JP6384355B2 - Srモータの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、SRモータの制御装置に関する。
従来、SR(Switched Reluctance)モータの制御として、トルクのフィードフォワード制御を行っていた。具体的には、トルク指令値及び回転子位置に対するSRモータの通電開始角及び通電終了角のマップを予め作成し、マップに基づいたトルクのフィードフォワード制御を行っていた。しかしながら、この制御では、直流電源の電圧変動等の外乱の影響を受けやすいという問題があった。
そこで、特許文献1に記載のSRモータの制御装置では、トルク指令値及び回転速度に対する電流指令値のマップを予め用意し、用意したマップを参照して電流指令値を算出し、実電流を電流指令値に近づけるようにフィードバック制御を行っている。
特許第4403781号公報
特許文献1に記載の制御装置では、高速駆動域において、逆起電圧の上昇に伴い巻線の印加電圧が飽和すると、電圧振幅の操作ができなくなり、最高出力が出せなくなるという問題がある。また、巻線の印加電圧が飽和すると弱め界磁制御を実施しなければならず、電流の指令値の設定が困難になるという問題もある。
本発明は、上記実情に鑑み、高速駆動域においても、高精度にSRモータを制御可能なSRモータの制御装置を提供することを主たる目的とする。
請求項1に記載の発明は、上記課題を解決するため、SRモータに電圧を印加する電力変換回路を、指令電圧に基づいて操作するSRモータの制御装置であって、前記SRモータに対する前記指令電圧の通電開始角から通電終了角までの間隔である通電幅を設定する幅設定手段と、前記指令電圧の電圧振幅を設定する振幅設定手段と、を含み、前記幅設定手段により設定された前記通電幅、及び前記振幅設定手段により設定された前記電圧振幅を有する前記指令電圧について、基準位置に対する前記通電開始角のずれを表す電圧位相を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第1トルク制御手段を備える。
請求項1に記載の発明によれば、設定された電圧振幅及び通電幅の指令電圧において、電圧位相が操作されることにより、SRモータの実トルクが指令トルクに制御される。本発明者は、電圧位相とトルクとの間に正の相関があることに着目し、電圧位相を操作することによりトルクを制御できることを見出した。そのため、設定された電圧振幅及び通電幅の指令電圧において、電圧位相が操作されることにより、SRモータの実トルクを指令トルクに制御できる。そして、指令電圧の電圧振幅を固定して電圧位相を操作するため、高速駆動域においても電圧飽和の影響を受けない。さらに、実トルクが指令トルクとなるようにSRモータに印加する電圧を直接操作するため、電流の指令値を必要としない。よって、高速駆動域においても、高い精度でSRモータを制御することができる。
また、請求項2に記載の発明は、SRモータに電圧を印加する電力変換回路を、指令電圧に基づいて操作するSRモータの制御装置であって、前記SRモータに対する指令トルクに基づいて、前記SRモータに対する指令電流を算出する指令電流算出手段を含み、前記SRモータを流れる実電流を、前記指令電流算出手段により算出された前記指令電流に制御する電流ベクトル制御手段と、前記SRモータに対する指令電圧の通電開始角から通電終了角までの間隔である通電幅を設定する幅設定手段と、前記指令電圧の電圧振幅を設定する振幅設定手段と、を含み、前記幅設定手段により設定された前記通電幅、及び前記振幅設定手段により設定された前記電圧振幅を有する前記指令電圧について、基準位置に対する前記通電開始角のずれを表す電圧位相を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第1トルク制御手段と、前記SRモータに対する指令電圧が前記電力変換回路の入力電圧よりも小さい駆動域において、前記電流ベクトル制御手段による制御を実施し、前記SRモータに対する指令電圧が前記電力変換回路の入力電圧よりも大きい駆動域において、前記第1トルク制御手段による制御を実施する選択手段と、を備える。
請求項2に記載の発明によれば、指令電圧が入力電圧よりも小さい低速駆動域では、低速駆動域で高精度に電流を制御できる電流ベクトル制御により、SRモータに流れる電流がフィードバック制御される。また、指令電圧が入力電圧よりも高い高速駆動域では、高速駆動域で高精度にトルクを制御できる指令電圧の電圧位相の操作により、トルクがフィードバック制御される。よって、低速駆動域から高速駆動域まで、高精度にモータを制御することができる。
SRモータの構成を示す断面図。 SRモータを駆動するインバータの構成を示す図。 SRモータを制御する制御ブロック図。 電圧位相とトルクとの相関関係を示す図。 PWM処理後の指令電圧を示す図。 PWM処理後の指令電圧を示す図。 PWM処理後の指令電圧を示す図。 PWM処理後の指令電圧を示す図。 トルクを推定する制御ブロック図。 零相電圧とトルクとの相関関係を示す図。 非干渉制御により指令電圧を生成する制御ブロック図、及び、SRモータのモータモデルを表すブロック図。 電流ベクトル制御及び電圧位相制御による(a)実トルク、及び(b)実電流を示す図。 電流ベクトル制御及び電圧位相制御による(a)実トルク、及び(b)実電流を示す図。 電流ベクトル制御、電圧位相制御及び零相電圧制御による(a)実トルク、及び(b)実電流を示す図。 他の実施形態に係るトルク推定の制御ブロック図。 他の実施形態に係る電流ベクトル制御系の制御ブロック図。 高調波指令電圧を生成する制御ブロック図。
以下、SRモータの制御装置を具現化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、SRモータは、ハイブリッド車両に搭載された主機モータを想定している。
まず、本実施形態に係るSRモータ20の構成について、図1を参照して説明する。SRモータ20は、径方向に突出する4個の突極21aを有する回転子21と、突極21aと対向する6個の突極22aを有する筒状の固定子22と、固定子22の突極22aに巻回された巻線23〜25と、を有する3相モータとして構成されている。回転子21と固定子22とは、同軸上に配置されている。巻線23,24,25は、それぞれU相、V相、W相を構成している。
