本発明の実施の形態説明の前にプローブカードが関係して電気機能検査の一つであるウエハ検査が実施されている現行システムについて説明する。
図58は本発明の分野における電気機能検査装置の現行システム構成(すなわち従来例の一例)を示すブロック図である。図58において70は専用テスタである。一般的に現在システムに使用している専用テスタ70は大型で高価である。専用テスタ70はチップ72の検査に必要とする電気信号を発生しプローブカード71を経由して前記チップ72に入力する。入力した信号に対応したチップ72からの信号をもとに専用テスタ検査を実行する。専用テスタ70からプローブカード71に至る信号線はチップ72に入力される配線数が200前後である場合でも1100本前後のであり、1100本前後の配線により複数のパッド検査にも対応が可能となっている。ただしチップ72の数が非常に多くなった場合例えば300個のチップに対応した場合は配線数が60,000本となり専用テスタ70の1100前後の配線から多数のチップに分配して信号を送ることは難しくなる。また例え配線が可能としても高速検査の為の多数配線対応が効果的でなくなる。従って図58に示す現在システムは限られた数のチップに同時にプローブが対応する場合に適応できる。
図55は本発明に係る電気機能検査装置のシステムとしての、多数配線対応及び高速化対応のシステム構成を示すブロック図である。図55において73は汎用のコンピュータであり例えばパソコンである。74は回路付きプローブカードである。破線で示されている。回路付きプローブカード74はインターフェース75、テスト回路76から成る。テスト回路76は複数設けられ、それぞれ目的が異なるテストに対応して起動される。この複数のテスト回路76は同一機能に限らない。72はチップである。汎用コンピュータから個別ウエハ毎の検査情報がインターフェース75に送られる。インターフェース75はテスト回路76にテスト内容を送信する。テスト回路76はチップに対応した検査情報をもち、検査時は必要信号をチップに送る。またチップ72からの検査結果情報を受け取り評価し、インターフェース75を介して汎用コンピュータ73に情報を送る。またテスト回路76はチップと1対1の関係を有し、チップ72の有するパッド数と略同数テスト回路76から配線がチップ72上のパッドに接続を可能にしている。
(実施の形態1)
次に、本発明のプローバ装置の実施の形態1について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態1は図58の現行システム適応した場合に効果的なシステムであり、配線がプローブと一体化されているため、従来のプローブカードの高価な多層基板などを必要としないものである。
図1は、本発明に係るマルチ配列垂直型プローブ組立体の実施の形態1を示す斜視図である。この実施の形態1に係るマルチ配列垂直型プローブ組立体の基本構成は、垂直型プローブ3をエッチングによって、長手方向に複数個パターン形成したX方向リボン状フィルム1を、その面とは垂直の方向へ複数枚並設させてなるX方向ユニット5と、このX方向ユニット5と同様に、垂直型プローブ4をエッチングによって、長手方向に複数個パターン形成したY方向リボン状フィルム2を、その面とは垂直の方向へ複数枚並設させてなるY方向ユニット6とを格子状に組み合わせて構成される。
X方向リボン状フィルム1及びY方向リボン状フィルム2はいずれも、銅等の導電性の箔が積層されたリボン状或いは帯状の絶縁フィルムから成る。また、この実施の形態1においては、X方向リボン状フィルム1及びY方向リボン状フィルム2は基本的に同じ構造を有している。
X方向リボン状フィルム1垂直型プローブ3は、X方向リボン状フィルム1の面内で長手方向にU字形に形成された湾曲部31と、湾曲部31の開口端部において略直角方向外方へ延びる上側支持脚32及び下側支持部33と、上側支持脚32の先端に設けられた接点34とを有して成る。
また、Y方向リボン状フィルム2の垂直型プローブ4は、Y方向リボン状フィルム2の面内で長手方向にU字形に形成された湾曲部35と、湾曲部35の開口端部において略直角方向外方へ延びる上側支持脚36及び下側支持部37と、上側支持脚36の先端に設けられた接点38とを有して成る。
そして、X方向ユニット5とY方向ユニット6とは、X方向ユニット5が上、Y方向ユニット6が下となるように上下の位置関係に配置され、且つ上方から見て互いに交差するように配置されている。このような配置において、X方向ユニット5の接点34とY方向ユニット6の接点38とは同じ高さ位置になるために垂直型プローブ3の上側支持脚36の長さは垂直型プローブ4の上側支持脚32の長さよりも長く設定されている。上側支持脚36と上側支持脚32の長さの差は、X方向ユニット5とY方向ユニット6の間の段差寸法に等しい。
この基本構成において、X方向ユニット5とY方向ユニット6とが交差するエリア(図1中一点鎖線で囲まれた矩形エリア)100は1つの半導体チップが占める区画を表す。半導体チップは、エリア100を中心として見るとX方向及びY方向に、複数個が連続して配置され得るから、エリア自体もまた、エリア100を中心としてみた場合、X方向及びY方向に、複数個が連続して配置され得る。エリア100における垂直型プローブ3及び4の接点34,38の配置は、1つの半導体チップ上の端子であるチップパッドに対応するようになっている。以下、この基本構成に基づいて本発明のプローバ装置の実施の形態を説明する。なお、リボン状フィルム1及び2を構成する銅箔には金箔、銀箔、ベリリウム銅、或いはアモルファス金属等の高導電性の材質が使用され、また、リボン状フィルム1、2自体にはポリイミド樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂が使用される。
この実施の形態1において、垂直型プローブ3及び4の下側支持部33及び37からは、接点34,38から入力した信号を取り出すための配線(或るいは信号線)39,40が延びている。これらの配線もまた、垂直型プローブ3及び4と同様、エッチングにより形成される。配線39,40は、リボン状フィルム1、2の面上において、垂直型プローブ3及び4の下側支持部33及び37から一旦下方へ延び、各リボン状フィルム1、2の下端縁部近くで略直角方向(各リボン状フィルム1、2の長手方向に向く)へ折れ曲がって、各リボン状フィルム1、2に添って延び、出力端子へと向かう。このような構成を採ることにより、複数の垂直型プローブ3及び4の出力用の配線を各リボン状フィルム1、2の下端縁部近くにまとめて配置し、出力端子まで延設することができるから、マルチ配列垂直型プローブ組立体の構成を簡潔にすることができる。
次に、図5の正面図を用いてX方向リボン状フィルム1及びY方向リボン状フィルム2の構造について説明する。図5は、本来は本発明の実施の形態2(後出)におけるY方向リボン状フィルム2の説明に用いるものであるが、これは、本実施の形態1においてはX方向リボン状フィルム1及びY方向リボン状フィルム2の構成と一部の相違点を除きほぼ同じであるので、同様の説明に用いる。
X方向リボン状フィルム1において、一対の垂直型プローブ3が対向している部分には、開口部10が設けられている。開口部10は、図5に示すように、隣接するユニットa同士(例えばa−1とa−2)の境界部に開けられたほぼT字形状の開口であって、垂直型プローブ3の向かい合う湾曲部31の内側部分をくり抜くような形で開けられている。このため、垂直型プローブ3の接点34に加えられた矢印S1方向の力は、この開口部10を設けたことによって樹脂フィルムからの複雑な方向の力を受けることなく垂直型プローブ3の湾曲部31全体に作用し、垂直型プローブ3を弾性変形させる。すなわち、他面からみれば、X方向リボン状フィルム1は、その全体の基本形状は帯状であるから、面に垂直な方向に加わる外力に対しては自由に変形するが面に沿った方向に加わる外力に対しては(帯の長手方向であっても幅方向であっても)変形しないものである。
