JP4720973B2 - 気流内ブラスト装置 - Google Patents

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本発明は、対象物の再塗装工事において、その塗膜を研削し塗装面を粗面化するブラスト工法(以下、ブラストと称する)であって、特に、建築物の屋上等に設置された換気空調設備の近傍の対象物を、気流発生環境下でブラストする気流内ブラスト装置に関する。
大型建築物の換気空調設備は、夜間、深夜も運転されるため、点検作業中においても全停止することなく運転されている。この点検作業には再塗装作業が含まれており、再塗装作業は数年に一度実施されている。また、再塗装工事の事前作業として、再塗装対象機器の塗膜をブラストする作業が行われる。
このブラスト作業は、特許文献1等に記載されているようなサンドブラスト工法により行われている。サンドブラスト工法とは、高速エアーで噴射したスチールグリット等のブラスト材を対象物に衝突させ、その衝撃力で対象物の表面をブラストする工法である。また、サンドブラスト工法は、対象物に衝突したブラスト材が強力な力で跳ね返るため、作業者は鉄板等のプロテクタや防御ヘルメットを装着した重装備で作業する。
サンドブラスト工法を、前記換気空調設備のブラスト作業に適用した場合には、再塗装対象機器を養生シートでトンネル状に覆うことにより、ブラスト時に飛散した粉塵が拡大するのを阻止し、且つ換気空調設備による気流の流れを確保する。そして、再塗装対象機器に対して気流の下流側に仮設フィルタを設置し、飛散した粉塵を仮設フィルタに捕集させることにより、粉塵が建屋の外気吸引口から建屋内に侵入するのを阻止する。
特開平9−109029号公報
しかしながら、サンドブラスト工法により実施する従来の気流内ブラスト装置では、外気吸引口の直前に粉塵捕集用のフィルタを設置するため、換気空調設備の圧力損失が増大するという問題があった。また、飛散する塵埃も膨大なことからフィルタを頻繁に交換しなければならず、工費がかさむとともに作業に手間がかるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、上記の問題を解消することにより気流発生環境下での対象物のブラストを効率よく実施できる気流内ブラスト装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、気流発生環境下において、対象物の表面にブラスト媒体を投射して表面をブラストする気流内ブラスト装置において、前記ブラスト媒体として、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用し、前記対象物に対して気流の下流側にメッシュシートを配設し、該メッシュシートによって前記ブラスト媒体を捕集し、前記メッシュシートは、開口部の大きさの異なる複数のメッシュシートが一枚のシート状に接続されて構成されるとともにロール状に巻かれて構成され、該ロールから所望の目の大きさのメッシュシートが巻き戻されてブラスト媒体の捕集に使用されることを特徴とする。
本発明は、前記目的を達成するために、気流発生環境下において、対象物の表面にブラスト媒体を投射して表面をブラストする気流内ブラスト装置において、前記ブラスト媒体として、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用し、前記対象物に対して気流の下流側にメッシュシートを配設し、該メッシュシートによって前記ブラスト媒体を捕集し、前記メッシュシートは、2枚の固定シートが積層されて構成され、2枚の固定シートのうち一方の固定シートを気流に直角水平方向に移動させ、2枚の固定シートの接合部の開口部の大きさを可変可能としたことを特徴とする。
本発明は、従来のサンドブラスト工法に代えて、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用したブラスト工法を採択したことを特徴している。このブラスト媒体を高圧エアによって塗膜に投射し、塗膜をブラストする。