次に、SRモータ20の制御に用いられるインバータ10(電力変換回路)について、図2を参照して説明する。インバータ10は、電圧Vdcの直流電源15から入力された入力電力を3相電力に変換して、SRモータ20へ供給する回路である。インバータ10は、U相の電力変換回路、V相の電力変換回路、及びW相の電力変換回路が互いに並列に接続されて構成されている。各相の電力変換回路は同様の構成をしているため、以下、U相の電力変換回路について代表して説明する。
U相の電力変換回路は、スイッチング素子S1u,S2u、及びダイオードD1u〜D4uを含む。スイッチング素子S1u,S2uとしては、IGBTやMOSFET等を採用できる。スイッチング素子S1uは、ダイオードD2uのカソードに直列に接続されている。また、スイッチング素子S2uは、ダイオードD3uのアノードに直列に接続されている。スイッチング素子S1u,S2uには、それぞれダイオードD1u,D4uが並列に接続されている。そして、スイッチング素子S1u及びダイオードD2uの接続点と、スイッチング素子S2u及びダイオードD3uの接続点との間に、巻線23が接続されている。すなわち、U相の電力変換回路は、いわゆるHブリッジ回路、詳しくは非対称Hブリッジ回路となっている。
V相の電力変換回路及びW相の電力変換回路も、土曜に非対称Hブリッジ回路となっている。V相の電力変換回路のスイッチング素子S1v,S2vは、スイッチング素子S1u,S2uに対応し、ダイオードD1v〜D4vは、ダイオードD1u〜D4uに対応する。また、W相の電力変換回路のスイッチング素子S1w,S2wは、スイッチング素子S1u,S2uに対応し、ダイオードD1w〜D4wは、ダイオードD1u〜D4uに対応する。
よって、インバータ10は、3個のHブリッジ回路、詳しくは3個の非対称Hブリッジ回路が互いに並列に接続された回路となっている。インバータ10の入力端子間には平滑用コンデンサ16が接続されており、平滑用コンデンサ16に並列に直流電源15が接続される。直流電源15は、例えば、リチウム二次電池等の高圧バッテリであり、直流電源15の電圧Vdcがインバータ10の入力電圧となる。上記のように、インバータ10は各相のHブリッジ回路が並列に接続されて構成されているため、インバータ10を用いてSRモータ20の各相の電圧、電流を独立に制御することができる。
スイッチング素子S1u〜S1w,S2u〜S2wは、制御装置30から送信された操作信号によりオン又はオフされる。スイッチング素子S1u及びS2uをオンにすると、正電圧印加モードとなる。詳しくは、直流電源15の正極側からスイッチング素子S1u、巻線23、スイッチング素子S2uを通る経路で電流が流れ、巻線23に正の電圧Vdcが印加される。また、スイッチング素子S1uをオン及びスイッチング素子S2uをオフにすると、ゼロ電圧印加モードになる。詳しくは、スイッチング素子S1u、巻線23、ダイオードD3uの経路を電流が循環して、巻線23に印加される電圧がゼロになる。同様に、スイッチング素子S1uをオフ及びスイッチング素子S2uをオンにすると、ゼロ電圧印加モードになる。また、スイッチング素子S1u及びS2uをオフにすると、負電圧印加モードになる。詳しくは、直流電源15の負極側からダイオードD2u、巻線23、ダイオードD3uの経路で電流が流れ、巻線23に負の電圧−Vdcが印加される。V相、W相も同様である。
次に、制御装置30について、図2を参照して説明する。制御装置30は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータである。制御装置30は、CPUがROMに記憶されている各種プログラムを実行することにより、第1制御部50、第2制御部60、第3制御部40、トルク推定部54及び選択部70の各機能を実現し、インバータ10の各スイッチング素子に対して操作信号を送信する。また、制御装置30には、電流センサ91(電流検出手段)により検出された検出値、及びレゾルバ92(位置検出手段)により検出された検出値が取り込まれる。電流センサ91は、SRモータ20の巻線23〜25に流れる実電流iu,iv,iwのうち、少なくとも二相の相電流を検出するセンサである。二相の相電流を検出すれば、残りの相電流は算出できる。レゾルバ92は、SRモータ20の回転子21の回転位置θを検出するセンサである。本実施形態では、制御装置30、電流センサ91及びレゾルバ92からSRモータの制御装置が構成される。
まず、制御装置30が実施する制御の概要について説明する。制御装置30は、SRモータ20の駆動域に応じて、第1制御部50、第2制御部60及び第3制御部40のいずれかによる制御を実施する。第1制御部50(第1トルク制御手段)は、SRモータ20に対する指令電圧Vr*の電圧位相Vφ*を操作することにより、SRモータ20の実トルクTeを指令トルクTrに制御する。指令電圧Vr*は、三相の巻線23〜25のそれぞれに印加する電圧を指令する指令電圧vu*,vv*,vw*の総称である。また、電圧位相Vφ*は、基準位置(0°)に対する指令電圧Vr*の通電開始角θon*のずれである。基準位置は、例えば、図1に示すように、U相の巻線23と回転子21の突極21aとが一致する位置とする。
第2制御部60(第2トルク制御手段)は、SRモータ20に対する指令電圧Vr*の零相電圧を操作することにより、SRモータ20の実トルクTeを指令トルクTrに制御する。第3制御部40(電流ベクトル制御手段)は、指令トルクTrに基づいてSRモータ20に対する指令電流id*,iq*,i0*を算出し、SRモータ20を流れる実電流id,iq,i0を、指令電流id*,iq*,i0*に制御する。
トルク推定部54(トルク推定手段)は、SRモータ20の実トルクTeの推定値である推定トルクTrを算出する。
