して、電流値を電流指令値に良好に追従させることができる。
1-5-2.界磁巻線制御部35
界磁電流検出部34は、界磁電流センサ6の出力信号に基づいて、界磁巻線4に流れる電流である界磁電流Ifsを検出する。ここで、Ifsは、界磁電流Ifの検出値である。
界磁巻線制御部35は、界磁電流の検出値Ifsが界磁電流指令値Ifoに近づくように、界磁電流指令値Ifoと界磁電流の検出値Ifsとの偏差ΔIfに対して比例積分制御を行って、界磁電圧指令値Vfを算出し、界磁電圧指令値Vfに基づいて、界磁巻線4に電圧を印加する。
本実施の形態では、図2に示すように、界磁巻線制御部35は、電流指令値算出部351、電圧指令値算出部352、及びPWM制御部353を備えている。
電流指令値算出部351は、界磁電流指令値Ifoを設定する。例えば、インバータ制御の実行時には、電流指令値算出部351は、トルク指令値To等に基づいて、界磁電流指令値Ifoを設定する。オルタ発電制御の実行時は、電流指令値算出部351は、直流電圧Vdcが目標電圧に近づくように、界磁電流指令値Ifoを変化させる。制動制御の実行時は、電流指令値算出部351は、界磁電流指令値Ifoを所定値に設定する。
そして、電圧指令値算出部352は、界磁電流指令値Ifoと界磁電流の検出値Ifsとの偏差に対して比例積分制御を行って、界磁電圧指令値Vfを算出する。
PWM制御部353は、界磁電圧指令値Vfに基づいて、PWM制御によりコンバータ9の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。
例えば、図11に示すように、PWM制御部353は、界磁電圧指令値Vfと、界磁制御周期Tsfで振動する界磁キャリア信号Cfとを比較することにより、複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。界磁キャリア信号Cfは、界磁制御周期Tsfで-1×直流電圧Vdcから直流電圧Vdcの間を振動する三角波とされている。直流電圧Vdcは、電圧センサにより検出されてもよい。
PWM制御部353は、界磁キャリア信号Cfが界磁電圧指令値Vfを下回った場合は、第1組の高電位側のスイッチング素子SP1のスイッチング信号QP1をオン(本例では、1)し、第1組の低電位側のスイッチング素子SN1のスイッチング信号QN1をオフ(本例では、0)し、第2組の高電位側のスイッチング素子SP2のスイッチング信号QP2をオフ(0)し、第2組の低電位側のスイッチング素子SN2のスイッチング信号QN2をオン(1)する。
一方、PWM制御部353は、界磁キャリア信号Cfが界磁電圧指令値Vfを上回った場合は、第1組の高電位側のスイッチング信号QP1をオフ(0)し、第1組の低電位側のスイッチング信号QN1をオン(1)し、第2組の高電位側のスイッチング信号QP2をオン(1)し、第2組の低電位側のスイッチング信号QN2をオフ(0)する。なお、各組について、高電位側のスイッチング素子のオン期間と低電位側のスイッチング素子のオン期間との間には、正極側及び低電位側のスイッチング素子の双方をオフにする短絡防止期間(デッドタイム)が設けられてもよい。
また、界磁巻線の電流方向を変化させる必要がない場合は、第2組の高電位側のスイッチング信号QP2を常時オフしてもよく、第1組の低電位側のスイッチング信号QN1を常時オフしてもよい。界磁巻線のインダクタンスは、多くの場合において電機子巻線のインダクタンスより大きいため、オルタ発電制御時の第2制御周期Tc2の間の界磁電流の変動は小さい上、界磁磁束を直接変化させることが可能なため、オルタ発電制御に好適である。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る交流回転機1及び制御装置11について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置11の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、電流指令値に目標応答の遅れ処理が行われる点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、図12に示すように、インバータ制御部331は、目標応答処理部331hを備えている。目標応答処理部331hは、電流指令値算出部331aが算出した電流指令値に対して、目標応答の遅れ処理を行って、目標応答処理後の電流指令値を算出する。
例えば、目標応答処理部331hは、目標応答の遅れ処理として、一次遅れ処理を行う。次式に示すように、目標応答処理部331hは、d軸の電流指令値Idoに対して一次遅れ処理を行って、d軸の目標応答処理後の電流指令値Idorを算出し、q軸の電流指令値Iqoに対して一次遅れ処理を行って、q軸の目標応答処理後の電流指令値Iqorを算出する。ここで、Tccは、目標応答の時定数である。なお、一次遅れ処理の代わりに、他のフィルタ処理が用いられてもよい。
Figure 0007002625000006