このブラスト工法によれば、ブラスト媒体が塗膜に衝突するとブラスト媒体が偏平になり、包含させたブラスト材が塗膜に直接高速で衝突する。これにより、サンドブラスト工法と同様に、塗膜をブラスト材によってブラストすることができる。また、通常では空中に漂うことになる粉塵が多孔質弾性体内に取り込まれてそのまま落下するので、粉塵飛散を防止できる。また、反発力も多孔質弾性体によって吸収されるため跳ね返りはなく、よって作業者の装備も軽くすむ。更に、多孔質弾性体のブラスト媒体を捕集する場合でも、ブラスト媒体は粉塵と比較にならないほど大きいものなので、従来のようにフィルタを使用することなく、このブラスト媒体を通過させない大きさの開口部を備えた簡便なメッシュシートで捕集できる。また、ブラスト材の跳ね返りがないため、周辺機器をブラスト媒体によって傷つけないですむ。
本発明の如く、メッシュシートは、開口部の大きさの異なる複数のメッシュシートが一枚のシート状に接続されて構成されるとともにロール状に巻かれて構成され、該ロールから所望の開口部の大きさのメッシュシートが巻き戻されてブラスト媒体の捕集に使用される。これにより、ブラスト媒体の大きさに合わせたメッシュシートの交換作業が容易になる。
本発明の如く、メッシュシートを2枚の固定シートを積層して構成し、2枚の固定シートのうち一方の固定シートを気流に直角水平方向に移動させ、2枚の固定シートの接合部の開口部の大きさを、ブラスト媒体を回収できる大きさに設定する。これにより、ブラスト媒体の大きさに合わせたメッシュシートの交換作業が容易になる。
本発明に係る気流内ブラスト装置によれば、ブラスト媒体として、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用し、対象物に対して気流の下流側にメッシュシートを配設し、メッシュシートによってブラスト媒体を捕集するので、気流発生環境下での対象物のブラストを効率よく実施できる。
以下添付図面に従って、本発明に係る気流内ブラスト装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、実施の形態のブラスト工法に適用されるスポンジ状多孔質弾性体ブラスト装置(以下、スポンジブラスト装置と称する)20の全体を示した構造図である。まず、スポンジブラスト装置20を用いたスポンジブラスト工法について説明すると、この工法で使用するブラスト媒体26は、図2に示すように用途に応じて異なる材質(スチールグリット、アルミナ、スターライト、ユリア樹脂等)のブラスト材(ユリア樹脂の場合には研掃材ともいう)をスポンジ片24に包含(内蔵)させたものであり、このブラスト媒体26を高圧エアによって塗膜28に投射し、塗膜28をブラストする。
スポンジブラスト工法によれば、図2(A)の如くブラスト媒体26が塗膜28に衝突すると、図2(B)の如くブラスト媒体26が偏平になり、包含させたブラスト材22、22…が塗膜28に直接高速で衝突する。これにより、サンドブラスト工法と同様に、図2(C)の如く塗膜28をブラストすることができる。また、通常では空中に漂うことになる粉塵32、32…がスポンジ片24の中に取り込まれてそのまま落下するので、粉塵飛散も防止することができる。また、反発力もスポンジ片24によって確実に吸収されるため、ブラスト媒体26の跳ね返りは発生しない。
したがって、図3の如くスポンジブラスト装置20を取り扱う作業者34の装備36も軽くすむ。図3は、スポンジブラスト装置20のノズル38及びその近傍のホース39を作業者34が両手で把持し、加工対象物40に向けてブラスト媒体26を投射している図が示されている。この作業者34は、サンドブラスト工法のようにプロテクタを全身に装備する必要はなく、また、ヘルメット42についても、頭部、顔部全てを覆うフルフェイス型のヘルメットではなく、作業現場で使用する通常のヘルメットに透明アクリル板からなるフェイスプロテクタ43が取り付けられたものが使用され、いたって軽量な装備36となっている。これにより、装備の重量が軽くなるので、作業者34の労力を大幅に軽減することができる。
また、スポンジブラスト工法を適用することにより、養生シートとして、サンドブラスト工法では不可能であったメッシュシートの使用が可能となる。図4は、スポンジブラスト装置20が用いられた気流内ブラスト装置44によって、換気空調設備の一つであるファンの架台45をブラストしている状態が示されている。この架台45は、原子力発電所設備の建屋46の外気吸引口48の近傍に設置され、これにより、架台45の周りには外気吸引口48に向けた気流が形成されている。この気流内ブラスト装置44については後述する。