選択部70(選択手段、切替え手段)は、SRモータ20に対する指令電圧Vr*が、直流電源15の電圧Vdcよりも小さい駆動域、すなわち低速駆動域では、第3制御部40による制御の実施を選択して、第3制御部40により生成された操作信号をインバータ10へ送信する。また、選択部70は、SRモータ20に対する指令電圧が、直流電源15の電圧Vdcよりも大きい駆動域、すなわち高速駆動域では、第1制御部50による制御の実施を選択して、第1制御部50により生成された操作信号をインバータ10へ送信する。さらに、選択部70は、高速高トルク駆動域では、第1制御部50による制御において、電圧位相Vφ*が後述する上限値に到達したことを条件として、第2制御部60による制御の実施に切替えて、第2制御部60により生成された操作信号をインバータ10へ送信する。
すなわち、制御装置30は、低速駆動域では、第3制御部40による電流ベクトル制御を実施し、高速駆動域では、第1制御部50による電圧位相制御を実施する。さらに、制御装置30は、高速高トルク駆動域では、第2制御部60による零相電圧制御を実施する。本実施形態では、低速駆動域を0〜2000rpmの範囲、高速駆動域を2000rpm以上の範囲とする。以下、第1制御部50が実施する電圧位相制御、第2制御部60が実施する零相電圧制御、及び第3制御部40が実施する電流ベクトル制御について、詳しく説明する。
<電圧位相制御>
電流ベクトル制御では、SRモータの回転速度が高回転速度になると、巻線23〜25の印加電圧が飽和して、電圧振幅操作ができなくなり、最高出力が出せなくなる。そのため、高速駆動域では、電流ベクトル制御以外の制御方法により、SRモータ20を制御することが望まれる。
ここで、本発明者は、高速駆動域において、電圧位相Vφ*とSRモータ20の実トルクTeとの間に、正の相関があることに着目した。図4は、回転速度1500rpm,2000rpm,2500rpm,3000rpmにおいて、指令電圧Vr*の電圧位相Vφ*に対する実トルクTeを示す。図4に示すように、各回転速度において、電圧位相Vφ*がリミット(図4では195°付近)以下の範囲では、電圧位相Vφ*が大きくなるほど、実トルクTeは大きくなっており、リミット以上の範囲では、電圧位相Vφ*が大きくなるほど、実トルクTeは小さくなっている。すなわち、リミットは、電圧位相Vφ*と実トルクTeとの間が正の相関から負の相関に変わる切替え点となっている。そして、リミットは、回転速度が高いほど小さい値になっている。
そこで、第1制御部50は、電圧位相Vφ*が上限値以下の範囲において、指令電圧Vr*の電圧位相Vφ*を操作量として、実トルクTeを指令トルクTrにフィードバック制御する。上限値は、上記リミットに予め設定しておく。あるいは、リミットはSRモータ20の駆動条件によって変わるため、上限値は、所定の駆動条件時のリミットから、ある程度のマージン分小さくした値に予め設定してもよい。なお、指令トルクTrは、ハイブリッドECU等の上位の制御装置により、車両の運転状態に応じて算出され、制御装置30へ送信される。
第1制御部50は、通電幅設定部51、電圧振幅設定部52、電圧位相算出部53、及びPWM処理部58の機能を備える。
通電幅設定部51(幅設定手段)は、指令電圧Vr*の通電幅を設定する。通電幅は、通電開始角θon*から通電終了角θoff*までの間隔である。通電開始角θon*のタイミングから、通電終了角θoff*のタイミングまでの間、指令電圧Vr*の対象である巻線に電流が流れる。通電幅設定部51は、SRモータ20の駆動条件と通電幅とが対応づけられた通電幅マップを有しており、通電幅マップに基づいて通電幅を設定する。通電幅マップは、SRモータ20の損失又は騒音を抑制するように予め作成されたマップである。SRモータ20の駆動条件は、例えば、SRモータ20の温度や直流電源15の電圧等である。
電圧振幅設定部52(振幅設定手段)は、指令電圧Vr*の電圧振幅Vam*を設定する。電圧振幅設定部52は、SRモータ20の駆動条件と電圧振幅Vam*とが対応づけられた振幅マップを有しており、振幅マップに基づいて電圧振幅Vam*を設定する。振幅マップは、SRモータ20の損失又は騒音を抑制するように予め作成されたマップである。
電圧位相算出部53(電圧位相算出手段)は、指令トルクTr*と、トルク推定部54により推定された推定トルクTrとのトルク偏差ΔTr=Tr*―Trに基づいて、電圧位相Vφ*を算出する。詳しくは、電圧位相算出部53は、トルク偏差ΔTrをPI(比例積分)処理して、電圧位相Vφ*を算出する。
そして、設定された通電幅、電圧振幅Vam*、及び算出された電圧位相Vφ*から、指令電圧Vr*を設定する。具体的には、指令電圧Vr*は、図3に示すように、基準位置から電圧位相Vφ*ずれた位置において通電を開始し、通電幅を電気角一周期(360°)とする正弦波であって、最大振幅をVam*とする正弦波とする。ここでは、通電開始角θon*から通電終了角θoff*までの通電幅、及び通電周期を、電気角一周期としているが、通電幅を240°やその他の値にしてもよい。
PWM処理部58は、設定された指令電圧Vr*と所定のキャリア波形とを比較して、PWM波を算出する。PWM波は、指令電圧Vr*が対象とする巻線に印加する印加電圧(矩形波状のパルス電圧)を表す。算出されたPWM波は、正の電圧Vdcの印加幅と、負の電圧−Vdcの印加幅とが等しくなる。PWM処理部58は、PWM波で表される電圧が巻線に印加されるように、インバータ10のスイッチング素子をオンオフする操作信号を生成する。
このように、第1制御部50は、通電幅設定部51により設定された通電幅、及び電圧振幅設定部52により設定された電圧振幅Vam*の指令電圧Vr*について、電圧位相Vφ*を操作することにより、実トルクTeを指令トルクTr*に制御する。
なお、図3では、デューティ比を1とした例を示しているが、図5に示すように、通電周期である電気角一周期に対して、通電幅を電気角一周期よりも短くし、デューティ比を1よりも小さくして使用してもよい。また、PWM波は、矩形波に限らず、正弦波(図7において、正の電圧Vdcの印加幅と負の電圧‐Vdcの印加幅とを等しくした波形)にしてもよい。また、電圧振幅Vam*が電圧Vdcよりも大きい過変調状態の指令電圧Vr*を使用してもよい。この場合、PWM波は、図8において、正の電圧Vdcの印加幅と負の電圧‐Vdcの印加幅とを等しくした波形になる。