式(5)は連続系で表しているが、第1制御周期Tc1で演算するために、後退差分を用いて式(5)を離散化すると式(6)を得る。ここで、Kfは、1未満に設定されたフィルタ係数である。なお、後退差分の代わりに双一次変換等の他の変換手法が用いられてもよい。
Figure 0007002625000007
よって、通常時は、目標応答処理部331hは、今回の電流指令値、過去の目標応答処理後の電流指令値に基づいて、目標応答処理後の電流指令値を算出する。ここで、過去の目標応答処理後の電流指令値は、過去の電流指令値に基づいて算出されるので、目標応答処理部331hは、今回及び過去の電流指令値に基づいて、目標応答処理後の電流指令値を算出することになる。
例えば、式(6)を用い、目標応答処理部331hは、今回の演算タイミングのd軸の電流指令値Ido(n)、及び前回の演算タイミングのd軸の目標応答処理後の電流指令値Idor(n-1)に基づいて、今回の演算タイミングのd軸の目標応答処理後の電流指令値Idor(n)を算出し、今回の演算タイミングのq軸の電流指令値Iqo(n)、及び前回の演算タイミングのq軸の目標応答処理後の電流指令値Iqor(n-1)に基づいて、今回の演算タイミングのq軸の目標応答処理後の電流指令値Iqor(n)を算出する。
基本電圧算出部331b及び電流制御部331dは、実施の形態1の電流指令値に代えて、目標応答処理後の電流指令値を用いて、電圧指令値を算出する。
d軸及びq軸の基本電圧指令値Vdoff、Vqoffを算出する実施の形態1の連続系の式(2)は、本実施の形態では、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoをd軸及びq軸の目標応答処理後の電流指令値Idor、Iqorに代替することにより、式(7)のようになる。
Figure 0007002625000008
式(7)に、式(5)を代入して整理すると、式(8)を得る。
Figure 0007002625000009
式(8)からわかるように、電流指令値及び目標応答処理後の電流指令値により、基本電圧指令値を表現すると、式(2)と異なり微分項がなくなるため、式(9)に示すように、式(8)を離散化しても同等の式になる。
Figure 0007002625000010
よって、通常時は、基本電圧算出部331bは、今回の電流指令値、今回の目標応答処理後の電流指令値、及び交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出する。例えば、基本電圧算出部331bは、式(9)を用い、今回の演算タイミングのd軸の電流指令値Ido(n)、今回の演算タイミングの目標応答処理後のd軸の電流指令値Idor(n)、今回の演算タイミングのq軸の電流指令値Iqo(n)、今回の演算タイミングの目標応答処理後のq軸の電流指令値Iqor(n)、電気的定数(巻線抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、及びロータの鎖交磁束ψ)、回転角速度ω、及び目標応答の時定数Tccに基づいて、今回の演算タイミングのd軸及びq軸の基本電圧指令値Vdoff(n)、Vqoff(n)を算出する。
<オルタ発電制御又は制動制御からの切り替え時>
オルタ発電制御又は制動制御の実行時は、電流指令値及び目標応答処理後の電流指令値が演算されないため、オルタ発電制御又は制動制御からインバータ制御に切り替えたときに、目標応答処理後の電流指令値に算出に用いる過去の目標応答処理後の電流指令値が存在しない。そのため、過去の目標応答処理後の電流指令値として、前回、インバータ制御を実行していた時の目標応答処理後の電流指令値、又は今回の電流指令値を用いることが考えられる。しかし、前回、インバータ制御の実行時の目標応答処理後の電流指令値を用いると、現在の交流回転機の電流及び電圧の状態とは異なっており、不適切な、目標応答処理後の電流指令値及び基本電圧指令値が算出されてしまう。また、今回の電流指令値を用いると、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態が、目標応答処理後の電流指令値の算出に反映されず、目標応答処理後の電流指令値が今回の電流指令値に設定され、目標応答の遅れ処理を行って、電流指令値の変化を目標応答にする機能、及び基本電圧指令値を一次進み処理によりフィードフォワード的に変化させる機能がなくってしまう。例えば、オルタ発電制御又は制動制御の実行時の電流値と、今回の電流指令値とに、ステップ的な差がある場合でも、目標応答処理後の電流指令値の算出において、目標応答の遅れ処理が働かず、また、目標応答の算出において一次進み処理が働かず、電流値の変化を目標応答にすることができない。