しかしながら、本実施の形態1においては、X方向リボン状フィルム1の面に垂直型プローブ3を設けるとともに、この垂直型プローブ3の湾曲部31の内側部分をくり抜いて開口部10を設けているから、その垂直型プローブ3の湾曲部31の部分においてX方向リボン状フィルム1が面方向(面の幅方向)に変形可能となっている。なお、X方向リボン状フィルム1は、垂直型プローブ3の湾曲部31以外の部分では基本的には面方向に変形しないようになっている。なお、開口部10の上側はX方向リボン状フィルム1のフィルム材質が連続してつながっている。また、Y方向リボン状フィルム2についても、構造については同様のことがいえる。以上の構成により、プローブ組立体が構成されプローバ装置における信号検出動作を行う。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2であるプローバ装置の構造を説明する部分斜視図である。本発明の実施の形態2は、接触圧の作用点とこの接触圧を受ける支持部がマルチ配列の配列数や配線数に関係なく湾曲部の終了位置に存在し、プローブの良好なばね特性を得ることができることを特徴としている。また配線部分が前記支持部の後方に存在しプローブの弾性特性に影響され難く、電気配線に利用される空間が充分に確保でき、電気的特性を充分配慮した配線パターン形状を得ることができる特徴を有する。また本実施の形態2のマルチ配列垂直型プローブ組立体を用いたプローバ装置は、従来のように個別プローブ組立体をマトリクス状に配列した構成ではなく、図2のように、銅箔が積層されたリボン状の絶縁フィルム上に、エッチングによって湾曲部を有する垂直型プローブ3を複数個パターン形成し、このパターン形成したリボン状フィルムをX方向リボン状フィルム1とする。同様にリボン状フィルム上に垂直型プローブ4を複数個パターン形成し、このパターン形成したリボン状フィルムをY方向リボン状フィルム2とする。なお、X、Y方向リボン状フィルム1、2は、複数のプローブと配線を1平面上に有し、同平面に配置されるべき位置関係はそれぞれのパターン形成により確保されている。また、垂直型プローブ3、4の接点の配置が1チップ上のチップパッドに対応するように、隣り合う垂直型プローブ同士の湾曲部の向きが逆向きとなるように配置されている。逆向きに配置されることにより、ウエハの1チップに対応してその投影する面内に本チップに対応する垂直型プローブ3、4が対応する。
このX方向リボン状フィルム1を複数枚並設させてX方向ユニット5とし、また、Y方向リボン状フィルム2を複数枚並設させてY方向ユニット6とし、このX方向ユニット5とY方向ユニット6を格子状に組み合わせてマルチ配列垂直型プローブ組立体を構成し、さらに、この組立体を支持基板(図示してない)上に植立された複数本の支柱8上に固定してプローバ装置を構成している。
また、従来技術では1個の個別プローブ組立体がウエハ上の1チップに対応していたが、本発明ではX、Y方向ユニットを組み合わせた時の各交差位置における垂直型プローブ3と4の配置が、1チップのパッドピッチに対応している。そして、X、Y方向ユニット5、6を組み合わせる際、垂直型プローブ3、4のピッチが半導体チップのパッドピッチに合うように、あらかじめ樹脂フィルムの厚みを合わせておくかあるいはスペーサを介して調整を行うかあるいは角型部材8a、8bの外周にある凸状突起のインデックス8c、8dにより正確な位置決めが行われる。本発明のインデックス8c、8dについて複数枚並設させての位置決めの方法については別途説明する。
次に、上記したマルチ配列垂直型プローブ組立体の各構成部分について具体的に説明する。図3は、垂直型プローブ3がパターン形成されたX方向リボン状フィルム1の斜視図である。また図4は、X方向リボン状フィルム1の部分拡大正面図である。まず、ベリリウム銅の箔等の導電性材質を積層したポリイミド樹脂または他の非導電性フィルムから成る帯状のフィルムを準備し、エッチングによって垂直型プローブ3をパターニングしたX方向リボン状フィルム1を形成する。垂直型プローブ3は、X方向リボン状フィルム1の面内で長手方向にU字形に形成された湾曲部31と、湾曲部31の開口端末部において略直角方向外方へ延びる上側支持脚部32及び下側支持却33と、上側支持脚32の先端に設けられた接点34とを有して成る。X方向リボン状フィルム1においては、垂直型プローブ3を湾曲部31を背方向同士向かい合わせて配置した2本を1ユニットaとして、X方向リボン状フィルム1の長手方向に複数のユニットaをa−1,a−2,a−3・・・というようにパターニングする。ユニットaの個数は、ウエハ上に形成されるチップ数に合わせて定める。この際、垂直型プローブ3の上側支持脚32の先端部分(接点34が設けられている部位)がX方向リボン状フィルム1の上部長辺のエッジから長さL1だけ突出するように樹脂フィルムの長辺部を除去する。垂直型プローブ3の接点34はプローブ検査の際に半導体チップのチップパッドに接触する探針となるので、先端をエッジ状にする。
さらに、X方向リボン状フィルム1には第1の開口部9が複数個設けられている。第1の開口部9は各ユニットaに対応して垂直型プローブ3の下方に設けられた矩形状の抜き穴で、図2に示すようにY方向ユニット6を通す穴である。また、X方向リボン状フィルム1には第2の開口部10が複数個設けられている。開口部10は、図4(図3のA部拡大正面図である)に示すように、隣接するユニットa同士(例えばa−1とa−2)の境界部に開けられたほぼT字形状の開口であって、垂直型プローブ3の向かい合う湾曲部31の内側部分をくり抜くような形で開けられている。このため、垂直型プローブ3の接点34に加えられた矢印S1方向の力は、この開口部10を設けたことによって樹脂フィルムからの複雑な方向の力を受けることなく垂直型プローブ3の湾曲部31全体に作用し、垂直型プローブ3を弾性変形させる。すなわち、他面からみれば、X方向リボン状フィルム1は、その全体の基本形状は帯状であるから、面に垂直な方向に加わる外力に対しては自由に変形するが面に沿った方向に加わる外力に対しては(帯の長手方向であっても幅方向であっても)変形しないものである。しかしながら、本発明においては、X方向リボン状フィルム1の面に垂直型プローブ3を設けるとともに、この垂直型プローブ3の湾曲部31の内側部分をくり抜いて開口部10を設けているから、その垂直型プローブ3の湾曲部31の部分においてX方向リボン状フィルム1が面方向(面の幅方向)に変形可能となっている。なお、X方向リボン状フィルムは、垂直型プローブ3の湾曲部31以外の部分では面方向に変形しない。垂直型プローブ3は検査の際に接点34部分に加わる接触圧力(矢印S・・1)によって変形(点線で示す)し、この変形により復元力が発生しその復元力がウエハ上のチップパッドと垂直型プローブ3の接点34との電気的導通を可能とする接触力として作用する。また、X方向リボン状フィルム1自体は、垂直型プローブ3の接触圧を生じさせる等の力学的特性の助長に寄与するというよりむしろ、その面上において長手方向に複数個直線的に配置される垂直型プローブ3の位置関係を正確に保つ手段としての機能を有する。また複数のX方向リボン状フィルム1を並べてX方向ユニット5を構成したときの垂直型プローブ3のフィルムの面方向への位置を決める手段として重要な役割を果たす。また隣接するプローブ同士或いは隣接する配線同士の間の絶縁手段としての機能も有する。
さらにX方向リボン状フィルム1には、図4に示すように、垂直型プローブ3の形成と同時に配線パターン39が形成される。この配線パターン39は、各ユニットaからそれぞれ2本ずつ、具体的には1ユニットに含まれる2つの垂直型プローブ3から1本ずつ、当該垂直型プローブ3から開口9の高さ範囲を通りすぎて下方へ延び、X方向リボン状フィルム1の下端部にて直角方向へ折れ曲がって水平方向を向き、下部長辺と開口部9との間の領域に配線形成されてX方向リボン状フィルム1の長手方向に延びている。また、開口部10の中央付近の角穴10aは、後述するようにX方向リボン状フィルム1を並設したときに位置決め用の角材を通す穴である。
次に、図5の正面図を用いてY方向リボン状フィルム2について説明する。Y方向リボン状フィルム2は、上述のX方向リボン状フィルム1とは構造が異なる。それは、X方向リボン状フィルム1とY方向リボン状フィルム2とを交差させて格子状に組み立てる際、垂直型プローブ3と4の先端部に設けられた接点の高さ位置が揃うようにするためである。まず、リボン状フィルム2の幅は矩形状の開口部を必要としないためリボン状フィルム1より幅寸法が狭くなっている。また、組立後、Y方向リボン状フィルム2の垂直型プローブ4の湾曲部35がX方向リボン状フィルム1の垂直型プローブ3の湾曲部31と干渉しないように、湾曲部35を一定距離下げて形成している。そのため、接点38がY方向リボン状フィルム2の上部長辺側から長さL2(>L1)だけ突出するようにリボン状フィルム2の長辺部を除去する。
さらに、X方向リボン状フィルム1と同様、垂直型プローブ4の形成と同時に配線パターン43が各ユニットaからそれぞれ2本ずつ、リボン状フィルム2の下部長辺に沿って配線形成されている。そして、このユニットaを複数個形成することによってY方向リボン状フィルム2を形成している。また、隣り合うユニットa同士の間に形成される十字型の開口部10はリボン状フィルム1と同形状に形成され、垂直型プローブ4の撓みを吸収する効果を持たせている。いずれにしても、リボン状フィルム2の垂直型プローブ4の先端部42を含めた幅寸法hは、リボン状フィルム1の開口部9の穴寸法Hよりも小さいことが必要である。また、開口部10の中央付近に角穴10aが開けられていることもX方向リボン状フィルム1と同様である。