次に、トルク推定部54について、図9を参照して説明する。トルク推定部54は、座標変換部55、鎖交磁束算出部56、及び算出部57を備える。
座標変換部55は、レゾルバ92により検出された回転位置θを用いて、電流センサ91により検出された固定座標系の実電流iu,iv,iwを、回転座標系の実電流id,iq,i0に変換する。固定座標系は、巻線23〜25に固定されたu軸、v軸、w軸からなる座標系であり、回転座標系は、回転子21に固定されたd軸、q軸、零相からなる座標系である。
鎖交磁束算出部56は、実電流id,iq,i0、及び回転位置θに対応づけられた鎖交磁束λd,λq,λ0のマップを有している。鎖交磁束算出部56は、鎖交磁束マップを用いて、実電流id,iq,i0、及び回転位置θに対応する鎖交磁束λd,λq,λ0を算出する。
算出部57は、鎖交磁束ベクトルと実電流ベクトルの外積に、対極数Pを乗算して、実トルクTeの推定値である推定トルクTrを算出する。ただし、実電流i0及び鎖交磁束λ0は、トルクに寄与しないので、鎖交磁束ベクトル(λd,λq)と、電流ベクトル(id,iq)との外積となる。
<零相電圧制御>
電圧位相Vφ*が上限値を超えると、電圧位相φ*と実トルクTeとの関係が負の相関になるため、電圧位相制御を実施して、トルクフィードバック制御することができない。よって、電圧位相Vφが上限値に到達した時点の実トルクTeよりも高トルクの駆動域では、電圧位相制御以外の制御方法により、SRモータ20を制御することが望まれる。
ここで、本発明者は、高速高トルク駆動域において、零相電圧V0*とSRモータ20の実トルクTeとの間に、正の相関があることに着目した。零相電圧は、巻線23〜25の中性点の電圧に相当する。図10は、回転速度8000rpm,9000rpm,10000rpmにおいて、零相電圧V0*に対する実トルクTeを示す。図10に示すように、実トルクTeが10[Nm]以上の駆動域では、零相電圧V0*が大きくなるほど、実トルクTeは大きくなっている。
そこで、電圧位相Vφ*が上限値に到達した後、第2制御部60は、零相電圧V0*を操作して、実トルクTeを指令トルクTrにフィードバック制御する。
図3に示すように、第2制御部60は、通電幅設定部61、電圧振幅設定部62、零相算出部63、及びPWM処理部64の機能を備える。
通電幅設定部61は、通電幅設定部51と同様に、指令電圧Vr*の通電幅を設定する。また、電圧振幅設定部62は、電圧振幅設定部52と同様に、指令電圧Vr*の電圧振幅Vam*を設定する。第1制御部50による制御から第2制御部60による制御への切替え前と切替え後とで、駆動条件が同じであれば、通電幅及び電圧振幅Vam*は、通電幅設定部51及び電圧振幅設定部52により設定されたものを、そのまま使用すればよい。
零相算出部63(零相算出手段)は、指令トルクTr*と推定トルクTrとのトルク偏差ΔTrに基づいて、零相電圧V0*を算出する。詳しくは、零相算出部63は、トルク偏差ΔTrをPI処理して、零相電圧V0*を算出する。
そして、設定された通電幅、電圧振幅Vam*、及び算出された零相電圧V0*から、指令電圧Vr*を設定する。具体的には、図3に示すように、基準位置から電圧位相Vφ*の上限値ずれた位置において通電を開始し、通電幅を電気角一周期とする正弦波とする。この正弦波は、最大振幅をVam*とする正弦波を、正の方向にV0*分ずらした正弦波とする。すなわち、指令電圧Vr*は、正の最大振幅がVam*+V0*、負の最大振幅がVam*−V0*となり、正の通電幅が負の通電幅よりも長くなる。
PWM処理部64は、設定された指令電圧Vr*をPWM処理して、PWM波を算出する。算出されたPWM波は、正の電圧Vdcの印加幅が、負の電圧−Vdcの印加幅よりも広くなる。正の電圧Vdcの印加幅と負の電圧−Vdcの印加幅との差分が、零相電圧V0*に相当する。すなわち、零相電圧V0*が大きいほど、負の電圧−Vdcの印加幅に対して、正の電圧Vdcの印加幅が長くなる。そして、PWM処理部58は、PWM波で表される電圧(矩形波状のパルス電圧)が巻線に印加されるように、インバータ10のスイッチング素子をオンオフする操作信号を生成する。
このように、第2制御部60は、通電幅設定部61により設定された通電幅、電圧振幅設定部52により設定された電圧振幅Vam*、及び上限値で固定された電圧位相Vφ*の指令電圧Vr*について、零相電圧V0*を操作することにより、実トルクTeを指令トルクTr*に制御する。このような零相電圧V0*の操作は、インバータ10が非対称Hブリッジ回路であり、巻線23〜25に印加する電圧を相毎に独立して制御できるために可能となっている。
なお、図3では、デューティ比を1とした例を示しているが、図6に示すように、デューティ比を1よりも小さくして使用してもよい。また、PWM波は、矩形波に限らず、図7に示すような正弦波でもよい。また、過変調状態の指令電圧Vr*を使用してもよい。この場合、PWM波は、図8に示すような波形になる。
また、零相電圧V0*と同様に、零相電流i0*と実トルクTeとの間にも正の相関がる。したがって、零相電圧V0*の代わりに、零相電流i0*を操作することにより、実トルクTeを、指令トルクTrにフィードバック制御するようにしてもよい。この場合、トルク偏差ΔTrをPI処理して、零相電流i0*を算出する。
<電流ベクトル制御>
図3に示すように、第3制御部40は、指令電流生成部41、指令電圧生成部42、及びPWM処理部47の機能を備え、低速駆動域において、SRモータ20を流れる実電流id,iq,i0を高精度にフィードバック制御する。
指令電流生成部41(指令電流算出手段)は、指令トルクTr*に基づいて、SRモータ20を流れる電流を指令する回転座標系の指令電流id*,iq*,i0*を生成する。詳しくは、指令電流生成部41は、指令トルクTr*と指令電流id*,iq*,i0*との対応関係を示すマップを用いて、指令電流id*,iq*,i0*を生成する。