そこで、オルタ発電制御又は制動制御からインバータ制御への切り替わり時に、目標応答処理部331hは、今回の電流指令値、電流検出値に基づいて、目標応答処理後の電流指令値を算出する。例えば、式(10)を用い、目標応答処理部331hは、今回の演算タイミングのd軸の電流指令値Ido(n)、及び今回の演算タイミングのd軸の電流検出値Ids(n)に基づいて、今回の演算タイミングのd軸の目標応答処理後の電流指令値Idor(n)を算出し、今回の演算タイミングのq軸の電流指令値Iqo(n)、及び今回の演算タイミングのq軸の電流検出値Iqs(n)に基づいて、今回の演算タイミングのq軸の目標応答処理後の電流指令値Iqor(n)を算出する。
Figure 0007002625000011
この構成によれば、現在及び過去の交流回転機の電流及び電圧の状態を、目標応答処理後の電流指令値の算出に反映されることができ、電流値の変化を目標応答にする機能、及び基本電圧指令値を一次進み処理によりフィードフォワード的に変化させる機能を働かせることができる。例えば、オルタ発電制御又は制動制御の実行時の電流値と、今回の電流指令値とに、ステップ的な差がある場合でも、目標応答処理後の電流指令値の算出において、目標応答の遅れ処理を働かせ、また、基本電圧指令値の算出において一次進み処理を働かせ、電流値の変化を目標応答にすることができる。
インバータ制御への切り替わり時は、基本電圧算出部331bは、式(10)により算出された目標応答処理後の電流指令値を用い、式(9)により基本電圧指令値を算出する。すなわち、インバータ制御への切り替わり時は、基本電圧算出部331bは、今回の電流指令値、今回の目標応答処理後の電流指令値、及び電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出する。
式(10)を式(9)に代入して整理すると、式(11)になる。
Figure 0007002625000012
よって、別の表現をすると、インバータ制御への切り替わり時は、基本電圧算出部331bは、今回の電流指令値、電流検出値、及び電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出することになる。
<転用例>
(1)上記の各実施の形態では、交流回転機は、車両用の発電電動機である場合を例に説明した。しかし、交流回転電機は、車両以外の各種の装置の駆動力源に用いられてもよい。
(2)上記の各実施の形態では、界磁巻線式の交流回転機を例として説明した。しかし、交流回転機は、永久磁石式の交流回転機とされてもよい。
(3)上記の各実施の形態では、電機子巻線制御部33は、インバータ制御とオルタ発電制御と制動制御とを切り替えて実行する場合を例として説明した。しかし、電機子巻線制御部33は、オルタ発電制御を実行せずに、インバータ制御と制動制御とを切り替えて実行してもよく、或いは、制動制御を実行せずに、インバータ制御とオルタ発電制御とを切り替えて実行してもよい。
(4)上記の各実施の形態では、3相の巻線が設けられる場合を例として説明した。しかし、巻線の相数は、複数相であれば、2相、4相等の任意の数に設定されてもよい。
(5)上記の各実施の形態では、1組の3相の巻線及びインバータが設けられる場合を例として説明した。しかし、2組以上の複数相巻線及びインバータが設けられ、各組の複数相巻線及びインバータに対して、各実施の形態と同様の制御が行われてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 交流回転機、2 直流電源、4 界磁巻線、5 インバータ、11 交流回転機の制御装置、12 電機子巻線、14 ロータ、18 ステータ

Claims (10)

  1. ロータと、複数相の電機子巻線を有するステータとを設けた交流回転機を、インバータを介して制御する交流回転機の制御装置であって、
    前記インバータは、各相について、直流電源の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子と前記直流電源の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記電機子巻線に接続される直列回路を設け、前記スイッチング素子は、逆並列接続されたダイオードの機能を有し、
    前記交流回転機の制御装置は、
    今回及び過去の前記電機子巻線の電流指令値、及び前記交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出し、前記基本電圧指令値に基づいて、電圧指令値を算出し、前記電圧指令値に基づいて、複数の前記スイッチング素子をPWM制御によりオンオフするインバータ制御と、
    複数相の前記電機子巻線に生じた誘起電圧により前記交流回転機に発電を行わせる際に、各相について、高電位側及び低電位側の前記スイッチング素子をオフするゼロオンモードと、高電位側の前記スイッチング素子をオンすると共に低電位側の前記スイッチング素子をオフするハイオンモードと、高電位側の前記スイッチング素子をオフすると共に低電位側の前記スイッチング素子をオンするローオンモードと、の切り替えを判定し、切り替えるオルタ発電制御と、