次に上述したX、Y方向ユニット5、6を支持基板上に組み立ててマルチ配列垂直型プローブ組立体とする構造について説明する。図6は、Y方向リボン状フィルム2を複数枚並設させたY方向ユニット6の組立状態を説明する分解斜視図である。これは、Y方向リボン状フィルム2を複数枚並設させた時に、Y方向リボン状フィルム2がバラバラにならないようにする(すなわち、整列させる)ために、Y方向リボン状フィルム2の面に対して直角方向から図7に示す断面U型の角型部材8bを開口部10の角穴10aに貫通させて挿入し、保持するようにしている。また、垂直型プローブ4にはあらかじめ突起部44が形成されており、角型部材8bとスライド可能に、且つ突起部44の先端が角型部材8bの側面に突き当たることにより嵌合して各Y方向リボン状フィルム2の長手方向の位置合わせがなされる。また、角型部材8bの側面には所定の間隔を置いて複数の突起部47が設けられている。これらの突起部47は、Y方向ユニット6を構成する複数のY方向リボン状フィルム2の配置間隔を決めるためのものである。そして、突起部47と、次の突起部47との間に何枚かの(1枚でもよい)Y方向リボン状フィルム2を等間隔で配置することにより接点38のX方向のピッチを決定することができる。また、角型部材8bの側面の突起部47の下方位置には、突起部47の突出面よりも外方へ張り出して角型部材8bの長手方向に延びる棚部49が設けられている。この棚部49は、角型部材8bをY方向リボン状フィルム2の開口部10aに挿通したとき、Y方向リボン状フィルム2の垂直型プローブ4に形成された突起部44に係合し、垂直型プローブ4を下方から支持する役割を果たす。
同様にして、X方向ユニット5に対しても、図2に示すようにリボン状フィルム1がバラバラにならないようにする(すなわち、整列させる)ために、リボン状フィルム1の直角方向から図7に示す断面U型の角型部材8aを開口部10の角穴10aに貫通させて挿入し、保持するようにしている。また、図4のように垂直型プローブ3にはあらかじめ突起部42が形成されており、角型部材8aとスライド可能に、且つ突起部42の先端が角型部材8aの側面に突き当たることにより嵌合して各X方向リボン状フィルム1の長手方向の位置決めがなされる。このようにして、X、Y方向ユニット5、6がそれぞれ細長いブロックとして形成される。なお、支持部材8a、8bは非導電性の材料、あるいは表面に絶縁処理を施した材料を用いる。また、角型部材8aの側面には所定の間隔を置いて複数の突起部46が設けられている。これらの突起部46は、X方向ユニット5を構成する複数のX方向リボン状フィルム1の配置間隔を決めるためのものである。そして、突起部46と、次の突起部46との間に何枚かの(1枚でもよい)X方向リボン状フィルム1を等間隔で配置することにより接点34のY方向のピッチを決定することができる。また、角型部材8aの側面の突起部46の下方位置には、突起部46の突出面よりも外方へ張り出して角型部材8aの長手方向に延びる棚部48が設けられている。この棚部48は、角型部材8aをX方向リボン状フィルム1の開口部10aに挿通したとき、X方向リボン状フィルム1の垂直型プローブ3に形成された突起部42に係合し、垂直型プローブ3を下方から支持する役割を果たす。
次に、X、Y方向ユニットを支持基板上に組み立てるマルチ配列垂直型プローブ組立体の構造について説明する。図8は、マルチ配列垂直型プローブ組立体の支持台となる装架台13を示す(実際、製作途中の骨組部分のみを示す)部分斜視図である。この図に示すように、X、Y方向ユニット5、6を載せる装架台13は、支持基板(図示してない。これは支柱8の下方に敷設される基板である。)とこの支持基板上に直立された複数本の支柱8で構成される。支柱8は、X方向ユニット5とY方向ユニット6との交差エリア100の四隅部分にそれぞれ1本ずつ立設され、且つ支柱8の1本についてみると隣接する交差エリア100についてのX方向ユニット5とY方向ユニット6も支持し得るように配設される。また、支柱8は、図9及び図10に示すように所定寸法角の断面矩形状の部材から成り、その上端部分には、図10により詳細に示されるように、上端面から下方へ向けて切り込み成形され、且つ互いに直交する第1の溝51及び第2の溝52を有している。第1の溝51は、比較的浅く切り込まれた溝であり、第2の溝52は、第1の溝51よりは深く切り込まれた溝である。第1の溝51は、それ自体がY方向に延びるように支柱8が所定の間隔をおいて立設される。そして、第1の溝51には角型部材8aがはめ込み設置される(図8及び図9参照)。また、第2の溝52は、それ自体がX方向に延びるように支柱8が所定の間隔をおいて立設される。そして、第2の溝52には角型部材8bがはめ込み設置される(図8及び図9参照)。支持基板及び支柱8は、前述の角型部材8a、8bと同様、非導電性の材料、あるいは表面に絶縁処理を施した材料を使用し、特に支持基板はバーンインテストにも対応できるようにシリコン又はシリコンと熱膨張率の近似した材料を使用することが好ましい。
支柱8はX方向のピッチがp1、Y方向のピッチがp2となるように支持基板上に複数本がマトリクス状に立設される。
ここまでは、マルチ配列垂直型プローブ組立体を構成する各ブロックごとにその構造を説明してきたが、次にこれらのブロックを組み立てる手順について説明する。
まず、マルチ配列垂直型プローブ組立体全体の大きさの目安となるように、各構成部品の寸法の一例を示す。上記してきたようなリボン状フィルム1及び2は、例えば厚さ約12μmのポリイミドフィルムに厚さ20〜30μmのベリリウム銅を積層し、このフィルム上に垂直型プローブ3、4と配線39、43をパターニングしている。今、仮に被検査ウエハ上に10mm角の半導体チップがX−Y方向に配列しているとすれば、リボン状フィルム1、2をそれぞれ並設させたX、Y方向ユニット5、6の幅はそれぞれ9mm程度まで可能であることが分かる。また、10mmピッチに対応したX方向リボン状フィルム1は、支柱8が0.6mm角(図10に示す)とすると、当該X方向リボン状フィルム1の長手方向に配線を通すための縦方向の幅(配線と配線の隙間寸法)を0.2mmとすれば、開口部9の幅は最大9mmまで可能である。このことは、仮にX方向リボン状フィルム1の厚さを40μmとすれば9mm内に225枚のY方向リボンを並設させて開口部9に通すことが計算上は可能となる。しかし、実際には1チップ上の1列のパッド数に合わせて枚数を決めることになる。
また、図8に示した装架台13は、支持基板の大きさを被測定ウエハとほぼ同じにし、支柱8は4本で1チップ領域となるようにチップ数に合わせて立設させる。そして、1例としてピッチはp1=p2=10mmとし、支柱8の高さはX、Y方向ユニット5、6を装着した時に、X方向リボン状フィルム1の下辺が支持基板に接触しない程度の高さとする。
まず、あらかじめ角型部材8aを複数のX方向リボン状フィルム1の角穴10aに順次挿入して組み立てられたX方向ユニット5を複数組、ピッチを合わせて平行に並べ、角型部材8aは両端部をY方向に間隔をあけて立設された2本の支柱8の第1の溝51に嵌合させ、上記2本の支柱8間に装架する。次いでY方向からY方向リボン状フィルム2をX方向ユニット5の各フィルム1の開口部9に直角に挿通させて行く。挿通はY方向リボン状フィルム2を1枚ずつで行っても良いし、1ユニットに相当する枚数をまとめて一度に挿通しても良い。リボン状フィルム2の挿通が終った時点で、角型部材8bをリボン状フィルム2の角穴10aに順次挿通して行く。角型部材8bは両端部をX方向に間隔をあけて立設された2本の支柱8の第2の溝52に嵌合させ、上記2本の支柱8間に装架する。支柱8において、第2の溝52は第1の溝51よりも深く切り込まれているから、角型部材8bの設置高さは、角型部材8aの設置高さよりも低い位置に設定される。これにより、X方向ユニット5とY方向ユニット6との間に段差ができる(図8及び図9参照)。このようにしてX、Y方向ユニット5、6を格子状に組み合わせたブロックができ上がる。
ここで、積層されるY方向リボン状フィルム2が積層厚さ方向にバラツキがあった場合でもプローブの先端部を目標位置に正確に位置決めする方法について図6及び図7を用いて説明する。図6のY方向ユニット6を組立てる際、Y方向リボン状フィルム2をX方向リボン状フィルム1の開口部9を通して設置し、さらにY方向リボン状フィルム2の開口部10aに角型部材8bを挿通する。角型部材8bには突起部47があり、開口部10aの幅寸法が小さい場合は、突起部47がY方向リボン状フィルム2と角型部材8bとの間の挿通動作のストッパーとして作用し、ストップ位置になる。突起部47の位置はプローブ接点38の位置決めされるべき位置と対応しており、突起部47が角型部材8bに複数存在することによって、Y方向リボン状フィルム2の厚さのバラツキから生ずる累積する位置ズレ(並設方向の位置ズレ)を突起部47のピッチ範囲で修正することにより、大きい位置ズレを防止し、プローブの先端とウエハ上のパッドとを正しく対向させることができる。
また上述の位置ズレ防止とは別に、角型部材8bの長手方向に延びる棚部49が設けられているから、角型部材8bをY方向リボン状フィルム2の開口部10aに挿通したとき、Y方向リボン状フィルム2の垂直型プロープ4に形成された突起部44に係合し、垂直型プローブ4を下方から支持する役割を果たす。さらに、突起部44の先端が角型部材8bの側面に突き当たることにより嵌合して各Y方向リボン状フィルム2の長手方向の位置合わせがなされる。この突起部44の先端が角型部材8bの側面に突き当たる作用は、上記長手方向の位置合わせのみならず、バーンインテスト時におけるY方向リボン状フィルム2の熱膨張による垂直型プローブ4の位置ズレを防止するという効果をも併せ持つ。