指令電圧生成部42(指令電圧算出手段)は、指令電流id*,iq*,i0*と、実電流id,iq,i0との電流偏差Δid,Δiq,Δi0に基づいて、SRモータ20に対する指令電圧vd*,vq*,v0*を算出する。そして、指令電圧生成部42は、回転位置θを用いて、指令電圧vd*,vq*,v0*を、固定座標系の3相の指令電圧vu*,vv*,vw*(Vr*)に変換する。指令電圧生成部42による詳細な制御は後述する。
なお、実電流id,iq,i0は、座標変換部43により算出される。座標変換部43は、回転位置θを用いて、固定座標系の実電流iu,iv,iwを、回転座標系の実電流id,iq,i0に変換する。
PWM処理部47は、算出された指令電圧vu*,vv*,vw*をPWM処理して、インバータ10のスイッチング素子をオンオフする操作信号を生成する。
次に、指令電圧生成部42による制御について、図11を参照して説明する。SRMモータ20のd軸、q軸及び零相の電圧方程式は、式(1)で表される。Rは巻線23〜25の巻線抵抗を表す。Ldd,Lqq,L00は、それぞれ鎖交磁束λd,λq,λ0の実電流id,iq,i0による偏微分で定義される。Lqd,Ldqは、それぞれ鎖交磁束λq,λdの実電流id,iqによる偏微分で定義される。L0q,Lq0は、それぞれ鎖交磁束λ0,λqの実電流iq,i0による偏微分で定義される。Ld0,L0dは、それぞれ鎖交磁束λd,λ0の実電流i0,idによる偏微分で定義される。また、ωは回転位置θの微分により算出される回転速度、sはラプラス演算子を表す。また、ドットは、回転位置θによる偏微分を表す。
式(1)で示すように、d軸とq軸間、d軸及びq軸のそれぞれと零相間に干渉がある。
そこで指令電圧生成部42は、図11に示すような非干渉制御を実施する。非干渉制御は、d軸とq軸との間の互いの干渉、並びに、d軸及びq軸のそれぞれと零相との間の磁気結合による干渉を打消し、d軸側、q軸側、及び零相側で、互いに独立した制御を行うことを可能とするものである。
図11に示すブロック図は、式(1)に基づくものである。SRモータ20内では、ブロック27に示すように、d軸に発生する電圧は、d軸の指令電圧vd*に対して、q軸の実電流iqに比例した干渉電圧−sLdq×iq、零相の実電流i0に比例した干渉電圧−sLd0×i0、及び回転速度ωに比例した干渉電圧−ω(−λq+λ’d)が重畳した電圧となる。d軸の実電流idは、指令電圧vd*に干渉電圧が重畳した電圧を、d軸のインピーダンスR+sLddで除算したものとなる。
同様に、ブロック28に示すように、q軸に発生する電圧は、指令電圧vq*に対して、干渉電圧‐sLdq×id、−sLd0×i0、及び‐ω(λd+λ’q)が重畳した電圧となる。また、ブロック29に示すように、零相に発生する電圧は、指令電圧v0*に対して、干渉電圧−sLd0×id、−sLq0×iq、−ωλ0が重畳した電圧となる。
これに対して、指令電圧生成部42は、SRモータ20内で発生する干渉電圧を打ち消すような指令電圧vd*,vq*,v0*を生成する。図11において、指令電圧生成部42内のブロック44はd軸の指令電圧vd*、ブロック45はq軸の指令電圧vq*、ブロック46は零相の指令電圧v0*を、それぞれ算出する制御を示している。
ブロック44に示すように、指令電圧生成部42は、指令電流id*と実電流idとの電流偏差ΔidをPI処理して、電流idp*を算出する。そして、指令電圧生成部42は、干渉電圧を打ち消すように、電流idp*とインピーダンスR+sLddとを乗算して算出した電圧に、電圧sLdp×iqp*、sLd0×i0p*、ω(−λq+λ’d)を加算して、指令電圧vd*を算出する。電流iqp*は、電流偏差ΔiqをPI処理して算出される値、電流i0p*は、電流偏差Δi0をPI処理して算出される値である。また、鎖交磁束λd,λq,λ0は、トルク推定部54の鎖交磁束算出部56により算出される。ブロック45及びブロック46も同様にして、指令電圧vq*及び指令電圧v0*を算出する。
このように、第3制御部40は、指令トルクTr*に基づいて、指令電流id*,iq*,i0*を算出し、SRモータ20に流れる実電流id,iq,i0を、指令電流id*,iq*,i0*にフィードバック制御している。さらに、第3制御部40は、非干渉制御を行っている。
次に、図12〜14を参照して、本実施形態に係る制御装置30によるSRモータ20の制御の効果を検証する。図12(a)及び13(a)は、回転速度を0から6000rpmに加速させた場合における指令トルクTr*及び実トルクTeを示し、図12(b)及び13(b)は、図12(a)及び13(a)に対応する実電流iu,iv,iwを示す。図12及び13に示すように、回転速度が加速して高駆動域に入る(回転速度が2000rpmを超える)と、電流ベクトル制御から電圧位相制御に切り替わっている。これは、第3制御部40により算出された指令電圧Vr*が、電圧Vdcよりも大きくなったためである。
図12に示すように、高速駆動域に入った後の期間Aにおいて、指令トルクTr*をT1からT2に大きくすると、実トルクTeの平均値もT1からT2に大きくなっている。また、指令トルクTr*の増加に伴い、実電流iu,iv,iwも大きくなっている。さらに、期間Aに続く期間Bにおいて、指令トルクTr*をT2から0に小さくし、その後指令トルクTr*を0からT2に戻すと、実トルクTeの平均値も、T2から0に減少した後にT2に戻っている。また、指令トルクTr*の変化に伴い、実電流iu,iv,iwも変化している。
また、図13に示すように、高速駆動域に入った後の期間Cにおいて、指令トルクTr*をT1からT2に大きくすると、実トルクTeの平均値もT1からT2に大きくなっている。また、指令トルクTr*の増加に伴い、実電流iu,iv,iwも大きくなっている。さらに、期間Cに続く期間Dにおいて、指令トルクTr*を−T2、すなわち指令トルクTr*を回生時のトルクにし、その後指令トルクTr*をT2に戻すと、実トルクTeの平均値も、T2から回生時のトルク−T2に変化した後にT2に戻っている。また、指令トルクTr*をT1からT2にしたことに伴い、実電流iu,iv,iwも大きくなっている。なお、指令トルクTr*がT2の時と−T2の時とで、実電流iu,iv,iwが異なっているが、これはリップルが変化しているためであり、実効値は等しくなっている。以上より、高速駆動域において、電圧位相制御を行うことにより、実トルクTeを指令トルクTr*に高精度に追従させることができることがわかる。