スポンジブラスト装置20は図1の如く、スポンジブラスト供給装置50、コンプレッサ52、ノズル38、吸引機54、リサイクル分離機56及びホッパ58から構成されている。
スポンジブラスト供給装置50には、コンプレッサ52から高圧エアが供給されるとともに、ホッパ58からブラスト媒体26(図2参照)が供給される。このブラスト媒体26は、コンプレッサ52からの高圧エアによりホース39を介してエア搬送されてノズル38の先端から加工対象物40に向けて高速で投射される。そして、ブラストに使用されたブラスト媒体26は、粉塵32、32…(図2(C)参照)を取り込んだ状態でそのまま落下し、その落下位置近傍に設置された吸引口60から吸引機54に吸引され、リサイクル分離機56に送り込まれる。
リサイクル分離機56は、篩の目のサイズが大、中の2つの篩62、64が加振機66上に積み重ねられて構成される。ブラスト媒体26は、まず、目のサイズが大の篩62に送り込まれ、加振機66のバイブレータによって篩62が加振されることにより、ここで大サイズのブラスト媒体26が選別されて篩62から取り出される。また、篩62を通過したブラスト媒体26は篩64に落下し、同じくバイブレータによって加振されている篩64によって中サイズのブラスト材26が選別されて取り出される。篩62、64から取り去れた大、中サイズのブラスト媒体26は、そのまま使用できるためホッパ58に搬送される。また、篩64を通過した細かいブラスト媒体26は、再使用不能のため容器68に溜められて廃棄される。なお、再使用可能なブラスト媒体26は、全体の約90%である。以上がスポンジブラスト装置20の構成である。
次に、図4に示した気流内ブラスト装置44について説明する。
まず、架台45に対して気流の下流側に、ブラスト媒体捕集用のメッシュシート70が配設される。このメッシュシート70は、矩形状に形成された複数枚のメッシュシート71、71…を重ねることにより構成されるとともに、少なくとの1枚のメッシュシート71が気流に直角水平方向にスライド自在に設けられ、スライドされることによりメッシュシート70全体としての開口部(メッシュシート71、71の接合部の開口部)の大きさを変更できるようになっている。また、メッシュシート70によって捕集するブラスト媒体26は、サンドブラスト工法で生じる粉塵とは比較にならないほど大きいものなので、メッシュシート70の開口部の大きさはブラスト媒体26を捕集すればよいだけの大きさに設定される。また、メッシュシート70の気流の下流側には、逆洗用のファン72が設置されている。このファン72が駆動されると、その風がメッシュシート70に当たることにより、メッシュシート70に捕集されたブラスト媒体26が、その風圧でメッシュシート70から剥離される。なお、このファン72は、必ずしも設ける必要はない。
メッシュシート70の気流上流側床部には、メッシュシート70に沿って溝73が形成され、この溝73の底部に図1に示した吸引口60が配置されている。剥離されたブラスト媒体26は、溝73に落下し、吸引口60から吸引されて再使用される。なお、ファン72のON/OFFは、作業者が適宜操作してもよく、また、メッシュシート70を境にして上流側及び下流側に各々配置された圧力計により算出される差圧に基づいて自動制御するようにしてもよい。図4では、メッシュシート71、71…の間隔が開いた状態のメッシュシート70が示されているが実際には接触されている。
架台45及びメッシュシート70は、気流の流路を確保するトンネル状のシート74によって包囲されている。このシート74は、通気性のない例えばビニルシートである。また、シート74は、不図示のフレームによってトンネル状に構築され、その下部にキャスタが取り付けられて走行移動可能となっており、次の作業場に容易に移動可能となっている。
次に、気流内ブラスト装置44の作用について説明する。
図4の如くメッシュシート70を架台45の気流の下流側に設置し、この後、シート74によって作業空間を仕切るとともに、外気吸引口48から吸引される外気の流路を確保する。
次に、図1に示したスポンジブラスト装置20を使用し、作業者34が図3に示した軽装備でもって架台45の塗膜をブラストする作業を開始する。