以上の点は、X方向リボン状フィルム1及びこれにより構成されるX方向ユニット5についても同様である。
次に、このX、Y方向ユニット5、6を格子状に組み合わせたブロックを、支持基板に載せる。こうしてX、Y方向ユニットと支持基板との固定がなされ、マルチ配列垂直型プローブ組立体ができ上がる。なお、X、Y方向ユニット5、6の上下方向の位置決めが支柱8に形成した第1の溝51及び第2の溝52により行われるから、垂直型プローブ3、4の先端部32、42の先端高さを揃えることができる。
この実施の形態2によれば、X、Y方向ユニットが支柱上に格子状に固定されるため、温度差等によってリボン状フィルムに伸びが発生しても、1チップに対応したユニット内で吸収されて隣接するユニットに影響を与えることがなく、全体の伸びを抑えることができる。その結果、チップパッドと垂直型プローブとのピッチずれがなくなり、マルチ配列垂直型プローブ組立体を用いた特性測定が可能となる。
図11は、X、Y方向リボン状フィルム2に形成された配線39、43のフィルム端部における配線構造を示す図である。図11に示す配線構造は、プリント基板61上にある端子61a、61b、61c、61d、61e、61fとY方向リボン状フィルム2の端子はY方向リボン状フィルム2が微小間隔で配置できるのに対し、プリント基板61上の端子間隔は粗いためにY方向リボン状フィルム2をプリント基板61の端子61a、61b、61c、61d、61e、61fに1対1で対応すると、Y方向リボン状フィルム2を多種類製作しなければならないことを回避するものである。この場合、電気的導通を必要としないばね変形端子には絶縁処理を施す。また本発明の配線構造は、プリント基板61上の端子とY方向リボン状フィルム2の端子をはんだ付けをしないで接触導通する手段を提供するものである。配線43aには複数のばね変形を可能な端子43b(図11の例では3個)がある、また配線43cにもばね変形を可能な複数個の端子43dがある。プリント基板61上にある端子61a、61b、61c、61d、61e、61fの間隔が粗い間隔であっても、複数個微細ピッチで配置されているY方向リボンフィルム2の端子43b乃至は43dの弾性端子により電気的導通が行われる。また弾性端子であるため、上部からY方向リボン状フィルムを押下(図示せず)することによって弾性端子とプリント基板上の端子は略均一な接触圧で接触する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について図面を参照して詳細に説明する。図12は、本発明の実施の形態3に係るリボン状フィルムの一例を示す正面図である。本発明の実施の形態3はX方向リボン状フィルムまたはY方向リボン状フィルムの構成が大幅に簡単になる様に配慮したものである。すなわち、この実施の形態3においては、リボン状フィルム65のフィルム材質を極限まで切り詰め、互いに対向する一対の垂直型プローブ66a、66bにより構成される垂直型プローブ対66をつなぎ止める第1の連結部材67aと、1つの垂直型プローブ(例えば66a)の後方に位置する他の垂直型プローブ66cをつなぎ止める第2の連結部材67bと、垂直型プローブ66a、66b、66cから下方へ延びる配線68とにより構成される。配線68は、垂直型プローブ66a、66b、66cの下方、所定の部位で曲がることにより開口部69を形成し、上記実施の形態2におけるX方向リボン状フィルム1と同様な全体構成を有している。
かかる構成を採ることにより、一層シンプルな構成のプローバ装置を実現することができる。
以上、本発明によれば、X、Y方向ユニットを格子状に配置して位置決めしたのち全体を固定する構造であるため、温度差等によってリボン状フィルムに伸びが発生しても、全体の伸びを抑えることができる。その結果、チップパッドと垂直型プローブとのピッチずれがなくなり、マルチ配列垂直型プローブ組立体を用いた特性測定が可能となる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について図面を参照して詳細に説明する。図13は本発明の実施の形態4に係る被試験体の斜視図で、図14は実施の形態4におけるプローブの側面図である。図13及び図14において、プローバ装置は、プローブ101の要素が1つの電気導通部102と1つフィルム部103からなる場合である。このプローブ101の要素をいろいろの方向に配置することにより、メモリー関係のようなチップ1つに対して1または複数のラインのパッドに対応できる。すなわち、プローブ101を紙面に向かって横に適当なピッチで複数積層配置し、さらに紙面に向かって奥行き方向に複数積層配列することによって複数ラインのパッドの配列に対応できる。ここでいうプローブとは電気的接続が弾性変形をともなって接触力をあたえるコンタクトのことであり、一般に言われるLSI回路検査用プローバにのみ使われるプローブに限定するものではない。同様にプローバ装置も電気的コンタクトをする装置を示す。以下同じ。
図13において、符号600はウエハを示す。601はウエハ内に配置されたチップで、602はチップ内に配列されたパッドである。以下に説明する接触子1は1つのチップ601内に1列に配列されたパッド602があるような場合の検査に適用すると特に有効である。本発明のプローブ101は、半導体ウエハの検査のみならず、液晶の検査等にも同様の配列の検査を必要とする場合には有効である。
図14は、電気導通部102及びフィルム部103と関連する部品の配置関係を示す。電気導通部102は導電性材料から成り、一方に被試験チップの電極パッドに接触される入力部501、変形部502、固定部503、出力変形部504 出力部505からなる。変形部502の輪郭に円弧を含んでいるが、入力部501と固定部503から離れたところに円弧部が存在することで大きい変形量が得られる。固定部504の円弧部に表面が絶縁処理された丸棒104が挿入されて、入力部501にパッド602が接触したとき固定部503が固定しているため、変形部502が変形し、その復元力がパッド602と入力部501間の接触力となる。
本発明における電気導通部102の特徴は固定部502と出力変形部504に特徴がある。固定部503には丸棒104が挿入され、その挿入された丸棒104を固定板105が支持している。固定板105には配線組立106が貼り付けられていて、配線端子106の垂直に伸びる線の一端が出力部505と
接触し電気的導通がなされる。出力変形部504にも円弧が含まれていて、配線端子と接触すると変形し接触力が出力変形部の復元力により発生する。
出力変形部504が適当量変形した状態で配線端子106と出力部505が接触することにより安定した電気的接続が達成できる。本発明の実施の形態4において出力変形部504に円弧が含まれる構造としたが特に弾性変形を発生させる手段形状については円弧部に限らなくてもよい。
補助パターン107は、対称関係の力が作用することから、丸棒104の圧入挿入を安易にすると同時に固定部503の固定効果を高めるためのものである。
フィルム部103の表面に電気導通部102と補助パターン107が貼り付けられている。電気導通部102にある変形部502の変形動作を妨げることのないように、変形部502の内側に各穴510が開けられている。フィルム部103に穴510が開けられていることによって、変形部502が変形したとき、フィルム部103に発生する皴等が少なくなる。また固定部503の丸棒104の挿入位置に、丸棒104の径と同程度の径の穴108が開けられている。
LSI回路検査の過程でパッド602が紙面に向かって下側に移動しパッド602と入力部501との間に適切な接触力が作用するまで移動すると同時に入力部501も下方に移動する。このとき変形部502は変形している。接触力が作用し変形部502の復元力が作用しているとき丸棒104の上方部主体に固定部503から丸棒104を押し下げる力が作用する。丸棒104の下端は固定板105と接触しているので、固定板105の上下方向の長さは接触力を受けても撓みが無視できる程度の長さで、丸棒104の撓みが発生しない。また接触力が作用したとき、固定部503に接触力による右方向作用する力のベクトルが存在するが、フィルム部103に電気導通部102が貼り付けられているので特に問題が発生しない。
従って、以上説明した通り、固定部503が固定された状態でパッド602と入力部501が接触力を伴いながら接触し、パッド602と配線端子106が良好な電気的導通が得られる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について図面を参照して詳細に説明する。図15は本発明の実施の形態5に係る被試験体の斜視図で、図16は実施の形態5におけるプローブの側面図である。本実施の形態5は、基本的垂直型プローブ101の要素が2つの電気導通部102と1つフィルム部103からなる場合である。このプローブ101の要素をいろいろの方向に配置することにより、近接する2列配列、対向する2列配列、ASICやロッジク等、パッド702を矩形形状に配列したチップ601に対応できる。