また、図14(a)は、回転速度を0から9000rpmに加速させた場合における指令トルクTr*及び実トルクTeを示し、図14(b)は、図14(a)に対応する実電流iu,iv,iwを示す。図14に示すように、高速駆動域に入った後、回転速度の上昇に伴い電圧位相制御から零相電圧制御に切り替わっている。これは、回転速度が高いほど電圧位相Vφ*の上限値は小さいため、回転速度の上昇に伴い電圧位相Vφ*が上限値に到達したためである。電圧位相制御から零相電圧制御に切り替わった時点から、零相電圧の上昇に伴い、実電流iu,iv,iwは上昇する方向にオフセットし始めている。零相電圧制御に切り替わった後の期間Eにおいて、指令トルクTr*をT1からT3に大きくすると、実トルクTeの平均値もT1からT3に大きくなっている。また、指令トルクTr*の増加に伴い、実電流iu,iv,iwのオフセット量も大きくなっている。以上より、高速高トルク駆動域において、零相電圧制御を行うことにより、実トルクTeを指令トルクTr*に高精度に追従させることができることがわかる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
・設定された電圧振幅Vam*及び通電幅の指令電圧Vr*において、電圧位相Vφ*が操作されることにより、SRモータ20の実トルクTeを指令トルクTr*に制御できる。そして、指令電圧Vr*の電圧振幅Vam*を固定して電圧位相Vφ*を操作するため、高速駆動域においても電圧飽和の影響を受けない。さらに、実トルクTeが指令トルクTr*となるように巻線23〜25の印加電圧を直接操作するため、電流の指令値を必要としない。よって、高速駆動域においても、高い精度でSRモータ20を制御することができる。
・低速駆動域では、低速駆動域で高精度にSRモータ20に流れる電流を制御できる電流ベクトル制御により、SRモータ20に流れる電流がフィードバック制御される。また、高速駆動域では、高速駆動域で高精度にトルクを制御できる電圧位相Vφ*の操作により、実トルクTeが指令トルクTr*に制御される。よって、低速駆動域から高速駆動域まで、高精度にSRモータ20を制御することができる。
・指令電圧Vr*の電圧位相Vφ*が上限値に到達したことを条件として、電圧位相Vφ*の操作によるトルクのフィードバック制御から、零相電圧V0*の操作によるトルクのフィードバック制御に切り替えられる。これにより、高速駆動域において、低トルク駆動域から高トルク駆動域まで、高精度にSRモータ20を制御することができる。
・指令トルクTr*と推定トルクTrとのトルク偏差ΔTrに基づいて、零相電圧V0*を算出することにより、高精度にトルクをフィードバック制御することができる。
・指令トルクTr*と推定トルクTrとのトルク偏差ΔTrに基づいて、電圧位相Vφ*を算出することにより、高精度にトルクをフィードバック制御することができる。
・通電幅及び電圧振幅Vam*を、SRモータ20の損失又は騒音を抑制するように予め作成されたマップに基づいて設定することにより、SRモータ20の損失又は騒音を抑制することができる。
・電流ベクトル制御において、非干渉制御を実施することにより、電流ベクトル制御の応答性を高くすることができる。
・d軸とq軸との間の互いの干渉電圧、q軸と零相との間の互いの干渉電圧、及び零相とd軸との間の互いの干渉電圧を打ち消すように、指令電圧vd*,vq*,v0*を算出することにより、d軸側、q軸側、及び零相側で、互いに独立した制御を実施できる。
・鎖交磁束マップを用いることにより、回転位置θに応じた鎖交磁束λd,λqを算出できる。そのため、算出した鎖交磁束λd,λqと実電流id,iqとから、回転位置θの変化に伴う脈動成分を含んだ推定トルクTrを算出できる。ひいては、高精度にトルクのフィードバック制御を実施できる。
・インバータ10を、3個の非対称Hブリッジ回路のを並列に接続した回路としたことにより、SRモータ20の相毎に独立して制御できる。そのため、零相電圧及び零相電流を制御できる。
(他の実施形態)
・推定トルクTrの算出は、図15に示すトルク推定部54A(トルク推定手段)により実施してもよい。トルク推定部54Aは、座標変換部55A、鎖交磁束算出部56A及び算出部57A(エネルギー算出手段)を備える。鎖交磁束算出部56Aは、座標変換部55Aにより算出された実電流id,iq,i0、レゾルバ92により検出された回転位置θ、及び鎖交磁束モデル式を用いて、鎖交磁束λd,λq,λ0を算出する。ここでは、鎖交磁束モデル式の一例として、多項式+三角関数でモデル化した式を用いている。非干渉制御では、鎖交磁束算出部56Aにより算出した鎖交磁束λd,λq,λ0を用いてもよい。
そして、算出部57Aは、図に示す算出式を用いて、磁気随伴エネルギーWm’を算出する。磁気随伴エネルギーWm’を算出する積分経路は、図15に示す算出式と異なる経路でもよい。すなわち、図15に示す算出式は、i0、id、iqの順に電流を通電していった場合における、磁気随伴エネルギーWm’を算出する式となっているが、電流を通電していく順番は変更してもよい。電流を通電していく順番を変更したとしても、最終的にSRモータ20に蓄積されるエネルギーは同じであり、磁気随伴エネルギーWm’も同じになる。さらに、算出部57Aは、算出した磁気随伴エネルギーWm’、算出した鎖交磁束λd,λq、検出された実電流id,iqを用いて、図に示す算出式から推定トルクTrを算出する。このようにしても、回転位置θの変化に伴う脈動成分を含んだ推定トルクTrを算出できる。
なお、算出部57Aにおいて、トルク推定部54の鎖交磁束算出部56により算出した鎖交磁束λd,λq,λ0を用いてもよい。また、トルク推定部54の算出部57において、トルク推定部54Aの鎖交磁束算出部56Aにより算出した鎖交磁束λd,λqを用いてもよい。