    を切り替えて実行し、
    前記オルタ発電制御から前記インバータ制御への切り替わり時に、過去の前記電流指令値に代えて電流検出値を用い、今回の前記電流指令値、前記電流検出値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出する交流回転機の制御装置。
  2. 前記インバータ制御において、第1制御周期でPWM制御を実行し、
    前記オルタ発電制御において、前記第1制御周期よりも短い第2制御周期で、前記ゼロオンモード、前記ハイオンモード、及び前記ローオンモードの切り替えを実行する請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. ロータと、複数相の電機子巻線を有するステータとを設けた交流回転機を、インバータを介して制御する交流回転機の制御装置であって、
    前記インバータは、各相について、直流電源の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子と前記直流電源の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記電機子巻線に接続される直列回路を設け、前記スイッチング素子は、逆並列接続されたダイオードの機能を有し、
    前記交流回転機の制御装置は、
    今回及び過去の前記電機子巻線の電流指令値、及び前記交流回転機の電気的定数に基づいて、基本電圧指令値を算出し、前記基本電圧指令値に基づいて、電圧指令値を算出し、前記電圧指令値に基づいて、複数の前記スイッチング素子をPWM制御によりオンオフするインバータ制御と、
    全相の前記高電位側のスイッチング素子をオンすると共に、全相の前記低電位側のスイッチング素子をオフする、或いは、全相の前記高電位側のスイッチング素子をオフすると共に、全相の前記低電位側のスイッチング素子をオンする制動制御と、
    を切り替えて実行し、
    前記制動制御から前記インバータ制御への切り替わり時に、過去の前記電流指令値に代えて電流検出値を用い、今回の前記電流指令値、前記電流検出値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出する交流回転機の制御装置。
  4. 前記ロータは、界磁巻線を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  5. 前記電流指令値、及び前記電機子巻線の電流検出値に基づいて、フィードバック電圧指令値を算出し、前記基本電圧指令値及び前記フィードバック電圧指令値に基づいて、前記電圧指令値を算出する請求項1から4のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  6. 前記電流指令値に対して目標応答の遅れ処理を行って、目標応答処理後の電流指令値を算出し、
    今回の前記電流指令値、今回の前記目標応答処理後の電流指令値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出し、
    前記インバータ制御への切り替わり時に、今回の前記電流指令値、前記電流検出値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出する請求項1から5のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
  7. 前記目標応答の遅れ処理では、切り替わり時以外は、今回及び過去の前記電流指令値に基づいて、今回の前記目標応答処理後の電流指令値を算出し、
    前記インバータ制御への切り替わり時に、今回の前記電流指令値、及び前記電流検出値に基づいて、今回の前記目標応答処理後の電流指令値を算出し、今回の前記電流指令値、及び今回の前記目標応答処理後の電流指令値、及び前記電気的定数に基づいて、前記基本電圧指令値を算出する請求項6に記載の交流回転機の制御装置。
  8. 前記目標応答の遅れ処理は、一次遅れ処理である請求項6又は7に記載の交流回転機の制御装置。
  9. 前記目標応答の遅れ処理では、切り替わり時以外は、今回の前記電流指令値に、1未満のフィルタ係数を乗算した値と、前回の前記目標応答処理後の電流指令値に、1から前記フィルタ係数を減算した値を乗算した値と、を合計した値を、今回の前記目標応答処理後の電流指令値として算出し、
    前記インバータ制御への切り替わり時に、今回の前記電流指令値に、前記フィルタ係数を乗算した値と、前記電流検出値に、1から前記フィルタ係数を減算した値を乗算した値と、を合計した値を、今回の前記目標応答処理後の電流指令値として算出する請求項7又は8に記載の交流回転機の制御装置。
  10. 前記交流回転機は、車両用の発電電動機である請求項1から9のいずれか一項に記載の交流回転機の制御装置。
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