図16は、2つのプローブ部を向かい合わせた状態で配置した場合の構造を示す。左側のプローブ部は実施の形態4で説明した補助パターン107と入れ替わった状態で配置されていて、2つの入力部501,501は隣接する2つチップの左側と右側のパッド602と対向している。
このプローブ101の要素をいろいろの方向に配置することにより、メモリー関係のようなチップ1つに対して1または複数のラインのパッドに対応できる。すなわち、プローブ101を紙面に向かって横に適当なピッチで複数積層配置し、さらに紙面に向かって奥行き方向に複数積層配列することによって複数ラインのパッドの配列に対応できる。さらに略同様の配列を直交して配列することにより、残された矩形状配列の2辺のパッドに対向するため、前記したASICやロッジク等のパッド602に対向する、矩形形状に配列したチップ601に対応できる。
固定板105の両側に配線端子106があり、2つのプローブ101の電気導通を可能にしている。
本実施の形態5における電気導通部102の入力部501、変形部502、固定部503、出力変形部504、出力部505の機能は実施の形態4と略同じである。
従って、実施の形態5の配列と固定板105を挟んで存在する2つの配線端子106は隣接するチップ601に対応し、矩形配列型パッド配列の電気導通を可能とするための有効な配列である。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について図面を参照して詳細に説明する。図17は本実施の形態6に係るプローブ603の正面図、図18はそのプローブ603の側面図、図19はグランドラインパターン604の正面図、図20はフィルム605の正面図である。本実施の形態6は、高速化に対応するためのものである。なお、対応するチップは実施の形態4と同様、このプローブ603の要素をいろいろの方向に配置することによりメモリー関係の様なチップ1つに対して1または複数のラインのパッドを有するチップ配列に対応できる。また、本実施の形態6での配線端子及び固定板は、実施の形態4で説明した配線端子106及び固定板105と略同様の原理及び機能のもとで適用可能であるため、本実施形態での説明を省略する。
一般に長方形断面の断面2次モーメントの大きい材料形状を利用して、接触力を確保しょうと試みると材料の幅(紙面の上下方向での寸法)が大きくなる。このことは多数厚み方向(紙面に垂直方向)に接触子を積層すると電気容量が大きくなり高速化に逆行する。一方接触子は適当な接触力を必要としている。本実施の形態は、電気導通部の材料幅を小さくしながら、接触力を得るもので、力に関係するグランドラインパターン604が関与し、電気導通に関係しては電気導通部606が対応する方法である。なお、電気導通部606とグランドラインパターン604はフィルム605が介在し、2つの部材電気的導通部606とグランドラインパターン604は機械的に図19の力が伝達される部分Kで結合しながら電気的には絶縁状態を可能にしている。
図17に電気導通部606が実線で描かれている。この電気導通部606において、607は入力部で、608は変形部、609は固定部、610は出力変形部、611は出力部である。電気導通部606の主な機能は、実施の形態4で説明した電気導通部102とほぼ同じ構造で、またその機能もほぼ同じである。ただし、各部の線幅、丸棒104からの距離が小さいことである。また入力部607の中腹でフィルム605を介してグランドラインパターン604と機械的に結合している。すなわち、グランドラインパターン604の表面はフィルム605と機械的に結合していて、電気導通部606は入力部607と固定部609近傍とで機械的に結合している。
パッド(図示せず)の下方に移動して、入力部607を押し下げたとき、図19に示す斜線の部分Kは、電気導通部606とフィルム605は一体となって同一の動きをする。接触力として作用する力はグランドラインパターン604の変形部621と電気導通部606の変形部608との、それぞれの変形によって生ずる復元力の略和である。ただし、本実施の形態においては、上述の通り、断面2次モーメントが小さい電気導通部606の変形部608には小さい応力で対応可能にしているため、接触力はグランドラインパターン604の変形部621が電気導通部606の変形部608の外側にあっても、断面2次モーメントに関与する材料幅の影響が大であるため、グランドラインパターン604の復元力によって略生ずることになる。このことは電気導通部606が小型化できると同時に大きい入力部607の上下動作と最適な接触力を得ることを可能にする。
入力部607のパッドの先端と接触する部分のみ広くすること、及び狭くすることは、部分エッチング技術または部分メッキ技術によって可能であるので、要求される使用にあわせて適宜使い分けすることで技術的目標が達成可能である。
図18は図17の右側面図で、電気導通部606にフィルム605及び絶縁フィルム612が貼り付けられている。また、グランドラインパターン604の一方の表面がフィルム605に貼り付けられている。前記したように入力部607に加えられた接触力は、図18に矢印Fで示すような力の伝達があり、丸棒104によってその接触力が支えられている。すなわち、電気導通部606の入力部607に加えられた接触力は電気導通部606からフィルム605及びグランドラインパターン604へ伝達され(図18の矢印F2)、当該電気導通部606の変形部608およびグランドラインパターン604の変形部がフィルム605とともに弾性変形することにより支持される。電気信号の導通については、電気導通部606の入力部607に入力された電気信号は、当該電気導通部606を通って伝わる(図18の矢印F2)。
図19において、丸棒104は、グランドラインパターン604の固定部622の円弧部623と圧入嵌合している。変形部621の突出部622と左側の突出部624は複数決められたピッチで左右に配列したとき、夫々が接続する。従って、グランドラインパターン604は配線のグランドと接続されなくても適当な箇所でグランド接続することが可能である。例えば変形部609と類似の端子をグランド接続が必要な箇所のみに配置すればグランド接続が可能となる。図19では簡単に推定できる範囲であるため省略する。
図20はフィルム605を示す。このフィルム605は、実施の形態4の機能と略同一の機能を有し、さらに電気導通部606及びグランドラインパターン604と夫々機械的に結合している。なお、フィルム605には、実施の形態4の穴510に対応する穴613と丸棒104が貫通する穴614が設けられている。
図21は電気導通部606に貼り付けられた絶縁フィルム612を示す。この絶縁フィルム612は、プローブ603が厚み方向に配列されたとき、夫々が絶縁状態であることが必要である。この絶縁フィルム612を入力部607がパッドと接触する近傍及び出力部611が配線端子106と接触する近傍を除いて、電気導通部606を囲い込むように貼り付けることにより、それぞれの電気導通部606は電気的に独立した構造になる。なお、絶縁フィルム612には、フィルム605の穴613に対応して穴615と丸棒104が貫通する穴616が設けられている。
(実施の形態7)
図22は、実施の形態7を示すプローブ603における電気導通部606の正面図である。図23は上記プローブ603における電気導通部606の側面図である。この実施の形態7は、プローブ603の高速対応化を図るために、電気伝導部の対向する距離を大きくして電気容量を小さくするものである。なお、図22では、厚み方向に積層された接触子300の隣接する電気導通部606−1及び6061−2のみを正面図として描いたもので、また接触力を作用してない状態で示している。
電気導通部606−1及び電気導通部606−2のそれぞれの入力部を607−1、607−2とすると、この入力部607−1の垂直方向の長さL1と入力部607−2の垂直方向の長さL2が異なり、変形部608−1と変形部608−2が略同一の形状とすると正面図からみた対向する重なりが小さくなり、従って図22に示すように電気導通部606−1及び電気的導通606−2に対向する面積も小さくなる。結果的には本実施の形態7に従えば、電気容量の小さい高速化対応の接触子組立が可能になる。なお、本実施の形態7の方法は、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6にも適用可能である。
(実施の形態8)
図24は本発明の実施の形態8を示すプローブ603の正面図である。図25はそのグランドラインパターン604の正面図である。図24及び図25に示す実施の形態8は、電気導通部606−1及び電気導通部606−2が2つ、左右対称に配置された場合である。この要素をいろいろの方向に配置することにより、近接する2列配列、対向する2列配列及び図15に示すようなASICやロッジク等のパッド602が矩形形状に配列したチップ601にも対応できる。