・推定トルクTrは、実電流id,iq,i0とトルクとの対応関係を示すトルクマップに基づいて算出してもよい。この場合、回転位置θの変化に伴う脈動成分を平均した推定トルクTrを算出できる。
・第3制御部40は、図16及び17に示すように、非干渉制御に加えて、高調波電流制御を実施してもよい。指令電流生成部41A(指令電流算出手段)は、基本波指令電流41a及び高調波指令電流生成部41bを備える。基本波指令電流41aは、指令電流生成部41と同様に、基本波の指令電流id*,iq*,i0*を算出する。高調波指令電流生成部41bは、指令トルクTr*に基づいて、予め用意されているマップを用いて、高調波の指令電流idh*,iqh*,ioh*を算出する。
指令電圧生成部42Aは、基本波指令電圧生成部44〜46及び高調波指令電圧生成部48を備える。基本波指令電圧生成部44〜46は、図11に示したように、非干渉制御による指令電圧vd*,vq*,v0*を生成する。また、高調波指令電圧生成部48は、図17に示すように、SRモータ20を流れる電流に重畳する3次のトルクリップルを打ち消すように、トルクリップルと逆相の3次の高調波成分である指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を算出する。
そして、指令電圧生成部42Aは、基本波の指令電圧vd*,vq*,v0*に、高調波成分の指令電圧vdh*,vqh*,v0h*を加算して算出した指令電圧を、固定座標系の三相の指令電圧vu*,vv*,vw*に変換する。このように、更に高調波電流制御を実施することにより、トルクリップルを減少させて、SRモータ20の効率を向上させることができる。なお、本実施形態に係るSRモータ20は、構造上3次のトルクリップルが重畳しやすいため、高調波成分と3次の高調波としたが、SRモータの構造に応じて、3次以外の高調波としてもよい。
・応答性が低下するおそれはあるが、第3制御部40は、非干渉制御を実施しなくてもよい。
・制御装置30は、第3制御部40を備えていなくてもよい。すなわち、制御装置30は低駆動域においても電圧位相制御を実施し、電流ベクトル制御を実施しなくてもよい。
・SRモータ20を高速高トルク駆動域で使用しない場合、制御装置30は、第2制御部60を備えていなくてもよい。すなわち、制御装置30は、少なくとも第1制御部50を備え、電圧位相制御を実施するものであればよい。
・SRモータ20は3相モータに限らず、2相又は4相以上のモータでもよい。この場合、インバータ10は、SRモータ20の相数分、非対称Hブリッジ回路を互いに並列に接続した回路とすればよい。
10…インバータ、20…SRモータ、30…制御装置。

Claims (17)

  1. SRモータ(20)に電圧を印加する電力変換回路(10)を、指令電圧に基づいて操作するSRモータの制御装置(30)であって、
    前記SRモータに対する前記指令電圧の通電開始角から通電終了角までの間隔である通電幅を設定する幅設定手段と、前記指令電圧の電圧振幅を設定する振幅設定手段と、を含み、前記幅設定手段により設定された前記通電幅、及び前記振幅設定手段により設定された前記電圧振幅を有する前記指令電圧について、基準位置に対する前記通電開始角のずれを表す電圧位相を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第1トルク制御手段と、
    前記電圧位相を予め設定された上限値で固定した前記指令電圧について、零相電圧又は零相電流を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第2トルク制御手段と、
    前記電圧位相が前記上限値に到達したことを条件として、前記第1トルク制御手段による制御の実施から、前記第2トルク制御手段による制御の実施に切り替える切替え手段と、を備えるSRモータの制御装置。
  2. 前記第2トルク制御手段は、前記指令トルクと前記SRモータの実トルクの推定値である推定トルクとの偏差に基づいて、前記零相電圧又は零相電流を算出する零相算出手段を含む請求項1に記載のSRモータの制御装置。
  3. 記第1トルク制御手段及び前記第2トルク制御手段は、前記電力変換回路を操作して、前記SRモータに矩形波状のパルス電圧を印加する請求項1または2に記載のSRモータの制御装置。
  4. SRモータ(20)に電圧を印加する電力変換回路(10)を、指令電圧に基づいて操作するSRモータの制御装置(30)であって、
    前記SRモータに対する前記指令電圧の通電開始角から通電終了角までの間隔である通電幅を設定する幅設定手段と、前記指令電圧の電圧振幅を設定する振幅設定手段と、を含み、前記幅設定手段により設定された前記通電幅、及び前記振幅設定手段により設定された前記電圧振幅を有する前記指令電圧について、基準位置に対する前記通電開始角のずれを表す電圧位相を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第1トルク制御手段と、
    前記電圧位相を予め設定された上限値で固定した前記指令電圧について、零相電圧又は零相電流を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第2トルク制御手段と、を備え、
    前記第1トルク制御手段及び前記第2トルク制御手段は、前記電力変換回路を操作して、前記SRモータに矩形波状のパルス電圧を印加するSRモータの制御装置。
  5. 前記SRモータに対する指令トルクに基づいて、前記SRモータに対する指令電流を算出する指令電流算出手段を含み、前記SRモータを流れる実電流を、前記指令電流算出手段により算出された前記指令電流に制御する電流ベクトル制御手段を備え、
    前記ベクトル制御手段は、非干渉制御を実施する請求項1〜4のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  6. 前記非干渉制御は、d軸とq軸との間の互いの干渉、並びに、d軸及びq軸のそれぞれと零相との間の互いの干渉を打ち消す制御である請求項に記載のSRモータの制御装置。