スポンジブラスト装置20のノズル38から架台45に投射されたブラスト媒体26は、架台45の塗膜をブラストし、その後、大部分が架台45で跳ね返ることなく落下され、その近傍に設置された図1の吸引口60から吸引される。また、一部分のブラスト媒体26は、トンネル内の気流に乗って外気吸引口48に向けて浮遊するが、外気吸引口48の直前に配置されたメッシュシート70によって捕集されるので、外気吸引口48から建屋46内に侵入するのが防止される。これにより、架台45の塗膜ブラスト作業がクリーンな環境が実施でき、また、使用済みのブラスト媒体26はシート74から外部に飛散しないので、外部環境に悪影響を与えないですむ。
また、塗膜ブラスト作業中において、ファン72を駆動すれば、ファン72の風によって、メッシュシートによって捕集されたブラスト媒体をメッシュシートから剥離させることができるので、建屋46の換気空調設備の圧力損失の増大を防止できる。また、使用したブラスト媒体26は、吸引口60から吸引して再使用するので、ブラスト媒体を節約することができる。
図5は、他の実施の形態の気流内ブラスト装置80の構成を示す斜視図であり、図4に示した気流内ブラスト装置44と同一又は類似の部材のついては同一の符号を付してその説明は省略する。
図5に示した気流内ブラスト装置80は、メッシュシート70のうち上流側に配置されたメッシュシート82に関して、図6に示すように、開口部の大きさの異なる複数のメッシュシート84、86、88…を一枚のシート状に接続して構成するとともに両側に配置した軸90、92にロール状に巻いて構成したものである。
このメッシュシート82によれば、不図示のモータによって軸90、92を回転させ、軸90、92からメッシュシートを巻取り及び巻き戻すことにより、所望の開口部の大きさのメッシュシート84、86、88…を外気吸引口48の対面に位置させて、ブラスト媒体26の捕集に使用する。これにより、ブラスト媒体26の大きさに合わせたメッシュシートの交換作業が容易になる。
なお、実施の形態では、多孔質弾性体としてスポンジを例示したが、これに限定されるものではなく、ゴムを発泡させた多孔質弾性体でも適用できる。
また、実施の形態では、気流が発生している場所での対象物のブラスト工法について述べたが、気流のない場所での対象物のブラスト工法にも適用できる。
スポンジブラスト装置の全体構成図 スポンジブラストのメカニズムを説明した図 スポンジブラストの作業者装備を説明した図 メッシュシートが設けられた気流内ブラスト装置の斜視図 ロール状に巻回されたメッシュシートが設けられた気流内ブラスト装置の斜視図 図5に示したメッシュシートの拡大斜視図
符号の説明
20…スポンジブラスト装置、22…ブラスト材、24…スポンジ片、26…ブラスト媒体、28…塗膜、30…塗装面、34…作業者、36…装備、38…ノズル、44…気流内ブラスト装置、50…スポンジブラスト供給装置、52…コンプレッサ、54…吸引機、56…リサイクル分離機、58…ホッパ、70…メッシュシート、72…ファン、74…シート、80…気流内ブラスト装置、82…メッシュシート

Claims (2)

  1. 気流発生環境下において、対象物の表面にブラスト媒体を投射して表面をブラストする気流内ブラスト装置において、
    前記ブラスト媒体として、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用し、
    前記対象物に対して気流の下流側にメッシュシートを配設し、該メッシュシートによって前記ブラスト媒体を捕集し、
    前記メッシュシートは、開口部の大きさの異なる複数のメッシュシートが一枚のシート状に接続されて構成されるとともにロール状に巻かれて構成され、該ロールから所望の目の大きさのメッシュシートが巻き戻されてブラスト媒体の捕集に使用されることを特徴とする気流内ブラスト装置。
  2. 気流発生環境下において、対象物の表面にブラスト媒体を投射して表面をブラストする気流内ブラスト装置において、
    前記ブラスト媒体として、ブラスト材が多孔質弾性体内に包含されたブラスト媒体を使用し、
    前記対象物に対して気流の下流側にメッシュシートを配設し、該メッシュシートによって前記ブラスト媒体を捕集し、
    前記メッシュシートは、2枚の固定シートが積層されて構成され、2枚の固定シートのうち一方の固定シートを気流に直角水平方向に移動させ、2枚の固定シートの接合部の開口部の大きさを可変可能としたことを特徴とする気流内ブラスト装置。
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