図24は2つの電気導通部606を左右対称に配置し、共通のグランドラインパターン604と共通のフィルム605及び絶縁フィルム612を有するの場合の説明図である。2つの入力部は隣接する2つチップの左側と右側のパッド602と対向している。
横方向に適当なピッチで配置し、さらに紙面に向かって奥行き方向に積層配列することによって矩形パッドパターの対向する2列を有する複数配列されたチップに対応可能となる。更に略同様の配列を直交して配列することにより残された矩形状配列の2辺のパッドに対向するため、前記したASICやロッジク等、パッド602に対向する矩形形状に配列したチップ601に対応できる。
固定板105の両側に配線端子106があり、2つのプローブ102,102の電気導通を可能にしている。
本実施の形態8における電気導通部606の入力部607、変形部608、固定部609、出力変形部610、出力部611の機能は、実施の形態4と略同じである。なお、図26はグランドラインパターン604が配線のグランドラインと接続される場合の、グランドラインパターン604の出力変形部604aである。なお、本実施の形態におけるフィルム及び絶縁フィルムは、図20及び図21の右側の形状と左側も同等のものであり、推定可能と思われるので図及び説明を省略する。
従って、本実施の形態8の配列と固定板105を挟んで存在する2つの配線端子106は隣接する実施の形態5に示すチップ601に対応し、矩形配列型パッド配列の高速の電気導通を可能とするための有効な配列である。
以上の説明からグランドラインパターン、フィルム及び絶縁フィルムを有する本実施の形態8に従うことにより、矩形状配列のパッドに高速化した接触子による電気的導通が可能となる。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9について図27乃至図31を用いて説明する。図27は本発明の実施の形態9におけるプローブ組立体のプローブの部分を示す斜視図である。図28は、図27に示されたプローブ部分を側面から見た概略構成図であり、電気信号の導通経路を明らかにする図である。図29は本発明の実施の形態9を示すプローブの正面図である。図30はそのグランドラインパターンの正面図である。図31は本発明の実施の形態9を示すフィルムの正面図である。
実施の形態9における電気的な接続方法は、実施の形態6或いは実施の形態8における電気的な接続方法とは異なった方法を採用している。すなわち、実施の形態6などにおいては電気導通部606の先端部(図18の607)がパッドと接触して接触力(F)を受け、且つ電気的な接続を行うものであった(図18参照)。これに対して、実施の形態9においては、電気導通部はパッドとは接触せず、グランドラインパターン604−1がパッドと接触することにより接触力の受け入れと電気的な接続が行われる方法を採用している。この実施の形態9の方法は、電気導通部102−1のパターン厚さが数μmと極めて薄くなり弾性力が小さくなった場合に、パッドとの接続において接触力の受け入れはグランドラインパターンからの方が変形及び破壊を発生しないため優る。
図27に示すように、本実施の形態9のプローブ603−1は、電気導通部102−1、フィルム605−1、グランドラインパターン604−1から成る。グランドラインパターン604−1は金属など導電性の材質から成り、接触部621−1、先端部621−2、切欠き621−3を有する。電気導通部102−1ももちろん金属など導電性の材質から成り、補強パターン102−3および先端部102−2を有する。この電気導電部102−1の先端部102−2はグランドラインパターン604−1の先端部621−2と金属接合されている。補強パターン102−3は接続面積を増加して金属接合等の強化の手段となるものである。
電気導通部102−1と、フィルム605−1と、グランドラインパターン604−1の接触部621−1とは、蒸着手段或いはメッキ手段などにより強固に接合されている。パッドとグランドラインパターン604−1の先端部621−2とが接続して接触力を発生したとき、この接触力は図28において矢印Aで示されるように入力され、その後は矢印A1,A2,A3で示すように伝達される。すなわち、入力された接触力(矢印A)はグランドラインパターン604−1の先端部621−2から電気導通部102−1の先端部102−2へ伝達され(矢印A1)、次に電気導電部102−1からフィルム605−1へ伝達され(矢印A2)、さらにフィルム605−1からグランドラインパターン604−1へ伝達される(矢印A3)。これにより、グランドラインパターン604−1の変形部(図30における符号621−4)が弾性変形する。上記矢印A3で示された接触力の伝達先は、グランドラインパターン604−1の先端部621−2から見て切り欠き621−3を越えた基端部である。このため、上述のようにして接触力が伝達されるのに対して、電気信号は切り欠き621−3及びフィルム605−1(絶縁性の材質から成る)により遮断され、グランドラインパターン604−1を通り抜けることはない。
次に、本実施の形態9における電気信号の導通について説明する。図28に示すように、電気信号は矢印Aで示されるように入力され、その後は矢印A1,A4で示すように伝達される。すなわち、入力された電気信号(矢印A)はグランドラインパターン604−1の先端部621−2から電気導通部102−1の先端部102−2へ伝達され(矢印A1)、そのまま電気導電部102−1を通って出力変形部(図29における符号102−4)に送られる。既に上述したように、グランドラインパターン604−1には切り欠き621−3があるから、グランドラインパターン604−1の変形部に電気信号が伝わることはない。
本実施の形態に従えばグランドラインパターンからパッドからの電気信号を入力して電気導通部102−1に伝え電気検査を可能にする。
(実施の形態10)
図32は実施の形態10として示すプローブ603における干渉回避の説明図である。プローブがASICやロジックのようなパッド配列が矩形状に配列されている場合、プローブが本発明では交差(或いは直交)する。この場合の干渉回避にあたり、図32において2つの電気導通部606のA,B,C,Dがそれぞれ同じという条件で達成している。このことにより、固定板105から丸棒104の上面までの距離が等しいので同一の取り付け方法を可能としている。また電気的導通部の電気的特性も殆ど同一になる。
次に、このようにして構成された本発明に係るマルチ配列プローブ組立体の電気配線構造について、図33〜図41を用いて説明する。
図33はその電気配線構造体の一部を示す斜視図である。この電気配線構造体は、被測定物である半導体チップとプローバ装置本体との間をつないで電気信号の授受を行うための重要な機能を持っている。
図33に示すように、この電気配線構造体は、ポリイミド樹脂などの絶縁性フィルムの両面にベリリウム銅などの配線パターンが形成されたリボン状フィルム707、708からなり、このリボン状フィルム707、708をそれぞれ2枚ずつX−Y方向に組み合わせて構成される。リボン状フィルム707には切り込み771が、また、リボン状フィルム708には切り込み781がそれぞれ複数個所にピッチPで形成されている。また、切り込み771、781の幅は、台座と台座の間隔に等しい。これらの切り込みによってリボン状フィルム707、78をX−Y方向に格子状に組み合わせることができるようにし、台座と台座の間隙にこのリボン状フィルム707、708を配置して個別プローブ組立体との間の電気的接続を可能にしている。なお、リボン状フィルム707、708は、X、Y方向とも台座と台座の隙間に2枚ずつが配置される。この配線パターンを有するリボン状フィルムの構造について、図34、図35を用いて具体的に説明する。
図34はX方向リボン状フィルムの構成を示す図であり、図35はY方向リボン状フィルムの構成を示す図である。それぞれの図において、(a)は側面図、(b)は正面図である。図33で示したように、リボン状フィルム707には、支柱の配列ピッチPに合わせてフィルムの短手方向に複数の切り込み771が設けられ、同様にリボン状フィルム708にはリボン状フィルム707とは反対方向から切り込み781が設けてある。切り込み深さはフィルム幅のほぼ中央部までであり、切り込み幅は台座と台座の間隙に等しい。また、フィルム707、708の長さは、ウエハ上に形成されたチップのX又はY方向の最大配列長さをカバーできる長さとする。そして、X方向のリボン状フィルム707とY方向のリボン状フィルム708とでは、配線パターン構造が若干異なっている。