  7. SRモータ(20)に電圧を印加する電力変換回路(10)を、指令電圧に基づいて操作するSRモータの制御装置(30)であって、
    前記SRモータに対する前記指令電圧の通電開始角から通電終了角までの間隔である通電幅を設定する幅設定手段と、前記指令電圧の電圧振幅を設定する振幅設定手段と、を含み、前記幅設定手段により設定された前記通電幅、及び前記振幅設定手段により設定された前記電圧振幅を有する前記指令電圧について、基準位置に対する前記通電開始角のずれを表す電圧位相を操作することにより、前記SRモータの実トルクを指令トルクに制御する第1トルク制御手段と、
    前記SRモータに対する指令トルクに基づいて、前記SRモータに対する指令電流を算出する指令電流算出手段を含み、前記SRモータを流れる実電流を、前記指令電流算出手段により算出された前記指令電流に制御する電流ベクトル制御手段と、を備え、
    前記ベクトル制御手段は、非干渉制御を実施し、
    前記非干渉制御は、d軸とq軸との間の互いの干渉、並びに、d軸及びq軸のそれぞれと零相との間の互いの干渉を打ち消す制御であるSRモータの制御装置。
  8. 前記指令電流算出手段は、トルクリップルを打ち消すような高調波成分を算出し、算出した前記高調波成分を有する前記指令電流を算出する請求項5〜7のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  9. 前記SRモータに対する指令トルクに基づいて、前記SRモータに対する指令電流を算出する指令電流算出手段と、前記指令電流算出手段により算出された前記指令電流に基づいて前記指令電圧を算出する指令電圧算出手段と、を含み、前記SRモータを流れる実電流を、前記指令電流算出手段により算出された前記指令電流に制御する電流ベクトル制御手段と、
    前記SRモータに対する指令電圧が前記電力変換回路の入力電圧よりも小さい駆動域において、前記電流ベクトル制御手段による制御を実施し、前記SRモータに対する指令電圧が前記電力変換回路の入力電圧よりも大きい駆動域において、前記第1トルク制御手段による制御を実施する選択手段と、を備える請求項1〜8のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  10. 前記第1トルク制御手段は、前記指令トルクと前記SRモータの実トルクの推定値である推定トルクとの偏差に基づいて、前記電圧位相を算出する電圧位相算出手段を含む請求項1〜のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  11. 前記幅設定手段は、前記SRモータの損失又は騒音を抑制するように予め作成されたマップであって、前記SRモータの駆動条件に対する通電幅を示す通電幅マップを有し、前記通電幅マップに基づいて前記通電幅を設定する請求項1〜10のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  12. 前記振幅設定手段は、前記SRモータの損失又は騒音を抑制するように予め作成されたマップであって、前記SRモータの駆動条件に対する電圧振幅を示す振幅マップを有し、前記振幅マップに基づいて前記電圧振幅を設定する請求項1〜11のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  13. 前記SRモータを流れる電流を検出する電流検出手段(91)と、
    前記電流に対する前記SRモータのトルクを示すトルクマップを有し、前記検出手段により検出された前記電流及び前記トルクマップに基づいて、前記実トルクの推定値である推定トルクを算出するトルク推定手段と、を備える請求項1〜12のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  14. 前記SRモータを流れる電流を検出する電流検出手段(91)と、
    前記SRモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段(92)と、
    前記SRモータに流れる電流及び前記回転子の回転位置に対する鎖交磁束を示す鎖交磁束マップを有し、前記検出手段により検出された前記電流、前記位置検出手段により検出された前記回転位置、及び前記鎖交磁束マップに基づいて、鎖交磁束を算出するとともに、算出した前記鎖交磁束と前記検出手段により検出された前記電流とに基づいて、前記実トルクの推定値である推定トルクを算出するトルク推定手段と、を備える請求項1〜12のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  15. 前記SRモータを流れる電流を検出する電流検出手段(91)と、
    前記SRモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段(92)と、
    前記検出手段により検出された前記電流、前記位置検出手段により検出された前記回転位置、及び鎖交磁束モデル式に基づいて、鎖交磁束を算出するとともに、算出した前記鎖交磁束と前記検出手段により検出された前記電流とに基づいて、前記実トルクの推定値である推定トルクを算出するトルク推定手段と、を備える請求項1〜12のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
  16. 前記トルク推定手段は、算出した前記鎖交磁束に基づいて磁気随伴エネルギーを算出するエネルギー算出手段を有し、前記エネルギー算出手段により算出した前記磁気随伴エネルギー、算出した前記鎖交磁束、及び前記検出手段により検出された前記電流に基づいて、前記推定トルクを算出する請求項15に記載のSRモータの制御装置。
  17. 前記SRモータはN(Nは2以上の整数)相モータであり、
    前記電力変換回路は、N個のHブリッジ回路が並列に接続された回路である請求項1〜14のいずれかに記載のSRモータの制御装置。
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