まず、図34(a)に示すX方向リボン状フィルム707は、その表面側の切り込み771の無い上半分(h/2)側に複数本の銅配線772が上下方向に平行して狭ピッチ(例えば45μm)で形成されている。この狭ピッチ間隔は、個別配列プローブ組立体の垂直型プローブのピッチと一致している。一方、このフィルム707の裏面側には、フィルム長手方向と平行して切り込み771の無い上半分(h/2)側に銅配線772と直交する複数の共通銅配線773が形成され、銅配線772と共通銅配線773とはフィルム707に開けられた貫通孔774を介して表裏で電気的に接続されている。共通銅配線773は銅配線772と同様フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング法やメッキ法で製作される。また、銅配線772と共通銅配線773はフィルムの表裏両面に別々に設けられているため、接続のための貫通孔774は接続に必要な交差位置にのみ設ければよく、それ以外の交差点におけるシールドの必要がない。このように、X方向リボン状フィルム707に形成された銅配線772と共通銅配線773からなる配線パターンは、共通銅配線773を共通ラインとしてこのラインから銅配線772が隣り合う切り込み771と771の間隔Pを1区画として各区画ごとに分岐した形となる。
一方、Y方向となるリボン状フィルム708は、図35(a)、(b)に示すように幅hのフィルム表面側の下半分(h/2)に達する長さに銅配線782が、また裏面側の下半分(h/2)に共通銅配線783が形成され、それぞれの配線が貫通孔784を介して表裏で接続されることはX方向リボン状フィルム707と同じであるが、ここでは切り込み781の位置が上向きとなるため共通銅配線783が切り込みの無いフィルム下半分に配置されることになり、その分、銅配線782の長さが長くなっている。このようにして形成されたリボン状フィルムは、銅配線及び共通銅配線を含むフィルム全体を薄い絶縁被膜で覆って銅配線の剥離や短絡を防止するために表面を保護している。ただし、前述の台座及び後述(図37、図38)するX−Y方向位置決め部材が樹脂の場合には、特に絶縁被膜を設けなくてもよい。
また、銅配線772、782は、その先端部分がフィルム長手方向の上辺部からわずか突出(図34、図35に寸法aで示す)しており、この突出先端面は銅面を露出させてマルチ配列プローブ組立体を組み立てるときに垂直プローブ先端と接触するための接触端子775、785を形成している。また、共通銅配線773、783は、図41の斜視図に示すようにリボン状フィルム707、708の端部がソケット715に挿入できる構造となっているため、ソケット715を介して外部検査装置との接続が可能となる。
図43乃至図45は、図35で示したY方向リボン状フィルム708の応用例を示す図で、図43は斜視図、図44は正面図、図45は断面図である。図35と異なる点は、縦方向の銅配線782を、横方向の共通銅配線783との交差点を越えてリボン状フィルムの下辺にまで延長し、下辺からわずか突出させて下辺側にも接続端子785cを設けた点にある。こうすることによって、リボン状フィルムの上下辺に接続端子が形成されるので、上下を逆にしても使用可能である。同様に、X方向リボン状フィルムの下辺にも接続端子を設けることによって、リボン状フィルムの応用範囲を広げることができる。
図42は、リボン状フィルムの配線とウエハとの接続の一例を説明する図である。すなわち、共通銅配線として2本の入力信号線863、864、及び出力信号線865を設ける。これらの信号線は、例えばウエハ861上でX方向に配列した複数のチップ862を共通に接続しているため、各列ごとに同時に検査が可能である。これらの信号線は、その種類や本数を任意に設定すればよく、必要に応じてリボン状フィルムを交換することも容易である。
このようにして形成されているX及びY方向のリボン状フィルムを、マルチ配列装架台に取り付ける。その際、必要となる部品について図30、図31、図32を用いて説明する。図36は、マルチ配列装架台の一部を示す平面図である。すなわち、X−Y方向にピッチPで配列された台座703同士の間隔cの間に、X方向位置決め部材709とY方向位置決め部材710を格子状に組み合わせて設置している。X方向位置決め部材709とY方向位置決め部材710は、組み合わせるときにそれぞれの交差部に開けられている穴を支柱706(直径d)に通すことによってX−Y−Z方向の位置決めと固定がなされる。このX方向位置決め部材709及びY方向位置決め部材710の厚さfは、支柱706を通すためにf>dであるとともに、その両側に前述のリボン状フィルム707又は708が挿入できる幅gをあけてf=c−2gとなるように定める。また、幅gは、リボン状フィルム707、708の両面に形成された銅配線772、773又は782、783を含めた厚さ寸法が挿入できるように定める。
図37は、X方向位置決め部材709とY方向位置決め部材710の構造を示す斜視図である。X方向位置決め部材709及びY方向位置決め部材は、樹脂又は金属材料などからなる厚さhで幅fの長尺板状部材である。そして、幅cで深さh/2の複数の切り込み792が下辺側にピッチPで形成され、各切り込み792の中心位置には直径dの支柱706が通る穴791が開けられている。一方、Y方向位置決め部材710は、上記X方向位置決め部材709と直角に組み合わされて取りつけられる部材であって、同様に切り込み802、穴801がピッチPで設けられているが、ここでは切り込み802が反対側(上辺側)に設けられている。なお、位置決め部材709及び710に形成された切り込み792、802と、リボン状フィルム707及び708に形成された切り込み771、781の各寸法は、全て同一である。
図38は、X方向位置決め部材709とY方向位置決め部材710を組み合わせた交差位置における状態を示す斜視図である。X方向位置決め部材709、Y方向位置決め部材710ともに穴791と801を支柱706に通すことによってX−Y方向の位置決めがなされ、同時に下端部が支柱706の段部761に当接してZ方向の位置決めがなされる。このとき形成される隙間gには、リボン状フィルムが取りつけられる。なお、この位置決め部材709と710は、位置決め機能のほかに支柱706とともにマルチ配列プローブ組立体を構成する補強部材としての機能も果たしている。
図33は、上記のX方向位置決め部材709とY方向位置決め部材710、及びリボン状フィルム707、708をマルチ配列装架台に取りつけた状態を示す平面図である。これらの部品を取り付けたことによって、台座703の四側面には個別プローブ組立体の垂直型プローブと接触するための接触端子775、785を有するリボン状フィルム707、708が位置決めされて取り付けられ、また、リボン状フィルム707、708の銅配線772、782を介して外部に電気信号を取り出すことができるので、マルチ配列プローブ組立体としての機能を充分発揮することができる。
次に、図39に示したように位置決め部材709及び710、リボン状フィルム707及び708を取り付ける手順について、図40(a)、(b)、(c)、(d)の工程図を用いて説明する。なお、この手順は一例であって他の手順で実施しても差し支えない。まず、図39(a)に示すように、Y方向位置決め部材710の切り込み802を上にして穴801を支柱706に通し、Y方向位置決め部材710を台座703と703の間に設置する。このときY方向位置決め部材710は支柱706によってY方向の位置決めがなされると同時に、下辺部が支柱706の段部761に当接してZ方向の位置決めもなされる。このとき、Y方向位置決め部材710の両側で台座3との間には隙間gが形成される。
次に、図39(b)に示すように、この両側の隙間gにY方向リボン状フィルム708を横長にして1枚ずつ垂直に嵌め込んで行く。挿入の際は、切り込み781を上に向けかつ垂直銅配線782を台座703の側面に向けて挿入する。このとき、リボン状フィルム708は切り込み781が位置決め部材710の切り込み802と同寸法であることから、それぞれの切り込み位置を合わせることによってY方向の位置決めを行う。あるいは、リボン状フィルム708を位置決め部材710にあらかじめ位置合わせして重ね合わせておき、位置決め部材10を取り付けるときに一体にして嵌め込んでもよい。嵌め込むと同時にリボン状フィルム708の下辺部も支柱706の段部761に当接してZ方向の位置決めがなされ、それによってフィルム708の上端面位置は台座703の上面位置に一致する。また、台座703に取りつけられるプローブ組立体701のプローブ先端と、リボン状フィルム708の垂直銅配線782の接触端子785とがそれぞれ一致するようになる。
このようにしてY方向の位置決め部材710及びリボン状フィルム708の取り付けが終わった後、今度は図39(c)に示すように、X方向位置決め部材709の切り込み792を下にして穴791を支柱706に通し、X方向位置決め部材709を台座703と703の間に設置する。このときX方向位置決め部材709は支柱706によってX方向の位置決めがなされると同時に、下辺部が支柱706の段部761に当接してZ方向の位置決めもなされる。その結果、位置決め部材710と709は、切り込み802と792がそれぞれ組み合わされて格子状となって台座703と台座703の間に取りつけられる。このとき、X方向位置決め部材709の両側で台座703との間には隙間gが形成される。
次に、図39(d)に示すように、この両側の隙間gにX方向リボン状フィルム707を横長にして1枚ずつ垂直に嵌め込んで行く。挿入の際は、X方向リボン状フィルム707を切り込み771を下に向けかつ垂直銅配線772を台座703の側面に向けて挿入する。このとき、リボン状フィルム707は、切り込み771が既に取りつけられている位置決め部材710の切り込み802、リボン状フィルム708の切り込み781と組み合わされて格子状にとりつけられ、X方向の位置決めがなされる。同時にフィルム下辺部も支柱706の段部761に当接してZ方向の位置決めがなされ、それによってフィルム7の上端面位置は台座703の上面位置に一致する。また、台座703に取りつけられるプローブ組立体701の垂直プローブ先端とリボン状フィルム707の垂直銅配線772の接触端子775とがそれぞれ一致するようになる。
このように本発明におけるマルチ配列プローブ組立体の電気配線構造は、共通配線ラインを有するリボン状フィルムを格子状に組み合わせることによって、容易にかつ精度よく組み立てることができる。また台座の各側面の正しい位置にそれぞれ複数本の銅配線接続端子が一度で当接固定されるので、後から接続端子の高さや平行度を調整する必要がない。
(実施の形態11)
次に、本発明の実施の形態11について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態11は図55に既に説明済みの本発明システムである多数配線対応及び高速化対応のものである。図46は本実施の形態11の斜視図である。例えばメモリー関係の線上に配列したパッドに一括プローブの接触を計り高速検査する。
図46において602はパッドであり、近接する2列があり図に示す様に一定間隔2列ずつ配列されている。本実施の形態11では2列近接する配列を例にしているが、前記した対向するプローブ603の何れか一方を配置しなければ等間隔の線配列になる。
709−1はX方向位置決め部材、710−1はY方向位置決め部材である。実施の形態9においてX方向位置決め部材709、Y方向位置決め部材710についての形状及び機能について説明したが、本実施の形態 におけるX方向位置決め部材709−1、Y方向位置決め部材710−1も略同じ形状と機能を有する。また709−1はX方向位置決め部材、710−1はY方向位置決め部材は相互に正確な位置決めを達成するための手段として作用している。プローブ603−1がY方向に複数個、厚さ方向(X方向)ひ積層して配列されている。実際には前記説明の通りフィルム状絶縁膜であるフィルム605−1にグランドラインパターン604−1および電気銅通部606−3がリソグラフィ技術に基ずくエッチング及びメッキ等の加工手段に形成され配置されている。110は1軸用テスト回路である。
図47は図46の主要部を更に拡大したものである。1軸テスト回路110はX方向位置決め部材709−1の側面に2セット強固に貼り付けられている。図48は1軸テスト回路110の正面図である。1軸テスト回路はフレキシブルフイルム111、電子デバイス112、接続配線113、入出力線114から成る。
フレキシブルフイルム111は実施の形態8におけるリボン状フィルム707と同質の材料からなり、接続配線113は銅配線772と略同様のプローブとの電気的接続の役割を果たす。電子デバイス112は前記図55で説明の汎用コンピュータ73からの検査情報をインターフェース75から受け接続線113に送る。電子デバイス112は紙面の上下方向に必要とする空間を確保できるため、チップ1つに対し1つの検査回路が存在できるようなは配置が可能である。図48では2つの電子デバイス112から接続配線113がチップ上のパッド602に接続されるように表わしたが、実際は多数の電子デバイス112の1つから実質的に前記接続配線113を通じて1つのチップ上パッド602に接続される。
図49は図46の矢印X方向から見た図である。図50は図46の矢印Y方向から見た図である。図47、図49においてX方向位置決め部材709−1にあけられた穴791−1に固定ピン109が圧入され、固定ピン109の鍔(つば)とX方向位置決め部材709−1の凸部の一端に丸棒109が鋏まれ固定している。本実施の形態の場合丸棒109は1直線方向から(この場合はX方向からのみ)配置されている。後述する実施の形態ではX及びY方向からの配置になる。
図50において、接続配線113はフレキシブルフイルム111から若干突出していて出力変形部610−1と電気的接続が成される。切り欠き115はX方向位置決め部材709−1との干渉を回避するためのものである。
以上、本実施の形態11に従えばウエハ上に配列された全チップの全てのパッドに検査回路から直接、チップ1対検査回路1の対応で検査信号の授受が図られるシリアル検査ではない同時一括で高速のウエハ検査システムが構築できる。
(実施の形態12)
次に、本発明の実施の形態12について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態12は図55に既に説明済みの本発明システムである多数配線対応及び高速化対応のものである。図51は本実施の形態12の斜視図である。例えばロジック関係ACIC等の矩形に配列したパッドに一括でプローブの接触を図り高速検査するものである。
図51において601はチップであり、602はパッドであり、チップ601はウエハ上に多数格子状に配列されているものとする。709−1はX方向位置決め部材、710−1はY方向位置決め部材である。実施の形態9においてX方向位置決め部材709、Y方向位置決め部材710についての形状及び機能について説明したが、本実施の形態12におけるX方向位置決め部材709−1、Y方向位置決め部材710−1も略同じ形状と機能を有する。また709−1はX方向位置決め部材、710−1はY方向位置決め部材は相互に正確な位置決めを達成するための手段として作用している。プローブ603−1がY方向に複数個、厚さ方向(X方向)に積層して配列されている。実際には前記説明の通りフィルム状絶縁膜であるフィルム605−1にグランドラインパターン604−1および電気銅通部606−3がリソグラフィ技術に基づくエッチング及びメッキ等の加工手段に形成され配置されている。
110は1軸用テスト回路である。プローブ603−2はプローブ603−1と直交するようにプローブ603−1と同様Y方向及びX方向に図に示す様に配列されている。プローブ603−1とプローブ603−2が干渉しない方法について図22及び図23に説明した方法に従って製作されたものである、
1軸テスト回路110はX方向位置決め部材709−1の両側面に2セット強固に貼り付けられている。同様に2軸テスト回路116はY方向位置決め部材710−1に2セット両側面に強固に貼り付けられている。1軸テスト回路110と2軸テスト回路が干渉しないために2軸テスト回路116に切欠き120が設けられていて、1軸テスト回路110はこの切欠きを通過して組み付けられている。図52は2軸テスト回路116の正面図である。図52が示す様に2軸テスト回路は2フレキシブルフイルムの117、電子デバイスの112、2接続配線の118、2入出力線119、切欠き120から成る。
2フレキシブルフイルム117は実施の形態8におけるリボン状フィルム707と同質の材料からなり、2接続配線118は銅配線772及び接続配線113と略同様のプローブとの電気的接続の役割を果たす。電子デバイス112は図55で説明されている汎用コンピュータ73からの検査情報をインターフェース75から受け接続線118に送る。電子デバイス112は紙面の上下方向に必要とする空間を確保できるため、チップ1つに対し1つの検査回路が存在できるようなは配置が可能である。図48では2つの電子デバイス112から接続配線113がチップ上のパッド602に接続されるように表わしたが、実際は多数の電子デバイス112の1つから実質的に前記2接続配線118を通じて1つのチップ上パッド602に接続される。
1軸用テスト回路110と2軸用テスト回路の主な違いは2切欠き120は
切欠き115より電子デバイス112との干渉を回避するために大きいことである。また切欠きが大きくなったために2接続配線118の通過する巾が狭くなることである。本発明の実施の形態 では図52に示す様に、狭くなった部分は2フレキシブルフイルムの表裏に配線し表面及び裏面の配線の合計が電子デバイス112から出力された配線の合計と同じ様に配線して対応している。
図53は図46の矢印X方向から見た図である。図54は図46の矢印Y方向から見た図である。図51、図53、図54においてX方向位置決め部材709−1にあけられた穴791−1に固定ピン109が圧入され、固定ピン109の鍔(つば)とX方向位置決め部材709−1の凸部の一端に丸棒109が鋏まれ固定している。本実施の形態 の場合丸棒109は2直線方向から(この場合はX方向及びY方向からのみ)配置されている。2接続配線118は2フレキシブルフイルム117から若干突出していて出力変形部610−1と電気的接続が成される。
以上本実施の形態 に従えばウエハ上に配列された全チップの全ての矩形上に配列されたパッドに検査回路から直接、チップと検査回路とが1:1の対応で検査信号の授受が図られるシリアル検査ではない同時一括で高速のウエハ検査システムが構築できる。